JP2005307804A - 内燃機関の排気圧推定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 機関の図示トルクTes1を当量比、点火時期補正して得られた図示トルクTes2から、図示平均有効圧Pimを排気弁直前のシリンダ内圧力に相関する値として算出し(S1〜S7)、図示平均有効圧Pimの平滑された排気圧Pexmに対する比である排気圧力比Rpim/Pexmと機関回転速度Neとをパラメータとして予め求められた脈動圧補正値のデータをセットして得られたマップから、現在の排気圧力比Rpim/Pexmと機関回転速度Neとに基づいて脈動圧補正値を検索し、平滑された排気圧Pexmに加算して排気弁開時の排気弁近傍の脈動圧Pexを算出する(S8〜S11)。
【選択図】 図2
Description
EGRには、排気管と吸気管との間に接続されたEGR管を介して行う外部EGRと、このEGR管を介さずに行う内部EGRとがある。内部EGRを推定するには、吸気弁開期間と排気弁開期間とがオーバーラップしないときにシリンダ内に残留するガス量に、オーバーラップしているときに排気側と吸気側との間で吹き抜けた後、シリンダ内に吸入される吹き抜けガス量を加えて推定する必要がある。該吹き抜けガス量は、オーバーラップ中の有効開口面積と、排気圧及び吸気圧(両者の差圧)とにより求められる。
しかしながら、従来、上記吹き抜けガス量の推定に用いられる排気圧及び吸気圧は、吸・排気マニホールド集合部の圧力センサによって検出される平滑化された圧力値、あるいは機関運転状態(回転速度、負荷)から推定される圧力値が用いられ、脈動の影響が考慮されておらず、したがって、吹き抜けガス量を高精度に推定できていなかった。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジン(内燃機関)1の構成を示している。
吸気通路11の導入部には、エアクリーナ12が取り付けられており、エアクリーナ12により吸入空気中の粉塵等が除去される。吸気通路11において、エアクリーナ12の下流には、電子制御式のスロットル弁13が設置されている。スロットル弁13の下流には、サージタンク14が取り付けられており、サージタンク14にブランチ15が取り付けられ、吸気マニホールドが構成されている。サージタンク14内の吸入空気は、ブランチ15及びシリンダヘッドに形成された吸気ポート16を介して筒内に流入する。各気筒の吸気ポート16には、燃料供給用のインジェクタ17が設置されている。
インジェクタ17、点火プラグ27及び各可変動弁装置25,26の動作は、エンジンコントロールユニット(以下「ECU」という。)41により制御される。ECU41には、エアフローメータ51からの吸入空気量Qa検出信号、吸気マニホールドの集合部に設けられた吸気圧センサ52からの吸気圧Pin検出信号、水温センサ53からの冷却水温度Tw検出信号、クランク角センサ54からの単位クランク角及び基準クランク角検出信号(ECU41は、これをもとに、機関回転速度Neを算出する。)、排気マニホールドの集合部に設けられた排気圧センサ55により検出される排気圧Pex検出信号、温度センサ56からの排気温度検出信号、酸素センサ57からの空燃比検出信号、アクセルセンサ58からのアクセル開度検出信号、及びカム角センサ59,60からのカム角検出信号(これをもとに、カムとカムシャフトとの実際の位相差を検出可能である。)が入力される。ECU41は、入力した各信号をもとに、上記の各デバイスの制御量を設定する。
以下、上記排気弁23近傍の排気圧(排気弁開から排気弁閉における任意の時点での排気弁近傍の排気圧)の推定について説明する。
排気弁23が開くと、燃焼室内の燃焼ガスが排気ポート22に押し出され、この際発生する圧力波が音速で排気通路28を伝播し、開放端で反射波となって上流側に伝播し、新たに排気弁開時に発生する圧力波と合成して、いわゆる排気脈動圧となる。該排気脈動圧のレベル(振幅)は、起振力となる排気弁開弁直前のシリンダ内圧力と平滑化された排気圧(以下排気平滑圧という)との圧力比によって定まる。ここで、前記排気圧センサ55が取り付けられる排気マニホールド集合部は、容積が大きく各気筒からの圧力波が干渉して平滑化されるので、該排気圧センサ55で検出される排気圧を排気平滑圧として用いることができる。さらに検出値を平均化処理した値を用いてもよい。
以下、排気脈動圧推定の詳細を、図2のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップ1では、標準状態でのストイキ燃焼(理論空燃比での燃焼)時の軸トルクTes0を、吸気充填効率ITACと機関回転速度Neとに基づいて図3に示す特性を有したマップから検索する。ここで、前記吸気充填効率ITACは、例えば、吸入空気量Qaと機関回転速度Neとから算出される基本燃料噴射量Tpと、100%の充填効率に相当する燃料噴射量との比として算出する。
ステップ3では、ポンピングロストルクTepを、次式により算出する。
Tep=(Pex−Pin)×(Vol−Vivo×0.5)
/(60×2×2π)
Pex:排気平滑圧
Pin:吸気圧
Vol:行程容積
Vivo:下死点から吸気弁開時期までの行程容積
なお、前記吸気圧センサ52で検出される吸気圧Pinも、吸気マニホールド集合部で吸気圧力波が平滑化された圧力値となっている。さらに検出値を平均化処理した値を用いてもよい。
Tes1=Tes0+Tef−Tep
ステップ5では、ストイキ図示トルクTes1を、燃焼混合気の当量比TFBYAXに応じて図5に示す特性を有した当量比補正テーブルより検索した当量比補正率Ktfを乗じることによって補正する。
ステップ7では、次式のように、前記図示トルクTes2を図示平均有効圧Pimに変換する。
ここで、前記図示平均有効圧Pimは、排気弁開直前のシリンダ内圧力そのものではないが、排気弁開直前のシリンダ内圧力と相関(比例)する値といえるので、本実施形態では排気弁開直前のシリンダ内圧力として図示平均有効圧Pimを用いる。また、排気弁開直前のシリンダ内圧力(図示平均有効圧Pim)をエンジン運転状態に用いて推定してもよい。なお、可変バルブタイミング機構を備えず吸気弁閉時期が一定でVol一定の場合は、単位は異なるが、図示トルクTes2も図示平均有効圧Pimに比例し、したがって、排気弁開直前のシリンダ内圧力とも相関(比例)する値といえるので、該図示トルクTes2を排気弁開直前のシリンダ内圧力の大きさを表すパラメータとして用いることもできる。
ステップ9では、前記排気圧力比RPim/Pexmと機関回転速度Neとをパラメータとする排気脈動圧補正マップに、予め実験乃至シミュレーションによって求めた排気弁開時期における排気弁近傍の排気脈動圧と排気平滑圧との差圧である脈動圧補正値データをセットする。
ステップ11では、次式のように、前記排気平滑圧Pexmに脈動圧補正値DPを加算して排気脈動圧Pexを算出する。
Pex=Pexm+DP
図6は、排気圧力比RPim/Pexmと機関回転速度Neをパラメータとする排気弁開時の排気弁近傍の排気脈動圧の特性を示す。
なお、上記実施形態では、排気圧センサで検出した排気平滑圧を用いることにより、より高精度に排気圧を推定できるが、簡易的には排気平滑値は大気圧に近い値であるので、大気圧を用いてもよく、大気圧を固定値とした場合にはシリンダ内圧力(上記実施形態では図示平均有効圧を用いる)そのものを用いればよい。
Claims (8)
- 排気弁開直前のシリンダ内圧力を検出又は推定し、該検出された排気弁開直前のシリンダ内圧力と機関回転速度とに基づいて、排気弁開時の排気弁近傍の排気圧を推定することを特徴とする内燃機関の排気圧推定装置。
- 前記排気弁開時の排気弁近傍の排気圧は、排気弁開から排気弁閉における任意の時点での排気弁近傍の排気圧であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気圧推定装置。
- 前記排気弁開直前のシリンダ内圧力を、平滑された排気圧に対する値に処理したパラメータを用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の排気圧推定装置。
- 前記パラメータは、排気弁開直前のシリンダ内圧力と平滑された排気圧との比であることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気圧推定装置。
- 前記平滑された排気圧として大気圧を用いることを特徴とする請求項3または請求項43に記載の内燃機関の排気圧推定装置。
- 前記排気弁開直前のシリンダ内圧力として図示平均有効圧を用いることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関の排気圧推定装置。
- 前記排気弁開直前のシリンダ内圧力として図示トルクを用いることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関の排気圧推定装置。
- 前記図示平均有効圧または図示トルクは、点火時期,空燃比等の補正を行った値を用いることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の内燃機関の排気圧推定装置。
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