JP2010189380A - ビスフェノール化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒を充填した反応器に連続的に供給してビスフェノール化合物を製造する方法において、該酸性触媒が、スルホン酸基の一部を2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1で変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂であることを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
ビスフェノール化合物は、一般に、酸性触媒存在下、フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応により製造される。酸性触媒としては、塩酸及び硫酸のような鉱酸、ヘテロポリ酸のような固体酸も使用されるが、スルホン酸基のような酸性基を有する陽イオン交換樹脂が汎用されている。また、転化率及び選択率等の向上を目的として、チオール基または保護されたチオール基を含有する化合物(以下「チオール化合物」と言うことがある)を触媒と共存させて反応させることが知られている。
ビスフェノール化合物の製造においてスルホン酸型陽イオン交換樹脂の変性に用いるピリジルエタンチオール化合物を得る方法としては、従来より多くの提案がなされている。例えば、ビニルピリジンと含硫黄化合物とを反応させ、ピリジルエタンチオール化合物を製造する方法が知られている(例えば特許文献7〜13、非特許文献1参照)。
ビスフェノール化合物の製造においてスルホン酸型陽イオン交換樹脂の変性に用いるチオール化合物のチオール基は、合成時及び変性剤としての使用時の条件下で、容易に酸化されてジスルフィドとなるという問題がある。当該チオール化合物のチオール基の酸化による劣化は、チオール化合物のチオール基をアシル基で保護することにより防止することができる(例えば特許文献15,16参照)。
1.フェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒を充填した反応器に供給してビスフェノール化合物を製造する方法であって、該酸性触媒が、スルホン酸基の一部を2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1で変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂であり、かつフェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒を充填した反応器に連続的に供給することを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
2.酸性触媒が、2−ピリジルアルカンチオール化合物類でスルホン酸基の一部を変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂である前項1に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
3.2−ピリジルアルカンチオール化合物類が、2−ピリジルエタンチオールである前項1又は2に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
4.2−ピリジルエタンチオールが、2−ビニルピリジンと含硫黄化合物とを原料として得られたものであり、該2−ビニルピリジンに含有されている2量体以上の2−ビニルピリジンを含むポリマーが2重量%以下である前項3に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
5.2−ビニルピリジンに含有されている2量体以上の2−ビニルピリジンを含むポリマーが100重量ppm以上である前項4に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
6.含硫黄化合物がチオ尿素である前項4又は5に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
7.2−ピリジルエタンチオールが、水及び炭化水素系溶媒の存在下で2−ビニルピリジンとチオ尿素とを反応させてイソチウロニウム塩を得、該イソチウロニウム塩を加水分解して得られたものである前項3又は6に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
8.炭化水素系溶媒がトルエンである前項7に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
9.酸性触媒が、3−ピリジルアルカンチオール化合物類でスルホン酸基の一部を変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂である前項1に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
10.3−ピリジルアルカンチオール化合物類が、3−ピリジルエタンチオールである前項1又は9に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
11.酸性触媒が、以下の工程(I)及び(II)を経て得られたものである前項2、3、4、5、9及び10の何れか1項に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
(I)2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物を用いてスルホン酸型陽イオン交換樹脂の変性を行う変性工程
(II)前記変性時及び変性後の少なくともいずれかにおいて、2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物のチオエステル部分を40℃以上100℃以下の温度で加水分解する加水分解工程
12.工程(II)において、2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物の加水分解の転化率が60%以上である前項11に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
13.フェノール化合物がフェノールであり、カルボニル化合物がアセトンであり、ビスフェノール化合物がビスフェノールAである前項1乃至12のいずれか1項に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
14.フェノール化合物の少なくとも一部が、ビスフェノール化合物を精製するに際し得られたフェノール化合物である前項1乃至13のいずれか1項に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
ビスフェノール化合物はフェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応により製造される。フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応では、フェノール性水酸基の強いオルト‐パラ配向性、特にパラ配向性を利用するものと解されるところより、使用するフェノール化合物はオルト位又はパラ位に置換基のないものが好ましい。中でも、縮合反応生成物であるビスフェノール化合物は、その用途の点から4,4′−ビスフェノール化合物が一般的に好ましく、この点からパラ位に置換基のないフェノール化合物が好ましい。
カルボニル化合物としては特に制限はないが、具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びアセトフェノン等の炭素数3〜10程度のケトン類、並びにホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及びブチルアルデヒド等の炭素数1〜6程度のアルデヒド類が挙げられる。これらの中では、アセトンが好ましい。フェノール化合物としてフェノールを使用し、カルボニル化合物としてアセトンを使用した場合、ポリカーボネート樹脂等の原料として有用なビスフェノールAを得ることができるので、特に好ましい。
(3−1)スルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒
本発明では、酸性触媒として、スルホン酸基の一部を2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1で変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を使用する。
スチレン系モノマーとしては、これらの中でも、スチレンが最も好ましい。
本発明における2−ピリジルアルカンチオール化合物類は、ピリジン環の2位がメルカプトアルキル基又はチオール部位が保護されたチオアルキル基で置換されている化合物である。
本発明で使用する、2−ピリジルアルカンチオール化合物類は、市販品、または特開2002−003475号公報、特開2002−220373号公報及び特開2005−170820号公報などに記載されている方法に代表される公知の方法に準じて製造したもののうち、いずれを使用してもよい。
本発明で使用する2−ピリジルエタンチオールの製造は、2−ビニルピリジンと含硫黄化合物とを用いて、常法に従って行うことができる。
まず、酸の存在下に2−ビニルピリジンとチオ尿素とを反応させ、下記一般式(IV)で表されるイソチウロニウム塩を得る。
本発明において、2−ピリジルエタンチオールの原料である2−ビニルピリジンは次の製造方法により製造するのが好ましい。
本発明において、2−ピリジルエタンチオールの原料である含硫黄化合物の種類は、特に限定されず、2−ビニルピリジンとの反応の結果、2−ピリジルエタンチオールを生成させるものであればよい。含硫黄化合物の具体例としては、チオ尿素、チオ酢酸、硫化水素及び硫化ナトリウムなどが挙げられる。好ましくは、チオ尿素又はチオ酢酸であり、その中でも、取り扱いの容易さ、及び反応収率の点で、チオ尿素が特に好ましい。
本発明で使用する、3−ピリジルアルカンチオール類は、任意の方法で合成することができる。例えば、対応する3−ピリジルアルカノール類の末端水酸基をハロゲン化チオニルなどでハロゲン化し、得られたハロゲン化アルキル誘導体をアルカリ金属チオアセテートやチオ尿素などと反応させることにより得ることができる。
(3−5−1)2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1によるスルホン酸型陽イオン交換樹脂の変性
本発明に用いる酸性触媒は、2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1により、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を変性することにより得ることができる。
本発明で使用する酸性触媒は、以下の工程を経ることにより得てもよい。
(I)2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物を用いてスルホン酸型陽イオン交換樹脂を変性する変性工程
(II)工程(I)の変性時及び変性後の少なくともいずれかに、2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物のチオエステル部分を、40℃以上100℃以下の温度で加水分解する加水分解工程
(I)2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物を用いてスルホン酸型陽イオン交換樹脂を変性する変性工程
2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類は特に限定されるものではなく、後述の陽イオン交換樹脂のスルホン酸基とイオン結合を形成する化合物であればよい。例えば、3−ピリジルメタンチオール、2−ピリジルエタンチオール、3−ピリジルエタンチオール等が挙げられる。特に、2−ピリジルエタンチオール及び3−ピリジルエタンチオールが転化率や選択率の向上及び長期に亘って使用した場合の活性低下が少ないことから好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、合成の容易さなどからRaがメチルであるアセチル基が特に好ましい。アセチル基が加水分解反応により脱離すると酢酸が生成する。
工程(II)において、2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物のチオエステル部分は水を含む溶媒の存在下で加水分解する。使用可能な水以外の溶媒としては、例えば、前記の変性工程に用いる溶媒が挙げらる。当該溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該溶媒は、加水分解に必要な水量を確保するために、水と他の溶媒との混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中の水含有率は1重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。好ましくは、加水分解は、水溶媒中で行う。
本発明では、前述の2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1により変性されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂を反応器に充填し、該反応器にフェノール化合物とカルボニル化合物とを連続的に供給し、これらを反応させてビスフェノール化合物を製造する。
(実施例1−1)
<2−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂の調製>
窒素ガス導入管を備えた200mlの四つ口フラスコ中に、三菱化学株式会社製の架橋度4%ゲル型強酸性陽イオン交換樹脂(商品名:SK104、交換容量1.67meq/g−湿潤状態)20.0g−湿潤状態、及び60℃の脱塩水約60mlを入れ、強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した。洗浄液はデカンテーションにより廃棄し、再度60℃の脱塩水約60mlを導入した。この洗浄操作を3回繰り返した。次いで、洗浄液を廃棄した後、脱塩水60mLを加え、フラスコ内を窒素で置換した。そこへ、助触媒としてToronto Research Chemicals Inc.製の2−ピリジルエタンチオール0.73g(5.24ミリモル)を攪拌下に一度に加え、更に、2時間、室温下で攪拌して変性処理を行った。処理終了後、得られた変性陽イオン交換樹脂を脱塩水で洗浄し、2−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂触媒(変性率15.7%)を得た。
調製した2−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂(以下、「触媒」と言うことがある。)7.5mlを、内径1cm、全長44cmのステンレス製カラムに充填した。60℃のフェノールを26ml/hrで触媒を充填した反応器上部より24時間通液し、触媒中の水分を完全にフェノールで置換し、その後フェノール/アセトン(モル比)が11の混合液(アセトン4.3重量%、フェノール79.4重量%、4,4’−ビスフェノールA10重量%、その他の物質6.3重量%(2,4’−ビスフェノールA3.0重量%、p−イソプロピルフェノール0.25重量%、残りは構造不明物))を73℃、26ml/時間で反応器上部よりダウンフローで連続的に通液し反応を行なった。反応器下部から反応液を採取し、ガスクロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。結果を図1及び図2に示す。尚、アセトン転化率及びビスフェノールA選択率は、下記式より求めた。
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製「GC−14B」
カラム:Hewlett Packard製「Ultra Performance Capillary Column Ultra2(Cross−linked 5%Phenylmethyl Silicone)25m×0.32mm×0.52μm」
検出器:FID
キャリアーガス:He
<3−ピリジルエタノールの合成>
3−ピリジルエタンチオールを合成するために、中間体である3−ピリジルエタノールを以下の方法によって合成した。窒素ガス導入管、温度計、ジムロート冷却管、滴下ロートを取り付けた1Lのフラスコに3−ピリジル酢酸・1塩酸塩25.12g(0.145mol)を入れ、これに無水メタノール500mlを加え、フラスコ内を窒素で置換した後、室温下で攪拌して溶解させた。これに塩化チオニル31.12g(0.248mol)を滴下した後昇温し、さらに2.5時間、還流させながら反応させた。反応後、室温まで冷却し、メタノールを減圧留去させた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。酢酸エチル100mlで3回抽出操作を行い、形成された有機相に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、無水硫酸ナトリウムをデカンテーションで除去した後、溶媒を減圧留去して、3−ピリジル酢酸のメタノールエステルである3−ピリジル酢酸メチル21.29g(0.141mol)を得た(収率97%)。
上記方法により得られた3ピリジルエタノールを用いて3−ピリジルエタンチオールを以下の方法によって製造した。
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート冷却管、滴下ロートを取り付けた500mlのフラスコに前記で得られた3−ピリジルエタノール13.95g(0.113mol)をクロロホルム100mlで希釈した液を入れ、フラスコ内を窒素で置換した後、これに室温下でクロロホルム50mlで希釈した塩化チオニル19.10g(0.153mol)を攪拌しながら滴下し、滴下終了後さらに3時間攪拌して反応させた。その後、エタノール50mlを加えて反応を停止させた後に、トルエン50mlを加えて減圧留去し、エタノールとトルエンをほぼ除去した。これを再度繰り返し、1−クロロ−2−(3’−ピリジル)エタン・塩酸塩の結晶20.12gを得た。
実施例1−1の<2−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂の調製>において、助触媒を、2−ピリジルエタンチオールに代えて3−ピリジルエタンチオールとした他は実施例1−1と同様にして、3−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂(変性率15.7%)を得た。
実施例1−1の<ビスフェノール化合物の製造>において、2−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂(変性率15.7%)に代えて3−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂(変性率15.7%)を使用した他は実施例1−1と同様にして、反応を行い、実施例1−1と同様にしてアセトン転化率及びビスフェノールA選択率を求めた。結果を図1及び図2に示す。
<4−ピリジルエタンチオールの合成>
300mLの4口フラスコに、窒素ガス導入管、温度計、ジムロート冷却管、滴下ロートを取り付け、30重量%硫酸水溶液102.9g(0.315モル)と、チオ尿素11.42g(0.15モル)とを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながら70℃まで加熱した後、滴下ロートより、反応温度70℃を保ちながら、4−ビニルピリジン12.62g(0.12モル)を約1時間で滴下し、その後、70℃を保ちながら引き続き5時間反応を行った。この反応液を室温迄冷却した後、トルエン30mlを添加した。
実施例1−1の<2−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂の調製>において、助触媒として2−ピリジルエタンチオールの代わりに、上記で得られた4−ピリジルエタンチオールを用いた他は、実施例1−1と同様の方法で、4−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂(変性率15.7%)の調製を行った。
実施例1−1において、2−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂の代わりに、上記で得られた4−ピリジルエタンチオール変性陽イオン交換樹脂を用いた他は、実施例1−1と同様にして反応を行い、分析を行った。結果を図1及び図2に示す。
<ピリジルエタンチオールの耐熱性評価>
窒素置換した100mlの三口フラスコに後述する実施例3−1と同様の方法で調製した2−ピリジルエタンチオールを60g入れて、窒素雰囲気下でマグネティックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにより100℃に加熱した。加熱を開始してから1時間おきにサンプリングを行い、サンプル中の2−ピリジルエタンチオール由来のスルフィド体の濃度をガスクロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。4−ピリジルエタンチオールについても同様の評価を行った。結果を図3に示す。
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製「GC−14A」
カラム:GL Sciences製「TC−5(5% Diphenyl−95% Dimethylpolysiloxane)60m×0.32mm×1.00μm」
検出器:FID
キャリアーガス:He
スルフィド/チオール比=(スルフィドのGCピーク面積)/(チオールのGCピーク面積)
(1)純フェノールを用いた評価
(実施例1−4)
変性率15%に調製した2−ピリジルエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂7.5mlを、内径1cm、全長44cmのステンレス製カラムに充填した。60℃のフェノールを26ml/時間で触媒を充填した反応器上部より24時間通液し、触媒中の水分を完全にフェノールで置換し、その後フェノール/アセトン(モル比)が13の混合液(アセトン4.5重量%、フェノール95.4重量%、4,4’−ビスフェノールA20重量ppm以下、その他の物質0.2重量%(2,4’−ビスフェノールA10重量ppm以下、p−イソプロピルフェノール0.02重量%、残りは構造不明物))を73℃、26ml/時間で反応器上部よりダウンフローで連続的に通液し反応を行なった。途中、反応液のサンプリングを適宜行い、それぞれ転化率を求めて、触媒活性の変化を評価した。図4Aにアセトン転化率の変化を、図4Bに初期のアセトン転化率を100とした場合のアセトン転化率の推移を示す。
(比較例1−2)
実施例1−4において、2−ピリジルエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂に変えて4−ピリジルエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いた他は実施例1−4と同様に触媒活性の変化を評価した。図4Aにアセトン転化率の変化を、図4Bに実施例1−4と同様に計算したアセトン転化率の推移を示す。
(比較例1−3)
実施例1−4において、2−ピリジルエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂に変えて、2−アミノエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いた他は実施例1−4と同様に触媒活性の変化を評価した。図4Aにアセトン転化率の変化を、図4Bにアセトン転化率の推移を示す。なお、図4Bにおいて2−アミノエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂の初期のアセトン転化率は、2−ピリジルエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂の初期のアセトン転化率に比べて2割程度低いので、触媒活性は約80からの評価となっている。
(比較例1−4)
実施例1−1において、2−ピリジルエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂に変えて、2−アミノエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いた他は実施例1−1と同様に触媒活性の変化を評価した。前記図4Bと同様に評価したアセトン転化率の推移を図5に示す。なお、2−アミノエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂の初期のアセトン転化率は、2−ピリジルエタンチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂の初期のアセトン転化率に比べて2割程度低いので、触媒活性は約80からの評価となっているのは、図4Bと同様である。
以下の実施例2−1〜3及び参考例2−1において、2−ピリジルエタンチオールの製造原料として用いた2−ビニルピリジンに含有されるポリマーの定量は、以下のGPC法及び/又は再沈法で行った。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。ポリマー分の定量に用いた検量線は、ポリ2−ビニルピリジン標準試料(Polymer source inc.製:Mn=10000、Mw=10800、Mw/Mn=1.08)を用いて作成し、絶対検量線法により標準ポリスチレン換算分子量2000以上のポリマー分を定量した。
UV検出器:島津製作所製「SPD−10A」
カラム:東ソー社製「TSKgelG2000HXL」(7.8mmφ×300mm)
移動相:テトラヒドロフラン(HPLC用)
流量:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:254nm
試料:100容量倍希釈
2−ビニルピリジンW1(g)に対し、10重量倍のn−ヘキサン(純度99.5%以上)を加えて撹拌した。析出した沈殿物を孔径0.1μmのメンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製「H010A047A」)を用いて濾別した後、得られた沈殿物を60℃の恒温減圧乾燥機で3時間乾燥して、2−ビニルピリジン中に含まれるポリマー分W2(g)を回収し、下記の式を用いてポリマー含有量を算出した。
ポリマーの含有量(重量%)=100×W2(g)/W1(g)
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製「GC−2014」
カラム:GL Sciences製「TC−5」(60m×0.32mm×1.00μm)
検出器:FID
キャリアーガス:He
GPC法で測定したポリマーの含有量が0.24重量%である2−ビニルピリジンを用いて2−ピリジルエタンチオールの製造を行った。ジャケット付きの4口セパラブルフラスコ(容量約700mL)に、撹拌モータ、窒素ガス導入管を付したジムロート冷却管、及び温度計を取り付け、29重量%硫酸水溶液254.2g(0.75モル)と、チオ尿素27.2g(0.36モル)とを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながらジャケットに温水を流して70℃まで加熱した後、シリンジポンプを用いて2−ビニルピリジン30.0g(0.29モル)を約2時間かけて滴下し、その後、70℃に保ちながら引き続き5時間反応を行った。
GPC法で測定したポリマーの含有量が2.76重量%であり、再沈法で測定したポリマーの含有量が2.58重量%である2−ビニルピリジンを原料として用いた他は、実施例3−1と同様にして2−ピリジルエタンチオールを合成した。
参考例2−1で使用した2−ビニルピリジンを単蒸留(温度43℃、圧力1.5kPa)により精製した。精製した2−ビニルピリジンのポリマーをGPC法で測定したが、ポリマーは検出されなかった。当該2−ビニルピリジンを原料として用いた他は、実施例2−1と同様にして2−ピリジルエタンチオールを合成した。
GPC法及び再沈法でポリマー分が検出されない2−ビニルピリジンを原料として用いた他は、実施例2−1と同様にして2−ピリジルエタンチオールを合成した。
表1より、ポリマー含有量が2重量%以下の2−ビニルピリジンを原料として2−ピリジルエタンチオールを製造することにより、製造設備における固着物の生成を抑えて高純度の2−ピリジルエタンチオールを高収率で製造することができることが分かった。
なお、実施例3−1〜2及び参考例3−1において、2−ビニルピリジンから製造された2−ピリジルエタンチオール粗生成物の純度は、実施例2と同様の条件でガスクロマトグラフィー(GC)分析により求めた。
(実施例3−1)
ジャケット付きの4口セパラブルフラスコ(容量約700mL)に、撹拌モータ、窒素ガス導入管を付したジムロート冷却管、及び温度計を取り付け、29重量%硫酸水溶液254.2g(0.75モル)と、チオ尿素27.2g(0.36モル)と、トルエン51.7gとを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながらジャケットに温水を流して70℃まで加熱した後、シリンジポンプを用いて2−ビニルピリジン30.0g(0.29モル)を約2時間かけて滴下し、その後、70℃に保ちながら引き続き5時間反応を行った。
この反応液中の水及びトルエンの2−ビニルピリジンに対する容量比は表2に示す通りである。
ジャケット付きの4口セパラブルフラスコ(容量約700mL)に、撹拌モータ、窒素ガス導入管を付したジムロート冷却管、及び温度計を取り付け、29重量%硫酸水溶液254.2g(0.75モル)と、チオ尿素27.2g(0.36モル)とを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながらジャケットに温水を流して70℃まで加熱した後、シリンジポンプを用いて2−ビニルピリジン30.0g(0.29モル)をトルエン51.7gで希釈した溶液を約1.2時間かけて滴下し、その後、70℃に保ちながら引き続き5時間反応を行った。
この反応液中の水及びトルエンの2−ビニルピリジンに対する容量比は表5に示す通りである。
ジャケット付きの4口セパラブルフラスコ(容量約700mL)に、撹拌モータ、窒素ガス導入管を付したジムロート冷却管、及び温度計を取り付け、29重量%硫酸水溶液254.2g(0.75モル)と、チオ尿素27.2g(0.36モル)とを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながらジャケットに温水を流して70℃まで加熱した後、シリンジポンプを用いて2−ビニルピリジン30.0g(0.29モル)を約2時間かけて滴下し、その後、70℃に保ちながら引き続き5時間反応を行った。
表2より、2−ビニルピリジンとチオ尿素とを水及び炭化水素系溶媒の存在下で反応させてイソチウロニウム塩を得、得られたイソチウロニウム塩を分解して2−ピリジルエタンチオールを得ることにより、製造設備における固着物の生成を抑えて高純度の2−ピリジルエタンチオールを高収率で製造することができることが分かる。
(実施例4−1−1)
<2−ピリジルエチルチオアセテートの合成>
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート冷却管、及び滴下ロートを備えた100mlの四つ口フラスコに、チオ酢酸(東京化成製)15.22g(0.20mol)を秤り入れ、攪拌を開始した。窒素導入後、氷浴にて5℃以下に冷却し、滴下ロートより、2−ビニルピリジン21.03g(0.20mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、室温で更に1時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応液をバス温120℃、圧力0.8kPaの条件下で減圧蒸留を行い、2−ピリジルエチルチオアセテートを27.8g得た。ガスクロマトグラフィー分析の結果、2−ピリジルエチルチオアセテートの純度は96.8%であり、収率は78.2%であった。
装置:島津製作所製「GC−14A」
カラム:ジーエルサイエンス製「TC−5」(60m×0.32mm×1.0μm)
検出器:FID
キャリアーガス:ヘリウム
収率(%)=〔(2−ピリジルエチルチオアセテートのmol数)/(チオ酢酸のmol数)〕×100
窒素ガス導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ内に、スルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製ダイヤイオン(登録商標)「SK104H」:交換容量1.65mmol/g−湿潤状態)3.00g−湿潤状態、及び60℃の脱塩水約20mlを秤り入れて、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を洗浄し、洗浄液をデカンテーションにより廃棄した。この60℃の脱塩水約20mlでの洗浄を3回繰り返し、洗浄液を廃棄した後、脱塩水約20mlを加えて、フラスコ内を窒素で置換し、攪拌を開始した。ウォーターバスによりフラスコ内温が70℃になるように加熱し、上記条件で調製した2−ピリジルエチルチオアセテート0.14g(0.73mmol)をシリンジで滴下した。滴下終了後、更に3時間攪拌し、変性と加水分解処理を行った。変性及び加水分解処理終了後、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を濾別し、酸性触媒を得ると共に、濾液を回収した。
転化率(%)=[(濾液中の酸量(mmol)/(2−ピリジルエチルチオアセテートの添加量(mmol)]×100
東京理化器械(株)製パーソナル有機合成装置「ケミステーションPPV−3000」に付属の試験管に、上記で得られた酸性触媒0.50gを秤り入れ、60℃の溶融フェノール約50mlを添加した。この試験管を当該装置に組み込み、窒素を導入して攪拌することにより、酸性触媒をフェノールで洗浄し、洗浄後のフェノールの含水率が0.1重量%以下になるまで攪拌とデカンテーションを繰り返した。次いで、上記試験管にフェノール15.0gを加え、窒素と約5℃の冷却水の流通を開始した後、300rpmの攪拌下、温度を70℃に保ちながら、アセトン0.71gを加えて反応を開始した。
なお、「4,4’−ビスフェノールA」及び「4,4’−体」とは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのことをいい、「2,4’−ビスフェノールA」及び「2,4’−体」とは2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのことをいう。
装置:島津製作所製「GC−2014」
カラム:アジレントテクノロジー製「HP−Ultra2」(25m×0.32mm×0.52μm)
検出器:FID
キャリアーガス:ヘリウム
4,4’−ビスフェノールA収率(%)=〔(生成した4,4’−ビスフェノールAのmol数)/(反応に用いたアセトンのmol数)〕×100
4,4’−体/2,4’−体比=〔(生成した4,4’−ビスフェノールAのmol数)/(生成した2,4’−ビスフェノールAのmol数)〕
前処理法:反応開始120分後の反応液1.0gを秤量し、キュメン0.5gと0.1N−水酸化ナトリウム水溶液1gを加えて振り混ぜた。一晩静置後、水相のみを採取した。
装置:(以下の装置群からなる)
デガッサー:昭和電工製「DEGAS KT−27」
ポンプ(2台):島津製作所製「LC−10AD」「LC−10AT」
自動注入装置:システムインスツルメント製「AUTO SAMPLER 09」
恒温槽:島津製作所製「CTO−10A」
電気伝導度検出器:昭和電工製「CD−5」
カラム:島津製作所製「SPR−H」(250mm×7.8mmφ)×2本
温度:45℃
溶離液:
A液:5mM p−トルエンスルホン酸水溶液
B液:100μM 4H−EDTAを含む20mM Bis−Tris溶液
<酸性触媒の調製>
2−ピリジルエチルチオアセテート滴下時のフラスコの内温を室温(25℃)で行った以外は、実施例4−1−1と同様の操作を行った。変性及び加水分解処理終了後、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を濾別した濾液の酸量を、実施例4−1−1と同様に滴定分析により求めた結果、0.05mmolであり、2−ピリジルエチルチオアセテートの加水分解の転化率は6.8%であった。
上記の酸性触媒を用いて実施例4−1−1と同条件で反応を行い、所定時間毎に反応液を採取し、同様に分析を行って4,4’−ビスフェノールA収率、4,4’−体/2,4’−体比、酢酸フェニル及び酢酸の生成量を求めた結果を表4に示す。
<酸性触媒の調製>
東京理化器械(株)製パーソナル有機合成装置「ケミステーションPPV−3000」に付属の試験管に、スルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製ダイヤイオン(登録商標)「SK104H」:交換容量1.65mmol/g−湿潤状態)0.50g−湿潤状態を秤量し、60℃の溶融フェノール約50mlを添加した。この試験管を当該装置に組み込み、窒素を流通させながら攪拌をすることにより洗浄し、洗浄後のフェノールの含水率が0.1重量%以下になるまで攪拌とデカンテーションを繰り返した。次いで、上記試験管にフェノール15.0gを加え、窒素と約5℃の冷却水の流通を開始した後、温度を70℃に保ちながら、フラスコ内を窒素で置換し、300rpmで攪拌を開始した。次いで、実施例4−1−1におけると同様の条件で調製した2−ピリジルエチルチオアセテート0.023g(0.13mmol)をシリンジで滴下し、滴下終了後、更に2時間攪拌して変性処理を行い、酸性触媒(変性率15.8%)を調製した。
上記酸性触媒の調製を行った試験管を当該装置に組み込んだまま、この試験管にアセトン0.71gを添加して反応を開始した。反応開始後、所定時間毎に反応液を採取し、実施例4−1−1と同様に分析を行って、4,4’−ビスフェノールA収率、4,4’−体/2,4’−体比、酢酸フェニル及び酢酸の生成量を求めた結果を表5に示す。
水溶媒下における変性(加水分解)温度と変性(加水分解)時間の影響についてさらに検討する実験を行った。
東京理化器械(株)製パーソナル有機合成装置「ケミステーションPPV−3000」に付属の試験管に、スルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製ダイヤイオン(登録商標)「SK104H」:交換容量1.65mmol/g−湿潤状態)1.00g−湿潤状態、及び60℃の脱塩水約20mlを秤り入れ、攪拌を開始した。装置内に窒素を導入し、試験管内温を表7に示す所定温度に保ちながら、実施例4−1におけると同様の条件で調製した2−ピリジルエチルチオアセテート0.046g(0.024mmol)をシリンジで滴下した。滴下終了後、更に表7に示す所定時間攪拌し、変性及び加水分解処理を行った後、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を濾別し、実施例4−1と同様にして濾液の酸量と2−ピリジルエチルチオアセテートの加水分解の転化率を求めた結果を表7に示す。
Claims (14)
- フェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒を充填した反応器に供給してビスフェノール化合物を製造する方法であって、該酸性触媒が、スルホン酸基の一部を2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1で変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂であり、かつフェノール化合物とカルボニル化合物とを酸性触媒を充填した反応器に連続的に供給することを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
- 酸性触媒が、2−ピリジルアルカンチオール化合物類でスルホン酸基の一部を変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂である請求項1に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 2−ピリジルアルカンチオール化合物類が、2−ピリジルエタンチオールである請求項1又は2に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 2−ピリジルエタンチオールが、2−ビニルピリジンと含硫黄化合物とを原料として得られたものであり、該2−ビニルピリジンに含有されている2量体以上の2−ビニルピリジンを含むポリマーが2重量%以下である請求項3に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 2−ビニルピリジンに含有されている2量体以上の2−ビニルピリジンを含むポリマーが100重量ppm以上である請求項4に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 含硫黄化合物がチオ尿素である請求項4又は5に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 2−ピリジルエタンチオールが、水及び炭化水素系溶媒の存在下で2−ビニルピリジンとチオ尿素とを反応させてイソチウロニウム塩を得、該イソチウロニウム塩を加水分解して得られたものである請求項3又は6に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 炭化水素系溶媒がトルエンである請求項7に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 酸性触媒が、3−ピリジルアルカンチオール化合物類でスルホン酸基の一部を変性したスルホン酸型陽イオン交換樹脂である請求項1に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 3−ピリジルアルカンチオール化合物類が、3−ピリジルエタンチオールである請求項1又は9に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- 酸性触媒が、以下の工程(I)および(II)を経て得られたものである請求項2、3、4、5、9及び10の何れか1項に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
(I)2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物を用いてスルホン酸型陽イオン交換樹脂の変性を行う変性工程
(II)前記変性時及び変性後の少なくともいずれかにおいて、2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物のチオエステル部分を40℃以上100℃以下の温度で加水分解する加水分解工程 - 工程(II)において、2−ピリジルアルカンチオール化合物類及び3−ピリジルアルカンチオール化合物類の少なくともいずれか1のチオール基をアシル基で保護した化合物の加水分解の転化率が60%以上である請求項11に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- フェノール化合物がフェノールであり、カルボニル化合物がアセトンであり、ビスフェノール化合物がビスフェノールAである請求項1乃至12のいずれか1項に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
- フェノール化合物の少なくとも一部が、ビスフェノール化合物を精製するに際し得られたフェノール化合物である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
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