JP2010199411A - シリコンウェーハの熱処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チョクラルスキー法により製造したシリコン単結晶インゴットをスライスして得られたウェーハを急速加熱・急速冷却熱処理する際、昇温過程では非酸化性ガス雰囲気とし、最高到達温度を1300℃以上シリコンの融点以下の温度とし、前記最高到達温度での保持状態における雰囲気を、前記ウェーハの表面側は酸素分圧20〜100%の酸化性ガス雰囲気とし、前記ウェーハの裏面側は非酸化性ガス雰囲気とし、降温過程では、前記ウェーハの表面側および裏面側のいずれも、非酸化性ガス雰囲気とする。
【選択図】図1
Description
しかしながら、このような急速冷却の場合、ウェーハ面内の温度分布に起因する熱応力が増大し、スリップが発生しやすくなるという課題を有していた。
このような熱処理を行うことにより、ウェーハ表面側にはDZ層が形成され、かつ、固溶酸素濃度が高くなり、一方、ウェーハ裏面側では残留空孔濃度が高くなるため、ウェーハのバルク中に高密度のBMDを形成させることが可能となる。
このような雰囲気ガスの切り替えにより、表面側のCOPをより完全に消滅することができ、DZ層をより高品質化することができる。
このように雰囲気ガスを制御することにより、DZ層の厚さを薄くすることができる。すなわち、デバイス形成領域に酸素析出物の生成領域を近づけることができ、これにより、不純物のゲッタリング効果を向上させることができる。
このように供給ガスの流量を調整することにより、ウェーハ表面の酸化反応が面内で均一に行われ、高品質なDZ層を形成することができる。
本発明に係るシリコンウェーハの熱処理方法においては、CZ法により製造したシリコン単結晶インゴットをスライスして得られたウェーハに対して、RTPを行う。本発明は、このRTPの際、最高到達温度を1300℃以上シリコンの融点以下の温度とし、前記最高到達温度での保持状態における雰囲気を、前記ウェーハの表面側は酸素分圧20〜100%の酸化性ガス雰囲気とし、前記ウェーハの裏面側は非酸化性ガス雰囲気とすることを特徴とするものである。
一方、ウェーハ裏面側は、非酸化性ガス雰囲気とすることにより、空孔濃度が高くなる傾向があり、冷却後にバルク中に残留する空孔濃度を高めることができる。
よって、ウェーハ表面側にはDZ層が形成され、かつ、固溶酸素濃度が高くなり、ウェーハ裏面側では残留空孔濃度が高くなる。
その結果、後の熱処理において、ウェーハのバルク中に高密度のBMDを形成させることが可能となる。
このような雰囲気ガスの切り替えにより、表面側のCOPをより完全に消滅することができ、DZ層のより一層の高品質化を図ることができる。
1000℃以下で酸化性雰囲気に切り替えることによって、急激な酸化反応による表面粗さの劣化を防止することができる。
これにより、その後の熱処理で酸素析出を生じる領域をウェーハ表面側に近づけることができる。すなわち、DZ層の厚さを薄くすることができ、これにより、デバイス形成領域に酸素析出物の生成領域が近づくこととなり、不純物のゲッタリング効果を向上させることができる。
このように供給ガスの流量を調整することにより、ウェーハ裏面側の非酸化性ガスがウェーハの外周部から表面側へ回り込むことを防止することができ、酸化性雰囲気によるウェーハ表面の酸化反応を面内で均一に進行させることができる。すなわち、ウェーハ表面側は外周部まで高品質なDZ層を形成することができる。
また、裏面側への酸化性ガスの回り込みを防止して、裏面側の外周部まで均一にBMDを形成することができる。
図1に、本発明に係るシリコンウェーハの熱処理方法に用いられるウェーハ熱処理装置のチャンバ部の概要を示す。
図1に示すウェーハ熱処理装置は、RTP装置であり、このチャンバ部1は、ウェーハWを収容する反応管2と、前記反応管2内に配設され、前記ウェーハWが載置されるウェーハ支持部3と、前記ウェーハWを光照射により加熱する複数のランプ4とを備えている。
そして、前記反応管2は、前記ウェーハWの表面W1側の雰囲気ガスを供給するガス供給口11およびガス排出口12と、前記ウェーハWの裏面W2側の雰囲気ガスを供給するガス供給口21およびガス排出口22とを備えている。
まず、反応管2内のウェーハ支持部3のサセプタ3a上にウェーハWを載置して支持させ、サセプタ回転部3bによりサセプタ3aを回転させながら、ガス供給口11から酸素分圧20〜100%の酸化性ガスまたは非酸化性ガスを反応管2内のウェーハWの表面W1側に供給する。一方、ガス供給口21からは、反応管2内のウェーハWの裏面W2側に、非酸化性ガスを供給する。
上記のように、ガス供給口11および21の両方から反応管2内に所定のガスを供給しながら、ランプ4からの光照射によりウェーハWを加熱する。この過程が、昇温過程である。
このとき、ガス供給口11から供給される酸化性ガスの流量が、ガス供給口21から供給される非酸化性ガスの流量よりも小さくなるように、ガス供給口11および21の両方のガス流量を調節する。
このようにして、前記最高到達温度での保持状態においては、ガス供給口21から供給される非酸化性ガスが、ウェーハWの表面W1側に回り込まないようにし、前記ウェーハWの表面W1側は酸素分圧20〜100%の酸化性ガス雰囲気、一方、ウェーハWの裏面W2側は非酸化性ガス雰囲気とし、ウェーハWの表面W1および裏面W2をそれぞれ異なるガス雰囲気に保持する。
なお、反応管2内の温度制御やガスの流量制御は、周知の制御手段(図示せず)により行う。
CZ法によるシリコン単結晶インゴットの製造は、周知の方法にて行うことができる。具体的には、石英ルツボに充填した多結晶シリコンを加熱してシリコン融液とし、このシリコン融液の液面に種結晶を接触させて、種結晶と石英ルツボを回転させながら種結晶を引き上げ、所望の直径まで拡径して直胴部を形成し、その後、シリコン融液から切り離すことにより、シリコン単結晶インゴットを育成する。
次に、このようにして得られたシリコン単結晶インゴットを、周知の方法により、シリコンウェーハに加工する。具体的には、シリコン単結晶インゴットを内周刃またはワイヤソー等によりウェーハ状にスライスした後、外周部の面取り、ラッピング、エッチング、鏡面研磨等の加工を行う。
このような温度条件とすることにより、熱処理前のウェーハに存在するグローン・イン欠陥(Grown−in欠陥)をより完全に消滅させることができる。前記最高到達温度がシリコン融点を超える場合には、急速加熱・急速冷却熱処理を行うシリコンウェーハが融解してしまうため好ましくない。
より好ましくは、前記RTP装置としての装置寿命の観点から、前記最高到達温度の上限値は1380℃以下とする。
なお、ここでいう最高到達温度は、ウェーハの裏面側の多数点での平均温度を基準とする。
前記酸素分圧が20%未満では、ウェーハ表層のCOPを十分に消滅させ、ウェーハのバルク中に高密度のBMDを生成させて、スリップの発生を抑制することが困難である。
窒素ガスを用いる場合には、RTPにおいてウェーハ表面に窒化膜が形成され、この窒化膜の除去のためのエッチング工程等を増加しなければならない場合がある。
また、水素ガスは、酸素との混合により、爆発の危険性があるため好ましくない。
前記不活性ガスとしては、特に、アルゴンガスを用いることが好ましい。アルゴンガスであれば、上記のような窒化膜等の他の膜の形成や化学的反応等が生じることがなく、RTPを行うことができる。
前記昇温速度または降温速度が、10℃/秒未満である場合には、生産性に劣り、一方、150℃/秒を超える場合には、急激すぎる温度変化にシリコンウェーハが耐えられず、スリップが発生しやすくなる。
前記保持時間が1秒未満である場合は、COPの低減やBMD密度の向上等を達成することが難しい。
一方、前記保持時間が60秒を超える場合は、生産性に劣るとともに、ウェーハ支持位置における応力集中に起因するスリップの発生が顕著となるため好ましくない。
CZ法によりV−リッチ領域で育成したシリコン単結晶インゴットをスライスして得られたシリコンウェーハ(直径300mm、厚さ775mm、酸素濃度1.3×1018atoms/cc)について、図1に示すようなRTP装置内で、表1に示す実施例1〜6および比較例1〜5の各条件の最高到達温度および雰囲気にて、RTPを行った。最高到達温度における保持時間は、いずれも、15秒とした。また、降温レートは、いずれも、同一条件とした。
なお、実施例6においては、最高到達温度での保持状態におけるウェーハ表面側への供給ガスの流量を、ウェーハ裏面への供給ガスの流量よりも10%小さくした。実施例6以外は、ウェーハ表面側および裏面側への供給ガスの流量はいずれも等しくした。
これらの結果をまとめて表2に示す。
なお、比較例1〜4については、DZ層の厚さは、測定下限未満であった。
このことから、最高到達温度での保持状態におけるウェーハ表面側への供給ガスの流量を、ウェーハ裏面への供給ガスの流量よりも小さくして、ウェーハ表面側と裏面側の雰囲気を調整することにより、ウェーハ表面において、面内で均一に酸化反応が進行していることが認められた。
2 反応管
3 ウェーハ支持部
4 ランプ
11,21 ガス供給口
12,22 ガス排出口
W ウェーハ
Claims (4)
- チョクラルスキー法により製造したシリコン単結晶インゴットをスライスして得られたウェーハを急速加熱・急速冷却熱処理する際、最高到達温度を1300℃以上シリコンの融点以下の温度とし、前記最高到達温度での保持状態における雰囲気を、前記ウェーハの表面側は酸素分圧20〜100%の酸化性ガス雰囲気とし、前記ウェーハの裏面側は非酸化性ガス雰囲気とすることを特徴とするシリコンウェーハの熱処理方法。
- 前記急速加熱・急速冷却熱処理におけるウェーハの表面側の雰囲気を、昇温過程では非酸化性ガス雰囲気とし、最高到達温度に達した後、酸素分圧20〜100%の酸化性ガス雰囲気に切り替えることを特徴とする請求項1記載のシリコンウェーハの熱処理方法。
- 前記急速加熱・急速冷却熱処理における降温過程では、前記ウェーハの表面側および裏面側のいずれも、非酸化性ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコンウェーハの熱処理方法。
- 前記ウェーハの表面側を酸化性ガス雰囲気とするために供給される酸化性ガスの流量が、前記ウェーハの裏面側を非酸化性ガス雰囲気とするために供給される非酸化性ガスの流量よりも小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコンウェーハの熱処理方法。
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