JP2010216300A - 車両のエンジントルク演算装置 - Google Patents
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Abstract
車両のエンジントルク演算装置に関し、シンプル且つ高精度にエンジンの実トルクを推定することができるようにする。
【解決手段】
吸気圧検出手段(12)の検出した吸気圧(Pb)に基づき充填効率を算出する充填効率算出手段(44)と、パージ中である場合に、充填効率算出手段(44)の算出した充填効率とエンジン回転速度検出手段(14)の検出したエンジン回転速度(Ne)とに基づき実トルクを算出するトルク算出手段(46)とを備えた。
【選択図】図2
Description
このように蒸発燃料がパージされている場合には、パージ通路からも筒内へ空気(パージ空気)が導入されている。そのため、実際の充填効率が、上記のエアフローセンサの検出する吸気量によって算出される充填効率とは異なり、エアフローセンサの検出値だけでは実トルクを正しく推定することができないという課題がある。
上記パージ空気量Qbは、詳しくは、エンジン負荷率及びエンジン回転速度に基づいて算出されるパージ制御弁を通過するパージ流量に基づき、推定されるようになっている。もしくは、上記パージ空気量Qbは、パージ制御弁の開度やパージ率から推定されたり、センサ等を用いて直接検出されたりするようになっている。
[第1実施形態]
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態の車両のエンジントルク演算装置について説明する。
<構成>
車両は、図1に示すように、駆動源としてのエンジン1と、エンジン1に供給される燃料を貯留する燃料タンク20と、燃料タンク20で発生した蒸発燃料を捕集するキャニスタ21とを備えている。そして、図2に示す本実施形態のエンジントルク演算装置40がこの車両に設けられて、エンジン1の実トルクMを推定するようになっている。
上記吸気通路3には、上流側から順に、車外から導入される空気を濾過するエアクリーナ7,エアクリーナ7で濾過された空気の量(吸気量)VNを調整する電子制御式のスロットル弁8、及び、サージタンク9を有するインテークマニホールド10が設けられている。
パージ通路30には、パージ通路30を開閉するパージ制御弁31が設けられている。このパージ制御弁31が開放されたときに、キャニスタ21に捕集された蒸発燃料がパージ空気とともにパージ通路30を通って吸気通路3へとパージされ、燃焼室2で燃焼されるようになっている。また、パージ制御弁31の開度は、図示しない制御装置によってデューティ制御されるようになっている。
エンジントルク演算装置40は、CPUとメモリとを有する電子制御ユニット(ECU;Electronic Control Unit)で構成され、パージが実施されているときであってもエンジン1の実トルクMを正確に推定するようになっている。
体積効率=新気量(volume)/行程容積
体積効率係数KVE=体積効率×(大気圧Pa/インマニ圧Pb)
充填効率ηC=体積効率×大気圧補正係数KBP×吸気温補正係数KAT
大気圧補正係数KBP=大気圧Pa/標準大気圧Pa0
標準大気の状態とはJIS規格の101.3kPa,20℃,湿度60%の状態であって、標準大気圧Pa0=101.3kPaである。そして、充填効率ηCは、後述の数式(1)のように体積効率係数KVEに関する式として書き換えることができる。
判断部43は、パージ制御弁31の開閉に基づき、パージ中であるか否かを判断するようになっている。つまり、パージ制御弁31の開放時にはパージ中であると判断し、パージ制御弁31の閉鎖時にはパージ中ではないと判断するようになっている。
体積効率係数算出部44aは、記憶部41から第1マップを呼び出し、クランク角センサ14の検出したエンジン回転速度Neと吸気圧センサ12の検出したインマニ圧Pbとに基づき体積効率係数KVEを算出するようになっている。
ηC=KVE×(Pb/Pa0)×KAT・・・(1)
第2充填効率算出部45は、エアフローセンサ11の検出した値に基づき、つまり吸気量VNのみに基づき、充填効率ηC(基本充填効率ηCaともいう)を算出するようになっている。
M=fM×Ketc・・・(2)
本発明の第1実施形態にかかるエンジントルク演算装置は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果がある。
エンジントルク演算装置40は、図3のフローチャートに示す手順により、実トルクMを推定する。
ステップA20では、係数設定部42が、吸気温センサ13の検出した吸気温Tに基づき吸気温補正係数KATを設定する。そして、第1充填効率算出部44が、記憶部41から第1マップを呼び出し、クランク角センサ14の検出したエンジン回転速度Neと吸気圧センサ12の検出したインマニ圧Pbとに基づき体積効率係数KVEを算出する。続いて、体積効率係数KVEにインマニ圧Pbを標準大気圧Pa0で除したインマニ圧補正項を乗じ、さらに吸気温補正係数KATを乗じて充填効率ηCを算出する。算出後はステップA40に進む。
ステップA40では、トルク算出部46が、まず、記憶部41から第2マップを呼び出し、ステップA20で算出した充填効率ηC又はステップA30で算出した基本充填効率ηCaとエンジン回転速度Neとに基づき軸トルクfMを算出する。続いて、軸トルクfMを少なくとも1つの補正係数Ketcで補正して実トルクMを算出する。
次に、図6〜図8を参照して、本発明の第2実施形態の車両のエンジントルク演算装置について説明する。なお、本実施形態においては、エンジントルク演算装置40がエンジントルク演算装置50に変更されている点を除いては第1実施形態と構成上の差異はないため、エンジントルク演算装置50以外の構成要素については説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態のエンジントルク演算装置50は、記憶部(記憶手段)51と、係数設定部(係数設定手段)52と、判断部(判断手段)53と、充填効率補正量算出部(充填効率算出手段)54と、充填効率補正量ゼロ設定部(第2充填効率算出手段)55と、基本充填効率算出部(充填効率算出手段であり、尚且つ、第2充填効率算出手段)56と、最終充填効率算出部(充填効率算出手段であり、尚且つ、第2充填効率算出手段)57と、トルク算出部(トルク算出手段)58とを有している。
充填効率補正量算出部54は、圧力比算出部(圧力比算出手段)54aと、パージ流速算出部(パージ流速算出手段)54bと、パージ空気量算出部(パージ空気量算出手段)54cと、補正量算出部(補正量算出手段)54dとを有している。
パージ流速算出部54bは、記憶部51から第3マップを呼び出し、圧力比算出部54aの算出した圧力比Pb/Paに基づき、パージ通路30を流れるパージ空気の流速fvを算出するようになっている。
ΔQ=fv×fs×KAT×KBP・・・(3)
ここで、数式(3)中の開口面積fsについて詳述する。本実施形態のパージ制御弁31としては、開度を細かく調整できるものではなく、全開か全閉かを制御する(すなわち、オンオフ制御する)ソレノイドバルブが用いられている。このようなパージ制御弁31に対し、パージ空気量ΔQの調整は、一定時間内でのパージ制御弁31の開閉比率(デューティ比)を制御することで行なわれる。そのため、上記開口面積fsは、全開時の実際の開口面積にデューティ比を乗じることで求められるようになっている。なお、パージ制御弁31として開度を細かく調整できるものが用いられていても良く、その場合にはその開度に応じた開口面積fsを数式(3)に代入すると良い。
ΔηC=ΔQ/{Vexh×Ne/(S×t)}・・・(4)
基本充填効率算出部56は、エアフローセンサ11の検出した吸気量VNのみに基づき基本充填効率ηCaを算出するようになっている。
ηC=ηCa+ΔηC・・・(5)
M=fM×Ketc・・(6)
本発明の第2実施形態にかかるエンジントルク演算装置は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果がある。
エンジントルク演算装置50は、図7のフローチャートに示す手順により、実トルクMを推定するようになっている。
ステップB20では、係数設定部52が、吸気温センサ13の検出した吸気温Tに基づき吸気温補正係数KATを設定するとともに、大気圧センサ14の検出した大気圧Paに基づき大気圧補正係数KBPを設定する。そして、充填効率補正量算出部54が、記憶部51から第3マップを呼び出し、吸気圧センサ12の検出したインマニ圧Pb及び大気圧センサ14の検出した大気圧Paの圧力比Pb/Paに基づきパージ流速fvを算出する。続いて、このパージ流速fvに開口面積fs,吸気温補正係数KAT及び大気圧補正係数KBPを乗じて、単位時間当たりのパージ空気量ΔQを算出する。算出後はステップB30に進む。
ステップB40では、充填効率補正量ゼロ設定部55が、充填効率補正量ΔηCとしてゼロの値を設定する。設定後はステップB50に進む。
ステップB50では、基本充填効率算出部56が、エアフローセンサ11の検出値に基づき基本充填効率ηCaを算出する。そして、最終充填効率算出部57が、基本充填効率ηCaに充填効率補正量ΔηCを加算して、充填効率ηCを算出する。
このように、本実施形態にかかるエンジントルク演算装置によれば、パージ時には、吸気通路3におけるパージ位置よりも下流側のインマニ圧Pbに基づき充填効率ηCを算出するので、パージ制御弁31の個体ばらつきが反映されたパージ空気量を含んだエンジン1に導入される吸気量をシンプル且つ高精度に算出することができ、エンジン1の実トルクMを正しく推定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
例えば、上記実施形態では、数式(2)又は数式(6)において軸トルクfMに乗じる補正係数Ketcとして、空燃比補正係数KAF,点火時期補正係数KIT及び位相角補正係数KPAを挙げたが、これらは一例であって、空燃比補正係数KAF,点火時期補正係数KIT及び位相角補正係数KPA以外の、充填効率ηCに影響を与えるパラメータに基づき設定される補正係数を用いても良い。この他の補正係数としては、例えば、EGRガス量(外部EGRガス量と内部EGRガス量との総和)に基づき設定されるEGR補正係数が挙げられる。
2 燃焼室
3 吸気通路
4 排気通路
5 吸気バルブ
6 排気バルブ
7 エアクリーナ
8 スロットル弁
9 サージタンク
10 インテークマニホールド
11 エアフローセンサ(吸気量検出手段)
12 吸気圧センサ(吸気圧検出手段)
13 吸気温センサ(吸気温検出手段)
14 クランク角センサ(エンジン回転速度検出手段)
15 大気圧センサ(大気圧検出手段)
20 燃料タンク
21 キャニスタ
22 ベーパ通路
23 空気導入通路
30 パージ通路
31 パージ制御弁
40,50 エンジントルク演算装置
41 記憶部(記憶手段)
42 係数設定部(係数設定手段)
43 判断部(判断手段)
44 第1充填効率算出部(充填効率算出手段)
44a 体積効率係数算出部(体積効率係数算出手段)
44b 乗算部(乗算手段)
45 第2充填効率算出部(第2充填効率算出手段)
46 トルク算出部(トルク算出手段)
51 記憶部(記憶手段)
52 係数設定部(係数設定手段)
53 判断部(判断手段)
54 充填効率補正量算出部(充填効率算出手段)
54a 圧力比算出部(圧力比算出手段)
54b パージ流速算出部(パージ流速算出手段)
54c パージ空気量算出部(パージ空気量算出手段)
54d 補正量算出部(補正量算出手段)
55 充填効率補正量ゼロ設定部(第2充填効率算出手段)
56 基本充填効率算出部(充填効率算出手段であり、尚且つ、第2充填効率算出手段)
57 最終充填効率算出部(充填効率算出手段であり、尚且つ、第2充填効率算出手段)
58 トルク算出部(トルク算出手段)
fv パージ流速
fs パージ制御弁の開口面積
KVE 体積効率係数
M 実トルク
Ne エンジン回転速度
Pa 大気圧
Pb インマニ圧(吸気圧)
T 吸気温
ηC 充填効率
ηCa 基本充填効率
ΔηC 充填効率補正量
ΔQ パージ空気量
Claims (5)
- 駆動源としてのエンジンと、
前記エンジンに供給される燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンクで発生した蒸発燃料を捕集するキャニスタと、
前記エンジンの吸気通路と前記キャニスタとを接続するパージ通路と、
前記パージ通路に設けられて前記パージ通路を開閉し、その開弁時には前記キャニスタの捕集した蒸発燃料がパージ空気とともに前記吸気通路へパージされるパージ制御弁と、
前記吸気通路における前記パージ通路が接続されるパージ位置よりも下流側の圧力を吸気圧として検出する吸気圧検出手段と、
前記吸気通路における前記パージ位置よりも上流側に設けられて前記吸気通路を通過する空気の量を吸気量として検出する吸気量検出手段と、
前記エンジンのエンジン回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段とを備えた車両において、前記エンジンの実トルクを推定するエンジントルク演算装置であって、
前記パージ制御弁の開閉状態に基づき、パージ中であるか否かを判断する判断手段と、
前記吸気圧検出手段の検出した吸気圧に基づき充填効率を算出する充填効率算出手段と、
前記判断手段によりパージ中であると判断された場合に、前記充填効率算出手段の算出した充填効率と前記エンジン回転速度検出手段の検出したエンジン回転速度とに基づき、前記実トルクを算出するトルク算出手段とを備えた
ことを特徴とする、車両のエンジントルク演算装置。 - 前記充填効率算出手段は、
前記吸気圧検出手段の検出した吸気圧と前記エンジン回転速度検出手段の検出したエンジン回転速度とに基づき体積効率係数を算出する体積効率係数算出手段と、
前記体積効率係数算出手段の算出した体積効率係数を、前記吸気圧を標準大気圧で除した吸気圧補正項に乗じて前記充填効率を算出する乗算手段とを備えた
ことを特徴とする、請求項1記載の車両のエンジントルク演算装置。 - 前記充填効率算出手段は、
前記パージ通路を流れるパージ空気量を算出するパージ空気量算出手段と、
前記吸気量検出手段の検出した吸気量に基づき基本充填効率を算出する基本充填効率算出手段と、
前記パージ空気量算出手段の算出したパージ空気量と前記エンジン回転速度検出手段の検出した前記エンジン回転速度とに基づき充填効率補正量を算出する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段の算出した充填効率補正量に前記基本充填効率算出手段の算出した基本充填効率を加算して前記充填効率を算出する最終充填効率算出手段とを備えた
ことを特徴とする、請求項1記載の車両のエンジントルク演算装置。 - 前記充填効率算出手段は、
前記吸気圧と大気圧との圧力比を算出する圧力比算出手段と、
前記圧力比算出手段の算出した圧力比に基づき前記パージ通路を流れるパージ空気の流速を算出するパージ流速算出手段とをさらに備え、
前記パージ空気量算出手段は、前記パージ流速算出手段の算出した流速に前記パージ制御弁の開口面積を乗じて前記パージ空気量を算出する
ことを特徴とする、請求項3記載の車両のエンジントルク演算装置。 - 前記吸気量検出手段の検出した吸気量に基づき充填効率を算出する第2充填効率算出手段を備え、
前記トルク算出手段は、前記判断手段によりパージ中ではないと判断された場合、前記第2充填効率演算手段の算出した充填効率と前記エンジン回転速度検出手段の検出したエンジン回転速度とに基づき、前記実トルクを算出する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両のエンジントルク演算装置。
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