JP2010007186A - 衣料用布帛および衣料 - Google Patents

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皇二 竹下
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聡 安井
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Abstract

【課題】衣料として着用した際に衣料の振動を軽減することが可能な衣料用布帛および該布帛を用いてなる衣料を提供する。
【解決手段】単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aを含み、かつ該フィラメント糸Aが少なくとも布帛の表裏どちらかの表面に露出しており、かつ布帛の目付けが10〜200g/mの範囲内であることを特徴とする衣料用布帛、および該布帛を用いてなる衣料。
【選択図】なし

Description

本発明は、衣料として着用した際に衣料の振動を軽減することが可能な衣料用布帛および該布帛を用いてなる衣料に関する。
従来、衣料用布帛としては、ポリエステル繊維やナイロン繊維などの合成繊維や、綿やウールなどの天然繊維を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の衣料では、マラソンなどで長時間着用すると皮膚と衣服とがこすれて肌を傷つけたり出血するという問題があった。また、運動時の衣服の振動を抑えるために布帛のストレッチ性を大きくして体を締め付けると、血流が阻害されたり、着用快適性が損われるという問題があった。
なお近年、ナノファイバーと称せられる超極細繊維が提案されている。例えば、ポリエステルなどの合成繊維を超極細繊維化することにより、これまでの繊維では得ることのできなかった質感や機能を付与することが可能となり、さかんに開発が行われている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
特開2005−146485号公報 特開2000−207319号公報 実用新案登録第2567438号公報 特開2000−8252号公報 特開2007−2364号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、衣料として着用した際に衣料の振動を軽減することが可能な衣料用布帛および該布帛を用いてなる衣料を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、単繊維径が1000nm以下の超極細繊維を用いた布帛で構成される衣料を着用すると、衣料が肌に密着して衣服の振動が抑制されることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aを含み、かつ該フィラメント糸Aが少なくとも布帛の表裏どちらかの表面に露出しており、かつ布帛の目付けが10〜200g/mの範囲内であることを特徴とする衣料用布帛。」が提供される。
その際、布帛が編物組織を有することが好ましい。また、前記フィラメント糸Aが露出した布帛表面の摩擦係数が1.0以上であることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aがポリエステルからなることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aのフィラメント数が500本以上であることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条であることが好ましい。また、他の糸として、単繊維径が1000nmより大の弾性繊維糸が布帛に含まれることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、浴衣、作業衣、防護服、手袋、靴下、サポーターからなる群より選択されるいずれかの衣料が提供される。
本発明によれば、衣料として着用した際に衣料の振動を軽減することが可能な衣料用布帛および該布帛を用いてなる衣料が得られる。また、本発明の衣料用布帛および衣料は、肌への刺激が小さいという効果や、放熱量を大きくするという効果も奏する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、フィラメント糸A(以下、「ナノファイバー」と称することもある。)において、その単繊維径(単繊維の直径)が10〜1000nm(好ましくは100〜900nm、特に好ましくは550〜900nm)の範囲内であることが肝要である。かかる単繊維径を単繊維繊度に換算すると、0.000001〜0.01dtexに相当する。該単繊維径が10nmよりも小さい場合は繊維強度が低下するため実用上好ましくない。逆に、該単繊維径が1000nmよりも大きい場合は、布帛表面の摩擦係数が大きくならず、衣料として着用した際に衣料の振動を軽減することができないおそれがあり好ましくない。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。また、単繊維繊度のばらつきが−20%〜+20%の範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸Aにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、衣料の振動軽減効果を得る上で500本以上(より好ましくは2000〜10000本)であることが好ましい。また、フィラメント糸Aの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜150dtexの範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸Aの繊維形態は特に限定されないが、長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
前記フィラメント糸Aを形成するポリマーの種類としては特に限定されないが、ポリエステル系ポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
本発明の布帛は、前記のフィラメント糸Aのみで構成されていてもよいが、布帛重量に対して70重量%以下であれば、他の糸条が1種類または複数種類含まれていてもよい。その際、かかる他の糸条としては、単繊維径が1000nmより大の、前記のようなポリエステルからなるポリエスエテル糸条や弾性繊維糸が好ましい。特に、他の糸条として弾性繊維糸が含まれていると、布帛にストレッチ性が付加され好ましい。
ここで、かかる弾性繊維糸としては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレンオキシドグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる非吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリウレタン弾性繊維糸、ポリトリメチレンテレフタレート糸、合成ゴム系弾性繊維糸、天然ゴム系弾性繊維糸などが好適に例示される。
前記弾性繊維糸の総繊度としては、5〜100dtex(より好ましくは10〜40dtex)の範囲内であることが好ましい。弾性繊維糸の総繊度がこれらの範囲より大きいと、伸縮性が大きすぎて、布帛の風合いを阻害したり、布帛の外観に現れることで布帛品位を悪くするおそれがある。また、これらの範囲より小さいと、糸の摩擦力により伸縮性が損なわれ、伸縮回復力に欠けたり、布帛の耐久性が失われたりするおそれがある。なお、前記弾性繊維糸の破断伸度は400%以上のものが好ましく、染色加工時の熱処理によって性能を損なわないものが好ましい。
本発明の布帛において、前記フィラメント糸Aと弾性繊維糸とが複合糸として含まれていてもよいし、両者が引き揃えられて含まれていてもよいし、両者が交編されていてもよい。なお、布帛には、さらに他の繊維としてポリエステル繊維などが含まれていてもさしつかえない。
本発明の布帛はフィラメント糸Aを含み、かつ該フィラメント糸Aがその布帛表面に露出している。該フィラメント糸Aがその布帛表面に露出することにより、布帛と肌との摩擦が大きくなり、衣料として着用した際に衣料の振動を軽減することが可能となる。ここで、該フィラメント糸Aは少なくとも布帛の表裏どちらか一方の表面に露出しておればよいが表裏の両表面に露出していることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aが露出する布帛表面において、前記フィラメント糸Aのみが露出することが好ましい。
また、本発明の布帛において、布帛の目付けが10〜200g/m(好ましくは50〜150g/m)の範囲内であることが肝要である。該目付けが10g/m未満では、布帛の強度が低下し好ましくない。逆に、該目付けが200g/mよりも大きいと、衣料の振動を軽減することが難しくなるだけでなく、布帛の厚さが厚くなり、通気性や着用快適性が損われるおそれもある。
本発明の布帛は例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、海成分と、その径が10〜1000nmである島成分とで形成される海島型複合繊維(フィラメント糸A用繊維)を用意する。かかる海島型複合繊維としては、特開2007−2364号公報に開示された海島型複合繊維マルチフィラメント(島数100〜1500)が好ましく用いられる。
ここで、海成分ポリマーとしては、繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。また、島成分の径は、10〜1000nmの範囲とする必要がある。その際、該径が真円でない場合は外接円の直径を求める。前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。
かかる海島型複合繊維マルチフィラメント糸は、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用い溶融紡糸する。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。吐出された海島型断面複合繊維マルチフィラメント糸は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。さらに、仮撚捲縮加工を施してもよい。かかる海島型複合繊維マルチフィラメント糸において、単糸繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単糸繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtex(好ましくは30〜100dtex)の範囲内であることが好ましい。ここで、
次いで、総繊度30〜170dtexの海島型複合繊維マルチフィラメント糸を単独で用いるか、必要に応じて単繊維径が1000nmより大の弾性繊維糸など他の糸とともに用いて布帛を得る。その際、布帛は織物組織または編物組織を有することが好ましい。特に編物組織を有していると、通気性およびストレッチ性に優れるため特に好ましい。これらの織物や編物は常法により容易に製編織することができる。その際、最終的に得られる布帛において、フィラメント糸Aがその布帛表面に露出しており、かつ布帛の目付けが10〜200g/mの範囲内となるよう、糸の繊度や織編密度を適宜選定することが肝要である。
ここで、織物組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。また、編物組織としては、緯編物(丸編物)であっても良いし、経編物であってもよい。緯編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が例示され、経編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等などが例示されるがこれらに限定されない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
なお、かかる布帛には前記の海島型複合繊維糸条や弾性糸以外にポリエステル糸条などが含まれていてもよい。
次いで、該布帛にアルカリ水溶液処理を施し、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維フィラメント糸を単繊維径が10〜1000nmのポリエステルマルチフィラメント糸Aとする。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度3〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜65℃の温度で処理するとよい。
また、常法の起毛加工、撥水加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。また、布帛にバッフィング加工またはブラシ処理加工が施すと、ヌメリ感に優れた風合いを呈し好ましい。
かくして得られた布帛には、単繊維径が10〜1000nmの超極細のフィラメント糸Aが含まれ、かつ該フィラメント糸Aがその布帛表面に露出しており、さらには布帛の目付けが特定の範囲内であるので、衣料として着用した際に、衣料が肌に密着し衣料の振動を軽減することが可能となる。ここで、該布帛の表面摩擦係数としては1.0以上であると、肌や他の衣料と該布帛との密着性、摩擦性がよくなり衣服の振動が軽減され、好ましい。ただし、かかる表面摩擦係数は以下の方法により測定するものとする。すなわち、底面積5×8cm、高さ3cm、重量100gの木製ヘッドに試料を取り付けたのち、シリコンゴムを敷いた平滑台にヘッドを乗せ、自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用いて移動速度100mm/minにてヘッドを移動させ、移動距離10mm〜150mmの平均値を計測し、100で割った数値を算出する。
また、本発明の布帛は、単繊維径が10〜1000nmの超極細のフィラメント糸Aが布帛表面に露出しているので、肌への刺激が小さいという効果も奏する。また、超極細繊維特有のヌメリ感のある風合いを呈し、かつ肌への刺激が抑制される。さらには、布帛が肌に密着するので放熱量を大きくすることができるため、マラソンなどで体温が上昇しても体を冷却しやすいという効果を奏する。
次に、本発明の衣料は、前記の布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、浴衣、作業衣、防護服、手袋、靴下、サポーターからなる群より選択されるいずれかの衣料である。なかでもスポーツウエアーとインナーウエアーが好ましい。特にマラソン用ウエアーが好ましい。ここで、前記布帛を用いて衣料を作成する場合には、着用衣服圧が6Kpa以下であることが好ましい。6Kpaより大きい衣服圧であると、着用時の身体を必要以上に締め付けることとなり、血流を阻害したり、着脱がしにくかったり、着用時に不快感を感じるおそれがある。
かかる衣料は前記の布帛を用いているので、着用した際に衣料の振動が抑制され、マラソンなどのスポーツを行った際に、皮膚と衣服とがこすれて肌を傷つけたり出血するという問題が発生しにくい。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<溶融粘度>乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
<溶解速度>海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した
<摩擦係数>
底面積5×8cm、高さ3cm、重量100gの木製ヘッドに試料を取り付けたのち、シリコンゴムを敷いた平滑台にヘッドを乗せ、自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用いて移動速度100mm/minにてヘッドを移動させ、移動距離10mm〜150mmの平均値を計測し、100で割った数値を算出した。
<衣服振動性>
ウエアー表面に加速度計と再帰反射素子を胸、脇、腹部分に取り付け、前記ウエアーを着用してランニングマシンにて時速8kmで走行した時の加速度計の数値および超高速度カメラにて撮影を行い、三次元動作解析装置にて振幅を読み取った。加速度は1歩分の数値を積分換算したものの平均値を算出した。振幅で25mm以下が合格であり、加速度で250以下が合格である。
<衣服圧>
衣服圧測定装置(AMI社製)を使用し、受圧部に直径20mmのエアーパックを使用し、前腕部と胸部にて測定を行い平均値を算出した。
<風合い>
編地表面の風合いを試験者3人が官能評価し、3級:超極細繊維(ナノファイバー)特有の風合いを呈する、2級:普通、1級:超極細繊維特有の風合いを呈さない、の3段階に評価した。
<単繊維径>
編地を電子顕微鏡で写真撮影した後、n数5で単繊維径を測定しその平均値を求めた。
<目付け>
JIS L 1018により目付け(g/m)を測定した。
<皮膚刺激試験>
布帛を温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間以上放置したのち、同環境下で水分蒸散量測定装置(テヴァメーター CK社製)および紅斑測定装置(メグザメーター CK社製)を用いて以下の条件で摩擦前後の水分蒸散量値および紅斑値の差を平均して皮膚刺激性指数とした。水分蒸散量値の差で1.2以下を良好、1.0以下を極めて良好と判断する。また、紅斑値の差で40以下を良好、30以下を極めて良好と判断する。
1)被験者:20代から40代の健常肌の男女10名
2)接圧:3kpa
3)回数:100往復(1往復/秒)
4)測定部位:前腕内側中央部
<放熱量>
布帛を温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間以上放置したのち、30cm×30cmに裁断する。裁断した試料を、温度20℃×65%RHの環境下で発熱体に乗せ、試料表面の温度を一定に保つための消費電力使用量を測定する。これを5回繰り返し、平均放熱量(W)を算出したものを乾燥時のデータとした。また、前記の試料を24時間純水に浸漬したあと、軽く水分を絞った後、上記と同様の測定を行った結果を湿潤時のデータとした。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
次いで、該海島型複合繊維糸条(フィラメント糸A用糸条)だけを用いて46G、30インチの丸編機(福原精機(株)製VXC−3S)にて天竺組織の丸編地を編成した。得られた編地の海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃かつ30分間の高圧染色、親水処理、樹脂加工を施し、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、均一に開繊されていることを確認した。また、該編地の表裏両方の表面には単繊維径が700nmのフィラメント糸Aのみが露出していた。また、該編地は、表1に示すように摩擦係数が大きく、また、衣料の振動が小さく良好であった。
かかる編地を用いてTシャツ(スポーツウエアー)を縫製し、着用したところ、皮膚密着性に優れ、ナノファイバー独特のヌメリ感のあるしっとりとした風合いを持ち、非常に着用快適性に優れていた。
[実施例2]
実施例1で得られた海島型複合繊維糸条(フィラメント糸A用糸条)とポリウレタンモノフィラメント糸(オペロンテックス(株)製、総繊度22dtex/1fil)を使用し、実施例1と同様に丸編地を編成した。得られた編地を90℃にて湿熱処理した後、プレセットとして180℃で乾熱セットを行い、その後、海島型複合糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃かつ30分間の高圧染色を行い、親水処理、樹脂加工を施した後、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、均一に開繊されていることを確認した。また、該編地の表裏両方の表面には単繊維径が700nmのフィラメント糸Aのみが露出していた。該編地は、表1に示すように摩擦係数が大きく、また、衣料の振動が小さく良好であった。また、皮膚刺激性は、水分蒸散量測定(テヴァメーター CK社製)で0.9、紅斑測定(メグザメーター CK社製)で28と、皮膚刺激性が抑制され良好であった。また、放熱量は乾燥時1.4W、湿潤時3.3Wであった。
かかる編地を用いてTシャツ(スポーツウエアー)を縫製した後、着用しマラソンを行ったところ、皮膚密着性に優れ、ナノファイバー独特のヌメリ感のあるしっとりとした風合いを持ち、非常に着用快適性に優れていた。
また、前記編地を用いてスパッツを縫製し、着用したところ、ナノファイバー独特の柔らかくヌメリ感のある風合いを有しており、伸縮性、皮膚追従性が良く、非常に着用快適性に優れていた。
[実施例3]
実施例1で得られた海島型複合繊維糸条(フィラメント糸A用糸条)だけを用いて28G、90インチのトリコット経編機(独カールマイヤー社製KS4SU)を使用し、メッシュ組織の単層トリコット編地を編成し、得られた編地を2.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量後、130℃かつ30分間の高圧染色を行い、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、均一に開繊されていることを確認した。また、該編地の表裏両方の表面には単繊維径が700nmのフィラメント糸Aのみが露出していた。該編地は、表1に示すように摩擦係数が大きく、また、衣料の振動が小さく良好であった。
かかる編地を用いてTシャツ(スポーツウエアー)を縫製し、着用したところ、皮膚密着性に優れ、ナノファイバー独特のピーチタッチ調のしっとりとした風合いを持ち、非常に着用快適性に優れていた。
[比較例1]
ポリエステルフィラメント糸(帝人ファイバー(株)製、総繊度35dtex/72fil、非捲縮)を使用して46G、30インチの丸編機(福原精機(株)製VXC−3S)にて天竺組織の丸編地を編成した。得られた編地は、130℃かつ30分間の高圧染色、親水処理、樹脂加工を施し、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
得られた編地は、表1に示すように摩擦係数が小さく、また、衣料の振動が大きいものであった。
[比較例2]
ポリエステルフィラメント糸(帝人ファイバー(株)製、総繊度35dtex/72fil、非捲縮)とポリウレタンモノフィラメント糸(旭化成せんい(株)製、総繊度33dtex/1fil)を使用し比較例1と同様に丸編地を作成した。
得られた編地は、衣服の振動が小さかったが、着用圧が大きく着用快適性に劣るものであった。また、皮膚刺激性は、水分蒸散量測定(テヴァメーター CK社製)で1.5、紅斑測定(メグザメーター CK社製)で93と、皮膚刺激性が大きく不良であった。また、放熱量は乾燥時0.9W、湿潤時2.2Wと実施例2より低いものであった。
[比較例3]
ポリエステルフィラメント糸(帝人ファイバー(株)製、総繊度35dtex/72fil、非捲縮)を使用して実施例3と同様にメッシュ組織の単層トリコット編地を作成した。
得られた編地は、表1に示すように摩擦係数が小さく、また、衣料の振動が大きいものであった。
[比較例4]
実施例1で得られた海島型複合繊維糸条とポリウレタンモノフィラメント糸(オペロンテックス(株)製、総繊度22dtex/1fil)を使用し、該海島型複合繊維糸条を3本引き揃えたのち、28G、30インチの丸編機(福原精機(株)製XL−3FA)にて天竺組織の丸編地を編成した。得られた編地は実施例1と同様に染色、仕上げセットを行った。
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、均一に開繊されていることを確認した。また、該編地の表裏両方の表面には単繊維径が700nmのフィラメント糸Aのみが露出していた。しかしながら該編地は生地が厚く、風合いは硬く、表1が示すように摩擦係数はやや小さく、また衣料の振動もやや大きいものとなった。
Figure 2010007186
本発明によれば、衣料として着用した際に衣料の振動を軽減することが可能な衣料用布帛および該布帛を用いてなる衣料が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (8)

  1. 単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aを含み、かつ該フィラメント糸Aが少なくとも布帛の表裏どちらかの表面に露出しており、かつ布帛の目付けが10〜200g/mの範囲内であることを特徴とする衣料用布帛。
  2. 布帛が編物組織を有する、請求項1に記載の衣料用布帛。
  3. 前記フィラメント糸Aが露出した布帛表面の摩擦係数が1.0以上である、請求項1または請求項2に記載の衣料用布帛。
  4. 前記フィラメント糸Aがポリエステルからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の衣料用布帛。
  5. 前記フィラメント糸Aのフィラメント数が500本以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の衣料用衣服。
  6. 前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条である、請求項1〜5のいずれかに記載の衣料用布帛。
  7. 他の糸として、単繊維径が1000nmより大の弾性繊維糸が布帛に含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載の衣料用布帛。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、浴衣、作業衣、防護服、手袋、靴下、サポーターからなる群より選択されるいずれかの衣料。
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