JP2022050071A - シリコンウェーハおよびシリコンウェーハの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】デバイスの作製工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成すること。【解決手段】シリコンウェーハの製造方法は、チョクラルスキー法で育成した単結晶シリコンインゴットからスライスして得たシリコンウェーハに対し、酸化性雰囲気下において、前記シリコンウェーハの表層に酸素を内方拡散させると供に、前記シリコンウェーハのバルク部に原子空孔を凍結させる第一熱処理工程と、前記シリコンウェーハの表層に酸素析出物を析出させる第二熱処理工程と、前記第二熱処理工程後、前記シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去する研磨工程と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、シリコンウェーハおよびシリコンウェーハの製造方法に関するものである。
半導体デバイス用の基板として用いられるシリコンウェーハ(以下、単にウェーハと略すことがある)は、デバイス品質の向上を目的に、表層の無欠陥化のみならず、近年では、ウェーハの機械的強度や金属不純物を捕獲する、いわゆるゲッタリングの性能が要求されている。ゲッタリングとは、ウェーハ中の不純物が特定の領域に集まる現象を積極的利用することによって、最終製品の性能への悪影響を減らす技術であり、イントリンシック・ゲッタリングとエクストリンシック・ゲッタリングとに大きく分けることができる。
イントリンシック・ゲッタリング(以下、こちらを単にゲッタリングという)では、BMD(Bulk Micro Defects)と呼ばれる酸素析出物をウェーハ内部に設計的に作り込むことで最終製品の性能への悪影響を減らす。ウェーハ内部のBMDは金属不純物と化合し固定化する働きをすることができる。そして、ゲッタリングの性能を向上するためには、BMDが析出する領域を上手く制御することが重要である。例えば、特許文献1では、ウェーハに1300℃以上の急速昇降温熱処理(以下、RTPという)を施すことで、点欠陥である空孔をウェーハのバルク(表層ではなく内部)に多量に残存させることで、その後のBMD析出熱処理時にBMDを高密度に形成させる方法が提案されている。
ところで、半導体デバイス形成工程におけるシリコンウェーハにされる熱処理は年々変化しており、熱処理時に導入される金属不純物に対するゲッタリング能力だけではなく、熱処理によるシリコンウェーハの反りも大きな問題となっている。
特に、最近注目されている3DNANDデバイスでは、シリコンウェーハ上に酸化膜、窒化膜、金属膜等が垂直方向に積層される構造になっており、積層膜によってシリコンウェーハに大きな反りが発生しやすい。デバイスの作製工程中にシリコンウェーハが大きく反ってしまうと、後工程でのオーバーレイ不良等の原因となる。デバイスの作製工程中の反りを抑制するためには、単純に高平坦度なシリコンウェーハではなく、デバイスの作製工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成させたシリコンウェーハを作製する必要がある。
また、形成されるデバイスの構造や熱処理条件によって生じる反りの方向や反り量は異なるので、シリコンウェーハもそれに合わせて反りをコントロールできることが望ましい。
本発明の目的は、デバイスの作製工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成することに寄与するシリコンウェーハおよびその製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明のシリコンウェーハの製造方法においては、チョクラルスキー法で育成した単結晶シリコンインゴットからスライスして得たシリコンウェーハに対し、酸化性雰囲気下において、前記シリコンウェーハの表層に酸素を内方拡散させると供に、前記シリコンウェーハのバルク部に原子空孔を凍結させる第一熱処理工程と、前記シリコンウェーハの表層に酸素析出物を析出させる第二熱処理工程と、前記第二熱処理工程後、前記シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下除去する研磨工程と、を備える。
このように、本発明のシリコンウェーハの製造方法は第一熱処理工程と第二熱処理工程の組み合わせによって、デバイス活性層の直下数μmにBMDの析出領域を形成する。第一熱処理工程では、表層に酸素を内方拡散させて表層領域の酸素濃度を増大させると伴に、ウェーハバルク部に原子空孔(以下、空孔)を凍結させる。そして、第二熱処理工程では、表層数μm領域に酸素析出物を顕在化させる。
一方、酸素析出物(SiO2)はシリコン(Si)に比べ体積が2.21倍となるので、シリコンウェーハ表層は酸素析出物による引っ張り応力が常に発生している状態となっている。これを、シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去することで、他方の酸素析出物形成領域の引っ張り応力によってシリコンウェーハ全体に反りが生じる。これによって、デバイスの作製工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成することができる。
また、第二熱処理工程は、炉入れ温度から700℃までの体験時間を2時間未満とし、800℃以上1000℃以下で1時間以上10時間以下保持し、その後、1100℃以上1200℃以下まで昇温して10分以上4時間以下保持するで、前記シリコンウェーハの表面から深さが1~2μmの無欠陥層を確保しつつ、深さが1~6μm領域に前記酸素析出物を析出させることが好ましい。第二熱処理工程において、炉入れ温度から700℃までの体験時間を2時間未満とする理由は、表面直下1μm領域に酸素析出物を形成させるのを防ぐためである。また、800℃以上1000℃以下で保持する理由は、空孔起因で生じる酸素析出物の主たる核発生温度だからである。その後、1100℃以上1200℃以下で10分以上2時間以下保持する理由は、発生した酸素析出物の核を成長させ析出物の表面積を大きくして金属不純物のゲッタリング力を高めるためである。
さらに、第一熱処理工程では、1300℃以上1350℃以下で、1秒以上60秒以下保持し、1000℃以下まで冷却速度50℃毎秒よりも速く120℃毎秒以下で急冷することが好ましい。1300℃以上1350℃以下で1秒以上60秒以下保持することで表層領域の酸素濃度を増大させると伴に、冷却速度を50℃毎秒よりも速くする理由は、増大させた酸素と空孔の外方拡散による濃度低下を防ぐためである。また、冷却速度を120℃毎秒以下とする理由は熱応力に起因するスリップの発生を防止するためである。
さらに、第一熱処理後、前記シリコンウェーハの表層を除去せずに前記第二熱処理を続けて行うことが好ましい。前記シリコンウェーハの表面から数μmの無欠陥層と、当該無欠陥層直下に酸素析出物の形成領域を作製するためである。
さらに、第一熱処理後、前記シリコンウェーハに形成された酸化膜を剥離した後、前記第二熱処理を非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。酸素の外方拡散を促進し、無欠陥領域が約2μm確保するためである。
さらに、チョクラルスキー法において、結晶の引き上げ速度と固液界面における結晶軸方向の温度勾配を制御することによって得られる無欠陥型シリコンインゴットを使用することが好ましい。第一熱処理方法では、表面から1μm領域内にボイド欠陥(結晶成長時導入欠陥)が残留する。ボイド欠陥が存在しない無欠陥型シリコンを使用することでこの問題を避けることができるからである。
本発明のシリコンウェーハにおいては、チョクラルスキー法で育成した単結晶シリコンインゴットからスライスして得たシリコンウェーハに対し、酸化性雰囲気下において、前記シリコンウェーハの表層に酸素を内方拡散させると供に、前記シリコンウェーハのバルク部に原子空孔を凍結させる第一熱処理工程と、前記シリコンウェーハの表面から深さが1~2μmの無欠陥層を確保し、深さが1~6μm領域に酸素析出物を析出させる第二熱処理工程と、前記第二熱処理工程後、前記シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去する研磨工程と、を施すことで作製することが好ましい。
上記したシリコンウェーハの製造方法を用いて製造されたシリコンウェーハは、同様に、デバイス工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成することができる。また、上記したシリコンウェーハの製造方法を用いないとしても、表面および裏面のいずれか一方の面から深さが1~2μmの無欠陥層と深さが1~6μm領域に酸素析出物層とを有するシリコンウェーハは、同様に、デバイス工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成することができる。
本発明によれば、デバイスの作製工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成することに寄与するシリコンウェーハおよびその製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係るシリコンウェーハの製造方法に用いられるRTP装置の一例の概要を示す断面図である。
図1に示すように、RTP装置10は、雰囲気ガス導入口20a及び雰囲気ガス排出口20bを備えたチャンバ(反応管)20と、チャンバ20の上部に離間して配置された複数のランプ30と、チャンバ20内の反応空間25にウェーハWを支持するウェーハ支持部40とを備えている。
ウェーハ支持部40は、ウェーハWの外周部を支持する環状のサセプタ40aと、サセプタ40aを支持するステージ40bとを備える。また、ウェーハ支持部40は、ウェーハWをその中心軸周りに所定速度で回転させる回転手段を備えている。
チャンバ20は、例えば、石英で構成されている。ランプ30は、例えば、ハロゲンランプで構成されている。サセプタ40aは、例えば、シリコンで構成されている。ステージ40bは、例えば、石英で構成されている。
図1に示すRTP装置10を用いてウェーハWに対しRTPを行う場合は、ウェーハWを反応空間25内に導入し、ウェーハ支持部40のサセプタ40a上にウェーハWを支持する。そして、雰囲気ガス導入口20aから後述する雰囲気ガスを導入すると共に、ウェーハWを回転させながら、ランプ30によりウェーハW表面に対してランプ照射をすることで行う。
このRTP装置10における反応空間25内の温度制御は、ウェーハ支持部40のステージ40bに埋め込まれた複数の放射温度計50によってウェーハWの下部のウェーハ径方向におけるウェーハ面内多点の平均温度を測定し、その測定された温度に基づいて複数のハロゲンランプ30の制御(各ランプの個別のON-OFF制御や、発光する光の発光強度の制御等)を行う。
図2は、本発明の実施形態に係るシリコンウェーハの製造方法の手順を示すフローチャートである。図2に示すように、本発明の実施形態に係るシリコンウェーハの製造方法は、主にシリコンウェーハの準備工程S1と、第一熱処理工程S2と、第二熱処理工程S3とを備えている。
シリコンウェーハの準備工程S1では、チョクラルスキー法により育成したシリコン単結晶インゴットからスライスされたシリコンウェーハを用意する。チョクラルスキー法によるシリコン単結晶インゴットの育成は周知の方法にて行うことができる。石英ルツボに充填した多結晶シリコンを加熱してシリコン融液とし、このシリコン融液の液面上方から種結晶を接触させて、種結晶と石英ルツボを回転させながら引上げ、所望の直径まで拡径して直胴部を育成することでシリコン単結晶インゴットを製造する。
ここで、チョクラルスキー法において、結晶の引き上げ速度と固液界面における結晶軸方向の温度勾配を制御することによって得られる無欠陥型シリコンインゴットを使用することが好ましい。後段の第一熱処理方法では、表面から1μm領域内にボイド欠陥(結晶成長時導入欠陥)が残留する。ボイド欠陥が存在しない無欠陥型シリコンを使用することでこの問題を避けることができるからである。
こうして得られたシリコン単結晶インゴットは、周知の方法によりシリコンウェーハに加工される。シリコン単結晶インゴットを内周刃又はワイヤソー等によりウェーハ状にスライスした後、外周部の面取り、ラッピング、エッチング、研磨等の加工工程を経て、熱処理前のシリコンウェーハを作製する。
第一熱処理工程S2では、酸化性雰囲気下において、シリコンウェーハの表層に酸素を内方拡散させると供に、シリコンウェーハのバルク部に原子空孔を凍結させる。そして、第二熱処理工程S3では、表層数μm領域に酸素析出物を顕在化させる。なお、第一熱処理工程S2および第二熱処理工程S3における最適条件については後に詳述するものとする。
一方、第一熱処理工程S2の後、シリコンウェーハの表層を除去せずに第二熱処理工程S3を続けて行うことが好ましい。シリコンウェーハの表面から数μmの無欠陥層と、当該無欠陥層直下に酸素析出物の形成領域を作製するためである。また、第一熱処理工程S2の後、シリコンウェーハに形成された酸化膜を剥離した後、第二熱処理工程S3を非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。酸素の外方拡散を促進し、無欠陥層を十分に確保するためである。
第二熱処理工程S3の後、研磨工程S4にて、シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去する。第二熱処理工程S3にて析出された酸素析出物(SiO2)はシリコン(Si)に比べ体積が2.21倍となる。したがって、シリコンウェーハ表層(表面および裏面を含む)は酸素析出物による引っ張り応力が常に発生している状態となっている。研磨工程S4では、シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去することで、他方の酸素析出物形成領域の引っ張り応力によってシリコンウェーハ全体に反りが生じさせる。
なお、研磨工程S4によって、シリコンウェーハ全体に反りが生じてしまうが、その後のデバイスの作製工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成することで、最終的に製造される製品の性能は向上する。
図3は、研磨工程によってシリコンウェーハに生じる反りの概念図である。図3に示すように、第ニ熱処理工程の後には、シリコンウェーハWの表面および裏面の両方の表層に酸素析出物Dが析出している。シリコンウェーハWの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去することで、他方の酸素析出物形成領域の引っ張り応力によってシリコンウェーハW全体に反りが生じさせることが可能である。
例えば、図3に示すように、シリコンウェーハWの表面から5μm以上15μm以下(領域A)を研磨で除去すれば、シリコンウェーハWは矢印(A)のように変形し、表面に向かって凹面に反りが生じる。一方、シリコンウェーハWの裏面から5μm以上15μm以下(領域B)を研磨で除去すれば、シリコンウェーハWは矢印(B)のように変形し、表面に向かって凸面に反りが生じる。なお、形成されるデバイスの構造や熱処理条件によって生じる反りの方向は異なるので、シリコンウェーハWの表面および裏面のどちらを研磨で除去するかは、後工程に合わせて選択すればよい。
図4は、本発明に係るシリコンウェーハの製造方法における熱処理のシーケンスを示す図である。図4において、縦軸Tは温度を示し、横軸tは時間を示す。図4に示すように、本発明に係るシリコンウェーハの製造方法は、第一熱処理工程TH1と第二熱処理工程TH2を備えている。
図4に示すように、第一熱処理工程TH1は、温度T1まで昇温し、当該温度で時間D1保持し、冷却速度R1で急速に冷却する。第一熱処理工程TH1は、例えば図1に示したようなRTP装置10を用いて、酸化性雰囲気下において行う。
第一熱処理工程TH1における温度T1は、例えば1300℃以上1350℃以下とすることが好ましく、時間D1は、1秒以上60秒以下であることが好ましい。シリコンウェーハの表層領域の酸素濃度を十分に増大させるためである。また、第一熱処理工程TH1における冷却速度R1は、50℃毎秒よりも速く120℃毎秒以下であることが好ましい。酸化性雰囲気下で加熱することでシリコンウェーハ内に増大させた酸素と空孔の外方拡散による濃度低下を防ぐためである。
図4に示すように、第ニ熱処理工程TH2は、温度T2まで昇温し、当該温度で時間D2保持し、その後、温度T3まで昇温し、当該温度で時間D3保持する。ただし、温度T2まで昇温する際の昇温速度は、炉入れ温度から温度T4までの体験時間を時間D4未満とする。
第ニ熱処理工程TH2における温度T2は、例えば800℃以上1000℃以下とすることが好ましく、時間D2は、1時間以上10時間であることが好ましい。この温度条件は、空孔起因で生じる酸素析出物の主たる核発生温度だからであり、酸素析出物を発生させるために好ましいからである。また、温度T3は、例えば1100℃以上1200℃以下とすることが好ましく、時間D3は、10分以上4時間以下であることが好ましい。発生した酸素析出物の核を成長させ析出物の表面積を大きくして金属不純物のゲッタリング力を高めるためである。
また、第ニ熱処理工程TH2における昇温時の温度T4は700℃とし、当該温度までの体験時間D4は2時間未満とすることが好ましい。表面直下1μm領域に酸素析出物を形成させるのを防ぎ、十分に広い無欠陥層を確保するためである。
〔実施例〕
次に、上記説明した本発明に係るシリコンウェーハおよびその製造方法の効果を検証した実施例について説明する。
次に、上記説明した本発明に係るシリコンウェーハおよびその製造方法の効果を検証した実施例について説明する。
検証実験では、最初に酸素析出物の発生領域を確認した。検証実験で用いた実施例のシリコンウェーハは以下の通りである。
これら実施例A~Cのシリコンウェーハに対し、第一熱処理工程と第二熱処理工程を施す。第一熱処理工程では、100%のO2雰囲気下にて、温度1350℃で30秒保持し、その後、冷却速度120℃毎秒で急冷した。そして、第二熱処理工程の条件では、100%Ar雰囲気下で、温度850℃で3時間保持し、続いて、温度1150℃で30分保持した。
この第一熱処理工程と第二熱処理工程を施した実施例A~Cのシリコンウェーハに対し、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS))を用いて、深さ方向の酸素濃度プロファイルを分析した。図5は、深さ方向の酸素濃度プロファイルを示す図である。なお、図5には、比較のため、実施例Bに第一熱処理工程のみ施した例(比較例)と、酸素の拡散のみを考慮して計算した例(計算例)が示されている。
図5に示されるように、実施例A~Cのシリコンウェーハでは、深さ1~5μmにかけて酸素析出物が高濃度である領域Dが検出されている。また、実施例A~Cのシリコンウェーハでは、表面からおよそ1μmまでは無欠陥層が形成されている。
そこで、シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨することで、深さ1~5μmにかけて析出している高濃度の酸素析出物の領域Dを除去することができる。酸素析出物(SiO2)はシリコン(Si)に比べ体積が2.21倍となるので、シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方の高濃度の酸素析出物の領域Dを除去することで、他方の酸素析出物形成領域の引っ張り応力によってシリコンウェーハ全体に反りが生じさせることが可能である。
図6は、シリコンウェーハの反りを測定した結果を示す図である。ここで用いた、シリコンウェーハの反りの程度は「Bow」という量である。Bowとは、シリコンウェーハの中心の高さとシリコンウェーハの3点基準面からの距離を表す。なお、3点基準平面よりもシリコンウェーハの中心が高い場合をプラス、低い場合をマイナスに定める。
図6に示す測定結果は、上記実施例Bの条件で第一熱処理工程と第二熱処理工程を施したシリコンウェーハを30枚用意し、グラインダーで表面側のみ加工した場合の10枚と裏面側のみ加工した場合の10枚と表面側および裏面側の両側を加工した場合の10枚とを比較したものである。各シリコンウェーハの面の研磨量は10μmである。
図6に示されるように、表面側のみ加工した場合、加工前後のBowの変化量の平均値は-4.6μmであり、一方、裏面側のみ加工した場合、加工前後のBowの変化量の平均値は約4.7μmである。また、表面側および裏面側の両側を加工した場合、加工前後のBowの変化はほとんどなかった。この結果から、シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を研磨することで、計画的に反りを発生することができる。また、これらの反り量は第一熱処理および第二熱処理のシーケンスや研磨取り代によってコントロール可能であるが、反りを誘発する酸素析出物の密度とサイズは、シリコンウェーハ中の酸素濃度に依存するため、酸素濃度でコントロールすることも可能である。
図7は、シリコンウェーハの反りと酸素濃度と関係を測定した結果を示す図である。図7に示すグラフは、上記表1に示した実施例A~Cのシリコンウェーハに関し、シリコンウェーハの反りの程度である「Bow」の変化量をプロットしたものである。
この検証実験では、実施例A~Cのシリコンウェーハ各10枚に対し、上記実験と同様に、第一熱処理工程と第二熱処理工程を施す。第一熱処理工程では、100%のO2雰囲気下にて、温度1350℃で30秒保持し、その後、冷却速度120℃毎秒で急冷し、第二熱処理工程の条件では、100%Ar雰囲気下で、温度850℃で3時間保持し、続いて、温度1150℃で30分保持する。
その後、シリコンウェーハの表面のみを10μm研磨し、加工前後のBowの変化量を測定する。このように測定されたBowの変化量の各10枚に対する平均値を算出したものが下記表であり、これをプロットしたものが図6に示したグラフである。
上記表および図7から解るように、反り量(Bow)は、シリコンウェーハの酸素濃度をコントロールすることで調整するのが可能である。
例えば、3DNANDデバイスを作製する目的で、シリコンウェーハの表面側に酸化膜、窒化膜、金属膜等を垂直方向に積層する場合、シリコンウェーハが上に凸状に反り易いため、予め、本発明に係るシリコンウェーハの表面側のみを研磨することが好ましい。そして、シリコンウェーハ上に積層する酸化膜、窒化膜、金属膜等の構成に応じてシリコンウェーハの酸素濃度を適切に選択しておけば、デバイスの作製工程で生じる反りを打ち消す方向に反りを形成することに寄与することが可能である。
10 RTP装置
20 チャンバ
20a 雰囲気ガス導入口
20b 雰囲気ガス排出口
25 反応空間
30 ランプ
40 ウェーハ支持部
20 チャンバ
20a 雰囲気ガス導入口
20b 雰囲気ガス排出口
25 反応空間
30 ランプ
40 ウェーハ支持部
Claims (8)
- チョクラルスキー法で育成した単結晶シリコンインゴットからスライスして得たシリコンウェーハに対し、
酸化性雰囲気下において、前記シリコンウェーハの表層に酸素を内方拡散させると供に、前記シリコンウェーハのバルク部に原子空孔を凍結させる第一熱処理工程と、
前記シリコンウェーハの表層に酸素析出物を析出させる第二熱処理工程と、
前記第二熱処理工程後、前記シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去する研磨工程と、
を備えることを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。 - 前記第二熱処理工程は、炉入れ温度から700℃までの体験時間を2時間未満とし、800℃以上1000℃以下で1時間以上10時間以下保持し、その後、1100℃以上1200℃以下まで昇温して10分以上4時間以下保持することで、前記シリコンウェーハの表面から深さが1~2μmの無欠陥層を確保しつつ、深さが1~6μm領域に前記酸素析出物を析出させることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハの製造方法。
- 前記第一熱処理工程は、1300℃以上1350℃以下で、1秒以上60秒以下保持し、1000℃以下まで冷却速度50℃毎秒よりも速く120℃毎秒以下で急冷することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコンウェーハの製造方法。
- 前記第一熱処理後、前記シリコンウェーハの表層を除去せずに前記第二熱処理を続けて行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のシリコンウェーハの製造方法。
- 前記第一熱処理後、前記シリコンウェーハに形成された酸化膜を剥離した後、前記第二熱処理を非酸化性雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のシリコンウェーハの製造方法。
- 前記チョクラルスキー法において、結晶の引き上げ速度と固液界面における結晶軸方向の温度勾配を制御することによって得られる無欠陥型シリコンインゴットを使用することを特徴とした請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のシリコンウェーハの製造方法。
- チョクラルスキー法で育成した単結晶シリコンインゴットからスライスして得たシリコンウェーハに対し、
酸化性雰囲気下において、前記シリコンウェーハの表層に酸素を内方拡散させると供に、前記シリコンウェーハのバルク部に原子空孔を凍結させる第一熱処理工程と、
前記シリコンウェーハの表層に酸素析出物を析出させる第二熱処理工程と、
前記第二熱処理工程後、前記シリコンウェーハの表面および裏面のいずれか一方を5μm以上15μm以下研磨で除去する研磨工程と、
を施すことで作製することを特徴とするシリコンウェーハ。 - 表面および裏面のいずれか一方の面から深さが1~2μmの無欠陥層と深さが1~6μm領域に酸素析出物層とを有することを特徴とするシリコンウェーハ。
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