JP2010222252A - ホウ素ドーピングされたダイヤモンド - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、例えば、電子感知器、高出力電子機器等の分野や装飾用途(例えば、磨製ジェムストーン)等に使用することができる、ホウ素濃度が均一に分布しているダイヤモンドを提供することである。
【解決手段】本発明は、CVDにより製造され、ホウ素濃度が均一になっている単結晶ホウ素ドーピングされたダイヤモンド層で、この層は、単一の成長部分から形成されているか;又は、100μmを超える厚さを有しているか;又は、1mmを超える体積を有しているか;又は、そのような特徴の組み合せを有するものである。
【選択図】なし

Description

(発明の背景)
本発明は、ホウ素ドーピングされたダイヤモンドに関し、いっそう詳しく言えば、化学蒸着によって造られるドーピングされたダイヤモンド(以下、CVDダイヤモンドという)に関する。
ダイヤモンドの多種多様な用途であって、そのためには、均一なドーパント濃度と、関連する電子特性及び/又は光学的性質とを有する、かなりの寸法のドーピングされたダイヤモンド層が好都合であると思われる該用途が存在する。細目に渡る用途によって決まるが、この材料は、有害な、電子的若しくは光学活性なトラップ(trap)又は欠陥を実質的に除去する必要がある。
高出力電子機器等の用途では、厚さが50〜1000μmの範囲であり、側面寸法(lateral sizes)が1×1mmから50×50mmまで様々である、バルクの(bulk)自立ダイヤモンドが必要である。競争の激しい市場における実用的な製品にとって、これらの構造のために使用されるダイヤモンドは、バルク材料として成長し、最終デバイスに加工されることが有利である。加えて、ウェーハ規模の加工処理は、いっそう大きい断片を用いて実行可能であり、デバイスの製作コストが低減する。例えば、フィルター、及び吸収電力測定デバイスのような光学的用途にとって、未加工品の寸法と厚さとが大きいことは、デバイスの本質的必要条件である場合がある。このように、厚い層を合成することに対する多種多様な利点が存在する。
ホウ素は、ダイヤモンドにおける唯一の既知ドーパントであり、これは比較的浅いドーパント挙動を十分に特徴付けている。文献に記載されている、潜在的に浅い他のドーパントであって研究中の該ドーパントには、S、P、O、Liが包含されるが、これらは、信頼性のあるバルク・ドーパントとして利用することがまだできない。しばしば、比較的広い面積に渡り;且つ、非常に均質な特性を有する;ドーピングされたダイヤモンドを必要とする、多くの電子機器用途が存在する。しかし、合成している間にホウ素が混入すると、特定の成長部分(growth sector)が非常に敏感な性質となる。多結晶性ダイヤモンドは、ランダムに選定されている諸成長部分を含有しており;また、ホウ素の平均濃度は、粒径より遥かに大きい規模で均一であることがあるが、ホウ素の局所濃度は、粒径と同一の規模で、実質的に次から次と変わる。
ドーパントは、成長後処理によってダイヤモンドの中に入れることも可能である。ダイヤモンドに適用することのできる、現時点で信頼できる唯一の成長後処理は、イオン注入法であり、これによって、積層されたダイヤモンド構造を造る方法が提供されるが、均質なバルク・ドーピングは提供されない。例えば、「p−i」(p型−真性)構造体は、高品質の天然タイプIIaダイヤモンドの中にイオン注入を行うための適切な投与量とエネルギーとを用いることによって造ることができる。残念ながら、イオン注入の条件下では、残存損傷(residual damage)(空格子点及び格子間損傷)が常に創り出される。この損傷はアニーリング処理によって減らすことはできるが、この損傷を完全に取り除くことはできない。該損傷によって、電荷担体の特性が劣化することになる。これは、欠陥散乱とホウ素アクセプタの補償(compensation)とに起因する。
化学蒸着法(CVD)によって、基体上にダイヤモンド等の物質を堆積させるか又は成長させる諸方法は、現在、十分に確立されており、特許明細書及び他の文献において詳細に記述されている。ダイヤモンドが、CVDによって基体上に堆積される場合、その方法は通常、解離して、水素、又は原子形態のハロゲン(例えば、F、Cl);及び、C、又は炭素含有ラジカル;及び、他の反応性種[例えば、CH、CF(式中、xは1〜4であることがある)];を与えることのできるガス混合物を供給する工程を包含する。加えて、酸素含有源が存在することがあり、また、窒素用源及びホウ素用源が存在することもある。多くのプロセスには、諸不活性ガス(例えば、ヘリウム、ネオン又はアルゴン)も存在する。このように、典型的な原料ガス混合物は、炭化水素C(式中、x及びyはそれぞれ1〜10である場合がある)、又は含ハロゲン炭素化合物CHal(式中、x及びzはそれぞれ1〜10である場合があり、yは0〜10である場合がある);並びに、任意的ではあるがCO(式中、xは0.5〜2である場合がある)、O、H及び不活性ガスの1種以上;を含有する。各々のガスは、それの天然の同位体存在比で存在することがあるか、又は、相対同位体存在比は、人為的に制御することができる;例えば、水素は、二重水素又は三重水素として存在することがあり、また、炭素は、12C又は13Cとして存在することがある。原料ガス混合物の解離は、エネルギー源[例えば、マイクロ波、RF(高周波)エネルギー、火炎、熱フィラメント]、又はジェットベース技術によって引き起こされる。また、そのようにして生成した諸反応ガス種は、基体の上に堆積されて、ダイヤモンドを形成する。
CVDによるダイヤモンドは、種々の基体の上で造ることができる。基体の性質と、プロセス化学の内容とによって決まるが、CVDによる多結晶性ダイヤモンド又は単結晶ダイヤモンドを生成することができる。
堆積工程(deposition)の間、該固体中にホウ素を混入させることは、他の多くの潜在的ドーパントの場合に比べてそれほど困難ではない。固体中の[ドーパントのホウ素(B)濃度]対[炭素(C)濃度]の比([B]/[C]:固体)である、ホウ素の混入比は、堆積用ガス中の比([B]/[C]:ガス)と同程度であり、通常、({100}成長部分において)約1である。とは言え、その混入比は、多くの因子によって変わる。CVDによるダイヤモンドを、合成の間、ホウ素でドーピングすることのできる多くの方法がある。マイクロ波プラズマ、熱フィラメント、及びアークジェット技術を用いて、ガス流にジボラン(B)又は他の適切なガスを添加することができ;引き込んだそれらガスは、ボリア(B)を含有するアセトン又はメタノールを通して泡立てることができ;室の中に、又は該プラズマ中に挿入されたホウ素棒の中にホウ素粉末を置くことができる。燃焼フレーム法によって成長させるためには、噴霧器を用いて、ガス流の中に、ホウ酸を含有するメタノールの微細ミストを注入することができる。ダイヤモンド膜はまた、例えば、六方晶系窒化ホウ素で造った基体支持体が、意図的でなく該プラズマによって分解されてしまう場合も、ドーピングされてしまう。
窒素は、合成時のプラズマの中に多くの形態で導入することができる。これらは典型的には、N、NH、空気及びNである。
高純度単結晶(SC)のCVDによるダイヤモンドは、潜在的な高電力電子機器の中で重要な役割を有しているが、もし均質で有利な電子特性を有するCVDによるドーピングされたダイヤモンドを入手することができれば、潜在的用途の数は、実質的に増大するものと思われる。加えて、ホウ素ドーピングされたダイヤモンドの他の諸用途であって、色;ルミネセンス;又は、Bドーピングと関連する他の特性;の均質性が有利である該用途が存在する。
(発明の概要)
本発明の第1の面によると、CVDにより造られた単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層であって、全ホウ素濃度が均一であり、各々の測定点での方位分解能が50μm未満で(好ましくは、各々の測定点での方位分解能が30μm未満で)測定される、大部分の体積の全体に渡る変動が50%未満(好ましくは、20%未満)であり;しかも、次の特徴(i)〜(iii):即ち、
(i) 前記ダイヤモンド層は、単一の成長部分であって、好ましくは、{100}、{113}、{111}及び{110}の部分の1つであり、いっそう好ましくは{100}部分から形成されていること;
(ii) 前記ダイヤモンド層の厚さは、100μmを超えていること、好ましくは、500μmを超えていること;及び、
(iii) 前記ダイヤモンド層の体積は、1mmを超えていること、好ましくは3mmを超えていること、いっそう好ましくは10mmを超えていること、更にいっそう好ましくは30mmを超えていること;
の少なくとも1つを有している、上記ダイヤモンド層が提供される。
本明細書及び特許請求の範囲で使用する字句「大部分の体積(majority volume)」は、ダイヤモンド層の全体積の少なくとも70%、好ましくは85%より大きい、更に好ましくは95%より大きい、を表す。
本発明の、CVDによる単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、ドーパントとして窒素を含有することもある。該ダイヤモンド層は通常、ホウ素濃度の1/5以下の濃度、好ましくは、ホウ素濃度の1/50未満の濃度の窒素濃度しか含有していない。
該ダイヤモンド層は好ましくは、「高い結晶品質」のものである。この文脈では、「高い結晶品質」によって、ドーパントとしてのホウ素原子及び窒素原子;並びに、関連する点欠陥(例えば、空格子点、水素等を包含するもの);が存在することが可能となる。
単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層はまた、該ダイヤモンドの、上記の通りに定義される「大部分の体積」の中に次の諸特徴の1つ以上を有することもある:即ち、
(a)該層は、1×1014原子/cmより大きく1×1020原子/cmより小さい、補償されていないホウ素の濃度、好ましくは、1×1015原子/cmより大きく2×1019原子/cmより小さい、補償されていないホウ素の濃度、いっそう好ましくは、5×1015原子/cmより大きく2×1018原子/cmより小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有していること。
(b)300Kで測定された正孔移動度(μ)が、
8×1015原子/cmを超えていないNに対しては、
μ=G×2.1×1010/(N 0.52
(式1)
8×1015原子/cmより大きいNに対しては、
μ=G×1×1018/N
(式2)
[式中、Nは正孔の濃度(即ち、イオン化したホウ素アクセプタの濃度と同等)であり;μとNの間の関数関係は、電流モデルに基づいており;Gの値は、現在報告されているμの最良値に関する利得(gain)を示し;Gは、1.1より大きい値、好ましくは1.4より大きい値、いっそう好ましくは1.7より大きい値、更にいっそう好ましくは2.0より大きい値を有する]を超えること。
(c)窒素−空格子点(N−V)の中心に関連する、575nm及び637nmにおける発光特徴(luminescent features)は、低いか又は存在しないこと。とりわけ、[575nm及び637nmにおける窒素・空格子点の中心のゼロフォノン線(zero-phonon lines)の積分強度]対[1332cm−1のダイヤモンドラマン線の積分強度]の比は、Arイオンレーザー励起による514nmを用いて77Kで測定したとき、1/50未満、好ましくは1/100未満、いっそう好ましくは1/300未満であること。
(d)300Kで測定されるラマン線幅は、半値全幅(full width at half maximum height;FWHW)が、Arイオン励起による514nmの下で、4cm−1未満、好ましくは3cm−1未満、いっそう好ましくは2.5cm−1未満であること。
(e)以下に記述する方法を用いて、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定される、補償されていないホウ素の濃度が高度に均一であること。とりわけ、前記層から採取される代表試料の全面に渡り、フーリエ変換赤外分光法によって取られる、補償されていないホウ素の諸測定値の度数分布は、それら測定値の90%が、平均の百分率として表して平均の50%未満だけ、好ましくは、30%未満だけ変動するようなものでなければならない。
(f)該固体中の補償されていない置換ホウ素原子の濃度と呼応する、238nmでの均一な束縛励起子発光(BE)であって、下記に記述する方法を用いて、紫外線励起の下、77Kで束縛励起子発光を測定しているもの。とりわけ、該層のいずれかの代表表面;又は、該層から採取される試料;の全面に渡り、この方法によって取られる束縛励起子発光の度数分布は、それら測定値の90%が、平均の百分率として表して、50%未満だけ、好ましくは、30%未満だけ変動するようなものでなければならない。
(g)紫外線励起の下、77Kで測定される強い自由励起子(FE)強度であって、下記に与えられる方法を用いて測定される、高度に均一なもの。とりわけ、該層のいずれかの代表表面;又は、該層から採取される試料;の全面に渡り、この方法によって取られる自由励起子測定値の度数分布は、それら測定値の90%が、平均の百分率として表して、50%未満だけ、好ましくは、30%未満だけ変動するようなものでなければならない。
本発明の、CVDによるダイヤモンドに見られる移動度が大きいことは、意外なことである。キャリヤ濃度が8×1015原子/cmより大きいドメインにおける、キャリヤ(又はイオン化アクセプタ)の濃度による移動度の変動に対する電流モデルは、アクセプタであるホウ素原子が、支配的な散乱機構であり;しかも、それら原子の寄与がそれら原子の存在に対して本質的に固有のものである;という考えに基づいている。結果として、このモデルは、これより大きい値を獲得することはできないことを示唆している。従って対照的に、本明細書に記述される研究結果によると、除去することのできる他の諸因子が以前、文献に記載されているドーピングされたダイヤモンドの移動度を制限してきたという点において、そのモデルは誤っていることが分かる。
本発明の、CVDによる単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、自立することができるか;又は、いっそう大きいダイヤモンド体若しくはダイヤモンド層の層若しくは領域を形成することができる。そのいっそう大きいダイヤモンド層又はダイヤモンド体は、CVD又は他の合成方法によって造られた単結晶ダイヤモンド又は多結晶性ダイヤモンドである場合がある。そのいっそう大きいダイヤモンド層又はダイヤモンド体は、ホウ素、窒素又は他の諸元素でドーピングを行うことができる。
本発明のダイヤモンド層又はダイヤモンド体は、ジェムストーン(gemstone)の形態を取ることがある。
本発明のもう1つの面によると、CVDによる単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層を造る方法が提供される。この方法は、実質的に結晶欠陥のない表面を有するダイヤモンド基体を与える工程と;ホウ素源を含有する原料ガスを与える工程と;前記原料ガスを解離する工程と;実質的に結晶欠陥のない前記表面の上で、ダイヤモンドのホモエピタキシャル(homoepitaxial)成長を行い、そうすることにより、単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層であって、上述のタイプの該ダイヤモンド層を造る工程と;を包含する。ダイヤモンド成長が、実質的に結晶欠陥のないダイヤモンド表面の上で起こることは、本方法にとって不可欠である。
本発明の方法は、制御された窒素を原料ガスに添加して使用する工程を更に包含することがある。原料ガス中の窒素は、成長している単結晶によって創り出される形態を制御する付加的手段を与え、また、窒素の取り込み比は、ホウ素の取り込み比よりも実質的に小さい。分子窒素として計算して、0.5ppmより大きく10000ppm未満の範囲、好ましくは、1ppmより大きく1000ppm未満の範囲、更に好ましくは、3ppmより大きく200ppm未満の範囲で窒素を添加しても、ホウ素ドーピングされた層の電子特性にあまり悪影響を及ぼさない。なぜなら、該ドーピングされた材料は、散乱中心として存在するホウ素を有しているが、{100}成長部分の寸法を拡張し、且つ、競合する諸成長部分(例えば、{111})の寸法を減少させるからである。このことは、{100}プレート上での成長では、窒素を添加することによって、{100}成長部分を実質的に残存させる成長が可能になることを意味している。該形態を変性するために窒素を使用する段階と、ホウ素が均一にドーピングされた層を成長させる段階とは分離することができるか又は連続して行うことができることを、当業者は理解するであろう。
従って、本発明の、ホウ素が均一にドーピングされた層によって、例えば、電子感知器、高出力電子機器等の分野における広範囲に渡る用途が可能となる。加えて、色;ルミネセンス;又は、均一なホウ素ドーピングに関連する他の諸特性;の均一性が好都合である他の諸用途が存在する。例えば、切り刃(cutting blade)等の幾つかの用途において、ホウ素は、ダイヤモンドを着色するのに用いることができ、従って、視覚制御(visual control)を改善し;また、色の均一性は、品質を表す因子として理解することができる。もう1つの方法として、該ダイヤモンドは、装飾用途(例えば、磨製ジェムストーン)に使用することができる。装飾用途においてもまた、色の均一性は通常、品質因子として理解される。
上述の種々の用途のために、該ダイヤモンド層若しくは該ダイヤモンド体は、それ自体で使用することができるか;又は、それは、例えば、カッティングによって切り離して、2つ以上の、通常は多数のいっそう小さい断片若しくは素子であって上述の諸用途の1つ以上の中に使い道が見出だされると思われる該断片若しくは該素子を造ることができる。該断片又は該素子の形状及び寸法は、用途によって決定されるであろう。
(発明の詳細な記述)
本発明の、CVDにより造られた単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、上述の特徴に加えて、該ダイヤモンド層の、上記に定義される「大部分の体積」の中に次の諸特徴の1つ以上を有することがある:
(1)いずれかの単一不純物(Si、P、S、Ni、Co、Al、Mn、Fe)の濃度が1ppm以下であって、これら不純物の全含有量が5ppm以下であること。B及びN以外の、これら不純物のいずれの濃度も0.05〜0.5ppm以下であり、且つ、これら不純物の全含有量が0.5〜2ppm以下であるのが好ましい。
(2)575nmのバンドでのカソードルミネセンス(CL)発光信号が低いか又は存在しないこと;及び、Arイオンレーザー励起(公称300mWの入射線)による514nmを用いて77Kで測定される、関連する光ルミネセンス(PL)線が、1332cm−1でのダイヤモンドのラマンピークの積分ピーク面積の1/50未満、好ましくは1/100未満、いっそう好ましくは1/300未満の積分ピーク面積を有すること。
(3)電子スピン常磁性共鳴(EPR)による、中性の単一置換型窒素中心(neutral single substitutional nitrogen centre)[N−C]が、40ppb未満、より典型的には、10ppb未満の濃度であること。
(4)電子スピン常磁性共鳴(EPR)によるスピン密度が、g=2.0028で1×1017cm−3未満、より典型的には、5×1016cm−3未満であること。単結晶ダイヤモンドに関し、g=2.0028におけるこの線は、格子欠陥濃度に関係しており;また、天然タイプIIaダイヤモンド、押込み(indentation)によって可塑的に変形したCVDによるダイヤモンド、及び品質の悪いホモエピタキシャル(homoepitaxial)ダイヤモンドでは典型的には大きい。
(5)優れた光学特性が、タイプIIbダイヤモンドの理論的最大値に近い、紫外線/可視赤外線の透明度を有していること。いっそう詳しく言えば、紫外線の270nmでの単一の置換窒素吸収が低いか又は存在せず、また、赤外線のスペクトル範囲2500〜3100cm−1におけるC−H伸縮バンドが低いか又は存在しないこと。半導体のホウ素ドーピングされたダイヤモンドの吸収スペクトルは、近赤外スペクトル領域の約370meVで始まり、約2.2eVまでの可視領域の中に伸びている連続吸収(continuum absorption)によって特徴付けられている。この吸収は、独特の青色[約5×1015cm−3の濃度に対する薄青(pale blue)、及び約5×1019cm−3に対する非常に暗い青ないし黒(very dark blue to black)]の原因となる。連続閾値(continuum threshold)以下のエネルギーの304、348及び363meVに3本の顕著なバンドが観察され、これは、高分解能を用いて低温で測定すれば、かなりの量の微細構造体を示す
(6)X線トポグラフは、当初の基体の<100>エッジが成長して、<110>エッジになる成長に関連する特徴を示すこと。
潜在的補償性の(potentially compensating)窒素の濃度は、ホウ素の濃度よりも実質的に小さいので、補償されていないホウ素の分布の均一性は通常、全ホウ素濃度の均一性を示す。加えて、電子特性は主として、全ホウ素濃度よりも、補償されていないホウ素の濃度によって決まる。このように、補償されていないホウ素の均一性は、重要なパラメータである。
補償されていないホウ素を含有するダイヤモンドは、1282cm−1(159meV)で最大となる、独特の1重フォノン(one-phonon)吸収特徴を示す。
補償されていないホウ素の濃度と、1282cm−1における吸収係数に対するこのバンドの寄与率との間には直線関係があることが分かった。ホウ素の濃度(ppm)は、室温で測定を行った場合、1.2×(1282cm−1での吸収係数)となる。
補償されていないホウ素を含有するダイヤモンドはまた、2457cm−1(304.5meV)において、固有の2重フォノン(two-phonon)吸収を減じることによって現わすことのできる独特の吸収を示す。1282cm−1での特徴があまりにも弱くて、用いることができない場合、補償されていないホウ素の濃度は、関係式:
[補償されていないBの濃度(ppm)]=0.00142
×[2457cm−1での積分吸収係数(meV・cm−1)]
を用いて、2457cm−1のバンドの積分吸収係数から導くことができる。
長方形の面を持ったダイヤモンド試料の中の、補償されていないホウ素の濃度の均一性に関するバルク測定は、次の方法によりFTIR(フーリエ変換赤外分光法)吸収分光分析法を用いて行うことができる。試料全体の全面に渡る赤外線吸収特性の代表マップであって、最小限の20データポイントを含む該マップは、0.5cm−1の分解能と、0.5mmの開口寸法(aperture size)とを使用して、室温でFTIRスペクトルを収集することによって作り上げる。次いで、上記諸関係の1つは、取った平均測定値に基づいて選定し、各々の位置の、補償されていないホウ素の濃度を導くのに用いる。次いで、その均一性は、決定される偏差に対する限界よりも、諸測定値の、平均から離れている百分率を決定して、取った諸濃度測定値の度数プロット(frequency plot)から判断する。
高品質のホウ素ドーピングされたダイヤモンドの(77Kで記録される)紫外線カソードルミネセンススペクトルは、5.22eV(237.5nm)での強いホウ素束縛励起子発光と、5.27eV(235.2nm)での自由励起子発光とを示す。約1ppm以下のホウ素濃度を有する高品質ダイヤモンドについては、77Kで測定される、これら2つの発光の積分強度と、補償されていないホウ素の濃度の間には、近似的比例関係が存在する。これは、関係式:
[補償されていないB(ppm)]=1.86
×I(Bの束縛励起子強度)/I(自由励起子強度)
によって与えられる。
ホウ素の濃度の広範囲に渡る、試料の端から端までの種々の位置でのこの比の測定は、ダイヤモンドの表面近辺領域における特性の均一性を評価するのに用いることができる。この試料は、金の薄くて(5nm)均一な層で被覆して、充電効果(charging effects)を防ぎ、77Kで走査電子顕微鏡に載せ;次いで、MonoCL装置を使用して、15kVの加速電圧、0.2μAの電流、及び10μm×10μm未満のスポットサイズを用いて、紫外線カソードルミネセンススペクトルを収集する。
試料の紫外線カソードルミネセンス特性は、適用される領域によって決まる500μm又は1mmの間隔を置いて、2組の諸垂線で造られたグリッドの諸交点によって規定される位置のスペクトルを収集することによって、また、少なくとも30ポイントでデータを獲得することによって、マッピングを行うことができる。次いで、均一性は、取られる濃度測定値の度数プロットから判断して;平均値の百分率として表現される、それら測定値の90%の分布の全体幅を評価する。この手順は、束縛励起子及び自由励起子の発光の実測強度と、それら2つの強度の計算比とに適用した。
束縛励起子発光を消滅させる捕獲欠陥(trapping defects)に著しい変動が存在する場合、これら捕獲欠陥は、束縛励起子発光が如何なる場合でもそれら捕獲欠陥によって全体的に消滅しない限り、束縛励起子発光中に観察される変動を増大させる。
強い自由励起子が存在することは、欠陥(例えば、転位及び不純物)が実質的に存在しないことを示す。欠陥及び不純物の密度が低いことと、自由励起子発光との間の関連は、多結晶質CVDダイヤモンド合成における個々の結晶に関して、以前、報告された。自由励起子発光は最終的には、いっそう大きい(典型的には、固体中で20〜25ppmより大きい)ホウ素濃度では、転位等の結晶欠陥によるのではなく、ホウ素の大きい点欠陥密度によって消滅する。自由励起子発光の均一性は、局所に高密度の欠陥が存在しないことの優れた尺度である。
SIMS分析は典型的には、10kVの一次電圧と、典型的には1μAのビーム電流と、50μm未満の空間分解能とを備えたO 一次ビームを用いて行った。マッピングは典型的には、分析ポイントを、該層の表面全体に渡り0.5mm又は1mmのピッチに並べて、各々の面から典型的には少なくとも20ポイント、より好ましくは、少なくとも20ポイントを獲得することによって仕上げた。較正は、インプラント基準と比べて行った。SIMSからのデータは、データセットの平均を見出し;次いで、該データセットの種々の%分画のために、該平均の百分率として表現されるデータの全範囲を見出し;また、層の2つの向かい合う主要表面は、体積を特性付けるために、ほぼ同等の重み(weighting)を与える;ことによって分析を行った。SIMSの再現性は典型的には、諸条件によって決まるがほぼ3〜5%の程度であり、検出限界は約2〜5×1014原子/cmである。
材料の体積であると見なすために、典型的には2つの向かい合う表面を、SIMS及びBE/FEのマッピングと、赤外線吸収による貫通厚さ試料(through thickness sample)とによって特徴付けた。
測定技術(BE、FE及び補償されていないホウ素の濃度を求めるための走査電子顕微鏡分析、並びに、全ホウ素濃度を求めるためのSIMS分析)の分解能は、ダイヤモンドにおいて観察することのできるホウ素濃度の変動(variations)の種類と関係がある。例えば、100μmの典型的な粒径を有する多結晶性ダイヤモンドにおいて、該試料の端から端まで走査される1mmの分析スポットは、平均化されることがあり、従って、個々の粒子又は成長部分(growth sectors)の間に見出だされる、B濃度の実質的な変動が観察されない。50μmの以下の分解能を用いて、20個以上のデータポイントから成る試料を採用することによって、そのような小規模の変動が存在しないことを実証することが可能となる。
本発明の、均一にホウ素がドーピングされた、CVDによるダイヤモンドの単結晶層該単結晶層を製造するためには、結晶欠陥が実質的に存在しないダイヤモンド表面の上に成長が起こることが重要である。このような文脈において、「欠陥(defects)」は主として、転位及びミクロ割れ(micro cracks)を意味するが、双晶境界(twin boundaries);点欠陥;小角粒界(low angle boundaries);及び、結晶構造に関する他のあらゆる崩壊;をも包含する。基体は、低複屈折タイプのIa天然材料;Ib若しくはIIaの高圧/高温合成ダイヤモンド;又は、CVDにより合成された単結晶ダイヤモンド;であるのが好ましい。欠陥は、二様で:即ち、電子特性(例えば、正孔移動度)に悪影響を及ぼすこと、及び、ホウ素の局所取り込みに影響を及ぼすことで、該材料の品位を落とすことがある。基体内部の転位と成長の初期段階とを制御することは、とりわけ重要である。なぜなら、厚い層が成長する間、転位の増加が生じるからである。
欠陥密度は、それら欠陥を露呈するのに最適化されたプラズマ又は化学的エッチング(露呈用プラズマエッチングという)を使用した(例えば、以下に述べるタイプの簡易プラズマエッチングを使用した)後の光学的評価によって、最も容易に特徴付けられる。2種類の欠陥を露呈させることができる:
1)基体材料の品質に固有の欠陥。選定した天然ダイヤモンドにおける、これら欠陥の密度は、50/mm程の低さであることがあり、いっそう典型的な値は10/mmであり、その他、10/mm以上であることもある。
2)ポリシングから生じる欠陥であって、研磨線に沿ってチャター・トラック(chatter tracks)[クラター・トラック(clatter tracks)として知られているかも知れない]を形成する微小割れ(microcracks)及び転位構造体。これらの密度は、試料の全面に渡ってかなり変化することがあり、典型的な値は、約10/mmから、磨きが不十分な領域又は試料の10/mm以上までの範囲に及ぶ。
欠陥の好ましい低密度は、欠陥に関連のある、上述のような表面のエッチング特徴の密度が5×10/mm以下であり、より好ましくは10/mmであるようなものである。
このように、CVDによる成長が起きている基体表面における及び該基体表面の下における欠陥レベルは、該基体を慎重に調製することによって最小限に抑えることができる。調製下において、ここに包含されるのは、(天然ダイヤモンドの場合)鉱山から採掘された材料;又は、(合成材料の場合)合成による材料;に適用される、あらゆるプロセスである。なぜなら、基体としての調製が完了する時、最終的に基体表面となる平面において、各々の段階が、該材料内部の欠陥密度に影響を及ぼすことがあるからである。特定の処理工程には、従来のダイヤモンドプロセス[例えば、(この用途において、欠陥レベルが低くなるようにとりわけ最適化されている)機械的のこ引き(sawing)、ラッピング及びポリシング];並びに、あまり一般には行われていない技術[例えば、レーザー加工又はイオン注入、及びリフトオフ(lift off)技術、化学的/機械的ポリシング、及び液状化学品処理とプラズマ化学処理の両方の技術];が包含されることがある。加えて、表面R[触針粗面計(stylus profilometer)によって測定され、好ましくは長さ0.08mmに渡って測定される、平面からの表面プロファイル(surface profile)の二乗平均平方根偏差]は、最小限に抑えるべきであり、いずれかのプラズマエッチングを行う前の典型的な値は、数nm(即ち、10nm未満)に過ぎない。
基体の表面損傷を最小限に抑える1つの特殊な方法は、ダイヤモンドのホモエピタキシャル成長が起こる予定の表面の上でのインサイチュー(in situ)プラズマエッチングを含めることである。原理的に、このエッチングは、インサイチューである必要はなく、また、成長プロセスの直前である必要もないが、最大の利点は、該エッチングがインサイチューであるときに達成される。なぜなら、これによって、更なる物理的損傷又は化学的汚染のあらゆる危険性が回避されるからである。成長プロセスもプラズマベースである場合、インサイチュー・エッチングは通常、最も好都合でもある。該プラズマエッチングは、堆積プロセス又はダイヤモンド成長プロセスに類似する条件を用いることができるが、如何なる炭素含有原料ガスも存在させず、エッチング速度をいっそうよく制御するために、通常、僅かに低い温度で行う。例えば、該プラズマエッチングは、次の1つ以上から成ることがある:
(i) 大部分は水素を使用し、任意的に少量のArと、必要な少量のOとを使用する酸素エッチング。典型的な酸素エッチングの条件は、圧力が50〜450×10Paであり;エッチングガスが、1〜4体積%の酸素含量と、0〜30体積%のアルゴン含量と、残量の水素とを含有し;基体の温度が600〜1100℃(いっそう典型的には、800℃)であり;典型的な時間が3〜60分である。
(ii) (i)に類似するが、酸素が存在しない水素エッチング。
(iii) 単にアルゴン、水素及び酸素のみに基づかない、該エッチングの代わりの方法、例えば、ハロゲン、他の不活性ガス又は窒素を利用する方法を使用することができる。
該エッチングは典型的には、酸素エッチングと、後続の水素エッチングとから成り;次いで、炭素原料ガスを導入することによって、直ちに合成に移行する。加工処理により残留している表面損傷を除去することができるように;また、著しく粗い面を形成することなく、且つ、伸びている欠陥(例えば、表面を横切って二分し、このようにして深いピット(pits)を生じさせる転位等)に沿って広範囲に渡るエッチングがされないように、あらゆる表面汚染物を除去することができるように;該エッチングの時間/温度を選定する。該エッチングは侵略的(aggressive)であるので、この段階では、室の設計、及び室の構成要素のための材料の選定は、材料がプラズマによってガス相の中に又は基体表面まで全く移動しないようなものであることがとりわけ重要である。酸素エッチングに続く水素エッチングは、結晶欠陥に対してあまり特異的ではなく;そのような欠陥を侵略的に攻撃する酸素エッチングによって生じる輪郭に丸みをつけ;また、後続の成長にとっていっそう滑らかでいっそう優れた表面を与える。
CVDによるダイヤモンド成長が起こるダイヤモンド基体の1つ以上の表面は、{100}、{110}、{113}又は{111}の表面であるのが好ましい。実際の試料表面の配向性は、諸加工処理束縛(processing constraints)によって、これらの理想的配向性と5以下、場合によっては10以下異なることがある。とは言え、それは再現性に悪影響を及ぼすので、これはあまり望ましくない。
本発明の方法では、CVD成長が起こる環境の不純物含量を適切に制御することも重要である。いっそう詳しく言えば、ダイヤモンド成長は、汚染物質を実質的に全く含有せず、意図的に添加したホウ素(及び使用される場合は窒素)の濃度が適切に制御されている雰囲気の存在下で起こらなければならない。ホウ素及び窒素のドーパント濃度にとって必要な制御の程度は、用途によって決まるが、典型的には、20%よりも良好に、また、いっそう典型的には10%よりも良好に、また、更にいっそう典型的には3%よりも良好に安定である必要がある。そのような制御は、原料ガス中の窒素不純物を慎重に制御する必要がある。なぜなら、窒素は一般的汚染物質であるからである。この程度の制御を達成するために、窒素を慎重に添加する前の、原料ガス中の窒素濃度は通常、ガス相中、(全ガス体積のモル分率として)500ppb未満に、また、好ましくは300ppb未満に、また、更に好ましくは100ppb未満に維持する。ガス相中の、100ppb程の低い濃度の窒素(又はホウ素)の絶対濃度及び相対濃度の測定は、高機能モニタリング装置、例えば、クロマトグラフィーによって達成することができるようなものが必要である。次に、そのような方法の例を記述する:
標準的なガスクロマトグラフィー(GC)の技術は、狭い内腔試料ライン(narrow bore sample line)を用いて、関心ある地点からガス試料の流れを抽出し;最大流速及び最小の死容積(dead volume;死空間)のために最適化し;次いで、通過させて廃棄する前にGC試料コイルを通過させる;ことから成る。GCの試料コイルは、一定の既知容積(典型的には、標準大気圧注入で1cm)で巻き付けられた管区画であって、該試料ライン中のそれの位置から、ガスクロマトグラフィの諸カラムの中に供給しているキャリヤガス(高純度He)ラインに切り換えることのできる該管区画である。これによって、既知容積のガス試料が、該カラムの中に入るガス流れの中に置かれる;当該技術において、この操作は、試料注入と呼ばれている。
注入済み試料は、(単純な無機ガスを分離するのに最適化されている分子篩が充填されている)第1のGCカラムを通って、キャリヤガスによって運搬され、次いで、部分的に分離される。しかし、高濃度の主要ガス(例えば、H、Ar)はカラム飽和を引き起こし、それによって、例えば窒素を完全に分離することが困難となる。次いで、第1のカラムからの流出物の関連区画は、第2のカラムの供給物の中に切り換えられ、それによって、他の諸ガスの大部分が第2のカラムの中に通過するのが回避され、カラム飽和が回避されて、目標ガス(N)を完全に分離することが可能となる。この操作は、「ハート・カッティング」と呼ばれる。
第2のカラムの出力流れは、放電イオン化検出器(DID)を通過させる。この検出器によって、試料が存在することにより生じる、キャリヤガスを通過する漏れ電流の増加が検出される。化学的同一性は、諸標準ガス混合物から較正されるガス滞留時間によって決定される。DIDの応答は、5桁以上の大きさに渡って直線的であり;典型的には、10〜100ppmの範囲の特別に調製した諸ガス混合物であって、重量分析によって造られ、次いで、供給者によって証明される該ガス混合物を用いることによって較正する。放電イオン化検出器の直線性は、慎重に希釈実験を行うことによって確認することができる。
この既知技術のガスクロマトグラフィーは、この用途のために次のように、更に改造を行い発展させた:この際、分析されている諸プロセスは、典型的には50〜500×10Paで操作されている。通常のGC操作では、大気圧を超える過剰圧力の原料ガスを使用して、試料ラインを通過するガスを追い出す。この際、試料は、該ラインの廃棄物産出段階に真空ポンプを取り付けることによって追い出され、該試料は大気圧未満で引かれて通っていく。しかし、該ガスが流れている間、ラインインピーダンスによって、該ライン中に著しい圧力降下が生じることがあり、較正(calibration)及び感度に影響が及ぶ。結果として、試料コイルの圧力が安定して圧力ゲージによって測定することができるように、試料を注入する前、短時間の間閉じる弁を、試料コイルと真空ポンプの間に配置する。十分な質量の試料ガスを確実に注入するために、試料コイルの容積は、約5cmに拡張する。試料ラインの設計によって決まるが、この技術は、約70×10Paの圧力まで下げて有効に操作することができる。GCの較正は、注入する試料の質量によって決まり、最大の精度は、分析中の源から入手することのできる圧力と同一の試料圧を用いて、GCを較正することによって得られる。測定値が正しいことを保証するためには、非常に高度の真空基準(standards of vacuum)と、ガス取り扱い操作とを監視しなければならない。
試料採取を行う地点は、引き込みガスを特徴付ける合成室の上流;その室の環境を特徴付ける該室の内部;又は、該室の下流;である場合がある。
B(ホウ素)は典型的には、制御を簡素化するために、HにBを通常100ppm入れた調整済み源を使用して、Bとして該プロセスに添加し;また、同様に、窒素は、制御を簡素化するために、HにNを通常100ppm入れた調整済み源を使用して、Nとして該プロセスに添加した。BとNの両方の添加は、ppmとして表し、Bについては、[B]/[全ガス](式中、[B]はBのモル数を表し、また、[全ガス]は、存在する全ガスのモル数を表す)として計算し、また、Nについては、[N]/[全ガス]として計算する。
合成プロセスで使用するガス混合物は、当該技術で知られているいずれのガスをも含有することがあり、また、生成性ラジカル(producing radicals)又は他の反応種を解離する炭素含有物質を含有する。該ガス混合物は通常、水素、又は原子形態のハロゲンを与えるのに適したガスをも含有する。
原料ガスの解離は、当該技術において知られている反応器例の中で、マイクロ波エネルギーを用いて行うのが好ましい。しかし、反応器からの如何なる不純物の移動も、最小限に抑えることが望ましい。ダイヤモンドの成長が起こる予定の基体表面と、該基体のマウントと、基体キャリヤとを除く全ての表面から、プラズマを確実に引き離すために、マイクロ波装置を使用することができる。好ましいマウント材料の例は、モリブデン、タングステン、ケイ素、及び炭化ケイ素である。好ましい反応器室材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、金、白金である。
高マイクロ波力(25〜300mmの直径の基体キャリヤに対しては、典型的には、1〜60kW)と、高ガス圧(50〜500×10Paであり、好ましくは100〜450×10Pa)とから生じる、プラズマの高電力密度を使用するのが望ましい。
上記の条件を用いて、CVDによる、厚くて高品質のホウ素ドーピングされた単結晶ダイヤモンド層であって、著しく高い移動度の電荷担体を有し;且つ、商品として適した、均一で大きい体積の製品のために最適化された形態を有している;該ダイヤモンド層を造ることが可能になった。
次に、本発明の幾つかの実施例を記述する。
本発明の、CVDによる単結晶ダイヤモンドを合成するのに適した基体は次のようにして調製することができる:即ち、
(i) 原材料[1a天然石、及び1b高圧高温石(HPHT stones)]の選定は、ひずみ及び不完全部のない基体を同定するために顕微鏡的検査及び複屈折イメージング(birefringence imaging)に基づいて最適化した。
(ii) 加工処理によって導入されている欠陥レベルを決定するためにプラズマ曝露エッチング(revealing plasma etch)方法を用いて、レーザーによるのこ引き(sawing)、ラッピング(lapping)及びポリシング(polishing)を行って、表面下の欠陥を最小限に抑える。
(iii) 最適化を行った後、1つ以上の表面を有する基体であって、その中の、曝露エッチングを行った後に測定することができる欠陥密度が、主として該材料の品質に依存しており、5×10/mm以下(通常、10/mm以下)である該基体を造ることは、ごく普通に可能であった。この方法によって調製した諸基体は、次いで、その後の合成のために使用する。
高温/高圧合成による1bダイヤモンドは、研磨済み板7.65×8.25mm、厚さ0.54mmであって全ての面が{100}であるものを形成するために、基体の欠陥を最小限に抑えるための上記方法を使用して、高圧プレスで且つ基体として成長させた。この段階での表面粗さRは、1nm未満であった。その基体は、高温ダイヤモンドろう付けを使用して、タングステン基体キャリヤの上に取り付けた。これを反応器の中に導入して、上述のように、エッチング及び成長サイクルを開始した。いっそう詳しく言えば:
1)2.45GHzマイクロ波反応器に、ポイントオブユース精製装置を前もって取り付けて、入って来るガス流の中の外来汚染物質種を80ppb以下に減少させた。
2)270×10PaのO/Ar/H 15/75/600sccm(標準立方センチメートル/分)と753℃の基体温度とを用いて10分間、現場酸素プラズマエッチング(in situ oxygen plasma etch)を行った。
3)これは、引き続いて、該ガス流からOを除去し、758℃の温度で10分間、水素エッチングを行った。4)これは、炭素源(この場合、CH)とドーパントガスとを添加することによって、成長プロセスに移行した。CH流は、30sccmであった。ホウ素ドーパントの源として、Bを使用した。Bガス相の濃度は、1.4ppmであった。その温度は780℃であった。
4)成長期が完了すると、反応器から基体を取り除き、次いで、上述のような低欠陥密度の表面上に成長した、CVDによるダイヤモンド層は、該基体から取り外した。
5)この層は、次いで、平坦に研磨して、均一にドーピングされた、<100>エッジと約5×5mmの側面寸法とを有する厚さ735μmの層を造った。
6)この層は、CD−1として取り扱うが、洗浄して;Oによって終端処理された表面になるように酸素で灰化し;次いで、ホール技術(Hall technique)を用いて試験を行い、それの移動度を得た。これは、300Kで360cm/Vs、440Kで185cm/Vsであることが分かった。このデータは、音響フォノン散乱(acoustic phonon scattering)のモデルによって予測されるT3/2依存と一致する。
7)この層は、SIMS(二次イオン質量分析法)を用いて分析を行い、6.2×1018原子/cmの均一な全B濃度を示した。
8)ホール技術を用いて、キャリヤ濃度を測定し、200Kで4.5×1013、500Kで1.6×1017であることが分かった。300Kで4×1015のキャリヤ濃度に基づくと、報告される材料の上限を与える式(1)は、360cm/Vsの測定値に比べて、163cm/Vsの移動度を予測するようである。従って、(上記の方程式(1)で定義される)因子であるGは、2.2より大きい従来技術の諸材料に比べて改善又は利得(gain)を示した。
実施例1に記述した手順は、条件を次のように変化させて繰り返した:
1)研磨済み高圧高温(HPHT)基板は、5×5平方mm、厚さ500μmであり、全ての面が{100}であった。
2)333×10PaのO/Ar/H 15/75/600sccm(標準立方センチメートル/分)と800℃の基体温度とを用いて30分間、現場酸素プラズマエッチングを行った。
3)これは、引き続いて、該プロセス流からOを除去し、810℃の温度が記録される水素エッチングを30分間行った。
4)成長期は、36sccmで流れるCHを添加することによって開始し、次いで、B及びNを流して、それぞれ0.05ppm及び7ppmのガス相濃度を与えた。その温度は812℃であった。
5)成長期が完了すると、反応器から基体を取り除き、次いで、該基板から、CVDによるダイヤモンド層を取り外した。
6)この層は、CD−2として取り扱うが、平坦に研磨して、<110>エッジと7×7mmの側面寸法とを有する厚さ410μmの層を造った。
7)この層は、SIMSを用いて分析を行い、一連の測定値は、6.1×1016原子/cmの均一なホウ素濃度を有することを
示した。そのB濃度のSIMSマッピングは、マッピング能力(mapping capability)の分解能であって、30mm未満の方位空間分解能(lateral spatial resolution)と、10%より優れた測定レベル(level of measurement)の感度と有する該分解能の範囲内で、濃度の変化は全く示さなかった。窒素濃度は、測定の結果、5×1015原子/cm未満であった。
8)この層CD−2は、洗浄して;Oによって終端処理された表面になるように酸素で灰化し;次いで、試験を行って、それの移動度と、キャリヤ濃度とをを得た。該キャリヤ濃度は、4.5×1013を超えるように測定され、また、該移動度は、2.5×10cm/Vsを超えるように測定され、約1.5のG値を与えた。
9)CD−2は、以下に与えられるデータによって更に特徴付けられる:
(i) 自由励起子及び束縛励起子を示し、他の特徴を全く示さないCL(カソードルミネセンス)スペクトル;
(ii) 中性の置換窒素を全く示さず、g=2.0028で弱い線のみを示すEPR(電子常磁性共鳴)スペクトル;
(iii) 6.5×1016原子/cmの、補償されていないホウ素の濃度と関連する特性吸収の近くに、近似理論的伝播(near theoretical transmission)を示す光学スペクトル;
(iv) 試料の角伝播が10秒(arc sec.)未満であるように示す、X線ロッキングカーブ・マップ;
(v) 線幅が約2cm−1であるように示すラマンスペクトル。
実施例1に記述した手順は、成長条件を次のように変化させて繰り返した:
Ar 75sccm、H 600sccm、CH 30sccm、330×10Pa、795℃、4.4kW、ホウ素及び窒素のガス相濃度はそれぞれ、15ppm及び0.5ppm。
CVDによる成長済みダイヤモンド層は次いで、適切に加工処理して、該層の両面の分析を行い、厚さは300μmであった。
上面でのSIMSマップは、1.75×1019cm−3のホウ素濃度と、反対側での1.98×1019cm−3の平均SIMS濃度とを示した。
実施例1に記述した手順は、成長条件を次のように変化させて繰り返した:
Ar 50sccm、H 600sccm、CH 40sccm、330×10Pa、795℃、4.4kW、ホウ素及び窒素のガス相濃度はそれぞれ、0.05ppm及び0.7ppm。
CVDによる成長済みダイヤモンド層は次いで、適切に加工処理して、厚さ113μmであった該層の両面の分析を行った。
上面において、2mm×4.5mmの領域の全面に渡り0.5mmピッチで、また、5mm×6mmの領域の全面に渡り1mmピッチで、SIMSマップを得た。背面におけるデータは、1mmピッチで得た。従って、分析を行った体積は3.4mmであった。
前面における平均ホウ素濃度は、測定の結果、0.56ppmであり、また、背面においては0.52ppmであった。平均の周りの、特定範囲の濃度にこのように属する、材料の体積百分率は、このように測定した結果、表1に示す通りになった。
Figure 2010222252
このように、表1から、それらB測定値の100%は、該試料の上面では全範囲である47%の中に含まれ;また、該試料の裏面では30%の範囲内に含まれ;また、分析結果を組合せて体積の範囲を定めている両方の主要表面(major surfaces)では48%の範囲内に含まれたことがわかる。同様に、これらの測定値の70%は両方の面の組合せに対して19%の範囲内に含まれた。
該層中の窒素濃度は、測定の結果、0.06ppm未満であった;この上限は、それら測定値を得るために使用した条件下の感度によって設定した。
該試料の背面は、SEM(走査電子顕微鏡)であって、FE及びBEの強度を得るためのMonoCL装置を使用しており、1mmピッチで6×6アレイ(array)(36データポイント)の全面に渡ってデータを獲得する該SEMを用いて更に分析を行った:結果は表2に示す。
Figure 2010222252
このように、試料の底面における諸測定値の90%は、自由励起子では平均の周りの25%以内に全範囲が含まれ、束縛励起子では平均の周りの18%以内に全範囲が含まれ、また、BE/FE比では平均の周りの25%以内に全範囲が含まれた。
実施例4に記述される方法によって、層を成長させた。この層は、次いで、適切に加工処理を行なって、厚さ233μmの層の前面及び背面で分析を行った。分析用体積は7.0mmであった。
ホウ素濃度は、測定の結果、上面で0.34ppm、底面で0.29ppmであり、平均は0.32ppmであった。該平均の周りの、特定範囲の濃度に属する該材料の体積百分率は、このようにして測定した結果、表3に示す通りとなった。
Figure 2010222252
該層中の窒素濃度は、測定の結果、0.03ppm未満であった;この上限は、それら測定値を得るために使用した条件下の感度によって設定した。
該試料の前面及び背面は、SEM(走査電子顕微鏡)であって、FE(自由励起子)及びBE(束縛励起子)の強度を得るためのMonoCL装置を使用しており、6×6アレイ(36データポイント)の全面に渡って1mmピッチでデータを獲得する該SEMを用いて更に分析を行った:結果は表4に示す。
Figure 2010222252
これは、該層の上部主要面及び底部主要面を2つの代表表面として使用しており、束縛励起子、自由励起子、及びBE/FEの比として取ったそれら測定値の90%は、平均の周りに実質的に30%未満の広がりの中に全て含まれることを示している。
実施例4に記述される方法によって、層を成長させた。この層は、次いで、適切に加工処理を行なって、厚さ538μmの層の前面及び背面で分析を行った。分析用体積は16.1mmであった。
ホウ素濃度は、測定の結果、前面で0.52ppm、背面で0.34ppmであり、平均は0.43ppmであった。この層の体積の70%は、測定の結果、平均の−23.3%〜+23.4%の範囲内にあり、全範囲は46.7%であった。
次いで、該成長面における、ホウ素のためのSIMSマッピングを、30μm未満の分解能で繰返して、局所におけるホウ素取り込みの均一性を更に実証した。その結果は、下の表5に示す。炭素以外の諸元素のための分析では、0.5ppmの検出限界を超える不純物は全く示されなかった。
該層中の窒素濃度は、測定の結果、0.03ppm未満であった:この上限は、該測定のために使用した諸条件下の感度によって設定した。
該試料の前面及び背面は、SEM(走査電子顕微鏡)であって、FE及びBEの強度を得るためのMonoCL装置を使用しており、6×6アレイ(36データポイント)の全面に渡って1mmピッチでデータを獲得する該SEMを用いて更に分析を行った:結果は表4に示す。
Figure 2010222252
この層はまた、5×5mm(36データポイント)の領域の全面に渡って1mmピッチで赤外線吸収を用いてマッピングをも行って、補償されていないホウ素の変動を測定した。それら測定値の90%は、平均値の周りの34%内に全範囲が含まれた。
該基板のラマンスペクトル/フォトルミネセンススペクトルは、514nmのアルゴンイオンレーザー光を用いて77Kで測定した。該スペクトルは、1.6cm−1の線幅(FWHM)を有する、約1332cm−1のダイヤモンドラマン線によって支配された。575nm及び637nmにおけるゼロ−フォノン線は、検出未満であり;1:1000の[それらの各々のピークの強度]対[ラマンピークの強度]比に最大値を与えた。
実施例4に記述される方法によって、層を成長させた。この層は、次いで、加工処理を行なって、厚さ818μmの層にし;次いで、5×5mm(36データポイント)の領域の全面に渡って1mmピッチで赤外線吸収を用いてマッピングを行って、補償されていないホウ素の変動を測定した。それら測定値の90%は、平均値の周りの13%以内に全範囲が含まれた。

Claims (48)

  1. CVDにより造られた、単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層であって、全ホウ素濃度が均一であり、各々の測定点での方位分解能が50μm未満で測定される、大部分の体積の全体に渡る変動が50%未満であり、しかも、前記「大部分の体積」が、前記ダイヤモンド層の全体積の少なくとも70%を表しており、しかも、前記ダイヤモンド層が、次の特徴(i)〜(iii):即ち、
    (i) 前記ダイヤモンド層は、単一の成長部分から形成されていること、
    (ii) 前記ダイヤモンド層の厚さは、100μmを超えていること、及び
    (iii) 前記ダイヤモンド層の体積は、1mmを超えていること、
    の少なくとも1つを有している、上記ダイヤモンド層。
  2. 大部分の体積の全体に渡る変動が20%未満である、請求項1に記載のダイヤモンド層。
  3. 各々の測定点での方位分解能が30μm未満で変動が測定される、請求項1又は2に記載のダイヤモンド層。
  4. 層の大部分の体積が、1×1014原子/cmより大きく1×1020原子/cmより小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  5. 層の大部分の体積が、1×1015原子/cmより大きく2×1019原子/cmより小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  6. 層の大部分の体積が、5×1015原子/cmより大きく2×1018原子/cmより小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  7. 300Kで測定された正孔移動度(μ)であって、
    8×1015原子/cmを超えていないNに対しては、
    μ=G×2.1×1010/(N 0.52) (式1)
    8×1015原子/cmより大きいNに対しては、
    μ=G×1×1018/N (式2)
    (式中、Nは正孔の濃度であり、Gは、1.1より大きい値を有する)を超える該正孔移動度(μ)を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  8. Gが、1.4より大きい値を有している、請求項7に記載のダイヤモンド層。
  9. Gが、1.7より大きい値を有している、請求項7に記載のダイヤモンド層。
  10. Gが、2より大きい値を有している、請求項7に記載のダイヤモンド層。
  11. 窒素−空格子点の中心に関連する、575nm及び637nmにおける発光特徴が低いか又は存在しない、請求項1〜10のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  12. [575nm及び637nmにおける窒素・空格子点の中心のゼロフォノン線の積分強度の各々]対[1332cm−1でのダイヤモンドラマン線の積分強度]の比は、Arイオンレーザー励起による514nmを用いて77Kで測定したとき、1/50未満である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  13. 比が1/100未満である、請求項12に記載のダイヤモンド層。
  14. 比が1/300未満である、請求項12に記載のダイヤモンド層。
  15. Arイオン励起による514nmの下で、半値全幅が4cm−1未満の、300Kで測定されるラマン線幅を有している、請求項1〜14のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  16. ラマン線幅は、半値全幅が3cm−1未満である、請求項15に記載のダイヤモンド層。
  17. ラマン線幅は、半値全幅が2.5cm−1未満である、請求項15に記載のダイヤモンド層。
  18. 層から採取される代表試料の全面に渡り、フーリエ変換赤外分光法によって取られる、補償されていないホウ素測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の50%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜17のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  19. 層から採取される代表試料の全面に渡り、フーリエ変換赤外分光法によって取られる、補償されていないホウ素測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の30%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜17のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  20. 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、BEの度数分布は、それら測定値の90%が平均値の50%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜19のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  21. 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、BEの度数分布は、それら測定値の90%が平均値の30%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜19のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  22. 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、FE測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の50%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜21のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  23. 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、FE測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の30%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜21のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  24. 「大部分の体積」が、層の全体積の85%より大きい体積を表している、請求項1〜23のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  25. 「大部分の体積」が、層の全体積の95%より大きい体積を表している、請求項1〜23のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  26. 層が、{100}、{113}、{111}及び{110}の部分の1つである単一成長部分から形成されている、請求項1〜25のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  27. 500μmを超える厚さを有している、請求項1〜26のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  28. 3mmを超える体積を有している、請求項1〜27のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  29. 10mmを超える体積を有している、請求項1〜27のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  30. ドーパントとして窒素を更に含有している、請求項1〜29のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  31. 窒素濃度が、ホウ素濃度の1/5以下の濃度である、請求項30に記載のダイヤモンド層。
  32. ホウ素濃度の1/50未満の濃度の窒素濃度を含有している、請求項30に記載のダイヤモンド層。
  33. 請求項1〜32のいずれか1項に記載のダイヤモンド層が、ダイヤモンド体の層又は領域を形成している該ダイヤモンド体。
  34. ジェムストーンの形態の、請求項33に記載のダイヤモンド体、又は請求項1〜32のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
  35. 請求項1〜32のいずれか1項に記載のダイヤモンド層から、又は請求項33に記載のダイヤモンド体から製造された素子。
  36. 単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層を製造する方法において、実質的に結晶欠陥のない表面を有するダイヤモンド基体を与える工程と;ホウ素源を含有する原料ガスを与える工程と;前記原料ガスを解離する工程と;実質的に結晶欠陥のない前記表面の上で、ダイヤモンドのホモエピタキシャル成長を行う工程と;を包含する、上記製造方法。
  37. 単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、請求項1〜32のいずれか1項に規定されているものである、請求項36に記載の方法。
  38. 原料ガスは、成長している単結晶ダイヤモンドによって創り出される形態を制御するのに適した量の窒素が該原料ガスに添加されている、請求項36又は37に記載の方法。
  39. 原料ガスに対する窒素の添加分は、0.5ppmより大きく且つ10000ppm未満である、請求項38に記載の方法。
  40. 原料ガスに対する窒素の添加分は、1ppmより大きく且つ1000ppm未満である、請求項38に記載の方法。
  41. 原料ガスに対する窒素の添加分は、3ppmより大きく且つ200ppm未満である、請求項38に記載の方法。
  42. ダイヤモンド成長が起こる表面の上の欠陥に関連する、表面エッチング特徴(surface etch features)の密度は、5×10/mm以下である、請求項36〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. ダイヤモンド成長が起こる表面の上の欠陥に関連する、表面エッチング特徴の密度は、10/mm以下である、請求項36〜41のいずれか1項に記載の方法。
  44. ダイヤモンド成長が起こる表面は、ダイヤモンド成長を行なう前にプラズマエッチングを行う、請求項36〜43のいずれか1項に記載の方法。
  45. ダイヤモンド成長は、{100}、{110}、{113}又は{111}の表面の上に生じさせる、請求項36〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. ホウ素源はBである、請求項38〜45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 実施例のいずれか1つに関連して、本明細書に実質的に記述されている、請求項1に記載のダイヤモンド層。
  48. 実施例のいずれか1つに関連して、本明細書に実質的に記述されている、請求項36に記載の方法。
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