JP5590644B2 - シリコンウェーハの熱処理方法 - Google Patents
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また、長時間熱処理を行ったウェーハの表面部は、酸素の外方拡散によりシリコン中の固溶酸素濃度が低下するため、このようなウェーハをデバイスプロセスにおいて使用した場合、デバイスプロセスで生じる応力や歪の印加によって発生した転位が、その後の熱処理において伸長しやすく、デバイス歩留が低下する要因となる。
また、熱処理が長時間となるため、当該熱処理時においても、ウェーハにスリップが発生しやすいという問題もあった。
また、特許文献2においては、当該熱処理においてウェーハに発生するスリップを抑制することができることは記載されていない。
この技術を用いることにより、内部欠陥密度(バルク部のBMD密度)が最大で1.0×1010cm-3程度の高密度のBMDを形成することができる。
このような方法を用いることにより、デバイス活性領域となるウェーハの表面部においてCOP等の結晶欠陥を消滅させることができ、バルク部においてはBMDを高密度に形成させることができ、さらに、RTPにおいて発生するスリップを抑制することができる。
また、上記範囲内の酸素分圧とすることにより、ウェーハの表面部における結晶欠陥の消滅力を高めることができる。
なお、本発明でいう表面部とは、半導体デバイスが形成される表面から深さが約5〜25μmまでの表層領域のことを指し、バルク部とは、前記表面部より深い下層の領域のことを指す。
このような範囲に降温速度を制御することにより、RTPにおいて発生するスリップを大きく抑制しつつ、バルク部においてはBMDを高密度で形成させることができる。
このような範囲に降温速度を制御した場合も、RTPにおいて発生するスリップを抑制しつつ、バルク部においてはBMDをより高密度で形成させることができる。
したがって、本発明に係る方法による熱処理を施したシリコンウェーハは、半導体デバイスプロセスにおける歩留の向上に大きく寄与するものである。
本発明に係るシリコンウェーハの熱処理方法は、CZ法により製造したシリコン単結晶インゴットをスライスして得られたシリコンウェーハにRTPを施すものであり、RTPを酸素含有雰囲気下、最高到達温度を1300℃以上シリコンの融点以下とし、前記最高到達温度からの降温速度を50℃/秒以上145℃/秒以下として行うことを特徴とするものである。
このような熱処理を行うことにより、デバイス活性領域となるウェーハの表面部においてCOP等の結晶欠陥を消滅させることができ、バルク部においてはBMDを1.0×1010cm-3レベルの高密度でBMDを形成させることができ、さらに、RTPにおいてウェーハに発生するスリップを抑制することができる。
また、ウェーハ内に酸素が注入されるため、ウェーハの表面部における固溶酸素濃度を高めることができる。このため、上記のような熱処理を施したウェーハをデバイスプロセスにおいて使用する際、デバイスプロセスで生じる応力や歪の印加によって発生した転位の伸長を抑制することができる。
これにより、ウェーハのバルク部に存在する空孔が、前記格子間シリコンによって埋められて対消滅することを防止し、バルク部に残留する空孔濃度を高めることができるため、ウェーハのバルク部のBMD密度を向上させることができる。
このため、ウェーハの表面部では、格子間シリコンが埋めることによるCOPの消滅力を高めることができ、一方、ウェーハのバルク部では、空孔を多く形成することができるため、BMDを高密度で形成させることができる。
図1は、本発明に係るシリコンウェーハの熱処理方法に用いられるRTP装置のチャンバ部の概要を示す断面図である。
図1に示すRTP装置のチャンバ部10は、ウェーハWを収容する反応管20と、前記反応管20内に配設され、前記ウェーハWが載置されるウェーハ支持部30と、前記ウェーハWを光照射により加熱する複数のランプ40とを備えている。
前記第1の雰囲気ガスFAは、ウェーハWのRTPにおける熱処理時の雰囲気ガスとして、前記第2の雰囲気ガスFBは、必要に応じてRTPにおける冷却用ガスとして用いられる。すなわち、本発明においては、第1の雰囲気ガスFAは酸素含有雰囲気ガスである。
次に、前記最高到達温度T1を所定時間t(秒)保持する。
その後、必要に応じて、ガス供給口24から第2の雰囲気ガスFBを供給するとともに、ガス排出口28から第2の雰囲気ガスFBを排出させて、所定の降温速度ΔTd(℃/秒)でウェーハWを急速冷却する。
CZ法によるシリコン単結晶インゴットの製造は、周知の方法にて行うことができる。具体的には、石英ルツボに充填した多結晶シリコンを加熱してシリコン融液とし、このシリコン融液の液面に種結晶を接触させて、種結晶と石英ルツボを回転させながら種結晶を引き上げ、所望の直径まで拡径して直胴部を形成し、その後、シリコン融液から切り離すことにより、シリコン単結晶インゴットを育成する。
次に、このようにして得られたシリコン単結晶インゴットを、周知の方法により、シリコンウェーハに加工する。具体的には、シリコン単結晶インゴットを内周刃またはワイヤソー等によりウェーハ状にスライスした後、外周部の面取り、ラッピング、エッチング、鏡面研磨等の加工を行う。
前記最高到達温度が1300℃未満である場合には、デバイス活性領域となるウェーハの表面部においてCOP等の結晶欠陥の消滅力を高めることが難しい。
一方、前記最高到達温度がシリコン融点を超える場合には、熱処理するシリコンウェーハが融解してしまうため好ましくない。
なお、前記最高到達温度の上限値は、RTP装置としての装置寿命の観点から、1380℃以下であることがより好ましい。
一方、前記降温速度が145℃/秒を超える場合には、ウェーハ内部のBMD密度をより高めることができるものの、RTPにおいてウェーハに発生するスリップを抑制することが困難となるため好ましくない。
前記降温速度は、50℃/秒以上70℃/秒以下または90℃/秒以上145℃/秒以下であることがより好ましい。
降温速度を上記範囲内に制御することにより、RTPにおいて発生するスリップを大きく抑制しつつ、バルク部においてはBMDを高密度で形成させることができる。
特に、前記降温速度を90℃/秒以上145℃/秒以下とした場合には、バルク部におけるBMD密度を3.0×1010cm-3程度まで向上させることができる。
前記酸素分圧が20%未満である場合には、COPを埋める格子間シリコンの濃度が減少するため、ウェーハの表面部においてCOPの消滅力が低下するため好ましくない。
前記酸素ガス以外のガスとして窒素ガスを用いる場合には、RTPにおいてウェーハ表面に窒化膜が形成され、この窒化膜の除去のため、新たにエッチング工程等を増やさなければならず、工程が増加するため好ましくない。また、水素ガスは、酸素および水素の混合ガスは爆発の危険性があるため、用いることは好ましくない。また、アンモニア系ガスは、COP等の結晶欠陥の消滅力が低下するため好ましくない。
前記不活性ガスとしては、アルゴンガスを用いることが好ましい。アルゴンガスを用いることにより、窒化膜等の他の膜の形成や化学的反応等が生じることがなく、RTPを行うことができる。
このような冷却効果の高いガスを用いることにより、降温速度の高速化を容易に図ることができ、BMDの高密度化に寄与することができる。
前記昇温速度が10℃/秒未満である場合には、生産性が低下するため好ましくない。
一方、前記昇温速度が150℃/秒を超える場合には、急激すぎる温度変化に耐えられず、ウェーハにスリップが発生するおそれがある。
前記保持時間tが1秒未満である場合は、RTPの本来の目的である結晶欠陥の低減やBMD密度の向上等を達成することが難しい。
一方、前記保持時間tが60秒を超える場合は。生産性が低下するため好ましくない。
以下、シリコン単結晶インゴット中の欠陥領域について、図3に基づいて説明する。
[N]領域からスライスされたウェーハには、バルク部でBMD核が成長するために必要な空孔が存在しないため、BMD密度を高めるには限界がある。また、[I]領域からスライスされたウェーハは、半導体デバイス形成用基板として使用することができないことは周知である。
より好ましくは、ウェーハ全体が、[OSF]領域を含まない[V]領域のみからなるようにスライスされたものが用いられる。[OSF]領域を含まないウェーハであれば、上記効果に加えて、BMD密度のウェーハ面内における均一化を図ることができる。
(試験1)降温速度とBMD密度およびスリップ全長との関係
CZ法によりv/Gを制御して空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を有するシリコン単結晶インゴットを製造し、該領域からスライスして得られた両面が鏡面研磨されたシリコンウェーハ(直径300mm、厚さ775μm)を、酸素100%(流量20slm)雰囲気下、温度T0:600℃、昇温速度70℃/秒、最高到達温度1350℃、その保持時間15秒間にて、降温速度を表1に示すように変化させてRTPを行った。
なお、降温速度が120℃/秒以上の場合(実施例4,5、比較例3,4)は、ウェーハの冷却速度を大きくするために、ウェーハ裏面側に熱伝導率の大きいヘリウムガスを導入した。
また、上記において得られたアニールウェーハに対して、スリップ全長をX線トポグラフィ(株式会社リガク製 XRT300)にて測定した。
表1に、各降温速度におけるBMD密度およびスリップ全長の測定結果を示す。また、図4に、表1の結果に基づいて、降温速度とBMD密度およびスリップ全長との関係をグラフにして示す。
また、図5に、所定の降温速度におけるIRトモグラフィ像を示す。
また、図5のIRトモグラフィ像から、降温速度が増大すると、BMD存在領域がウェーハ表面側に近づき、かつ、ウェーハのバルク部におけるBMD密度が増加する傾向が認められた。
CZ法によりv/Gを制御して空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を有するシリコン単結晶インゴットを製造し、該領域からスライスして得られた両面が鏡面研磨されたウェーハ(直径300mm、厚さ775μm)を、縦型拡散炉を用いてAr雰囲気下、1200℃で1時間熱処理をおこない、ウェーハ表層の酸素を外方拡散させた。
その後、酸素100%(流量20slm)雰囲気下、温度T0:600℃、昇温速度70℃/秒、最高到達温度1350℃、その保持時間15秒間にて、降温速度を変化させてRTPを行った(比較例5:12.5℃/秒、比較例6:25℃/秒、実施例6:50℃/秒、実施例7:120℃/秒)。
得られた各アニールウェーハのウェーハ中心における深さ方向の酸素濃度プロファイルを二次イオン質量分析装置(SIMS;Cameca社製 Ims−6f)にて評価した。
CZ法によりv/Gを制御して空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を有するシリコン単結晶インゴットを製造し、該領域からスライスして得られた両面が鏡面研磨されたウェーハ(直径300mm、厚さ775μm)を、温度T0:600℃、昇温速度70℃/秒、最高到達温度での保持時間30秒間、降温速度120℃/秒にて、熱処理雰囲気における酸素分圧やガスの種類、最高到達温度を変化させて、RTPを行った。
得られた各アニールウェーハの半導体デバイスが形成される表面から深さ5μmまでのウェーハ表面部における前記RTP前後のLSTD減少率をLSTDスキャナ(株式会社レイテックス製 MO−601)にて評価した。表2に評価結果を示す。
一方、最高到達温度・℃・が1300℃未満である場合(比較例7)、酸素分圧が15%(比較例8)、または、アンモニア雰囲気下(比較例9)では、LSTDの消滅率は小さいことが認められた。
20 反応管
30 ウェーハ支持部
40 ランプ
Claims (4)
- チョクラルスキー法により製造したシリコン単結晶インゴットをスライスして得られたシリコンウェーハを熱処理する方法において、
熱処理するウェーハが、前記シリコン単結晶インゴットのうち、空孔型点欠陥が支配的に存在する領域からスライスして得られたものであり、
酸素分圧が20%以上100%以下の酸素含有雰囲気下、最高到達温度を1300℃以上シリコンの融点以下とし、前記最高到達温度からの降温速度を50℃/秒以上145℃/秒以下として、急速加熱・急速冷却熱処理を行うことを特徴とするシリコンウェーハの熱処理方法。 - 前記最高到達温度が1350℃以上であることを特徴とする請求項1記載のシリコンウェーハの熱処理方法。
- 前記降温速度が50℃/秒以上70℃/秒以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンウェーハの熱処理方法。
- 前記降温速度が90℃/秒以上145℃/秒以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンウェーハの熱処理方法。
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