JP2001281866A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版の製版方法

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JP2001281866A
JP2001281866A JP2000089119A JP2000089119A JP2001281866A JP 2001281866 A JP2001281866 A JP 2001281866A JP 2000089119 A JP2000089119 A JP 2000089119A JP 2000089119 A JP2000089119 A JP 2000089119A JP 2001281866 A JP2001281866 A JP 2001281866A
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Hiroyuki Kurokawa
博幸 黒川
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版の製版
方法において、より高い耐刷力を持つ製版方法を提供す
ることである。 【解決手段】銀塩拡散転写法を利用する平版印刷版の製
版方法において、該現像液のハロゲン化銀溶剤として化
1に表されるチオエーテル化合物の少なくとも1つを含
有する事を特徴とする平版印刷版の製版方法。 【化1】 一般式(1)式中、nは2以上の整数を表し、R1とR3
はそれぞれアルキル基又は置換アルキル基を表し、R1
とR3とは同一でも異なっていても良い。R2は他の2価
基が介在してもよいアルキレン基を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀錯塩拡散転写法
を利用する平版印刷版の製版方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版は、水とインキの両方を版面
に供給して、画像部は着色性のインキを、非画像部には
水を選択的に受け入れ、該画像上のインキを例えば紙な
どの被印刷体に転写させることによって印刷がなされて
いる。
【0003】銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平
版印刷版、特にハロゲン化銀乳剤層上に物理現像核層を
有する平版印刷版は、例えば、米国特許第3,728,
114号、同第4,134,769号、同第4,16
0,670号、同第4,336,321号、同第4,5
01,811号、同第4,510,228号、同第4,
621,041号の明細書等に記載されている。
【0004】露光されたハロゲン化銀結晶は現像処理に
より乳剤層中で化学現像を生起し黒化銀となり、親水性
の非画像部を形成する。一方、未露光のハロゲン化銀結
晶は、現像液中の銀錯塩形成剤により可溶化し表面の物
理現像核層まで拡散し、物理現像核上に現像主薬の還元
作用によってインキ受容性の画像銀として析出する。
【0005】DTR法は、単一の現像処理中で化学現像
と溶解物理現像とが同時に進行する機構になっている。
従ってよい印刷物を得るためには、非画像部となる化学
現像を生じる領域と画像部となる溶解物理現像を生じる
領域との速度バランスが重要である。
【0006】このDTR法の現像液に用いられるハロゲ
ン化銀の溶剤としては、チオ硫酸塩、チオサリチル酸、
アルカノールアミン、メソイオン化合物、環状イミド等
が知られている。更に、特開平5−11459号、特開
平5−45884号、特開平5−127387号、特開
平5−289348号、特開平10−282674号等
にチオエーテル化合物、ヘテロ環を含んだチオエーテル
化合物を使用し、インキ受容性が高く、耐刷力が向上し
た平版印刷版を提供することが述べられている。
【0007】ところで、DTR平版印刷版の現実化され
ている製版処理方法は、現像槽を内蔵した自動製版カメ
ラが一般的に用いられている。
【0008】この自動製版カメラは、製版カメラで露光
後、印刷版が多量の現像液を貯溜した現像槽中を通過す
る浸漬型の方法である。この方法は、現像槽通過後版面
上に残る現像液を機械的方法、例えば接触圧を持った絞
りローラ間を通過させる等の方法で取り除く。次に版面
のpHを整えるために中和液槽中を通過させ、現像液同
様版面上に残る中和液を機械的方法で取り除く。
【0009】この浸漬型の方法で製版処理を行うと、現
像液が新しい時には、インキ受理性、耐刷力は問題ない
印刷版が得られるが、処理枚数が進んでくると、すなわ
ちランニングが進んでくると印刷版のインキ受理性、耐
刷力が低下してくるという問題を抱えている。更に、近
年、銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版の品質が向
上し、保水性の高い印刷版が得られるようになり、より
高い耐刷力をもつ平版印刷版が求められている。
【0010】一方、近年、環境対応(廃液量の減少)や
処理装置のメンテナンス性向上等が求められており、少
量の処理液で処理できる塗布処理方式の製版カメラがで
てきている。この塗布処理装置は、感光材料の感光面に
処理に必要な量の処理液を塗布するもので、特開昭48
−76603号、同昭57−115549号、米国特許
第5,398,092号、特開平4−307245号、
同平6−27682号、同平7−175219号等に記
載されている。これらの中でもローラー塗布方式は、一
定量の処理液を均一に塗布できる点有利である。ローラ
ー塗布方式としては、例えば、特開昭62−23745
5号、同平4−307245号、同平6−27682
号、同平7−175219号公報等に記載されている。
【0011】ローラー塗布方式としては、塗布ローラー
に処理液を供給し塗布ローラーを介して平版印刷版に処
理液を塗布する方法、または、あらかじめ平版印刷版上
に処理液を供給し塗布ローラーで均一に塗布する方法が
ある。処理液を均一に塗布するためには、処理液の供給
は、塗布ローラーによって平版印刷版上に塗布される塗
布量より多くする必要があり、塗布ローラーによって除
去された過剰量の処理液は、回収して再利用するのが一
般的である。
【0012】このローラー塗布方式を用いた製版方法に
おいて、特開平10−282674号等にチオエーテル
化合物とアルカノールアミン化合物を併用することによ
り、現像温度依存性が少ない現像液が得られることが述
べられている。しかし、より温度依存性がなく、より高
い耐刷力を持つ処理方法が要望されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、銀錯
塩拡散転写法を利用する平版印刷版の製版方法におい
て、より高い耐刷力を持つ製版方法を提供することであ
る。更には、ランニングが進んでも、耐刷力の低下やイ
ンキ受容性の低下のない製版方法を提供することであ
る。本発明の別の目的は、より温度依存性がなく、より
高い耐刷力を持つ塗布現像方式の製版方法を提供するこ
とである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、銀
塩拡散転写法を利用する平版印刷版の製版方法におい
て、該現像液のハロゲン化銀溶剤として化2に表される
チオエーテル化合物の少なくとも1つを含有する事を特
徴とする平版印刷版の製版方法によって達成された。
【0015】
【化2】
【0016】式中、nは2以上の整数を表し、R1とR3
はそれぞれアルキル基又は置換アルキル基を表し、R1
とR3とは同一でも異なっていても良い。R2は他の2価
基が介在してもよいアルキレン基を表す。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるチオエーテル
化合物は、チオエーテル結合部位を3個以上含有するこ
とを特徴とする。前述した従来から用いられているチオ
エーテル化合物では、本発明の目的を充分に満足させる
ことは出来なかった。即ち、特開平5−289348
号、同平10−282674号にはチオエーテル結合が
2個までのチオエーテル化合物であり、また、特開平5
−11459号等には、3個のチオエーテル結合を有す
る複素環化合物が例示されているが、複素環を含むチオ
エーテル化合物では上記した目的を達成出来なかった。
【0018】以下、本発明に用いられるチオエーテル化
合物について詳細に説明する。式中、R1及びR3はメチ
ル基、エチル基等のアルキル基を表し、R1とR3とは同
一でも異なっていてもよい。またこれらのアルキル基は
アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ヒドロキシル
基、スルホ基、カルボキシル基、アミノカルボニル基又
はアミノスルホニル基等で置換されていてもよい。
【0019】R2は他の二価基が介在してもよいアルキ
レン基を表す。好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基
である。アルキレン鎖の間に介在することができる二価
基としては、−O−、−CONH−、−SO2NH−な
どであり、これらは、2個以上介在してもよい。また、
このアルキレン基は、R1とR3で述べた置換基で置換さ
れていてもよい。
【0020】nは2以上の整数を表し、好ましくは2〜
5である。又、各々のR2は同一であっても異なってい
てもよい。
【0021】本発明に用いられるチオエーテル化合物の
具体例を以下に示すが、これに限定されるものではな
い。
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】化2で表されるチオエーテル化合物は、単
独で使用しても2種以上を併用してもよい。使用量は、
0.0004〜0.2モル/l、より好ましくは、0.
002〜0.1モル/lである。
【0036】本発明は、更に、下記一般式で表されるベ
ンゾトリアゾール化合物を含有することが好ましい。
【0037】
【化16】
【0038】化16において、R4は、水素原子もしく
は炭素数5以下のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシ
基、カルボニル基、スルホン基、炭素数13以下のアル
コキシカルボニル基、炭素数10以下のアシルアミド
基、スルホンアミド基等の置換可能な基を表す。mは0
〜4の整数である。これら化合物は、化学薬品、化成品
等市販品として容易に入手することができる。以下に具
体例を示すが、これに限定されるものではない。
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】
【化20】
【0043】
【化21】
【0044】
【化22】
【0045】
【化23】
【0046】
【化24】
【0047】
【化25】
【0048】本発明に用いられる上記の化合物を現像液
に含有させる量は、7×10-5〜4×10-2モル/l、
好ましくは3.5×10-4〜5×10-3モル/lの範囲
である。
【0049】本発明に用いられる現像液には、更に、ハ
ロゲン化銀溶剤としてアルカノールアミンを用いること
ができる。用いられるアルカノールアミンとしては、
(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノール
アミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノール
アミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパ
ノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノー
ル、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプ
ロパノール、N,N−エチル−2,2´−イミノジエタ
ノール、2−メチルアミノエタノール等があり、1種ま
たは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0050】本発明においては、チオエーテル化合物、
アルカノールアミン以外のハロゲン化銀溶剤として、メ
ソイオン化合物、チオ硫酸塩、チオサリチル酸、環状イ
ミド等を組み合わせて使用できる。
【0051】また、現像液に銀画像部のインキ受理性を
向上させるために、親油化剤としてメルカプト基または
チオン基を有する化合物を含有させることが好ましい。
例えば特公昭48−29723号、特開昭58−127
928号等に記載されている化合物が挙げられる。特に
炭素数が3〜12のアルキル基、アリール基、アルケニ
ル基等の親油性基を有する含窒素複素環化合物が好まし
い。
【0052】含窒素複素環としては、5ないし6員環が
挙げられる。具体的な例としては、イミダゾール、イミ
ダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オ
キサゾリン、ピラゾリン、トリアゾール、チアジアゾー
ル、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリ
ミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等であり、
又これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよ
く、ベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであって
もよい。
【0053】係る化合物の具体例としては、2−メルカ
プト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1
−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル
−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾ
リジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチ
アゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオ
ン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2
−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−
ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェ
ニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカ
プト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−ト
リアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4
−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5
−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプ
ト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリ
アゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4
−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル
−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチ
ル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル
−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−
5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メ
ルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプ
ト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メル
カプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプ
ト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2
−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5
−トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0054】この中でも、特に親油性基として炭素数5
個以上の脂肪族基を有するオキサジアゾール環、チアジ
アゾール環が好ましい。
【0055】上記親油化剤の使用量は、現像液1リット
ル当たり0.01〜50ミリモル、好ましくは0.05
〜30ミリモルである。
【0056】本発明において、現像液中のカリウムイオ
ンが全アルカリ金属イオンの30モル%〜70モル%で
あることが好ましい。カリウム以外のアルカリ金属とし
ては、特にナトリウムが挙げられる。とくに、塗布現像
方式においては、カリウムイオンとナトリウムイオンの
バランスを保つことによって現像液が少量で、かつ短時
間処理の塗布現像方式において、DTR現像が最適に行
われ、高い耐刷性が得られる。
【0057】本発明に用いられる現像液に於て、カリウ
ムイオンおよびナトリウムイオンは、水酸化物、亜硫酸
塩、炭酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩等、如何なる形態及び方
法で供給されても良い。
【0058】本発明に用いられる現像液には、上記化合
物の他に、アルカリ性物質として、例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三燐酸ナト
リウム等、保恒剤として亜硫酸塩、増粘剤、例えばヒド
ロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
等、かぶり防止剤、例えば臭化カリウム、特開昭47−
26201号記載の化合物等、現像剤、例えばハイドロ
キノン、1−フェニル−3−ビラゾリドン等を含有する
ことができる。塗布現像方式においては、アセチレング
リコール等の活性剤を含有することができる。
【0059】DTR法を実施するに当たっては、例えば
英国特許第1,000,115号、同第1,012,4
76号、同第1,017,273号、同第1,042,
477号等の明細書に記載されている如く、ハロゲン化
銀乳剤層および/または受像層ないしはそれに隣接する
他の水透過性親水性コロイド層中に現像剤を混入するこ
とが行われている。従って、このような材料において
は、現像段階で使用する処理液は、現像剤を含まないい
わゆる「アルカリ性活性化液」を使用しうる。
【0060】本発明に於て、浸漬現像方式は、大きめタ
ンク中に現像液を入れておき、その中を印刷版が通過す
る温度と時間は、20〜40℃、5〜40秒である。現
像槽通過後版面上に残る現像液を機械的方法、例えば接
触圧を持った絞りローラ間を通過させる等の方法で取り
除く。次に版面のpHを整えるため中和液(安定液)槽
中を通過さる。中和液のタンクも現像槽と同様のタンク
である。液温は、20〜30℃、通過時間は現像液と同
時間か長めが好ましい。その後、現像液同様版面上に残
る中和液を機械的方法で取り除く。
【0061】本発明に於て、塗布現像方式は、一般的に
はハロゲン化銀乳剤層が塗布されている感光面に現像液
を塗布供給する方法があり、特開昭48−76603号
等に記載されている。例えば液上げ塗布方式、滴下法ロ
ーラ塗布方式、滴下法ナイフ塗布方式、スプレー塗布方
式及びブラシ塗布方式等ある。また米国特許第5,39
8,092号等のようにバーコーター(ETO CHE
MICAL APPARATUS Co.製)を用いる
ローラ塗布方式やWO95/18400号に記載の浸漬
塗布現像方式も好ましい。本発明に好ましいのは、一定
量の処理液を均一に塗布できるローラー塗布方式であ
り、例えば、特開昭62−237455号、同平4−3
07245号、同平6−27682号、同平7−175
219号、同平10−282676号公報等に記載され
ている。
【0062】平版印刷版への現像液の塗布量は、印刷版
1平方メートル当り10〜100ml、好ましくは20
〜60mlの範囲であり、現像時間(現像液の塗布か
ら、現像液が現像効果を停止するまでの時間)は15秒
以下、好ましくは3〜10秒の範囲である。その後、絞
りローラーによって版面上の処理液が絞り取られ除去さ
れる。この絞り取られた処理液は廃棄される。また、塗
布ローラーによって除去された過剰量の処理液は、回収
して再利用される。
【0063】本発明に用いられる銀錯塩拡散転写法を応
用した平版印刷版の好ましい実施態様は、支持体上に少
なくとも下塗層、ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層
を順次塗布されてなる平版印刷版であって、該乳剤層側
の総ゼラチン量が1〜4g/m2であり、かつ該下塗層
に酸化チタンを含有するものである。
【0064】該乳剤層側のゼラチン量の減少に応じて、
インキ脱離性が向上する。1g/m 2以下では、皮膜が
弱く印刷版としては劣り、4g/m2以上では塗布現像
方式で処理する際に、インキ受理性が劣り、且つ、イン
キ脱離が遅く印刷作業性に劣る。
【0065】本発明に用いられる酸化チタンは、アナタ
ーゼ型、ルチル型等、任意のものを用いることができ
る。分散安定性の目的で表面処理されているものが好ま
しい。酸化チタンは通常水に分散して、塗布の前のメイ
クアップ時に添加されるが、必ずしも、これに限定され
ない。酸化チタンの添加量は種々の条件により異なる
が、1m2当たり1g〜20gの範囲である。
【0066】特開平5−66564号明細書に開示され
ているように、ゼラチン皮膜は水に対し膨潤性を有して
おり、インキ/水応答性を遅くする傾向がある。これは
ゼラチン皮膜の飽和膨潤に達するまで、プレート表面に
供給された湿し水をゼラチン皮膜が吸い込むため、プレ
ート表面で湿し水が有効に作用しないため生ずる現象で
あり、水送り量を変える場合に、プレート表面とゼラチ
ン皮膜との湿し水のやり取りが同時に生じるため、ゼラ
チン量を増加すれば、インキ/水の応答性が遅くなる。
酸化チタンを含有するゼラチン皮膜は、湿し水による膨
潤が少なく、インキ/水応答性を遅れさせることが少な
い。一方、表面のマット性を小さくするためには、マッ
ト化剤の分散性を向上させるためにも、酸化チタンを添
加することは有効であった。
【0067】上記のインキ/水応答性に対する作用効果
に加えて、酸化チタンを有する層(下塗層)は、現像液
の膨潤が遅く、塗布現像のように少量の現像液で短時間
の現像ではDTR現像活性を保ちやすいことが判明し
た。即ち、現像液の下塗層への浸透が遅れ、現像初期、
ゼラチンによる中和により引き起こされる膜内pHの低
下が抑制されると推定している。従って、少量短時間現
像で耐刷性が低下することなく、且つ、接着性に優れた
プレートを得ることができる。
【0068】本発明の平版印刷版はバインダーとしてゼ
ラチンを含有しており、その含有層は下塗層であり、乳
剤層であり、また物理現像核層でもありうる。また、ゼ
ラチンの一部を澱粉、デキストリン、アルブミン、アル
ギン酸ナトリウム、ヒドロキシルエチルセルロース、ア
ラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミ
ド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルル
チルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の親水性高分
子の一種又は二種以上で置換することもできる。
【0069】これらのゼラチン含有層は、ゼラチン硬膜
剤で硬化することができる。ゼラチン硬膜剤としては、
例えば、クロム明ばんのような無機化合物、ホルマリ
ン、グリオギザール、マレアルデヒド、グルタルアルデ
ヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN
−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジビドロ
キシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4
−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン塩や、
2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−S−トリアジン塩
のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホ
ン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキ
サヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミ
ノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、
高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合
物の一種もしくは二種以上を用いることができる。
【0070】硬膜剤はすべての層に添加することもで
き、幾つか又は一層にのみ添加することも可能である。
勿論、拡散性の硬膜剤は二層同時添加の場合、何れか一
層にのみ添加することが可能である。添加方法は乳剤製
造時に添加したり、塗布時にインラインで添加すること
もできる。
【0071】下塗層にはハレーション防止の目的でカー
ボンブラック等の顔料、染料等を含み得る。さらに現像
主薬等の写真用添加物も含むことができる。また下塗層
は特開昭48−5503号、同昭48−100203
号、同昭49−16507号に記載のようなものであっ
てもよい。
【0072】更に、下塗層中に水に対し非膨潤性のラテ
ックスを用いることができる。非膨潤性のラテックスと
は、水に対して膨潤性の少ないラテックスのことであ
る。用られる水に対し非膨潤性のラテックスは、スチレ
ン・ブタジエン系ラテックスが好ましいが、その他に、
例えば、ポリブタジエン系ラテックス、ポリスチレン系
ラテックス、スチレン・イソプレン系ラテックス等があ
る。非膨潤性のラテックスの添加量は、固形分に換算
し、0.2〜5.0g/m2の範囲 である。
【0073】本発明の実施に用いられる平版印刷版のハ
ロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩ヨウ
化銀、塩臭ヨウ化銀等が使用でき、好ましくは塩化銀が
70モル%以上のハロゲン化銀である。これらのハロゲ
ン化銀は分光増感剤(光源、用途に応じた分光増感色
素、例えばカメラタイプ、レーザー光タイプ、色分解用
パンクロタイプ等)、ゼラチン硬化剤、塗布助剤、かぶ
り防止剤、可塑剤、現像剤、マット剤等を含むことがで
きる。
【0074】本発明の平版印刷版に用いられる支持体
は、紙、各種フィルム、プラスチック、樹脂様物質で被
覆した紙、金属等が使用できる。
【0075】物理現像核層に使用される物理現像核は、
この種の薬品の例として周知であって、アンチモン、ビ
スマス、カドミウム、コバルト、パラジウム、ニッケ
ル、銀、鉛、亜鉛等の金属およびこれらの硫化物が使用
できる。特開平5−265164号記載の物理現像核を
用いることもできる。物理現像核層にも現像剤を含んで
もよく、水溶性バインダーを含んでもよい。
【0076】本発明により製版された平版印刷版は、例
えば特開昭48−29723号、米国特許第3,72
1,539号等明細書に記載されている如き化合物でイ
ンキ受容性に変換ないし増強しうる。
【0077】印刷方法あるいは使用する不感脂化液、給
湿液等は、普通によく知られている方法によることがで
きる。
【0078】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿
論これに限定されるものではない。
【0079】実施例1 塗布方式の現像装置として、特開平10ー282676
記載の塗布処理方式装置を使用した。塗布方法として
は、ローラー塗布方法であり、塗布量は、30〜40ml
/m2、現像時間は、約8秒である。
【0080】DTR法を利用する平版印刷版は、特開平
11−295896号の実施例1の試料1のものを作成
し製版機にセットした。
【0081】自動製版機にセットする製版処理液は、下
記の現像液及び安定液(中和液)を用いた。
【0082】 現像液 :水酸化カリウム 20g 水酸化ナトリウム 15g 無水亜硫酸ナトリウム 40g N−(2−アミノエチル)エタノールアミン 10g チオエーテル化合物 4×10-3モル 2-メルカフ゜ト-5-n-ヘフ゜チルオキサシ゛アソ゛ール 0.2g 水で1000mlにする。
【0083】上記現像液処方の本発明のチオエーテル化
合物には、化3、化10の化合物を用い、比較のチオエ
ーテル化合物として、化26、化27の化合物を用い
た。
【0084】
【化26】
【0085】
【化27】
【0086】 安定液 :リン酸1カリウム 30g 重亜硫酸ナトリウム 10g トリエタノールアミン 8g 2-メルカフ゜ト-5-n-ヘフ゜チルオキサシ゛アソ゛ール 0.1g 水で1000mlにする。pHは6.0に調整。
【0087】製版処理は、上記の各現像液と安定液を使
用して製版を実施し、評価した。
【0088】印刷は、リョービ社製RYOBI3200
CD印刷機を使用し、DTR平版印刷版用給湿液三菱製
紙社製SLM−OD30を使用し、インキは、大日本イ
ンキ社製New Cammpion墨Hタイプを使用して印刷を行っ
た。インキ受理性試験では、エッチングに給湿液を使用
して印刷を行い、印刷画像の濃度が十分になるまでの印
刷枚数で評価を行った。耐刷性の試験は、専用エッチン
グ液三菱製紙社製SLM−OHIIIで十分エッチングを
行い、非画像部の地汚れまたは銀画像の欠落による画像
飛びによって印刷出来なくなった時の印刷枚数で評価し
た。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】 ────────────────────────────────── チオエーテル化合物 インキ受理性 耐 刷 備考 ────────────────────────────────── なし 12枚 5000枚 比較 化26 10枚 15000枚 比較 化27 10枚 10000枚 比較 化3 8枚 20000枚以上 本発明 化10 8枚 20000枚以上 本発明 ──────────────────────────────────
【0090】本発明のチオエーテル化合物を用いて製版
された平版印刷版は、塗布現像方式において、より高い
耐刷力であった。
【0091】実施例2 浸漬現像方式の製版機として、三菱製紙(株)社製の自
動製版機CP−286Sを用いて、実施例1と同様の印
刷版と処理液を用いて試験を実施した。更に、化17、
化18のベンゾトリアゾール化合物を1l当たり8×1
-4モル添加した現像液を表2のように作成し、現像液
1l当たり印刷版8m2処理を行うランニング試験を実
施した。尚、前記CP−286Sの現像槽には現像液を
3l貯留し、現像温度は30℃、現像時間は20秒であ
る。印刷試験の方法と評価方法は実施例1と同様であ
る。結果を表2に示す。
【0092】
【表2】 ────────────────────────────────────チオエーテル ヘ゛ンソ゛ト 新液時 ランニンク゛時 備考 化合物 リアソ゛ール インキ 耐刷性 インキ 耐刷性 化合物 受理性 受理性 枚数 枚数 枚数 枚数 ──────────────────────────────────── なし なし 14 5000 30 3000 比較 化26 なし 11 15000 25 5000 比較 化26 化17 9 15000 20 10000 比較 化27 なし 12 10000 31 3000 比較 化27 化17 8 10000 20 5000 比較 なし 化17 20 5000 37 3000 比較 化3 なし 7 20000以上 10 15000 本発明 化3 化17 8 20000以上 12 20000以上 本発明 化3 化18 8 20000以上 10 20000以上 本発明 化10 なし 7 20000以上 11 15000 本発明 化10 化17 9 20000以上 10 20000以上 本発明 化10 化18 9 20000以上 11 20000以上 本発明 ────────────────────────────────────
【0093】上記結果から明らかなように本発明のチオ
エーテル化合物を含有する現像液を使用して処理された
平版印刷版は、より高い耐刷力を示した。また、ランニ
ング試験の結果では、比較の現像液ではランニング試験
を実施すると、インキ受理性、耐刷性の低下がかなり大
きいのに対し、本発明の現像液では、ランニングを実施
しても、インキ受理性、耐刷性の低下はわずかなもので
あった。更に、本発明のベンゾトリアゾール化合物を含
有する現像液でランニング試験を実施したものは、イン
キ受理性、耐刷性を損なうことはなかった。
【0094】
【発明の効果】本発明の現像液によれば、DTR法を利
用した平版印刷版において、浸漬現像方式や塗布現像方
式の両方の現像方式において、より高い耐刷力を持った
印刷版を得ることができ、また、浸漬現像方式において
は、ランニングでの耐刷性、インキ受理性の低下のない
きわめて良好な印刷版を安定して得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀塩拡散転写法を利用する平版印刷版の
    製版方法において、現像液にハロゲン化銀溶剤として化
    1に表されるチオエーテル化合物の少なくとも1つを含
    有する事を特徴とする平版印刷版の製版方法。 【化1】 式中、nは2以上の整数を表し、R1とR3はそれぞれア
    ルキル基又は置換アルキル基を表し、R1とR3とは同一
    でも異なっていても良い。R2は他の2価基が介在して
    もよいアルキレン基を表す。
  2. 【請求項2】 前記現像液が更にベンゾトリアゾールも
    しくはその誘導体の少なくとも1つを含有する事を特徴
    とする請求項1に記載の平版印刷版の製版方法。
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