JP2010229569A - パイル経編地 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バック筬の地糸に編成されるベース経編地14に、フロント筬のパイル糸13を編み込んだ生機経編地15のニードルループ面を起毛し、パイル糸のニードルループ23によるカットパイル24を形成する。カットパイルの根元34を係止する地糸のニードルループは1針振りの閉じ目とする。パイル長Hは0.7mm以下とし、パイル経編地の総厚みTの2分の1 以下にする。地糸11・12をバック筬とミドル筬によって編み込む場合、その何れか一方の地糸のニードルループを1針振りの閉じ目にするとよい。
【選択図】図2
Description
従って、織地では、針先の回転方向に交叉する緯糸の繊維が起毛毛羽を形成することになり、起毛毛羽が出来易くするため、起毛処理を施す被起毛織地は、緯糸が数本の経糸を越えて長く浮き出る織組織をもって織成される。
そのような配慮は、起毛処理を施す生機経編地にもなされ、その起毛処理は、編目が針先の回転方向に平行になる編成方向(ウェール方向)に直線状に並んで出来るニードルループ面に対してではなく、シンカーループが稍斜めではあるが、ウェール間を結んで編成方向にジグザグに出来るシンカーループ面に対して施されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、シンカーループは、経編機のガイド筬がスイングする振り針数に応じて長く浮き上がらせることが出来、而も、シンカーループの表面に現れる繊維の長さ方向は編幅方向に略平行で針先の回転方向に略直交するので、織地の緯糸と同様に起毛することが出来る。
しかし、パイルの形成されているシンカーループ面に加熱エンボスロールを当ててニードルループ面に至る深い凹凸模様を描出しようとする場合、その厚いパイル層が断熱層となって作用するので、凹凸がニードルループ面に至る深く形際が鮮明な凹凸模様を描出することは難しい。
このことは、シンカーループ面に接着剤を塗布して表皮を貼り合わせて合成皮革を得ようとする場合も同様である。
そのジグザグに残る地糸のシンカーループに起因するパイル面の毛割れや横畝を解消するために、カットパイルの角度をベース経編地に対して低くする方法やカットパイルの編糸を絡める方法がとられる。
しかし、角度を低くする方法では、パイル面に方向性が生じ、風合いが悪化し、埃が付き易くなると言った問題が生じる。
そして、カットパイルの角度がベース経編地に対して低くなると、編糸の側面がパイル面に露出し易くなり、パイル面が擦られると編糸が擦り切れ、カットパイルの角度の高い編糸が露出してパイル面の明度が低下し、色斑が感じられ易くなる。
そして更に、起毛処理を施すためには、起毛しようとする編糸(パイル糸)の振り針数を、起毛しようとはしていない編糸(地糸)の振り針数よりも多くして生機経編地を編成する必要があるが、そのように起毛しようとする編糸(パイル糸)の振り針数を多くすると、生機経編地の目付けが重くなってコスト高になってしまう。
一方、カットパイルの編糸を絡める方法では、パイル面の風合いが損なわれ、又、一旦付着した埃が取り除き難くなると言った問題が生じる。
このため、そのパイル面にシャーリングを施してパイル長を短くし、凹凸が裏面に到る深いエンボス加工を施し易くしようとしても、カットパイルがベース経編地から抜け易く、耐摩耗性に富むパイル経編地は得られない。
そして起毛処理時には、起毛面の裏面でありシンカーループ面から続くフロント筬の編糸が起毛針からの掻き出し作用を受けないので、生機経編地が嵩高にならず、バック筬の編糸によるパイル長はベース経編地の厚みに比して長くなり、又、フロント筬の編糸のシンカーループと異なりカットパイルの根元から続くバック筬の編糸のシンカーループが裏面であるシンカーループ面の最表面にまでベース経編地を貫通して続いていないので、フロント筬の編糸によるカットパイルは起立性を欠き、腰が弱く、押し倒され易い。
(a) 経編機において、地糸11・12によって構成されるベース経編地14にパイル糸13を編み込んで編成される生機経編地15に起毛処理を施してカットパイル24を形成したパイル・デシテックス換算密度200000dtex/(25.4mm)2以上のパイル経編地25であり、
(b) カットパイル24が地糸11・12の構成するニードルループ21・22の中を潜り抜けてベース経編地14のニードルループ面に突出し、
(c) カットパイルの根元34が地糸のニードルループによって結束されており、
(d) パイル糸13がベース経編地14のシンカーループ面に浮き出たシンカーループ33を形成し、
(e) パイル糸のシンカーループ33がカットパイルの根元34へと続いており、
(f) カットパイル24の先端から地糸のニードルループ21・22に到るパイル長Hが0.7mm以下であり、
(g) パイル長Hがパイル経編地の総厚みTの2分の1 以下であることを第1の特徴とする。
従って、本発明のパイル経編地は、形際を先鋭に顔料や染料や抜触糊をプリントし易く、弾性樹脂組成物を含浸付与して人工皮革に仕上げ易い。
一方、そのように個々のパイル繊維が平行に揃って起立状態に保たれており、パイル長Hが極短いことからカットパイル24の腰が強く、ワイピングクロス(清掃用布帛)に使用するときは、塵埃がパイル繊維間に入り込み易く、又、その入り込んだ塵埃をパイル繊維間から払い落とし易い。
このように、本発明のパイル経編地は、ベロアトリコット、スェードトリコット、フロッキー等の有毛布帛に比してプリント適性に優れ、ベロアトリコットやスェードトリコットに比して樹脂加工性とダスト捕捉性に優れ、特に、ダスト払拭性の点ではフロッキーに比して優れ、ワイピングクロスに好適である。
このため、地糸のニードルループ(21)を掻き出すことなく、起毛処理によってパイル糸13のニードルループ23を掻き出し、パイル糸13によるカットパイル24を効果的に形成することが出来る。
そのカットパイル24の根元34が、地糸のシンカーループ(31aと31b)が交叉した地糸の閉じ目のニードルループ(21)によって結束されるので、パイル長Hが0.7mm以下であっても、カットパイル24がベース経編地14から抜け外れることなく確りと係止され、耐圧縮性と耐摩耗性と耐洗濯性に優れたパイル経編地が得られる。
パイル表面平均寸法Wは、パイル長Hの1.2倍ないし1.9倍(W/H=1.20〜1.90)になるようにするとよい。
パイル経編地の総厚みTは1.5mm以下にし、パイル長Hを0.5mm以下にし、且つ、パイル経編地の総厚みTの2分の1以下にするとよい。
ベース経編地14にパイル糸13を編み込んだ生機経編地15のニードルループ面を起毛し、パイル糸のニードルループ23から生じた起毛毛羽をシャーリングによって刈り揃えた0.7mm以下のカットパイル24が緻密で短いことから、その一本一本のカットパイル24を刈り取ってパイル層の嵩比重を正確に測定することは極めて困難である。
そこで、本発明では、パイル・デシテックス換算密度をもってパイル層の嵩比重を知る手掛かりとしている。
ここに、パイル・デシテックス換算密度は、パイル密度の2倍とパイル糸の総繊度(dtex)との積として算定される。
その算定において、パイル密度の2倍をパイル糸の総繊度に掛けるのは、パイル糸のニードルループ(輪奈)が破断されて2本一番(つがい)のカットパイル片が発生することによる。
即ち、パイル糸13を1針振りにするとしても、パイル糸13のシンカーループ33とニードルループ23が編成方向に一直線状に続く鎖編目列を形成しないようにする。
パイル糸13のニードルループ23は、閉じ目でも開き目でもよいが、好ましくは閉じ目とする。
”開き目のニードルループ”とは、図1に示す地糸11のニードルループ21とは異なり、ギリシャ文字の『Ω』を描く場合のように、そのニードルループの形成されるコースに前後する先のコースからシンカーループと、次のコースへと続くシンカーループが、交叉することなく単に触れ合っているだけであり、その前後するシンカーループとシンカーループによって閉じ合わされていないニードルループを意味する。
”1針振り”とは、一本の筬針が、隣り合う一方の編針から他方の編針へと移動し、その移動した他方の編針がニードルループを形成する編組織を意味する。
”多針振り”とは、一本の筬針が、隣り合う一方の編針から、その隣り合う他方の編針を含む複数本の編針を越えて移動し、その移動した複数本目の編針がニードルループを形成する編組織を意味する。
従って、一本の筬針が、隣り合う二本の編針と編針の間で移動することなく、同じ編針が続けてニードルループを形成した編組織、所謂”鎖編”は、”0針振り”と称される。
従って、パイル経編地は、ベース経編地14を構成する地糸11を編み込むバック筬と、そのベース経編地14にパイル糸13を編み込むフロント筬との二枚の筬を備えた二枚筬経編機によって編成することも出来る。
地糸の熱収縮率は、12%以上に、好ましくは18%以上にし、パイル糸の熱収縮率を5%以下にし、地糸11・12の熱収縮率とパイル糸14の熱収縮率の差が10%以上に、更に好ましくは15%以上になるようにする。
そうすると、パイル糸13のニードルループ23と一体になって編成される地糸11・12の閉じ目のニードルループ21・22が収縮し、そのニードルループ21・22との収縮差に応じてパイル糸13のニードルループ23がニードルループ面に絞り出されるように浮き出て起毛され、その形成するカットパイルの根元34が、その収縮した地糸11・12の閉じ目のニードルループ21・22によって強く結束され、地糸11・12が1針振りであれば収縮した地糸11・12のニードルループ21・22やシンカーループ31・32が弛み出すことはなく、そのパイル長Hが0.5mm以下であっても、カットパイル24がベース経編地14から抜け外れることはない。
図3は、本発明のパイル経編地の断面の顕微鏡写真を基に書き写した断面図であり、収縮した地糸11のニードルループ21がカットパイルの根元34に食い込むように密着しており、カットパイルの根元34は、その地糸11のニードルループ21とシンカーループ31に挟まれて確り把持されている。
パイル糸13の単繊維繊度は、地糸11・12の単繊維繊度以下にし、パイル糸13の総繊度を地糸11・12の総繊度よりも太くする。
地糸、特にミドル筬によって編み込む地糸12には、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を使用するとよい。
パイル糸13には、捲縮率が5〜25%の捲縮合成繊維のマルチフィラメント糸を使用するとよい。
地糸、特に1針振りで編み込む地糸11には、捲縮率が5%以下でパイル糸13に比して捲縮が少ない低捲縮合成繊維または無捲縮合成繊維のマルチフィラメント糸を使用するとよい。
そのミドル筬によって編み込む地糸12に、単繊維繊度と総繊度がパイル糸13と同程度の捲縮合成繊維のマルチフィラメント糸を使用することが出来る。
そのように、単繊維繊度と総繊度と熱収縮率がパイル糸13と同程度の地糸12をミドル筬によって編み込んだ生機経編地15では、パイル糸13のニードルループ23を起毛するとき、そのミドル筬によって編み込む地糸12のニードルループ22をも起毛し、バック筬によって1針振りで編み込まれた地糸11の閉じ目のニードルループ21にパイル糸のカットパイル24と一緒に根元34が結束されたカットパイルを形成することも出来る。
その場合、ベース経編地は、1針振りで編み込まれた地糸だけによって構成され、カットパイルは、ミドル筬によって編み込まれる編糸とフロント筬によって編み込まれる編糸とによって構成されることになる。
そのように、ミドル筬によって編み込んだ編糸によって、フロント筬によって編み込まれるパイル糸13のカットパイル24と一緒になったカットパイルを形成する場合、そのミドル筬によって編み込む編糸は、多針振りにするとよい。
従って、本発明のパイル経編地は、バック筬と、バック筬側のミドル筬(ミドル・バック筬)と、フロント筬側のミドル筬(ミドル・フロント筬)と、フロント筬との4枚の筬を備えた4枚筬経編機を使用して編成することも出来る。
図4は、ミドル筬によって編み込んだ編糸12によって、フロント筬によって編み込まれるパイル糸13と一緒になったカットパイルを形成する生機経編地の部分切截裏面斜視図である。
ミドル筬による地糸12は、適宜編み込まれるが、その場合、そのニードルループ22は閉じ目とし、バック筬の地糸11と同様に高収縮性低捲縮ポリエステル系マルチフィラメント糸をミドル筬による地糸12に用い、地糸11と地糸12の閉じ目のニードルループ21・22によってカットパイルの根元34を確り結束する。
パイル経編地25は、その裏面に裏打用接着剤を塗布して仕上げることが出来る。
パイル経編地25は、その裏面に裏材を貼り合わせて仕上げることが出来る。
その裏材を貼り合わせるパイル経編地25は、弾性樹脂組成物を含浸付与して仕上げられたものであっても、又、裏打用接着剤を塗布して仕上げられたものであってもよい。
(ステップ 1) パイル経編地から編幅方向100mmと編成方向100mmの試験片を3枚採取する。
(ステップ 2) パイル面を上向きにして試験片をテーブルに載せる。
(ステップ 3) 各試験片毎に異なる3箇所にそれぞれ荷重5hPa×接触面積30cm2 の接触子を当て、10秒間経過後のパイル経編地の厚みを測定する。
(ステップ 4) 9個(試験片3枚×3箇所)の測定値の平均値をもってパイル経編地の総厚みとする。
(ステップ 1) パイル経編地から編幅方向100mmと編成方向150mmのタテ試験片3枚と、編幅方向150mmと編成方向100mmのヨコ試験片3枚を採取する。
(ステップ 2) 長さ100mm×幅50mm×重さ500gの長方形摩擦子の底面に綿帆布を取り付ける。
(ステップ 3) 株式会社東洋精機製作所製AN形試験機の傾斜板に試験片を取り付ける。
(ステップ 4) 試験機のストッパーから5mmの間隔を開けて、試験片に摩擦子を載せる。
(ステップ 5) 試験機の傾斜板を毎秒2.7度の速度で傾斜させ、摩擦子が傾きかけたときの傾斜角度θのtanθの値を測定する。
(ステップ 6) 傾斜板は正方向と逆方向に傾斜させ、それぞれのtanθの値を測定する。
(ステップ 7) ヨコ試験片3枚とタテ試験片を3枚の各測定値tanθの平均値をもって、ヨコ試験片とタテ試験片のそれぞれの摩擦係数とする。
(ステップ 1) パイル経編地から編幅方向80mmと編成方向300mmのタテ試験片5枚と、編幅方向300mmと編成方向80mmのヨコ試験片5枚を採取する。
(ステップ 2) 各試験片の長さ方向(300mm)の中心線から50mm離れた位置に標点を記入する。
(ステップ 3) 各試験片の長さ方向(300mm)の両端に幅80mmの治具を取り付ける。
(ステップ 4) 治具の重量を含む10kgfの荷重を掛けて、各試験片を縦長に吊るす。
(ステップ 5) 10分間経過後の試験片の上下の標点間の距離yを測定する。
(ステップ 6) 測定前の標点間の標準距離xと測定距離yの差(δ=y−x)を標準距離xで除し、100を掛けて伸び率α(=100×δ/x)とする。
尚、計測される圧縮仕事量のWC値が大きいほど、パイル面が圧縮し易いことを意味する。
下記表1と表2に示す編成仕様(ウェール密度、コース密度、パイル密度、パイル・デシテックス換算密度)の実施例1〜12のパイル経編地を、下記表1と表2に示す単繊維繊度と総繊度と熱水収縮率のバック筬編糸とミドル筬編糸とフロント筬編糸を使用し、下記表1と表2と表4と表5に示す編組織によって編成し、ニードルループ面のフロント筬編糸のニードルループを起毛しシャーリングを施して仕上げた。
下記表1と表2に示すミドル筬編糸のポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸は、ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント50%とポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント50%との混繊糸である。
シャーリングを施して仕上げられたパイル経編地の総厚み、パイル長、パイル長の総厚みに対する比率、目付け、パイル面の摩擦係数、パイル経編地の伸び率とパイル圧縮仕事 シャーリングを施して仕上げられたパイル経編地の総厚み、パイル長、パイル長の総厚みに対する比率、目付け、パイル面の摩擦係数、パイル経編地の伸び率とパイル圧縮仕事量は、下記表1と表2に示す通りである。
下記表3に示す編成仕様(ウェール密度、コース密度、パイル密度、パイル・デシテックス換算密度)の比較例1〜8のパイル経編地を、下記表3に示す単繊維繊度と総繊度と熱水収縮率のバック筬編糸とミドル筬編糸とフロント筬編糸を使用し、下記表3と表6と表7に示す編組織によって編成し、比較例1のパイル経編地ではシンカーループ面の最表面のフロント筬編糸(低収縮高捲縮ポリエステルマルチフィラメント糸)のシンカーループを起毛し、比較例2のパイル経編地ではニードルループ面の最表面のバック筬編糸(低収縮高捲縮ポリエステルマルチフィラメント糸)のニードルループを起毛し、比較例3のパイル経編地ではシンカーループ面の最表面のフロント筬編糸(高収縮低捲縮ポリエステルマルチフィラメント糸)のシンカーループを起毛し、比較例4〜8のパイル経編地ではニードルループ面のフロント筬編糸のニードルループを起毛し、それぞれシャーリングを施して仕上げた。
(1) 比較例1のパイル経編地では、パイル経編地の総厚みTに対するパイル長Hの比率(H/T)が0.5以上の0.71であり、パイル表面平均寸法Wがパイル長Hよりも小さく、パイル長Hに対するパイル表面平均寸法Wの比率(W/H)が1以下(0.63)であることから、カットパイルが押し倒され易く、パイル面の耐圧縮性を欠くものとなった。
(2) 比較例2のパイル経編地では、比較例1と同様に、パイル経編地の総厚みTに対するパイル長Hの比率(H/T)が0.5以上の0.53であり、パイル表面平均寸法Wがパイル長Hよりも小さく、パイル長Hに対するパイル表面平均寸法Wの比率(W/H)が1以下(0.66)であることから、カットパイルが押し倒され易く、パイル面の耐圧縮性を欠くものとなった。
(3) 比較例3のパイル経編地では、比較例1・2と同様に、パイル経編地の総厚みTに対するパイル長Hの比率(H/T)が0.5以上の0.69であり、パイル表面平均寸法Wがパイル長Hよりも小さく、パイル長Hに対するパイル表面平均寸法Wの比率(W/H)が1以下(0.39)で比較例1・2に比して少ないことから、カットパイルが比較例1・2に比して押し倒され易く、パイル面の耐圧縮性を欠くものとなった。
(4) 比較例4のパイル経編地では、フロント筬編糸の編組織が0針振りの鎖編組織であることから、起毛時にフロント筬編糸の繊維が抜け易く、パイル密度が疎らになった。
(5) 比較例5のパイル経編地では、比較例4と同様に、フロント筬編糸の編組織が0針振りの鎖編組織であることから、起毛時にフロント筬編糸の繊維が抜け易く、パイル密度が疎らになった。
(6) 比較例6のパイル経編地では、ミドル筬の振り針数が多く、バック筬編糸にテンションが掛かり過ぎることから、ベース経編地が薄く、カットパイルがベース経編地に確り係止されず、カットパイルは腰の弱いものとなった。
(7) 比較例7のパイル経編地では、フロント筬編糸のニードルループによるカットパイルは形成されるが、ミドル筬編糸のニードルループが多針振りの開き目であることから、カットパイルがベース経編地に確り係止されず、耐摩耗性に欠けるものとなった。
(8) 比較例8のパイル経編地では、フロント筬編糸のニードルループによるカットパイルは形成されるが、ミドル筬編糸のニードルループが多針振りの開き目であり、而も、ミドル筬編糸の振り方向がフロント筬編糸の振り方向と同じであることから、ミドル筬編糸のニードルループまでもが起毛されて、ベース経編地が脆弱なものとなった。
尚、比較例1〜8のパイル経編地は、手触りによって本発明実施例1〜8のパイル経編地に比して物性品質に劣ることが確認されたので、比較例1〜8のパイル経編地物性試験は省略している。
実施例1〜12のパイル経編地は、編幅方向と編成方向の伸び率に差異はあるものの、その差異は在来の経編地にも見られる編組織構造特有の差異であって実用上支障を来すものではなく、パイル・デシテックス換算密度350000dtex/(25.4mm)2
以上であり、パイル長Hが0.25mm前後で極めて短く、パイル経編地の総厚みTに対するパイル長Hの比率(H/T)が0.5以下の0.3前後であり、パイル表面平均寸法Wがパイル長Hよりも大きく、パイル長Hに対するパイル表面平均寸法Wの比率(W/H)が1以上(1.2〜1.9)であることから、圧縮仕事量が少なく、カットパイルが押し倒され難く、耐圧縮性に優れ、パイル長Hが0.3mm前後でパイル面が平滑であり、編幅方向と編成方向の摩擦係数が略同じであり、形際先鋭にエンボス加工や捺染を施すことが出来、ダスト捕捉性とダスト払拭性に優れ、ワイピングクロスとしても好適であった。
12:ミドル筬の地糸
13:フロント筬のパイル糸
14:ベース経編地
15:生機経編地
21:バック筬の地糸のニードルループ
22:ミドル筬の地糸のニードルループ
23:フロント筬のパイル糸のニードルループ
24:カットパイル
25:パイル経編地
31:バック筬の地糸のシンカーループ
32:ミドル筬の地糸のシンカーループ
33:フロント筬のパイル糸のシンカーループ
34:根元
Claims (8)
- (a) 経編機において、地糸(11・12)によって構成されるベース経編地(14)にパイル糸(13)を編み込んで編成される生機経編地(15)に起毛処理を施してカットパイル(24)を形成したパイル・デシテックス換算密度200000dtex/(25.4mm)2 以上のパイル経編地25であり、
(b) カットパイル(24)が地糸(11・12)の構成するニードルループ(21・22)の中を潜り抜けてベース経編地(14)のニードルループ面に突出し、
(c) カットパイルの根元(34)が地糸のニードルループによって結束されており、
(d) パイル糸(13)がベース経編地(14)のシンカーループ面に浮き出たシンカーループ(33)を形成し、
(e) パイル糸のシンカーループ(33)がカットパイルの根元へと続いており、
(f) カットパイル(24)の先端から地糸のニードルループ(21・22)に到るパイル長Hが0.7mm以下であり、
(g) パイル長Hがパイル経編地の総厚みTの2分の1 以下であるパイル経編地。 - 経編機のバック筬、又は、バック筬とミドル筬とによって地糸(11・12)が編み込まれ、パイル糸のシンカーループ(33)が編幅方向に移動してベース編地(14)のシンカーループ面に露出して編成方向にジグザグに続いており、バック筬とミドル筬の何れかの筬に編み込まれる地糸(11・12)が、1針振りで編み込まれて閉じ目のニードルループ(21・22)を形成している前掲請求項1に記載のパイル経編地。
- 地糸(11・12)がバック筬とミドル筬とによって編み込まれており、バック筬によって編み込まれている地糸(11)が、1針振りで編み込まれてシンカーループ(31)と閉じ目のニードルループ(21)を形成しており、ミドル筬によって編み込まれている地糸(12)が、多針振りで編み込まれている前掲請求項1〜2の何れかに記載のパイル経編地。
- 地糸(11・12)がバック筬とミドル筬とによって編み込まれており、ミドル筬によって編み込まれている地糸(12)が、1針振りで編み込まれてシンカーループ(32)と閉じ目のニードルループ(22)を形成しており、バック筬によって編み込まれている地糸(11)が、多針振りで編み込まれてシンカーループ(31)と閉じ目のニードルループ(21)を形成している前掲請求項1〜2の何れかに記載のパイル経編地。
- 地糸(11・12)がバック筬とミドル筬とによって編み込まれており、バック筬によって編み込まれている地糸(11)が、1針振りで編み込まれてニードルループ(21)とシンカーループ(31)を形成しており、ミドル筬によって編み込まれている地糸(12)が、ニードルループを形成することなく挿入糸として多針振りで編み込まれ、バック筬によって編み込まれている地糸(11)が形成するニードルループ(21)とシンカーループ(31)に係止されている前掲請求項1〜2の何れかに記載のパイル経編地。
- 1針振りで編み込まれている地糸(11・12)の熱収縮率が、パイル糸13の熱収縮率に比して高い前掲請求項1〜5の何れかに記載のパイル経編地。
- 地糸(11・12)の熱収縮率とパイル糸13の熱収縮率の差が10%以上である前掲請求項6に記載のパイル経編地。
- パイルの表面平均寸法Wが、パイル長Hよりも大きい前掲請求項1〜7の何れかに記載のパイル経編地。
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