JP4571046B2 - ヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents
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即ち、陽イオン交換LCによる安定型HbA1c値(%)の測定を目的として、血液検体のヘモグロビン類を測定する際、安定型HbA1cの測定値に影響を与えないように、安定型HbA1cと溶出挙動が近似している不安定型HbA1cやAHb及びCHbピークを、安定型HbA1cピークから分離することが困難であった。
しかしながら、このような方法では、高度に修飾されたアセチル化Hb、カルバミル化Hbを充分に分離できないという欠点があった。
以下に本発明を詳述する。
なお、上記チオ尿素化合物は、完全に溶離液に溶解する濃度で添加することが好ましい。
このため、上記チオ尿素化合物の溶解性を高めることを目的として、溶離液にメタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン等の水溶性有機溶媒を混合してもよい。
上記無機酸としては、例えば、炭酸、リン酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば、カルボン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、カコジル酸、ピロリン酸等が挙げられる。
なお、上記無機酸、有機酸又はこれらの塩は、複数種混合して用いてもよく、無機酸と有機酸を混合して用いてもよい。
更に、ベースライン変動をより小さくするために、上記測定目的のピークを分離するにあたって用いる溶離液は、緩衝剤の濃度も同一であるものを用いるのがより好ましい。
なお、通常のヘモグロビン類の測定において、測定目的となるヘモグロビン類としては、HbA1a、HbA1b、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1c、HbA0等が挙げられるが、このうちHbA0より前に溶出されてくる各ヘモグロビン成分とは、HbA1a、HbA1b、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cのことをいう。
また、塩濃度勾配法やpH勾配法又はこの2つの組み合わせを行うことにより、安定型HbA1c等の測定対象ピークをシャープに溶出させることが可能になる。
なお、HbA0を溶出するための溶離液を送液した後、HbA2、HbS、HbC等を溶離するために使用する溶離液としては、より溶出力の強い溶離液を使用する必要がある。
上記陽イオン交換液体クロマトグラフィーの充填剤は、少なくとも1種以上のカチオン交換基を有している粒子よりなるものであり、例えば、高分子粒子にカチオン交換基を導入することにより得ることができる。
また、上記粒子の粒度分布を示す変動係数値(CV値)の好ましい上限は40%、より好ましい上限は30%である。なお、粒子径の標準偏差÷平均直径×100から求めることができる。
上記高分子粒子において、導入されるカチオン交換基以外の構成成分は、より親水性であることが好ましい。また耐圧性・耐膨潤性の点から架橋度の高いものが好ましい。
また、特公平8−7197号公報に記載のように、架橋重合体粒子を調製した後、カチオン交換基を有する単量体を添加して、重合体粒子の表面付近に、該単量体を重合させる方法により、カチオン交換基を有する充填剤粒子を調製してもよい。
上記カラムの材質としては特に限定されず、例えば、公知のステンレス製、ガラス製、樹脂製等が挙げられる。
上記カラムのサイズとしては、内径0.1〜50mm、長さ1〜300mmのものが好ましく、内径0.2〜30mm、長さ5〜200mmのものがより好ましい。
上記pKaが上記範囲外であると、溶離液のpHを、測定目的のピークを分離するのに適切な範囲とすることができず、結果として、ヘモグロビン類が変性したり、ヘモグロビン類の分離が困難となったりすることがある。
なお、上記緩衝剤としては、pKaを2.15〜6.39及び6.40〜10.50の範囲に少なくとも1つずつもつ単一の物質を用いてもよく、2.15〜6.39の範囲内に少なくとも1つのpKaをもつ物質と6.40〜10.50の範囲内に少なくとも1つのpKaをもつ物質とを組み合わせて緩衝剤として用いてもよい。また、上記緩衝剤を複数組み合わせて用いてもよい。
上記ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸等が挙げられる。
(1)充填剤の調製
テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)400g及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸150gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)1.5gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素雰囲気下で75℃に昇温し、8時間重合した。重合後、洗浄し乾燥した後、分級して平均粒子径6μmの粒子を得た。
得られた粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液(pH5.8)30mLに分散し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製の空カラム(内径4.6×30mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。次いで、パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300kg/cm2で定圧充填した。
NaClを50mM、チオ尿素を250mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.4)を調製し、溶離液Aとした。また、NaClを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.4)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
健常人血をフッ化ナトリウム採血した全血検体から以下の試料を調製した。なお、溶血試薬として、0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)を含有するリン酸緩衝液溶液(pH7.0)を用いた。
(a)糖負荷血:全血検体に2000mg/dLのグルコース水溶液を添加し、37℃で3時間反応させ、次いで上記溶血試薬により溶血し、200倍に希釈して試料aとした。
(b)AHb含有試料:全血検体15mLに、0.75g/dlのアセトアルデヒドの生理食塩水溶液1mLを添加し、37℃で2時間反応させ、次いで上記溶血試薬により溶血し、200倍に希釈して試料bとした。
(c)CHb含有試料:全血検体15mLに、0.75g/dlのシアン酸ナトリウムの生理食塩水溶液1mLを添加し、37℃で2時間反応させ、次いで上記溶血試薬により溶血し、200倍に希釈して試料cとした。
実施例1の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例1と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
NaClを50mM、チオ尿素を250mM含有する50mMリン酸−10mMコハク酸緩衝液(pH5.4)を調製し、溶離液Aとした。また、NaClを200mM含有する50mMリン酸−10mMコハク酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例1の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例1と同様にして充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
NaClを50mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.4)を調製し、溶離液Aとした。また、NaClを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
(1)ヘモグロビン類の測定
実施例1〜2、比較例1で得られたカラム、溶離液及び測定試料を用いて、以下の条件でヘモグロビン類の測定を行った。なお、溶離液は、測定開始より0〜2分の間は溶離液Aを送液し、2〜2.2分の間は溶離液Bを送液し、2.2〜3分の間は溶離液Aを送液した。
システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
測定条件:流速:2.0mL/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μL
実施例1で得られたカラム、溶離液及び測定試料を用いて、ヘモグロビン類を測定することにより、得られたクロマトグラムを図4〜6に示す。図4は試料a、図5は試料b、図6は試料cを測定した結果である。また、ピーク1はHbA1a及びHbA1b、ピーク2はHbF、ピーク3は不安定型HbA1c、ピーク4は安定型HbA1c、ピーク5はHbA0、ピーク6はAHb、ピーク7はCHbを示す。
図4では、ピーク3及び4が良好に分離されている。また、図5ではピーク6(AHb)が、図6ではピーク7(CHb)がピーク4から良好に分離されている。
また、実施例2で得られたカラム、溶離液及び測定試料を用いて、ヘモグロビン類を測定した場合も図4〜6と同様の結果であった。
従って、実施例1〜2では、良好にCHbピーク及びAHbピークをA1cピークから分離できることがわかる。
(1)充填剤の調製
テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)400g及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸150gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)1.5gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素雰囲気下で75℃に昇温し、8時間重合した。重合後、洗浄し乾燥した後、分級して平均粒径6μmの粒子を得た。
得られた粒子をカラムに以下のようにして充填した。粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液(pH5.8)30mLに分散し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製の空カラム(内径4.6×30mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300kg/cm2で定圧充填した。
過塩素酸Naを50mM、チオ尿素を250mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
健常人血をフッ化ナトリウム採血した全血検体から以下の試料を調製した。なお、溶血試薬として、0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)を含有するリン酸緩衝液溶液(pH7.0)を用いた。
(a)糖負荷血:全血検体に2000mg/dLのグルコース水溶液を添加し、37℃で3時間反応させ、次いで上記溶血試薬により溶血し、100倍に希釈して試料aとした。
(b)AHb含有試料:全血検体15mLに、0.75g/dlのアセトアルデヒドの生理食塩水溶液1mLを添加し、37℃で2時間反応させ、次いで上記溶血試薬により溶血し、100倍に希釈して試料bとした。
(c)CHb含有試料:全血検体15mLに、0.75g/dlのシアン酸ナトリウムの生理食塩水溶液1mLを添加し、37℃で2時間反応させ、次いで上記溶血試薬により溶血し、100倍に希釈して試料cとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、N,N’−ジメチルチオ尿素を150mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、N−メチルチオ尿素を50mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、1,3−ジエチルチオ尿素を150mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、アリルチオ尿素を150mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、トリメチルチオ尿素を100mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを500mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、1−アリル−3−(2−ヒドロキシエチル)−2−チオ尿素を100mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、コハク酸を10mM、1,1,3,3−テトラメチル−2−チオ尿素を100mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、コハク酸を10mM、1−エチル−2−チオ尿素を50mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
コハク酸を20mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを400mM含有する20mMコハク酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、チオ尿素を0.5mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、チオ尿素を4000mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
(2)ヘモグロビン類の測定
実施例3〜11、比較例2〜5で得られたカラム、溶離液及び測定試料を用いて、以下の条件でヘモグロビン類の測定を行った。なお、溶離液は、測定開始より0〜1.5分の間は溶離液Aを送液し、1.5〜1.7分の間は溶離液Bを送液し、1.7〜2.2分の間は溶離液Aを送液した。
システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
測定条件:流速:2.0mL/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μL
実施例3で得られたカラム、溶離液及び測定試料を用いて、ヘモグロビン類を測定することにより、得られたクロマトグラムを図10〜12に示す。図10は試料a、図11は試料b、図12は試料cを測定した結果である。ピーク1はHbA1a及びHbA1b、ピーク2はHbF、ピーク3は不安定型HbA1c、ピーク4は安定型HbA1c、ピーク5はHbA0、ピーク6はAHb、ピーク7はCHbを示す。
図10では、ピーク3及び4が良好に分離されている。また、図11ではピーク6(AHb)、図12ではピーク7(CHb)がピーク4から良好に分離されている。
また、実施例3〜11で得られたカラム、溶離液及び測定試料を用いて、ヘモグロビン類を測定した場合も図10〜12と同様の結果であった。
(3)チオ尿素濃度と分離度との関係
実施例3で得られたカラム、溶離液及び測定試料を用いて、溶離液Aのチオ尿素の濃度を変化させた場合について、(1)と同様のヘモグロビン類の測定を行い、CHb分離性能を以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
◎:CHb分離性能が非常に優れる。
○:CHb分離性能が優れる。
△:CHb分離性能が劣る。
×:CHb分離性能が非常に劣る。
実施例3の(3)において、以下の操作を行った以外は、実施例3と同様にして、充填剤の調製、カラムへの充填、溶離液及び測定試料の調製を行った。
(3)溶離液A、Bの調製
過塩素酸Naを50mM、尿素を150mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH5.3)を調製し、溶離液Aとした。また、過塩素酸Naを200mM含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を調製し、溶離液Bとした。なお、リン酸のpKaは表1に記載の通りとした。
(4)溶離液の安定性評価
実施例3及び比較例6の溶離液を2つの400mLガラスバイアルに380mLづつ分注し、1つを(A)室温で2週間静置保存し、もう1つを(B)60℃で2週間加温保存した。その後、各溶離液を室温に戻した後、評価(2)と同様の方法で、修飾Hb分離性能を評価した。
その結果、実施例3で得られた溶離液を用いた場合は、(A)室温で2週間静置保存した溶離液及び(B)60℃で2週間加温保存した溶離液とも、図10〜図12と同様に、高度に修飾された修飾Hbの分離性能は非常に良好であった。
これに対して、溶離液に尿素を添加した比較例6では、調製直後の修飾Hb分離性能は、実施例3と同様に良好であったが、(A)室温で2週間静置保存した溶離液では、僅かにヘモグロビン類の分離は可能であったが、A1cRT(A1c保持時間)が調製直後より非常に早くなった。これは、尿素が酸性条件で分解したためと考えられた。
また、(B)60℃で2週間加温保存した溶離液では、ヘモグロビン類の分離も全くできなかった。これは、尿素が酸性及び加温条件で分解したためと考えられた。
以上より、実施例3を得られた溶離液を用いることにより、高度に修飾された修飾Hbでも、分離性能に優れ、安定型A1cを高精度に分離測定でき、しかも、溶離液の保存安定性に優れたヘモグロビン類の測定方法を提供できることがわかる。
2 送液ポンプ
3 試料注入部
4 カラム
5 検出器
6 インテグレータ
Claims (3)
- 陽イオン交換液体クロマトグラフィーを用いたヘモグロビン類の測定方法であって、チオ尿素化合物の含有量が1〜3000mMであり、pH4.0〜6.8で緩衝能を有する無機酸、有機酸及び/又はこれらの塩を含有する溶離液を用いることを特徴とするヘモグロビン類の測定方法。
- 陽イオン交換液体クロマトグラフィーを用いたヘモグロビン類の測定方法であって、チオ尿素化合物と、酸解離定数(pka)が、2.15〜6.39及び6.40〜10.50の範囲内である緩衝剤とを含有する溶離液を用いることを特徴とするヘモグロビン類の測定方法。
- 溶離液は、更にカオトロピックイオンを含有することを特徴とする請求項1又は2記載のヘモグロビン類の測定方法。
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