JP5101792B2 - ホウ素ドーピングされたダイヤモンド - Google Patents
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Description
本発明は、ホウ素ドーピングされたダイヤモンドに関し、いっそう詳しく言えば、化学蒸着によって造られるドーピングされたダイヤモンド(以下、CVDダイヤモンドという)に関する。
高出力電子機器等の用途では、厚さが50〜1000μmの範囲であり、側面寸法(lateral sizes)が1×1mm2から50×50mm2まで様々である、バルクの(bulk)自立ダイヤモンドが必要である。競争の激しい市場における実用的な製品にとって、これらの構造のために使用されるダイヤモンドは、バルク材料として成長し、最終デバイスに加工されることが有利である。加えて、ウェーハ規模の加工処理は、いっそう大きい断片を用いて実行可能であり、デバイスの製作コストが低減する。例えば、フィルター、及び吸収電力測定デバイスのような光学的用途にとって、未加工品の寸法と厚さとが大きいことは、デバイスの本質的必要条件である場合がある。このように、厚い層を合成することに対する多種多様な利点が存在する。
堆積工程(deposition)の間、該固体中にホウ素を混入させることは、他の多くの潜在的ドーパントの場合に比べてそれほど困難ではない。固体中の[ドーパントのホウ素(B)濃度]対[炭素(C)濃度]の比([B]/[C]:固体)である、ホウ素の混入比は、堆積用ガス中の比([B]/[C]:ガス)と同程度であり、通常、({100}成長部分において)約1である。とは言え、その混入比は、多くの因子によって変わる。CVDによるダイヤモンドを、合成の間、ホウ素でドーピングすることのできる多くの方法がある。マイクロ波プラズマ、熱フィラメント、及びアークジェット技術を用いて、ガス流にジボラン(B2H6)又は他の適切なガスを添加することができ;引き込んだそれらガスは、ボリア(B2O3)を含有するアセトン又はメタノールを通して泡立てることができ;室の中に、又は該プラズマ中に挿入されたホウ素棒の中にホウ素粉末を置くことができる。燃焼フレーム法によって成長させるためには、噴霧器を用いて、ガス流の中に、ホウ酸を含有するメタノールの微細ミストを注入することができる。ダイヤモンド膜はまた、例えば、六方晶系窒化ホウ素で造った基体支持体が、意図的でなく該プラズマによって分解されてしまう場合も、ドーピングされてしまう。
高純度単結晶(SC)のCVDによるダイヤモンドは、潜在的な高電力電子機器の中で重要な役割を有しているが、もし均質で有利な電子特性を有するCVDによるドーピングされたダイヤモンドを入手することができれば、潜在的用途の数は、実質的に増大するものと思われる。加えて、ホウ素ドーピングされたダイヤモンドの他の諸用途であって、色;ルミネセンス;又は、Bドーピングと関連する他の特性;の均質性が有利である該用途が存在する。
本発明の第1の面によると、CVDにより造られた単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層であって、全ホウ素濃度が均一であり、各々の測定点での方位分解能が50μm未満で(好ましくは、各々の測定点での方位分解能が30μm未満で)測定される、大部分の体積の全体に渡る変動が50%未満(好ましくは、20%未満)であり;しかも、次の特徴(i)〜(iii):即ち、
(i) 前記ダイヤモンド層は、単一の成長部分であって、好ましくは、{100}、{113}、{111}及び{110}の部分の1つであり、いっそう好ましくは{100}部分から形成されていること;
(ii) 前記ダイヤモンド層の厚さは、100μmを超えていること、好ましくは、500μmを超えていること;及び、
(iii) 前記ダイヤモンド層の体積は、1mm3を超えていること、好ましくは3mm3を超えていること、いっそう好ましくは10mm3を超えていること、更にいっそう好ましくは30mm3を超えていること;
の少なくとも1つを有している、上記ダイヤモンド層が提供される。
本発明の、CVDによる単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、ドーパントとして窒素を含有することもある。該ダイヤモンド層は通常、ホウ素濃度の1/5以下の濃度、好ましくは、ホウ素濃度の1/50未満の濃度の窒素濃度しか含有していない。
該ダイヤモンド層は好ましくは、「高い結晶品質」のものである。この文脈では、「高い結晶品質」によって、ドーパントとしてのホウ素原子及び窒素原子;並びに、関連する点欠陥(例えば、空格子点、水素等を包含するもの);が存在することが可能となる。
(a)該層は、1×1014原子/cm3より大きく1×1020原子/cm3より小さい、補償されていないホウ素の濃度、好ましくは、1×1015原子/cm3より大きく2×1019原子/cm3より小さい、補償されていないホウ素の濃度、いっそう好ましくは、5×1015原子/cm3より大きく2×1018原子/cm3より小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有していること。
8×1015原子/cm3を超えていないNhに対しては、
μh=G×2.1×1010/(Nh 0.52)
(式1)
8×1015原子/cm3より大きいNhに対しては、
μh=G×1×1018/Nh
(式2)
[式中、Nhは正孔の濃度(即ち、イオン化したホウ素アクセプタの濃度と同等)であり;μhとNhの間の関数関係は、電流モデルに基づいており;Gの値は、現在報告されているμhの最良値に関する利得(gain)を示し;Gは、1.1より大きい値、好ましくは1.4より大きい値、いっそう好ましくは1.7より大きい値、更にいっそう好ましくは2.0より大きい値を有する]を超えること。
(d)300Kで測定されるラマン線幅は、半値全幅(full width at half maximum height;FWHW)が、Arイオン励起による514nmの下で、4cm−1未満、好ましくは3cm−1未満、いっそう好ましくは2.5cm−1未満であること。
(f)該固体中の補償されていない置換ホウ素原子の濃度と呼応する、238nmでの均一な束縛励起子発光(BE)であって、下記に記述する方法を用いて、紫外線励起の下、77Kで束縛励起子発光を測定しているもの。とりわけ、該層のいずれかの代表表面;又は、該層から採取される試料;の全面に渡り、この方法によって取られる束縛励起子発光の度数分布は、それら測定値の90%が、平均の百分率として表して、50%未満だけ、好ましくは、30%未満だけ変動するようなものでなければならない。
本発明の、CVDによる単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、自立することができるか;又は、いっそう大きいダイヤモンド体若しくはダイヤモンド層の層若しくは領域を形成することができる。そのいっそう大きいダイヤモンド層又はダイヤモンド体は、CVD又は他の合成方法によって造られた単結晶ダイヤモンド又は多結晶性ダイヤモンドである場合がある。そのいっそう大きいダイヤモンド層又はダイヤモンド体は、ホウ素、窒素又は他の諸元素でドーピングを行うことができる。
本発明のダイヤモンド層又はダイヤモンド体は、ジェムストーン(gemstone)の形態を取ることがある。
上述の種々の用途のために、該ダイヤモンド層若しくは該ダイヤモンド体は、それ自体で使用することができるか;又は、それは、例えば、カッティングによって切り離して、2つ以上の、通常は多数のいっそう小さい断片若しくは素子であって上述の諸用途の1つ以上の中に使い道が見出だされると思われる該断片若しくは該素子を造ることができる。該断片又は該素子の形状及び寸法は、用途によって決定されるであろう。
本発明の、CVDにより造られた単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、上述の特徴に加えて、該ダイヤモンド層の、上記に定義される「大部分の体積」の中に次の諸特徴の1つ以上を有することがある:
(1)いずれかの単一不純物(Si、P、S、Ni、Co、Al、Mn、Fe)の濃度が1ppm以下であって、これら不純物の全含有量が5ppm以下であること。B及びN以外の、これら不純物のいずれの濃度も0.05〜0.5ppm以下であり、且つ、これら不純物の全含有量が0.5〜2ppm以下であるのが好ましい。
(2)575nmのバンドでのカソードルミネセンス(CL)発光信号が低いか又は存在しないこと;及び、Arイオンレーザー励起(公称300mWの入射線)による514nmを用いて77Kで測定される、関連する光ルミネセンス(PL)線が、1332cm−1でのダイヤモンドのラマンピークの積分ピーク面積の1/50未満、好ましくは1/100未満、いっそう好ましくは1/300未満の積分ピーク面積を有すること。
(4)電子スピン常磁性共鳴(EPR)によるスピン密度が、g=2.0028で1×1017cm−3未満、より典型的には、5×1016cm−3未満であること。単結晶ダイヤモンドに関し、g=2.0028におけるこの線は、格子欠陥濃度に関係しており;また、天然タイプIIaダイヤモンド、押込み(indentation)によって可塑的に変形したCVDによるダイヤモンド、及び品質の悪いホモエピタキシャル(homoepitaxial)ダイヤモンドでは典型的には大きい。
(6)X線トポグラフは、当初の基体の<100>エッジが成長して、<110>エッジになる成長に関連する特徴を示すこと。
補償されていないホウ素を含有するダイヤモンドは、1282cm−1(159meV)で最大となる、独特の1重フォノン(one-phonon)吸収特徴を示す。
補償されていないホウ素の濃度と、1282cm−1における吸収係数に対するこのバンドの寄与率との間には直線関係があることが分かった。ホウ素の濃度(ppm)は、室温で測定を行った場合、1.2×(1282cm−1での吸収係数)となる。
[補償されていないBの濃度(ppm)]=0.00142
×[2457cm−1での積分吸収係数(meV・cm−1)]
を用いて、2457cm−1のバンドの積分吸収係数から導くことができる。
[補償されていないB(ppm)]=1.86
×I(Bの束縛励起子強度)/I(自由励起子強度)
によって与えられる。
強い自由励起子が存在することは、欠陥(例えば、転位及び不純物)が実質的に存在しないことを示す。欠陥及び不純物の密度が低いことと、自由励起子発光との間の関連は、多結晶質CVDダイヤモンド合成における個々の結晶に関して、以前、報告された。自由励起子発光は最終的には、いっそう大きい(典型的には、固体中で20〜25ppmより大きい)ホウ素濃度では、転位等の結晶欠陥によるのではなく、ホウ素の大きい点欠陥密度によって消滅する。自由励起子発光の均一性は、局所に高密度の欠陥が存在しないことの優れた尺度である。
材料の体積であると見なすために、典型的には2つの向かい合う表面を、SIMS及びBE/FEのマッピングと、赤外線吸収による貫通厚さ試料(through thickness sample)とによって特徴付けた。
1)基体材料の品質に固有の欠陥。選定した天然ダイヤモンドにおける、これら欠陥の密度は、50/mm2程の低さであることがあり、いっそう典型的な値は102/mm2であり、その他、106/mm2以上であることもある。
2)ポリシングから生じる欠陥であって、研磨線に沿ってチャター・トラック(chatter tracks)[クラター・トラック(clatter tracks)として知られているかも知れない]を形成する微小割れ(microcracks)及び転位構造体。これらの密度は、試料の全面に渡ってかなり変化することがあり、典型的な値は、約102/mm2から、磨きが不十分な領域又は試料の104/mm2以上までの範囲に及ぶ。
(i) 大部分は水素を使用し、任意的に少量のArと、必要な少量のO2とを使用する酸素エッチング。典型的な酸素エッチングの条件は、圧力が50〜450×102Paであり;エッチングガスが、1〜4体積%の酸素含量と、0〜30体積%のアルゴン含量と、残量の水素とを含有し;基体の温度が600〜1100℃(いっそう典型的には、800℃)であり;典型的な時間が3〜60分である。
(ii) (i)に類似するが、酸素が存在しない水素エッチング。
(iii) 単にアルゴン、水素及び酸素のみに基づかない、該エッチングの代わりの方法、例えば、ハロゲン、他の不活性ガス又は窒素を利用する方法を使用することができる。
B(ホウ素)は典型的には、制御を簡素化するために、H2にB2H6を通常100ppm入れた調整済み源を使用して、B2H6として該プロセスに添加し;また、同様に、窒素は、制御を簡素化するために、H2にN2を通常100ppm入れた調整済み源を使用して、N2として該プロセスに添加した。BとNの両方の添加は、ppmとして表し、Bについては、[B2H6]/[全ガス](式中、[B2H6]はB2H6のモル数を表し、また、[全ガス]は、存在する全ガスのモル数を表す)として計算し、また、N2については、[N2]/[全ガス]として計算する。
原料ガスの解離は、当該技術において知られている反応器例の中で、マイクロ波エネルギーを用いて行うのが好ましい。しかし、反応器からの如何なる不純物の移動も、最小限に抑えることが望ましい。ダイヤモンドの成長が起こる予定の基体表面と、該基体のマウントと、基体キャリヤとを除く全ての表面から、プラズマを確実に引き離すために、マイクロ波装置を使用することができる。好ましいマウント材料の例は、モリブデン、タングステン、ケイ素、及び炭化ケイ素である。好ましい反応器室材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、金、白金である。
上記の条件を用いて、CVDによる、厚くて高品質のホウ素ドーピングされた単結晶ダイヤモンド層であって、著しく高い移動度の電荷担体を有し;且つ、商品として適した、均一で大きい体積の製品のために最適化された形態を有している;該ダイヤモンド層を造ることが可能になった。
次に、本発明の幾つかの実施例を記述する。
(i) 原材料[1a天然石、及び1b高圧高温石(HPHT stones)]の選定は、ひずみ及び不完全部のない基体を同定するために顕微鏡的検査及び複屈折イメージング(birefringence imaging)に基づいて最適化した。
(ii) 加工処理によって導入されている欠陥レベルを決定するためにプラズマ曝露エッチング(revealing plasma etch)方法を用いて、レーザーによるのこ引き(sawing)、ラッピング(lapping)及びポリシング(polishing)を行って、表面下の欠陥を最小限に抑える。
(iii) 最適化を行った後、1つ以上の表面を有する基体であって、その中の、曝露エッチングを行った後に測定することができる欠陥密度が、主として該材料の品質に依存しており、5×103/mm2以下(通常、102/mm2以下)である該基体を造ることは、ごく普通に可能であった。この方法によって調製した諸基体は、次いで、その後の合成のために使用する。
1)2.45GHzマイクロ波反応器に、ポイントオブユース精製装置を前もって取り付けて、入って来るガス流の中の外来汚染物質種を80ppb以下に減少させた。
2)270×102PaのO2/Ar/H2 15/75/600sccm(標準立方センチメートル/分)と753℃の基体温度とを用いて10分間、現場酸素プラズマエッチング(in situ oxygen plasma etch)を行った。
4)成長期が完了すると、反応器から基体を取り除き、次いで、上述のような低欠陥密度の表面上に成長した、CVDによるダイヤモンド層は、該基体から取り外した。
6)この層は、CD−1として取り扱うが、洗浄して;O2によって終端処理された表面になるように酸素で灰化し;次いで、ホール技術(Hall technique)を用いて試験を行い、それの移動度を得た。これは、300Kで360cm2/Vs、440Kで185cm2/Vsであることが分かった。このデータは、音響フォノン散乱(acoustic phonon scattering)のモデルによって予測されるT3/2依存と一致する。
8)ホール技術を用いて、キャリヤ濃度を測定し、200Kで4.5×1013、500Kで1.6×1017であることが分かった。300Kで4×1015のキャリヤ濃度に基づくと、報告される材料の上限を与える式(1)は、360cm2/Vsの測定値に比べて、163cm2/Vsの移動度を予測するようである。従って、(上記の方程式(1)で定義される)因子であるGは、2.2より大きい従来技術の諸材料に比べて改善又は利得(gain)を示した。
1)研磨済み高圧高温(HPHT)基板は、5×5平方mm、厚さ500μmであり、全ての面が{100}であった。
2)333×102PaのO2/Ar/H2 15/75/600sccm(標準立方センチメートル/分)と800℃の基体温度とを用いて30分間、現場酸素プラズマエッチングを行った。
4)成長期は、36sccmで流れるCH4を添加することによって開始し、次いで、B2H6及びN2を流して、それぞれ0.05ppm及び7ppmのガス相濃度を与えた。その温度は812℃であった。
5)成長期が完了すると、反応器から基体を取り除き、次いで、該基板から、CVDによるダイヤモンド層を取り外した。
7)この層は、SIMSを用いて分析を行い、一連の測定値は、6.1×1016原子/cm3の均一なホウ素濃度を有することを
示した。そのB濃度のSIMSマッピングは、マッピング能力(mapping capability)の分解能であって、30mm未満の方位空間分解能(lateral spatial resolution)と、10%より優れた測定レベル(level of measurement)の感度と有する該分解能の範囲内で、濃度の変化は全く示さなかった。窒素濃度は、測定の結果、5×1015原子/cm3未満であった。
9)CD−2は、以下に与えられるデータによって更に特徴付けられる:
(i) 自由励起子及び束縛励起子を示し、他の特徴を全く示さないCL(カソードルミネセンス)スペクトル;
(ii) 中性の置換窒素を全く示さず、g=2.0028で弱い線のみを示すEPR(電子常磁性共鳴)スペクトル;
(iii) 6.5×1016原子/cm3の、補償されていないホウ素の濃度と関連する特性吸収の近くに、近似理論的伝播(near theoretical transmission)を示す光学スペクトル;
(iv) 試料の角伝播が10秒(arc sec.)未満であるように示す、X線ロッキングカーブ・マップ;
(v) 線幅が約2cm−1であるように示すラマンスペクトル。
Ar 75sccm、H2 600sccm、CH4 30sccm、330×102Pa、795℃、4.4kW、ホウ素及び窒素のガス相濃度はそれぞれ、15ppm及び0.5ppm。
CVDによる成長済みダイヤモンド層は次いで、適切に加工処理して、該層の両面の分析を行い、厚さは300μmであった。
上面でのSIMSマップは、1.75×1019cm−3のホウ素濃度と、反対側での1.98×1019cm−3の平均SIMS濃度とを示した。
Ar 50sccm、H2 600sccm、CH4 40sccm、330×102Pa、795℃、4.4kW、ホウ素及び窒素のガス相濃度はそれぞれ、0.05ppm及び0.7ppm。
CVDによる成長済みダイヤモンド層は次いで、適切に加工処理して、厚さ113μmであった該層の両面の分析を行った。
前面における平均ホウ素濃度は、測定の結果、0.56ppmであり、また、背面においては0.52ppmであった。平均の周りの、特定範囲の濃度にこのように属する、材料の体積百分率は、このように測定した結果、表1に示す通りになった。
該層中の窒素濃度は、測定の結果、0.06ppm未満であった;この上限は、それら測定値を得るために使用した条件下の感度によって設定した。
該試料の背面は、SEM(走査電子顕微鏡)であって、FE及びBEの強度を得るためのMonoCL装置を使用しており、1mmピッチで6×6アレイ(array)(36データポイント)の全面に渡ってデータを獲得する該SEMを用いて更に分析を行った:結果は表2に示す。
ホウ素濃度は、測定の結果、上面で0.34ppm、底面で0.29ppmであり、平均は0.32ppmであった。該平均の周りの、特定範囲の濃度に属する該材料の体積百分率は、このようにして測定した結果、表3に示す通りとなった。
該試料の前面及び背面は、SEM(走査電子顕微鏡)であって、FE(自由励起子)及びBE(束縛励起子)の強度を得るためのMonoCL装置を使用しており、6×6アレイ(36データポイント)の全面に渡って1mmピッチでデータを獲得する該SEMを用いて更に分析を行った:結果は表4に示す。
ホウ素濃度は、測定の結果、前面で0.52ppm、背面で0.34ppmであり、平均は0.43ppmであった。この層の体積の70%は、測定の結果、平均の−23.3%〜+23.4%の範囲内にあり、全範囲は46.7%であった。
該層中の窒素濃度は、測定の結果、0.03ppm未満であった:この上限は、該測定のために使用した諸条件下の感度によって設定した。
該試料の前面及び背面は、SEM(走査電子顕微鏡)であって、FE及びBEの強度を得るためのMonoCL装置を使用しており、6×6アレイ(36データポイント)の全面に渡って1mmピッチでデータを獲得する該SEMを用いて更に分析を行った:結果は表4に示す。
該基板のラマンスペクトル/フォトルミネセンススペクトルは、514nmのアルゴンイオンレーザー光を用いて77Kで測定した。該スペクトルは、1.6cm−1の線幅(FWHM)を有する、約1332cm−1のダイヤモンドラマン線によって支配された。575nm及び637nmにおけるゼロ−フォノン線は、検出未満であり;1:1000の[それらの各々のピークの強度]対[ラマンピークの強度]比に最大値を与えた。
Claims (46)
- CVDにより造られた、単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層であって、全ホウ素濃度が均一であり、各々の測定点での方位分解能が50μm未満で測定される、大部分の体積の全体に渡る変動が50%未満であり、しかも、前記「大部分の体積」が、前記ダイヤモンド層の全体積の少なくとも70%を表しており、しかも、前記ダイヤモンド層が、次の特徴(i)〜(iii):即ち、
(i) 前記ダイヤモンド層は、単一の成長部分から形成されていること、
(ii) 前記ダイヤモンド層の厚さは、100μmを超えていること、及び
(iii) 前記ダイヤモンド層の体積は、1mm3を超えていること、
の少なくとも1つを有している、上記ダイヤモンド層。 - 大部分の体積の全体に渡る変動が20%未満である、請求項1に記載のダイヤモンド層。
- 各々の測定点での方位分解能が30μm未満で変動が測定される、請求項1又は2に記載のダイヤモンド層。
- 層の大部分の体積が、1×1014原子/cm3より大きく1×1020原子/cm3より小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層の大部分の体積が、1×1015原子/cm3より大きく2×1019原子/cm3より小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層の大部分の体積が、5×1015原子/cm3より大きく2×1018原子/cm3より小さい、補償されていないホウ素の濃度を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 300Kで測定された正孔移動度(μh)であって、
8×1015原子/cm3を超えていないNhに対しては、
μh=G×2.1×1010/(Nh 0.52) (式1)
8×1015原子/cm3より大きいNhに対しては、
μh=G×1×1018/Nh (式2)
(式中、Nhは正孔の濃度であり、Gは、1.1より大きい値を有する)を超える該正孔移動度(μh)を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。 - Gが、1.4より大きい値を有している、請求項7に記載のダイヤモンド層。
- Gが、1.7より大きい値を有している、請求項7に記載のダイヤモンド層。
- Gが、2より大きい値を有している、請求項7に記載のダイヤモンド層。
- 窒素−空格子点の中心に関連する、575nm及び637nmにおける発光特徴が低いか又は存在しない、請求項1〜10のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- [575nm及び637nmにおける窒素・空格子点の中心のゼロフォノン線の積分強度の各々]対[1332cm−1でのダイヤモンドラマン線の積分強度]の比は、Arイオンレーザー励起による514nmを用いて77Kで測定したとき、1/50未満である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 比が1/100未満である、請求項12に記載のダイヤモンド層。
- 比が1/300未満である、請求項12に記載のダイヤモンド層。
- Arイオン励起による514nmの下で、半値全幅が4cm−1未満の、300Kで測定されるラマン線幅を有している、請求項1〜14のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- ラマン線幅は、半値全幅が3cm−1未満である、請求項15に記載のダイヤモンド層。
- ラマン線幅は、半値全幅が2.5cm−1未満である、請求項15に記載のダイヤモンド層。
- 層から採取される代表試料の全面に渡り、フーリエ変換赤外分光法によって取られる、補償されていないホウ素測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の50%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜17のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層から採取される代表試料の全面に渡り、フーリエ変換赤外分光法によって取られる、補償されていないホウ素測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の30%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜17のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、BEの度数分布は、それら測定値の90%が平均値の50%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜19のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、BEの度数分布は、それら測定値の90%が平均値の30%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜19のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、FE測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の50%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜21のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層のいずれかの代表表面、又は該層から採取される試料の全面に渡って取られる、FE測定値の度数分布は、それら測定値の90%が平均値の30%未満だけ変動するようなものである、請求項1〜21のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 「大部分の体積」が、層の全体積の85%より大きい体積を表している、請求項1〜23のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 「大部分の体積」が、層の全体積の95%より大きい体積を表している、請求項1〜23のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 層が、{100}、{113}、{111}及び{110}の部分の1つである単一成長部分から形成されている、請求項1〜25のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 500μmを超える厚さを有している、請求項1〜26のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 3mm3を超える体積を有している、請求項1〜27のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 10mm3を超える体積を有している、請求項1〜27のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- ドーパントとして窒素を更に含有している、請求項1〜29のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 窒素濃度が、ホウ素濃度の1/5以下の濃度である、請求項30に記載のダイヤモンド層。
- ホウ素濃度の1/50未満の濃度の窒素濃度を含有している、請求項30に記載のダイヤモンド層。
- 請求項1〜32のいずれか1項に記載のダイヤモンド層を含有している該ダイヤモンド体。
- ジェムストーンの形態の、請求項33に記載のダイヤモンド体。
- ジェムストーンの形態の、請求項1〜32のいずれか1項に記載のダイヤモンド層。
- 請求項1〜32のいずれか1項に記載のダイヤモンド層から、又は請求項33に記載のダイヤモンド体から製造された素子。
- 単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層を製造する方法において、実質的に結晶欠陥のない表面を有するダイヤモンド基体を与え、プラズマ曝露エッチングが5×10 3 /mm 2 以下の表面エッチング特徴の密度を露呈する工程と;ホウ素源を含有する原料ガスを与える工程と;前記原料ガスを解離する工程と;実質的に結晶欠陥のない前記表面の上で、ダイヤモンドのホモエピタキシャル成長を行う工程と;を包含する、上記製造方法。
- 単結晶のホウ素ドーピングされたダイヤモンド層は、請求項1〜32のいずれか1項に規定されているものである、請求項37に記載の方法。
- 原料ガスは、成長している単結晶ダイヤモンドによって創り出される形態を制御するのに適した量の窒素が該原料ガスに添加されている、請求項37又は38に記載の方法。
- 原料ガスに対する窒素の添加分は、0.5ppmより大きく且つ10000ppm未満である、請求項39に記載の方法。
- 原料ガスに対する窒素の添加分は、1ppmより大きく且つ1000ppm未満である、請求項39に記載の方法。
- 原料ガスに対する窒素の添加分は、3ppmより大きく且つ200ppm未満である、請求項39に記載の方法。
- ダイヤモンド成長が起こる表面の上の欠陥に関連する、表面エッチング特徴の密度は、102/mm2以下である、請求項37〜41のいずれか1項に記載の方法。
- ダイヤモンド成長が起こる表面は、ダイヤモンド成長を行なう前にプラズマエッチングを行う、請求項37〜43のいずれか1項に記載の方法。
- ダイヤモンド成長は、{100}、{110}、{113}又は{111}の表面の上に生じさせる、請求項37〜44のいずれか1項に記載の方法。
- ホウ素源はB2H6である、請求項39〜45のいずれか1項に記載の方法。
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