JP2003301740A - 車両用制御装置及び制御パラメータの算出方法 - Google Patents
車両用制御装置及び制御パラメータの算出方法Info
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Abstract
の枚数を減らして、マップ作成のための適合工数を削減
すると共に、CPU演算負荷を軽減する。 【解決手段】 物理補正式により低次元化した基礎マッ
プを作成して車載コンピュータのROMに記憶してお
く。エンジン運転中は、車載コンピュータにより、基礎
マップのN個のパラメータの中から変化の少ないN−1
個又はN−2個のパラメータを最新の値に固定して、そ
れ以外の非固定パラメータ(吸気圧力)から特定の制御
パラメータ(吸入空気量)を算出するための1次元又は
2次元の仮想マップを基礎マップに基づいて作成する。
エンジン運転中は、車載コンピュータにより、仮想マッ
プを用いて非固定パラメータ(吸気圧力)から特定の制
御パラメータ(吸入空気量)を算出すると共に、仮想マ
ップを逆方向に検索して、特定の制御パラメータ(吸入
空気量)から非固定パラメータ(吸気圧力)を算出す
る。
Description
ータを有するマップを用いて、特定の制御パラメータを
算出する車両用制御装置及び制御パラメータの算出方法
に関するものである。
は、制御又は検出の対象となるパラメータとして、例え
ば、吸入空気量、吸気圧力、エンジン回転速度、冷却水
温、吸気温、大気圧、吸気/排気バルブタイミング等の
多数のパラメータが存在し、今後、このパラメータの数
が益々増加するものと予想される。これらのパラメータ
は、相互に影響を及ぼし合いながら変動するため、例え
ば、吸気圧力の検出値(吸気圧力センサの出力値)から
筒内に充填される吸入空気量を推定してスロットル開度
を制御するシステムでは、吸気圧力、エンジン回転速
度、冷却水温、吸気温、大気圧、吸気/排気バルブタイ
ミング等をパラメータとする多数の多次元マップを予め
作成して車載コンピュータのメモリに記憶しておき、エ
ンジン運転中に、車載コンピュータがメモリに記憶され
ている多数の多次元マップを検索して吸気圧力等から吸
入空気量を算出するようにしている。
に、吸入空気量等から吸気圧力を算出する必要もある。
例えば、バキュームリミッタ制御(筒内のエンジンオイ
ルの吸い上げ等を防止するための吸気圧力下限値の制
御)を行う際に、吸気圧力→吸入空気量への変換の他
に、それとは逆方向の吸入空気量→吸気圧力への変換も
必要になってくる。吸気圧力→吸入空気量、吸入空気量
→吸気圧力のいずれの方向に変換する場合でも、エンジ
ン回転速度、冷却水温、吸気温、大気圧、吸気/排気バ
ルブタイミング等のパラメータの影響を考慮する必要が
あるため、吸気圧力→吸入空気量への変換(以下「正変
換」という)を行う際に用いる多次元の正変換マップの
他に、それとは逆方向の吸入空気量→吸気圧力への変換
(以下「逆変換」という)を行う際に用いる多次元の逆
変換マップも必要となってくる。
換マップの他に、多次元の逆変換マップが必要になって
くる理由を説明する。正変換マップは、吸気圧力の他
に、エンジン回転速度、冷却水温、吸気温、大気圧、吸
気/排気バルブタイミング等をパラメータとするため、
パラメータの数が3個以上の3次元以上のマップとな
る。3個以上のパラメータを有する3次元以上のマップ
は、3個以上のパラメータから特定の制御パラメータを
算出する“正方向のマップ検索”は可能であるが、それ
とは逆に、特定の制御パラメータから3個以上のパラメ
ータのいずれかを算出する“逆方向のマップ検索”を行
うことは不可能である(この理由については後で更に詳
しく説明する)。このため、多次元の正変換マップの他
に、多次元の逆変換マップも必要になってくる。
マップを精度良く作成するには、多くの適合工数が必要
となるため、多次元の正変換マップを作成するだけでも
多くの適合工数がかかるのに、更に、多次元の逆変換マ
ップも作成するとなると、非常に多くの適合工数が必要
となり、適合作業性が悪いという欠点がある。しかも、
多数の多次元マップのデータを記憶するために車載コン
ピュータのメモリ容量を拡張する必要があり、コストア
ップを招くという欠点がある。更に、多次元マップの枚
数が非常に多いため、車載コンピュータのCPU演算負
荷も大きくなり、演算速度が低下して制御の応答性が低
下したり、或は、それを避けるために高性能のCPUに
取り替える必要が生じたりするという欠点もある。
ものであり、その目的は、正変換マップと逆変換マップ
との共用化を可能にすることで、車両設計開発段階で技
術者が作成するマップの枚数を減らして、マップ作成の
ための適合工数を大幅に削減することできると共に、マ
ップデータを記憶するのメモリ容量の節約とCPU演算
負荷軽減を実現することができる車両用制御装置及び制
御パラメータの算出方法を提供することにある。
は3以上の整数)のパラメータから特定の制御パラメー
タを算出するためのN次元の基礎マップを記憶手段に記
憶しておき、車両の運転中に、所定の演算周期で前記N
個のパラメータの中からN−1個又はN−2個のパラメ
ータを最新の値に固定してそれ以外のパラメータ(以下
「非固定パラメータ」という)から前記特定の制御パラ
メータを算出するための1次元又は2次元の仮想マップ
を前記N次元の基礎マップに基づいて作成する処理を仮
想マップ作成手段によって実行する。その後、制御パラ
メータ算出手段により、仮想マップを検索して前記非固
定パラメータから前記特定の制御パラメータを算出す
る。
仮想マップ作成手段として機能するプログラムを組み込
むことで、車両の運転中に車載コンピュータによって自
動的に仮想マップを作成することができる。しかも、仮
想マップの次元数を1次元又は2次元にすることで、非
固定パラメータが2個以下となるため、この仮想マップ
を逆方向に検索して特定の制御パラメータから非固定パ
ラメータを算出することが可能となる。従って、仮想マ
ップの次元数を2次元以下にすれば、その仮想マップを
正逆両方向のマップとして共用することができて、従来
システムで必要であった多次元の逆変換マップが不要と
なる。その結果、車両設計開発段階で技術者が作成する
マップの枚数を大幅に減らすことができて、マップ作成
のための適合工数を大幅に削減することでき、車両設計
開発期間を短くすることができる。しかも、マップデー
タを記憶するためのメモリ容量が少なくて済むと共に、
検索するマップ枚数を大幅に少なくすることができるの
で、CPU演算負荷も軽減することができる。
又は2次元の仮想マップを作成する際に、最新の値に固
定するN−1個又はN−2個のパラメータは、それ以外
のパラメータ(非固定パラメータ)と比較して変化の少
ないパラメータを選択するようにすると良い。変化の少
ないパラメータは、最新の値(直前の値)に固定して
も、誤差が小さく、精度の良い仮想マップを作成するこ
とができる。
N次元の基礎マップは、車両設計開発段階で技術者自身
が作成しなければならないため、基礎マップの作成枚数
を減らして、マップ作成のための適合工数をできるだけ
少なくするのが望ましく、そのためには、基礎マップの
次元数をできるだけ低次元化する必要がある。
理補正式を導入すると良い。具体的には、車両の制御又
は検出の対象となるパラメータの総数をN+K個(但し
Kは1以上の整数)とした場合に、N次元の基礎マップ
に用いるN個のパラメータ以外のK個のパラメータ(以
下「非マップパラメータ」という)を標準値に固定した
標準状態で測定したデータに基づいてN次元の基礎マッ
プを作成して記憶手段に記憶しておき、車両の運転中
に、制御パラメータ算出手段(車載コンピュータ)によ
り、実際の環境下における前記非固定パラメータの値を
物理補正式により前記標準状態における値に補正し、補
正後の非固定パラメータを用いて前記仮想マップから前
記標準状態における前記特定の制御パラメータを算出
し、当該標準状態における特定の制御パラメータの値を
物理補正式により実際の環境下における値に補正するよ
うにすると良い。このように、物理補正式を導入するこ
とで、基礎マップを低次元化することが可能となり、基
礎マップの作成枚数を減らして、マップ作成のための適
合工数を少なくすることができる。
メータとして標準値に固定して基礎マップを作成すれば
良く、物理補正式を気体の状態方程式から導き出すよう
にすれば良い。これにより、精度の良い物理補正式を導
き出すことができる。
少なくともエンジン回転速度と可変バルブタイミングと
し、非固定パラメータを吸気圧力とし、特定の制御パラ
メータを吸入空気量とすると良い。これにより、吸気圧
力から吸入空気量を精度良く算出することができる。そ
して、この吸入空気量から目標スロットル開度を算出し
てスロットルバルブを駆動すれば、応答良くスロットル
開度を制御することができる。
ルブタイミング機構付きのエンジンに適用した一実施形
態を図面に基づいて説明する。
ム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン
11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が
設けられ、このエアクリーナ13の下流側には、吸入空
気量を検出する熱式のエアフロメータ14と、吸気温T
air を検出する吸気温センサ33が設けられている。ま
た、エアフロメータ14の下流側には、モータ31で駆
動されるスロットルバルブ15と、スロットル開度を検
出するスロットル開度センサ16が設けられている。
は、サージタンク17が設けられ、このサージタンク1
7に、吸気圧力Pm を検出する吸気圧力センサ18が設
けられている。また、サージタンク17には、エンジン
11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が
設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート
近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り
付けられている。
ブ26は、それぞれ可変バルブタイミング機構28,2
9によって駆動され、エンジン運転状態に応じて吸気/
排気バルブタイミング(イカ「吸気/排気VVT」と表
記する)が調整される。尚、可変バルブタイミング機構
28,29は、油圧駆動式、電磁駆動式のいずれの方式
であっても良い。
は、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒22が設置さ
れている。この触媒22の上流側には、排出ガスの空燃
比(又は酸素濃度)を検出する空燃比センサ(又は酸素
センサ)23が設けられている。また、エンジン11の
シリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温セ
ンサ24と、エンジン回転速度Ne を検出するクランク
角センサ25等が設けられている。更に、車両の所定位
置に大気圧Patm を検出する大気圧センサ32が設けら
れている。
回路(以下「ECU」と表記する)30に入力される。
このECU30は、マイクロコンピュータを主体として
構成され、内蔵されたROM(記憶手段)に記憶された
図8のトルク制御ルーチンを実行することで、要求トル
クを演算し、この要求トルクを要求吸入空気量に変換し
て、その要求吸入空気量に応じた目標スロットル開度を
算出する。
(アクセル開度)、トランスミッション、クルーズコン
トロール、ABS、トラクションコントロール等からの
各種の要求トルクを合計したトルクに設定される。更
に、要求トルクを正確に実現するために、トルク補償制
御を実施する。
エアフロメータ14の出力(スロットル通過空気量)と
吸気圧力センサ18の出力(吸気圧力Pm )とに基づい
て筒内に充填される実吸入空気量Gn を算出し、この実
吸入空気量Gn を要求トルクから算出される要求吸入空
気量と比較して、要求吸入空気量を実現するようにスロ
ットル開度を補償する。
4の応答遅れの影響を無視できないため、応答性の良い
吸気圧力センサ18の出力(吸気圧力Pm )に基づいて
筒内に充填される実吸入空気量Gn を算出する。吸気圧
力Pm から実吸入空気量Gnを算出する場合は、クラン
ク角センサ25の出力(エンジン回転速度Ne )、大気
圧センサ32の出力(大気圧Patm )、吸気温センサ3
3の出力(吸気温Tair )、冷却水温センサ24の出力
(冷却水温Thw)、吸気VVT、排気VVTを考慮する
必要がある。従来は、これら7個のパラメータから実吸
入空気量Gn を算出する際に、7次元マップを用いる。
力Pm の下限ガード値(エンジンオイルの吸い上げや燃
焼性悪化等を防止するためのバキュームリミット圧力)
によって制限されるため、バキュームリミット圧力に相
当する吸入空気量下限値を算出し、もし、この要求吸入
空気量がバキュームリミット圧力に相当する吸入空気量
下限値よりも低くなっていれば、要求吸入空気量をバキ
ュームリミット圧力に相当する吸入空気量下限値で制限
する。
力Pm の上限値である大気圧Patmによって制限される
ため、吸気圧力Pm が大気圧Patm になったときの吸入
空気量を吸入空気量上限値として算出して、もし、要求
吸入空気量が吸入空気量上限値よりも多くなっていれ
ば、要求吸入空気量を吸入空気量上限値で制限する。
Patm (吸気圧力Pm の上限値)から吸入空気量下限値
・上限値を算出する際にも、吸気圧力Pm から実吸入空
気量Gn を算出する7次元マップを用いる。
から要求吸気圧力を算出して、実際の吸気圧力Pm が要
求吸気圧力に一致するように制御する。従来は、要求吸
入空気量から要求吸気圧力を算出する際に、7次元の逆
マップを用いる。
空気量Gn への変換と、吸入空気量Gn から吸気圧力P
m への変換を所定周期(例えば4ms周期)で行う必要
がある。しかし、従来のように、これら2方向の変換を
別々の7次元マップを用いて行うようにすると、車両設
計開発段階で技術者が作成するマップの枚数が非常に多
くなるため、膨大な適合工数が必要となり、生産性が悪
いばかりか、多数の7次元マップのデータを記憶するた
めにECU30のROMのメモリ容量を拡張する必要が
あり、コストアップを招くという欠点がある。しかも、
7次元マップの枚数が非常に多いため、ECU30のC
PU演算負荷も大きくなり、演算速度が低下して制御の
応答性が低下したり、或は、それを避けるために高性能
のCPUに取り替える必要が生じたりするという欠点も
ある。
よるマップの低次元化と、2次元以下の仮想マップに
よるマップの正逆共用化とによって上記の問題点を解消
する。以下、この制御仕様について図2乃至図4を用い
て具体的に説明する。
考慮すべきパラメータを、吸気圧力Pm 、エンジン回転
速度Ne 、吸気VVT、排気VVT、大気圧Patm 、吸
気温Tair 、冷却水温Thwの7個のパラメータとした場
合に、大気圧Patm 、吸気温Tair 、冷却水温Thwの3
個のパラメータ(以下「非マップパラメータ」という)
を標準値に固定した標準状態で測定したデータに基づい
て、標準状態における吸気圧力Pmnorm 、エンジン回転
速度Ne 、吸気VVT、排気VVTの4個のパラメータ
から、標準状態における吸入空気量Gnnorm を算出する
4次元の基礎マップを作成してECU30のROMに記
憶しておく。
中に、ECU30により、実際の環境下における吸気圧
力Pm を物理補正式により前記標準状態における値Pmn
ormに補正(標準化)し、補正後の吸気圧力Pmnorm を
後述する仮想マップにより前記標準状態における吸入空
気量Gnnorm に変換し、当該標準状態における吸入空気
量Gnnorm を物理補正式により実際の環境下における値
(実環境値)Gn に補正する。
れに気体の状態方程式を適用して求められた下記の充填
効率式(1)から導き出される。 Gn =ηv ×Pm ×Vc /(2×R×Tair ) ……(1) Gn :筒内に吸入される吸入空気量[g/rev] ηv :体積効率 Pm :吸気圧力[hPa] Vc :全シリンダ容積[m3 ] R :気体定数 Tair :吸気温[K]
Patm の標準値を1013[hPa]、吸気温Tair の
標準値を293.15[K]とすると、実際に検出した
吸気圧力Pm を標準状態における吸気圧力Pmnorm に補
正する物理補正式は、大気圧標準値(1013[hP
a])と実際の大気圧Patm を用いて次式のように表さ
れる。 Pmnorm =Pm ×1013/Patm ……(2)
orm は、上記(1)式、(2)式の関係から導き出した
次式で算出される。 Gnnorm =ηv ×(Pm ×1013/Patm ) ×Vc /(2×R×293.15) ……(3)
における吸入空気量Gnnorm を、実際の環境下における
吸入空気量Gn に補正する物理補正式は、上記(1)
式、(3)式の関係から次のように表される。 Gn =Gnnorm ×(Patm /1013)×(293.15/Tair ) ……(4)
を吸入空気量Gn に変換する際に用いる物理補正式であ
るが、これとは逆に、吸入空気量Gn を吸気圧力Pm に
変換する際に用いる物理補正式は、次の(5)式、
(6)式で表される。 Gnnorm =Gn ×(1013/Patm )×(Tair /293.15) ……(5) Pm =Pmnorm ×(Patm /1013) ……(6)
1013[hPa]、吸気温Tairの標準値=293.
15[K]としたが、要は、後述する4次元の基礎マッ
プを作成するためのデータを測定する際に設定した非マ
ップパラメータ(大気圧、吸気温、冷却水温)の固定値
を標準値とすれば良い。
却水温の影響が無視されているが、吸気温と冷却水温の
両方の影響を総合的に評価する温度補正係数を用いて、
上記物理補正式(4)、(5)を次のように変更しても
良い。 Gn =Gnnorm ×(Patm /1013)×温度補正係数 ……(7) Gnnorm =Gn ×(1013/Patm )/温度補正係数 ……(8)
で、従来の7次元マップを4次元の基礎マップに低次元
化することがてきる。
(パラメータが3個以上)である場合は、3個以上のパ
ラメータから特定の制御パラメータを算出する“正方向
のマップ検索”は可能であるが、それとは逆に、特定の
制御パラメータから3個以上のパラメータのいずれかを
算出する“逆方向のマップ検索”を行うことができない
ため、逆方向のマップ検索が必要となる場合は、逆方向
のマップも作成する必要がある。
る。図3(a)は、吸気圧力Pm 、エンジン回転速度N
e 、吸気VVTの3個のパラメータから吸入空気量Gn
を算出する3次元マップを概念的に示したものである。
この3次元マップを用いて、吸気圧力Pm を吸入空気量
Gn に変換する場合は、現在の吸気VVT位置に隣接す
る2つの吸気VVT位置(例えば0℃A,20℃A)に
おける吸入空気量A,Bを4点補間により算出する。
B22は、吸入空気量のマップデータである。
は、2つの吸気VVT位置(例えば0℃A,20℃A)
における吸入空気量A,Bを現在の吸気VVT位置で2
点補間して求められる。 Gn =2点補間(A,B,吸気VVT位置)
元マップを逆方向に検索して、吸入空気量Gn を吸気圧
力Pm に変換しようとすると、現在の吸気VVT位置
(例えば10℃A)に隣接する2つの吸気VVT位置
(例えば0℃A,20℃A)における2つの吸入空気量
A,Bが必要となる。しかし、現在の吸気VVT位置
(例えば10℃A)における吸入空気量Gn からは、2
つの吸気VVT位置(例えば0℃A,20℃A)におけ
る2つの吸入空気量A,Bを一義的に決定することがで
きないため、3次元マップを逆方向に検索して吸入空気
量Gn を吸気圧力Pmに変換することは不可能である。
そのため、3次元マップの逆方向の検索が必要となる場
合は、逆方向の3次元マップも作成する必要がある。
正逆共用化を実現するために、4次元の基礎マップから
図4に示す1次元の仮想マップをECU30で作成す
る。以下、この仮想マップの作成方法を説明する。
(標準状態における吸気圧力Pmnorm、エンジン回転速
度Ne 、吸気VVT、排気VVT)のうち、エンジン回
転速度Ne 、吸気VVT、排気VVTは、吸気圧力Pm
と吸入空気量Gn との変換処理に要する時間(例えば1
ms)ではほとんど変化しないため、これらのほとんど
変化しない3個のパラメータ(エンジン回転速度Ne 、
吸気VVT、排気VVT)を最新の値に固定し、非固定
パラメータを吸気圧力Pmnorm のみとすることで、4次
元の基礎マップから、吸気圧力Pmnorm と吸入空気量G
nnorm との関係を検索して図4に示す1次元の仮想マッ
プを作成する。この仮想マップは、要求される変換処理
周期(例えば4ms)で更新される。
タのうちの2個のパラメータのみを最新の値に固定し、
非固定パラメータを2個とすることで、4次元の基礎マ
ップから2次元の仮想マップを作成するようにしても良
く、この場合でも、マップの正逆共用化が可能である。
しNは3以上の整数)とすると、マップの正逆共用化を
可能とするためには、基礎マップのN個のパラメータの
中から、変化の少ないN−1個又はN−2個のパラメー
タを最新の値に固定して、非固定パラメータを1個又は
2個とすることで、N次元の基礎マップから1次元又は
2次元の仮想マップを作成するようにすれば良い。マッ
プの正逆共用化が必要でない場合は、3次元以上の仮想
マップを作成するようにしても良い。以上説明したマッ
プ検索処理は、ECU30によって図5乃至図7の各ル
ーチンに従って実行される。以下、これら各ルーチンの
処理内容を説明する。
期(例えば4ms)で起動され、吸気圧力Pm 等から吸
入空気量Gn を算出するルーチンであり、特許請求の範
囲でいう制御パラメータ算出手段としての役割を果た
す。本ルーチンが起動されると、まずステップ101
で、各センサの出力を読み込んで現在の運転条件(吸気
圧力Pm 、エンジン回転速度Ne 、吸気VVT、排気V
VT、大気圧Patm 、吸気温Tair 、冷却水温Thw)を
検出した後、ステップ102に進み、下記の物理補正式
により、実際に検出した吸気圧力Pm を標準状態におけ
る吸気圧力Pmnormに補正(標準化)する。 Pmnorm =Pm ×1013/Patm
図6の仮想マップ作成ルーチンによって作成された1次
元の仮想マップを検索して、標準状態における吸気圧力
Pmnorm を標準状態における吸入空気量Gnnorm に変換
する。この後、ステップ104に進み、下記の物理補正
式により、標準状態における吸入空気量Gnnorm を実環
境下における値(実環境値)Gn に補正する。 Gn =Gnnorm ×(Patm /1013)×(293.1
5/Tair )
空気量Gn を出力して本ルーチンを終了する。尚、吸気
圧力Pm の他に、空気量への変換が必要な各種圧力(例
えばバキュームリミット圧力、大気圧Patm )について
も、ステップ102で、同様の物理補正式により、標準
状態における圧力に補正し、次のステップ103で、1
次元の仮想マップを検索して、標準状態における圧力を
標準状態における空気量に変換し、続くステップ104
で、同様の物理補正式により、標準状態における空気量
を実環境値に補正するようにすれば良い。
図5の吸入空気量算出ルーチンを実行する直前に起動さ
れ、特許請求の範囲でいう仮想マップ作成手段としての
役割を果たす。
201で、4次元の基礎マップの4個のパラメータ(標
準状態における吸気圧力Pmnorm 、エンジン回転速度N
e 、吸気VVT、排気VVT)のうち、短時間ではほと
んど変化しない3個のパラメータ(エンジン回転速度N
e 、吸気VVT、排気VVT)を最新の値(直前に検出
した値)に固定して、非固定パラメータを吸気圧力Pmn
orm のみとする。
回転速度Ne 、吸気VVT、排気VVTを最新の値に固
定した条件で、4次元の基礎マップから、吸気圧力Pmn
ormと吸入空気量Gnnorm との関係を検索して図4に示
す1次元の仮想マップを作成する。
ップは、図5の吸入空気量算出ルーチンのステップ10
3で、吸入空気量Gnnorm を算出する正マップとして使
用される他に、図7の吸気圧力算出ルーチンのステップ
303で、吸気圧力Pmnormを算出する逆マップとして
も使用される。
(例えば4ms)で起動され、1次元の仮想マップを逆
方向に検索して、吸入空気量Gn 等から吸気圧力Pm を
算出するルーチンであり、特許請求の範囲でいう制御パ
ラメータ算出手段としての役割を果たす。
301で、各センサの出力を読み込んで現在の運転条件
(吸入空気量Gn 、エンジン回転速度Ne 、吸気VV
T、排気VVT、大気圧Patm 、吸気温Tair 、冷却水
温Thw)を検出した後、ステップ302に進み、下記の
物理補正式により、実際に検出した吸入空気量Gn を標
準状態における吸入空気量Gnnorm に補正する。 Gnnorm =Gn ×(1013/Patm )×(Tair /2
93.15)
の仮想マップ作成ルーチンによって作成された1次元の
仮想マップを逆方向に検索して、標準状態における吸入
空気量Gnnorm を標準状態における吸気圧力Pmnorm に
変換する。このステップ303の処理が特許請求の範囲
でいう逆マップ検索手段としての役割を果たす。この
後、ステップ304に進み、下記の物理補正式により、
標準状態における吸気圧力Pmnorm を実環境下における
値(実環境値)Pm に補正する。 Pm =Pmnorm ×(Patm /1013)
圧力Pm を出力して本ルーチンを終了する。尚、吸入空
気量Gn の他に、圧力への変換が必要な空気量(例えば
要求吸入空気量)についても、ステップ302で、同様
の物理補正式により、標準状態における空気量に補正
し、次のステップ303で、1次元の仮想マップを逆方
向に検索して標準状態における空気量を標準状態におけ
る圧力に変換し、続くステップ304で、同様の物理補
正式により、標準状態における圧力を実環境値に補正す
るようにすれば良い。
の各ルーチンを所定周期(例えば4ms周期)で実行し
ながら、特許請求の範囲でいう制御手段として機能する
図8のトルク制御ルーチンを所定周期(例えば8ms周
期)で実行して、次のようにしてトルク制御を実行す
る。
と、まずステップ401で、アクセル操作量(アクセル
開度)、トランスミッション、クルーズコントロール、
ABS、トラクションコントロール等からの各種の要求
トルクを合計して、最終的な要求トルクを求める。この
後、ステップ402に進み、要求トルクを要求吸入空気
量に変換した後、ステップ403に進み、現在の運転状
態に応じてバキュームリミット圧力(吸気圧力Pm の下
限ガード値)を算出する。
及び図6の各ルーチンによって、バキュームリミット圧
力を吸入空気量下限値に変換する。この後、ステップ4
05に進み、要求吸入空気量が吸入空気量下限値以上で
あるか否かを判定し、要求吸入空気量が吸入空気量下限
値以上であれば、その要求吸入空気量をそのまま用いる
が、もし、要求吸入空気量が吸入空気量下限値よりも少
なければ、ステップ406に進み、吸入空気量下限値を
要求吸入空気量とする。
空気量を目標スロットル開度に変換する。このステップ
407の処理が特許請求の範囲でいう目標スロットル開
度算出手段としての役割を果たす。そして、次のステッ
プ408で、実スロットル開度を目標スロットル開度に
一致させるようにスロットルバルブ15をモータ31に
より駆動する。このステップ408の処理が特許請求の
範囲でいうスロットル制御手段としての役割を果たす。
7次元マップを物理補正式によって4次元の基礎マップ
に低次元化した上で、その基礎マップのパラメータの中
から、短時間ではほとんど変化しないパラメータ(エン
ジン回転速度Ne 、吸気VVT、排気VVT)を最新の
値に固定し、非固定パラメータを吸気圧力のみとするこ
とで、4次元の基礎マップから1次元の仮想マップを作
成するようにしたので、マップの低次元化とマップの正
逆共用化の要求を同時に満たすことができて、車両設計
開発段階で技術者が作成するマップの枚数を大幅に減ら
すことができる。これにより、マップ作成のための適合
工数を大幅に削減することができ、生産性を向上できる
と共に、マップデータを記憶するためのメモリ容量が少
なくて済み、低コスト化の要求を満たすことができる。
しかも、マップの低次元化によりECU30のCPU演
算負荷を軽減することができて、演算速度ひいては制御
の応答性を向上することができる。
なるパラメータの数を7個としたが、これよりも多くて
も少なくても良く、同様に、基礎マップの次元数も4次
元に限定されず、3次元又は5次元以上であっても良
い。また、基礎マップから仮想マップを作成する際に固
定するパラメータの数も3個に限定されないことは言う
までもない。
パラメータは、エンジン制御パラメータに限定されず、
例えば、自動変速機の制御パラメータ、車両統合制御用
のパラメータ等、車両の各種のシステムの制御パラメー
タを算出する場合にも本発明を適用して実施することが
できる。その他、本発明を適用可能なエンジンは、吸気
ポート噴射式のエンジンに限定されず、筒内噴射式のエ
ンジンにも適用できることは言うまでもない。
ム全体の概略構成図
検索方法を説明する図
説明する図、(b)は3次元マップの逆方向のマップ検
索が不可能であることを説明する図
ローチャート
ローチャート
ーチャート
チャート
アフローメータ、15…スロットルバルブ、18…吸気
圧力センサ、20…燃料噴射弁、21…排気管、25…
吸気バルブ、26…排気バルブ、28,29…可変バル
ブタイミング機構、30…ECU(仮想マップ作成手
段,制御パラメータ算出手段,逆マップ検索手段,目標
スロットル開度算出手段,制御手段,スロットル制御手
段)、31…モータ、32…大気圧センサ、33…吸気
温センサ。
Claims (9)
- 【請求項1】 N個(但しNは3以上の整数)のパラメ
ータから特定の制御パラメータを算出するためのN次元
の基礎マップを記憶する記憶手段と、 車両の運転中に所定の演算周期で前記N個のパラメータ
の中から一部のパラメータを最新の値に固定してそれ以
外のパラメータ(以下「非固定パラメータ」という)か
ら前記特定の制御パラメータを算出するための低次元の
仮想マップを前記N次元の基礎マップに基づいて作成す
る仮想マップ作成手段と、 前記仮想マップを検索して前記非固定パラメータから前
記特定の制御パラメータを算出する制御パラメータ算出
手段と、 前記特定の制御パラメータに基づいて車両の制御対象を
制御する制御手段とを備え、 前記仮想マップ作成手段は、前記N個のパラメータの中
からN−1個又はN−2個のパラメータを最新の値に固
定して前記N次元の基礎マップに基づいて1次元又は2
次元の仮想マップを作成することを特徴とする車両用制
御装置。 - 【請求項2】 前記最新の値に固定するN−1個又はN
−2個のパラメータは、それ以外の前記非固定パラメー
タと比較して変化の少ないパラメータであることを特徴
とする請求項1に記載の車両用制御装置。 - 【請求項3】 前記制御パラメータ算出手段は、前記1
次元又は2次元の仮想マップを前記特定の制御パラメー
タから前記非固定パラメータを算出するための逆マップ
として兼用し、該仮想マップを逆方向に検索して前記特
定の制御パラメータから前記非固定パラメータを算出す
る逆マップ検索手段を備えていることを特徴とする請求
項1又は2に記載の車両用制御装置。 - 【請求項4】 車両の制御又は検出の対象となるパラメ
ータの総数は、N+K個(但しKは1以上の整数)であ
り、 前記N次元の基礎マップは、該基礎マップに用いるN個
のパラメータ以外のK個のパラメータ(以下「非マップ
パラメータ」という)を標準値に固定した標準状態で測
定したデータに基づいて作成され、 前記制御パラメータ算出手段は、実際の環境下における
前記非固定パラメータの値を物理補正式により前記標準
状態における値に補正し、補正後の非固定パラメータを
用いて前記仮想マップから前記標準状態における前記特
定の制御パラメータを算出し、当該標準状態における特
定の制御パラメータの値を物理補正式により実際の環境
下における値に補正することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の車両用制御装置。 - 【請求項5】 前記非マップパラメータは、少なくとも
吸気温と大気圧を含む2個以上のパラメータからなり、 前記物理補正式は、気体の状態方程式から導き出されて
いることを特徴とする請求項4に記載の車両用制御装
置。 - 【請求項6】 前記最新の値に固定するパラメータを、
少なくともエンジン回転速度と可変バルブタイミングを
含む2個以上のパラメータとし、前記非固定パラメータ
を吸気圧力とし、前記特定の制御パラメータを吸入空気
量とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
記載の車両用制御装置。 - 【請求項7】 前記制御手段は、前記特定の制御パラメ
ータとして算出された吸入空気量から目標スロットル開
度を算出する目標スロットル開度算出手段と、前記目標
スロットル開度に基づいてスロットルバルブを駆動する
スロットル制御手段とを備えていることを特徴とする請
求項6に記載の車両用制御装置。 - 【請求項8】 N個(但しNは3以上の整数)のパラメ
ータから特定の制御パラメータを算出するためのN次元
の基礎マップを用いて前記特定の制御パラメータを算出
する制御パラメータの算出方法において、 車両の運転中に、所定の演算周期で前記N個のパラメー
タの中から変化の少ないN−1個又はN−2個のパラメ
ータを最新の値に固定してそれ以外のパラメータ(以下
「非固定パラメータ」という)から前記特定の制御パラ
メータを算出するための1次元又は2次元の仮想マップ
を前記N次元の基礎マップに基づいて作成し、 その後、前記仮想マップを検索して前記非固定パラメー
タから前記特定の制御パラメータを算出し、 更に、前記仮想マップを前記特定の制御パラメータから
前記非固定パラメータを算出するための逆マップとして
兼用することを特徴とする制御パラメータの算出方法。 - 【請求項9】 車両の制御又は検出の対象となるパラメ
ータの総数は、N+K個(但しKは1以上の整数)であ
り、 前記N次元の基礎マップは、該基礎マップに用いるN個
のパラメータ以外のK個のパラメータ(以下「非マップ
パラメータ」という)を標準値に固定した標準状態で測
定したデータに基づいて作成され、 車両の運転中に、実際の環境下における前記非固定パラ
メータの値を物理補正式により前記標準状態における値
に補正し、補正後の非固定パラメータを用いて前記仮想
マップから前記標準状態における前記特定の制御パラメ
ータを算出し、当該標準状態における特定の制御パラメ
ータの値を物理補正式により実際の環境下における値に
補正することを特徴とする請求項8に記載の制御パラメ
ータの算出方法。
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- 2002-04-11 JP JP2002108652A patent/JP4069409B2/ja not_active Expired - Fee Related
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- 2003-04-10 DE DE2003116548 patent/DE10316548A1/de not_active Withdrawn
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