JP3419622B2 - 平版印刷版の処理方法 - Google Patents
平版印刷版の処理方法Info
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- JP3419622B2 JP3419622B2 JP5030296A JP5030296A JP3419622B2 JP 3419622 B2 JP3419622 B2 JP 3419622B2 JP 5030296 A JP5030296 A JP 5030296A JP 5030296 A JP5030296 A JP 5030296A JP 3419622 B2 JP3419622 B2 JP 3419622B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀錯塩拡散転写法を利
用する平版印刷版の処理方法に関するものであり、特に
浸漬現像方式及び塗布現像方式における印刷性の改良が
図られた処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】銀塩拡散転写法(DTR法)を利用した
平版印刷版、特にハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷
版は、例えば米国特許第3,728,114号、同第4,134,769
号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,81
1号、同第4,510,228号、同第4,621,041号の明細書に記
載されている。 【0003】露光されたハロゲン化銀結晶は現像処理に
より乳剤層中で化学現像を生起し黒化銀となり、親水性
の非画像部を形成する。一方未露光のハロゲン化銀結晶
は、現像液中の銀錯塩形成剤により可溶化し表面の物理
現像核層まで拡散し、物理現像核上に現像主薬の還元作
用によってインキ受容性の画像銀として析出する。 【0004】DTR法は、単一の現像液中で化学現像と
溶解物理現像とが同時に進行する機構になっている。従
ってよい印刷物を得るためには、非画像部となる化学現
像を生じる領域と画像部となる溶解物理現像を生じる領
域との速度バランスが重要である。 【0005】例えば、化学現像に比べて溶解物理現像が
優先すると、画像の軟調化に基づく地汚れや耐刷不良発
生の原因となる。逆に溶解物理現像に比べて化学現像が
優先すると、耐刷不良になる。 【0006】ところで、DTR平版印刷版の現実化され
ている製版処理方法は、現像槽を内蔵した自動製版カメ
ラが一般的に使用されている。すなわち製版カメラで露
光後、印刷版は現像槽に貯溜された現像液中を通過し、
通過後版面上に残る現像液を機械的な方法、例えば接触
圧を持った絞りローラ間を通過させる等の方法で取り除
き、次に版面のpHを整えるために中和液槽中を通過さ
せ、現像液同様版面上に残る中和液を機械的方法で取り
除き、乾燥して印刷版を作成するというものである。 【0007】上記の様な製版処理方法に於ては、ランニ
ング処理よって処理枚数が増加してくると、初期段階に
処理された平版印刷版と多数枚処理後の平版印刷版との
間には、平版印刷版の印刷性能に違いが発生していた。
処理液の空気酸化や感光材料からの溶出成分による汚染
等の原因によって、処理液の特性に変化が生じているも
のと考えられる。 【0008】一方近年、写真感光材料処理廃液の地球環
境への悪影響が懸念されており、写真処理廃液量を軽減
するような現像システムが求められており、その処理方
法として塗布現像方式が提案されている。例えば、特開
昭48−76603号、同昭57−115549号、同
平6−27680号、同平6−27682号、特願平5
−334028号等に開示されている。 【0009】上記塗布現像方式は、従来の浸漬現像方式
に比べ、少量の現像液で処理できるため、常に新液を用
いて現像することができ、上記したようなランニング処
理による問題点は生じにくい。その反面、現像に用いら
れる現像液量は限られるため、充分な現像が行われにく
いという問題がある。特に、廃液量を減少するために、
現像液の塗布量を減じた場合、その問題は顕著に現れ
る。 【0010】即ち、塗布機構を有する現像方式では、塗
布供給した後には新たな現像液成分が版面に供給され
ず、しかも現像液の廃液量を減少させるために、現像液
の塗布量を少なくすると、現像液特性の僅かなフレによ
って、化学現像と物理現像とのバランスが崩れ易くな
り、地汚れや耐刷力の劣った印刷版しか得られないとい
う問題が生じる。 【0011】更に、塗布機構を有する現像処理装置で
は、供給された塗布液が不均一である場合や、塗布中に
温度の変化があった場合などでは、処理された平版印刷
版版面上の部分部分で印刷特性が異なる印刷版となる欠
点を有していた。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、DT
R法を利用した平版印刷版を安定的に現像処理する方法
を提供するものであり、特に浸漬現像方式におけるラン
ニング処理時の安定化、及び塗布現像方式における印刷
性能の向上を図るものである。本発明の他の目的は、廃
液量を減少させるために、少量の現像液で処理しても高
い印刷性能が得られる塗布現像方法を提供することであ
る。 【0013】本発明の上記の目的は、支持体上に、下塗
層、ハロゲン化銀乳剤層および物理現像核層をこの順に
設けた平版印刷版を銀塩拡散転写法を利用して処理する
方法に於いて、ほう酸、ケイ酸、アスコルビン酸、イミ
ノ二酢酸、クエン酸、プロピオン酸およびこれらの塩か
ら選択される少なくとも1種類の弱酸イオンを含み(た
だし、現像液1リットル当たり少なくとも0.1モルの
アスコルビン酸を主現像薬として含有する場合を除
く)、且つpHが12以上である現像液を用いることを
特徴とする平版印刷版の処理方法によって達成された。 【0014】本発明の処理方法に用いられる現像装置
は、特に限定されないが、大別すると従来から一般的に
用いられている浸漬現像装置、及び感光面上に現像液を
塗布する塗布機構を有する現像装置である。浸漬現像装
置は駆動する搬送ローラ対によって感光材料が搬送さ
れ、処理液が満たされている処理槽中へ搬入され、一定
時間後処理槽中から搬出されるものが一般的である。 【0015】処理槽の容積は、処理される感光材料の大
きさにも依存するが、数リットルから数十リットルであ
る。感光材料が浸漬される時間は、5秒から60秒の範
囲であるが、下記で述べる処理槽を小型化した処理方法
などでは、3秒程度である。好ましくは、7秒から30
秒である。 【0016】特開平4-158360号に記載されている様な処
理槽を小型化した処理方法では、処理液槽中へ搬入され
た感光材料は、比較的短時間で搬出され、必要な現像時
間は処理液槽から搬出された後も空間で現像反応を維持
する様にしているものである。 【0017】本発明に於て、塗布機構を有する現像処理
方式は、一般的にはハロゲン化銀乳剤層が塗布されてい
る感光面に現像液を塗布供給する方法であり、特開昭4
8−76603号等に記載されている、例えば液上げ塗
布方式、滴下法ローラ塗布方式、滴下法ナイフ塗布方
式、スプレー塗布方式やブラシ塗布方式などがある。ま
たバーコーダー(ETO CHEMICAL APPARATUS Co.製)を用
いるようなバー塗布方式や前記特願平5−334028
号に記載されている浸漬塗布方式や、特開平6−276
80号、同平6−27682号に記載されている回転し
ない一対の棒状部材のニップ間に現像液の溜りを形成
し、該ニップ間に感光材料を通過させ、現像液を塗布す
る方式等がある。 【0018】平版印刷版への現像液の塗布量は、一般的
には印刷版1平方メートル当り10〜80ml、好まし
くは20〜60mlの範囲であり、現像時間(現像液の
塗布から、現像液が現像効果を停止するまでの時間)を
3秒以上、好ましくは3〜10秒の範囲である。 【0019】本発明に用いられる現像液は、pHが12
以上である。現像主薬やハロゲン化銀溶剤の活性化の為
には、pHは10以上で可能であるが、印刷という機械
的強度を画像部分に要求されるDTR平版印刷版では、
pHは12以上、好ましくは13以上である。 【0020】上記したように高pHの現像液を作成する
ために、アルカリ剤として、水酸化カリウムや水酸化ナ
トリウム等の水酸化物が用いられていた。しかしなが
ら、DTR平版印刷版を浸漬方式で多数版処理する場合
や、塗布現像処理する場合に於いては、上記のアルカリ
剤だけでは良好な印刷性能を有する平版印刷版を得るこ
とが出来ず、また現像液のpHを更に上昇させても十分
な印刷性能を有する高耐刷力な平版印刷版は得られなか
った。 【0021】浸漬現像方式の場合、ランニング処理によ
って多数枚処理した際、現像液が汚染および疲労し、印
刷性能が著しく低下する。一方、塗布機構を有する現像
方式では、現像液量が限られるため、感光面上に塗布さ
れた現像液の活性が現像過程で低下し、印刷性能が低下
していた。 【0022】このように、2つの現像方式において各々
の課題があり、本発明者らは種々検討した結果、弱酸イ
オンを含有した現像液で処理することによって、印刷特
性の低下を抑制すること見いだした。 【0023】即ち、弱酸イオンは、存在する環境が中性
ないしは酸性雰囲気下で初めて弱アルカリとしての機能
を発現する。従ってDTR平版印刷版の現像液のように
pHが12以上の高pH現像液に適用して、初めてその
効果を発現する。特に、塗布現像方式のように、少量の
現像液しか感光面上に供給されない場合、感光材料の乳
剤層中に浸透してから、特異的に現像反応進行中の膜中
の現像活性の低下を抑制し維持するものと考えられる。 【0024】弱酸イオンを現像液中に添加することによ
って、単に現像液のpHを上昇させる手段や水酸化カリ
ウムや水酸化ナトリウム等の濃度増大等では得ることの
出来なかった高耐刷力の平版印刷版が実現することを発
見した。 【0025】本発明に用いられる弱酸イオンの発生源と
しては、ほう酸およびその塩、ケイ酸およびその塩、ア
スコルビン酸およびその塩、イミノ二酢酸およびその
塩、クエン酸およびその塩、プロピオン酸およびその塩
の弱酸および弱酸塩化合物を挙げることが出来、1種ま
たは2種以上を組み合わせて使用できる。 【0026】上記の弱酸塩の対イオンとしては、特に限
定されないが、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリ
ウムである。 【0027】本発明に用いられる現像液中の弱酸イオン
の含有量は、1リットル当り5ミリモル以上であり、好
ましくは20ミリモル乃至100ミリモルである。弱酸
イオンの現像液中への添加方法は、イオン発生源である
弱酸および弱酸塩化合物を現像液に添加してから、水酸
化カリウムや水酸化ナトリウムなどでpHを12以上に
調整する方法、予め水酸化ナトリウムや水酸化カリウム
でpH12以上に調整された現像液に、弱酸および弱酸
塩化合物を添加する方法がある。後者では、弱酸および
弱酸塩化合物を添加した後、必要に応じてpHを12以
上に再調整する。 【0028】本発明に用いられる現像液には、ヒドロキ
シメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポ
リエチレングリコール等の増粘剤、臭化カリウム等のか
ぶり防止剤、特開昭47-262201号記載の化合物等、ハイ
ドロキノン、メトール、フェニドン等の現像剤を含有す
ることが出来る。 【0029】DTR法を実施するに当たっては、例えば
英国特許第1,000,115号、同第1,012,476号、同第1,017,
273号、同第1,042,477号等の明細書に記載されている如
く、ハロゲン化銀乳剤層および/または受像層ないしは
それに隣接する他の水透過性親水性コロイド層中に現像
剤を混入することが行われている。従って、この様な材
料に於いては、現像段階で使用する処理液は、現像剤を
含まないいわゆる「アルカリ活性化液」を使用しうる。 【0030】本発明の実施に用いられる平版印刷版のハ
ロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩ヨウ
化銀、塩臭ヨウ化銀等が使用でき、好ましくは塩化銀が
70モル%以上のハロゲン化銀である。これらのハロゲ
ン化銀は分光増感剤(光源、用途に応じた分光増感色
素、例えばカメラタイプ、レーザー光タイプ、色分解用
パンクロタイプ等。)、ゼラチン硬化剤、塗布助剤、カ
ブリ防止剤、可塑剤、現像剤、マット剤等を含むことが
出来る。 【0031】ハロゲン化銀乳剤の結合剤は、一般にこの
目的に使用されている天然および/または合成結合剤、
例えばゼラチン、コロイド状アルブミン、セルロース誘
導体等が使用できる。 【0032】ハロゲン化銀乳剤層の下側(支持体面)に
は接着改良用下引層および/またはハレーション防止等
の目的で下塗層を含むことも出来、この層には現像剤、
マット剤を含むことも出来る。 【0033】ハロゲン化銀乳剤層を塗布する支持体は、
紙、各種フィルム、プラスチック、樹脂用物質で被覆し
た紙、金属等が使用できる。 【0034】物理現像各層に使用される物理現像核は、
この種の薬品の例として周知であって、アンチモン、ビ
スマス、カドミウム、コバルト、パラジウム、ニッケ
ル、銀、鉛、亜鉛等の金属およびこれらの硫化物が使用
できる。特開平5-265264号記載の物理現像核を用いるこ
ともできる。物理現像各層にも現像剤を含んでもよく、
水溶性バインダーを含んでもよい。 【0035】本発明により製版された平版印刷版は、例
えば特公昭48-29723号、米国特許第3,721,539号等の明
細書に記載されている如き化合物でインキ受容性に変換
ないし増強しうる。 【0036】印刷方法あるいは使用する不感脂化液、給
湿液等は、普通によく知られている方法によることが出
来る。 【0037】 【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿
論これに限定されるものではない。 【0038】実施例1 DTR法を利用する平版印刷版は、下引処理したポリエ
ステルフィルム支持体上にシリカ粒子を含むハレーショ
ン防止層、オルト増感した塩化銀乳剤層、物理現像核層
を順次塗布した幅404mm、長さ500mmを用い、
該平版印刷版に像反転機構を有する製版カメラで細線画
像を露光した。 【0039】製版処理液は、下記の現像液A及び中和液
を用いた。現像液及び中和液の処理温度はそれぞれ30
℃及び25℃になるように調整した。 【0040】現像液A 水酸化カリウム 15g 水酸化ナトリウム 10g 亜硫酸ナトリウム 35g N-アミノエチルエタノールアミン 10g 弱酸イオン 60ミリモル 水を加えて1lとする。液pHは13.4である。 【0041】中和液 燐酸1カリウム 36 g 亜硫酸ナトリウム 2 g EDTA-Na 6.25g 水を加えて1lとする。 【0042】自動現像装置として、市販のDTR平版印
刷版用カメラプロセッサCP−414S(三菱製紙(株)
/大日本スクリーン製造(株)社製)に内蔵されている処
理ユニットを用いた。現像処理槽(7リットル)に上記
現像液を、中和処理槽(6リットル)に上記中和液を満
たし100版処理した。 【0043】以上の操作により作成した平版印刷版、1
版目および100版目をハイデンベルグTOKオフセッ
ト印刷機に装着し、エッチング液を版面にくまなく与
え、DTR平版印刷版用給湿液を用いて印刷を行った。 【0044】印刷評価は、下記の基準で行った。 A;20000枚以上でも100ミクロンの細線が欠落
しない。 B;15000枚で100ミクロンの細線が欠落。 C;10000枚で100ミクロンの細線が欠落。 D;7000枚以下で100ミクロンの細線が欠落。 【0045】 【表1】 【0046】表1から明らかなように、浸漬現像処理に
おいて、現像液に弱酸イオンを添加することで、多数版
処理に於いても印刷特性(耐刷力)の優れた平版印刷版
が得られた。 【0047】実施例2 特開平6−27680号記載の塗布現像処理装置を作製
し、塗布量が1平方メートル当り40mlになるように
調整し、実施例1に示す平版印刷版及び処理液を用いて
処理した。得られた印刷版については実施例1に準じて
印刷し、評価した。結果を表2に示す。 【0048】 【表2】 【0049】上記結果より、塗布現像方式において、少
量の現像液を塗布供給して現像する際、現像液に弱酸イ
オンを添加することによって、従来の現像液からは予想
できない程の高い印刷性能が得られる。尚、塗布現像方
式は実施例1の浸漬方式とは異なり、常に新液で処理す
るという立場から、処理枚数とは関係なく安定なものが
得られる。 【0050】 【発明の効果】本発明によれば、銀塩拡散転写法を利用
した平版印刷版を、従来よりも安定し、良好な印刷特性
を持った平版印刷版を得ることが出来る。特に浸漬現像
方式におけるランニング処理時の安定化、及び塗布現像
方式における印刷性能の向上が図られる。更に、塗布現
像方式において、少量の現像液で処理しても高い印刷性
能が得られるため、廃液量の減少が図られる。
用する平版印刷版の処理方法に関するものであり、特に
浸漬現像方式及び塗布現像方式における印刷性の改良が
図られた処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】銀塩拡散転写法(DTR法)を利用した
平版印刷版、特にハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷
版は、例えば米国特許第3,728,114号、同第4,134,769
号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,81
1号、同第4,510,228号、同第4,621,041号の明細書に記
載されている。 【0003】露光されたハロゲン化銀結晶は現像処理に
より乳剤層中で化学現像を生起し黒化銀となり、親水性
の非画像部を形成する。一方未露光のハロゲン化銀結晶
は、現像液中の銀錯塩形成剤により可溶化し表面の物理
現像核層まで拡散し、物理現像核上に現像主薬の還元作
用によってインキ受容性の画像銀として析出する。 【0004】DTR法は、単一の現像液中で化学現像と
溶解物理現像とが同時に進行する機構になっている。従
ってよい印刷物を得るためには、非画像部となる化学現
像を生じる領域と画像部となる溶解物理現像を生じる領
域との速度バランスが重要である。 【0005】例えば、化学現像に比べて溶解物理現像が
優先すると、画像の軟調化に基づく地汚れや耐刷不良発
生の原因となる。逆に溶解物理現像に比べて化学現像が
優先すると、耐刷不良になる。 【0006】ところで、DTR平版印刷版の現実化され
ている製版処理方法は、現像槽を内蔵した自動製版カメ
ラが一般的に使用されている。すなわち製版カメラで露
光後、印刷版は現像槽に貯溜された現像液中を通過し、
通過後版面上に残る現像液を機械的な方法、例えば接触
圧を持った絞りローラ間を通過させる等の方法で取り除
き、次に版面のpHを整えるために中和液槽中を通過さ
せ、現像液同様版面上に残る中和液を機械的方法で取り
除き、乾燥して印刷版を作成するというものである。 【0007】上記の様な製版処理方法に於ては、ランニ
ング処理よって処理枚数が増加してくると、初期段階に
処理された平版印刷版と多数枚処理後の平版印刷版との
間には、平版印刷版の印刷性能に違いが発生していた。
処理液の空気酸化や感光材料からの溶出成分による汚染
等の原因によって、処理液の特性に変化が生じているも
のと考えられる。 【0008】一方近年、写真感光材料処理廃液の地球環
境への悪影響が懸念されており、写真処理廃液量を軽減
するような現像システムが求められており、その処理方
法として塗布現像方式が提案されている。例えば、特開
昭48−76603号、同昭57−115549号、同
平6−27680号、同平6−27682号、特願平5
−334028号等に開示されている。 【0009】上記塗布現像方式は、従来の浸漬現像方式
に比べ、少量の現像液で処理できるため、常に新液を用
いて現像することができ、上記したようなランニング処
理による問題点は生じにくい。その反面、現像に用いら
れる現像液量は限られるため、充分な現像が行われにく
いという問題がある。特に、廃液量を減少するために、
現像液の塗布量を減じた場合、その問題は顕著に現れ
る。 【0010】即ち、塗布機構を有する現像方式では、塗
布供給した後には新たな現像液成分が版面に供給され
ず、しかも現像液の廃液量を減少させるために、現像液
の塗布量を少なくすると、現像液特性の僅かなフレによ
って、化学現像と物理現像とのバランスが崩れ易くな
り、地汚れや耐刷力の劣った印刷版しか得られないとい
う問題が生じる。 【0011】更に、塗布機構を有する現像処理装置で
は、供給された塗布液が不均一である場合や、塗布中に
温度の変化があった場合などでは、処理された平版印刷
版版面上の部分部分で印刷特性が異なる印刷版となる欠
点を有していた。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、DT
R法を利用した平版印刷版を安定的に現像処理する方法
を提供するものであり、特に浸漬現像方式におけるラン
ニング処理時の安定化、及び塗布現像方式における印刷
性能の向上を図るものである。本発明の他の目的は、廃
液量を減少させるために、少量の現像液で処理しても高
い印刷性能が得られる塗布現像方法を提供することであ
る。 【0013】本発明の上記の目的は、支持体上に、下塗
層、ハロゲン化銀乳剤層および物理現像核層をこの順に
設けた平版印刷版を銀塩拡散転写法を利用して処理する
方法に於いて、ほう酸、ケイ酸、アスコルビン酸、イミ
ノ二酢酸、クエン酸、プロピオン酸およびこれらの塩か
ら選択される少なくとも1種類の弱酸イオンを含み(た
だし、現像液1リットル当たり少なくとも0.1モルの
アスコルビン酸を主現像薬として含有する場合を除
く)、且つpHが12以上である現像液を用いることを
特徴とする平版印刷版の処理方法によって達成された。 【0014】本発明の処理方法に用いられる現像装置
は、特に限定されないが、大別すると従来から一般的に
用いられている浸漬現像装置、及び感光面上に現像液を
塗布する塗布機構を有する現像装置である。浸漬現像装
置は駆動する搬送ローラ対によって感光材料が搬送さ
れ、処理液が満たされている処理槽中へ搬入され、一定
時間後処理槽中から搬出されるものが一般的である。 【0015】処理槽の容積は、処理される感光材料の大
きさにも依存するが、数リットルから数十リットルであ
る。感光材料が浸漬される時間は、5秒から60秒の範
囲であるが、下記で述べる処理槽を小型化した処理方法
などでは、3秒程度である。好ましくは、7秒から30
秒である。 【0016】特開平4-158360号に記載されている様な処
理槽を小型化した処理方法では、処理液槽中へ搬入され
た感光材料は、比較的短時間で搬出され、必要な現像時
間は処理液槽から搬出された後も空間で現像反応を維持
する様にしているものである。 【0017】本発明に於て、塗布機構を有する現像処理
方式は、一般的にはハロゲン化銀乳剤層が塗布されてい
る感光面に現像液を塗布供給する方法であり、特開昭4
8−76603号等に記載されている、例えば液上げ塗
布方式、滴下法ローラ塗布方式、滴下法ナイフ塗布方
式、スプレー塗布方式やブラシ塗布方式などがある。ま
たバーコーダー(ETO CHEMICAL APPARATUS Co.製)を用
いるようなバー塗布方式や前記特願平5−334028
号に記載されている浸漬塗布方式や、特開平6−276
80号、同平6−27682号に記載されている回転し
ない一対の棒状部材のニップ間に現像液の溜りを形成
し、該ニップ間に感光材料を通過させ、現像液を塗布す
る方式等がある。 【0018】平版印刷版への現像液の塗布量は、一般的
には印刷版1平方メートル当り10〜80ml、好まし
くは20〜60mlの範囲であり、現像時間(現像液の
塗布から、現像液が現像効果を停止するまでの時間)を
3秒以上、好ましくは3〜10秒の範囲である。 【0019】本発明に用いられる現像液は、pHが12
以上である。現像主薬やハロゲン化銀溶剤の活性化の為
には、pHは10以上で可能であるが、印刷という機械
的強度を画像部分に要求されるDTR平版印刷版では、
pHは12以上、好ましくは13以上である。 【0020】上記したように高pHの現像液を作成する
ために、アルカリ剤として、水酸化カリウムや水酸化ナ
トリウム等の水酸化物が用いられていた。しかしなが
ら、DTR平版印刷版を浸漬方式で多数版処理する場合
や、塗布現像処理する場合に於いては、上記のアルカリ
剤だけでは良好な印刷性能を有する平版印刷版を得るこ
とが出来ず、また現像液のpHを更に上昇させても十分
な印刷性能を有する高耐刷力な平版印刷版は得られなか
った。 【0021】浸漬現像方式の場合、ランニング処理によ
って多数枚処理した際、現像液が汚染および疲労し、印
刷性能が著しく低下する。一方、塗布機構を有する現像
方式では、現像液量が限られるため、感光面上に塗布さ
れた現像液の活性が現像過程で低下し、印刷性能が低下
していた。 【0022】このように、2つの現像方式において各々
の課題があり、本発明者らは種々検討した結果、弱酸イ
オンを含有した現像液で処理することによって、印刷特
性の低下を抑制すること見いだした。 【0023】即ち、弱酸イオンは、存在する環境が中性
ないしは酸性雰囲気下で初めて弱アルカリとしての機能
を発現する。従ってDTR平版印刷版の現像液のように
pHが12以上の高pH現像液に適用して、初めてその
効果を発現する。特に、塗布現像方式のように、少量の
現像液しか感光面上に供給されない場合、感光材料の乳
剤層中に浸透してから、特異的に現像反応進行中の膜中
の現像活性の低下を抑制し維持するものと考えられる。 【0024】弱酸イオンを現像液中に添加することによ
って、単に現像液のpHを上昇させる手段や水酸化カリ
ウムや水酸化ナトリウム等の濃度増大等では得ることの
出来なかった高耐刷力の平版印刷版が実現することを発
見した。 【0025】本発明に用いられる弱酸イオンの発生源と
しては、ほう酸およびその塩、ケイ酸およびその塩、ア
スコルビン酸およびその塩、イミノ二酢酸およびその
塩、クエン酸およびその塩、プロピオン酸およびその塩
の弱酸および弱酸塩化合物を挙げることが出来、1種ま
たは2種以上を組み合わせて使用できる。 【0026】上記の弱酸塩の対イオンとしては、特に限
定されないが、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリ
ウムである。 【0027】本発明に用いられる現像液中の弱酸イオン
の含有量は、1リットル当り5ミリモル以上であり、好
ましくは20ミリモル乃至100ミリモルである。弱酸
イオンの現像液中への添加方法は、イオン発生源である
弱酸および弱酸塩化合物を現像液に添加してから、水酸
化カリウムや水酸化ナトリウムなどでpHを12以上に
調整する方法、予め水酸化ナトリウムや水酸化カリウム
でpH12以上に調整された現像液に、弱酸および弱酸
塩化合物を添加する方法がある。後者では、弱酸および
弱酸塩化合物を添加した後、必要に応じてpHを12以
上に再調整する。 【0028】本発明に用いられる現像液には、ヒドロキ
シメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポ
リエチレングリコール等の増粘剤、臭化カリウム等のか
ぶり防止剤、特開昭47-262201号記載の化合物等、ハイ
ドロキノン、メトール、フェニドン等の現像剤を含有す
ることが出来る。 【0029】DTR法を実施するに当たっては、例えば
英国特許第1,000,115号、同第1,012,476号、同第1,017,
273号、同第1,042,477号等の明細書に記載されている如
く、ハロゲン化銀乳剤層および/または受像層ないしは
それに隣接する他の水透過性親水性コロイド層中に現像
剤を混入することが行われている。従って、この様な材
料に於いては、現像段階で使用する処理液は、現像剤を
含まないいわゆる「アルカリ活性化液」を使用しうる。 【0030】本発明の実施に用いられる平版印刷版のハ
ロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩ヨウ
化銀、塩臭ヨウ化銀等が使用でき、好ましくは塩化銀が
70モル%以上のハロゲン化銀である。これらのハロゲ
ン化銀は分光増感剤(光源、用途に応じた分光増感色
素、例えばカメラタイプ、レーザー光タイプ、色分解用
パンクロタイプ等。)、ゼラチン硬化剤、塗布助剤、カ
ブリ防止剤、可塑剤、現像剤、マット剤等を含むことが
出来る。 【0031】ハロゲン化銀乳剤の結合剤は、一般にこの
目的に使用されている天然および/または合成結合剤、
例えばゼラチン、コロイド状アルブミン、セルロース誘
導体等が使用できる。 【0032】ハロゲン化銀乳剤層の下側(支持体面)に
は接着改良用下引層および/またはハレーション防止等
の目的で下塗層を含むことも出来、この層には現像剤、
マット剤を含むことも出来る。 【0033】ハロゲン化銀乳剤層を塗布する支持体は、
紙、各種フィルム、プラスチック、樹脂用物質で被覆し
た紙、金属等が使用できる。 【0034】物理現像各層に使用される物理現像核は、
この種の薬品の例として周知であって、アンチモン、ビ
スマス、カドミウム、コバルト、パラジウム、ニッケ
ル、銀、鉛、亜鉛等の金属およびこれらの硫化物が使用
できる。特開平5-265264号記載の物理現像核を用いるこ
ともできる。物理現像各層にも現像剤を含んでもよく、
水溶性バインダーを含んでもよい。 【0035】本発明により製版された平版印刷版は、例
えば特公昭48-29723号、米国特許第3,721,539号等の明
細書に記載されている如き化合物でインキ受容性に変換
ないし増強しうる。 【0036】印刷方法あるいは使用する不感脂化液、給
湿液等は、普通によく知られている方法によることが出
来る。 【0037】 【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿
論これに限定されるものではない。 【0038】実施例1 DTR法を利用する平版印刷版は、下引処理したポリエ
ステルフィルム支持体上にシリカ粒子を含むハレーショ
ン防止層、オルト増感した塩化銀乳剤層、物理現像核層
を順次塗布した幅404mm、長さ500mmを用い、
該平版印刷版に像反転機構を有する製版カメラで細線画
像を露光した。 【0039】製版処理液は、下記の現像液A及び中和液
を用いた。現像液及び中和液の処理温度はそれぞれ30
℃及び25℃になるように調整した。 【0040】現像液A 水酸化カリウム 15g 水酸化ナトリウム 10g 亜硫酸ナトリウム 35g N-アミノエチルエタノールアミン 10g 弱酸イオン 60ミリモル 水を加えて1lとする。液pHは13.4である。 【0041】中和液 燐酸1カリウム 36 g 亜硫酸ナトリウム 2 g EDTA-Na 6.25g 水を加えて1lとする。 【0042】自動現像装置として、市販のDTR平版印
刷版用カメラプロセッサCP−414S(三菱製紙(株)
/大日本スクリーン製造(株)社製)に内蔵されている処
理ユニットを用いた。現像処理槽(7リットル)に上記
現像液を、中和処理槽(6リットル)に上記中和液を満
たし100版処理した。 【0043】以上の操作により作成した平版印刷版、1
版目および100版目をハイデンベルグTOKオフセッ
ト印刷機に装着し、エッチング液を版面にくまなく与
え、DTR平版印刷版用給湿液を用いて印刷を行った。 【0044】印刷評価は、下記の基準で行った。 A;20000枚以上でも100ミクロンの細線が欠落
しない。 B;15000枚で100ミクロンの細線が欠落。 C;10000枚で100ミクロンの細線が欠落。 D;7000枚以下で100ミクロンの細線が欠落。 【0045】 【表1】 【0046】表1から明らかなように、浸漬現像処理に
おいて、現像液に弱酸イオンを添加することで、多数版
処理に於いても印刷特性(耐刷力)の優れた平版印刷版
が得られた。 【0047】実施例2 特開平6−27680号記載の塗布現像処理装置を作製
し、塗布量が1平方メートル当り40mlになるように
調整し、実施例1に示す平版印刷版及び処理液を用いて
処理した。得られた印刷版については実施例1に準じて
印刷し、評価した。結果を表2に示す。 【0048】 【表2】 【0049】上記結果より、塗布現像方式において、少
量の現像液を塗布供給して現像する際、現像液に弱酸イ
オンを添加することによって、従来の現像液からは予想
できない程の高い印刷性能が得られる。尚、塗布現像方
式は実施例1の浸漬方式とは異なり、常に新液で処理す
るという立場から、処理枚数とは関係なく安定なものが
得られる。 【0050】 【発明の効果】本発明によれば、銀塩拡散転写法を利用
した平版印刷版を、従来よりも安定し、良好な印刷特性
を持った平版印刷版を得ることが出来る。特に浸漬現像
方式におけるランニング処理時の安定化、及び塗布現像
方式における印刷性能の向上が図られる。更に、塗布現
像方式において、少量の現像液で処理しても高い印刷性
能が得られるため、廃液量の減少が図られる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G03F 7/07
G03C 8/06 501
G03C 8/36 501
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体上に、下塗層、ハロゲン化銀乳剤
層および物理現像核層をこの順に設けた平版印刷版を銀
塩拡散転写法を利用して処理する方法に於いて、ほう
酸、ケイ酸、アスコルビン酸、イミノ二酢酸、クエン
酸、プロピオン酸およびこれらの塩から選択される少な
くとも1種類の弱酸イオンを含み(ただし、現像液1リ
ットル当たり少なくとも0.1モルのアスコルビン酸を
主現像薬として含有する場合を除く)、且つpHが12
以上である現像液を用いることを特徴とする平版印刷版
の処理方法。
Priority Applications (1)
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JP5030296A JP3419622B2 (ja) | 1996-03-07 | 1996-03-07 | 平版印刷版の処理方法 |
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JPH09244198A JPH09244198A (ja) | 1997-09-19 |
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1996
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