JP5692993B2 - 丸編地および衣料 - Google Patents

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本発明は、極細繊維特有の風合いを呈し、かつソフト性およびストレッチ性に優れた丸編地に関する。
従来、丸編地は衣料用途、インナー衣料、スポーツ衣料などの用途で巾広く用いられている。また、丸編地を構成する繊維としては綿繊維などが知られている。
しかしながら、綿繊維で丸編地を構成したものでは、単繊維が太いためチクチク感が残り、風合いの点で十分とはいえなかった。
他方、最近では極細繊維を用いた丸編地が提案されているが、かかる丸編地では極細繊維特有の風合いを呈するものの、ソフト性やストレッチ性が十分ではないという問題があった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開2007−291567号公報 特開2008−248445号公報 特開2000−8252号公報 特開2007−2364号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、極細繊維特有の風合いを呈し、かつソフト性およびストレッチ性に優れた丸編地および衣料を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、極細フィラメント糸と仮撚捲縮加工糸とで丸編地を構成し、極細フィラメント糸を丸編地の表面に露出させると、極細繊維特有の風合いを呈し、かつソフト性およびストレッチ性に優れた丸編地が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aと単繊維径が1000nmよりも大の仮撚捲縮加工糸Bを含む複合糸と、単繊維径が1000nmよりも大の仮撚捲縮加工糸Bとで構成され、かつ前記フィラメント糸Aが少なくとも表裏どちらか一方の表面に露出してなることを特徴とする丸編地。」が提供される。
その際、前記フィラメント糸Aがポリエステルからなることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aのフィラメント数が500本以上であることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条であることが好ましい。また、前記仮撚捲縮加工糸Bの単繊維繊度が1dtex以下であることが好ましい。
本発明の丸編地において、丸編地が2層構造を有し、かつ少なくとも一方の層に前記フィラメント糸Aが40重量%以上含まれることが好ましい。また、丸編地に高圧水処理が施されていることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の丸編地を、前記フィラメント糸Aが露出した表面が肌側になるよう用いてなることを特徴とする衣料が提供される。
本発明によれば、極細繊維特有の風合いを呈し、かつソフト性およびストレッチ性に優れた丸編地および衣料が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、フィラメント糸A(以下、「ナノファイバー」と称することもある。)において、その単繊維径(単繊維の直径)が10〜1000nm(好ましくは100〜900nm、特に好ましくは550〜900nm)の範囲内であることが肝要である。かかる単繊維径を単繊維繊度に換算すると、0.000001〜0.01dtexに相当する。該単繊維径が10nmよりも小さい場合は繊維強度が低下するため実用上好ましくない。逆に、該単繊維径が1000nmよりも大きい場合は、丸編地表面において、極細繊維特有のぬめり感のある風合いが得られないおそれがあり好ましくない。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。また、単繊維繊度のばらつきが−20%〜+20%の範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸Aにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、極細繊維特有のぬめり感のある風合いを得る上で500本以上(より好ましくは2000〜10000本)であることが好ましい。また、フィラメント糸Aの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜150dtexの範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸Aの繊維形態は特に限定されず、長繊維(マルチフィラメント糸)でもよいし、短繊維でもよい。なかでも、極細繊維特有のぬめり感のある風合いを得る上で長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
前記フィラメント糸Aを形成するポリマーの種類としては特に限定されないが、優れた速乾性を得る上でポリエステル系ポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
本発明において、丸編地は前記のフィラメント糸Aと単繊維径が1000nmよりも大(好ましくは単繊維径が1μmより大〜15μm)の仮撚捲縮加工糸Bとで構成される。丸編地に仮撚捲縮加工糸Bが含まれない場合には、丸編地のストレッチ性およびソフト性が得られず好ましくない。
前記仮撚捲縮加工糸Bの総繊度および単繊維繊度としては、総繊度22〜84dtex(より好ましくは33〜66dtex)、単繊維繊度2.0dtex以下(より好ましくは1.0dtex以下、特に好ましくは0.5〜1.0dtex)であることが好ましい。前記仮撚捲縮加工糸の単繊維繊度が2.0dtexを越えると、丸編地のソフト性が得られないおそれがある。
前記仮撚捲縮加工糸Bを形成するポリマーの種類としては特に限定されないが、優れた速乾性を得る上でポリエステル系ポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
また、前記仮撚捲縮加工糸Bにおいて、丸編地のストレッチ性およびソフト性を得る上で、捲縮率が20%以上(より好ましくは20〜40%、より好ましくは25〜35%)であることが好ましい。なお、かかる捲縮率を有する仮撚捲縮加工糸は公知の製造方法(例えば、特開2009−221612号公報に記載された製造方法)により容易に得られる。
本発明の丸編地は、前記のフィラメント糸Aと仮撚捲縮加工糸Bだけで構成されることが好ましいが、丸編地重量に対して70重量%以下であれば、他の糸条が1種類または複数種類含まれていてもよい。その際、かかる他の糸条としては、単繊維径が1000nmより大の、前記のようなポリエステルからなるポリエスエテル糸条や弾性繊維糸が好ましい。特に、他の糸条として弾性繊維糸が含まれていると、丸編地にさらに優れたストレッチ性が付加され好ましい。
ここで、弾性繊維糸としては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレンオキシドグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる非吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリウレタン弾性繊維糸、ポリトリメチレンテレフタレート糸、合成ゴム系弾性繊維糸、天然ゴム系弾性繊維糸などが好適に例示される。
前記弾性繊維糸の総繊度としては、5〜100dtex(より好ましくは10〜40dtex)の範囲内であることが好ましい。なお、前記弾性繊維糸の破断伸度は400%以上のものが好ましく、染色加工時の熱処理によって性能を損なわないものが好ましい。
前記丸編地において、前記フィラメント糸Aと仮撚捲縮加工糸Bとが複合糸として含まれていてもよいし、両者が引き揃えられて含まれていてもよいし、両者が交編されていてもよい。
本発明の丸編地において、前記フィラメント糸Aが少なくとも表裏どちらか一方の表面に露出していることが肝要である。前記フィラメント糸Aが表裏どちらにも露出していない場合は、極細繊維特有のぬめり感のある風合いが得られず好ましくない。
本発明の丸編地は例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、海成分と、その径が10〜1000nmである島成分とで形成される海島型複合繊維(フィラメント糸A用繊維)を用意する。かかる海島型複合繊維としては、特開2007−2364号公報に開示された海島型複合繊維マルチフィラメント(島数100〜1500)が好ましく用いられる。
ここで、海成分ポリマーとしては、繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。また、島成分の径は、10〜1000nmの範囲とする必要がある。その際、該径が真円でない場合は外接円の直径を求める。前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。
かかる海島型複合繊維は、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用い溶融紡糸する。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。吐出された海島型断面複合繊維(マルチフィラメント)は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。さらに、仮撚捲縮加工を施してもよい。かかる海島型複合繊維(フィラメント糸A用マルチフィラメント)において、単糸繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単糸繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtex(好ましくは30〜100dtex)の範囲内であることが好ましい。
一方、前記のような仮撚捲縮加工糸Bを用意する。
次いで、前記海島型複合繊維(フィラメント糸A用マルチフィラメント)と仮撚捲縮加工糸Bだけを用いるか、必要に応じて単繊維径が1000nmより大の弾性繊維糸など他の糸とともに用いて、前記海島型複合繊維(フィラメント糸A用マルチフィラメント)が少なくとも表裏どちらか一方の表面に露出する丸編地を製編する。
その際、使用する丸編機としてはシングルやダブル丸編機など通常の丸編機でよい。また、丸編地の編組織としては、モックロディ、天竺、天竺の編組織で2種の糸条で複合ループを形成したプレーテイング天竺、その際、一方の糸条を弾性繊維糸条としたベア天竺、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が例示される。なお、本発明の丸編地には横編地も含まれる。
特に、最終的に得られる丸編地において、丸編地が2層構造を有し、かつ少なくとも一方の層に前記フィラメント糸Aが40重量%以上(より好ましくは40〜60重量%)含まれ、かつフィラメント糸Aが丸編地の全重量に対して25重量%以上(より好ましくは25〜40重量%)含まれるような編地組織を採用すると、丸編地が極細繊維特有のぬめり感のある風合いを呈し好ましい。
次いで、該丸編地にアルカリ水溶液処理を施し、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維を単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aとする。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度3〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜65℃の温度で処理するとよい。
また、常法の起毛加工、撥水加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。また、丸編地にバッフィング加工またはブラシ処理加工が施すと、ヌメリ感に優れた風合いを呈し好ましい。
特に、高圧水で丸編地を噴射処理することが好ましい。海成分を溶解除去した直後、島成分(フィラメント糸A)同士は凝集密着しているが、前記の噴射処理により、凝集密着した複数のフィラメント糸Aがばらけた状態で存在することになり、極細繊維特有のぬめり感のある風合いが得られやすく好ましい。その際、高圧水の圧力としては、3MPa以上(30kgf/cm以上)、より好ましくは3〜10MPa(30〜100kgf/cm)が好ましく、装置としては、スパンレース用ウオーターニードル装置(噴射孔径は0.2mm以下が好ましい。)や超音波水が好適である。
かくして得られた丸編地において、表裏少なくともどちらかの表面に露出した、単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aにより、極細繊維特有のぬめり感のある風合いを呈し、かつ肌に対しても刺激の小さな風合いが得られる。また同時に、丸編地に含まれる仮撚捲縮加工糸Bによりストレッチ性およびソフト性が得られる。さらには、前記フィラメント糸Aと仮撚捲縮加工糸Bが、ポリエステルなどの疎水性ポリマーからなる場合は速乾性が得られる。
前記丸編地において、丸編地の目付けとしては、ソフト性の点で150g/m以下(より好ましくは130g/m以下、特に好ましくは40〜120g/m)の範囲内であることが好ましい。
また、丸編地の厚さとしては、ソフト性の点で0.30〜0.50mmの範囲内であることが好ましい。
次に、本発明の衣料は、前記の丸編地を、前記フィラメント糸Aが露出した表面が肌側になるよう用いてなる衣料である。かかる衣料は、前記の丸編地を用いているので、極細繊維特有のぬめり感のある風合いを呈し、かつ肌に対しても刺激の小さな風合いを呈する。また同時にストレッチ性およびソフト性も有する。なお、かかる衣料は特に限定されず、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、浴衣、作業衣、防護服などが含まれる。
なお、前記の丸編地は衣料だけでなく、スポーツ用グローブ、経皮吸収剤、人工皮革、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、カーテン、カーシート、サポーター、拭取り用具、美容用具などの繊維製品としても好適に使用される。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットした。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見た。
(2)溶解速度
海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(3)フィラメント糸A(ナノファイバー)のばらけ状態
丸編地を液体窒素に浸漬して固まらせた後カットした後、断面(縦61μm×横80μm、面積4880μm)を電子顕微鏡で10箇所撮影し(倍率1500倍)、100本以上のフィラメント糸Aが凝集密着したフィラメント糸A塊の合計個数をカウントした。合計個数が0個の場合を合格とし、1個以上の場合を不合格とした。
(4)目付
JIS L1096 6.4.2に従って目付測定した。
(5)速乾性
室温20℃、相対湿度65%にコントロールされた人工気象室内にて、丸編地を、1辺15cmの正方形状に裁断し、サンプルを得た。
次いで、前記サンプルをサンプル保持具とともに市販の重量計(電子天秤)に載せ、その時の重量をゼロ点とした。そして、該サンプルに0.6grの水を付与し、該水の重量が0.03gr(初期重量の5%)になるまでの乾燥時間を測定した。なお、前記サンプルをサンプル保持具とともに重量計に載せる際、サンプルを拡布状態となるようにした。
(6)皮膚への刺激性(水分蒸散量変化)
室温20℃、相対湿度50%にコントロールされた人工気象室内にて、1辺が15cmの正方形状に裁断しハンカチを作製した。肌への刺激性の評価として、まず、油分計テヴァメーターTM300(CK社製)を用い、試験者の腕部の水分蒸散量<g/h/m>を事前に計測した。その後、上記ハンカチを50回一定荷重31gr/cm(31.6cN/cm)にて擦り当て、再び水分蒸散量を計測した。そして、下記式にて水分蒸散量変化を算出し、該水分蒸散量変化が1.5g/h/m以下であれば、皮膚への刺激性が小さく合格とした。
水分蒸散量変化<g/h/m>=(擦り当て後の水分蒸散量<g/h/m>)−(擦り当て前の水分蒸散量<g/h/m>)
(7)仮撚捲縮加工糸の捲縮率
仮撚捲縮加工糸サンプルに0.044cN/dtexの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作成した。該カセの一端に、0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの2個の荷重を負荷し、1分間経過後の長さS0(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後0.0177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥し、再び0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さを測定しS1(cm)とした。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さを測定しS2とし、次の算式で捲縮率を算出し、10回の測定値の平均値で表した。
捲縮率(%)=[(S1−S2)/S0]×100
(8)単繊維径
丸編地を電子顕微鏡で写真撮影した後、n数5で単繊維径を測定しその平均値を求めた。
(9)ソフト性
試験者3名が官能評価により「ソフト性に優れる。」「普通である。」「ソフト性に劣る。」の3段階に評価した。
(10)ストレッチ性
試験者3名が官能評価により「ストレッチ性に優れる。」「普通である。」「ストレッチ性に劣る。」の3段階に評価した。
(11)風合い
試験者3名が官能評価により「極細繊維特有のぬめり感のある風合いを有する。」「極細繊維特有のぬめり感のある風合いではない。」の2段階に評価した。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸糸を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。
得られた未延伸糸を、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットし、海島型複合延伸糸(フィラメント糸A用マルチフィラメント)として巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は55dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
次いで、該海島型複合延伸糸とポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸33dtex/12fil(帝人ファイバー(株)製、沸水収縮率35%)とを用いて、インターレース交絡を行い、混繊糸90dtex/22filを得た。
次いで、前述の混繊糸とポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸44dtex/48fil(帝人ファイバー(株)製、捲縮率33%)とを用いて、28ゲージ通常の丸編ダブル機を使用して、2層構造(表:ポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸44dtex48fil/裏:ポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸44dtex48filと前記混繊糸との1:1格子配列)のモックロディ丸編地を編成した。
そして、得られた丸編地を海島型複合延伸糸の海成分を除去しフィラメント糸Aとするために、25g/リットルのNAOH水溶液で、70℃にて30重量%アルカリ減量した後、常法の染色加工を行った。
次いで、この編地に対し、スパンレース用のウオーターニードル装置(噴射孔径:0.1mm、孔ピッチ:1.0mm、孔配列:2列千鳥)にて、水圧60kg/cm、編地の送り速度2m/分、編地の支持メッシュ:50メッシュの条件で高圧水を噴射した。
得られた丸編地(二層構造丸編地)において、目付けは118g/m、速乾性は57分、水分蒸散量変化は0.8g/h/mの値を示し、速乾性に優れ、極めて肌に優しいものであった。また、フィラメント糸Aの単繊維径は700nmであり、ポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸33dtex/12filの単繊維径は16μmであり、ポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸44dtex48filの単繊維径は9〜10μmであった。また、フィラメント糸Aが丸編地全重量に対し29重量%含まれていた。また、裏側表面にのみフィラメント糸Aが露出しており、裏側の層においてフィラメント糸Aが44重量%含まれていた。一方、表側の層にはフィラメント糸Aが含まれてなかった。
該丸編地においてフィラメント糸A同士が凝集密着することなくばらけた状態で存在しており、フィラメント糸A塊の個数は0個であり合格であった。また、極細繊維特有の風合いを呈し、かつソフト性およびストレッチ性に優れたものであった。
次いで、該丸編地を裏側が肌側になるよう用いてTシャツ(スポーツ衣料)を得て着用したところ、極細繊維特有の風合いを呈し、かつソフト性およびストレッチ性に優れたものであった。
[比較例1]
実施例1において、該海島型複合延伸糸およびポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸33dtex/12filおよびポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸44dtex/48filにかえて、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント84dtex/72fil(単繊維径10〜12μm)を用い、アルカリ減量を施さず、また高圧水を噴射しないこと以外はすべて実施例1と同様にして、丸編地を得た。
得られた編物において、目付けは145g/m、速乾性は47分と速乾性には優れていたが、水分蒸散量変化は3.2g/h/mの値を示し、肌への刺激が大きかった(不合格)。また、極細繊維特有の風合いを呈さず、かつソフト性およびストレッチ性に劣るものであった。
本発明によれば、極細繊維特有の風合いを呈し、かつソフト性およびストレッチ性に優れた丸編地および衣料が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (8)

  1. 単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aと単繊維径が1000nmよりも大の仮撚捲縮加工糸Bを含む複合糸と、単繊維径が1000nmよりも大の仮撚捲縮加工糸Bとで構成され、かつ前記フィラメント糸Aが少なくとも表裏どちらか一方の表面に露出してなることを特徴とする丸編地。
  2. 前記フィラメント糸Aがポリエステルからなる、請求項1に記載の丸編地。
  3. 前記フィラメント糸Aのフィラメント数が500本以上である、請求項1または請求項2に記載の丸編地。
  4. 前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条である、請求項1〜3のいずれかに記載の丸編地。
  5. 前記仮撚捲縮加工糸Bの単繊維繊度が1dtex以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の丸編地。
  6. 丸編地が2層構造を有し、かつ少なくとも一方の層に前記フィラメント糸Aが40重量%以上含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載の丸編地。
  7. 丸編地に高圧水処理が施されている、請求項1〜6のいずれかに記載の丸編地。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の丸編地を、前記フィラメント糸Aが露出した表面が肌側になるよう用いてなることを特徴とする衣料。
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