JP2010214715A - 平版印刷版の処理方法及びそれに用いる版面処理液 - Google Patents

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Abstract

【課題】銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版の処理方法において、画像銀の親油性を損なうことなく非画像部の親水性を向上させ、特に非画像部のインキ汚れや、ブランケット汚れを改善する製版方法を提供すること及び上記製版方法において、使用される処理液が長期にわたる保存にも安定である処理液を提供すること。
【解決手段】ハロゲン化銀乳剤層の上層に物理現像核層を有する銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理方法において、現像処理後に下記一般式1で表される化合物の存在下で処理することを特徴とする平版印刷版の処理方法及びそれに用いる版面処理液。
【化1】
Figure 2010214715

【選択図】なし

Description

本発明は、銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版の処理方法及びそれに用いる版面処理液に関するものである。
平版印刷版は、水とインキの両方を版面に供給して、画像部は着色性のインキを、非画像部には水を選択的に受け入れ、該画像上のインキを例えば紙などの被印刷体に転写させることによって印刷がなされる。また、通常、平版印刷版はオフセット印刷において使用される。即ち、版面の画像部上のインキを一旦ブランケットと呼ばれるゴム製表面のシリンダーに転写させ、その転写させたインキをさらに被印刷体に転写させることによって印刷がなされる。
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版(以降DTR平版印刷版とも称する)、特にハロゲン化銀乳剤層の上層に物理現像核層を有する平版印刷版は、例えば、米国特許第3,728,114号明細書、同第4,134,769号明細書、同第4,160,670号明細書、同第4,336,321号明細書、同第4,501,811号明細書、同第4,510,228号明細書、同第4,621,041号明細書等に記載されている。
露光されたハロゲン化銀結晶は現像処理により乳剤層中で化学現像を生じて黒化銀となり、親水性の非画像部を形成する。一方、未露光のハロゲン化銀結晶は、現像液中の銀錯塩形成剤により可溶化し表面の物理現像核層まで拡散、さらに物理現像核上に現像主薬の還元作用によっていわゆる溶解物理現像を生じ、インキ受容性の親油性表面を有する画像銀として析出する。
通常のDTR平版印刷版の製版方法としては、露光、現像処理に引き続いて中和(安定化)処理が施される。中和処理は現像処理でアルカリ性、還元性になった版面を中和することで、版面に化学的安定性を付与する工程で、版面で不要な化学反応が生じることを防ぐため、あるいは取り扱いを容易にするため、あるいは印刷時に給湿液の汚染を防ぐためにも必須のものである。
上記のような工程を経たDTR平版印刷版の性能にとって、黒化銀となった非画像部の親水性と画像銀の親油性のコントラストは非常に重要である。一般的に平版印刷のトラブルは、しばしば、画像部のインキ受容性が低いためにインキが付着しない現象(インキ着肉不良)、あるいは非画像部の親水性が不十分なために不要なインキが非画像部に付着する現象(印刷汚れ)として現れる。このようなトラブルは、生産性の低下を招くだけでなく、用紙の損失や廃棄紙の増加など、当該業者にとって多大な経済的損失を招く。
インキ着肉不良や印刷汚れは、印刷機の状態や使用しているインキ、給湿液の特性に依存しているものの、平版印刷版における非画像部の親水性と画像銀の親油性のコントラストが高ければ本質的にこのようなトラブルは発生しにくくなる。即ち、非画像部の親水性と画像銀の親油性のコントラストの高い印刷版は、印刷条件の許容範囲がそれだけ広がることになる。特にDTR平版印刷版場合、陽極酸化されたアルミ表面を非画像部とするプレセンシタイズド版(PS版)と比較すると、非画像部の親水性を向上させることが難しく、その向上が望まれている。
さらに昨今、印刷の高速化やインキの環境対応などの変化によって、用紙には印刷汚れは発生しないものの、ブランケットの非画像部分にインキが堆積するブランケット汚れと呼ばれる現象が増加してきた。ブランケット汚れを放置したまま印刷を続けると、堆積したインキによってブランケットに凹みが生じたり、堆積したインキの固まりが剥がれて紙に転移して印刷汚れを生じたりする。また、紙の通過していない部分に極端にインキが堆積することによって紙の端面にインキが付着する額縁汚れと呼ばれる現象があり、この問題もブランケット汚れに起因する問題である。従ってブランケット汚れが発生した場合には、数千枚毎にブランケットを洗浄する必要があり、このような作業は印刷の生産性を著しく低下させる。ブランケット汚れの現象は、根本的には非画像部の親水性と関係すると考えられるが、印刷汚れの性能を良くしてもブランケット汚れは必ずしも改善せず、従来の印刷汚れとは異なった対応が必要である。
DTR平版印刷版の画像銀の親油性を高める方法としては、特公昭48−29723号公報、特開昭58−127928号公報、特開平6−79982号公報に記載のメルカプト基もしくはチオン基を有する化合物を用いることが一般的に行われており、このような化合物をうまく用いれば十分な親油性を得ることができる。
一方、DTR平版印刷版の非画像部の親水性を高めることに対しては、コロイダルシリカやコロイダルアルミナを版面に作用させる方法が、特開昭48−45305号公報、特開昭57−29046号公報、特開平5−301481号公報に開示されている。しかしながら、これらの無機微粒子はインキ汚れ防止という点でも不十分であり、さらに、ブランケット汚れについてもその効果は十分とは言えなかった。特開昭57−29046号公報には、無機微粒子に加えてメルカプト基もしくはチオン基と親水基を有する化合物を版面に作用させる方法が開示されている。しかし、この方法には処理液を長期にわたって保管した場合に本来の性能が低下するという問題とともに、処理方法によっては画像銀の親油性を極端に低下させると言う問題があった。さらに、特開平11−115341号公報には特定のモノチオエーテル化合物を版面に作用させる方法が開示されている。しかし、この方法においても非画像部の親水性向上の効果は十分でなく、特にブランケット汚れに関してはほとんど効果が見られなかった。
特開平11−115341号公報 特開平11−44959号公報 特開平10−62999号公報 特開昭57−29046号公報
従って、本発明の目的は銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版の処理方法において、画像銀の親油性を損なうことなく非画像部の親水性を向上させる処理方法を提供することであり、特に非画像部のインキ汚れや、ブランケット汚れを改善する製版方法を提供することである。さらに上記製版方法において、使用される処理液が長期にわたる保存にも安定である処理液を提供することである。
ハロゲン化銀乳剤層の上層に物理現像核層を有する銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理方法において、現像処理後に下記一般式1で表される化合物の存在下で処理することを特徴とする平版印刷版の処理方法、及びハロゲン化銀乳剤層の上層に物理現像核層を有する銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版の現像処理後に、その版面に付与する版面処理液であって、下記一般式1で表される化合物を含有することを特徴とする版面処理液によって本発明の課題は達成された。
Figure 2010214715
式中、nは1以上の整数を表し、RとRはそれぞれアルキル基又は置換アルキル基を表し、RとRとは同一でも異なっていても良い。Rは他の2価基が介在しても良いアルキレン基を表す。
本発明によって、画像銀の親油性を損なうことなく非画像部の親水性を向上させ、ブランケット汚れの低減された平版印刷版の処理方法を提供することができる。
本発明に用いられるチオエーテル化合物は、チオエーテル結合部位を2個以上含有することを特徴とする。このようなチオエーテル化合物は、DTR平版印刷版の製版方法においては、従来現像処理に用いられてきたものであり、特開平5−28348号公報、同平10−282674号公報、同平11−44959号公報、特開2001−281866号公報等に記載されている。しかるに、これらは全て現像処理に関するもので、現像処理後に積極的に使用された例は知られていない。
DTR平版印刷版の現像処理においては、親水性の非画像部となる黒化銀を形成する化学現像と、親油性の画像部となる画像銀を形成する物理現像が同時に進行する。従って、現像液の構成にとっては両者のバランスを保つことが非常に重要となる。化学現像に対して物理現像が過剰になれば黒化銀を形成すべき非画像部に画像銀の析出が起こり、物理現像が不足すれば印刷に耐えうる強い画像銀を得ることができない。
本発明に用いられるチオエーテル化合物は銀錯塩形成剤として働くために、現像液中では物理現像促進剤、場合によっては物理現像抑制剤となる。それゆえ、本発明に用いられるチオエーテル化合物は化学現像と物理現像のバランスに多大な影響を及ぼし、従って従来から画像形成を制御する目的で現像処理における検討がなされてきた。しかしながら、現像処理においてさえも、本発明のごとく非画像部の親水性との関連で検討された例は知られていない。
本発明者は様々な検討の中で、かかるチオエーテル化合物を含有する版面処理液で現像処理後にDTR平版印刷版を処理することによって、画像銀の親油性を損なうことなく非画像部の親水性を向上させることができることを見いだした。本発明は、現像処理後に新たな製版処理工程を設けて実施することもできるが、既存の処理工程で使用される版面処理液に、かかるチオエーテル化合物を新たに添加することでも実現できる。既存の処理工程としては、現像処理後に引き続き行われる中和処理、版面の不要物を洗浄する目的で行われる水洗処理、中和処理から印刷までの間に非画像部の不感脂化や画像部の感脂化などの目的で行われるいわゆるエッチ液による処理等を挙げることができ、さらに印刷中に使用される給湿液(湿し水とも言う)として使用する方法も本発明に含まれる。
本発明の処理の方法は、版面に処理液を接触させることができれば何れの形態であっても良く、一般的に行われる方法としては、貯留した液に印刷版を浸して絞りながら引き上げる浸漬方式、必要量のみを版面に供給する塗布方式、処理液を染みこませたスポンジ等で版面をこすることで液を供給する方法、回転するローラーに液を供給しそのローラーを版面に接触させることで版面に液を供給する方法等を挙げることができる。これら当該業者には良く知られた処理液に、かかるチオエーテル化合物を含有せしめ、その処理液を使って当該業者には良く知られた方法によって印刷版を処理することで、本発明の効果を得ることができる。
本発明に用いられるチオエーテル化合物は下記一般式1で表される。
Figure 2010214715
式中、nは1以上の整数を表し、RとRはそれぞれアルキル基又は置換アルキル基を表し、RとRとは同一でも異なっていても良く環を形成していても良い。Rは他の2価基が介在しても良いアルキレン基を表す。
本発明のチオエーテル化合物は、水溶性を高めるためにR又はRの少なくとも一つは、親水性基で置換されていることが好ましい。親水性基の例としては、アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、RとRが環を形成している場合、エーテル基のような親水性基で連結していることが好ましい。
は他の二価基が介在しても良いアルキレン基を表す。アルキレン基の間に介在することができる二価基としては、エーテル基、アミド基、スルホンアミド基などである。チオエーテルを形成する硫黄原子同士は相互作用して本発明の効果を発現するので、極端に離れていない方が良い。Rにおける硫黄原子間の原子数は、好ましくは10以下、より好ましくは7以下である。
nは1以上の整数を表し、好ましくは1から4である。またnが2以上の場合、各々のRは同一であっても異なっていても良い。
本発明に用いられるチオエーテル化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2010214715
一般式1で表されるチオエーテル化合物は、単独で使用しても二種以上併用しても良い。使用量に特に制限はないが、処理方法に応じて最適な使用量を決定することができる。即ち、処理時間を稼げる場合には比較的少量でも十分な効果を発揮することができるが、処理時間が短くなればより多くの量を使用した方が効果は大きい。多すぎても特に弊害はないが、最適量以上で使用しても効果はほとんど変わらないので、非経済的である。中和液やエッチ液として使用する場合の典型的な使用量は0.01モル/Lから0.2モル/Lである。また、給湿液として使用する場合は0.001モル/Lから0.02モル/Lが好適な量である。
一般的にDTR平版印刷版の処理における中和液は、現像処理でアルカリになった版面のpHを中和し、化学的に安定化する役割がある。従って、本発明を中和液に適用した場合も、その中和液のpHは中性から酸性に調整されていることが好ましい。該中和液のpHは7.5以下であることが好ましく、より好ましくは4〜7である。
該中和液には上記pH付近に緩衝性能を付与することが好ましい。緩衝剤としてはリン酸又はその塩、コハク酸、クエン酸等の有機酸又はその塩あるいはトリエタノールアミンのごとくアミン類を使用することが好ましい。リン酸塩を緩衝剤として使用する場合、その含有量は使用液にして0.05モル/L以上、好ましくは0.1〜1.0モル/Lの範囲で添加する。リン酸塩としてはカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、あるいは前述のトリエタノールアミンのごとくアミン類との塩等を用いることができる。
該中和液には、画像銀の親油性を向上させる目的で、親油化剤としてメルカプト基又はチオン基を有する化合物を含有させることができる。例えば特公昭48−29723号公報、特開昭58−127928号公報等に記載されている化合物が挙げられる。特に炭素数が3〜12のアルキル基、アリール基、アルケニル基等の親油性基を有する含窒素複素環化合物が好ましい。
上記化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
該中和液には、上記の化合物以外にも必要に応じて一般に使われている保恒剤、保存剤、湿潤剤、防腐剤、防錆剤及び界面活性剤等を混合することができる。また、例えば、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸等の錯化剤も混合することができる。さらに、コロイダルシリカ等の無機の微粒子も混合することができる。
本報におけるエッチ液とは、中和処理の後、印刷までの間に様々な目的で版面処理を行うために使用される処理液を意味する。代表的な例として、非画像部の親水性を維持、強化するための不感脂化処理、画像銀の親油性の維持向上を目的とした感脂化処理を挙げることができる。さらに版面につく傷や汚れを防ぐあるいはそれを除去、補修するような目的で使用される処理液もエッチ液と呼称する。また、印刷の立ち上がりをスムーズにするために印刷直前に版面を処理することが広く行われているが、このような処理で使用される処理液も、本報ではエッチ液と呼称する。これらのエッチ液に一般式1で表されるチオエーテル化合物を添加することで、新たな工程を設けることなく本発明を実施することができる。
本発明をエッチ液に適用した場合、そのエッチ液は、目的に応じて最適なpHに調整することができ、さらに上記pH付近に緩衝性能を付与することができる。pH緩衝剤としては無機酸、有機酸、あるいはアミン類を使用することができる。
また、該エッチ液には、画像銀の親油性を向上させるために、親油化剤として中和液と同様のメルカプト基又はチオン基を有する化合物を含有させることができる。上記の化合物以外にも一般に使われている保恒剤、保存剤、湿潤剤、防腐剤及び界面活性剤等を混合することができる。また、例えば、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸等の錯化剤も混合することができる。さらに、コロイダルシリカ等の無機の微粒子も混合することができる。
一般式1で表されるチオエーテル化合物を含有する給湿液を使用して印刷を行うことでも本発明を実施することができる。本発明を給湿液に適用した場合、一般式1で表されるチオエーテル化合物を含有すること以外には、特に制限はない。現在、非常に多くの種類の給湿液が市販されており、これらの給湿液に一般式1で表されるチオエーテル化合物を添加し、その給湿液を使用して印刷することで本発明を実施することができる。
本発明を給湿液に適用した場合、その給湿液には、一般的に給湿液に使用されている化合物、例えば、pH緩衝剤、水溶性高分子、界面活性剤、可溶化剤、防腐剤、防錆剤、キレート化合物、泡消剤、着色剤、腐食防止剤等の成分を必要に応じて含有させることができる。また、イソプロピルアルコール又はその代替品を使用することもできる。イソプロピルアルコールの代替品については、一般的に知られているものを使用することができ、例えば、特開2005−231296号公報の記載を参考にすることができる。さらに、コロイダルシリカ等の無機微粒子も混合することができる。
本発明における現像処理は、特開平10−282674号公報、同11−449559号公報等に記載の公知の方法を用いることができる。現像処理に用いられる化合物は、アルカリ剤、銀錯塩形成剤、還元剤、さらに還元反応を調節するために現像抑制剤、現像促進剤等を用いることができ、界面活性剤、増粘剤等を用いることもできる。現在広く行われている方法においては、現像主薬となる還元剤は印刷版に担持させ、現像液には実質的に含まないアルカリ活性化液を現像液として使用する。このような現像液の基本的な構成は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、アミン類、チオエーテル類等の銀錯塩形成剤からなり、さらに必要に応じて、現像抑制剤、現像促進剤、界面活性剤、増粘剤等が用いられる。
本発明における現像処理は浸漬現像方式であっても塗布現像方式であっても良い。塗布現像方式は、現像液の使用量、廃液量が少なく環境面においても経済面においても有利な現像方式である。
本発明に用いられる銀錯塩拡散転写法を応用した平版印刷版の実施態様は、支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有しその上層に物理現像核層を順次塗布されてなる構成の平版印刷版であり、ハロゲン化乳剤層の下層には下塗層を設けることが好ましい。これら順次塗布された層の総ゼラチン量は1〜4g/mであることが好ましい。
本発明のDTR平版印刷版はバインダーとしてゼラチンを含有しており、その含有層は下塗層であり、乳剤層であり、また物理現像核層でもありうる。また、ゼラチンの一部を澱粉、デキストリン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシルエチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルルチルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の親水性高分子の一種又は二種以上で置換することもできる。
これらのゼラチン含有層は、ゼラチン硬膜剤で硬化することができる。ゼラチン硬膜剤としては、例えば、クロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオギザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−s−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に2個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。
硬膜剤は全ての層に添加することもでき、幾つか又は一層にのみ添加することも可能である。もちろん、拡散性の硬膜剤は二層同時添加の場合、何れか一層にのみ添加することが可能である。添加方法は塗液製造時に添加することも、塗布時にインラインで添加することもできる。
本発明においては、DTR平版印刷版の感光面側の構成層中に平均粒子サイズが0.3〜5.0μmであるマット化剤を用いることが好ましい。本発明に用いるマット化剤は、例えば、シリカ粒子などの無機粒子、ポリスチレンなどの有機物粒子等がある。
本発明においては、前記マット化剤は支持体とハロゲン化銀乳剤層の間の下塗層に含まれることが好ましい。マット化剤の添加量は、種々の条件により異なるが、感光面側の構成層中に0.1〜5.0g/mの範囲で含まれることが好ましく、好ましくは0.3〜3.5g/mの範囲である。
下塗層にはハレーション防止の目的でカーボンブラック等の顔料、染料等を含ませることができる。さらに現像主薬等の写真用添加物も含むことができる。また下塗層は特開昭48−5503号公報、同昭48−100203号公報、同昭49−16507号公報に記載のような下塗層であっても良い。
本発明の実施に用いられるDTR平版印刷版のハロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩臭ヨウ化銀等が使用でき、好ましくは塩化銀が70モル%以上のハロゲン化銀である。これらを含有するハロゲン化銀乳剤は分光増感剤(光源、用途に応じた分光増感色素)、ゼラチン硬化剤、塗布助剤、かぶり防止剤、可塑剤、現像試薬、マット剤等を含むことができる。
本発明の平版印刷版に用いられる支持体は、紙、各種フィルム、プラスチック、樹脂様物質で被覆した紙、金属等が使用できる。
物理現像核層に使用される物理現像核は、この種の薬品の例として周知であって、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、パラジウム、ニッケル、銀、鉛、亜鉛等の金属及びこれらの硫化物が使用できる。また、特開平5−265164号公報記載の物理現像核を用いることもできる。物理現像核層にも現像主薬を含んでも良く、またバインダーを含んでも良い。
以下に本発明を実施例により説明するが、もちろん本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
175μmの下引き済みポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に平均粒子サイズ3.5μm(富士シリシア化学(株)製SY435)のシリカ粒子を含有するマット化層を設け、裏面とした。反対側の面(表面)をコロナ放電加工後、カーボンブラック、及び平均粒径3.5μmのシリカ粉末(富士シリシア化学(株)製SY435)0.3g/m含む下塗層(ゼラチン3.5g/m)と、その上に1−フェニル−3−ピラゾリドン0.1g/mを有する赤色増感色素にて増感された高感度塩化銀乳剤(ゼラチン0.8g/m含む)を硝酸銀として1.2g/mになるように、二層同時塗布を行った。架橋剤としては、ホルマリンを0.3g/m、メチロール化尿素化合物を0.3g/m用いた。
乾燥後、50℃で2日間加温した後に、物理現像核層として特開平8−211614号公報の実施例1に準じて、ハイドロキノンを0.5g/m含むように塗液を調製し、塗布、乾燥した。
このようにして得たDTR平版印刷版を幅414mm、長さ10mのロール状にし、三菱製紙(株)より市販されているSDP−Eco1630IIIRに装填することで、露光及び製版処理を行った。この装置は、波長630nmの赤色レーザーを用い、デジタルデータを走査露光方式によりDTR印刷版にデータ画像の潜像を形成させ、引き続いて、塗布現像、中和処理を行い、製版する自動製版装置である。
上記製版処理において、下記現像液を使用した。
<現像液>
水酸化ナトリウム 10g
水酸化カリウム 15g
無水亜硫酸ナトリウム 40g
N−(β−アミノエチル)エタノールアミン 10g
A−1の化合物 5g
2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール 0.2g
水で1Lとする。
下記中和液AからJを作成しそれぞれ中和処理に使用した。
<中和液A>
トリエタノールアミン 5g
リン酸二水素カリウム 15g
2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール 0.1g
リン酸 1.5g
水を加えて1Lとする。pHは6.0であった。
<中和液B>
<中和液A>1Lに対して2−メルカプトエタノールを50ミリモル添加した。
<中和液C>
<中和液A>1Lに対して2,2′−チオジエタノールを50ミリモル添加した。
<中和液D>
<中和液A>1Lに対して2,2′−ジチオジエタノールを50ミリモル添加した。
<中和液E>
<中和液A>1Lに対して(2−カルボキシエチル)チオコハク酸50ミリモル添加し、水酸化ナトリウムでpH6.0に調整した。
<中和液F>
<中和液A>1Lに対してA−1の化合物を50ミリモル添加した。
<中和液G>
<中和液A>1Lに対してA−3の化合物を50ミリモル添加した。
<中和液H>
<中和液A>1Lに対してA−7の化合物を50ミリモル添加した。
<中和液I>
<中和液A>1Lに対してA−8の化合物を50ミリモル添加した。
<中和液J>
<中和液A>1Lに対してA−13の化合物を50ミリモル添加した。
上記記載の方法で製版された平版印刷版を、印刷機SPRINT26((株)小森コーポレーション製オフセット印刷機の商標)、インキ(DIC(株)製フュージョンG墨S)、給湿液(三菱製紙(株)製ODPSIIIを1.0質量%で使用)、紙(三菱製紙(株)製パールコート)を使用して5千枚の印刷を行い、インキ受容性とブランケット汚れを評価した。なお、印刷のスタートは、版胴に水着けローラーを接触させたまま紙を送らずに一分間回転させて版全体を湿らせた後、通常通り紙を送りはじめて印刷を行う方法をとった。さらにインキをDIC(株)製F−Gross紫S、給湿液を(株)フジグラフィックスシステム製エコリティ2(1.0質量%で使用)を使用して5千枚の印刷を行い、印刷汚れを評価した。
インキ受容性の評価は、良好な画像濃度で濃度ムラのない印刷物が得られるまでの印刷枚数として評価した。ブランケット汚れの評価は、5千枚印刷後の非画像部のブランケットの汚れの程度から次の3つの水準で行った。
○:ブランケット汚れがほとんどない
(ブランケットの色は元のまま)
△:ブランケットが汚れている
(ブランケットの色は元の色とインキの色との中間程度)
×:著しくブランケットが汚れている
(ブランケットの色がほぼインキの色に染まる)
印刷汚れの試験では、印刷物の非画像部にインキ汚れが発生する枚数で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2010214715
実施例2
中和液と同様に、下記エッチ液AからFを作成し、実施例1において中和液Aを使用して製版した印刷版に対してそれぞれエッチング処理を行った。エッチング処理はHP−420e(岩崎通信機(株)製)を使用した。さらに、エッチ液AからFを30℃で1ヶ月間密閉保管した後に、そのエッチ液を使って同様の処理を行った。
<エッチ液A>
クエン酸三ナトリウム二水和物 2g
2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール 1.0g
ジプロピレングリコール 50g
クエン酸 1g
コロイダルシリカ20%液 10g
水を加えて1Lとし、水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整する。
<エッチ液B>
<エッチ液A>1Lに対して2−メルカプトエタノールを50ミリモル添加した。
<エッチ液C>
<エッチ液A>1Lに対して(2−カルボキシエチル)チオコハク酸を50ミリモル添加し、水酸化ナトリウムでpH5.0に調整した。
<エッチ液D>
<エッチ液A>1Lに対してA−1の化合物を50ミリモル添加した。
<エッチ液E>
<エッチ液A>1Lに対してA−3の化合物を50ミリモル添加した。
<エッチ液F>
<エッチ液A>1Lに対してA−8の化合物を50ミリモル添加した。
実施例1と同様にして印刷及び評価を行った結果を表2に示す。
Figure 2010214715
実施例3
実施例1において中和液Aを使用して製版した印刷版に対して、下記給湿液AからGをそれぞれ使用して印刷を行った。
<給湿液A>
2(t−ブトキシ)−エタノール 30g
クエン酸 5g
硝酸アンモニウム 5g
水を加えて10Lとし、pHを5.0に調整する。
<給湿液B>
<給湿液A>1Lに対して2−メルカプトエタノールを5ミリモル添加した。
<給湿液C>
<給湿液A>1Lに対して2,2′−チオジエタノールを5ミリモル添加した。
<給湿液D>
<給湿液A>1Lに対して(2−カルボキシエチル)チオコハク酸を5ミリモル添加し、水酸化ナトリウムでpH6.0に調整した。
<給湿液E>
<給湿液A>1Lに対してA−1の化合物を5ミリモル添加した。
<給湿液F>
<給湿液A>1Lに対してA−3の化合物を5ミリモル添加した。
<給湿液G>
<給湿液A>1Lに対してA−7の化合物を5ミリモル添加した。
実施例1と同様にして印刷及び評価を行った結果を表3に示す。
Figure 2010214715
表1、表2、表3から明らかなように、本発明の製版方法により画像銀の親油性を損なうことなく非画像部の親水性の向上、特に非画像部のインキ汚れや、ブランケット汚れを改善する製版方法を提供することができる。さらに上記製版方法において、使用される処理液が長期にわたる保存にも安定である版面処理液を提供することができる。

Claims (2)

  1. ハロゲン化銀乳剤層の上層に物理現像核層を有する銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理方法において、現像処理後に下記一般式1で表される化合物の存在下で処理することを特徴とする平版印刷版の処理方法。
    Figure 2010214715
    (式中、nは1以上の整数を表し、RとRはそれぞれアルキル基又は置換アルキル基を表し、RとRとは同一でも異なっていても良い。Rは他の2価基が介在しても良いアルキレン基を表す。)
  2. ハロゲン化銀乳剤層の上層に物理現像核層を有する銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版の現像処理後に、その版面に付与する版面処理液であって、上記一般式1で表される化合物を含有することを特徴とする版面処理液。
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