JP2010164579A - ヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カラム耐久性が良く、しかも、安定型HbA1cを、精度良く短時間で分離可能なヘモグロビン類の測定方法を提供する。
【解決手段】 カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法において、カオトロピックイオンを含有し、かつpH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩を含有する溶離液を用い、カラム圧力を9.8×104Pa〜3.9×106Paに設定して測定を行うことを特徴とするヘモグロビン類の測定方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法に関する。
ヘモグロビンA1c(以下、HbA1cという)は、血液中の糖が赤血球に入った後に、ヘモグロビンと不可逆的に結合して生成したものであり、過去1〜2カ月間の血液中の平均的な血糖値(血液中のグルコース濃度)を反映する。このため、HbA1cは、糖尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態を把握する等の糖尿病診断の指標として広く利用されている。
HbA1cは、血液中のグルコースとヘモグロビンA(以下、HbAという)とが、反応して生成された糖化ヘモグロビン(以下、GHbという)であり、これが可逆的に反応したものを不安定型ヘモグロビンA1c(unstable HbA1c:以下、不安定型HbA1cという)と呼び、不安定型HbA1cを経て不可逆的に反応したものを安定型ヘモグロビンA1c(stable HbA1c:以下、安定型HbA1cという)と呼んでいる。そして、上記糖尿病診断の指標としては、安定型HbA1cを用いることが好ましく、臨床検査分野では、高精度で、しかも、短時間に安定型HbA1cの比率を測定しうる方法の開発が望まれていた。
従来、HbA1cの測定方法としては、一般に液体クロマトグラフィー法や免疫法が用いられており、液体クロマトグラフィー法によるHbA1cの測定は、主にカチオン交換液体クロマトグラフィー法により行われている(特公平8−7198号公報など)。溶血液試料をカチオン交換液体クロマトグラフィーにより分離すると、通常、ヘモグロビンA1a(以下、HbA1aという)及びヘモグロビンA1b(以下、HbA1bという)、ヘモグロビンF(以下、HbFという)、不安定型HbA1c、安定型HbA1c並びにヘモグロビンA0(以下、HbA0という)の順に溶出される。
このうち、糖尿病の診断の指標として使用されるのは、最近では、上記したとおり安定型HbA1cであり、安定型HbA1c値は、全ヘモグロビンピークの面積に対する安定型HbA1cピークの面積の比率(%)として求められている。
従って、安定型HbA1c値を正確に測定するためには、安定型HbA1cのピークのみを高精度に分離する技術が必要であるが、従来においては、安定型HbA1cのピークの近傍に出現する不安定型HbA1cのピークやアセチル化ヘモグロビン(以下、AHbという)、カルバミル化ヘモグロビン(以下CHbという)などの修飾ヘモグロビンのピークと、安定型HbA1cのピークとを高精度かつ短時間に分離するのは極めて困難とされていた。
そこで、特開昭63−298063号公報に記載があるように、赤血球および/または、ヘモグロビンを含む試料を、リン酸縮合体および/またはリン酸縮合体の塩を含む解離溶媒質と接触させて、不安定型ヘモグロビンをヘモグロビンとグルコースに解離して測定する方法が従来より知られている。しかしながら、この方法では、安定型HbA1cの分離が不十分となり、測定精度が悪いという欠点があった。
一方、不安定型HbA1c及び修飾ヘモグロビンと、安定型HbA1cとを測定時間2.2分という短時間で分離できる方法も開発されている(全自動グリコヘモグロビン分
析計HLC−723GHbV型の基礎的検討:日本臨床自動化学会会誌21(1996) 840−843)。
この方法は、上述の従来法における解離剤を用いずに、非多孔性充填剤を用い、しかも、充填剤の粒径を2.5μmと非常に小さくして測定サンプルのカラム内での拡散を小さくすることにより、安定型HbA1cの分離を可能にしている。しかし、このような、粒径の非常に小さい充填剤を充填したカラムをヘモグロビン類の測定に用いると、測定初期のカラム圧力が非常に高い(例えば、約9.8×106Pa)ため測定装置に耐圧性が必要になりコストアップになるという欠点が存在した。
また、連続測定したとき、目詰まりが大きいためカラム圧力上昇が高く、カラム耐久性が悪いという欠点があった。さらに、この方法においては、充填剤の粒径を大きくすることによりカラム圧力を低くすると、測定サンプルがカラム内で拡散し分離が不十分になってしまう問題点があった。
特開昭63−298063号公報 全自動グリコヘモグロビン分析計HLC−723GHbV型の基礎的検討:日本臨床自動化学会会誌 21 (1996) 840−843
本発明の目的は、上記従来におけるヘモグロビン類の測定方法の問題点に鑑み、カラム耐久性が良く、しかも、安定型HbA1cを、精度良く短時間で分離可能なヘモグロビン類の測定方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、 カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法において、カオトロピックイオンを含有し、かつpH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩を含有する溶離液を用い、カラム圧力を9.8×104Pa〜3.9×106Paに設定して測定を行うことを特徴とするヘモグロビン類の測定方法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のヘモグロビン類の測定方法であって、グラディエント溶出法を用いて上記溶離液の送液を行なうことを特徴とするヘモグロビン類の測定方法である。
以下、本発明について詳説する。
本発明においては、カオトロピックイオン、及び、pH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩を含有する溶離液を用いる。この溶離液は、単一種の溶離液であってもよいが、好ましくは、溶出力が異なる、例えばカオトロピックイオンの濃度やpHが異なる、2種以上の溶離液を用いる。
上記カオトロピックイオンとは、水溶液に解離して生じたイオンにより水の構造が破壊され、疎水性物質と水が接触したときに起こる、水のエントロピー減少を抑制するものである。
具体的には、陰イオンのカオトロピックイオンとしては、トリブロモ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン等が挙げられ、またその他に尿素等が挙げられる。
また、陽イオンのカオトロピックイオンとしては、バリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、カリウムイオン、グアニジンイオン等が挙げられる。
上記カオトロピックイオンの中でも、安定型HbA1cの測定精度をより向上させるために、好ましくは、陰イオンとしては、トリブロモ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、臭化物イオン等が挙げられ、陽イオンとしては、バリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、グアニジンイオン等が用いられる。より好ましくは、トリブロモ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、グアニジンイオン等が用いられる。
また、これらカオトロピックイオンは、単一種で用いても、また複数種混合して用いてもよい。
上記カオトロピックイオンの溶離液中の濃度は、0.1mM〜3000mMが好ましく、より好ましくは1mM〜1000mM、特に好ましくは10mM〜500mMである。これは、濃度が0.1mM未満であると、ヘモグロビン類の測定において、分離効果が低下し測定精度が悪くなるためであり、また、濃度が3000mMを超えてもヘモグロビン類の分離効果はそれ以上向上しないためである。
また、カオトロピックイオンを溶離液以外の測定試料と接触する液、例えば、試料希釈液、溶血液等に添加して用いてもよい。
本発明における上記pH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩としては、以下のものが挙げられる。
上記無機酸としては、例えば、リン酸、炭酸等が挙げられる。また、上記有機酸としては、例えば、カルボン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン酸、カコジル酸、アミノ酸、ピロリン酸等が挙げられる。
上記カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。上記カルボン酸誘導体としては、例えば、β、β−ジメチルグルタル酸、バルビツール酸、アミノ酪酸等が挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。上記アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、アスパラギン等が挙げられる。
上記無機酸または有機酸の塩としては、公知のものでよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
上記無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩は、単独種でもまた、複数種混合して用いても良い。
上記無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩の溶離液中の濃度は、水に溶解された状態で、溶離液のpHを4.0〜6.8にする緩衝作用がある範囲であればよく、好ましくは1mM〜1000mMであり、より好ましくは10mM〜500mMである。
本発明における溶離液のpHは、4.0〜6.8であり、より好ましくは4.5〜5.8である。pHが4.0未満では、ヘモグロビンが変性する可能性があり、pHが6.8を超えると、ヘモグロビン類のプラス電荷が減少し、カチオン交換基に保持されにくくなり、分離能が悪くなるためである。
上記溶離液には、以下に示す(1)無機塩類、(2)pH調節剤、(3)有機溶媒、(4)安定剤、(5)アミン類、(6)界面活性剤、(7)防腐剤等を添加してもよい。
(1)無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの塩類の溶離液中の濃度は、特に限定されないが、好ましくは1〜1500mMである。
(2)pH調節剤として、公知の酸、塩基を添加してもよい。酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸等が挙げられ、また、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの酸、塩基の溶離液中の濃度は、特に限定されないが、好ましくは、0.001〜500mMである。
(3)メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンなどの水溶性有機溶媒と混合してもよい。これらの有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、好ましくは0〜80体積%であり、カオトロピックイオン、無機酸、有機酸、これらの塩などが析出しない程度で用いるのが好ましい。
(4)ヘモグロビンの安定剤として、公知の安定剤を添加してもよい。該安定剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤、グルタチオン、アジ化ナトリウム等の還元剤・酸化防止剤等が挙げられる。
(5)ヘモグロビンの非特異的吸着を少なくするために、アミン類を添加してもよい。該アミン類としては、公知のものが用いられ、好ましくは、分子量20〜500の第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンが挙げられる。
(6)界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等を添加してもよい。界面活性剤を用いることにより、溶血を効率よく行うだけでなく、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で測定を行う場合、溶血試薬の通過する流路等を洗浄する効果がある。
上記界面活性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤が使用され、例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリオキシエチレンをPOE、エチレンオキシド付加モル数を(n)で表す。)、POE(7)デシルエーテル、POE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セチルステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独種でもまた複数種混合して用いてもよい。これらの界面活性剤の添加量は、好ましくは0.01〜10重量%である。
(7)防腐剤として、アジ化ナトリウム、チモールなどを添加しても良い。
本発明では、溶出力が異なる2種以上の溶離液を用いる場合、これらの溶離液をグラディエント溶出法により送液を行うのがより好ましい。グラディエント溶出法としては、例えば、段階溶出法(ステップアップグラディエント溶出)、リニアグラディエント溶出法、または、それらを組み合わす方法があり、いずれの方法にも限定されるものではない。
上記段階溶出法によって測定を行う場合のクロマトグラフィー装置の構成例を図1に示した。溶離液A,B,C,Dは、各々溶出力の異なる溶離液であり、電磁弁1によって設定時間ごとに各溶離液に切り替えられるように、構成されている。溶離液は、送液ポンプ2により、試料注入部3から導入された試料とともにカラム4に導かれ、各成分が検出器5により検出される。各ピーク面積、高さ等はインテグレータ6により算出される。
本発明の測定方法により分離されるヘモグロビン類のうち、HbA等からなるHbA0は、HbA1cより後に溶出し、強く充填剤に保持されるため、測定時間を長くさせる傾向にある。このため、HbA0の溶出には、上述の溶離液よりも溶出力の強い溶離液、すなわちpHがヘモグロビン等電点(ヘモグロビンの等電点については、理化学事典(第4版、1987年9月、岩波書店、久保亮五ら編集)、1178頁に記載あるように、pH6.8〜7である)よりアルカリ側にある溶離液を用いるのが好ましい。
すなわち、溶離液のpHが、ヘモグロビンの等電点より酸性側からアルカリ性側に変わることによって、ヘモグロビンの表面の総電荷がプラスからマイナスに変わり、これによって充填剤表面のカチオン交換基との電気的反発がおこり、HbA0成分を迅速に溶出することができるのである。
上記の如くHbA0成分を溶出するための溶離液としては、カラム耐久性の向上と測定時間短縮のため、カラムに流入する際のpHがヘモグロビンの等電点よりアルカリ側になるように、pHを6.8以上に設定した少なくとも1種以上の緩衝液を用いるのが好ましい。
上記溶離液のpHは、好ましくは7〜12であり、さらに好ましくは、7.5〜11、またさらに好ましくは8〜9.5である。これは、溶離液のpHが6.8以下になるとHbA0成分の溶出が不十分となり易く、pHが12より高いと充填剤の分解が考えられるためである。また、充填剤の分解が測定に影響ない場合は、溶離液のpHを12以上にするのが好ましく、より好ましくは、10〜13.5である。但し、溶離液のpHを12以上にした時、充填剤の分解が測定に影響する場合であっても、溶離液を流す時間を短くすることにより、充填剤の分解を最小限に抑えることができる。
HbA0成分の溶出に好適に用いられる、pHが6.8以上で緩衝能をもつ溶離液としては、例えば、リン酸、ホウ酸、炭酸等の無機酸または、その塩;クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、β、β−ジメチルグルタル酸等のカルボン酸誘導体、マレイン酸等のジカルボン酸、カコジル酸、等の有機酸または、その塩からなる緩衝液が挙げられる。その他、2−(N−モリホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロキシメチル)メタン(Bistris)、Tris、ADA、PIPES、Bistrispropane、ACES、MOPS、BES、TES、HEPES、HEPPS、Tricine、Bicine、グリシルグリシン、TAPS、CAPS等の一般にグッド(Good)の緩衝液といわれるものも使用できる。また、BrittonとRobinsonの緩衝液;GTA緩衝液も使用できる。また、イミダゾール等のイミダゾール類;エチレンジアミン、メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;グリシン、β−アラニ
ン、アスパラギン酸、アスパラギン等のアミノ酸類;等の有機物も使用できる。
上記の無機酸・有機酸、あるいはその塩または有機物等の濃度は、水に溶解された状態で溶離液のpHを6.8以上にする緩衝作用がある範囲であればよく、好ましくは、1mM〜1000mMであり、より好ましくは10〜500mMである。
また、より効果的にHbA0成分を、溶出するためには、上記HbA0の溶出に好適に用いられる溶離液に、カオトロピックイオンを添加することが好ましい。上記カオトロピックイオンは、前述したのと同様のものを用いることができる。カオトロピックイオンの溶離液中の濃度は、1mM〜3000mMが好ましく、より好ましくは10mM〜1000mM、特に好ましくは、50mM〜500mMである。
上記溶離液には、前述した溶離液に添加されるのと同様の各種添加剤、例えば、(1)無機塩類、(2)pH調節剤、(3)有機溶媒、(4)安定剤、(5)アミン類、(6)界面活性剤、(7)防腐剤等を添加してもよい。
本発明においては、カラム圧力を9.8×104Pa〜3.9×106Pa(1kgf/cm2〜40kgf/cm2)に設定して測定を行う。カラム圧力のより好ましい範囲は、2.0×105Pa〜3.4×106Pa(2kgf/cm2〜35kgf/cm2)であり、更に好ましい範囲は、4.9×105Pa〜2.9×106Pa(5kgf/cm2〜30kgf/cm2)である。これは、カラム圧力が9.8×104Paより小さいと圧力変動が大きいため、安定型HbA1cを精度良く測定できなくなるためである。また、カラム圧力が3.9×106Paより高くなると短時間測定で連続測定したとき、カラム圧力上昇が大きくなり、カラム耐久性が悪化してしまうためである。
本発明でいうカラム圧力とは、分離用カラムに流入する溶離液の液圧を意味するものであり、液体クロマトグラフィー装置において、分離用カラムに流入する溶離液の流路上に設けられた圧力計により計測されるものである。このカラム圧力を計測する圧力計は、液体クロマトグラフィー装置において一般的に用いられているものであれば、特に限定されるものではないが、例えばJIS B 7505−1980に規格が定められているプルドン管圧力計が好適に用いられる。
上記カラム圧力の設定は、カラム圧力の大きさに影響を与える諸条件を調節することにより行なう。具体的には、溶離液の流速、カラムに充填される充填剤の粒径の大きさ、カラム内径及びカラム長などを適宜調節することにより、上記範囲内となるように設定する。また、粒径の小さい充填剤(例えば、粒径3μm以下の充填剤:多孔性充填剤及び非多孔性充填剤を含む)を用いる場合、上記カラム圧力範囲内になるように、溶離液の流速を調節しても良いし、また、粒径の小さい充填剤を充填するカラムサイズを適宜小さくしても良い(例えば、カラム内径0.1mm〜4mm、カラム長さ5mm〜200mm程度)。
例えば、他の条件を同一にして溶離液の流速のみを変化させる場合、カラム圧力を高めるためには、溶離液の流速を上げればよいし、カラム圧力を低めるためには、溶離液の流速を下げればよい。また、充填剤の粒径の大きさのみを変化させる場合は、カラム圧力を高めるためには、充填剤の粒径を小さくすればよいし、カラム圧力を低めるためには、充填剤の粒径を大きくすればよい。
本発明における、他の測定条件としては、公知の条件でよく、溶離液の流速は、好ましくは0.001〜5ml/分、より好ましくは0.01〜4ml/分、特に好ましくは0.1〜3ml/分である。
本発明のヘモグロビン類の測定方法において用いられる充填剤は、少なくとも1種以上のカチオン交換基を有している粒子よりなるものであり、例えば、高分子粒子にカチオン交換基を導入することで得られるものである。
上記カチオン交換基は、公知のものでよく特に制限はない。例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのカチオン交換基等が挙げられる。また、このカチオン交換基は、複数種導入しても良い。
上記充填剤粒子の直径は、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。また、粒度分布は、変動係数値(CV値)(粒径の標準偏差÷平均直径×100(%))として、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。
充填剤粒子は、必要に応じて、上記に示した範囲の充填剤を複数種混合して用いても良い。
上記高分子粒子としては、例えば、シリカ、ジルコニアなどの無機系粒子;セルロース、ポリアミノ酸、キトサンなどの天然高分子粒子;ポリスチレン、ポリアクリル酸エステルなどの合成高分子粒子などが挙げられる。
上記高分子粒子は、導入されるイオン交換基以外の構成成分は、より親水性であることが好ましい。また耐圧性・耐膨潤性の点から架橋度の高いものが好ましい。
上記高分子粒子へのカチオン交換基の導入は、公知の方法により行うことができ、例えば、高分子粒子を調製後、粒子が有する官能基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基など)に、化学反応でカチオン交換基を粒子に導入させる方法により行うことができる。
また、カチオン交換基を有する単量体を重合して高分子粒子を調製する方法によってもカチオン交換充填剤を調製できる。例えば、カチオン交換基含有単量体と架橋性単量体等とを混合し、重合開始剤の存在下に重合する方法などが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの重合性カチオン交換基含有エステルを架橋性単量体などと混合し、重合開始剤存在下で重合した後、得られた粒子を加水分解処理し、エステルをカチオン交換基に変換させてもよい。
更に、特公平8−7197号公報に記載のように、架橋重合体粒子を調製した後、カチオン交換基を有する単量体を添加して、重合体粒子の表面付近に、該単量体を重合させても良い。
上記充填剤のカラムへの充填方法は、公知の任意の方法が使用できるが、スラリー充填法を用いるのがより好ましい。具体的には、例えば、充填剤粒子を溶離液などの緩衝液に分散させたスラリーを送液ポンプなどによりカラムに圧入することにより行う。
本発明の測定方法を実施するのに用いられる液体クロマトグラフィー装置は、公知のものでよく、例えば、送液ポンプ、試料注入装置(サンプラ)、カラム、検出器などから構成される。また、他の付属装置(カラム恒温槽や溶離液の脱気装置など)が適宜付属されてもよい。
また、セミミクロタイプの装置を用いても良い。その1例としては、資生堂社製のNANOSPACEシリーズがあり、送液ポンプ:イナートポンプ2001NANOSPACE SI-1、オートサンプラー2003、検出器UV-VIS検出器2002などで構成される。
上記カラムの材質は、公知のもので良く、例えば、ガラス、ステンレス、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂が挙げられる。
また、カラムに装着されるフィルターの素材も公知のもので良い。カラムの両端に設けられるフィルターは、ヘモグロビン類の吸着を少なくするために、不活性(イナート)な素材のものが好ましい。例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、チタンなどがある。また、ステンレス製のフィルターのように、ヘモグロビン類の吸着が大きいものは、表面をシリコーン処理、または、公知のブロッキング試薬(アルブミン、牛血清アルブミン、カゼイン、ゼラチンなど)でブロッキングしても良い。上記のフィルターは、プレフィルターとして用いても良い。
また、カラムの充填剤とカラムが接する部位を、不活性な素材で被覆してもよく、その素材としては、例えばPEEK、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、チタン化合物、珪素化合物、シリコン膜等が挙げられる。
上記測定方法における他の測定条件としては公知の条件でよく、特に限定されないが、好ましくは以下の条件を用いる。ヘモグロビン類の検出については、415nmの可視光を用いるのが好ましい。測定試料は、通常、界面活性剤など溶血活性を有する物質を含む溶液により溶血された溶血液を希釈したものを用いるのが好ましい。液体クロマトグラフィー装置への試料注入量は、希釈倍率により異なるが、好ましくは0.1〜100μL程度である。
本発明におけるヘモグロビン類の測定方法の1実施態様を以下に示す。
溶血液試料をカチオン交換液体クロマトグラフィーにより分離すると、通常、HbA1a及びHbA1b、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1c並びにHbA0などのピークが出現する。
ここでは、溶出力の異なる3種の溶離液A〜C(溶離液A<溶離液B<溶離液Cの順に溶出力が高くなるよう設定したもの)を用い、まず、溶離液Aで、HbA1a〜HbFまで溶出させ、不安定型HbA1cと安定型HbA1cをカラムに強く保持させて分離する。次に、より溶出力の強い溶離液Bをステップグラディエント溶出法で流し、カラムに強く保持させて分離した不安定型HbA1cピークと安定型HbA1cピークをシャープに溶出させる。最後に、カラムに最も強く保持しているHbA0を、最も溶出力の強い溶離液Cをステップグラディエント溶出法で流して溶出させ、その後、次の測定に備えて溶離液Aをカラムへ流し、測定系に悪影響が無い程度に溶離液Aでカラム内を平衡化させる。
[作用]
従来、粒径の大きな充填剤を充填したカラムでは、カラム内での測定サンプルの拡散が大きいために、不安定型HbA1cと安定型HbA1cを分離できなかったが、本発明では、溶離液にカオトロピックイオンを添加することにより、分離溶出挙動が非常に近い不安定型HbA1cと安定型HbA1cのカラムとの相互作用の差を拡大させ、従来法で安定型HbA1cを分離測定できなかった粒径の大きな充填剤でも、安定型HbA1cを分離測定することができる。また、粒径の大きな充填剤を充填したカラムは、カラム圧力が非常に低いので、測定試料がカラムに目詰まりしづらく、そのため、連続測定してもカラム圧力上昇が小さく、カラム耐久性に優れている。さらに、グラディェント溶出法を組み合わすことにより、より高精度に安定型HbA1cを分離測定できる。
本発明のヘモグロビン類の測定方法は上述の構成からなるので、カラム耐久性に優れ、しかも、安定型HbA1cを、精度良く短時間で分離、測定することができる。
次に、実施例、比較例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
(1)充填剤の調製
テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次いで、反応系を35℃に冷却させた後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し、1時間攪拌しながら再び80℃に昇温して1.3時間重合した。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒径9μmの粒子を得た。
(2)カラムへの充填
(1)で得られた充填剤をカラムに以下のようにして充填した。充填剤粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液(pH5.8)30mLに分散し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製の空カラム(内径4.6mm×長さ35mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300kg/cm2で定圧充填した。
(3)ヘモグロビン類の測定
(2)で得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘモグロビン類の測定を行った。
(測定条件)
システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
圧力計:ストレンゲージ式圧力変換器
溶離液:溶離液A:56mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH5.3)
溶離液B:275mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH8.40)
送液パターン:測定開始より0〜1.2分の間は溶離液Aを送液し、1.2〜1.3分の間は溶離液Bを送液し、1.3〜1.9分の間は溶離液Aを送液した。
流速:2.2mL/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μL
カラム圧力:2.9×106Pa(30kgf/cm2
(測定試料)
健常人血をフッ化ナトリウム採血した全血検体から以下の試料を調製した。なお、溶血試薬として、0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)を含有させたリン酸緩衝溶液(pH7.0)を用いた。
(4)測定結果
上記測定条件により、得られたクロマトグラムを図2に示した。ピーク11はHbA1a及びb、ピーク12はHbF、ピーク13は不安定型HbA1c、ピーク14は安定型HbA1c、ピーク15はHbA0を示す。図2より、測定時間1.9分で安定型A1cを分離測定できたことが分かる。
[実施例2]
(1)充填剤の調製
テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次いで、反応系を35℃に冷却した後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し1.3時間重合した。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒径11μmの粒子を得た。
(2)カラムへの充填
上記実施例1と同様に行った。
(3)ヘモグロビン類の測定
以下に示した項目以外は、実施例1と同様に行った。
溶離液:溶離液A:56mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH5.3)
溶離液B:70mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH5.3)
溶離液C:275mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH8.40)
送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、0.6〜1.2分の間は溶離液Bを送液し、1.2〜1.3分の間は溶離液Cを送液し、1.3〜1.6分の間は溶離液Aを送液した。
カラム圧力:7.8×105Pa(8kgf/cm2
(4)測定結果
上記測定条件により、得られたクロマトグラムを図3に示した。ピーク11はHbA1a及びb、ピーク12はHbF、ピーク13は不安定型HbA1c、ピーク14は安定型HbA1c、ピーク15はHbA0を示す。図3より、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測定できた。
[比較例1]
(1)充填剤の調製
テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次いで、反応系を35℃に冷却した後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し、1.3時間重合させた。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒径3μmの粒子を得た。
(2)カラムへの充填
上記実施例1と同様に行った。
(3)ヘモグロビン類の測定
以下に示した項目以外は、上記実施例1と同様に行った。
カラム圧力:7.8×106Pa(80kgf/cm2
(4)測定結果
比較例1により得られたクロマトグラムは図2と同様であった。
[比較例2]
(1)充填剤の調製
テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次いで、反応系を35℃に冷却した後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し1.3時間重合させた。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒径30μmの粒子を得た。
(2)カラムへの充填
上記実施例1と同様に行った。
(3)ヘモグロビン類の測定
以下に示した項目以外は、実施例1と同様に行った。
カラム圧力:4.9×104Pa(0.5kgf/cm2
(4)測定結果
上記測定条件によりヘモグロビン類の測定を試みたが、測定出来なかった。
[実施例3]
(1)充填剤の調製
上記比較例1と同様に行った。
(2)カラムへの充填
上記比較例1と同様に行った。
(3)ヘモグロビン類の測定
(2)で得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘモグロビン類の測定を行った。
(測定条件)
システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
圧力計:ストレンゲージ式圧力変換器
溶離液:溶離液A:62mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH5.40)
溶離液B:70mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH5.40)
溶離液C:275mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH8.40)
送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、0.6〜1.2分の間は溶離液Bを送液し、1.2〜1.3分の間は溶離液Cを送液し、1.3〜1.6分の間は溶離液Aを送液した。
流速:1.0ml/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μl
カラム圧力:3.8×106Pa(39kgf/cm2
(4)測定結果
上記測定条件により得られたクロマトグラムは、図3と同様であり、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測定できた。
[実施例4]
(1)充填剤の調製
上記比較例1と同様に行った。
(2)カラムへの充填
(1)で得られた充填剤をカラムに以下のようにして充填した。充填剤粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液(pH5.8)30mlに分散させ、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製の空カラム(内径40mm×長さ30mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300kg/cm2で定圧充填した。
(3)ヘモグロビン類の測定
(2)で得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘモグロビン類の測定を行った。
(測定条件)
システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
圧力計:ストレンゲージ式圧力変換器
溶離液:溶離液A:58mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH5.40)
溶離液B:68mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH5.40)
溶離液C:275mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50mMリン酸緩衝液(pH8.40)
送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、0.6〜1.2分の間は溶離液Bを送液し、1.2〜1.3分の間は溶離液Cを送液し、1.3〜1.6分の間は溶離液Aを送液した。
流速:1.1ml/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μl
カラム圧力:3.5×106Pa(36kgf/cm2
(4)測定結果
上記測定条件により得られたクロマトグラムは、図3と同様であり、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測定できた。
[実施例5]
(1)充填剤の調製
上記比較例1と同様に行った。
(2)カラムへの充填
(1)で得られた充填剤をステンレス製の空カラム(内径1.5mm×長さ35mm)に充填した以外は、実施例4と同様に行った。
(3)ヘモグロビン類の測定
(2)で得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘモグロビン類の測定を行った。
(測定条件)
システム:送液ポンプ:イナートポンプ2001:NANOSPACE SI-1(資生堂社製)
オートサンプラ:オートサンプラー2003(資生堂社製)
検出器:UV−VIS検出器2002(資生堂社製)
溶離液:溶離液A:49mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47mMリン酸緩衝液(pH5.30)
溶離液B:60mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47mMリン酸緩衝液(pH5.30)
溶離液C:250mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47mMリン酸緩衝液(pH8.40)
送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、0.6〜1.2分の間は溶離液Bを送液し、1.2〜1.3分の間は溶離液Cを送液し、1.3〜1.6分の間は溶離液Aを送液した。
流速:0.18ml/分
検出波長:415nm
試料注入量:2μl
カラム圧力:2.2×106Pa(22kgf/cm2
(4)測定結果
上記測定条件により得られたクロマトグラムは図3と同様であり、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測定できた。
[カラム耐久性の評価]
実施例1〜4と比較例1〜2のカラムについて、上記に示したそれぞれの測定条件で500検体連続測定してカラム耐久性を評価した。
測定試料としては、健常人血をフッ化ナトリウム採血した全血検体から以下の試料を調製した。なお、溶血試薬として、0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)を含有させたリン酸緩衝溶液(pH7.0)を用いた。
[カラム耐久性評価の結果]
安定型HbA1cの測定値の変動を指標として、カラム耐久性を評価し、図4に示した。
その結果、実施例1〜4では、500検体連続測定しても、安定型HbA1c値の変動は、ほとんど無かった。しかし、比較例1では、100検体連続測定した後から、安定型HbA1c値が次第に高くなった。
これは、カラム圧力を高く設定すると、カラム内に測定試料の一部が詰まり、カラム洗浄が不十分になる結果カラムが劣化し、安定型HbA1cと不安定型HbA1cの分離が不十分になったのが原因であると考えられた。
尚、比較例2では、カラム圧力が低すぎて安定型HbA1c値を測定出来なかった。
液体クロマトグラフィー装置の1例を示した図 実施例1での測定結果を示した図 実施例2での測定結果を示した図 カラム耐久性評価の結果を示した図
A,B,C,D : 溶離液A〜D
1 : 電磁弁
2 : 送液ポンプ
3 : 試料注入部
4 : カラム
5 : 検出器
6 : インテグレータ
11 : HbA1a及びHbA1b
12 : HbF
13 : 不安定型HbA1c
14 : 安定型HbA1c
15 : HbA0

Claims (2)

  1. カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法において、
    カオトロピックイオンを含有し、かつpH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩を含有する溶離液を用い、
    カラム圧力を9.8×104Pa〜3.9×106Paに設定して測定を行うことにより、安定型HbA1cから不安定型HbA1cを分離することを特徴とするヘモグロビン類の測定方法。
  2. 請求項1記載のヘモグロビン類の測定方法であって、
    グラディエント溶出法を用いて上記溶離液の送液を行なうことを特徴とするヘモグロビン類の測定方法。
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