JP2010188665A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、処理液を付与せずに滲みの発生を抑制することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置100は、水を含む導電性インクIを吐出するノズル21aを有する記録ヘッド20と、ノズル21aとの間に導電性インクIからなる液柱のブリッジを一時的に形成することによりインク画像I'を形成することが可能な導電層12を有する中間転写ドラム10と、導電性インクIと導電層12との間に、液柱のブリッジに含まれる水が電気分解することが可能な電位を印加する電源30と、中間転写体10に形成されたインク画像I'を記録紙に転写する転写ローラ40とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
インクジェット記録方式としては、ピエゾ方式に代表される可動アクチュエータ方式、サーマル方式に代表される加熱膜沸騰方式等が挙げられるが、いずれの方式も、画像情報に応じて、ノズルからインクを吐出することにより、記録媒体にインク画像を形成する。インクジェット記録方式は、電子写真記録方式と比較して構成が簡易であることから、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像形成装置に適用されている。
このような画像形成装置は、作像エンジンの主要部分が記録ヘッド、インク及び記録紙から構成され、記録ヘッドに近接された領域で記録紙が搬送されるため、紙粉、埃等がノズルに付着しやすい。その結果、ノズルから吐出される液滴の飛翔方向が乱れたり、ノズルが閉塞したりして、画像品質や信頼性が低下する。また、ノズルからの吐出性を優先して、粘度が小さいインクを使用するのが一般的であるが、記録紙に着弾する際にインクの滲みが発生しやすい。
そこで、記録ヘッドからインクを吐出して中間転写体にインク画像を形成した後、記録媒体に転写する方法が知られている。
特許文献1には、インクをpH変化させるための処理液を中間転写体に付与する処理液付与部と、処理液上にインクを付与するインク付与部と、中間転写体上に形成された画像を記録媒体に転写する転写部とを備える画像形成装置が開示されている。このとき、インクは、少なくとも顔料及びポリマー微粒子が水及び水溶性溶媒からなる媒体に分散されており、顔料及びポリマー微粒子は、pHを変化させることにより凝集する。しかしながら、インクに含まれる顔料を凝集させるために処理液を付与しなければならないという問題がある。このため、処理液を付与する装置を設ける必要があり、印刷速度が低下する。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑み、処理液を付与せずに滲みの発生を抑制することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、水を含む導電性インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記ノズルとの間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成することによりインク画像を形成することが可能な導電性の表面を有する中間転写体と、前記導電性インクと前記導電性の表面との間に、前記液柱のブリッジに含まれる水が電気分解することが可能な電位を印加する電位印加手段と、前記中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する転写手段とを有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記導電性の表面は、導電剤が分散されているゴム又は金属を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、表面にゴム層が形成されている中間転写体をさらに有し、前記転写手段は、前記中間転写体に形成されたインク画像を前記表面にゴム層が形成されている中間転写体に一次転写した後、該中間転写体に一次転写されたインク画像を記録媒体に二次転写することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、画像形成方法において、水を含む導電性インクを記録ヘッドのノズルから吐出して、中間転写体にインク画像を形成する工程と、該中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する工程とを有し、前記中間転写体は、導電性の表面を有し、前記導電性インクと前記導電性の表面との間に電位が印加されている状態で、前記ノズルと前記中間転写体の間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成すると共に、前記液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することにより、前記中間転写体にインク画像を形成することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成方法において、前記導電性インクは、顔料がアニオン性分散剤により分散されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成方法において、前記導電性の表面の近傍で、前記液柱のブリッジに含まれる水を酸化してプロトンを生成させることにより、前記顔料を凝集させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成方法において、前記導電性の表面は、金属であり、前記導電性の表面の近傍で、前記金属を酸化して金属イオンを生成させることにより、前記顔料を凝集させることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の画像形成方法において、前記中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する工程は、前記中間転写体に形成されたインク画像を、表面にゴム層が形成されている中間転写体に一次転写する工程と、該中間転写体に一次転写されたインク画像を記録媒体に二次転写する工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、処理液を付与せずに滲みの発生を抑制することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
本発明の画像形成装置の一例を示す図である。 アニオン性分散剤により分散された顔料がプロトンを介して凝集した状態を示す図である。 正に帯電したインク画像が形成されるメカニズムを示す図である。 カソード及びアノードの間に形成される液柱のブリッジを示す模式図である。 アニオン性分散剤により分散された顔料がプロトン及び金属カチオンを介して凝集した状態を示す図である。 実施例1の画像形成装置を示す図である。 真円率を説明する図である。 実施例1の電源の電圧に対するpHの関係を示す図である。 実施例1の電源の電圧に対するブラックの顔料を含有する領域の真円率の関係を示す図である。 実施例2の電源の電圧に対するpHの関係を示す図である。 実施例2の電源の電圧に対するブラックの顔料を含有する領域の真円率の関係を示す図である。 実施例3の画像形成装置を示す図である。 実施例5の画像形成装置を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
図1に、本発明の画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100は、中間転写ドラム10の周囲に、導電性インクIを吐出して中間転写ドラム10にインク画像I'を形成する記録ヘッド20、電源30、中間転写ドラム10に形成されたインク画像I'を記録紙(不図示)に転写する転写ローラ40及びインク画像I'を転写した中間転写ドラム10をクリーニングするクリーニングブレード50が設けられている。
中間転写ドラム10は、導電性基体11上に導電層12が形成されており、駆動手段(不図示)により、回転駆動される。導電性基体11としては、特に限定されないが、アルミニウム、アルミ合金、銅、ステンレス等の金属が挙げられる。また、導電層12は、ゴム中に導電剤が分散されている。導電層12の体積抵抗率は、導電性インクIの体積抵抗率よりも小さく、1×10Ω・cm未満であることが好ましい。導電剤としては、特に限定されないが、腐食しにくいことから、カーボン、白金、金等が好ましい。また、ゴムとしては、特に限定されないが、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。なお、中間転写ドラム10の代わりに、導電層12が形成されていない導電性基体11を中間転写ドラムとして用いてもよい。また、中間転写ドラム10の代わりに、無端ベルトを用いてもよい。
記録ヘッド20は、固定式のフルライン型であり、複数のノズル21aが形成されているノズル板21、各ノズル21aに対応したインク室22及びインク吐出手段(不図示)等を有する。このとき、ノズル板21は、導電性を有し、インク室22には、インク供給手段(不図示)を用いて導電性インクIが充填されている。インク吐出手段としては、圧電素子が用いられており、圧電素子に印加される電圧パルスに応じて、ノズル21aから導電性インクIが吐出される。なお、導電性のノズル板21を用いる代わりに、導電性インクIと接触する内面のみが導電処理されているノズル板を用いてもよいし、絶縁性のノズル板を用いると共に、導電性インクIと電気的に接続されている導電性部材を設けてもよい。また、インク吐出手段としては、特に限定されず、圧電素子以外の形状変形素子方式を用いてもよいし、加熱ヒータ方式等の他の方式を用いてもよい。さらに、記録ヘッド20は、中間転写ドラム10の表面が移動する方向に対して垂直な方向(主走査方向)を移動するシャトル型であってもよい。
導電性インクIは、アニオン性分散剤により顔料が水中に分散されている。
顔料としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のオレンジ又はイエロー用の顔料;C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等のレッド又はマゼンタ用の顔料;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等のグリーン又はシアン用の顔料;C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等のブラック用の顔料が挙げられる。
導電性インクI中の顔料の含有量は、通常、0.1〜40質量%であり、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。
アニオン性分散剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
導電性インクIは、転写性の点から、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等が塩基を用いて中和されたアニオン性基を有する樹脂をさらに含むことが好ましい。
導電性インクIは、水に可溶な溶媒をさらに含んでもよい。水に可溶な溶媒としては、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール誘導体;ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒;エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒;炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の炭酸アルキレンが挙げられ、二種以上併用してもよい。
導電性インクIは、保存安定性の点から、アルカリ性であることが好ましい。
電源30は、ノズル板21及び導電性基体11の間に接続されており、導電性インクIと導電層12の間に所定の電位を印加する。なお、電源30の電圧は、電圧変更手段(不図示)を用いて変更することができる。このため、ノズル21aと導電層12の間に、導電性インクIからなる液柱のブリッジを一時的に形成することにより、液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することができる。その結果、中間転写ドラム10にインク画像I'を形成することができる。このとき、アノードとして機能する導電層12の表面で、液柱のブリッジに含まれる水が酸化してプロトン(H)が生成するため、図2に示すように、アニオン性分散剤Dにより分散されている顔料Pを、プロトンを介して凝集させることができる。これにより、隣接するドット間の滲みの発生を抑制することができ、高精細な画像を形成することができる。
中間転写ドラム10の導電層12と、記録ヘッド20のノズル板21のギャップは50〜200μmであることが好ましい。ギャップが50μm未満であると、回転する中間転写ドラム10の導電層12と、ノズル板21のギャップを維持することが困難になることがあり、200μmを超えると、液柱のブリッジを形成しにくくなることがある。なお、液柱のブリッジを形成する時間は、圧電素子に印加される電圧パルスのピーク電圧とパルス幅等により制御することができる。
転写ローラ40は、回転することができ、中間転写ドラム10との間に搬送された記録紙(不図示)に、インク画像I'を転写する。なお、転写ローラ40は、ヒータを内蔵していてもよい。
クリーニングブレード50は、インク画像I'を記録紙に転写した後の中間転写ドラム10をクリーニングする。このとき、クリーニングブレード50の代わりに、又は、クリーニングブレード50と共に、クリーニングローラを設けてもよい。
なお、記録紙に転写されたインク画像I'を定着させるために、定着ローラをさらに設けてもよい。
図3に、インク画像I'が形成されるメカニズムを示す。まず、ノズル21aには、インク室22に充填された導電性インクIのメニスカスが形成されており、電源30には、所定の電圧が印加されている(図3(a)参照)。次に、圧電素子に電圧パルスが印加されることにより、導電性インクIがノズル21aから吐出され、ノズル21aと導電層12の間に、導電性インクIからなる液柱のブリッジが一時的に形成される(図3(b)参照)。このとき、ノズル板21及び導電層12は、それぞれカソード及びアノードとして機能する。さらに、液柱のブリッジが分断されて、中間転写ドラム10にインク画像I'が形成される(図3(c)参照)。
ここで、図4を用いて、カソード及びアノードの間に形成される液柱のブリッジについて説明する。液柱のブリッジBの内部では、カチオン及びアニオンは、それぞれカソードC及びアノードAの近傍に移動する。その結果、カソードC及びアノードAの表面に、それぞれ電気二重層E及びEが形成されるが、電気二重層E及びEの充電速度は、液柱のブリッジBの導電率、導電性インクIに含まれるイオンの濃度でほぼ決定される。このとき、電気二重層Eの電圧が数Vに達すると、水が電気分解してファラデー電流が流れる。その結果、アノードAの表面では、水が酸化してプロトンが生成し、アニオン性分散剤により分散されている顔料が凝集する。一方、電気二重層Eの容量CECは、電気二重層Eの容量CEAよりも十分に大きいため、カソードCの表面では、水が還元しにくい。これは、カソードCとしての導電性インクIが接触するノズル板21の面積は、アノードAとしての液柱が接触する導電層12の面積よりも十分に大きいためである。なお、顔料の凝集の度合いは、プロトンの生成量、即ち、液柱のブリッジを形成する時間、電源30に印加する電圧等により制御することができる。また、水が酸化してプロトンが生成する際に、酸素も発生するが、微量であることに加え、水に溶解すると考えられるため、画像形成を阻害しない。
液柱のブリッジBが形成されてから分断されるまでの時間は、通常、数マイクロ秒〜数十マイクロ秒であり、導電性インクIの導電率は、通常、数十mS/m〜数百mS/mである。このため、中間転写ドラム10にインク画像I'を形成するためには、電源30に印加する電圧は、一般的な水の電気分解の条件である数V〜十数Vでは不十分であり、数十V〜数百Vであることが好ましい。
なお、中間転写ドラム10の代わりに、導電層12が形成されていない導電性基体11を中間転写ドラムとして用いる場合は、アノードとして機能する導電性基体11の表面で、水と共に、金属を酸化させることができる。その結果、プロトンと共に、顔料を凝集させる効果に優れる金属カチオンが生成するため、図5に示すように、プロトン及び金属カチオン(Mn+)を介して、アニオン性分散剤Dにより分散されている顔料Pを凝集させることができる。
この場合、導電性基体11と転写ローラ40の間に、基体上にゴム層が形成されている中間転写ドラムがさらに設けられていることが好ましい。これにより、導電性基体11に形成されたインク画像I'を中間転写ドラムに転写した後、中間転写ドラムに転写されたインク画像I'を記録紙に転写することができるため、転写性を向上させることができる。基体を構成する材料としては、特に限定されないが、アルミニウム、アルミ合金、銅、ステンレス等の金属が挙げられる。ゴム層を構成する材料としては、特に限定されないが、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。
また、アニオン性分散剤により分散されている顔料を、アノードとして機能する導電層12の表面で生成したプロトンを介して、凝集させる代わりに、カチオン性分散剤により分散されている顔料を、カソードとして機能する導電層12の表面で生成した水酸化物イオンを介して、凝集させてもよい。
[ブラックの導電性インクの調製]
固形分が20質量%のスルホン酸基結合型カーボンブラック顔料分散液CAB−O−JET−200(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製)35.0質量%、2−ピロリドン10.0質量%、グリセリン14.0質量%、プロピレングリコールモノブチルエーテル0.9質量%、デヒドロ酢酸ソーダ0.1質量%及び蒸留水(残余)からなる混合液を得た。次に、水酸化リチウムの5質量%水溶液を用いて、混合液のpHを9.1に調整した後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターを用いて加圧濾過し、ブラックの導電性インクを得た。
[イエローの導電性インクの調製]
固形分が10質量%のスルホン酸基結合型イエロー顔料分散液CAB−O−JET−270Y(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製)40.0質量%、トリエチレングリコール15.0質量%、グリセリン25.0質量%、プロピレングリコールモノブチルエーテル6.0質量%、デヒドロ酢酸ソーダ0.1質量%及び蒸留水(残余)からなる混合液を得た。次に、水酸化リチウムの5質量%水溶液を用いて、混合液のpHを9.1に調整した後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターを用いて加圧濾過し、イエローの導電性インクを得た。
[マゼンタの導電性インク]
固形分が10質量%のスルホン酸基結合型マゼンタ顔料分散液CAB−O−JET−260M(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製)40.0質量%、ジエチレングリコール20.0質量%、プロピレングリコールモノブチルエーテル3.0質量%、デヒドロ酢酸ソーダ0.1質量%及び蒸留水(残余)からなる混合液を得た。次に、水酸化リチウムの5質量%水溶液を用いて、混合液のpHを9.1に調整した後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターを用いて加圧濾過し、マゼンタの導電性インクを得た。
[シアンの導電性インク]
固形分が10質量%のスルホン酸基結合型シアン顔料分散液CAB−O−JET−250C(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製)40.0質量%、エチレングリコール4.0質量%、トリエチレングリコール14.0質量%、プロピレングリコールモノブチルエーテル6.0質量%、デヒドロ酢酸ソーダ0.1質量%及び蒸留水(残余)からなる混合液を得た。次に、水酸化リチウムの5質量%水溶液を用いて、混合液のpHを9.1に調整した後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターを用いて加圧濾過し、シアンの導電性インクを得た。
[実施例1]
イエローの記録ヘッド20Y及びブラックの記録ヘッド20Kが順次設けられている以外は、画像形成装置100と同様の画像形成装置(図6参照)を用意した。なお、図6において、図1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。中間転写ドラム10は、アルミニウム素管(導電性基体11)の外周に、体積抵抗率が5Ω・cm、厚さが0.2mmの、カーボンが分散されているシリコーンゴム層(導電層12)が形成されており、駆動手段(不図示)により、外周の線速が50mm/秒で、図中、反時計周りに回転駆動される。記録ヘッド20Y及び20Kは、それぞれ金属製のノズル板21Y及び21Kを有するインクジェットプリンタGX5000(リコー社製)であり、インク室22Y及び22Kには、イエロー及びブラックの導電性インクが充填されている。このとき、ノズル板21Y及び21Kと、導電性基体11との間に、電源(不図示)が接続されている。また、中間転写ドラム10の導電層12と、記録ヘッド20のノズル板21のギャップを100μmとした。さらに、転写ローラ40は、金属製の芯金に厚さが5mmのゴム層が形成されている。クリーニングブレード50は、フッ素ゴムからなるブレードである。
以上のような画像形成装置を用いて、以下に示す手順で評価した。このとき、クリーニングブレード50により導電性インクを回収するために、転写ローラ40は、中間転写ドラム10に対して、離間させた状態で評価した。
(1)電源の電圧を0Vにする。
(2)記録ヘッド20Yにより、中間転写ドラム10の表面が移動する方向と垂直な方向(主走査方向)の1インチ幅の連続した帯状領域に、ドット径が50μmの孤立ドットからなるイエローの網点パターンを形成する。
(3)記録ヘッド20Kにより、中間転写ドラム10に形成されたイエローの網点パターンから35μmシフトさせて、ドット径が50μmの孤立ドットからなるブラックの網点パターンを形成する。
(4)中間転写ドラム10を撮影して、ブラックの顔料を含有する領域の真円率を算出することにより、ブラックのドットの滲み度合いを評価する。
(5)クリーニングブレード50により回収された導電性インクのpHを測定する。
(6)電源の電圧を10V増加する。
(7)(1)〜(6)の操作を繰り返す。
なお、ブラックの顔料を含有する領域の真円率とは、図7に示すように、ブラックの顔料を含有する領域を二つの同心円で挟んだ場合の、二つの同心円の半径の比の最大値(≦1)を意味する。図7(a)は、ブラックのドットが全く滲まず、ブラックの顔料を含有する領域Kが真円形状である場合であり、真円率は1となる。図7(b)は、ブラックのドットが滲んでいる状態であり、真円率はr1/r2となる。図7(c)は、ブラックのドットが完全にイエローのドットと混合している状態であり、真円率はr1/r2となる。
図8及び図9に、それぞれ電源の電圧に対するpHの関係及び電源の電圧に対するブラックの顔料を含有する領域の真円率の関係を示す。図8より、電源の電圧が60Vを超えると、pHが低下することがわかる。即ち、電源の電圧が60Vを超えると、回収された導電性インク中のプロトンの含有量が増加しており、導電層12の表面で、水が酸化しているものと考えられる。さらに、図9より、pHが6.0未満になると、ブラックのドットの滲みを抑制する効果が見られることから、十分に水が酸化した段階で導電性インクを凝集させる効果が発現しているものと考えられる。
なお、実施例1においては、電源の電圧が60Vを超えると、水が酸化しているものと考えられるが、導電性インクの物性、液柱のブリッジを形成するダイナミクス等により、水を酸化させるのに必要な電源の電圧は異なる。
[実施例2]
中間転写ドラム10の代わりに、ステンレス素管(導電性基体11)を中間転写ドラムとして用いた以外は、実施例1と同様にして、評価した。
図10及び図11に、それぞれ電源の電圧に対するpHの関係及び電源の電圧に対するブラックの顔料を含有する領域の真円率の関係を示す。なお、図10及び図11には、実施例1で得られた結果を比較のために破線で示す。図10より、pHが低下する電源の電圧が、実施例1よりも若干高い電圧にシフトしていることがわかる。一方、図11より、ブラックのドットの滲みを抑制する効果は、電源の電圧が実施例1よりも低い電圧で得られていることがわかる。このことから、水が酸化していると共に、導電性基体11の金属が酸化して金属カチオンが溶出しているものと考えられる。
なお、クリーニングブレード50により回収された導電性インクを、エネルギー分散型X線分光法を用いて分析したところ、調製直後の導電性インクからは観測されないFeのピークが観測された。
[実施例3]
イエローの記録ヘッド20Y、マゼンタの記録ヘッド20M、シアンの記録ヘッド20C及びブラックの記録ヘッド20Kが順次設けられている以外は、画像形成装置100と同様の画像形成装置(図12参照)を用意した。なお、図12において、図1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。中間転写ドラム10は、アルミニウム素管(導電性基体11)の外周に、体積抵抗率が5Ω・cm、厚さが0.2mmの、カーボンが分散されているシリコーンゴム層(導電層12)が形成されており、駆動手段(不図示)により、外周の線速が50mm/秒で、図中、反時計周りに回転駆動される。記録ヘッド20Y、20M、20C及び20Kは、それぞれ金属製のノズル板21Y、21M、21C及び21Kを有するインクジェットプリンタGX5000(リコー社製)であり、インク室22Y、22M、22C及び22Kには、イエロー、マゼンタ、イエロー及びブラックの導電性インクが充填されている。このとき、ノズル板21Y、21M、21C及び21Kと、導電性基体11との間に、電源(不図示)が接続されている。また、中間転写ドラム10の導電層12と、記録ヘッド20のノズル板21のギャップを100μmとした。さらに、転写ローラ40は、金属製の芯金に厚さが5mmのゴム層が形成されている。クリーニングブレード50は、フッ素ゴムからなるブレードである。
以上のような画像形成装置を用い、電源の電圧を120Vとし、記録ヘッド20の圧電素子に液柱のブリッジを形成する時間が数十マイクロ秒となるような電圧パルスを印加することにより、中間転写ドラム10にインク画像を形成した。次に、転写ローラ40を用いて、中間転写ドラム10に形成されたインク画像を普通紙に転写した。その結果、画像のドット再現性が良好であった。
[比較例1]
電源の電圧を0Vとした以外は、実施例3と同様にして、画像を形成した。その結果、ドットの滲みが多いことに加え、普通紙の裏面に導電性インクが染み出していた。
[実施例4]
中間転写ドラム10の代わりに、ステンレス素管(導電性基体11)を中間転写ドラムとして用いた以外は、実施例3の画像形成装置と同様の画像形成装置を用意した。
以上のような画像形成装置を用い、電源の電圧を100Vとし、記録ヘッド20の圧電素子に液柱のブリッジを形成する時間が数十マイクロ秒となるような電圧パルスを印加することにより、導電性基体11にインク画像を形成した。次に、転写ローラ40を用いて、導電性基体11に形成されたインク画像を普通紙に転写した。このとき、導電層12が形成されていない中間転写ドラムを用いたため、導電性基体11に対する転写ローラ40による押圧力を実施例3よりも大きくした。その結果、画像のドット再現性が良好であった。
[実施例5]
ステンレス素管(導電性基体11)と転写ローラ40の間に、中間転写ドラム10'及びクリーニングブレード50'をさらに設けた以外は、実施例4の画像形成装置と同様の画像形成装置を用意した。中間転写ドラム10'は、アルミニウム素管(基体11')の外周に、厚さが0.2mmのシリコーンゴム層(ゴム層12')が形成されており、クリーニングブレード50'は、フッ素ゴムからなるブレードである。
以上のような画像形成装置を用い、電源の電圧を100Vとし、記録ヘッド20の圧電素子に液柱のブリッジを形成する時間が数十マイクロ秒となるような電圧パルスを印加することにより、導電性基体11にインク画像を形成した。次に、導電性基体11に形成されたインク画像を中間転写ドラム10'に転写した。さらに、転写ローラ40を用いて、中間転写ドラム10'に転写されたインク画像を普通紙に転写した。このとき、駆動手段(不図示)により、導電性基体11の外周の線速を中間転写ドラム10'の外周の線速よりも数%大きくした。また、絶縁層12'が形成されている中間転写ドラム10'を設けたため、中間転写ドラム10'に対する転写ローラ40による押圧力を実施例4よりも小さくした。その結果、画像のドット再現性が良好であった。
10、10' 中間転写ドラム
11 導電性基体
11' 基体
12 導電層
12' ゴム層
20 記録ヘッド
21 ノズル板
21a ノズル
22 インク室
30 電源
40 転写ローラ
50、50' クリーニングブレード
100 画像形成装置
I 導電性インク
I' インク画像
特開2008−62397号公報

Claims (8)

  1. 水を含む導電性インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
    前記ノズルとの間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成することによりインク画像を形成することが可能な導電性の表面を有する中間転写体と、
    前記導電性インクと前記導電性の表面との間に、前記液柱のブリッジに含まれる水が電気分解することが可能な電位を印加する電位印加手段と、
    前記中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記導電性の表面は、導電剤が分散されているゴム又は金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 表面にゴム層が形成されている中間転写体をさらに有し、
    前記転写手段は、前記中間転写体に形成されたインク画像を前記表面にゴム層が形成されている中間転写体に一次転写した後、該中間転写体に一次転写されたインク画像を記録媒体に二次転写することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 水を含む導電性インクを記録ヘッドのノズルから吐出して、中間転写体にインク画像を形成する工程と、
    該中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する工程とを有し、
    前記中間転写体は、導電性の表面を有し、
    前記導電性インクと前記導電性の表面との間に電位が印加されている状態で、前記ノズルと前記中間転写体の間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成すると共に、前記液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することにより、前記中間転写体にインク画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  5. 前記導電性インクは、顔料がアニオン性分散剤により分散されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
  6. 前記導電性の表面の近傍で、前記液柱のブリッジに含まれる水を酸化してプロトンを生成させることにより、前記顔料を凝集させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記導電性の表面は、金属であり、
    前記導電性の表面の近傍で、前記金属を酸化して金属イオンを生成させることにより、前記顔料を凝集させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する工程は、前記中間転写体に形成されたインク画像を、表面にゴム層が形成されている中間転写体に一次転写する工程と、該中間転写体に一次転写されたインク画像を記録媒体に二次転写する工程を有することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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