JP2010198898A - 自動車用絶縁電線及び自動車用ワイヤーハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性、耐外傷性及び耐バッテリー液性に優れた自動車用絶縁電線及び自動車用ワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】金属導体2と、金属導体2の外周を被覆する絶縁被覆層3とから構成され、絶縁被覆層3は、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基で変性されている樹脂を樹脂成分として含有する混合樹脂組成物から形成して、自動車用絶縁電線1とした。
【選択図】図1
【解決手段】金属導体2と、金属導体2の外周を被覆する絶縁被覆層3とから構成され、絶縁被覆層3は、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基で変性されている樹脂を樹脂成分として含有する混合樹脂組成物から形成して、自動車用絶縁電線1とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、バッテリー液等の腐食に対する耐性を有し自動車の配線に用いられる絶縁電線及びワイヤーハーネスに関する。
自動車部品等の車両部品に使用される絶縁電線やワイヤーハーネスは、従来、導体の外周に、ハロゲン系難燃剤を添加した塩化ビニル樹脂組成物を被覆したものが広く用いられてきた。
上記従来の材料は、火災時や、廃棄の際の焼却処理時に多量の腐食性ガスが発生する恐れがある。このため、腐食性ガスが発生する恐れのないノンハロゲン難燃材料が提案されている。電線被覆材として例えば、水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物に表面処理を施した難燃剤をポリオレフィン系樹脂に添加して難燃性を付与した組成物が公知である(例えば、特許文献1参照)
しかしながら、上記特許文献1に記載の組成物は、十分な難燃性を持たせるためには、金属水酸化物を多量に添加する必要がある。しかし金属水酸化物を多量に添加すると、樹脂の強度が低下し、電線の耐外傷性や耐摩耗性を低下させることになってしまう。
そこで、電線の耐外傷性や耐摩耗性を改良するために、ポリフェニレンオキサイド(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)等のエンジニアリングプラスチックス(以下、略してエンプラということもある)や、前記エンプラとポリオレフィン系樹脂とのポリマーアロイを電線被覆材として用いることが試みられている。
しかしながら、エンプラが非晶質の場合(PPE、PC等)、耐ガソリン性が低いため、利用し難いという問題があった。またエンプラが結晶質の場合(PBT、PET、PA等)は、耐ガソリン性が優れているものの、バッテリー液に対する耐腐食性(耐酸性又は耐バッテリー液性ということもある)が悪いという問題があった。
自動車用電線にはISO6722規格が適用され、従来バッテリー液に対する試験項目があるが、近年その試験方法が見直され過酷なバッテリー液に対する耐腐食性試験の条件となっている。そのため上記のエンプラを自動車用電線に使用しただけでは、耐摩耗性、耐外傷性、耐酸性等の全てを満足するものは得られなかった。
本発明の解決しようとする課題は、上記問題点を解決しようとするものであり、耐摩耗性、耐外傷性及び耐バッテリー液性に優れた自動車用絶縁電線及び自動車用ワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明の自動車用絶縁電線は、金属導体と該金属導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを有し、前記絶縁被覆層がポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基を有する樹脂を樹脂成分として含有する混合樹脂組成物からなるものであり、前記絶縁被覆層の厚みが300μm以下であることを要旨とするものである。
本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、上記の自動車用絶縁電線を用いたものであることを要旨とするものである。
本発明は、絶縁被覆層がポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基で変性されている樹脂を樹脂成分として含有する混合樹脂組成物からなるものであるから、耐摩耗性、耐外傷性及び耐バッテリー液性に優れた自動車用絶縁電線及び自動車用ワイヤーハーネスが得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明の自動車用絶縁電線の一例を示す断面図である。図1に示すように、本発明の自動車用絶縁電線(以下、単に絶縁電線と記載することもある)1は、金属導体2と、金属導体2の外周を被覆する絶縁被覆層3とから構成されている。絶縁被覆層3は、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基を有する樹脂の3種類の樹脂を含有する混合樹脂組成物から形成されたものである。
金属導体2は、銅を用いることが一般的であるが、銅以外にも、アルミニウム、マグネシウム等を導体として用いることができる。また、銅に他の金属を含有してもよい。他の金属としては、例えば、鉄、ニッケル、マグネシウム、シリコン等が挙げられる。この他にも、通常、導体として広く使用されている金属を、銅に添加或いは単独で使用してもよい。また、金属導体2は、単線を用いてもよいし、複数の線を撚り合わせて使用してもよい。このとき撚り合わせて圧縮すると細径化することができるため望ましい。
絶縁被覆層3の混合樹脂組成物に用いられるポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても2種以上を混合して使用してもいずれでもよい。
絶縁被覆層3の混合樹脂組成物に用いられるポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリアミドが用いられる。熱可塑性ポリアミドとしては、例えば、ε−カプロラクタムの開環重合により得られるポリアミド6(PA6)、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合により得られるポリアミド66(PA66)、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の反応により得られるポリアミド610(PA610)、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合により得られるポリアミド6T(PA6T)、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合により得られるポリアミド6I(PA6I)、ノナンジアミンとテレフタル酸の重縮合により得られるポリアミド9T(PA9T)、メチルペンタジアミンとテレフタル酸の重縮合により得られるポリアミドM5T(PAM5T)、11−アミノウンデカン酸の縮重合により得られるポリアミド11(PA11)、ω−ラウリルラクタムの開環重合又は12アミノドデカン酸の重縮合により得られるポリアミド12(PA12)、ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸塩との重縮合により得られるポリアミド612(PA612)、カプロラクタムとAH塩〔ヘキサメチレンジアミン(H)とアジピン酸(A)〕との共重合により得られるポリアミド共重合体(PA6/66共重合体)、メタキシリレンジアミン(MXDA)とアジピン酸の重縮合により得られるポリアミドMXD6(PAMXD6)、1,4−ジアミノブタンとアジピン酸との反応から得られるポリアミド46(PA46)、ポリアミド6/12共重合体(PA6/12共重合)、ポリアミド6/11共重合体(PA6/11共重合)等が挙げられる。
上記ポリアミド樹脂の中でも、曲げ弾性率が1960MPa以上のPA6、PA66、PA6/66共重合体のいずれか1種又は2種以上を用いることが、電線の耐外傷性が向上する点から好ましい。上記の曲げ弾性率は、ISO178(ASTM−D790)の「プラスチック−曲げ特性の試験方法」に準拠して、23℃絶乾状態で測定した数値である。
絶縁被覆層3の混合樹脂組成物に用いられる官能基を有する樹脂は、ポルプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が官能基を有する化合物により変性されていて、極性基等が導入されている変性ポリオレフィン樹脂を用いることができる。このような樹脂の代表的な官能基としては、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、シラン基等が挙げられる。好ましい官能基は、カルボン酸基、酸無水物基、シラン基等である。
官能基を有する樹脂は、官能基を上記したポリオレフィン樹脂にグラフトした変性重合体として官能基を導入する方法、上記官能基をオレフィンと官能基化合物との共重合体として導入する方法等により得ることができる。
官能基を有する樹脂の官能基の割合は、樹脂成分100質量部に対し、0.1〜15質量部であるのが好ましい。官能基を有する化合物が、樹脂成分100質量部に対し0.1質量部未満であると、耐外傷性向上等の効果が不十分となる虞があり、15質量部を超えると、端末加工時の被覆ストリップ性が低下する虞がある。
上記カルボン酸基、酸無水物基としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸又はこれらの無水物、アクリル酸、メタクリル酸、αフランカルボン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸等が挙げられる。
上記エポキシ基としては、例えば、アクリル酸ジグリシジル、メタクリル酸ジグリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、及びα−クロロアクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸等のグリシジルエステル類、又はビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、p−グリシジルスチレン等を例示することができる。
上記ヒドロキシル基としては、例えば、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アミノ基としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記シラン基としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシラン等の不飽和シラン化合物が挙げられる。
官能基を有する樹脂は、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、アクリル酸変性ポリオレフィン樹脂、又はこれらの混合物を用いるのが、エンプラとの相溶の面から好ましい。
絶縁被覆層3に用いる混合樹脂組成物の上記各成分の配合割合は、ポリオレフィン樹脂20〜70質量部に対し、ポリアミド樹脂70〜20質量部の割合で混合するのが好ましい。またポリオレフィン樹脂/ポリアミド樹脂混合物と官能基を有する樹脂との配合割合(質量比)は、ポリオレフィン樹脂/ポリアミド樹脂混合物:官能基を有する樹脂=40:60〜95:5であるのが好ましい。
絶縁被覆層3に用いる混合樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上記の樹脂以外にゴムを添加することができる。このようなゴムとしては、例えば、エチレンプロピレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、イソブチレン系ゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもいずれでもよい。
上記ゴムは、不飽和カルボン酸やその誘導体等の酸により変性されていてもよい。上記不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもいずれでもよい。
絶縁被覆層3の混合樹脂組成物には、金属水酸化物、リン酸エステル、メラミンシアヌレート化合物等の難燃剤を添加して、絶縁被覆層3を難燃化することが好ましい。また難燃化する場合、混合樹脂組成物中にはハロゲン元素を含まないノンハロゲン系とするのが好ましい。難燃剤は上記の化合物以外に、ポリリン化メラミン、ポリリン酸アミド、炭素化合物、シラン化合物等を用いることもできる。
上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもいずれでもよい。また金属水酸化物は、表面処理を施してもよい。この時使用される表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸誘導体、高級アルコール、ワックス等が挙げられる。また上記以外の公知の表面処理剤を用いてもよい。
金属水酸化物の平均粒子径は、0.1μm〜20μmであるのが好ましい。金属水酸化物の平均粒子径が0.1μm未満になると生産性が低下する虞があり、平均粒子径が20μmを超えると低温特性が低下する虞がある。また金属水酸化物は、海水を原料としたものでも、鉱物由来のものでも、いずれでもよい。
上記リン酸エステル化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェート、ジクレジルキシレニルホスフェート等が挙げられる。
上記メラミンシアヌレート化合物としては、シアヌル変性したメラミンであれば、制限なく用いることができ、例えば市販品として、MC4000、MC6000(日産化学社の商品名)、MC−5S(堺化学社の商品名)等が挙げられる。メラミンシアヌレート化合物は、絶縁電線の機械的強度が優れる点から、粒子径が1μm以下であるのが好ましい。
絶縁被覆層3の混合樹脂組成物には、上記の成分以外に、電線被覆層に利用される一般的な充填剤、顔料、酸化防止剤、老化防止剤等の各種添加剤を、必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。これらの添加剤は、ハロゲン元素を含まないものが好ましい。
絶縁電線1は、絶縁被覆層3の厚みが300μmを超えると、電線外径が大きくなりすぎて、軽量化、細径化効果が小さくなる。また絶縁被覆層3の厚みが厚くなると、混合樹脂組成物による耐外傷性に対する効果が十分発揮できなくなる。絶縁被覆層3の厚みの下限は、100μm以上であるのが、ワイヤーハーネス加工時の端末ストリップ性の理由から好ましい。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
〔電線作成〕
表1の実施例1〜7、表2の比較例1〜7に示された絶縁層の成分組成に従って、絶縁被覆層の混合樹脂組成物を二軸押出機により230〜280℃で混練した。混練した組成物を断面積0.35mm2の撚線導体の周囲に被覆厚200μmの絶縁被覆層を押出し成形して、実施例1〜7、比較例1〜7の絶縁電線を得た。押出し成形では、直径が、それぞれ1.1mmのダイスと0.75mmのニップルを使用した。また押出成形は、押出温度は、ダイスが230〜280℃、シリンダが230〜280℃とし、線速度50mm/minで行った。得られた絶縁電線について、耐外傷性、耐摩耗性、耐バッテリー液性、及び難燃性の試験を行った。各試験結果を表1及び表2に示す。尚、上記各試験方法は、下記の通りである。
〔電線作成〕
表1の実施例1〜7、表2の比較例1〜7に示された絶縁層の成分組成に従って、絶縁被覆層の混合樹脂組成物を二軸押出機により230〜280℃で混練した。混練した組成物を断面積0.35mm2の撚線導体の周囲に被覆厚200μmの絶縁被覆層を押出し成形して、実施例1〜7、比較例1〜7の絶縁電線を得た。押出し成形では、直径が、それぞれ1.1mmのダイスと0.75mmのニップルを使用した。また押出成形は、押出温度は、ダイスが230〜280℃、シリンダが230〜280℃とし、線速度50mm/minで行った。得られた絶縁電線について、耐外傷性、耐摩耗性、耐バッテリー液性、及び難燃性の試験を行った。各試験結果を表1及び表2に示す。尚、上記各試験方法は、下記の通りである。
〔耐外傷性試験方法〕
先ず絶縁電線を30cmの長さに切断する。次いで図2(a)、(b)に示すように、切断した絶縁電線1を2枚のプラスチック板12、13の上に載置する。両プラスチック板の間隔を5mmとし、絶縁電線1の一方を固定し、他方に30Nの張力を加えて、絶縁電線1を真っ直ぐになるようにした。そして図2(c)に示すように、絶縁電線1の下方1cm、電線中央から手前に0.8mm離した位置に、幅0.5mmの金属片14を設置し、50mm/minの速さで上方に移動させ、金属片14に加わる加重を測定した。絶縁電線1の導体2が露出していない場合は、0.01mm単位で電線方向に金属片14を近づけ、導体2が露出するまで測定を続けた。測定の結果、導体2が露出しない上限加重を、その絶縁電線1の耐外傷性の能力とした。耐外傷性試験の結果、15N未満の荷重で導体が露出した場合には不合格(×)とし、15N以上の荷重でも導体が露出しない場合を合格(○)とし、20N以上の荷重でも導体が露出しない場合を良好(◎)として評価した。
先ず絶縁電線を30cmの長さに切断する。次いで図2(a)、(b)に示すように、切断した絶縁電線1を2枚のプラスチック板12、13の上に載置する。両プラスチック板の間隔を5mmとし、絶縁電線1の一方を固定し、他方に30Nの張力を加えて、絶縁電線1を真っ直ぐになるようにした。そして図2(c)に示すように、絶縁電線1の下方1cm、電線中央から手前に0.8mm離した位置に、幅0.5mmの金属片14を設置し、50mm/minの速さで上方に移動させ、金属片14に加わる加重を測定した。絶縁電線1の導体2が露出していない場合は、0.01mm単位で電線方向に金属片14を近づけ、導体2が露出するまで測定を続けた。測定の結果、導体2が露出しない上限加重を、その絶縁電線1の耐外傷性の能力とした。耐外傷性試験の結果、15N未満の荷重で導体が露出した場合には不合格(×)とし、15N以上の荷重でも導体が露出しない場合を合格(○)とし、20N以上の荷重でも導体が露出しない場合を良好(◎)として評価した。
〔耐摩耗性試験方法〕
ISO6722に準拠し、ブレード往復法で行った。ブレードにかかる荷重を7Nとし、試験回数4回の最小値が300回以上を合格とし、それ以外を不合格とした。
ISO6722に準拠し、ブレード往復法で行った。ブレードにかかる荷重を7Nとし、試験回数4回の最小値が300回以上を合格とし、それ以外を不合格とした。
〔耐バッテリー液性試験方法〕
ISO6722に準拠し、温度90°の条件下で35%(質量%)の希硫酸を絶縁電線に滴下して放置し、8時間後、16時間後に同じ箇所に希硫酸を滴下する操作を1サイクルとして、希硫酸の滴下を2サイクル繰り返した後、絶縁電線を室温に取り出して、絶縁電線の外径の5倍径のマンドレルを用いて巻き付け試験を行い、1kv×1minの耐電圧試験を行い、絶縁破断による導通が無い場合を合格とし、それ以外を不合格とした。
ISO6722に準拠し、温度90°の条件下で35%(質量%)の希硫酸を絶縁電線に滴下して放置し、8時間後、16時間後に同じ箇所に希硫酸を滴下する操作を1サイクルとして、希硫酸の滴下を2サイクル繰り返した後、絶縁電線を室温に取り出して、絶縁電線の外径の5倍径のマンドレルを用いて巻き付け試験を行い、1kv×1minの耐電圧試験を行い、絶縁破断による導通が無い場合を合格とし、それ以外を不合格とした。
〔難燃性試験方法〕
ISO6722に準拠して行った。すなわち、長さ60cmの絶縁電線を試験体とし45°に傾け、絶縁電線の上端から500mm±5mmの部分に炎を15秒間当て、絶縁電線上の炎が70秒以内に消え、絶縁電線の上部の絶縁被覆層が50mm以上焼けずに残っている場合を合格とし、それ以外を不合格とした。
ISO6722に準拠して行った。すなわち、長さ60cmの絶縁電線を試験体とし45°に傾け、絶縁電線の上端から500mm±5mmの部分に炎を15秒間当て、絶縁電線上の炎が70秒以内に消え、絶縁電線の上部の絶縁被覆層が50mm以上焼けずに残っている場合を合格とし、それ以外を不合格とした。
表1及び表2中の各成分の詳細は下記の通りである。
※1:ポリプロピレン樹脂「プライムポリマー社製、E−150GK」
※2:ポリプロピレン樹脂「日本ポリプロ社製、EC7」
※3:ポリエチレン樹脂「日本ユニカー社製、NUC8008」
※4:ポリアミド6「宇部興産社製、PA1030B:弾性率2450MPa(23℃)」
※5:ポリアミド66「宇部興産社製、PA2026:弾性率2842MPa(23℃)」
※6:ポリアミド12「宇部興産社製、PA3035U:弾性率1421MPa(23℃)」
※7:ポリアミド6/66共重合体「宇部興産社製、PA5013:弾性率2254MPa(23℃)」
※8:エポキシ基変性ポリエチレン樹脂「住友化学社製、ボンドファーストE」
※9:マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂「三井化学社製、QE800」
※10:アクリル酸変性ポリプロピレン樹脂「ケムチュラ社製、ポリボンド1002」
※11:スチレンエラストマー(SEBS)「旭化成社製、タフテックH1043」
※12:水酸化マグネシウム「マーティンスベルグ社製、マグニフィンH101V:平均粒子径1.0μm」
※13:水酸化アルミニウム「昭和電工社製、ハイジライトH−10」
※14:酸化防止剤「チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガノックス1010」
※15:金属不活性剤「チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガノックスMD1024」
※16:リン酸エステル化合物「大八化学社製、PX200」
※17:メラミンシアヌレート化合物「日産化学社製、MC6000」
※1:ポリプロピレン樹脂「プライムポリマー社製、E−150GK」
※2:ポリプロピレン樹脂「日本ポリプロ社製、EC7」
※3:ポリエチレン樹脂「日本ユニカー社製、NUC8008」
※4:ポリアミド6「宇部興産社製、PA1030B:弾性率2450MPa(23℃)」
※5:ポリアミド66「宇部興産社製、PA2026:弾性率2842MPa(23℃)」
※6:ポリアミド12「宇部興産社製、PA3035U:弾性率1421MPa(23℃)」
※7:ポリアミド6/66共重合体「宇部興産社製、PA5013:弾性率2254MPa(23℃)」
※8:エポキシ基変性ポリエチレン樹脂「住友化学社製、ボンドファーストE」
※9:マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂「三井化学社製、QE800」
※10:アクリル酸変性ポリプロピレン樹脂「ケムチュラ社製、ポリボンド1002」
※11:スチレンエラストマー(SEBS)「旭化成社製、タフテックH1043」
※12:水酸化マグネシウム「マーティンスベルグ社製、マグニフィンH101V:平均粒子径1.0μm」
※13:水酸化アルミニウム「昭和電工社製、ハイジライトH−10」
※14:酸化防止剤「チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガノックス1010」
※15:金属不活性剤「チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガノックスMD1024」
※16:リン酸エステル化合物「大八化学社製、PX200」
※17:メラミンシアヌレート化合物「日産化学社製、MC6000」
表1に示すように、絶縁被覆層がポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基を有する樹脂を含有する混合樹脂組成物を用いた実施例1〜7は、いずれも耐外傷性、耐摩耗性、耐バッテリー液性を満足するものであった。これに対し、表2に示すように、絶縁被覆層がポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基を有する樹脂のいずれかを含有しない場合には、耐外傷性、耐摩耗性、耐バッテリー液性の全てを満足するものは得られなかった。
図1に示す態様の絶縁電線1は、絶縁被覆層3を1層のみ形成した例を示したが、絶縁被覆層3は2層以上の複数層から構成してもよい。その場合、最外周の絶縁被覆層が、上記の特定の混合樹脂組成物から構成されていればよい。
本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、上記の絶縁電線を用いて自動車用ワイヤーハーネスを構成したものである。
1 自動車用絶縁電線
2 金属導体
3 絶縁被覆層
2 金属導体
3 絶縁被覆層
Claims (7)
- 金属導体と該金属導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを有し、前記絶縁被覆層がポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及び官能基を有する樹脂を樹脂成分として含有する混合樹脂組成物からなるものであり、前記絶縁被覆層の厚みが300μm以下であることを特徴とする自動車用絶縁電線。
- 前記絶縁被覆層がハロゲン元素を含まない混合樹脂組成物からなる請求項1記載の自動車用絶縁電線。
- 前記混合樹脂組成物の樹脂成分100質量部が、ポリオレフィン樹脂20〜70質量部とポリアミド樹脂70〜20質量部の合計量40〜95質量部と、酸変性ポリオレフィン樹脂60〜5質量部とを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用絶縁電線。
- 前記混合樹脂組成物が、難燃剤として、リン酸エステル化合物、メラミンシアヌレート化合物、金属水酸化物のいずれかを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用絶縁電線。
- 前記ポリアミド樹脂が、23℃絶乾時における曲げ弾性率が1960MPa以上のポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用絶縁電線。
- 前記酸変性ポリオレフィン樹脂が、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂又は/及びアクリル酸変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の自動車用絶縁電線。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車用絶縁電線を用いたことを特徴とする自動車用ワイヤーハーネス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009042156A JP2010198898A (ja) | 2009-02-25 | 2009-02-25 | 自動車用絶縁電線及び自動車用ワイヤーハーネス |
Applications Claiming Priority (1)
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