JP2013202458A - ビスフェノール化合物の製造方法 - Google Patents

ビスフェノール化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013202458A
JP2013202458A JP2012072131A JP2012072131A JP2013202458A JP 2013202458 A JP2013202458 A JP 2013202458A JP 2012072131 A JP2012072131 A JP 2012072131A JP 2012072131 A JP2012072131 A JP 2012072131A JP 2013202458 A JP2013202458 A JP 2013202458A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exchange resin
strongly acidic
cation exchange
catalyst
acidic cation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012072131A
Other languages
English (en)
Inventor
Izuru Tsutsumiuchi
出 堤内
Makiko Tachikura
真紀子 立蔵
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2012072131A priority Critical patent/JP2013202458A/ja
Publication of JP2013202458A publication Critical patent/JP2013202458A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、ビスフェノール化合物の製造において一層優れた性能の触媒となり得る変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の製造方法を提供することにある。
【解決手段】粒径の均一係数が1.0〜1.3である強酸性陽イオン交換樹脂を使用することにより、強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基の一部を含イオウアミン化合物で均一に変性することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビスフェノール化合物の製造方法に関する。詳細には、フェノールとアセトンとを、含イオウ化合物で変性した酸性基を有する変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の存在下で反応させてビスフェノール化合物を製造する方法に関する。
ビスフェノールA〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェノル)プロパン〕は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂などのエンジニアプラスチック、あるいはエポキシ樹脂やフェノール樹脂などの原料として重要な化合物であることが知られており、近年その需要はますます増大する傾向にある。
このビスフェノールAをはじめとするビスフェノール化合物は、一般に、酸性触媒存在下、フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応により製造される。酸性触媒としては、塩酸及び硫酸のような鉱酸、ヘテロポリ酸のような固体酸も使用されるが、触媒による装置の腐食や反応活性、触媒のコストなどの点から、工業的にはスルホン酸基等の強酸性イオン交換基を有する強酸性陽イオン交換樹脂が汎用されている。また、転化率や選択率等の向上を目的として、強酸性陽イオン交換樹脂に助触媒(変性剤)としてチオール基或いは保護されたチオール基を含有する化合物(本明細書中では、「含イオウアミン化合物」と称することがある)を反応させて、強酸性イオン交換基の一部を含イオウアミン化合物で変性させた強酸性陽イオン交換樹脂触媒(本明細書中では、「変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒」と称することがある)を使用する方法も知られている。
変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の製造方法としては、(a)バッチ式反応器内に強酸性陽イオン交換樹脂を入れ、含イオウアミン化合物を溶解させた水溶液、酸水溶液、フェノール溶液を投入する方法、(b)予め強酸性陽イオン交換樹脂を充填した固定床反応器内に、含イオウアミン化合物を溶解させた水溶液または酸水溶液またはフェノール溶液を流通する方法が開示されている。ここで、上記(b)の方法は、バッチ式反応器設備が不要であること、インペラ攪拌による強酸性陽イオン交換樹脂の破損が無いこと、バッチ式反応器から固定床反応器への移送が不要であること、及び貯蔵・輸送の際において変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の劣化が抑制できること等の点から上記(a)の方法よりも優れている。
固定床反応器においての変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の製造は、種々の方法が提案されているが、固定床反応器中の強酸性陽イオン交換樹脂の存在する場所によって、変性率が均一にならず、変性率が均一でないと全体として触媒の活性が低くなるという問題があり、それを解決にするために種々の方法が提案されている。
具体的には、反応器に強酸性陽イオン交換樹脂を充填して固定床を形成させた後、該反応器内に形成された強酸性陽イオン交換樹脂層中に含イオウアンモニウム塩、あるいは含イオウアミン化合物のフェノール溶液を流通させることにより変性する方法(例えば、特許文献1および2を参照)、水、もしくは酸水溶液を、少なくとも約5%の強酸性陽イオン交換樹脂床膨張を実現する流速で、反応器に対して上向流方向に循環させることにより、変性させる方法(例えば、特許文献3を参照)、含イオウアミン化合物の水溶液を装入しながら、または装入した後、反応器下部から気泡を流通させることにより、強酸性陽イオン交換樹脂を変性させる方法(例えば、特許文献4を参照)、反応開始前に、アルキルスルホン酸類の水溶液及び含イオウアミン化合物の水溶液を該反応器に装入し、循環させることにより強酸性陽イオン交換樹脂を変性させる方法(例えば、特許文献5を参照)、強酸性陽イオン交換樹脂の洗浄水に含イオウアミン化合物を溶解させた水溶液を該反応器に装入し、循環させることにより強酸性陽イオン交換樹脂を変性させる方法(例えば、特
許文献6を参照)、反応開始前に、酸と含イオウアミン化合物およびケトン類またはアルデヒド類とを溶解させた水溶液を、該反応器に装入し、循環させることにより、強酸性陽イオン交換樹脂を変性させる方法(例えば、特許文献7を参照)、含イオウアミン化合物を溶解させた酸水溶液を注入後、固定床反応器の出口における上記酸水溶液中の含イオウアミン化合物濃度が一定になるまで変性を行う方法(例えば、特許文献8を参照)、固定床反応器に強酸性陽イオン交換樹脂を充填し、これに酸と含イオウアミン化合物を含む水溶液を注入・循環させて、強酸性陽イオン交換樹脂を変性するに際し、上記水溶液を注入した後又は上記水溶液を注入した後該水溶液を循環させ一時的に循環を停止した状態で、上記固定床反応器の下部から不活性ガスをバブリングさせて、上記強酸性陽イオン交換樹脂を攪拌した後、上記水溶液を循環させることにより、強酸性陽イオン交換樹脂を変性させる方法(例えば、特許文献9を参照)、強酸性陽イオン交換樹脂を反応器に充填して固定床を形成し、該固定床が形成された反応器に、ビスフェノール類製造用触媒製造工程で排出された排水である含イオウアミン化合物水溶液を注入することにより、強酸性陽イオン交換樹脂を変性させる方法(例えば、特許文献10を参照)、あるいは固定床反応器に強酸性陽イオン交換樹脂を充填し、これに酸水溶液と、該酸水溶液中において目的の変性率を有する強酸性陽イオン交換樹脂中の含イオウアミン化合物と平衡となる濃度分の含イオウアミン化合物を注入することにより、強酸性陽イオン交換樹脂を変性する方法(例えば、特許文献11を参照)等であるが、いずれも工程の煩雑さや変性率の均一性などで十分な方法とは言い難かった。
特開平6−296871号公報 特開平6−304479号公報 特表2010−528859号公報 特開2000−254523号公報 特開2001−288132号公報 特開2001−286770号公報 特開2001−348350号公報 特開2005−74353号公報 特開2005−137950号公報 特開2005−305375号公報 特開2005−74332号公報
本発明の課題は、ビスフェノール化合物の製造において一層優れた性能の触媒となり得る変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、粒径の均一係数が1.0〜1.3である強酸性陽イオン交換樹脂を使用することにより、強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基の一部を含イオウアミン化合物で均一に変性することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1)固定床反応器に充填された強酸性陽イオン交換樹脂に、含イオウアミン化合物を接触させて、前記強酸性陽イオン交換樹脂を部分的に変性することによるビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法であって、強酸性陽イオン交換樹脂が、その粒径の均一係数が1.0〜1.3であることを特徴とするビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法、
(2)強酸性イオン交換樹脂に含イオウアミン化合物を接触させる方法が、含イオウアミ
ン化合物水溶液を、強酸性イオン交換樹脂を充填した固定床反応器を上向流方向に流通させるものであることを特徴とする上記(1)に記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法、
(3)強酸性イオン交換樹脂に含イオウアミン化合物を接触させる方法が、含イオウアミン化合物水溶液を、酸水溶液とともに強酸性イオン交換樹脂を充填した固定床反応器に流通させるものであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法、
(4)含イオウアミン化合物が、2−ピリジルエタンチオールであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法、
(5)前記ビスフェノール化合物製造用触媒が、強酸性イオン交換樹脂の変性率が5〜40%であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法、
(6)強酸性イオン交換樹脂が、その粒径が30〜600μmのものが50%以上を占め
るものであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法、
に存する。
本発明によれば、強酸性陽イオン交換樹脂を簡便な方法で、均一に変性することができ、該変性強酸性イオン交換樹脂触媒を用いることにより、転化率、選択性ともに優れたビスフェノール化合物製造方法が提供される。
変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の製造設備を示す図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形することができる。
(1)ビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法
本発明は、固定床反応器に充填された強酸性陽イオン交換樹脂に、助触媒(変性剤)として含イオウアミン化合物を接触させて、前記強酸性陽イオン交換樹脂を部分的に変性することによるビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法であって、強酸性陽イオン交換樹脂が、その粒径の均一係数が1.0〜1.3であることを特徴とする方法である。
本発明に用いられる強酸性陽イオン交換樹脂は、強酸性イオン交換基を有するものであればいずれのものであってもよいが、装置の腐食、反応後の触媒の分離、触媒活性などの点から、通常、スチレン系モノマーと架橋性モノマーとを含む重合性モノマーの共重合反応で得られたスチレン系共重合体にスルホン酸基などを導入したものが好ましく用いられる。
上記スチレン系共重合体、該共重合体の製造方法、及び該共重合体への強酸性イオン交換基の導入方法は、例えば、国際公開公報WO2011/055819に記載のもの等が挙げられる。
本発明のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法において、強酸性陽イオン交換樹脂として強酸性イオン交換基の量(本明細書中では、「交換容量」と称することがある)は、含水状態の樹脂の、単位体積当り、通常0.5meq/mL以上、好ましくは1.0meq/mL以上であり、一方、通常3.0meq/mL以下、好ましくは2.0meq/mL以下である。また、乾燥状態の樹脂では、単位体積当り、通常1.0meq/g以上、好ましくは2.0meq/g以上であり、一方、通常6.0meq/g以下、好ましくは5.5meq/g以下である。含水状態の樹脂から付着水を取り除いた湿潤状態では
、通常0.5meq/g以上、好ましくは1.0meq/g以上であり、一方、通常3.0meq/g以下、好ましくは2.0meq/g以下である。この交換容量が低過ぎると触媒活性が不足し、また、過度に交換容量の高い強酸性陽イオン交換樹脂は製造困難である。
この強酸性陽イオン交換樹脂の交換容量は、例えば「ダイヤイオン、イオン交換樹脂・
合成吸着剤マニュアル1」(三菱化学株式会社刊、改訂4版、平成19年10月31日発行、133〜135頁)に記載される方法や、これに準じた方法で求めることができる。なお、ここで用いられる強酸性陽イオン交換樹脂の主な形態としては、ゲル型と多孔質型(ポーラス型、ハイポーラス型、又はマクロポーラス型)が挙げられるが、ビスフェノール化合物の製造に用いる場合、製造コストの観点から、ゲル型が好ましい。また、物質拡散性や、樹脂の耐久性、強度の確保の観点で、多孔質型(ポーラス型、ハイポーラス型、又はマクロポーラス型)も好ましい。ゲル型には単純ゲル型共重合体及び拡大網目型ゲル共重合体があり、いずれも用いることができる。一方、多孔質型は多孔性共重合体であって、表面積、気孔率、平均孔径などが任意のものを用いることができる。
ゲル型又は多孔質型の強酸性陽イオン交換樹脂とする方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば「イオン交換樹脂その技術と応用」(オルガノ株式会社発行、改訂版、昭和61年5月16日発行、13〜21頁)に従って製造することができる。強酸性陽イオン交換樹脂のサイズは、平均粒径が、通常0.2mm以上、好ましくは0.4mm以上、一方、通常2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下の範囲にあるものを使用することができる。
また、強酸性陽イオン交換樹脂の粒径の均一係数は、1.0〜1.3、好ましくは1.0〜1.2、さらに好ましくは1.0〜1.1のものが用いられる。均一係数が1.3より大きな強酸性陽イオン交換樹脂を使用した場合、下述する含イオウアミン化合物による変性の際に、固定床反応器内で強酸性陽イオン交換樹脂の分級化が起こり、均一な変性が困難となる。なお、本明細書で樹脂について言及する平均粒径、および均一係数は、ダイヤイオンマニュアル1(三菱化学株式会社刊、平成19年第4版、140〜142頁)に記載の以下の式で算出した値で定義される。
平均粒径=樹脂の累積体積の50%に相当する径
均一係数=大粒子側の累積体積が40%に相当する径/大粒子側の累積体積が90%に相当する径
このような強酸性陽イオン交換樹脂の製造方法は、上記サイズの強酸性陽イオン交換樹脂ができる方法であれば如何なるものであってもよいが、以下に、スチレン系モノマーと架橋性モノマーとを含む重合性モノマーの共重合反応で得られた強酸性陽イオン交換樹脂を例に詳細に説明する。
上記強酸性陽イオン交換樹脂の原料であるスチレン系モノマーとは、スチレン、又はスチレンのベンゼン環若しくはスチレンのビニル基にイオン交換樹脂としての機能を損なわない範囲の任意の置換基を有するモノマーであるが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル、ポリスチレンなどのポリマーや、オリゴマーの末端がスチリル構造になっているようなマクロモノマーであってもよい。なお、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。後述の「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
スチレン系モノマーとしては、好ましくは下記式(1)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2013202458
(式中、X、X、Xは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルシリルオキシ基、ニトロ基、ニトリル基のいずれかを示し、Yは、水素原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、フェニル基やナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、アルコキシアルキル基、ニトロ基、アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、アルコキシカルボニル基、アリルアルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリルオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、又はアルキルシリルオキシ基を示す。nは1から5までの整数であり、X、X、Xは互いに同一でも異なっていてもよく、またnが2以上の場合の複数のYは同一でも異なっていてもよい。)
スチレン系モノマーとしては、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の、ベンゼン環が炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子で置換されたスチレンや、α−メチルスチレン、α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン等の、ビニル基が炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子で置換されたスチレン等が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、これらの中でも、スチレンが最も好ましい。また、これらのスチレン系モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
架橋性モノマーは、分子内に上記スチレン系モノマーと共重合可能な炭素−炭素二重結合を2以上有する化合物であり、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン、ジビニルトルエン等のアルキルジビニルベンゼン、ビス(ビニルフェニル)、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(4−ビニルフェニル)スルホン等の、2以上のベンゼン環が直接又はアルキレン基、スチリレン基などの連結基を介して結合した構造を有する芳香族ジビニル化合物が挙げられる。また、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル、ポリスチレンなどのポリマー、オリゴマーの両末端がスチリル構造、(メタ)アクリル構造のような重合性炭素−炭素二重結合を有するマクロモノマーでもよい。これらの中でも、架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼンが好ましい。なお、ジビニルベンゼンによっては、製造される際に副生物としてエチルビニルベンゼン(エチルスチレン)が生成し、これを多量に含有している場合もあるが、本発明においてはこのようなジビニルベンゼンも使用することができる。
これらの架橋性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ゲル型強酸性陽イオン交換樹脂を製造するための重合性モノマーは、前記スチレン系モノマーと前記架橋性モノマーとを含むが、それ以外に、必要に応じて、更にこれらと重合可能な他のモノマーを含んでいてもよい。このような重合可能なモノマー(以下「第3の
モノマー」と言う場合がある。)の具体例としては、ビニルナフタレンやビニルアントラセンなどの、ナフタレンやアントラセン、フェナントレンなどの多環芳香族骨格を有するビニルモノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエン、イソプレン等のジエン系炭化水素化合物;1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン;(メタ)アクリロニ
トリル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、このような第3のモノマーを使用することにより、耐酸化性が増す等の効果が得られるが、この場合、その使用量はスチレン系モノマーに対して、通常50モル%以下、好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。第3のモノマーの使用量が多すぎると、得られる共重合体に導入することができる単位重量当たりの強酸性イオン交換基の量が少なくなり、所望の触媒活性を得られないことがある。
スチレン系モノマーと架橋性モノマーとを含む重合性モノマーを重合させて得られる共重合体であるゲル型ビーズの架橋度は1%以上が好ましく、2%以上が更に好ましく、また8%以下が好ましく、5%以下が更に好ましい。ここで言う架橋度とは、重合に供する重合性モノマー中の架橋性モノマーの重量基準での濃度をいい、当該分野において使われている定義と同様である。
この架橋度が小さすぎると、得られる、強酸性陽イオン交換樹脂、及び変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の強度を保つことが困難となり、触媒として反応に供するに際し、使用前にフェノール化合物やフェノール化合物と水との混合液等に接触させてコンディショニングを行う時の膨潤、収縮により、強酸性陽イオン交換樹脂、及び変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の破砕等が生じるため好ましくない。一方、架橋度が大きすぎると、得られる強酸性陽イオン交換樹脂、及び変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒が膨潤しにくくなるので、強酸性陽イオン交換樹脂、及び変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒内の拡散抵抗が生じ易くなり、触媒活性の著しい低下を生じることから好ましくない。
スチレン系モノマーと架橋性モノマーとを含む重合性モノマーの共重合反応は、ラジカル重合開始剤を用いて公知の技術に基づいて行うことができる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の1種又は2種以上が用いられ、通常、重合性モノマーの重量(全モノマー重量)に対して0.05重量%以上、5重量%以下で用いられる。
重合様式は、特に限定されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の種々の様式で行うことができ、平均粒径や粒径の均一係数を規定の範囲とする為には篩による分級等を行うこともできる。また、篩別法以外の遠心沈降法、コールター法、画像解析法、レーザー回析散乱法などの方法を用いて得られた測定値を換算することにより、篩別法の値として用いることもできる。
そして、本発明においては均一粒径の球状の共重合体を得る公知の方法が好適に適用される。例えば、重合に先立って、別装置で均一粒径のモノマー含有液滴が分散している水中油型分散液を製造し、この分散液を重合容器に仕込んで重合する方法が知られており、均一粒径の水中油型分散液を製造する方法としては、水を充満した容器の下部に上向きに形成された噴出孔を備えたノズルプレートを設け、この噴出孔を通してモノマー含有液を水中に供給することにより、モノマー含有液滴を水中に分散させる方法(例えば、特開2003−252908号公報、日本特許第3899786号公報参照)を用いることができる。後述の実施例においては、この方法を採用している。
なお、共重合反応における重合温度は、通常、室温(約18〜25℃)以上、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、通常250℃以下、好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。重合温度が高すぎると解重合が併発し、重合完結度がかえって低下する。重合温度が低すぎると重合完結度が不十分となる。また、重合雰囲気は、空気もしくは不活性ガス下で実施可能であり、不活性ガスとしては窒素、二酸化炭素、アルゴン等が使用できる。
上記の共重合反応で得られた共重合体であるゲル型ビーズに強酸性イオン交換基を導入する方法は、特に限定されるものでなく、常法に従って行うことができる。強酸性イオン交換基とは、好ましくはスルホン酸基であり、スルホン酸基を導入する(スルホン化)方法は、例えば、有機溶媒の非存在下、あるいは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、プロピレンジクロライド等の有機溶媒の存在下、共重合体であるゲル型ビーズを、硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸等のスルホン化剤と反応させることにより行われる。ここで有機溶媒、スルホン化剤は、いずれも、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この際の反応温度は、通常0〜150℃程度で、スルホン化剤及び使用する有機溶媒に応じて適宜選択される。
強酸性イオン交換基が導入されたゲル型ビーズを、常法に従って、洗浄、単離等により分離することで、強酸性陽イオン交換樹脂を得る。
上記強酸性陽イオン交換樹脂は、固定床反応器に充填される。固定床反応器に直接充填して変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を製造することで、強酸性陽イオン交換樹脂を破損させることがなく、また、下述する変性をバッチ式反応器で行う場合では、反応器や変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒製造槽等からの移送が必要となるが、本発明の方法ではその必要がないため有利である。更に、変性を行った固定床反応器で、ビスフェノール化合物の製造を行えるため、貯蔵および輸送の際の変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の劣化を抑制することも利点である。
固定床反応器としては、その下部に強酸性陽イオン交換樹脂を支持するための多孔質支持板を備え、その上に強酸性陽イオン交換樹脂を充填して樹脂充填層を形成させ、そこに含イオウアミン化合物溶液を上向流又は下向流で通過させて、強酸性陽イオン交換樹脂が固定床反応器外に流出せずに、含イオウアミン化合物溶液のみが流通できるものであれば任意のものを用いることができるが、上向流方向に連続式で流通できるものが好ましい。強酸性陽イオン交換樹脂の上記固定床反応器への充填方法は、任意の方法を用いることができるが、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂をフレコンやケミカルドラムなどの底部に排出口を有する容器に収容させ、場合により水などの液体との混合物として、固定床反応器の底部の液体流出管から、加圧液体ポンプ並びにエジェクターを経由して、加圧液体ポンプによって該容器からの強酸性陽イオン交換樹脂の供給管を該接続口に結合して強酸性陽イオン交換樹脂及び液体からなるスラリーを連続的に供給しても良いし、該容器をクレーンで固定床反応器の上方に吊り上げて、強酸性陽イオン交換樹脂を直接固定床反応器中に流入させても良い。
強酸性陽イオン交換樹脂の充填量は、固定床反応器の容積等によって決定されるが、通常、水湿潤状態で0.01〜2000m3、好ましくは1〜1000m3、より好ましくは10〜800m3、最も好ましくは50〜500m3とすることができる。
上記固定床反応器に充填した強酸性陽イオン交換樹脂は、含イオウアミン化合物を流通させる前に、任意で当該樹脂を水等の溶液で洗浄し、樹脂に含まれる不純物の除去を行う。また、後述する含イオウアミン化合物による変性を酸水溶液の存在下で行う場合には、固定床反応器の強酸性陽イオン交換樹脂に含まれる水を酸水溶液で置換することが望ましい。これは、強酸性陽イオン交換樹脂が通常50〜60重量%程度の水を含有している為
である。酸水溶液での置換を行うことにより、固定床反応器の出口から流出した酸水溶液を循環させてリサイクルする場合に、酸濃度が一定に保たれる。
本発明のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法で用いられる含イオウアミン化合物としては、アミノアルカンチオール、アルキル−アルカンチオール、アルキル−アミノアルカンチオール,ジアルキル−アミノアルカンチオール,チアゾリジン,芳香族メルカプトアミン,メルカプトアルキルアミド,ピリジンアルカンチオール,メルカプトアルキルフェニルピリジン,N−アルキル−N−メルカプトアルキル−メルカプトアルキルアニリン,ジメルカプトアルキルピリジン,メルカプトアルキル−ベンジルアミン,アミノチオフェノール,ピリジンアルキルチオエステル,ピリジンアルキルスルフィド,イミジゾールアルキルチオール,イミジゾールアルキルチオエステル,イミジゾールアルキルスルフィド,フタルイミジンアルキルチオール,フタルイミジンアルキルチオエステル,多硫黄チオアルキルピリジン,多硫黄チオピリジン,多硫黄チオベンゾチアゾール,多硫黄チオイミジゾール,多硫黄チオベンズイミジゾール、およびこれらの混合物;または、1つ以上のチオール及び/またはスルフィド官能基ならびにイオン結合によってカチオン交換樹脂に付着するのに好適な塩基性官能基を含有する他の化合物が挙げられる。1つ以上のチオールおよび/またはスルフィド官能基の例としては、官能基R−S−RやR−SH等が挙げられる。
より具体的な含イオウアミン化合物は、アミノアルカンチオールの例としては、アミノエタンチオール、アミノプロパンチオール、アミノブタンチオール、アミノペンタンチオール、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
ピリジルアルカンチオールの例としては、4−ピリジルメタンチオール、3−ピリジルメタンチオール、2−(4−ピリジル)エタンチオール、2−(2−ピリジル)エタンチオール、2−(3−ピリジル)エタンチオール、3−(4−ピリジル)プロパンチオール、3−(3−ピリジル)プロパンチオール、3−(4−ピリジル)プロパンチオール、4−(4−ピリジル)ブタンチオール、4−(3−ピリジル)ブタンチオール、4−(2−ピリジル)ブタンチオールおよびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
チアゾリジンの例としては、2,2−ジメチルチアゾリジン、2−メチル−2−フェニルチアゾリジン、3−メチルチアゾリジン、2−メチル−2−エチルチアゾリジン、2,2−(ペンタメチレン)チアゾリジン、2−メチル−2−ドデシルチアゾリジン、2−メチル−2−カルブエトキシメチルチアゾリジン、2,2,4,5−テトラメチルチアゾリジン、2,2,3−トリメチルチアゾリジン、2,2−ジメチル−3−オクチルチアゾリジン、2−メチル−2−エチル−3−アミノエチルチアゾリジン、2−シクロヘシルチアゾリジン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
アミノチオフェノールの例としては、1,4−アミノチオフェノールおよびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
アルキルアミノアルカンチオールの例としては、プロピルアミノプロパンチオール、プロピルアミノブタンチオール、プロピルアミノエタンチオール、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
ジアルキルアミノアルカンチオールの例としては、ジメチルアミノエタンチオール、エチルシクロヘキシルアミノブタンチオール、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。メルカプトアルキルアミドの例としては、n−(2−メルカプトエチル)プロピオンアミド等が挙げられる。
メルカプトアルキルフェニルピリジンの例としては、2−(4−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、3−(4−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、4−(4−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、2−(3−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、3−(
3−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、4−(3−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、2−(2−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、3−(2−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、4−(2−メルカプトメチルフェニル)ピリジン、2−(4−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、3−(4−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、4−(4−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、2−(3−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、3−(3−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、4−(3−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン,2−(2−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、3−(2−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、4−(2−(2−メルカプトエチル)フェニル)ピリジン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
N−アルキル−n−メルカプトアルキル−メルカプトアルキルアニリンの例としては、n−(2−メルカプトエチル)−4−(2−メルカプトエチル)アニリン、n−(2−メルカプトエチル−n−メチル−4−(2−メルカプトエチル)アニリン、n−エチル−n−(2−メルカプトエチル)−4−(2−メルカプトエチル)アニリン、n−(2−メルカプトプロピル)−4−(2−メルカプトエチル)アニリン、n−(2−メルカプトプロピル)−n−メチル−4−(2−メルカプトエチル)アニリン、n−エチル−n−(2−メルカプトプロピル)−4−(2−メルカプトエチル)アニリン、n−(2−メルカプトエチル)−4−(2−メルカプトプロピル)アニリン、n−(2−メルカプトエチル)−n−メチル−4−(2−メルカプトプロピル)アニリン、n−エチル−n−(2−メルカプトエチル)−4−(2−メルカプトプロピル)アニリン、n−(2−メルカプトプロピル)−4−(2−メルカプトプロピル)アニリン、n−(2−メルカプトプロピル)−n−メチル−4−(2−メルカプトプロピル)アニリン、n−エチル−n−(2−メルカプトプロピル)−4−(2−メルカプトプロピル)アニリン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
ジメルカプトアルキルピリジンの例としては、3,5−ジ−(2−メルカプトエチル)ピリジン、2,5−ジ−(2−メルカプトエチル)ピリジン、2,6−ジ−(2−メルカプトエチル)ピリジン、3,5−ジ−(2−メルカプトプロピル)ピリジン、2,5−ジ−(2−メルカプトプロピル)ピリジン、2,6−ジ−(2−メルカプトプロピル)ピリジン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
ピリジンアルキルチオエステルの例としては、2−(2’−チオアセテートエチル)ピリジン、4−(2’−チオアセテートエチル)ピリジン、ピリジンアルキルスルフィド2−(2’−tert−ブチルチオエチル)ピリジン、4−(2’−tert−ブチルチオエチル)ピリジン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
イミジゾールアルキルチオールの例としては、2−メルカプトエチルベンズイミダゾー
ル等が挙げられる。イミジゾールアルキルチオエステルの例としては、n,s−ジアセチル−2−メルカプトエチルベンズイミダゾール等が挙げられる。フタルイミジンアルキルチオールの例としては、n−(2’−メルカプトエチル)−フタルイミジン等が挙げられる。フタルイミジンアルキルチオエステルの例としては、s−アセチル−n−(2’−メルカプトエチル)−フタルイミジン等が挙げられる。
多硫黄チオアルキルピリジンの例としては、2−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオエチル)ピリジン、4−(6’−tert−ブチルチオヘキシルチオエチル)ピリジン、4−(4’−tert−ブチルチオブチルチオエチル)ピリジン、4−(5’−tert−ブチルチオペンチルチオエチル)ピリジン、4−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオエチル)ピリジン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
多硫黄チオピリジンの例としては、2−(6’−tert−ブチルチオヘキシルチオ)ピリジン、2−(4’−tert−ブチルチオブチルチオ)ピリジン、2−(5’−ter
t−ブチルチオペンチルチオ)ピリジン、2−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオ)ピリジン、4−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオ)ピリジン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
多硫黄チオベンゾチアゾールの例としては、2−(6’−tert−ブチルチオヘキシルチオ)ベンゾチアゾール、2−(5’−tert−ブチルチオペンチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−tert−ブチルチオブチルチオ)ベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオ)ベンゾチアゾール、2−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオ)ベンゾチアゾール、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
多硫黄チオイミジゾールおよびチオベンズイミジゾールの例としては、1−メチル−2−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオ)イミジゾール、2−(6’−tert−ブチルチオヘキシルチオ)ベンズイミジゾール、2−(5’−tert−ブチルチオペンチルチオ)ベンズイミジゾール、2−(4’−tert−ブチルチオブチルチオ)ベンズイミジゾール、2−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオ)ベンズイミジゾール、5−メチル−2−(3’−tert−ブチルチオプロピルチオ)ベンズイミジゾールヒドロクロリド、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。また、これらの含イオウアミン化合物について、チオール部位が保護されていてもよい。例えば、tert−ブチル基のような安定なカルボカチオンを生じる脂肪族保護基で保護したチオエーテル体、アセチル基のようなアシル保護基で保護したチオエステル体、カーボネート保護基で保護したチオカーボネート体、ベンジル保護基で保護したベンジルチオエーテル体、及びケトン又はアルデヒドで保護したジチオアセタール体等が挙げられる。チオール部位の保護基は、硫黄原子を保護することが可能な基であれば特に限定されず、「Green’s Protective Groups in Organic Synthesis,Fourt
h Edition,Wiley(2007)」に記載されている保護基や保護する方法を用いることで保護が可能である。尚、これらのチオール基含有化合物は精製された高純度のものを用いるのが好ましいが、強酸性陽イオン交換樹脂触媒を使用する際に、ビスフェノール化合物生成反応を著しく阻害しない範囲で、ジスルフィド体等の不純物を含んでいてもよい。
これら含イオウアミン化合物において、好ましくは、アミノアルカンチオール、チアゾリジン、ピジリルアルカンチオールであり、より好ましくは、2,2’−ジメチルチアゾリジン、アミノエタンチオール、2−ピリジルエタンチオール、および4−ピリジルエタンチオール、最も好ましくは2−ピリジルエタンチオールを使用することができる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
強酸性陽イオン樹脂に接触させるこれらの含イオウアミン化合物量は、強酸性陽イオン交換樹脂の変性率に応じて決定される。含イオンアミン化合物による強酸性陽イオン交換樹脂の変性率は、通常5〜45%程度、好ましくは8〜35%程度、より好ましくは10〜30%である。この変性率が45%より高すぎると触媒活性が低下し、またこの変性率が5%より低すぎると触媒寿命の短命化、および触媒活性や選択率の低下を招く。ここで、強酸性陽イオン交換樹脂の「変性率」とは、強酸性陽イオン交換樹脂の全強酸性イオン交換基のうち、含イオウアミン化合物により置換されたもののモル比を意味する。
上記含イオウアミン化合物と、固定床反応器に充填された強酸陽イオン交換樹脂との接触方法は、充填された樹脂中に溶媒に溶解した含イオウアミン化合物を流通させることにより接触させる方法が好ましい。溶媒の種類は、含イオウアミン化合物が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、水、またはアルコール、ケトン、エーテル、及びフェノール等の極性の高い有機溶媒が好ましい。より好ましくは水、またはエタノール、エ
タノールなどのアルコール類であり、最も好ましくは水である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法においては、上記強酸性陽イオン交換樹脂をより均一に変性させる目的で、変性を行う際に、酸溶液を存在させることが好ましい。
酸としては、任意の有機酸や無機酸を用いることができる。有機酸としては、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸類、酢酸および蟻酸等が挙げられ、この中でも芳香族スルホン酸類が好ましく、パラトルエン酸がより好ましい。また、強酸性陽イオン交換樹脂の水洗処理で得られる酸性水溶液も好適である。無機酸としては、リン酸、硝酸および硫酸等が挙げられ、この中でもリン酸が好ましい。芳香族スルホン酸やリン酸を用いると、設備の腐食がほとんどないという利点がある。
水溶液中の酸の濃度は、通常0.01〜5重量%であり、好ましくは0.05〜3重量%とすることができる。水溶液中の酸の濃度が、この値を下回る場合には、強酸性陽イオン交換樹脂を均一に変性することが困難になる場合があり、一方で、この値を上回る場合には、酸及び含イオウアミン化合物の使用量が増加し、経済的でない。また、反応器に供給される酸の濃度は、好ましくは含イオウアミン化合物の濃度以上の量を供給することで、より強酸性陽イオン交換樹脂の均一な変性が実現できる。これらの酸水溶液は、含イオウアミン化合物の溶解液に添加して用いることが好ましい。
含イオウアミン化合物と、好ましくは酸水溶液(本明細書では、「含イオウアミン化合物溶液」と称することがある)の充填された強酸性陽イオン交換樹脂への流通方法は、上記固定床反応器へ含イオウアミン化合物溶液を注入することにより行われる。この含イオウアミン化合物溶液を注入する際の線速度は、強酸性陽イオン交換樹脂の粒子径及び粒径の均一係数、含イオウアミン化合物及び酸水溶液中の酸濃度、酸水溶液の粘度等によって異なるが、通常、0.1〜100m/h、好ましくは0.2〜50m/hr、より好ましくは0.5〜20 m/hである。ここで、含イオウアミン化合物溶液の線速度がこの値
を下回る場合、強酸性陽イオン交換樹脂の変性に多大な時間が掛かる。一方で、含イオウアミン化合物溶液の線速度がこの値を上回る場合、強酸性陽イオン交換樹脂に含イオウアミン化合物が均一に変性されない可能性がある。
上記含イオウアミン化合物溶液の注入は、固定床反応器の頂部あるいは底部からのいずれからでもよいが、好ましくは底部より行われ、固定床反応器に対して上向流方向(アップフロー)で流通させ、強酸性陽イオン交換樹脂層を通過して反応器頂部より排出される。強酸性陽イオン交換樹脂を通過して排出された含イオウアミン化合物溶液は、廃棄されてもよいが、廃液量が少量となり、また、含イオウアミン化合物や酸の使用量が少なくなる点から、再び反応器へ循環させることが好ましい。
上記のとおり含イオウアミン化合物溶液と強酸性陽イオン交換樹脂の接触の際の温度は使用する溶媒の沸点を超えない範囲であれば特に限定されないが、通常0〜120℃、好ましくは20〜100 ℃である。温度が120 ℃より高すぎると、強酸性陽イオン交換樹脂が熱分解することによる劣化を促進する原因になり、また温度が0 ℃より低すぎる
と含イオウアミン化合物溶液の融点を下回り、該溶液が固化する恐れがある為である。
また、含イオウアミン化合物溶液と強酸性陽イオン交換樹脂の接触させる時間は、含イオウアミン化合物溶液中の含イオウアミン化合物濃度、酸の濃度や酸の種類、含イオウアミン化合物による強酸性陽イオン交換樹脂の変性率、及びLHSVなどにより決定されるが、通常は0.1〜300時間である。当該時間含イオウアミン化合物溶液を強酸性陽イ
オン交換樹脂中に流通させた後は、これを固定床反応器から排出させ、必要に応じて含イオウアミン化合物溶液の中和処理を行い、活性汚泥設備等で処理を行う。
かくして、含イオウアミン化合物溶液との接触により、強酸性陽イオン交換樹脂の一部の強酸性イオン交換基が含イオウアミン化合物により置換された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒が製造される。
上記の変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の変性率の測定方法としては、滴定によって求めた強酸性陽イオン交換樹脂中の強酸性イオン交換基の量、及び含イオウアミン化合物で変性処理後、残留した強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基の量から、下式に従って求める。
変性率(%)={(強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基量(meq/g))−
(変性処理後残留した強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基量(meq/g))/
{(強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基量(meq/g)}×100
尚、本発明において、変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の強酸性イオン交換基が含イオウアミン化合物によって均一な分布で変性されているどうかを評価する方法として、固定床反応器に充填された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を、2箇所以上の異なる部位から採取し、各々測定した変性率を比較する方法が挙げられる。上記で各々測定した変性率の平均値(本明細書中では、「平均変性率」と称することがある)を算出し、各々測定した変性率が該平均変性率から+/−10%以内、好ましくは+/−5 %以内、さらに好ま
しくは+/−3 %以内であれば、本発明の方法で作成された変性強酸性陽イオン交換樹
脂触媒は、均一に変性されたと判断することができる。
具体的には、固定床反応器に充填された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を、2箇所以
上の異なる部位において変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の変性率を測定する場合、変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の変性率の均一性は、固定床反応器に充填された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の各々測定した変性率と、固定床反応器に充填された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の各々測定した変性率から得られる平均変性率とを比較することにより評価できる。例えば、固定床反応器に充填された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の3つの高さの異なる点での変性率が10%、15%、および20%である場合、これらの3つの異なる点から得られる平均変性率は15%であり、平均変性率からの3つの異なる点での変性率間の差は、−5%、0%、および+5%である。よって、3つの異なる点での変性率は、全て、平均変性率の+/−5%以内であり、均一に変性されたと判断することができる。
上記で製造された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を用いたビスフェノール化合物の製造方法としては、変性を行った固定床反応器においてフェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応を行う。ここに示すビスフェノールAの製造方法は、基本的には従来の製造方法と同様に、酸触媒の存在下に過剰量のフェノールとアセトンとを縮合反応させる反応工程(A)、得られた反応混合物から低沸点成分を分離して濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する濃縮工程(B)、得られた晶析原料からビスフェノールAとフェノールとの付加物であるアダクト結晶を含むスラリーを形成した後にビスフェノールAとフェノールとの付加物と母液とに分離する晶析−固液分離工程(C)、得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物からフェノールを分離してビスフェノールAを回収するフェノール除去工程(D)、及び母液精製工程(E)を包含する。本実施形態ではさらに、異性化工程(F)、母液濃縮工程(G)、回収・晶析−固液分離工程(H)を有していてもよい。
<反応工程(A)>
この工程においては、酸触媒の存在下に過剰量のフェノールとアセトンとを接触させて
、縮合反応させる。原料のフェノールとアセトンとは、化学量論的にフェノール過剰で反応させられる。フェノールとアセトンとの供給モル比(フェノール/アセトン)は、通常3〜30、好ましくは、5〜20である。反応温度は、通常50〜100℃、反応圧力は、通常、常圧〜600kPa(絶対圧力)である。反応器に供給する原料混合物の液空間速度は、通常0.2/h〜50/hである。
原料のアセトンとしては、工業的に入手可能なものであれば特に制限されずに使用することができる。例えば、新たに系外から供給される精製アセトン、後述する濃縮工程(B)で分離された未反応アセトンを更にアセトン循環工程で処理して得られるアセトン、それらの混合物などを使用することができる。また、反応に使用するアセトンにメタノール等のアルコール類が含まれていると、触媒の活性低下を招く場合があるので、これらのアルコール類を除去した後に使用するのが好ましい。
原料のフェノールは、市販のものをそのまま使用してもよいが、酸性イオン交換樹脂のような酸性触媒と接触させて、製品フェノール中に含まれている不純物を重質化させ、更に、蒸留により重質分を分離・除去して精製したフェノールを使用するのが好ましい。さらに、上記フェノールは後述する晶析−固液分離工程(C)に供給することも好ましい。
<濃縮工程(B)>
この工程においては、上記の工程で得られた反応混合物から低沸点成分を分離して濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する。ここで言う低沸点成分とは、フェノールよりも低沸点の成分であり、例えば、未反応のアセトン、副生する水、不純物として含まれるアルコール、イソプロピルフェノールなどが挙げられる。低沸点成分の分離方法としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、蒸留塔を使用し、反応工程において得られた反応混合物を蒸留し、塔頂から低沸点成分を分離する方法が挙げられる。塔底液はビスフェノールA及びフェノールを含む液体成分である。上記蒸留塔は1基または複数基の公知のものが使用できるが、1基で分離を行うのが好ましい。蒸留を常圧で行う場合はフェノールの沸点以下で行うが、好ましくは減圧蒸留により行われる。減圧蒸留は、通常、温度50℃〜150℃、圧力50mmHg〜300mmHgで行われる。反応混合物中に含まれる未反応フェノールの一部が低沸点成分と共に塔頂から抜き出されてもよい。また、所望により、追加の蒸留塔を使用してフェノール類を除去したり、あるいは、フェノールを追加することによってビスフェノールAの濃度を調節してもよい。これらの処理によって得られた晶析原料は、次工程に供給される。
<晶析−固液分離工程(C)>
この工程においては、上記の工程で得られた晶析原料から、付加物を含むスラリー、すなわちビスフェノールAとフェノールとの付加物であるアダクト結晶(以下、「アダクト結晶」と称することがある)を含むスラリーを形成した後に付加物と母液とに分離する。晶析装置としては、通常、連続晶析装置が使用される。連続晶析装置としては、ジャケットや内部コイルによる冷却方式の晶析装置、外部循環冷却式晶析装置、蒸発冷却式晶析装置などが知られており、特に制限はないが、外部循環冷却式晶析装置とジャケット式晶析装置とが好適に使用される。外部循環冷却式晶析装置は、晶析槽とその外部に配置された冷却器とを配管、バルブ等から成る循環路で形成されて成り、冷却器としては、多管式冷却器が好適に使用される。また、微結晶を溶解するための溶解槽または加熱器を具備することが好ましい。ジャケット式晶析装置は、晶析を行う容器の周囲にジャケットを有し、当該ジャケット内に冷媒を通し、当該容器の壁面を介して冷却するタイプである。容器内に攪拌翼やバッフルを具備し、内液が良好に攪拌できるものが好ましい。また、何れのタイプも、混合性の向上のため、内部にドラフトチューブを具備するのが好ましい。
結晶の形状やサイズを制御するため、分級装置を装置内に具備するか外部に併設してもよい。分級装置としては、結晶の形状やサイズによる結晶の沈降速度の差を利用したもの
、溶解速度の差を利用したもの等が挙げられる。また、必要に応じ、晶析操作の途中で加熱を行ったり、あるいは、結晶の溶解操作を行うことも出来る。このような場合は、冷媒に代えて熱媒を使用する。
固液分離装置としては、例えば遠心分離機が用いられる。すなわち、晶析原料からアダクト結晶を含むスラリーを調整して、これを上記遠心分離機を用いてアダクト結晶と母液とに分離する。固液分離においては、アダクト結晶の純度の向上と脱液性能の向上のため、フェノール含有液によりアダクト結晶の洗浄を行うことが好ましい。本固液分離工程によって得られた母液は、反応工程(A)の反応器へ循環させることが好ましい。
その他、固液分離装置としては、例えば、水平ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター、ロータリープレッシャーフィルター、遠心沈降分離器、それらのハイブリッド型の遠心分離器(スクリーンボールデカンタ)などであってもよい。
<フェノール除去工程(D)>
この工程においては、上記の工程で得られたアダクト結晶からフェノールを分離してビスフェノールAを回収する。フェノール除去工程(D)では、通常、100℃〜200℃にアダクト結晶を加熱溶融し、得られた溶融液から、例えば、蒸留装置、薄膜蒸発器、フラッシュ蒸発器などを使用することにより、大部分のフェノールを除去する方法が採用される。また、溶融液中に残存している微量のフェノールを除去するために、上記の操作を行った後、更に、スチームストリッピング等により残存フェノールを除去し、ビスフェノールAを精製する方法も採用される。この方法は、例えば、特開昭63−132850号公報、特開平2−28126号公報などに記載されている。
上記のようにして得られた高純度で溶融状態のビスフェノールAは、造粒塔やフレーカーに送られ、固体のプリルやフレークとなって製品ビスフェノールAとなる。例えば、造粒塔を使用する場合、溶融ビスフェノールAは、造粒塔の塔頂に送液され、塔頂に設置されたノズルプレートに設けられた多数の孔より噴霧される。噴霧された溶融液は、造粒塔の塔底から上昇する循環ガスにより冷却され、塔底よりプリルと呼ばれる粒子状の固体として抜き出され、製品ビスフェノールAとなる。また、得られたビスフェノールAを、溶融法によるポリカーポネート樹脂の製造に供する場合のように、固体にせずに溶融状態のまま次工程に移送することもできる。
<母液精製工程(E)>
この工程においては、晶析−固液分離工程(C)で得られた母液の少なくとも一部もしくは全量、又は晶析−固液分離工程(C)で得られた母液の一部もしくは全量から特開2009−242316号公報に記載の方法等により不純物を有用成分に変換して回収し、残りの母液から重質の不純物を除去し、精製液を得る。この方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜に採用することができる。
母液精製工程(E)は、アルカリ性物質の存在下に回収母液を加熱してビスフェノールA及び異性体をフェノールとイソプロペニルフェノールに分解するアルカリ分解工程と、フェノールとイソプロペニルフェノールとをスルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂と接触させることにより再結合させてビスフェノールAを生成させる再結合反応工程とから成ることが好ましい。また、アルカリ分解工程の前処理として濃縮処理を行うのが好ましい。
<異性化工程(F)など>
製造するビスフェノール化合物が、ビスフェノールAである場合、上記の晶析−固液分離工程(C)で分離・分割された母液中に含まれるの一部を回収し、酸触媒と接触させて
、母液中の2,4′−体をビスフェノールA(4,4′−体)に変換することも好ましく行われる。また、異性化反応液からフェノールを分離して濃縮された回収晶析原料を調製する母液濃縮工程(G)、回収晶析原料から付加物を含むスラリーを形成した後に付加物と回収母液とに分離する回収・晶析−固液分離工程(H)を含んでいてもよい。上記工程を行うことにより、ビスフェノールA4,4′体の回収率が高まるので、工業的には好ましい。これらの工程は、例えば、特開2009―242316号公報に記載の方法などにより行うことができる。
以下、本発明の内容を実施例により説明する。但し、本発明は以下の実施例によりなんら限定されるものではない。
[実施例1](1)変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の製造
強酸性陽イオン交換樹脂触媒の製造は、図−1に示した装置を用いて行った。ここで、反応器1としては、内径10mm、長さ500mmからなる円筒容器であり、反応器頂部、および床部にフィルター(孔径:100μm)を配設したものを用いた。
反応器1に、粒径の均一係数が1.03である水湿潤状態の強酸性陽イオン交換樹脂(交換容量:1.25meq/g、平均粒径:526μm、見掛け密度:0.75g/ml)20mlを充填し、強酸性陽イオン交換樹脂層2を形成した。このときの強酸性陽イオン交換樹脂層2の層高は26.6cmで、強酸性陽イオン交換樹脂の量は、20.64gであった。
次に、0.1重量 %のp−トルエンスルホン酸水溶液100 mlを、受器3から反応器1に対して上向流方向に3.0ml/分の流速で流通させ、反応器1内、及びライン5及び6内を十分に上記p−トルエンスルホン酸水溶液で置換した。このときの強酸性陽イオン交換樹脂層2の層高は29.8cmであった。
さらに、0.1重量 %のp−トルエンスルホン酸水溶液100 mlに、2−アミノエタンチオール(純度98.0%)0.29 g(全量が強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性
イオン交換基と置換すると、変性率が15%となる量)を溶解させた調製液を、受器3から反応器1に対して上向流方向に3.0 ml/分の流速で流通させた。上記の、2−ア
ミノエタンチオールの添加量は以下の式で求めた。
2−アミノエタンチオール添加量(g)=強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基量(meq/g)
/1000×強酸性陽イオン交換樹脂の重量(g)×2−アミノエタンチオール分子量(g/mol)×15%
/2−アミノエタンチオール純度(%)
反応器1頂部から排出された液は受器4に集められ、受器3を経由して再び反応器1底部より流通させた。この操作を3回繰り返して強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基の一部が2−アミノエタンチオールで変性された変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を得た。流通停止後、前記変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を反応器1頂部から順に均等に5つの層(反応器上部から1、2、3、4層、最下層を5層とする)に分けて抜き出し、それぞれ脱塩水で洗浄してから各層の変性率、および平均変性率からの差を求めた。結果を表1に示す。なお、変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒の変性率、平均変性率、および平均変性率からの差は以下の式によって求めた。
変性率(%)={(強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基量(meq/g))−
(変性処理後残留した強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基量(meq/g))/
{(強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基量(meq/g)}×100
平均変性率(%)=(1〜5層で各々測定された変性率の和(%))/5
平均変性率からの差(%)=(平均変性率(%))−(1〜5層で各々測定された変
性率(%))
表1より明らかなように、粒径の均一係数が1.03である強酸性陽イオン交換樹脂を用いた場合には、上記反応器(1)中の部位のいずれにおいても、2−アミノエタンチオールによる変性が均一に行われていることがわかった。
(2)ビスフェノール化合物の製造
温度計、冷却管を備えた四つ口フラスコに、上記の操作によって得られた1〜5層の水膨潤状態の変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒についてそれぞれ0.6gずつ秤り入れ(合計:3.0 g)、60℃の溶融フェノール約50mlを添加し、窒素を導入して攪拌洗
浄後、デカンテーションしたフェノールの含水率が0.1重量%以下になるまで上記の攪拌及びデカンテーションを繰り返した。次いで、上記試験管にフェノール15.0g(159.4mmol)を加え、窒素と約5℃の冷却水の流通を開始した後、300rpmの攪拌下、温度を70℃に保ちながら、アセトン0.71g(12.2mol)を加えて反応を開始した。反応開始後、所定時間毎に反応液を採取し、以下に示す条件でガスクロマトグラフィー分析を行い、アセトン転化率を求めた結果を表2に示す。
(ガスクロマトグラフィー)
装置:島津製作所製「GC−2014」
カラム:アジレントテクノロジー製「HP−Ultra2」(25m×0.32mm×0.52μm)
検出器:FID
キャリアーガス:ヘリウム
(計算方法)
アセトン転化率(%)=100−(未反応分のアセトンのmol数/添加したアセトンのmol数×100)
[比較例1]
原料として用いる強酸性陽イオン交換樹脂の粒径の均一係数が1.38(交換容量:1.23meq/g、平均粒径:730μm、比重:0.73g/ml)を用いた以外は実施例1と同様に変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を製造し、同様に反応器上部から1、2、3、4層、最下層を5層として、抜き出し、それぞれ脱塩水で洗浄してから各層の変性率、および平均変性率からの差を求めた。結果を表1に示す。表1より明らかなように、粒径の均一係数が1.03である強酸性陽イオン交換樹脂より、粒径の均一係数が1.38である強酸性陽イオン交換樹脂を用いた場合には、2−アミノエタンチオールによる変性処理は、その樹脂が反応器中で存在する部位により、変性率に大きな差が見られることがわかった。
上記操作によって得られた変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を各層0.6gずつ(合計:3.0g)触媒として用いた以外は、実施例1(2)に記載の内容と同様の操作を行い、アセトン転化率を求めた。
結果を表2に示す。表2から明らかなように、2−アミノエタンチオールによる変性が均一に行われている変性強酸性陽イオン交換樹脂を触媒として用いる(実施例1)と、変性が不均一に行われたものを用いた場合(比較例1)に比べて、触媒活性(アセトン転化率)が高いことがわかった。
[実施例2]
助触媒(変性剤)を2−ピリジルエタンチオール0.54g(全量が強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基と置換すると、変性率が15%となる量)とした以外は、実施例1と同様に変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を製造し、同様に反応器上部から1、2、3、4層、最下層を5層として、抜き出し、それぞれ脱塩水で洗浄してから各層の変性率、および平均変性率からの差を求めた。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、粒径の均一係数が1.03である強酸性陽イオン交換樹脂を用いた場合には、2−ピリジルエタンチオールによる変性は、その樹脂が反応器中で存在する部位のいずれにおいても均一に行われていることがわかった。
上記の操作によって得られた変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を各層0.6gずつ(合計:3.0g)触媒として使用した以外は、実施例1(2)に記載の内容と同様の操作を行い、アセトン転化率を求めた結果を表2に示す。表2から明らかなように、2−ピリジルエタンチオールによる変性が均一に行われている変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を用いると、変性が不均一に行われたものを用いた場合に比べて、触媒活性(アセトン転化率)が高いことがわかった。
[比較例2]
助触媒(変性剤)を2−ピリジルエタンチオール0.54g(全量が強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基と置換すると、変性率が15%となる量)とした以外は、比較例1と同様に変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を製造し、同様に反応器上部から1、2、3、4層、最下層を5層として、抜き出し、それぞれ脱塩水で洗浄してから各層の変性率を求めた。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、粒径の均一係数が1.03である強酸性陽イオン交換樹脂より、粒径の均一係数が1.38である強酸性陽イオン交換樹脂を用いた場合には、2−ピリジルエタンチオールによる変性処理は、その樹脂が反応器中で存在する部位により、変性率に大きな差が見られることがわかった。
上記操作によって得られた変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を各層0.6gずつ(合計:3.0g)触媒として用いた以外は、実施例1(2)に記載の内容と同様の操作を行い、アセトン転化率を求めた。
結果を表2に示す。表2から明らかなように、2−ピリジルエタンチオールによる変性が均一に行われている変性強酸性陽イオン交換樹脂触媒を用いる(実施例2)と、変性が不均一に行われたのを用いた場合(比較例2)に比べて、触媒活性(アセトン転化率)が高いことがわかった。
Figure 2013202458
Figure 2013202458
1.固定床反応器
2.強酸性陽イオン交換樹脂層
3.受器
4.受器

Claims (6)

  1. 固定床反応器に充填された強酸性陽イオン交換樹脂に、含イオウアミン化合物を接触させて、前記強酸性陽イオン交換樹脂を部分的に変性することによるビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法であって、強酸性陽イオン交換樹脂が、その粒径の均一係数が1.0〜1.3であることを特徴とするビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  2. 強酸性イオン交換樹脂に含イオウアミン化合物を接触させる方法が、含イオウアミン化合物水溶液を、強酸性イオン交換樹脂を充填した固定床反応器を上向流方向に流通させるものであることを特徴とする請求項1に記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  3. 強酸性イオン交換樹脂に含イオウアミン化合物を接触させる方法が、含イオウアミン化合物水溶液を、酸水溶液とともに強酸性イオン交換樹脂を充填した固定床反応器に流通させるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  4. 含イオウアミン化合物が、2−ピリジルエタンチオールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  5. 前記ビスフェノール化合物製造用触媒が、強酸性イオン交換樹脂の変性率が5〜40%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
  6. 強酸性イオン交換樹脂が、その粒径が30〜600μmのものが50%以上を占めるも
    のであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のビスフェノール化合物製造用触媒の製造方法。
JP2012072131A 2012-03-27 2012-03-27 ビスフェノール化合物の製造方法 Pending JP2013202458A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012072131A JP2013202458A (ja) 2012-03-27 2012-03-27 ビスフェノール化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012072131A JP2013202458A (ja) 2012-03-27 2012-03-27 ビスフェノール化合物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013202458A true JP2013202458A (ja) 2013-10-07

Family

ID=49522167

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012072131A Pending JP2013202458A (ja) 2012-03-27 2012-03-27 ビスフェノール化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013202458A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016534058A (ja) * 2013-10-23 2016-11-04 バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト ハロゲンケトン類を製造する方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010528859A (ja) * 2007-06-14 2010-08-26 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド ビスフェノール製造用の触媒の製造
JP2010247010A (ja) * 2009-04-10 2010-11-04 Mitsubishi Chemicals Corp ビスフェノール化合物製造用強酸性イオン交換樹脂触媒及び、それを用いたビスフェノール化合物の製造方法
WO2011055819A1 (ja) * 2009-11-06 2011-05-12 三菱化学株式会社 ビスフェノール化合物製造用触媒及びビスフェノール化合物の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010528859A (ja) * 2007-06-14 2010-08-26 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド ビスフェノール製造用の触媒の製造
JP2010247010A (ja) * 2009-04-10 2010-11-04 Mitsubishi Chemicals Corp ビスフェノール化合物製造用強酸性イオン交換樹脂触媒及び、それを用いたビスフェノール化合物の製造方法
WO2011055819A1 (ja) * 2009-11-06 2011-05-12 三菱化学株式会社 ビスフェノール化合物製造用触媒及びビスフェノール化合物の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016534058A (ja) * 2013-10-23 2016-11-04 バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト ハロゲンケトン類を製造する方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4022399B2 (ja) 高生産性ビスフェノール‐a触媒
JP3742440B2 (ja) 高純度ビスフェノール類を製造する方法
WO2010084929A1 (ja) ビスフェノール化合物の製造方法
CN102309989B (zh) 混合床聚合物催化剂
EP0486277B1 (en) Process for catalyzing condensation reactions
JP6184696B2 (ja) ビスフェノール化合物の製造方法
JP2013202458A (ja) ビスフェノール化合物の製造方法
WO2011055819A1 (ja) ビスフェノール化合物製造用触媒及びビスフェノール化合物の製造方法
US20120004466A1 (en) Method for Preparing a Ketone
JP5332846B2 (ja) ビスフェノール化合物製造用強酸性イオン交換樹脂触媒及び、それを用いたビスフェノール化合物の製造方法
JP2008273951A (ja) ビスフェノール化合物の製造方法、及び陽イオン交換樹脂触媒
JP5668562B2 (ja) ビスフェノールaの製造方法
JP5810405B2 (ja) ビスフェノール化合物の製造方法
WO2005026237A1 (ja) ビスフェノールaの製造方法
JP5363532B2 (ja) 多反応二官能性ポリマー系触媒
JP5471392B2 (ja) ピリジルエタンチオール化合物の製造方法
JP6219885B2 (ja) 触媒を調製するためのプロセス
JP2009263309A (ja) 縮合反応方法
JP2011115758A (ja) 酸性触媒の製造方法
JP2022022811A (ja) ビスフェノール化合物の製造方法
JP2011121898A (ja) ピリジルエタンチオール化合物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141016

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150519

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20151020