JP2010119995A - ビスフェノール化合物製造用触媒及びその製造方法、並びにビスフェノール化合物の製造方法 - Google Patents

ビスフェノール化合物製造用触媒及びその製造方法、並びにビスフェノール化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高活性を有するビスフェノール化合物製造用触媒、その製造方法、及び高収率でビスフェノール化合物を製造することが可能なビスフェノール化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】スチレン系モノマー(A)と、架橋性モノマー(B)との共重合体にスルホン酸基を導入した構造を有するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂からなるビスフェノール化合物製造用触媒であって、(a−1)共重合体が、スチレン系モノマー(A)と、架橋性モノマー(B)とを、(A)と(B)の合計に対して重量比0.2以上1.5以下の有機溶媒の存在下、懸濁重合して得られたものであり、(a−2)架橋度が2モル%以上30モル%以下であるビスフェノール化合物製造用触媒、及び該触媒の存在下、フェノール化合物とカルボニル化合物を反応させることによるビスフェノール化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビスフェノール化合物製造用触媒、その製造方法、及びビスフェノール化合物の製造方法に関する。詳しくは、高収率でビスフェノール化合物を製造することができるビスフェノール化合物製造用触媒、その製造方法、及びビスフェノール化合物の製造方法に関する。
ビスフェノール化合物は、一般に、酸性触媒存在下、芳香族ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物との縮合反応により製造される。酸性触媒としては、塩酸や硫酸のような鉱酸、ヘテロポリ酸のような固体酸なども使用されているが、触媒による装置の腐食や反応活性、触媒のコストなどの点から、工業的にはゲル型、MR型などの酸性イオン交換樹脂が広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
また酸性イオン交換樹脂の使用に際しては、メルカプト化合物を触媒と共存させることにより、選択率・収率が大きく向上することが知られており、これらメルカプト化合物は原料の芳香族ヒドロキシ化合物とカルボニル化合物と混合して供給したり(例えば、特許文献2、特許文献3等参照)、反応前に酸性のイオン交換樹脂にあらかじめ変性させて反応させることが行われている(例えば、特許文献4、特許文献5等参照)。
しかしながら、メルカプト基又は保護されたメルカプト基を含有するメルカプトアミン類が変性した陽イオン交換樹脂触媒や、陽イオン交換樹脂触媒にメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物を共存させる方法においても、触媒活性の点で更なる改善が望まれている。
そこで触媒活性向上のためにイオン交換樹脂のポリマー鎖で形成される反応場の空間を拡大させることにより活性を向上させようとする試みがなされており、例えばイオン交換樹脂製造時の共重合モノマーとして多環芳香族ジビニルモノマーを用いることにより反応場の空間を拡大させることも行われている(特許文献6参照)。しかしこれらの技術を用いても十分な効果が得られなかった。
特開平6−32755号公報 特開2002−205966号公報 特表2004−526697号公報 特開平8−187436号公報 特開平11−246458号公報 特開2001−348349号公報
本発明の課題は、上記問題を解決し、高活性なビスフェノール化合物製造用触媒、その製造方法、及び高収率でビスフェノール化合物を製造することが可能なビスフェノール化合物の製造方法を提供するものである。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、架橋性モノマーを特定の割合で使用し、かつ特定量の有機溶媒の存在下、懸濁重合して得られた共重合体を母体とするスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂が、ビスフェノール化合物製造に際して高い触媒活性を有することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、スチレン系モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを含む重合性モノマーを共重合し、得られた共重合体にスルホン酸基を導入した構造を有するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂からなるビスフェノール化合物製造用触媒であって、(a‐1)共重合体が、重合性モノマーの合計に対して重量比で0.2以上1.5以下の有機溶媒の存在下、懸濁重合して得られたものであり、(a‐2)架橋度が2モル%以上30モル%以下である、ことを特徴とするビスフェノール化合物製造用触媒、に存する。
また、本発明の他の要旨は、スチレン系モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを含む重合性モノマーを共重合し、得られた共重合体にスルホン酸基を導入してスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を得る 工程を含むビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法であって、共重合を、(b‐1)重合性モノマーの合計に対する架橋性モノマー(B)の割合を2モル%以上30モル%以下とし、(b‐2)重合性モノマーの合計に対する有機溶媒の重量比を0.2以上1.5以下として懸濁重合により行う、ことを特徴とするビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法、に存する。
更に、本発明の他の要旨は、ビスフェノール化合物製造用触媒の存在下、フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応によりビスフェノール化合物を製造する方法において、ビスフェノール化合物製造用触媒がスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂であり、該スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂が、(c‐1)スチレン系モノマー(A)と、架橋性モノマー(B)とを含む重合性モノマーを共重合して得られた共重合体にスルホン酸基を導入した構造を有するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂であって、(c‐2)共重合体が、重合性モノマーの合計に対する有機溶媒の重量比を0.2以上1.5以下として懸濁重合して得られたものであり、(c‐3)架橋度が2モル%以上30モル%以下である、ことを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法、に存する。
本発明のビスフェノール化合物製造用触媒を用いることにより、ビスフェノール化合物を高収率で製造することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
本発明のビスフェノール化合物製造用触媒は、スチレン系モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを含む重合性モノマーを共重合し、得られた共重合体にスルホン酸基を導入した構造を有するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂からなるものであって、共重合体が、重合性モノマーの合計に対して重量比で0.2以上1.5以下の有機溶媒の存在下、懸濁重合して得られたものであり、架橋度が2モル%以上30モル%以下のものである。
スチレン系モノマー(A)とは、スチレン又はスチレンのベンゼン環、若しくはスチレンのビニル基にイオン交換樹脂としての機能を損なわない範囲の任意の置換基を有するモノマーであり、好ましくは、下記の一般式(1)で表わされるモノマーが挙げられる。
Figure 2010119995
(式中、X、X、Xは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルシリルオキシ基、ニトロ基、ニトリル基のいずれかを示し、Yは、水素原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、フェニル基やナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、アルコキシカルボニル基、アリルアルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリルオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、またはアルキルシリルオキシ基を示す。nは1から5までの整数であり、X、X、Xは互いに同一でも異なっていても良く、またnが2以上の場合の複数のYは同一でも異なっていても良い。)尚、スチレン系モノマーとして、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル、ポリスチレンなどのポリマーや、オリゴマーの末端がスチリル構造になっているようなマクロモノマーでもよい((メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを意味する。)。
具体的には、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等のベンゼン環が炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されたスチレン;α−メチルスチレン、α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン等のビニル基が炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されたスチレンが挙げられる。これらの中でも、スチレンが最も好ましい。
架橋性モノマー(B)は、分子内に上記スチレン系モノマー(A)と共重合可能な炭素−炭素二重結合を2以上有する化合物であり、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン、ジビニルトルエン等のアルキルジビニルベンゼン、ビス(ビニルフェニル)、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(4−ビニルフェニル)スルホン等の2以上のベンゼン環が直接、又はアルキレン基、スチリレン基などの連結基を介して結合した構造を有する芳香族ジビニル化合物が挙げられる。又ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル、ポリスチレンなどのポリマー、オリゴマーの両末端がスチリル構造、(メタ)アクリル構造のような重合性炭素−炭素二重結合を持っているマクロモノマーでもよい。これらの中でも、ジビニルベンゼンが特に好ましい。
本発明における重合性モノマーは、前記スチレン系モノマー(A)と前記架橋性モノマー(B)とを含むが、それ以外に、必要に応じて、更に他の重合可能なモノマーを含んでいてもよい。このような重合可能なモノマー(以下「第3のモノマー」と言う場合がある。)の具体例としては、ビニルナフタレンやビニルアントラセンなどのナフタレンやアントラセン、フェナントレンなどの多環芳香族骨格を持っているビニルモノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;ブタジエン、イソプレン等のジエン炭化水素化合物;1−ペンテン、1−ヘキセンなどのαオレフィン;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
尚、第3のモノマーを使用する場合、スチレン系モノマー(A)に対して、通常50モル%以下、好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。多すぎるとスルホン酸基の量が少なくなり、所望の触媒活性を得られないことがある。
重合性モノマーに対する架橋性モノマー(B)の割合(モル比)は2モル%以上、好ましくは4モル%以上、又、30モル%以下、好ましくは15モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である(但し、重合性モノマー又は架橋性モノマーが混合物の場合、それぞれ各成分のモル数の合計を重合性モノマー又は架橋性モノマーのモル数とする)。
この割合が小さすぎると、イオン交換樹脂の強度を保つことが困難となり、樹脂の破砕などの問題が生じるため好ましくない。一方、大きすぎると、樹脂粒子内の拡散抵抗のため触媒活性の低下等の不具合を生じるため好ましくない。
なお本発明におけるイオン交換樹脂の架橋度とは、イオン交換樹脂製造時における重合性モノマー全体(架橋性モノマーも含む)に対する架橋性モノマーのモル%を意味する。
本発明では、イオン交換樹脂製造時にスチレン系モノマー(A)、架橋性モノマー(B)を含む重合性モノマーを懸濁重合する際に、特定量の有機溶媒を存在させる。重合時に有機溶媒を存在させることにより、樹脂内部の細孔が通常の樹脂よりも大きくなり、樹脂内部での反応基質や生成物の拡散・移動が容易になるため、反応速度が向上し、その結果、ビスフェノール化合物の収率が向上すると考えられる。
しかしこの際に溶媒として脂肪族炭化水素やアルコールなどの生成共重合体を膨潤させない溶媒を用いると樹脂内部の空間が十分に広がらず、触媒活性の改善及び触媒寿命の点で不十分となる傾向がある。
従って、重合に使用する有機溶媒としては、水に不溶で、モノマーをよく溶解し、かつ生成共重合体を十分に膨潤することが出来る溶媒が好ましく、具体的には、芳香族炭化水素系化合物、ハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよく、即ち、芳香族炭化水素系化合物及びハロゲン化炭化水素から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。より具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン等の、アルキル基、ニトロ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン;テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、プロピレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を挙げることができる。置換されているベンゼンの場合の置換基の数は1個でも複数個でもよいが、1又は2個が好ましく、アルキル基の炭素数は、各々1又は2が好ましい。又、ハロゲン化炭化水素の炭素数は1〜4が好ましい。中でも、トルエンが特に好ましい。
有機溶媒の使用量は、重合性モノマーの合計に対して、重量比で0.2以上、好ましくは0.5以上、又1.5以下、好ましくは1.2以下である。この比が小さすぎると、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂触媒の触媒活性が低く好ましくない。一方、この比が大きすぎる場合、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の強度を保つことが困難となり、樹脂の破砕などの問題が生じるため好ましくない。
懸濁重合は、重合性モノマーの全量に対して、通常、1〜10重量倍の水を分散媒体とし、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を、重合性モノマー全量に対して0.1〜5重量%程度用いて、前述の有機溶媒の存在下行われる。重合開始剤としては、好ましくは過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルが用いられる。
重合時に使用する水は、重合反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、通常は脱塩水(脱イオン水)や蒸留水などが用いられる。また、良好な懸濁状態で重合を進行させるために、通常、ポリビニルアルコール等の分散剤を全重合性モノマーの混合物に対して0.05〜5重量%使用する。
懸濁重合を行う反応条件には特に制限はないが、通常は常圧乃至加圧下で行われる。反応温度は使用する重合開始剤にもよるが、通常40℃以上、好ましくは使用するラジカル重合開始剤の10時間半減期(例えばアゾビスイソブチロニトリル<AIBN>では60℃、過酸化ベンゾイル<BPO>では73℃)の温度以上で反応させるのがよい。また通常150℃以下、好ましくは100℃以下の温度で、1〜30時間程度撹拌することにより行われ、架橋構造を有する共重合体は、球状粒子として得られる。40℃未満の温度では、重合開始剤の分解速度が遅く重合時間が非常に長くなるので、実用的でない場合がある。また150℃を超える温度では水性媒体および有機溶媒の蒸気圧により内圧が高くなるので、高い圧力に耐えることができる装置が必要となり、経済的に不利となる場合がある。
重合後、懸濁重合により得られた架橋構造を有する共重合体の球状粒子から有機溶媒を除去するが、具体的な方法としては、メタノール等の水溶性溶媒で有機溶媒を置換した後、水溶性溶媒を水で洗浄し除去する方法、減圧下で乾燥し除去する方法、水を加えて共沸蒸留を行い、水と共に有機溶媒を留出させ除去する方法等が挙げられる。操作の簡便さ、有機溶媒の除去効率などの点から、特に工業レベルで製造を行う際には、共沸蒸留により除去する方法が好ましい。
共重合体にスルホン酸基を導入する方法は特に限定されるものではなく、常法に従って行うことができる。例えば、有機溶媒の非存在下、あるいは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、プロピレンジクロライド等の有機溶媒の存在下、硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸等のスルホン化剤と反応させることにより行われる。
この際の反応温度は、スルホン化剤及び使用する有機溶媒に応じて適宜選択されるが、通常0〜150℃程度である。スルホン化された共重合体を、常法に従って、洗浄、単離等により分離することで、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を得る。スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂としての交換容量は、水含有状態で、通常、0.5meq/ml以上、好ましくは、1.0meq/ml以上であり、一方、通常、3.0meq/ml以下、好ましくは、2.0meq/ml以下である。又、乾燥状態で通常、1.0meq/g以上、好ましくは、2.0meq/g以上であり、一方、通常、6.0meq/g以下、好ましくは、5.5meq/g以下である。
スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂のサイズは、平均粒径が、通常、0.2mm以上、好ましくは0.4mm以上、一方、通常、2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下の範囲にあり、かつ粒径分布均一度は、通常、1.5以下、好ましくは1.3以下である。
なお、本明細書で樹脂について言う平均粒径及び粒系分布均一度は、ダイヤイオンマニュアル1(三菱化学株式会社刊、平成19年第4版、140〜142頁 参照)に記載の方法で算出した値で定義される。
かくして得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂は、そのままでもビスフェノール化合物製造用触媒として使用できるが、更に、メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物(以下、メルカプト化合物と言うことがある)を助触媒として用い、該メルカプト化合物で変性されたものがビスフェノール化合物を製造する際の触媒として好ましい。ここで変性とは、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部をメルカプト化合物で中和することを言い、以下、この様な変性されたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を「メルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂」ということがある。
スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を変性する方法としては、例えば、メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有し、且つ陽イオン交換樹脂のスルホン酸基とイオン結合し得るような官能基を含有する化合物を水性溶媒もしくは有機溶媒中で陽イオン交換樹脂と反応させて、陽イオン交換樹脂のスルホン酸基にイオン結合させる方法が挙げられる。
変性に使用されるメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物としては、特に限定されるものではなく、陽イオン交換樹脂のスルホン酸基とイオン結合を形成する化合物であればよい。このような化合物としては、例えば2−メルカプトエチルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−メルカプトプロピルアミン等のメルカプトアルキルアミン類、3−メルカプトメチルピリジン、2−(2−メルカプトエチル)ピリジン、3−(2−メルカプトエチル)ピリジン、4−(2−メルカプトエチル)ピリジン等のメルカプトアルキルピリジン類、チアゾリジン、2,2−ジメチルチアゾリジン、2−メチル−2−フェニルチアゾリジン、3−メチルチアゾリジン等のチアゾリジン類等、及び、これらのメルカプト基が保護された誘導体が挙げられる。
尚、メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物により変性する割合は、陽イオン交換樹脂の全スルホン酸基の3モル%以上とするのが好ましく、5モル%以上とするのがより好ましい。また70モル%以下とするのが好ましく、50モル%以下とするのが更に好ましく、30%以下とするとより好ましい。これにより、反応に必要なスルホン酸基の量の低下による活性低下を引き起こすことなく、メルカプト化合物が助触媒として働く効果を最大限に発現させることができる。メルカプト化合物で変性している割合が小さすぎる場合は反応性の向上効果が低くなる傾向にあり、触媒寿命が不十分となる傾向にある。また変性する割合が大きすぎる場合は、反応に関与するスルホン酸基の量が少なくなるので、反応性が低下する傾向がある。また経済的にも高価なメルカプト化合物を多く使用することになるので、好ましくない。
又、これらのメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物を陽イオン交換樹脂のスルホン酸基に結合させ変性させる方法は、従来公知の方法、例えば、前記特許文献5等に示されているように、水、アルコール、ケトン、エーテル、フェノール等の適当な溶媒にメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物を溶解させた溶液、もしくは溶媒により希釈されていないメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物を直接、溶媒中に分散させた陽イオン交換樹脂に滴下することなどにより混合し、攪拌する方法、等により行われる。この方法により、酸性イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部とメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物とが反応することにより中和され、イオン結合し変性されることとなる。
前述のようにして得られる変性された陽イオン交換樹脂としての交換容量、架橋度、樹脂のサイズ、および樹脂の粒径分布均一度は、前述の未変性のものと同様のものである。
フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応による本発明のビスフェノール化合物の製造方法は、ビスフェノール化合物製造用触媒として前述のスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を用いることに特徴を有する。
また、フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応は、フェノール性水酸基の強いオルト‐パラ配向性、特にパラ配向性を利用するものと解されるところより、使用するフェノール化合物はオルト位又はパラ位に置換基のないものが好ましい。中でも縮合反応生成物であるビスフェノール化合物の用途から4,4’−ビスフェノール化合物が一般的に好ましいところから、パラ位に置換基のないフェノール化合物が好ましい。フェノール化合物が置換基を有する場合、置換基はフェノール性水酸基のオルト‐パラ配向性を阻害せず、又、カルボニル化合物の縮合位置に対して立体障害を及ぼさない限り、得られるビスフェノール化合物の用途や物性に応じて任意のものでありうる。典型的な置換基としては、例えば炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられる。又、該置換基の代わりに、弗素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子が置換したフェノール化合物についても、同様の置換位置の化合物を使用することができる。
そして、そのフェノール化合物としては、具体的には、例えば、フェノール(無置換のフェノール)、o−クレゾール、m−クレゾール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、2,5−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール等が挙げられる。これらの中ではフェノールが特に好ましい。
又、カルボニル化合物の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等の炭素数3〜10程度のケトン類、及び、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド類が挙げられる。これらの中では、アセトンが好ましい。フェノール化合物としてフェノールを使用し、カルボニル化合物としてアセトンを使用した場合、ポリカーボネート樹脂等の原料として有用なビスフェノールAを得ることができるので、特に好ましい。
縮合反応におけるフェノール化合物とカルボニル化合物のモル比は、カルボニル化合物1モルに対してフェノール化合物が通常2モル以上、好ましくは4モル以上であり、通常40モル以下、好ましくは30モル以下とする。フェノール化合物の使用量が少なすぎると、副生物が増加する傾向があり、一方、多すぎても副生物を減少させる効果に殆ど変化はなく、むしろ回収、再使用するフェノール化合物の量が増大するため経済的でなくなる傾向がある。
ビスフェノール化合物の製造において、実験室などの小さなスケールでは、原料として用いるフェノール化合物として精製した高純度のフェノール化合物なども用いられるが、工業レベルのスケールでは、通常はプロセス内でフェノール化合物をリサイクルさせて使用している。リサイクルするフェノール化合物としては、反応生成液から目的とするビスフェノール化合物を分離したフェノール溶液(この液は、ビスフェノール化合物を晶析などによって固化し、固液分離する方法によってビスフェノール化合物を分離した場合には、一般的に「母液」と呼ばれているが、その他にも蒸留などによって分離する方法もあり、これらに限定されるものではない)を用いることができる。
その際に全量もしくは一部を分離して、酸やアルカリの触媒で処理をした後に重質分などの不純物を除去したり、更にビスフェノール化合物を回収した後にビスフェノール化合物の原料として用いることが好ましい。反応に使用したフェノール化合物をプロセス内に補充する際は、精製したフェノール化合物を用いるのがよい。
フェノール化合物の精製方法としては特に制限はないが、例えばフェノール化合物を40〜110℃の温度で、一般的なスルホン酸型陽イオン交換樹脂のような酸性触媒と反応させてフェノール化合物中に含まれる不純物を重質化させた後に蒸留して重質分を除去する方法などを挙げることができる。
本発明におけるビスフェノール化合物製造用触媒として使用するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂は、樹脂内に水分が残留していると反応時の阻害要因となるために反応に使用する前に、イオン交換樹脂内の水を除去しておくのが好ましく、例えば、原料であるフェノール化合物と接触させることにより、イオン交換樹脂内の水分を除去する方法を用いることができる。このような処理により、縮合反応の誘導期間が無くなり、速やかに反応に使用できるようになる。
本発明における前記フェノール化合物と前記カルボニル化合物との反応方式は特に限定されるものではなく、例えば、前記スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂触媒を充填した反応器にフェノール化合物とカルボニル化合物との原料混合物を連続的に供給して反応を行う固定床流通方式、流動床方式、及び連続撹拌方式のいずれでもよく、又、回分方式であってもよい。固定床流通方式、流動床方式、及び連続撹拌方式で反応を行う場合には、原料混合物の供給は、フェノール化合物湿潤状態のスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂触媒基準で通常LHSV0.05hr-1以上、好ましくは0.2hr-1以上である。また通常20hr-1以下、好ましくは10hr-1以下で行う。
反応温度は反応溶液が固化せずに液状で存在しうる温度で行うのが好ましく、フェノール化合物がフェノールの場合は40℃以上、好ましくは50℃以上がよい。反応温度が高いほど、反応速度が上昇するので有利であるが、イオン交換樹脂の耐熱温度を考慮して反応器内の最高温度が120℃以下、好ましくは100℃以下となるような条件で反応させるのが好ましい。反応温度が高くなるとスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の耐熱温度以下でも一部分解などによりスルホン酸基の脱離などがおこるので、このような観点からは、できるだけ低い温度が好ましい。
ビスフェノール化合物製造時に、触媒として使用するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を前述のように、スルホン酸基の一部をメルカプト基あるいは保護されたメルカプト基を含有する化合物で変性したものであるか、又は、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を、メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物と共存させて反応させるのが好ましい。後者の方法としては、原料であるフェノール化合物やカルボニル化合物とともに必要に応じて連続的に、又は間欠的に供給しながら反応させる方法が代表的である。
この場合、メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物としては、例えば、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、シクロヘキサンチオール、シクロヘキサンメタンチオール、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン等、及び、それらのメルカプト基が保護された、それら化合物のt−ブチルスルフィド、チオアセテート、チオアセタール等の誘導体が挙げられる。尚、これらの化合物は、他にハロゲン原子や、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。又、これらのメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物を反応系に存在させるには、原料としてのフェノール化合物及び/又はカルボニル化合物の混合物へ混合するのが好ましく、その混合量としては、原料としての混合物に対して、0.01重量%以上、5重量%以下の範囲が好ましく、これにより、少ない量で反応性を向上させるという助触媒としての効果を最大限に発現させることができる。
メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物として、前述の陽イオン交換樹脂のスルホン酸基とイオン結合を形成する化合物を同様に反応時に必要に応じて連続的に、又は間欠的に添加しながら反応させても良い。また、変性したスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を使用すると共に、メルカプト化合物を原料と一緒に反応時に添加する方法を同時に用いてもよい。即ち、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂がメルカプト基あるいは保護されたメルカプト基を含有する化合物で変性された構造を有する変性陽イオン交換樹脂の存在下、更に、メルカプト基あるいは保護されたメルカプト基を含有する化合物を共存させて縮合反応を行うことができる。
反応混合物から目的物質であるビスフェノール化合物を分離精製する方法は特に制限はなく、以下に代表的な工程をビスフェノールAを例として説明する。上記反応に引き続いて、低沸点成分分離工程において、反応で得られた反応混合物をビスフェノールAとフェノールとを含む成分と、反応で副生する水、未反応アセトン等を含む低沸点成分とに分離する。低沸点成分分離工程は、減圧下に蒸留によって低沸点成分を分離するのが好ましく、低沸点成分にはフェノール等が含まれていてもよい。ビスフェノールAとフェノールとを含む成分は、必要に応じて、さらに蒸留等によってフェノールを除去する、及び/又はフェノールを添加することによって、ビスフェノールAの濃度を所望の濃度に調整することができる。
続いて、晶析工程においてビスフェノールAとフェノールとの付加物の結晶を含有するスラリーを得る。晶析工程に供するビスフェノールAとフェノールとを含む成分のビスフェノールAの濃度は、得られるスラリーの取り扱いの容易さ等から、10〜40重量%が好ましい。また晶析方法としては、ビスフェノールAとフェノールとを含む成分を直接冷却させる方法、水等の他の溶媒を混合し、当該溶媒を蒸発させることによって冷却を行なう方法、さらにフェノールを除去して濃縮を行なう方法及びこれらを組み合わせる方法等が挙げられ、所望の純度の付加物を得るために1回もしくは2回以上晶析させてもよい。当該晶析工程で得られたスラリーは、回収工程において減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過等により付加物の結晶と母液とに固液分離され、ビスフェノールAとフェノールとの付加物の結晶が回収される。当該晶析工程で、ビスフェノールAの結晶を晶析によって直接得ることもできる。
当該回収工程で得られた付加物の結晶を、続く脱フェノール工程において溶融し、フラッシュ蒸留、薄膜蒸留、スチームストリッピング等の手段によってフェノールを除去することにより、高純度のビスフェノールAを得る。除去されたフェノールは所望により精製され、反応や上記回収工程で得られた付加物の結晶の洗浄等に供することができる。得られた高純度のビスフェノールAが溶融状態の場合は、造粒工程において固化されるが、ノズルから噴射させ、冷却ガスと接触させることにより小球状のビスフェノールAプリルを得る方法が簡便で好ましい。脱フェノール工程を経ることなく、回収工程で得られた付加物の結晶から、再度晶析を行いビスフェノールAのみを晶析により得ることもできる。
系内の不純物の蓄積を防止する目的で、回収工程で分離された母液の少なくとも一部を不純物処理工程において処理することができる。例えば、アルカリ又は酸を混合して加熱処理した後に蒸留して軽質分と重質分とに分離し、軽質分を酸触媒等により再結合反応処理して反応に使用するのが経済性の点でも好ましい。ここで重質分を系外にパージすることにより不純物の蓄積を防止し、製品の純度を向上させることができる。また、母液の少なくとも一部を酸触媒によって異性化した後、晶析を行なうことによってビスフェノールAの回収率の向上を図ることもできる。
低沸点成分分離工程で得られた低沸点成分は、アセトン循環工程によって未反応アセトンを分離回収し、回収されたアセトンを反応工程に循環させることができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に示す。ただし、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
実施例1
<スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の製造>
攪拌機、窒素ガス導入管、冷却器を備えた3Lの4ツ口セパラブルフラスコに脱塩水1925ml、6%ポリビニルアルコール水溶液55mlを入れ、窒素ガス導入管より窒素を導入することにより、フラスコ内の気相を窒素で置換した。一方、スチレン303.4g(2.91モル)、市販のジビニルベンゼン26.6g(ジビニルベンゼン57重量%およびエチルビニルベンゼン43重量%を含有するのでジビニルベンゼン15.2g(0.12モル)およびエチルビニルベンゼン11.4g(0.09モル)となる)、トルエン330g、及び過酸化ベンゾイル(純度75重量%)3.2gを混合溶解したモノマー溶液を調製した。モノマー溶液を上記フラスコに加え、120rpm、室温で30分撹拌し懸濁液を形成した。次いで、攪拌下、75℃で5時間反応させ、更に、85℃に昇温し4時間反応させた。生成した架橋構造を有する共重合体の球状粒子を十分に水洗して分散剤(ポリビニルアルコール)を除去した後、メタノールで十分に洗浄して架橋構造を有する共重合体の球状粒子内に残存するトルエンを除去しメタノールに置換した。更に、架橋構造を有する共重合体の球状粒子を十分に水洗してメタノールを水に置換し、80℃で8時間減圧乾燥し、架橋度3.8モル%の架橋構造を有する共重合体の球状粒子を263.9g得た。
次いで、攪拌機、冷却器を備えた500mlの4ツ口フラスコに、前記で得られた架橋構造を有する共重合体の球状粒子30.2g、ニトロベンゼン120g、濃硫酸115mlを入れ、攪拌下、105℃で4時間加熱し、スルホン酸基を導入した。この後、残留硫酸を徐々に希釈、ろ過した後、洗浄液のpHが5以上になるまで脱塩水を用いて洗浄した。
さらに、残留ニトロベンゼンを水との共沸蒸留により除去し、洗浄液が中性になるまで脱塩水を用いて洗浄し、目的とする架橋度3.8モル%のスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を得た。得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の量を滴定法により測定し、その結果を表1に示した。
<スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の変性>
窒素ガス導入管を備えた200mlの四つ口フラスコ中に、前記で得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂30.0g、及び60℃の脱塩水約60mlを入れ、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した。洗浄液はデカンテーションにより廃棄し、再度60℃の脱塩水約60mlを導入した。この洗浄操作を3回繰り返した。次いで、洗浄液を廃棄した後、脱塩水60mlを加え、フラスコ内を窒素で置換した。そこへ、助触媒として4−(2−メルカプトエチル)ピリジン0.75g(5.39ミリモル)を攪拌下に一度に加え、更に、2時間、室温下で攪拌して変性処理を行った。処理終了後、得られたメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂を脱塩水で洗浄した。変性に使用したスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の量、変性に使用した助触媒の量及び滴定によって求めたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の量から、下式に従って変性率を求め、その結果を表1に示した。
変性率(%)=[(変性に使用した助触媒のモル数(ミリモル))/(スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂中のスルホン酸基の量(meq/g‐湿潤状態)×変性に使用したスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の重量(g))]×100
<ビスフェノール化合物の製造>
窒素ガス導入管、冷却管を備えた200mlガラス製フラスコに、前記で得られたメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂を湿潤状態で3.0g入れ、70℃のフェノール約100mlを用いて、洗浄液の含水率が0.1重量%以下になるまで洗浄した。次いで、上記フラスコに70℃のフェノール90.0gを加え、窒素を導入した。攪拌下、アセトン4.27gを加えて反応を開始した。反応開始後60分の時点で反応液を採取し、ガスクロマトグラフィーにより以下の条件で分析し、下式に従って4,4’−ビスフェノールAの収率を求め、その結果を表1に示した。
<分析法>
ガスクロマトグラフィー:SHIMADZU製「GC−14B」
カラム:Hewlett Packard製「Ultra Performance Capillary Column Ultra2(Cross−linked 5%Phenylmethyl Silicone)25m×0. 32mm×0. 52μm」
検出器:FID
キャリアーガス:He

4,4’−ビスフェノールAの収率(%)=〔(生成した4,4’−ビスフェノールAのモル数)/(反応に用いたアセトンのモル数)〕×100
実施例2
スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の製造に際して、架橋度が5.5モル%になる様にモノマーの仕込み比を変えた他は実施例1と同様の方法で、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を製造し、得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の変性に際して、4−(2−メルカプトエチル)ピリジンの添加量を1.00g(7.18ミリモル)とした他は、実施例1と同様な方法で変性を行った。得られたメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂触媒を用いて実施例1と同様の条件で、フェノールとアセトンを反応させ、実施例1におけると同様の方法で分析し、その結果を表1に示した。
実施例3
スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の製造に際して、架橋度が6.5モル%になる様にモノマーの仕込み比を変えた他は実施例1と同様の方法でスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を製造し、得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の変性に際して、4−(2−メルカプトエチル)ピリジンの添加量を1.05g(7.54ミリモル)とした他は、実施例1と同様の方法で変性を行った。得られたメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂触媒を用いて実施例1と同様の条件で、フェノールとアセトンを反応させ、実施例1におけると同様の方法で分析し、その結果を表1に示した。
実施例4
スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の製造に際して、架橋度が5.0モル%になる様にモノマーの仕込み比を変え、さらに、トルエンの添加量を実施例1の半分の量とした他は実施例1と同様の方法でスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を製造し、得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の変性に際して、4−(2−メルカプトエチル)ピリジンの添加量を1.17g(8.40ミリモル)とした他は実施例1と同様の方法で変性を行った。得られたメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂触媒を用いて実施例1と同様の条件で、フェノールとアセトンを反応させ、実施例1におけると同様の方法で分析し、その結果を表1に示した。
実施例5
窒素ガス導入管を備えた200mlの四つ口フラスコ中に、実施例3で得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂9.69g、及び60℃の脱塩水30mlを入れ、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した。洗浄液はデカンテーションにより廃棄し、再度60℃の脱塩水30mlを導入した。この洗浄操作を3回繰り返した。次いで、洗浄液を廃棄した後、脱塩水20mlを加え、フラスコ内を窒素で置換した。そこへ、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩0.27g(2.38ミリモル)/脱塩水10ml溶液を攪拌下、20分かけて室温で滴下した。更に、2時間、室温下で攪拌して変性を行った。変性終了後、得られたメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂を脱塩水で洗浄した。又、このメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂触媒を用いて実施例1と同様の条件で、フェノールとアセトンを反応させ、実施例1におけると同様の方法で分析し、その結果を表1に示した。
比較例1
スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の製造に際して、架橋度が3.2モル%になる様にモノマーの仕込み比を変え、さらに、トルエンを添加せずに重合を行った以外は実施例1と同様の方法でスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を製造した。得られたスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂11.8g、及び60℃の脱塩水30mlを入れ、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した。洗浄液はデカンテーションにより廃棄し、再度60℃の脱塩水30mlを導入した。この洗浄操作を3回繰り返した。次いで、洗浄液を廃棄した後、脱塩水20mlを加え、フラスコ内を窒素で置換した。そこへ、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩0.34g(2.99ミリモル)/脱塩水10ml溶液を攪拌下、20分室温で滴下した。更に、2時間、室温下で攪拌して変性を行った。変性終了後、得られたメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂を脱塩水で洗浄した。又、このメルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂触媒を用いて実施例1と同様の条件で、フェノールとアセトンを反応させ、実施例1におけると同様の方法で分析し、結果を表1に示した。
Figure 2010119995

Claims (9)

  1. スチレン系モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを含む重合性モノマーを共重合し、得られた共重合体にスルホン酸基を導入した構造を有するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂からなるビスフェノール化合物製造用触媒であって、
    (a‐1)共重合体が、重合性モノマーの合計に対して重量比で0.2以上1.5以下の有機溶媒の存在下、懸濁重合して得られたものであり、
    (a‐2)架橋度が2モル%以上30モル%以下である、
    ことを特徴とするビスフェノール化合物製造用触媒。
  2. 有機溶媒が、芳香族炭化水素系化合物及びハロゲン化炭化水素から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のビスフェノール化合物製造用触媒。
  3. スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂が、メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物で変性されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のビスフェノール化合物製造用触媒。
  4. スチレン系モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを含む重合性モノマーを共重合し、得られた共重合体にスルホン酸基を導入してスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を得る 工程を含むビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法であって、共重合を、
    (b‐1)重合性モノマーの合計に対する架橋性モノマー(B)の割合を2モル%以上30モル%以下とし、
    (b‐2)重合性モノマーの合計に対する有機溶媒の重量比を0.2以上1.5以下として懸濁重合により行う、
    ことを特徴とするビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  5. 有機溶媒が、芳香族炭化水素系化合物及びハロゲン化炭化水素から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4に記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  6. スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を、メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物で変性する工程を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  7. ビスフェノール化合物製造用触媒の存在下、フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応によりビスフェノール化合物を製造する方法において、ビスフェノール化合物製造用触媒がスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂であり、該スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂が、
    (c‐1)スチレン系モノマー(A)と、架橋性モノマー(B)とを含む重合性モノマーを共重合して得られた共重合体にスルホン酸基を導入した構造を有するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂であって、
    (c‐2)共重合体が、重合性モノマーの合計に対する有機溶媒の重量比を0.2以上1.5以下として懸濁重合して得られたものであり、
    (c‐3)架橋度が2モル%以上30モル%以下である、
    ことを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
  8. 有機溶媒が、芳香族炭化水素系化合物及びハロゲン化炭化水素から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項7に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
  9. 縮合反応を、
    (d‐1)前記スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂がメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物で変性された構造を有する変性陽イオン交換樹脂の存在下、及び/又は、
    (d‐2)メルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物の共存下に行う、ことを特徴とする請求項7又は8に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
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