JP5868710B2 - 人工皮革調布帛 - Google Patents

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本発明は、椅子張地、衣料生地、袋物生地、敷布、敷物等に使用され、起毛布帛のパイル層に被覆樹脂を塗布して成る人工皮革調布帛に関するものである。
海成分ポリマーと島成分ポリマーから成る海島型複合繊維に成る原布を、その海成分ポリマーが溶解可能な溶液で処理し、海成分ポリマーを溶解除去して海島型複合繊維を島成分ポリマーに成る極細マルチフィラメントとし、起毛処理を施し、弾性エラストマーを含浸付与して人造皮革とすることは公知である。
その人造皮革において付与される弾性エラストマーには、ポリウレタンエラストマー、アクリロニトリル・ブタジエンラバー、ブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等が使用され、原布は、海島型複合繊維のウェブにニードルパンチングを施した不織布、或いは、そのウェブを編物や織物にニードルパンチングを施して芯地付き不織布として調整される(特許文献1参照)。
起毛編地を原布とし、ポリウレタン樹脂液の含浸加工を施した人造皮革が公知であり、その原布には、トリコット編機の少なくとも1枚の筬にポリエーテルエステル系弾性糸を用い、他の筬に単糸デニールが0.1〜1.5デニール、トータルデニールが30〜150デニールの合成繊維を用いてトリコット編地を編成し、次にこの編地の両面に起毛加工を施したものを使用している(特許文献2参照)。
特開平10−280283号公報(特許第3430852号公報) 特開平7−197383号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載された人造皮革は、ポリウレタン等の樹脂溶液に浸漬(ディッピング)することによって、布帛表面にも樹脂が付与されることとなり、この布帛表面の樹脂に布帛の染料が移行し、耐光堅牢度、耐摩擦堅牢度が低下し易いため、商品寿命が短くなったり、布帛表面に付与した樹脂によっては、布帛表面が手垢などで汚れ易く、汚れが落ちにくくなる問題がある。
更に、本発明における布帛をディッピングして樹脂を付与した場合、人造皮革の全体厚みは紙のように薄くなり、天然皮革のようなクッション性が失われるだけでなく、更には、布帛の表裏両面に付与する分だけ、より多くの樹脂溶液が必要になり、経済性に劣る。
そこで本発明は、シンカーループ面(布帛裏面)に被覆樹脂が塗布された布帛であって、塗布した樹脂がニードルループ面(布帛表面)に出ることがなく、人工布帛のようなコシやクッション性、ヌバック調の表面を有し、高い耐光堅牢度や経済性を備えることが出来、商品寿命も長い人工皮革調布帛を得ることを目的とする。
本発明に係る人工皮革調布帛は、起毛布帛のパイル層に被覆樹脂10を塗布して成る人工皮革調布帛において、前記起毛布帛が、経編地のシンカーループ面及びニードルループ面を起毛処理して成り、前記経編地が、その経編地のニードルループ面側に位置するバック筬と、このバック筬よりも経編地のシンカーループ面側に位置するミドル筬と、このミドル筬よりも経編地のシンカーループ面側に位置するフロント筬との3枚の筬で編成され、前記バック筬に通されたバック編糸11が1針振りのシンカーループ21を形成して編み込まれ、前記ミドル筬に通されたミドル編糸12が1針振り又は2針振り以上のシンカーループ22を形成して編み込まれ、前記フロント筬に通されたフロント編糸13が2針振り以上のシンカーループ23を形成して編み込まれ、前記フロント編糸13のシンカーループ23及びニードルループ33を、前記起毛処理により起毛して毛羽立たせてパイル層の起毛毛羽が構成され、この起毛毛羽が、前記バック編糸11とミドル編糸12とで構成された布帛芯材によって保持されていて、前記被覆樹脂10が、前記バック編糸11に接触することなく経編地のシンカーループ面のパイル層のみに塗布され、このシンカーループ面のパイル層を構成するフロント編糸13のシンカーループ23の起毛毛羽を被覆していることを第1の特徴とする。
本発明に係る人工皮革調布帛の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記バック編糸11が、ポリエステル繊維によって構成されている点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記フロント編糸13が、熱収縮率の異なる高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bによって構成されており、前記フロント編糸13の高熱収縮繊維13aの単繊維繊度が2dtex以上であり、前記フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの単繊維繊度が1dtex未満である点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第4の特徴は、上記第3の特徴に加えて、前記フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの単繊維繊度が、前記ミドル編糸12の単繊維繊度より細く、前記フロント編糸13の総繊度が、前記ミドル編糸12の総繊度より太く、前記フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの熱収縮率が、前記ミドル編糸12の熱収縮率より低い点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第5の特徴は、上記第3又は4の特徴に加えて、前記フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの単繊維繊度が、前記バック編糸11の単繊維繊度より細く、前記フロント編糸13の総繊度が、前記バック編糸11の総繊度より太く、前記フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの熱収縮率が、前記バック編糸11の熱収縮率より低い点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第6の特徴は、上記第3〜5の何れかの特徴に加えて、前記フロント編糸13の低熱収縮繊維13bで構成される起毛毛羽が、前記フロント編糸13の高熱収縮繊維13aで構成される起毛毛羽より多い点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第7の特徴は、上記第1〜6の何れかの特徴に加えて、前記フロント編糸13のシンカーループ23が、前記ミドル編糸12のシンカーループ22より振り数が多い点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第8の特徴は、上記第1〜7の何れかの特徴に加えて、 前記起毛毛羽を構成するフロント編糸13のシンカーループ23は、少なくとも一部が切断されている点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第9の特徴は、上記第1〜8の何れかの特徴に加えて、前記被覆樹脂10がアクリル樹脂エマルジョンである点である。
本発明に係る人工皮革調布帛の第10の特徴は、上記第1〜9の何れかの特徴に加えて、前記経編地のウェール密度単位:ウェール/25.4mmとコース密度単位:コース/25.4mmとの積で表されるパイル密度Mが2000個/25.4mm2 以上であり、このパイル密度Mの2倍とフロント編糸13の総繊度Ddtexとの積で示されるパイル/デシテックス換算密度ρが400000dtex/25.4mm2 以上であり、前記経編地の総厚みが3mm以下であり、前記ミドル編糸12とフロント編糸13とが熱可塑性合成繊維マルチフィラメント糸である点である。
これらの特徴により、本発明に係る人工皮革調布帛では、起毛布帛のパイル層に被覆樹脂10を塗布して成り、起毛布帛が経編地のシンカーループ面及びニードルループ面を起毛処理されており、バック筬で編み込むバック編糸11のシンカーループ21を1針振りとし、ミドル筬で編み込むミドル編糸12を1針振り又は多針振りとし、フロント筬で編み込むフロント編糸13を多針振りとし、シンカーループ面を起毛した後に、ニードルループ面を起毛することで、ニードルループ面において、フロント編糸13が、バック編糸11やミドル編糸12よりも起毛し易くなり、ニードルループ面において、バックスキン調の編糸の短い毛羽の毛羽立ちが実現でき、ニードルループ面(表面)に被覆樹脂10(樹脂溶液)を塗布せずとも、人工皮革風の風合いを布帛表面に出すことが出来る。
又、人工皮革調布帛の原布として、フロント筬とバック筬との2枚筬によって編成した経編地のニードルループ面とシンカーループ面を起毛した起毛経編布帛や、布帛の裏表の経糸、緯糸を起毛した起毛織物布帛を用いることがある。
このような2枚筬編成による起毛経編布帛や、起毛織物布帛では、両面を起毛することで布帛自体を支える布帛芯材(起毛経編布帛におけるバック編糸、起毛織物布帛における経糸又は緯糸)の組織が崩れ易くなり、特に、布帛芯材の厚み方向における組織の崩れにより、起毛毛羽の保持力、伸長回復力が低下する懸念がある。
しかし、本発明の人工皮革調布帛では、フロント編糸13のシンカーループ23及びニードルループ33のみを起毛して、バック編糸11とミドル編糸12の組織を残すため、フロント編糸13のシンカーループ23及びニードルループ33の起毛毛羽が、バック編糸11とミドル編糸12から成る布帛芯材で保持されることとなり、起毛毛羽となるフロント編糸13を、人工皮革調布帛の芯材であるバック編糸11、ミドル編糸12(バック筬、ミドル筬)で確実に押さえながら編成することになって、布帛としての寸法安定性、形体保持力が向上すると共に、過度に伸長することもない。
又、布帛芯材の組織の崩れが抑えられていることで、布帛表面(ニードルループ面)側に当たった光が、組織の隙間から布帛裏面(シンカーループ面)側の被覆樹脂10に届くことはなく、確りした布帛芯材によって、布帛の耐光堅牢度が上がる。
更には、シンカーループ面において、フロント編糸13(特に、高熱収縮繊維13a)が毛羽立つことで、シンカーループ面に塗布した被覆樹脂10が、バック編糸11に接触することなくシンカーループ面の最表面側に位置するフロント編糸13のシンカーループ23の起毛毛羽を被覆することが可能となる。
従って、シンカーループ面のみに塗布した被覆樹脂10は、立毛したフロント編糸13の起毛毛羽の先端部分に付着することとなり、立毛した起毛毛羽によって、ニードルループ面側へ樹脂溶液が浸透し難くなるだけでなく、更に、起毛毛羽を確り保持する布帛芯材によって、樹脂溶液のニードルループ側(布帛の表面側)へ滲み出しを防ぐことができる。
よって、布帛表面側に滲み出した被覆樹脂10が劣化するなどの不都合が生じず、ディッピング等で布帛の表裏両面に被覆樹脂10を付着させた場合のように、全体厚みが過度に薄くなることがなく、被覆樹脂10(樹脂溶液)の減量化を図りながら所定のクッション性を確保できる。
尚、樹脂を付着させていない起毛経編布帛、起毛織物布では、当然に、天然皮革や人造皮革ほどのコシがなく、いかにも布帛であるという質感しか得られないが、本発明における人工皮革調布帛は、天然皮革や人工皮革風の確りしたコシを布帛に持たせると同時に、布帛裏面だけに被覆樹脂10を確り塗布でき、クッション性と耐光堅牢度、耐摩耗堅牢度等の物性との両立がより確実となる。
又、本発明では、バック編糸11をポリエステル繊維によって構成することで、過度の布帛伸長が抑えられ、例えば、本発明を自動車、鉄道車両などの交通機関の内装材(車両内装材)用の布帛に用いた際には、適切な伸縮性やセット性を持たせることが可能となり、ポリエーテルエステル系やポリウレタン系などの弾性糸を用いた場合のように、過分な伸長や、伸びたまま戻らない等の不都合は生じない。
更に、フロント編糸13を、熱収縮率の異なる高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bによって構成することで、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bは高熱収縮繊維13aより起毛し易く(低熱収縮繊維13bで構成される起毛毛羽が、高熱収縮繊維13aで構成される起毛毛羽より多くなる)、この低熱収縮繊維13bが存在することによって、バック編糸11やミドル編糸12の起毛を抑えてのフロント編糸13の起毛が、より確実に出来る。
これと同時に、フロント編糸13において、高熱収縮繊維13aの単繊維繊度を2dtex以上とすることで、染色処理(熱収縮)後には、高熱収縮繊維13aをシンカーループ面で起毛処理によって立毛(起立)させることが出来ると共に、低熱収縮繊維13bの単繊維繊度を1dtex未満とすることで、染色処理(熱収縮)した後であっても、シンカーループ面で立毛すること出来ない。これは、フロント編糸13を、高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bによって構成した図3〜6からもわかる。
従って、図3、4が示すように、布帛裏面であるシンカーループ面に、被覆樹脂10を塗布しても、立毛しているフロント編糸13の高熱収縮繊維13aのみに被覆樹脂10が付着し、樹脂溶液のニードルループ面側への浸透を妨げ、結果的に、被覆樹脂10が、シンカーループ面におけるフロント編糸13の起毛毛羽(高熱収縮繊維13a)を被覆することが可能となる。
これに加えて、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの単繊維繊度をミドル編糸12やバック編糸11の単繊維繊度より細くし、フロント編糸13の総繊度をミドル編糸12やバック編糸11の総繊度より太くし、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの熱収縮率をミドル編糸12やバック編糸11の熱収縮率より低くすることで、ミドル編糸12やバック編糸11をより収縮させて、フロント編糸13の高収縮繊維は、糸足が相対的に長くなって直立に立ち易くなり、バック編糸11のシンカーループ21及びニードルループ31や、ミドル編糸12のシンカーループ21及びニードルループ31を起毛することなく、フロント編糸13のニードルループ31の起毛を促すことが可能となる。
更には、起毛毛羽を構成するフロント編糸13のシンカーループ23の少なくとも一部を切断することで、シンカーループ面においてボリューム感のある厚いパイル層を形成することが出来、嵩高で保温性に富む。これと共に、起毛毛羽が布帛芯材からほぼ直角に立ち上がり易くなるため、被覆樹脂10が立ち上がった起毛毛羽の先端のみに接触させ易くなる。
又、フロント編糸13の振り数をミドル編糸12の振り数よりも多くすることで、ニードルループ面において、フロント編糸13をミドル編糸12より更に起毛させることが出来る。
そして、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの単繊維繊度を1dtex未満にしたり、被覆樹脂10をアクリル樹脂エマルジョンとすることで天然皮革に相当する剛軟度が得られ、又、パイル密度M等を所定の値とすることで、布帛両面でのフロント編糸13の起毛が促される。
起毛布帛に被覆樹脂を塗布して成り、起毛布帛が経編地の両面を起毛処理され、経編地が3枚筬で編成され、バック編糸のシンカーループを1針振りとし、ミドル編糸を1針振り又は多針振りとし、フロント編糸のシンカーループを多針振りとし、フロント編糸のシンカーループ及びニードルループを起毛し起毛毛羽を、バック編糸とミドル編糸から成る布帛芯材で保持し、経編地のシンカーループ面のみに塗布された被覆樹脂を少なくともフロント編糸のシンカーループに接触させることで、布帛裏面であるシンカーループ面のみに樹脂が浸透することが可能となり、布帛表面であるニードルループ面には、樹脂が染み出さないため、クッション性と高い耐光堅牢度、高い耐摩耗堅牢度等の物性が同時に実現でき、人工皮革等における樹脂塗布後の表面研磨を省くと同時に、コシの強さを持たせることが可能となる。
本発明に係る人工皮革調布帛のニードルループ面の平面図である。 人工皮革調布帛にシンカーループ面を示す平面図である。 本発明(実施例3)で得られた人工皮革調布帛であって、シンカーループ面を図面下方に配置した断面を示す図面代用写真である。 本発明(実施例5)で得られた人工皮革調布帛であって、シンカーループ面を図面下方に配置した断面を示す図面代用写真である。 比較例4で得られた人工皮革調布帛であって、シンカーループ面を図面下方に配置した断面を示す図面代用写真である。 比較例4で得られた人工皮革調布帛であって、ニードルループ面を図面下方に配置した断面を示す図面代用写真である。 比較例5で得られた人工皮革調布帛であって、ニードルループ面を図面下方に配置した断面を示す図面代用写真である。
上述した目的を達成するために、本発明に係る人工皮革調布帛は、起毛布帛のパイル層に被覆樹脂10を塗布して成り、起毛布帛は、経編地のシンカーループ面及びニードルループ面を起毛処理して構成されている。
上記経編地の編成には、バック筬とミドル筬とフロント筬との3枚のガイド筬を有する経編機を用いる。
ここで、バック筬とミドル筬とフロント筬とは、経編機にa、b、c、d………と前後に重なるように並べてセットされている複数枚の編糸用ガイド筬に、その並びの順に従って付けられる名称である。
このように3枚以上の筬を有する経編機において、バック筬とミドル筬には地編地(布帛芯材)を形成するバック編糸11とミドル編糸12をそれぞれ通し、フロント筬には、ニードルループ面やシンカーループ面にて起毛すべきフロント編糸13を通す。
経編地のシンカーループ面では、少なくともフロント編糸13のシンカーループ23は起毛されている。尚、ミドル編糸12のシンカーループ22も起毛されていても良い。
ニードルループ面においては、フロント編糸13のニードルループ33が起毛されている。
尚、ニードルループ面の起毛は、ミドル編糸12のニードルループ32が起毛されることも許容するが、このミドル編糸12のニードルループ32は、フロント編糸13のニードルループ33よりも毛羽立ちが抑えられている。
つまり、ニードルループ面における起毛は、フロント編糸13よりミドル編糸12の毛羽立ちが抑えられ、ミドル編糸12よりバック編糸11の毛羽立ちが更に抑えられ、ニードルループ面には、フロント編糸13のニードルループ33の起毛毛羽によるパイル層が形成されている。
このように、バック編糸11のニードルループ31やミドル編糸12のニードルループ32を起毛することなく、フロント編糸13のニードルループ33の起毛を可能にする起毛手段として、バック編糸11を1針振りとし、フロント編糸13を2針振り以上の多針振りとし、編み込まれる編糸のうちシンカーループ面側に位置するフロント編糸13の糸足を長くすること(起毛手段1)、バック編糸11、ミドル編糸12の両方をフロント編糸13より熱収縮させるか、又は、バック編糸11をミドル編糸12及びフロント編糸13より熱収縮させて、フロント編糸13の糸足を相対的に長くすること(起毛手段2)がある。
又、フロント編糸13のニードルループ33の起毛手段として、フロント編糸13の一部の繊維を収縮させて、他の一部の繊維を熱収縮させてフロント糸13の表面に浮き出させること(起毛手段3)もあり、特に、その浮き出る繊維(低熱収縮繊維13b)を、単繊維繊度1dtex以下の極細繊維としたこと(起毛手段4)、バック編糸11、ミドル編糸12のうち少なくともバック編糸11を、フロント編糸13より単繊維繊度が大きく、フロント編糸13より総繊度が小さくして、フロント編糸13が起毛針に引っ掛かり易くすること(起毛手段5)もある。
しかし、これらの手段にもまして、フロント編糸13のシンカーループ33に損傷を与えて弛緩状態にし、ニードルループ面からフロント編糸13の繊維を掻き出し易くすることも有効な手段(起毛手段6)となる。
まず、経編地において、フロント編糸13は、シンカーループ23が多針振りであることから、そもそも1針振りのバック編糸11のシンカーループ21よりも糸足が長い。
更に、フロント編糸13のシンカーループ23は、バック編糸11やミドル編糸12よりもシンカーループ面の最表面側に位置していることから、ニードルループ面の起毛に先立つシンカーループ面への起毛処理によって、フロント編糸13のシンカーループ23は、バック編糸11はもちろん、ミドル編糸12よりも弛緩された状態に置かれることとなる。
そのため、シンカーループ面を起毛した後に、ニードルループ面の起毛処理を行えば、フロント編糸13に比して緊張状態にあって糸足の短いバック編糸11のニードルループ31や、フロント編糸13に比して少なくとも緊張状態にあるミドル編糸12のニードルループ32は、相対的に糸足が長く弛緩状態にあるフロント編糸13のニードルループ33に比べて起毛され難い。
従って、ニードルループ面を起毛するにあたっては、先にシンカーループ面を起毛することが推奨され、その結果、起毛処理を施されたニードルループ面は、起毛し易いフロント編糸13のニードルループ33の起毛毛羽に覆われたパイル面となる。
ニードルループ面におけるフロント編糸13の起毛毛羽によるパイル層の形成を可能とする上述の起毛手段2では、フロント編糸13を、熱収縮率の異なる高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bによって構成し、少なくともバック編糸11は熱収縮させて、フロント編糸13の糸足をバック編糸11の糸足よりも相対的に長くしている。
シンカーループ面において、バック編糸11とミドル編糸12の両方を熱収縮させる、又は、バック編糸11のみを熱収縮させることによって、フロント編糸13をより弛緩させるためには、少なくともバック編糸11の熱収縮率をフロント編糸13の低熱収縮繊維13bの熱収縮率よりも高くすれば良い。
つまり、バック編糸11の熱収縮率を、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの熱収縮率及びミドル編糸12の熱収縮率よりも高く、好ましくは、5%以上高くすると良い。
又、ミドル編糸12を、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bの熱収縮率よりも高く、好ましくは、5%以上高くすると良い。
ニードルループ面におけるフロント編糸13の起毛手段3として上記で述べたように、フロント編糸13の一部の繊維を熱収縮させて他の一部の繊維をフロント糸編13の表面に浮き出させるとしたが、そのためには、起毛手段3を用いるためにも、フロント編糸13を高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bによって構成すれば良い。
更に、フロント編糸13を構成する高熱収縮性繊維の熱収縮率は、低熱収縮性繊維の熱収縮率よりも5%以上多くすると良い。
そして、その高熱収縮性繊維のフロント編糸13に占める質量比率を20〜60質量%にすることが望まれる。
しかし、高熱収縮性繊維のフロント編糸13に占める質量比率が50質量%を超える場合は、フロント編糸13の表面に浮き出ることになる低熱収縮性繊維が余りにも少なく、その浮き出た低熱収縮性繊維を介してフロント編糸13全体を毛羽立たせ易くなる起毛効果が少なくなる。
従って、高熱収縮性繊維のフロント編糸13に占める質量比率を40質量%以下に、好ましくは30質量%前後にすることが望ましい。
ニードルループ面におけるフロント編糸13の起毛手段(4)において、単繊維繊度1dtex以下の極細繊維とした浮き出る繊維とは、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bである。
フロント編糸13は、極細繊維と熱収縮性繊維から成るものであっても良く、フロント編糸13中に混在する極細繊維の殆どが掻き起こされても、その混在する一部の熱収縮性繊維が掻き出されずに残るようにニードルループ面の起毛処理を施す。
フロント編糸13の極細繊維には、その断面に溶解除去し得る成分と溶解除去し得ない成分が混在する複合繊維が用いられると良い。
例えば、溶解除去し得る成分を海または鞘部分とする海島または芯鞘断面構造の複合繊維や、溶解除去し得る成分と溶解除去し得ない成分が交互に放射状に並んでいる放射状断面構造の複合繊維を使用し、経編地の編成後に減量処理を施してその溶解成分を溶解除去し、その複合繊維を複数本の極細繊維に分割するようにすると、経編地のニードルループ面においてフロント編糸13が起毛され易くなり、経編地のシンカーループ面においてはバック編糸11及びミドル編糸12が立毛し難くなる。
又、フロント編糸13に極細繊維と共に混用される熱収縮性繊維や、ミドル編糸12やバック編糸11に適宜使用される熱収縮性繊維の収縮は、経編地の編成後の起毛処理前に行う減量処理工程や染色処理工程において顕現させれば良い。
そうすると、ミドル編糸12やバック編糸11の収縮によってフロント編糸13のニードルループ33が膨らみを増してニードルループ面に大きく隆起すると共に、フロント編糸13中の熱収縮性繊維の収縮によって極細繊維のニードルループが更に大きく隆起するので、ニードルループ面が起毛し易くなる。
尚、極細繊維とした浮き出る繊維が、ミドル編糸12に含まれていても構わない。
上述のバック編糸13の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが好ましく、ポリアミドなどの熱可塑性合成繊維でも良い。
又、フロント編糸11、ミドル編糸12の素材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルや、品名:ナイロン6、ナイロン6,6、(共にデュポン株式会社)等のポリアミド、ビニロンなどの熱可塑性合成繊維が好ましく、更に、これらポリエステル、ポリアミド等や、エチレンビニルアルコールなどを混繊させたもの(例えば、品名:ランプ、ソフィスタ、共に株式会社クラレ)や、熱硬化性合成繊維でも良い。
次に、経編地のシンカーループ面の起毛について述べる。
上述したように、シンカーループ面ではフロント編糸13が起毛されており、このために、シンカーループ面に塗布する被覆樹脂10は、バック編糸11に接触することなく、シンカーループ面の最表面側に位置し且つ起毛されて立毛したフロント編糸13のシンカーループ23の起毛毛羽を被覆し、皮膜形成することが可能となる。
尚、被覆樹脂10が、フロント編糸13と共に、ミドル編糸12に接触していても良い。
又、フロント編糸13における低熱収縮繊維13bで構成される起毛毛羽は、フロント編糸13における高熱収縮繊維13aで構成される起毛毛羽より多くなる。
更に、シンカーループ面における起毛具合は、フロント編糸13における少なくとも一部のシンカーループ23が切断される程度であっても良い。
このフロント編糸13のシンカーループ23の切断具合によって、経編地のシンカーループ面における起毛毛羽の立ち具合や起毛量が加減でき、出来上がる人工皮革調布帛の厚みも調整可能となる。
尚、起毛処理によって切断されるフロント編糸13のシンカーループ23は、高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bの両方が含まれるが、実際に立毛するのは、より太い高熱収縮繊維13aの方が多い。
一方、低熱収縮繊維13bは細いため立毛し難く、特に、単繊維繊度0.5d以下の低熱収縮繊維13bは、ほとんど立毛せず、立毛した高熱収縮繊維13aの根元周辺に横たわるウェブ状となるが、このウェブによっても、人工皮革調布帛のクッション性が高まる。
布帛に被覆樹脂10を塗布するには、コーティング等の処方で布帛裏面(シンカーループ面)に塗布すると良い。
布帛表面(ニードルループ面)をコーティング等の処方にて塗布する場合には、布帛表面が被覆樹脂10で覆われて固くなり、又、耐摩擦堅牢度、耐光堅牢度の低下が生じるため、本発明における単繊維繊度が1dtex未満の低収縮繊維を使用するには不向きである。
更に、DIP−NIP等の浸漬処方にて、布帛に被覆樹脂10を塗布(付着)させる場合には、シンカーループ面に起毛毛羽があるため、毛細管現象によって、ニードルループ面側に移動し易い。
尚、ニードルループ面の毛羽よりも太い高熱収縮繊維13aを含んでいる場合には、同様に毛細管現象が働いて、高熱収縮繊維13aには被覆樹脂10が保持されず、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bに保持される為、樹脂がニードルループ表面で皮膜化し、あたかも紙のような風合いになる。
又、シンカーループ面に塗布された被覆樹脂10は、上述したように、フロント編糸13のシンカーループ23に接触していたり、フロント編糸13のシンカーループ23とミドル編糸12のシンカーループ22との両方に接触していても良い(図2のように、経編地のシンカーループ面側からミドル編糸12のシンカーループ22が見えるように露出している場合等)。
従って、フロント編糸13のシンカーループ23やミドル編糸12のシンカーループ22よりもニードルループ側に位置するバック編糸11には被覆樹脂10が接触せず、この樹脂溶液は、ニードルループ側(布帛の表面側)に滲み出すことがない。
よって、布帛の表裏両面に被覆樹脂10を塗布した場合のように全体厚みが過度に薄くなることがなく、人工皮革風の確りしたコシを布帛に持たせながらも、所定のクッション性を確保でき、表面側の樹脂が劣化するなどの不都合が生じない。
尚、シンカーループ面に塗布される被覆樹脂10は、有機溶剤を用いても良いが、環境面から水を溶剤とする水系アクリル樹脂エマルジョンや、水系ウレタン樹脂エマルジョン等が好ましい。
又、樹脂エマルジョンとして、ウレタン樹脂や、シリコーン樹脂等でも構わないが、経済性や、皮膜形成に優れたアクリル樹脂であることが好ましい。このアクリル樹脂が、エマルジョン状態となっているアクリル樹脂エマルジョンであれば更に好ましい。
次に、パイル層について述べる。
パイル層の嵩比重は、パイル層の緻密度を知る手掛りとなるファクタであり、パイル布帛の単位面積から刈り取ったパイル繊維の質量とパイル層の総厚みによって算定される。
しかし、パイル層の総厚み(経編地のシンカーループ面からニードルループ面、つまりパイル表面)が3.0mm、特に1.5mm以下の起毛経編地では、そのパイル層を構成している起毛毛羽の全てを刈り取ることは極めて困難なことである。
そこで、本発明では、パイル密度Mの2倍と、ニードルループ面のパイル層を形成するパイル糸である多針振りのフロント編糸13の総繊度D(dtex)との積(2M×D)で示されるパイル/デシテックス換算密度ρをもってパイル層の嵩比重に代用している。
ここに、パイル/デシテックス換算密度ρとは、パイル布帛の単位面積([25.4mm]2 )に含まれる全ての起毛毛羽(パイル繊維)を太い一本の繊維に集約した場合の当該一本の仮想繊維の繊度、即ち、パイル布帛の単位面積内([25.4mm]2 )に植設されていると仮想することの出来る太い一本の仮想パイル繊維の繊度を意味する。
ところが、本発明では、上記の通り、パイル糸であるフロント編糸13のニードルループ33やシンカーループ23の全繊維が掻き出されているとは言い難い一方、フロント編糸13のニードルループ33やシンカーループ23の全繊維の中の何本かの繊維が掻き出されずに残存するのかを知ることも殆ど不可能である。
そこで、本発明では、フロント編糸13のニードルループ33やシンカーループ23の全繊維が掻き出されていると仮定した上で、フロント編糸13の繊維フィラメントの総本数から算定されるフロント編糸13の繊維フィラメントに構成されるパイル繊維を太い一本の仮想繊維に集約した場合の当該一本の仮想繊維の繊度、即ち、パイル布帛の単位面積内([25.4mm]2 )に植設されていると仮想することの出来る太い一本の仮想パイル繊維の繊度によってパイル/デシテックス換算密度ρを算定している。
そのパイル層の緻密度を知る手掛りであるパイル/デシテックス換算密度ρの算定において、パイル密度Mを2倍とするのは、パイル糸であるフロント編糸13がU字状を成して、ミドル編糸12やバック編糸11によって構成される布帛芯材(ベース編地)に係止され、そのベース編地に係止されてU字状を成すフロント編糸13が沈糸部分(シンカーループ23とニードルループ33、もしくはその中間部分)の両端からそれぞれ1本(合計2本)のパイルが一番(つがい)になって突き出ていることによる。
本発明を効果的に実施する上では、パイル/デシテックス換算密度ρを400000dtex/(25.4mm)2 以上に、好ましくは650000dtex/(25.4mm)2 以上にし、パイル表面に突き出るフロント編糸13の低熱収縮性繊維の単繊維繊度を1dtex以下にすることが望ましい。
[実施例1]
フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成する。
この経編機のフロント筬に、溶解成分の溶解除去によって単糸繊度が0.2dtexの極細繊維に分割される複合繊維(アルカリ割繊フィラメント)72本から成り、総繊度84dtex、熱収縮率5.6%未満である低熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメントと、単繊維繊度2.9dtex、総繊度34dtex、熱収縮率19.5%の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸12本とを混繊した合計繊度118dtexの複合マルチフィラメント糸(118dtex/84F)をフロント編糸13として通し、フロント筬を編組織パターン/1−0/2−3/………の順に操作する。
経編機のミドル筬に、単繊維繊度2.9dtex、総繊度34dtex、熱収縮率19.5%の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸をミドル編糸12として通し、ミドル筬を編組織パターン/1−0/1−2/………の順に操作する。
経編機のバック筬に、単繊維繊度7dtex、総繊度84dtex、熱収縮率20.2%の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸をバック編糸11として通し、バック筬を編組織パターン/1−0/1−2/………の順に操作する。
図1は編成された経編地のシンカーループ面を図示し、図2は編成された経編地のニードルループ面を図示し、Wはウェール方向を、Cはコース方向を示す。
このように3枚の筬を操作して編成した経編布帛を、アルカリ減量処理液(水酸化ナトリウム等)に浸漬してフロント編糸13の中のアルカリ割繊フィラメントの溶解成分を溶解除去し、その各割繊フィラメントを単糸繊度が0.2dtexである6本の極細繊維フィラメントに分割されて、フロント編糸13は、単糸繊度が0.2dtex、総繊度が84dtex、熱収縮率5.6%未満の極細繊維(低熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント)と、単糸繊度が2.9dtex、総繊度34dtex、熱収縮率19.5%の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸とから成る合計繊度118dtexの複合マルチフィラメント糸(118dtex/432F)に変わる。
フロント編糸13を割繊した後、130℃で染色処理を施し、それによって、フロント編糸13中の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸や、ミドル編糸12、バック編糸11中の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸を低熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメントに対して、熱収縮を顕現させる。
そして、経編地のニードルループ面に起毛針布が巻き付けられた起毛ロールで擦る予備起毛処理を施した後、起毛ロールで経編地のシンカーループ面に起毛処理を施し、再び、ニードルループ面を起毛ロールで起毛処理を施した。
ニードルループ面及びシンカーループ面を起毛させた経編地に揉み解し加工を施した後に、本発明の特徴である経編地のシンカーループ面(裏面)に樹脂を塗布する。
シンカーループ面に塗布される樹脂は、アクリル樹脂(品名:ボンコート、DIC株式会社)に難燃剤(トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム)を添加し粘度40000〜60000mPa・Sに調整したアクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、85(g/m2 )である。
このようにして得られた人工皮革調布帛は、ウェール密度46W/25.4mm、コース密度88C/25.4mm、パイル密度4048個/(25.4mm)2 、パイル/デシテックス換算密度680064dtex/(25.4mm)2 であって、総厚み1.1mmで、目付けが502(g/m2 )となっている。
又、起毛処理前にウェール方向に真っ直ぐに並んでいたニードルループ31、32、33の畝状縦筋が消え、ニードルループ面は平滑で嵩高な起毛面となっており、人工皮革調布帛は緻密でボリューム感に富むものとなる。
[実施例2]
実施例2も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例1と同様のフロント編糸13、ミドル編糸12、バック編糸11を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、シンカーループ面(裏面)への樹脂の塗布量は、乾燥状態で、113(g/m2 )であり、総厚み1.3mmとなっている。
[実施例3]
実施例3も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例1と同様のフロント編糸13、ミドル編糸12、バック編糸11を用い、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、シンカーループ面(裏面)への樹脂の塗布等は、実施例1と同様であるが、フロント筬を編組織パターン/1−0/3−4/………の順に操作し、ミドル筬を編組織パターン/1−0/3−4/………の順に操作し、バック筬を編組織パターン/1−0/1−2/………の順に操作し、アクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、94(g/m2 )とする。
これによって、実施例3の人工皮革調布帛は、総厚み1.6mmで、目付けが547(g/m2 )となっている。
尚、実施例3を示す図3には、アクリル樹脂エマルジョンが、布帛裏面であるシンカーループ面において起毛されたフロント編糸13のみに付着していることが開示されている。
つまり、アクリル樹脂エマルジョンは、シンカーループ面におけるフロント編糸13の高熱収縮繊維13aの起毛部分と低熱収縮繊維13bの起毛部分を合わせた部分には付着しているものの、この高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bを合わせた起毛部分よりもニードルループ面に近づく方向には、アクリル樹脂エマルジョンが浸透していない。
これは、実施例3にて用いられたフロント編糸13の高熱収縮繊維13aの単繊維繊度が2.9dtex(つまり、2dtex以上)であることから、染色処理(熱収縮)した後に起毛処理が施されることで高熱収縮繊維13aが立毛し、この立毛した毛羽が、アクリル樹脂エマルジョンの浸透の障害となるためである。
又、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bは、単繊維繊度が0.2dtexであるため、熱収縮後に起毛処理をしても、シンカーループ面において立毛することが出来ないばかりではなく、立毛した高熱収縮繊維13aの根元周辺に密集することで、この密集した低熱収縮繊維13bによってアクリル樹脂エマルジョンが、シンカーループ面のフロント編糸13の高熱収縮繊維13a及び低熱収縮繊維13bに保持され、人工皮革調布帛に適度な固さやコシを持たせることが出来る。
尚、立毛した高熱収縮繊維13aの根元で密集する低熱収縮繊維13bは、フロント編糸13の高熱収縮繊維13aの立毛を支えることとなる。
[実施例4]
実施例4も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、フロント編糸13、ミドル編糸12、バック編糸11を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、シンカーループ面(裏面)への樹脂の塗布等は、実施例3と同様であるが、アクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、127(g/m2 )とする。
これによって、実施例4の人工皮革調布帛は、総厚み1.6mmで、目付けが580(g/m2 )となっている。
[実施例5]
実施例5も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例1と同様のフロント編糸13、バック編糸11を用いるものの、ミドル編糸12として、単繊維繊度2.4dtex、総繊度56dtex、熱収縮率20%の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸を通しているが、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、シンカーループ面(裏面)への樹脂の塗布等は、実施例3と同様である。
又、アクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、131(g/m2 )とする。
これによって、実施例5の人工皮革調布帛は、総厚み2.05mmで、目付けが659(g/m2 )となっている。
尚、実施例5を示す図4でも、アクリル樹脂エマルジョンが、布帛裏面であるシンカーループ面において起毛されたフロント編糸13のみに付着していることが開示されている。
詳解すれば、被覆されたアクリル樹脂エマルジョン(被覆樹脂10)の大部分は、シンカーループ面におけるフロント編糸13の高熱収縮繊維13aの起毛部分に付着しており、高熱収縮繊維13aの起毛部分と低熱収縮繊維13bの起毛部分を合わせた部分には、殆ど付着しておらず、この高熱収縮繊維13aと低熱収縮繊維13bを合わせた起毛部分よりニードルループ面に近づく方向には、当然に、アクリル樹脂エマルジョンは浸透していない。
これは、実施例3と同様に、フロント編糸13の高熱収縮繊維13aの単繊維繊度が2.9dtex(つまり、2dtex以上)であることから、染色処理(熱収縮)した後に起毛処理が施されて高熱収縮繊維13aが立毛し、この立毛した毛羽が障害となって、この毛羽の根元にアクリル樹脂エマルジョン(被覆樹脂10)が到達し難くなる。
更に加えて、フロント編糸13の低熱収縮繊維13bは、単繊維繊度が0.2dtexであるため、熱収縮後に起毛処理が施されても立毛することが出来ないだけでなく、立毛した高熱収縮繊維13aの根元周辺に密集することとなって、フロント編糸13の高熱収縮繊維13aの立毛を支えることとなる。
この高熱収縮繊維13aの立毛を支える低熱収縮繊維13bが、アクリル樹脂エマルジョンを保持することで、布帛に適度なコシを持たせることが可能となる。
そして、シンカーループ面における低熱収縮繊維13bは、シンカーループ面(布帛裏面)に塗布されたアクリル樹脂エマルジョンがニードルループ面側へ浸透することを防ぐと同時に、ニードルループ面(布帛表面)にアクリル樹脂エマルジョンが到達しないため、布帛表面に樹脂を付着させた場合(比較例1)のように、耐光堅牢度が低下することもない。
[実施例6]
実施例6も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、フロント編糸13、ミドル編糸12、バック編糸11を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、シンカーループ面(裏面)への樹脂の塗布等は、実施例5と同様であるが、アクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、78(g/m2 )とする。
これによって、実施例5の人工皮革調布帛は、総厚み2.15mmで、目付けが606(g/m2 )となっている。
尚、実施例1〜6については、表1にて、編成仕様(ウェール密度、コース密度、パイル密度、換算密度)や、バック編糸11(単繊維繊度、総繊度、熱収縮率、バック筬組織)、ミドル編糸12(単繊維繊度、総繊度、熱収縮率、ミドル筬組織)、フロント編糸13(単繊維繊度、総繊度、熱収縮率、フロント筬組織)、被覆樹脂10(処理方法、乾燥状態の塗布量)、布帛総厚み、極細化処理、目付け、剛軟度、定荷重伸び、セット率を示し、更に、実施例5、6については、耐光堅牢度を示す。
ここで、上述した定荷重伸び、セット率について、それらの計測法を以下に述べる。
(定荷重伸びの計測法)
定荷重伸びは、次の手順で測定し算定される。
(1)人工皮革調布帛からコース方向Cの寸法300mm・ウェール方向Wの寸法80mmのサイズのヨコ・定荷重伸び測定用試験片と、コース方向Cの寸法80mm・ウェール方向Wの寸法300mmのサイズのタテ・定荷重伸び測定用試験片を、それぞれ5枚採取する。
(2)縦長の各試験片の長さ方向の中心点から上下にそれぞれ距離50mmの位置に標点を記入する。
(3)縦長の各試験片の長さ方向の両端に掴み幅80mmの治具を取り付け、その治具の重量を含む10kgfの荷重を掛けて各試験片を縦長に吊るして10分間経過時点での上下の標点間の距離を測定する。
(4)10分間経過時点での上下の標点間の距離(単位;mm)と吊るす前の上下の標点間の距離(100mm)との差を、吊るす前の上下の標点間の距離(100mm)で除した値に100を掛けてウェール方向Wのタテ・定荷重伸びとコース方向Cのヨコ・定荷重伸びを算定する。
(5)ヨコ・定荷重伸び測定用とタテ・定荷重伸び測定用の各5枚の定荷重伸び算定値の中の最大値と最小値を除く3枚の試験片の定荷重伸び算定値の平均値をもって、ヨコ・定荷重伸びおよびタテ・定荷重伸びとする。
(セット率の計測法)
又、人工皮革調布帛のセット性は、次の手順で測定し算定されるセット率によって評価される。
(1)人工皮革調布帛からコース方向Cの寸法300mm・ウェール方向Wの寸法80mmのサイズのヨコ・セット率測定用試験片と、コース方向Cの寸法80mm・ウェール方向Wの寸法300mmのサイズのタテ・セット率測定用試験片を、それぞれ5枚採取する。
(2)縦長の各試験片の長さ方向の中心点から上下にそれぞれ距離50mmの位置に標点を記入する。
(3)縦長の各試験片の長さ方向の両端に掴み幅80mmの治具を取り付け、その治具の重量を含む10kgfの荷重を掛けて各試験片を縦長に吊るし、10分間経過時点で除重し、水平なテーブルに放置して10分間経過時点での上下の標点間の距離を測定する。
(4)テーブルに放置して10分間経過時点での上下の標点間の距離(単位;mm)と吊るす前の上下の標点間の距離(100mm)との差を、その吊るす前の上下の標点間の距離(100mm)で除した値に100を掛けてウェール方向Wのタテ・セット率とコース方向Cのヨコ・セット率を算定する。
(5)ヨコ・セット率測定用とタテ・セット率測定用の各5枚のセット率算定値の中の最大値と最小値を除く3枚の試験片のセット率算定値の平均値をもって、ヨコ・セット率およびタテ・セット率とする。
[評価]
実施例1〜6の評価は、測定した各実施例の剛軟度、定荷重伸び、セット率、耐光堅牢度と、人工皮革調布帛として表面(ニードルループ面)や質感等によって判断する。
尚、本発明における剛軟度は、JIS−L−1096:2010(8.21.1 A法(45°カンチレバー法))に従って測定され、剛軟度の目標値は、車両内装材用途の天然皮革(本皮)の剛軟度より、組織の経方向(ウェール方向:表1中では「タテ」と示す)及び緯方向(コース方向:表1中では「ヨコ」と示す)共に、50cm以上110cm以下とする。
これは、天然皮革の剛柔度が67cm以上90cm以下であるためであると共に、50cm未満であれば、コシが柔らか過ぎて天然皮革をイメージできないからである。
又、セット率については、8%以下を目標値とする。セット率が8%を超えると、人工皮革調布帛が伸びたまま戻らなくなってしまうからである。
更に、耐光堅牢度は、JIS−L−7754:1991に準じたキセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機(照射条件:放射露光量40MJ/m2 )を用いて測定され、耐光堅牢度の変色及び退色の目標値は、4級以上とする。
これらの目標値のうち、まず剛軟度について検討する。
剛軟度の目標値と比較して、実施例1は、経方向69cm、緯方向64cmとなっており、天然皮革と同等の剛軟度を有していることがわかる。
又、実施例2は、実施例1と比べ、アクリル樹脂エマルジョンの乾燥状態の塗布量が増えているだけで、各編糸や編組織パターンは実施例1と同様であり、実施例2は、天然皮革に相当する剛軟度を備えていて、剛軟度が経方向76cm、緯方向75cmとなっている。
従って、実施例1と実施例2は、アクリル樹脂エマルジョンの乾燥状態の塗布量に違いがあっても、そのアクリル樹脂エマルジョン(被覆樹脂10)が、バック編糸11に接触することなく経編地のシンカーループ面のみに塗布され、シンカーループ面のフロント編糸13のシンカーループ23の起毛毛羽を被覆していることで、天然皮革と同等の剛軟度を有し、樹脂溶液のニードルループ面側への滲出しも抑えられる。
そして、実施例3と実施例4は、アクリル樹脂エマルジョンの乾燥状態の塗布量が異なるのみであるが、実施例3の剛軟度が経方向72cm、緯方向67cmであり、実施例4の剛軟度は、経方向74cm、緯方向64cmであり、実施例3、4は、何れもが、天然皮革に相当する剛軟度を備えている。
更に、実施例5と実施例6を比べたときも同様で、アクリル樹脂エマルジョンの乾燥状態の塗布量に違いはあるものの、実施例5の剛軟度が経方向95cm、緯方向98cmであり、実施例6の剛軟度は経方向82cm、緯方向83cmである。
つまり、実施例1〜6の全てが、剛軟度の目標値を満たし、天然皮革に相当する剛軟度を有している。
これは、実施例1〜6の人工皮革調布帛のシンカーループ面では、バック編糸11のシンカーループ31が起毛されずに、このバック編糸11よりもシンカーループ面の最表面側に位置するフロント編糸13のシンカーループ23だけが起毛されており、起毛されたフロント編糸13の起毛毛羽によって覆われたバック編糸11には、シンカーループ面側に塗布される被覆樹脂10は接触しない。
従って、布帛裏面のフロント編糸13の起毛毛羽にのみ、アクリル樹脂エマルジョン(被覆樹脂10)が接触することとなり、塗布した樹脂溶液が、ニードルループ面側(布帛の表面側)に滲み出すことがなく、表面側に染み出した樹脂が劣化するなどの不都合が生じず、布帛の表裏両面に樹脂溶液を浸漬や塗布した場合のように全体厚みが過度に薄くなることがないと同時に、人工皮革や天然皮革のようなコシや質感を布帛に持たせながらも、所定のクッション性を確保できる。
更に、本発明に係る人工皮革調布帛のニードルループ面では、バック編糸11のニードルループ31やミドル編糸12のニードルループ32が起毛されず起毛前の跡形を止めており、朱子織物の表面のように平滑で極薄のパイル層が形成され、その跡形を止めるバック編糸11のニードルループ31やミドル編糸12のニードルループ32によってパイル面が細かく仕切られ、パイル繊維の先端が絡み合うことなく、布帛のニードルループ面に樹脂を塗布せずともヌバック調の表面を有する。
又、実施例5、6における変色及び退色の耐光堅牢度は、何れも4.5級であり、目標値を満たしているが、これは、布帛表面には樹脂を塗布していないため、塗布した樹脂によって耐光堅牢度が低くなることがない。
更に加えて、樹脂を塗布していない布帛表面は、手垢などで汚れ易くなる可能性はなく、ディッピングした場合のように布帛の全体厚みが薄くなってクッション性が失われることもなくなり、布帛の表面に塗布しない分だけアクリル樹脂エマルジョン(樹脂溶液)を減量できる。
次に、セット率について検討すると、実施例1〜6の何れもが、表1に示したように、経(タテ)方向及び緯(ヨコ)方向のセット率が5%以下であり、目標値を満たしている。
つまり、実施例1〜6のように、表裏両面で起毛された起毛毛羽をバック編糸11とミドル編糸12から成る布帛芯材で保持することによって、人工皮革調布帛の不必要な伸びを抑えることが出来る。
よって、実施例1〜6の何れもが、天然皮革に相当する剛軟度を備えていると同時に、ヌバック調の布帛表面、耐光堅牢度・防汚性の低下阻止、ディッピングによる薄肉化クッション性喪失の防止、樹脂溶液の減量化、及び、樹脂溶液のニードルループ面側への滲出し抑制を、全て同時に実現できる。
[比較例1]
比較例1は、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、フロント編糸13、ミドル編糸12、バック編糸11を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理は、実施例5、6と同様であるが、ニードルループ面(表面)へアクリル樹脂エマルジョンを塗布し、そのアクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、71(g/m2 )とする。
これによって、比較例1の人工皮革調布帛は、総厚み1.8mmで、目付けが599(g/m2 )となっている。
[比較例2]
比較例2も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、フロント編糸13、ミドル編糸12、バック編糸11を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理は、実施例5、6と同様であるが、経編地をアクリル樹脂エマルジョンにディッピングしており、そのアクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、9.5(g/m2 )である。
これによって、比較例2の人工皮革調布帛は、総厚み1.7mmで、目付けが538(g/m2 )となっている。
[比較例3]
比較例3も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、そして、経編地のアクリル樹脂エマルジョンへのディッピングまでは、実施例5、6と同様であるが、アクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、1.2(g/m2 )としている。
これによって、比較例3の人工皮革調布帛は、総厚み1.7mmで、目付けが529(g/m2 )となっている。
[比較例4]
比較例4も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、そして、経編地のアクリル樹脂エマルジョンへのディッピングまでは、実施例5、6と同様であるが、アクリル樹脂エマルジョンを塗布していない。
これによって、比較例4の人工皮革調布帛は、総厚み1.7mmで、目付けが528(g/m2 )となっている。
ここで、比較例4を示す図5、6は、ニードルループ面及びシンカーループ面のそれぞれで起毛されたフロント編糸13の高熱収縮繊維13aが立毛している様子や、立毛したシンカーループ面側の高熱収縮繊維13aにおける根元周辺に密集したフロント編糸13の低熱収縮繊維13bを開示している。
尚、図6において、シンカーループ面を表面として図の上方に配置し、ニードルループ面を裏面として図の下方に配置しているのは、従来の人造皮革のように、ニードルループ面を裏面として被覆樹脂10を塗布する下記比較例5との対比を、明確にするためである。
[比較例5]
比較例5は、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成しているものの、経編機のフロント筬に、単繊維繊度0.58dtex、総繊度84dtex、熱収縮率4.2%の低熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸をフロント編糸13として通し、フロント筬を編組織パターン/1−0/3−4/………の順に操作する。
尚、比較例5と後述する比較例6は、実施例1〜6や他の比較例とは違って、フロント編糸13が、アルカリ割繊フィラメントではなく、通常のマルチフィラメント糸である。
経編機のミドル筬に、単繊維繊度2.4dtex、総繊度56dtex、熱収縮率7.2%の低熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸をミドル編糸12として通し、ミドル筬を編組織パターン/1−0/2−3/………の順に操作する。
経編機のバック筬に、単繊維繊度2.4dtex、総繊度84dtex、熱収縮率7.1%の低熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸をバック編糸11として通し、バック筬を編組織パターン/1−0/1−2/………の順に操作する。
このように編成した経編布帛は、ウェール密度39W/25.4mm、コース密度78C/25.4mm、パイル密度3042個/(25.4mm)2 、パイル/デシテックス換算密度511056dtex/(25.4mm)2 である。
更に、比較例5は、実施例1〜6、比較例1〜4とは異なり、シンカーループ面のみを起毛させている。
このように片面のみを起毛処理した後、比較例5では、経編地のシンカーループ面(裏面)のみにアクリル樹脂エマルジョンを塗布しており、そのアクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、44(g/m2 )であり、総厚みは1.04mmで、目付けが421(g/m2 )となっている。
又、比較例5を示す図7は、起毛処理が施されていないニードルループ面(裏面)に、アクリル樹脂エマルジョンが塗布され、起毛処理が施されたシンカーループ面において、フロント編糸13の低熱収縮繊維13b(低熱収縮繊維13bの起毛部分)の起毛している様子が、開示されている。
尚、図7においても、シンカーループ面を表面として図の上方に配置し、ニードルループ面を裏面として図の下方に配置している。
[比較例6]
比較例6も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、比較例5と同様のフロント編糸13、ミドル編糸12、バック編糸11を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、シンカーループ面(裏面)への樹脂の塗布等も、比較例5と同じであるが、アクリル樹脂エマルジョンの塗布量は、乾燥状態で、87(g/m2 )とする。
これによって、比較例6の人工皮革調布帛は、総厚み1.04mmで、目付けが464(g/m2 )となっている。
[比較例7]
比較例7は、実施例1〜6や比較例1〜6とは異なり、フロント筬とバック筬との2枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成している。
この経編機のフロント筬には、実施例1と同様に、溶解成分の溶解除去によって単糸繊度が0.2dtexの極細繊維に分割される複合繊維(アルカリ割繊フィラメント)72本から成り、総繊度84dtex、熱収縮率5.6%未満である低熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメントと、単繊維繊度2.9dtex、総繊度34dtex、熱収縮率19.5%の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸12本とを混繊した合計繊度118dtexの複合マルチフィラメント糸(118dtex/84F)をフロント編糸13として通している。
尚、比較例7では、実施例1、2とは異なり、フロント筬を編組織パターン/1−0/3−4/………の順に操作する。
経編機のバック筬に、単繊維繊度5.6dtex、総繊度84dtex、熱収縮率14%の高熱収縮性ポリエステル繊維マルチフィラメント糸をバック編糸11として通し、バック筬を編組織パターン/1−0/1−2/………の順に操作する。
このように編成した経編布帛のウェール密度、コース密度、パイル密度、パイル/デシテックス換算密度や、編成後のアルカリ減量処理、ニードルループ面及びシンカーループ面の起毛処理、シンカーループ面(裏面)のみのアクリル樹脂エマルジョン塗布は、実施例1、2と同様である。
尚、比較例1〜7については、表2にて、編成仕様(ウェール密度、コース密度、パイル密度、換算密度)や、バック編糸11(単繊維繊度、総繊度、熱収縮率、バック筬組織)、ミドル編糸12(単繊維繊度、総繊度、熱収縮率、ミドル筬組織)、フロント編糸13(単繊維繊度、総繊度、熱収縮率、フロント筬組織)、被覆樹脂10(処理方法、乾燥状態の塗布量)、布帛総厚み、極細化処理、目付け、剛軟度、定荷重伸び、セット率を示し、更に、比較例1、2、4については、耐光堅牢度を示す。
[評価]
比較例1〜7の評価も、剛軟度や、セット率、耐光堅牢度、布帛表面の状態、質感等によって判断する。
又、比較例における剛軟度も、JIS−L−1096:2010(8.21.1 A法(45°カンチレバー法))に従って測定し、その目標値は、実施例1〜6と同様に、組織の経方向(ウェール方向:表2中でも「タテ」と示す)及び緯方向(コース方向:表2中でも「ヨコ」と示す)共に、77〜100cmとする。
更に、セット率の目標値は8%以下とし、耐光堅牢度は、実施例と同様に、JIS−L−7754:1991に準じたキセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機(照射条件:放射露光量40MJ/m2 )を用いて測定し、変色及び退色の各目標値を4級以上とする。
比較例1の剛軟度は、経方向68cm、緯方向70cmとなっているものの、布帛表面であるニードルループ面に樹脂がコーティング状に塗布されているため、天然皮革とは一見して異なる表面性状となっており、ヌバック調の表面とは程遠い。
これに加えて、比較例1の耐光堅牢度は、変色については2.5級であり、退色については3級であることから、変色及び退色の何れもが目標値である4級に届かない。
布帛表面には樹脂を塗布していない実施例5、6は、上述したように、耐光堅牢度が変色及び退色ともに4.5級であり、更に、樹脂を全く塗布していない比較例4の場合も、表2で示したように、耐光堅牢度も両方ともに4.5級となり、目標値を満たしていることを鑑みれば、比較例1のように、布帛表面に樹脂を塗布することで、耐光堅牢度の低下を招き、手垢などで汚れ易くなる。
更に、このように樹脂コーティングされた表面を、敢えて、天然皮革のようにするには布帛表面を削らなくてはならず、手間がかかり、生産性が落ちる。
比較例2も、浸漬したアクリル樹脂エマルジョンがニードルループ面側に出て、毛羽立ちが抑えられており、ヌバック調の表面とは成り得ない。
更に、比較例2は、浸漬(ディッピング)されていることから、全体厚みが紙のように薄くなりクッション性が低下していると同時に、比較例2の剛軟度は、経方向49cm、緯方向55cmであって、経方向、緯方向の両方が目標値に届くことはない。
つまり、比較例2では、コシが弱く、天然皮革と比べ、質感・手触りが全く異なる。
これは比較例3も同様で、ディッピングにより、毛羽立ちの抑制、薄肉化、クッション性の低下が起こっており、ニードルループ面もヌバック調の表面とは言えないと共に、比較例3の剛軟度は、経方向39cm、緯方向45cmと非常に低いため、『天然皮革に相当する剛軟度』を得られず、比較例3は車両内装材等の用途には適さない。
比較例4は、全くアクリル樹脂エマルジョンを塗布していないため、ニードルループ面の起毛により、人工皮革調の表面を有することが出来るものの、比較例4の剛軟度は、経方向35cm、緯方向40cmであって、『天然皮革に相当する剛軟度』を得ることが出来ず、比較例4はいかにも布帛であるという質感しかない。
比較例5は、シンカーループ面しか起毛処理されていないことから、人工皮革調の表面を有することが出来ない。又、被覆樹脂10が塗布されているのは、起毛処理をしていないニードルループ面のみであることから、起毛毛羽を樹脂で被覆した状態とはならないため、十分なコシは出ず、剛軟度は経方向37cm、緯方向42cmと低く(つまり、『天然皮革に相当する剛軟度』を得られず)、比較例5は天然皮革のような質感には程遠い。
このような剛軟度の低さ、表面状態や質感の天然皮革との相違は、比較例6についても同様である。
比較例6は、比較例5よりも、樹脂の乾燥状態での塗布量が多いものの、シンカーループ面しか起毛処理されていないことから、当然に、人工皮革調の表面を有することが出来ない。
比較例6の剛軟度も、樹脂の塗布量が増えたにも関わらず、経方向41cmで、緯方向46cmであることから、比較例5とほとんど変わらない(『天然皮革に相当する剛軟度』を得られない)ため、やはり、比較例6は天然皮革のようなコシや質感を持っていない。
比較例7は、人工皮革調の表面を有することが出来るものの、起毛毛羽を保持する布帛芯材が、バック編糸11のみで構成されることとなり、人工皮革調布帛としては、形状安定性に劣る。
この形状安定性の欠如は、比較例7のセット率に出ており、その数値が緯(ヨコ)方向で11%と、目標値の8%を越えることから、比較例7は、緯方向に人工皮革調布帛が伸びたまま戻らなくなってしまう。
尚、実施例1〜6や比較例1〜6のように「3枚筬」にて編成した布帛は、何れもセット率が目標値を越えており、比較例7のように「2枚筬」で編成した布帛と比べて、布帛のセット性が向上する。
従って、比較例1〜7は、何れもが『天然皮革に相当する剛軟度』、『耐光堅牢度・防汚性の低下阻止』、『セット率の維持』、『ヌバック調の布帛表面』、『ディッピングによる薄肉化クッション性喪失の防止』、『樹脂溶液の減量化』、及び、『樹脂溶液のニードルループ面側への滲出し抑制』の全てを同時に実現することは出来なかった。
本発明は、主に人工皮革の代わりとして用いられるものであるが、人工皮革や合成皮革の原布として利用することも可能である。
1 人工皮革調布帛
10 被覆樹脂
11 バック編糸
12 ミドル編糸
13 フロント編糸
13a フロント編糸の高熱収縮繊維
13b フロント編糸の低熱収縮繊維
21 バック編糸のシンカーループ
22 ミドル編糸のシンカーループ
23 フロント編糸のシンカーループ
31 バック編糸のニードルループ
32 ミドル編糸のニードルループ
33 フロント編糸のニードルループ
M 経編地のパイル密度
D フロント編糸の総繊度
ρ パイル/デシテックス換算密度

Claims (10)

  1. 起毛布帛のパイル層に被覆樹脂(10)を塗布して成る人工皮革調布帛において、
    前記起毛布帛が、経編地のシンカーループ面及びニードルループ面を起毛処理して成り、
    前記経編地が、その経編地のニードルループ面側に位置するバック筬と、このバック筬よりも経編地のシンカーループ面側に位置するミドル筬と、このミドル筬よりも経編地のシンカーループ面側に位置するフロント筬との3枚の筬で編成され、
    前記バック筬に通されたバック編糸(11)が1針振りのシンカーループ(21)を形成して編み込まれ、前記ミドル筬に通されたミドル編糸(12)が1針振り又は2針振り以上のシンカーループ(22)を形成して編み込まれ、前記フロント筬に通されたフロント編糸(13)が2針振り以上のシンカーループ(23)を形成して編み込まれ、
    前記フロント編糸(13)のシンカーループ(23)及びニードルループ(33)を、前記起毛処理により起毛して毛羽立たせてパイル層の起毛毛羽が構成され、
    この起毛毛羽が、前記バック編糸(11)とミドル編糸(12)とで構成された布帛芯材によって保持されていて、
    前記被覆樹脂(10)が、前記バック編糸(11)に接触することなく経編地のシンカーループ面のパイル層のみに塗布され、このシンカーループ面のパイル層を構成するフロント編糸(13)のシンカーループ(23)の起毛毛羽を被覆していることを特徴とする人工皮革調布帛。
  2. 前記バック編糸(11)が、ポリエステル繊維によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の人工皮革調布帛。
  3. 前記フロント編糸(13)が、熱収縮率の異なる高熱収縮繊維(13a)と低熱収縮繊維(13b)によって構成されており、
    前記フロント編糸(13)の高熱収縮繊維(13a)の単繊維繊度が2dtex以上であり、
    前記フロント編糸(13)の低熱収縮繊維(13b)の単繊維繊度が1dtex未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工皮革調布帛。
  4. 前記フロント編糸(13)の低熱収縮繊維(13b)の単繊維繊度が、前記ミドル編糸(12)の単繊維繊度より細く、
    前記フロント編糸(13)の総繊度が、前記ミドル編糸(12)の総繊度より太く、
    前記フロント編糸(13)の低熱収縮繊維(13b)の熱収縮率が、前記ミドル編糸(12)の熱収縮率より低いことを特徴とする請求項3に記載の人工皮革調布帛。
  5. 前記フロント編糸(13)の低熱収縮繊維(13b)の単繊維繊度が、前記バック編糸(11)の単繊維繊度より細く、
    前記フロント編糸(13)の総繊度が、前記バック編糸(11)の総繊度より太く、
    前記フロント編糸(13)の低熱収縮繊維(13b)の熱収縮率が、前記バック編糸(11)の熱収縮率より低いことを特徴とする請求項3又は4に記載の人工皮革調布帛。
  6. 前記フロント編糸(13)の低熱収縮繊維(13b)で構成される起毛毛羽が、前記フロント編糸(13)の高熱収縮繊維(13a)で構成される起毛毛羽より多いことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の人工皮革調布帛。
  7. 前記フロント編糸(13)のシンカーループ(23)が、前記ミドル編糸(12)のシンカーループ(22)より振り数が多いことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の人工皮革調布帛。
  8. 前記起毛毛羽を構成するフロント編糸(13)のシンカーループ(23)は、少なくとも一部が切断されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の人工皮革調布帛。
  9. 前記被覆樹脂(10)がアクリル樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の人工皮革調布帛。
  10. 前記経編地のウェール密度(単位:ウェール/25.4mm)とコース密度(単位:コース/25.4mm)との積で表されるパイル密度(M)が2000個/(25.4mm)2 以上であり、
    このパイル密度(M)の2倍とフロント編糸(13)の総繊度(D)(dtex)との積で示されるパイル/デシテックス換算密度(ρ)が400000dtex/(25.4mm)2 以上であり、
    前記経編地の総厚みが3mm以下であり、
    前記ミドル編糸(12)とフロント編糸(13)とが熱可塑性合成繊維マルチフィラメント糸である請求項1〜9の何れか1項に記載の人工皮革調布帛。
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