JP2002082105A - 液体クロマトグラフィー用充填剤、カラム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents

液体クロマトグラフィー用充填剤、カラム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法

Info

Publication number
JP2002082105A
JP2002082105A JP2001186358A JP2001186358A JP2002082105A JP 2002082105 A JP2002082105 A JP 2002082105A JP 2001186358 A JP2001186358 A JP 2001186358A JP 2001186358 A JP2001186358 A JP 2001186358A JP 2002082105 A JP2002082105 A JP 2002082105A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filler
acid
column
hemoglobin
eluent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001186358A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Setoguchi
雄二 瀬戸口
Kazuyuki Oishi
和之 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2001186358A priority Critical patent/JP2002082105A/ja
Publication of JP2002082105A publication Critical patent/JP2002082105A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来法よりも短時間でかつ高精度にヘモグロ
ビン類を分離することが可能な、充填剤、カラム及びこ
れらを用いたヘモグロビン類の測定方法を提供する。 【解決手段】 ヘモグロビン類の測定方法に用いられ
る、カチオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤であ
って、安定型HbA1c保持力試験法により、80mM
リン酸緩衝液(pH5.60)を使用して測定した保持
力パラメータが2.5〜60、及び/または、45mM
過塩素酸含有30mMリン酸緩衝液(pH5.50)を
使用して測定した保持力パラメータが1.5〜60であ
ることを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘモグロビン類の
測定に適した、液体クロマトグラフィー用充填剤、カラ
ム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ヘモグロビンA1c(以下、HbA1c
という)は、血液中の糖が赤血球に入った後に、ヘモグ
ロビンと不可逆的に結合して生成したものであり、過去
1〜2ヶ月間の血液中の平均的な血糖値(血液中のグル
コース濃度)を反映する。このため、HbA1cは、糖
尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態
を把握する等の糖尿病診断の指標として広く利用されて
いる。
【0003】HbA1cは、血液中のグルコースとヘモ
グロビンA(以下、HbAという)とが、反応して生成
された糖化ヘモグロビン(以下、GHbという)であ
り、これが可逆的に反応したものを不安定型ヘモグロビ
ンA1c(unstable HbA1c:以下、不安定型HbA1c
という)と呼び、不安定型HbA1cを経て不可逆的に
反応したものを安定型ヘモグロビンA1c(stable HbA
1c:以下、安定型HbA1cという)と呼んでいる。そ
して、上記糖尿病診断の指標としては、安定型HbA1
cを用いることが好ましく、臨床検査分野では、高精度
で、しかも、短時間に安定型HbA1cの比率を測定し
うる方法の開発が望まれていた。
【0004】従来、HbA1cの測定方法としては、一
般に液体クロマトグラフィー法や免疫法が用いられてお
り、液体クロマトグラフィー法によるHbA1cの測定
は、主にカチオン交換液体クロマトグラフィー法により
行われている(特公平8−7198号公報など)。溶血
試料をカチオン交換液体クロマトグラフィーにより分離
すると、通常、ヘモグロビンA1a(以下、HbA1a
という)及びヘモグロビンA1b(以下、HbA1bと
いう)、ヘモグロビンF(以下、HbFという)、不安
定型HbA1c、安定型HbA1c並びにヘモグロビン
A0(以下、HbA0という)の順に溶出される。
【0005】このうち、糖尿病の診断の指標として使用
されるのは、最近では、上記したとおり安定型HbA1
cであり、安定型HbA1c値は、全ヘモグロビンピー
クの面積に対する安定型HbA1cピークの面積の比率
(%)として求められている。
【0006】従って、安定型HbA1c値を正確に測定
するためには、安定型HbA1cのピークのみを高精度
に分離する技術が必要であるが、従来においては、安定
型HbA1cのピークの近傍に出現する不安定型HbA
1cのピークやアセチル化ヘモグロビン(以下、AHb
という)、カルバミル化ヘモグロビン(以下CHbとい
う)などの修飾ヘモグロビンのピークと、安定型HbA
1cのピークとを高精度かつ短時間に分離するのは極め
て困難であった。
【0007】この問題の解決を図るため、例えば特開平
11−295288号には、充填剤のイオン交換容量を
規定することにより、ヘモグロビン類の高精度分離を試
みた充填剤が開示されている。しかしながら、イオン交
換容量の最適化のみを行っても、ヘモグロビン類を高精
度かつ短時間に分離測定するには、必ずしも充分なもの
ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このようにイオン交換
容量の最適化のみでは不十分であるのは、充填剤とヘモ
グロビンとの相互作用の大きさは、充填剤のイオン交換
容量に基づくカチオン交換作用のみで決定されるもので
はなく、充填剤粒子の非イオン交換性部分による疎水性
相互作用による吸着効果も考慮に入れる必要があるため
であると考えられた。
【0009】そこで、本発明者らは、「安定型HbA1
c保持力試験法による保持力パラメータ」という概念を
新規に導入し、このパラメータを規定した特定の充填剤
を利用することによって、上記従来の問題点を解消でき
ることを見出した。この保持力パラメータは、従来から
用いられていたイオン交換容量のみでは表わすことので
きない、充填剤とヘモグロビンとの相互作用をトータル
として表わす指標であるといえる。
【0010】つまり本発明の目的は、上記保持力パラメ
ータを規定することにより、従来法よりも短時間でかつ
高精度にヘモグロビン類を分離することが可能な、充填
剤、カラム及びこれらを用いたヘモグロビン類の測定方
法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
ヘモグロビン類の測定方法に用いられる、カチオン交換
液体クロマトグラフィー用充填剤であって、安定型Hb
A1c保持力試験法により、80mMリン酸緩衝液(p
H5.60)を使用して測定した保持力パラメータが
2.5〜60、及び/または、45mM過塩素酸含有3
0mMリン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定し
た保持力パラメータが1.5〜60であることを特徴と
する液体クロマトグラフィー用充填剤である。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の液
体クロマトグラフィー用充填剤が、カラム筐体に充填さ
れてなる液体クロマトグラフィー用カラムである。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1記載の充
填剤または請求項2記載のカラムを使用した、液体クロ
マトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法であ
る。
【0014】まず、充填剤に係わる本発明について詳説
する。
【0015】本明細書でいう「安定型HbA1c保持力
試験法」とは、特定形態のカラム筐体に充填剤を充填し
た後、ヘモグロビンコントロール希釈液を所定の溶離液
によって溶出させ、保持力パラメータを測定することに
より、充填剤が有する安定型HbA1cの保持力を評価
する試験法である。
【0016】上記特定形態のカラム筐体としては、図1
に示すように、円筒形のものであって、円筒底面の内径
が4.6mm、円筒の高さが35mmのものを用いる。
また、カラム筐体の素材としては、ステンレスを用い
る。
【0017】カラム筐体1の両開口端には、フィルター
2を配置し、後述のようにして充填剤3を充填後、エン
ドフィッティング4によりカラム筐体に固定される。フ
ィルターは、直径5.0mm、厚さ1.5mmの円盤状
であって、孔径2μmの細孔を有するものを用いる。ま
た、フィルターの素材としては、PEEK(ポリエーテ
ルエーテルケトン)を、エンドフィッティングの素材と
してはステンレスを用いる。
【0018】上記カラム筐体に充填される充填剤は、カ
チオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤、すなわ
ち、1種または複数種のカチオン交換基を有する充填剤
である。かかる充填剤は、例えば、高分子粒子にカチオ
ン交換基を導入することにより得られ、カチオン交換基
としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リ
ン酸基などが挙げられる。また充填剤粒子を構成する素
材としては、シリカ系、セラミックス系などの無機高分
子粒子;ポリスチレン系、ポリアクリル系などの有機合
成高分子粒子;ポリアミノ酸、キトサンや多糖類などの
天然高分子粒子などが挙げられる。
【0019】上記高分子粒子へのカチオン交換基の導入
は、公知の方法により行うことができるが、例えば、高
分子粒子を調製後、粒子が有する官能基(水酸基、アミ
ノ基、エポキシ基など)に、化学反応でカチオン交換基
を粒子に導入させる方法により行うことができる。ま
た、カチオン交換基を有する単量体を重合して高分子粒
子を調製する方法によってもカチオン交換充填剤を調製
できる。例えば、カチオン交換基含有単量体と架橋性単
量体等とを混合し、重合開始剤の存在下に重合する方法
などが挙げられる。(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチルなどのカチオン交換基に変換し得
る官能基を有する単量体を架橋性単量体などと混合し、
重合開始剤存在下で重合した後、得られた粒子の該官能
基を化学反応によりカチオン交換基に変換させてもよ
い。更に、特公平8−7197号公報に記載のように、
架橋重合体粒子を調製した後、カチオン交換基を有する
単量体を添加して、重合体粒子の表面付近に、該単量体
を重合させても良い。
【0020】上記充填剤粒子の直径は、好ましくは0.
5〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。ま
た、粒度分布は、変動係数値(CV値)(粒径の標準偏
差÷平均直径×100(%))として、好ましくは40
%以下、より好ましくは30%以下である。また、比較
的粒径の小さい充填剤(例えば、粒径3μm以下の充填
剤:多孔性及び非多孔性充填剤を含む)を用いてもよ
い。
【0021】上記カラム筐体への充填剤の充填は、公知
の湿式スラリー法に従い、充填剤0.7gを80mMリ
ン酸緩衝液(pH5.6)30mLに分散させ、このス
ラリーをパッカーを用いて、ポンプ圧力300kgf/
cm2(2.94×107Pa)でカラム筐体内に定圧充
填することにより行う。
【0022】上記ヘモグロビンコントロール希釈液は、
市販の凍結乾燥血液試料(コントロール血液)を精製水
で希釈し、これを溶血希釈液で101倍に希釈、溶血さ
せたものである。
【0023】市販の凍結乾燥血液試料としては、例え
ば、国際試薬(株)社製 グリコヘモグロビンコントロ
ール レベル2等を好適に用いることができる。
【0024】上記溶血希釈液は、下記の組成物を含有す
る水溶液で構成される。 ・ リン酸水素2ナトリウム12水和物:6.06mM ・ リン酸2水素ナトリウム2水和物:2mM ・ 界面活性剤(トリトンX−100):0.1(w/
w)% なおpH調整のために、リン酸または水酸化ナトリウム
を添加してもよい。pHは7.50±0.01となるよ
う調整される。
【0025】安定型HbA1c保持力試験に用いられる
溶離液である、80mMリン酸緩衝液(pH5.60)
は、下記の組成物を含有する水溶液で構成される。 ・ リン酸水素2ナトリウム12水和物:2mM ・ リン酸2水素ナトリウム2水和物:78mM なおpH調整のために、リン酸または水酸化ナトリウム
を添加してもよい。pHは5.60±0.01となるよ
う調整される。
【0026】また、安定型HbA1c保持力試験に用い
られるもう一種の溶離液である、45mM過塩素酸含有
30mMリン酸緩衝液(pH5.50)は、下記の組成
物を含有する水溶液で構成される。 ・ 過塩素酸ナトリウム(無水物):45mM ・ リン酸水素2ナトリウム12水和物:0.73mM ・ リン酸2水素ナトリウム2水和物:29.27mM なおpH調整のために、リン酸または水酸化ナトリウム
を添加してもよい。pHは5.50±0.01となるよ
う調整される。
【0027】安定型HbA1c保持力試験は、一般的な
液体クロマトグラフィー装置を用いて実施される。例え
ば、図2に示したように、溶離液5a、送液ポンプ5、
試料導入装置6、カラム7、カラム恒温槽8、検出器
9、データ処理装置10などの装置が接続された液体ク
ロマトグラフィー装置(例えば島津製作所製LC−10
Aシステムなど)を用いる。
【0028】ただし、上記液体クロマトグラフィー装置
において、試料導入装置6のサンプル注入口からカラム
7入口までの配管の長さは10cm、カラム7出口から
検出器9入口までの配管の長さは60cmとされる。ま
た、配管の内径は0.25mm、素材はポリエーテルエ
ーテルケトンとする。
【0029】また、安定型HbA1c保持力試験は以下
の条件下で行う。 ・ ヘモグロビンコントロール希釈液(試料)注入量:
10μL ・ カラム恒温槽の温度:40±0.2℃ ・ 溶離液の流速:1.30mL/min ・ 検出波長:415nm
【0030】このような安定型HbA1c保持力試験法
による保持力パラメータは、ヘモグロビンコントロール
希釈液が試料導入装置6により注入されてから、安定型
HbA1cのピークトップが溶出されるまでの時間
(分)で表わされる。
【0031】本発明の充填剤は、少なくとも、上記80
mMリン酸緩衝液(pH5.60)を使用して測定した
保持力パラメータが2.5〜60、あるいは45mM過
塩素酸含有30mMリン酸緩衝液(pH5.50)を使
用して測定した保持力パラメータが1.5〜60であ
り、より好ましくは、この両方の保持力パラメータを有
する充填剤である。
【0032】上記80mMリン酸緩衝液(pH5.6
0)を使用して測定した保持力パラメータは、より好ま
しくは3.5〜45、特に好ましくは4.5〜30であ
る。これは、80mMリン酸緩衝液(pH5.60)を
使用して測定した保持力パラメータが2.5未満である
場合、ヘモグロビン類の充填剤への保持が弱いため、H
bA0溶出のための溶出力の強い溶離液の影響を大きく
受け、ヘモグロビン類の分離が悪化し、また、保持力パ
ラメータが60を超えるとヘモグロビン類が充填剤に吸
着して分離できなくなるためである。
【0033】上記45mM過塩素酸含有30mMリン酸
緩衝液(pH5.50)を使用して測定した保持力パラ
メータは、より好ましくは2.0〜45、特に好ましく
は2.5〜30である。これは、45mM過塩素酸含有
30mMリン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定
した保持力パラメータが1.5未満である場合、ヘモグ
ロビン類の充填剤への保持が弱いため、HbA0溶出の
ための溶出力の強い溶離液の影響を大きく受け、ヘモグ
ロビン類の分離が悪化し、また、保持力パラメータが6
0を超えるとヘモグロビン類が充填剤に吸着して分離で
きなくなるためである。
【0034】次に、カラムに係わる発明について詳説す
る。本発明のカラムは、上述の充填剤が、カラム筐体に
充填されて構成される。
【0035】本発明のカラムに用いられるカラム筐体
は、一般的に使用されているカラム筐体を用いることが
でき、内径や長さは特に限定されるものではないが、好
ましくは内径0.1〜50mm、長さ1〜300mm、
より好ましくは内径0.2〜30mm、長さ5〜200
mm、特に好ましくは内径0.3〜10mm、長さ10
〜150mmのものが用いられる。また、カラム筐体の
材質としては、公知のステンレス等の金属、ガラス、P
EEK、テフロン(登録商標)等の樹脂などが用いられ
る。また、カラム筐体内で充填剤と接する部位を、不活
性な素材で被覆してもよく、その素材としては、例えば
PEEK、ポリエチレン、テフロン、チタン化合物、珪
素化合物、シリコン膜等が挙げられる。
【0036】カラム筐体の両端には、フィルターを設置
するのが好ましく、このフィルターの素材としては、公
知の素材、例えば、ステンレス、酸化チタン等の金属や
各種樹脂が用いられる。特にヘモグロビン類の吸着が少
ないイナートな素材のものが好ましく、例えば、PEE
K、ポリエチレン、テフロン、チタンなどが用いられ
る。また、ステンレス製のフィルターのように、ヘモグ
ロビン類の吸着が大きいものを用いる場合は、表面をシ
リコーン処理、または、公知のブロッキング試薬(アル
ブミン、牛血清アルブミン、カゼイン、ゼラチンなど)
でブロッキングして用いるのが良い。
【0037】充填剤のカラム筐体への充填方法は、特に
限定されず公知の任意の方法が使用できるが、スラリー
充填法を用いるのがより好ましい。具体的には、充填剤
を溶離液などの緩衝液に分散させたスラリーを、送液ポ
ンプなどによりカラム筐体に圧入することにより行うこ
とができる。
【0038】次に、ヘモグロビン類の測定方法に係わる
発明について詳説する。本発明の測定方法は、上述の充
填剤あるいはカラムを用いた、ヘモグロビン類の測定方
法である。
【0039】本発明方法を実施するのに使用される液体
クロマトグラフィーは、公知のものでよく、例えば、送
液ポンプ、試料注入装置(サンプラ)、カラム、検出器
などから構成される。また、他の付属装置(プレフィル
タ、カラム恒温槽や溶離液の脱気装置など)が適宜付属
されてもよい。
【0040】また、セミミクロタイプの装置を用いても
よく、一例としては、資生堂社製のNANOSPACE
シリーズが挙げられ、送液ポンプ:イナートポンプ20
01NANOSPACE SI−1、オートサンプラー
2003、検出器UV−VIS検出器200などで構成
される。
【0041】上記測定方法における溶離液の流速は、好
ましくは0.001〜5mL/分、より好ましくは0.
01〜4mL/分、特に好ましくは0.1〜3mL/分
である。ヘモグロビン類の検出は、415nmの可視光
が好ましいが、特にこれのみに限定されるわけではな
い。測定試料は、通常、界面活性剤など溶血活性を有す
る物質を含む溶液により溶血された溶血液を、10〜1
000倍程度に希釈したものを用いる。液体クロマトグ
ラフィーへの試料注入量は、希釈倍率により異なるが、
好ましくは0.1〜100μL程度である。
【0042】また、本発明の測定方法においては、下記
の2種以上の溶離液を用い、公知の溶出方法、すなわち
グラディエント溶出法、ステップグラディエント溶出法
により、溶離液の送液を行うのが好ましい。
【0043】本発明では、少なくとも安定型HbA1c
を分離するための溶離液(溶離液A)と、HbA0成分
を溶出するための溶離液(溶離液B)の2種類の溶離液
を用いるのが好ましい。
【0044】上記溶離液Aは、pH4.0〜6.8、好
ましくはpH4.5〜5.8の緩衝液である。これは、
pHが4未満の場合,ヘモグロビン類が変性する可能性
があり、pHが6.8を超えると、ヘモグロビン類のプ
ラス電荷が減少し、カチオン交換基に保持されにくくな
り、分離能が悪くなるためである。
【0045】溶離液Aは、複数の異なる組成、異なる液
性の2種以上の溶離液(溶離液A1、溶離液A2…)か
ら構成される溶離液群Aであってもよい。複数の溶離液
からなる溶離液群Aを用いる場合、安定型HbA1cが
溶出されるまでに、リニアグラディエント法あるいはス
テップグラディエント法により溶離液を切り替えること
により溶出を行うことができる。
【0046】上記溶離液Aには、以下に示す(1)無機
塩類、(2)pH調節剤、(3)有機溶媒(4)安定
剤、(5)アミン類、(6)界面活性剤、(7)カオト
ロピックイオン、(8)防腐剤、(9)pH4〜6.8
で緩衝能を持つ無機酸、有機酸等を添加してもよい。
【0047】(1)無機塩類としては、例えば、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウ
ム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの塩類
の濃度は、特に限定されないが、好ましくは1〜150
0mMである。
【0048】(2)pH調節剤として、公知の酸、塩基
を添加してもよい。酸としては、例えば、塩酸、リン
酸、硝酸、硫酸等が挙げられ、また、塩基としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水
酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム
等が挙げられる。これらの酸、塩基の濃度は、特に限定
されないが、好ましくは、0.001〜500mMであ
る。
【0049】(3)メタノール、エタノール、アセトニ
トリル、アセトンなどの水溶性有機溶媒と混合してもよ
い。これらの有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、
好ましくは0〜80体積%であり、カオトロピックイオ
ン、無機酸、有機酸、これらの塩などが析出しない程度
で用いるのが好ましい。
【0050】(4)ヘモグロビン類の安定剤として、公
知の安定剤を添加してもよい。該安定剤としては、例え
ば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート
剤、グルタチオン等の還元剤・酸化防止剤等を添加して
もよい。
【0051】(5)ヘモグロビン類の非特異的吸着を少
なくするために、アミン類を添加してもよい。該アミン
類としては、公知のものが用いられ、好ましくは、分子
量20〜500の第1級アミン、第2級アミン及び第3
級アミンが挙げられる。
【0052】(6)界面活性剤として、ノニオン性界面
活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤
等を添加してもよい。界面活性剤を用いることにより、
溶血を効率よく行うだけでなく、例えば高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)等で測定を行う場合、溶血試
薬の通過する流路等を洗浄する効果がある。上記界面活
性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤が使用され、
例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリオキシエチ
レンをPOE、エチレンオキシド付加モル数を(n)で
表す。)、POE(7)デシルエーテル、POE(n)
ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテ
ル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE
(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテ
ル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セ
チルーステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェ
ニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、
モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタ
ン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソル
ビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、PO
E(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モ
ノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン
酸ソルビタン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、
単独でもまた複数混合して用いてもよい。また、これら
の界面活性剤の添加量は、好ましくは0.01〜10重
量%である。
【0053】(7)溶離液Aには、カオトロピックイオ
ンを添加してもよい。該カオトロピックイオンとは、水
溶液に解離して生じたイオンにより、水の構造が破壊さ
れ、疎水性物質と水が接触したときに起こる、水のエン
トロピー減少を抑制するもので、具体的には、陰イオン
としては、トリブロモ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオ
ン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イ
オン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、臭化物イオ
ン、塩化物イオン、酢酸イオン等が挙げられ、またその
他に尿素等が挙げられる。また、陽イオンとしては、バ
リウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオ
ン、リチウムイオン、セシウムイオン、カリウムイオ
ン、グアニジンイオン等が挙げられる。これらの中で
も、より好ましくは、陰イオンとしては、トリブロモ酢
酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオ
ン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、ジクロロ酢酸イ
オン、硝酸イオン、臭化物イオン等が挙げられ、陽イオ
ンとしては、バリウムイオン、カルシウムイオン、マグ
ネシウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、グ
アニジンイオン等であり、特に好ましくは、トリブロモ
酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、ヨウ化物イオン、
チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、グ
アニジンイオン等が用いられる。
【0054】(8)防腐剤としてアジ化ナトリウム、チ
モールなどを添加しても良い。
【0055】(9)pH4〜6.8で緩衝能を持つ無機
酸、有機酸及び/またはこれらの塩を添加しても良い。
上記無機酸としては、例えば、リン酸、炭酸等が挙げら
れる。上記有機酸及び有機物としては、例えば、カルボ
ン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒドロキシカ
ルボン酸、カコジル酸、アミノ酸、ピロリン酸等が挙げ
られる。
【0056】上記カルボン酸としては、例えば、酢酸、
プロピオン酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸として
は、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられ
る。上記カルボン酸誘導体としては、例えば、β、β−
ジメチルグルタル酸、バルビツール酸、アミノ酪酸等が
挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、例え
ば、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。上記アミ
ノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、アスパラギン
等が挙げられる。上記無機酸または有機酸の塩として
は、公知のものでよく、例えばナトリウム塩、カリウム
塩等が挙げられる。上記無機酸、有機酸及び/またはこ
れらの塩は、単独でもまた、複数混合して用いても良
く、さらに、無機酸と有機酸を混合して用いてもよい。
【0057】溶離液A中の上記無機酸、有機酸等の濃度
は、水に溶解された状態で、溶離液AのpHを4.0〜
6.8にする緩衝作用がある範囲であればよく、好まし
くは1mM〜1000mMであり、より好ましくは10
〜500mMである。
【0058】上記無機酸、有機酸及び/またはこれらの
塩の中でも、酸解離定数(pKa)が2.15〜6.3
9と6.4〜10.5の両方にあるものを用いるのがよ
り好ましい。この場合、単一でpKa値が2.15〜
6.39と6.4〜10.5の両方にある物質を用いて
もよいし、緩衝液組成として複数の物質を含有している
場合、少なくとも一種の物質のpKa値が2.15〜
6.39にあり、別の少なくとも一種の物質のpKa値
が6.4〜10.5にあるような組み合わせで用いても
よい。
【0059】上記溶離液Bとしては、そのpHが6.8
以上、好ましくは7〜12、さらに好ましくは7.5〜
11、特に好ましくは8〜9.5のものを用いる。溶離
液BのpHが6.8未満の場合は、高濃度に存在するH
bA0成分の溶出が十分行われず、分離性能やカラム耐
久性の低下の要因となる。また溶離液BのpHが12よ
り高い場合は、場合によっては充填剤が変性して劣化す
る恐れがあるがあるため、通液時間をより短くするなど
の方策をとる必要がある。但し、充填剤の分解が測定値
に影響がない場合は、溶離液BのpHを12〜13.5
にしても良い。
【0060】溶離液Bは、複数の異なる組成、異なる液
性の2種以上の溶離液(溶離液B1、溶離液B2…)か
ら構成される溶離液群Bであってもよい
【0061】上記溶離液Bとしては、例えば、リン酸、
ホウ酸、炭酸等の無機酸または、その塩;クエン酸等の
ヒドロキシカルボン酸、β、β−ジメチルグルタル酸等
のカルボン酸誘導体、マレイン酸等のジカルボン酸、カ
コジル酸、等の有機酸または、その塩からなる緩衝液が
挙げられる。その他、2−(N−モリホリノ)エタンス
ルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラ
ジン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)、ビス
(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロキシ
メチル)メタン(Bistris)、Tris、AD
A、PIPES、Bistrispropane、AC
ES、MOPS、BES、TES、HEPES、HEP
PS、Tricine、Bicine、グリシルグリシ
ン、TAPS、CAPS等の一般にグッド(Good)
の緩衝液といわれるものも使用できる。また、Brit
tonとRobinsonの緩衝液;GTA緩衝液も使
用できる。また、イミダゾール等のイミダゾール類;エ
チレンジアミン、メチルアミン、エチルアミン、トリエ
チルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン等のアミン類;グリシン、β−アラニン、アスパラギ
ン酸、アスパラギン等のアミノ酸類;等の有機物も使用
できる。
【0062】上記無機酸、有機酸等の中でも、酸解離定
数(pKa)が2.15〜6.39と6.4〜10.5
の両方にあるものを用いるのがより好ましい。この場
合、単一でpKa値が2.15〜6.39と6.4〜1
0.5の両方にある物質を用いてもよいし、緩衝液組成
として複数の物質を含有している場合、少なくとも一種
の物質のpKa値が2.15〜6.39にあり、別の少
なくとも一種の物質のpKa値が6.4〜10.5にあ
る組み合わせで用いてもよい。
【0063】溶離液B中の上記無機酸、有機酸等の濃度
は、水に溶解された状態で溶離液BのpHを6.8以上
にする緩衝作用がある範囲であればよく、好ましくは、
1mM〜1000mMであり、より好ましくは10〜5
00mMである。
【0064】また、より効果的にHbA0成分を溶出す
るためには、上記溶離液Bに、カオトロピックイオンを
添加することが好ましい。上記カオトロピックイオン
は、前述した同様のものを用いることができる。カオト
ロピックイオンの溶離液B中の濃度は、1mM〜300
0mMが好ましく、10mM〜1000mMがより好ま
しい。特に好ましくは、50mM〜500mMである。
【0065】上記溶離液Bには、前述した溶離液Aに添
加される各種添加剤、例えば、(1)無機塩類、(2)
pH調節剤、(3)有機溶媒、(4)安定剤、(5)ア
ミン類、(6)界面活性剤、(8)防腐剤等の物質を添
加してもよい。
【0066】
【実施例】次に、実施例、比較例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定され
るものではない。
【0067】[実施例1] (1)充填剤の調製 テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化
学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタ
クリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に
過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。
これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社
製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素
雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次
いで、反応系を35℃に冷却した後、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の
50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し
1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し1.3時間重合
させた。重合後、洗浄し乾燥した後、分級して平均粒径
6.5μmの粒子を得た。
【0068】(2)安定型HbA1c保持力試験 上記充填剤について、上述の方法により安定型HbA1
c保持力試験を実施した。液体クロマトグラフィーのシ
ステムとしては、下記のものを用いた。 システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製) 検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
【0069】上記充填剤の80mMリン酸緩衝液(pH
5.60)を使用して測定した場合の保持力パラメータ
は18.5であり、45mM過塩素酸含有30mMリン
酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定した場合の保
持力パラメータは8.4であった。
【0070】(3)性能評価 実施例1の充填剤について、以下のようにしてヘモグロ
ビン類の測定を行ない、性能の評価を行った。 a)カラム筐体への充填 上記充填剤をカラム筐体に以下のようにして充填した。
充填剤粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液(pH
5.8)30mlに分散し、5分間超音波処理した後、
よく撹拌した。全量をステンレス製のカラム筐体(内径
4.6mm、長さ35mm)を接続したパッカー(梅谷
精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ
工業社製)を接続し、圧力300kgf/cm2(2.
94×107Pa)で定圧充填した。
【0071】b)ヘモグロビン類の測定 得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘモグロビ
ン類の測定を行った。 (測定条件) システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製) 検出器:SPD−6AV(島津製作所社製) 溶離液:溶離液A:46mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47 mMリン酸緩衝液(pH5.30) 溶離液B:60mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47 mMリン酸緩衝液(pH5.30) 溶離液C:250mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−4 7mMリン酸緩衝液(pH8.40) 送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、 0.6〜1.1分の間は溶離液Bを送液し、1.1〜 1.2分の間は溶離液Cを送液し、1.2〜1.5分の 間は溶離液Aを送液した。 流速:1.7mL/分 検出波長:415nm 試料注入量:10μL
【0072】(測定試料)健常人血をフッ化ナトリウム
採血した全血検体から以下の試料を調製した。なお、溶
血試薬として、0.1重量%ポリエチレングリコールモ
ノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−10
0)(東京化成社製)を含有させたリン酸緩衝溶液(p
H7.0)を用いた。
【0073】c)測定結果 上記測定条件により、得られたクロマトグラムを図3に
示した。ピーク11はHbA1a及びb、ピーク12は
HbF、ピーク13は不安定型HbA1c、ピーク14
は安定型HbA1c、ピーク15はHbA0を示す。図
3より、1.5分サイクルで安定型A1cを分離測定で
きたことが分かる。
【0074】[比較例1] (1)充填剤の調製 東ソー社から市販されているヘモグロビン測定用カラム
(自動グリコHb分析計HLC−723GHbV専用カ
ラム)に充填されていた充填剤を比較例1の充填剤とし
た。
【0075】(2)安定型HbA1c保持力試験 比較例1の充填剤について、実施例1と同様にして安定
型HbA1c保持力試験を行った。80mMリン酸緩衝
液(pH5.60)を使用して測定した場合の保持力パ
ラメータは2.1であり、45mM過塩素酸含有30m
Mリン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定した場
合の保持力パラメータは1.1であった。
【0076】(3)性能評価 実施例1と同様にして、性能評価を行い、得られたクロ
マトグラムを図4に示した。図4から明らかなように、
実施例1に比べてヘモグロビン類の分離パターンが悪化
した。
【0077】また、HbA0溶出後、溶離液Aでの平衡
化時間を10分にしたら、実施例1と同様なクロマトグ
ラムが得られたが、測定時間は、12分もかかってしま
った。
【0078】[比較例2] (1)充填剤の調製 資生堂社から市販されているヘモグロビン測定用カラム
(SS−Glycopak 4M−2)に充填されてい
た充填剤を比較例2の充填剤とした。
【0079】(2)安定型HbA1c保持力試験 比較例2の充填剤について、実施例1と同様にして安定
型HbA1c保持力試験を行った。80mMリン酸緩衝
液(pH5.60)を使用して測定した場合の保持力パ
ラメータは1.30であり、45mM過塩素酸含有30
mMリン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定した
場合の保持力パラメータは0.45であった。
【0080】(3)性能評価 実施例1と同様にして、性能評価を行い、得られたクロ
マトグラムを図5に示した。図5から明らかなように、
実施例1に比べてヘモグロビン類の分離パターンが悪化
した。
【0081】また、HbA0溶出後、溶離液Aでの平衡
化時間を15分にしたら、実施例1と同様なクロマトグ
ラムが得られたが、測定時間は、18分もかかってしま
った。
【0082】[比較例3] (1)充填剤の調製 実施例1の充填剤の調製において、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸の50%水溶液の添加
量を100gに代えたこと以外は、実施例1と同様にし
て、比較例3の充填剤を調製した。
【0083】(2)安定型HbA1c保持力試験 比較例3の充填剤について、実施例1と同様にして安定
型HbA1c保持力試験を行った。80mMリン酸緩衝
液(pH5.60)を使用して測定した場合の保持力パ
ラメータは1.28であり、45mM過塩素酸含有30
mMリン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定した
場合の保持力パラメータは0.39であった。
【0084】(3)性能評価 実施例1と同様にして、性能評価を行った。実施例1に
比べてヘモグロビン類の分離パターンが悪化した。
【0085】[比較例4] (1)充填剤の調製 実施例1の充填剤の調製において、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸の50%水溶液の添加
量を1000gに代えたこと以外は、実施例1と同様に
して、比較例4の充填剤を調製した。
【0086】(2)安定型HbA1c保持力試験 比較例4の充填剤について、実施例1と同様にして安定
型HbA1c保持力試験を行った。80mMリン酸緩衝
液(pH5.60)を使用して測定した場合の保持力パ
ラメータは73であり、45mM過塩素酸含有30mM
リン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定した場合
の保持力パラメータは71であった。
【0087】(3)性能評価 実施例1と同様にして、性能評価を行った。実施例1に
比べてヘモグロビン類の分離パターンが悪化した。
【0088】[比較例5] (1)充填剤の調製 積水化学工業(株)から市販されているヘモグロビン測
定用カラム(MicronexA1c HS-II)に充填されていた充
填剤を比較例5の充填剤とした。
【0089】(2)安定型HbA1c保持力試験 比較例5の充填剤について、実施例1と同様にして安定
型HbA1c保持力試験を行った。80mMリン酸緩衝
液(pH5.60)を使用して測定した場合の保持力パ
ラメータは100であった。また、45mM過塩素酸含
有30mMリン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測
定した場合の保持力パラメータは100であった。
【0090】(3)性能評価 実施例1と同様にして、性能評価を行った結果、ヘモグ
ロビン類が充填剤に吸着して短時間で安定化HbA1c
を分離することが出来なかった。
【0091】[比較例6] (1)充填剤の調製 積水化学工業(株)から市販されているヘモグロビン測
定用カラム(MicronexA1c HS IV)に充填されていた充
填剤を比較例6の充填剤とした。
【0092】(2)安定型HbA1c保持力試験 比較例6の充填剤について、実施例1と同様にして安定
型HbA1c保持力試験を行った。80mMリン酸緩衝
液(pH5.60)を使用して測定した場合の保持力パ
ラメータは95であった。また、45mM過塩素酸含有
30mMリン酸緩衝液(pH5.50)を使用して測定
した場合の保持力パラメータは95であった。
【0093】(3)性能評価 実施例1と同様にして、性能評価を行った結果、ヘモグ
ロビン類が充填剤に吸着して短時間で不安定型HbA1
cを分離することが出来なかった。
【0094】
【発明の効果】本発明の充填剤、カラム、及び測定方法
は以上の構成からなるので、安定型HbA1cを、高精
度かつ短時間で分離、測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 安定型HbA1c保持力試験法に用いられ
る、特定形態のカラム筐体を示した図。
【図2】 安定型HbA1c保持力試験に用いられる液
体クロマトグラフィー装置を示した概略図。
【図3】 実施例1の充填剤によりヘモグロビン類の測
定を行った際のクロマトグラムを示した図。
【図4】 比較例1の充填剤によりヘモグロビン類の測
定を行った際のクロマトグラムを示した図。
【図5】 比較例2の充填剤によりヘモグロビン類の
測定を行った際のクロマトグラムを示した図。
【符号の説明】
1 カラム筐体 2 フィルター 3 充填剤 4 エンドフィッティング 5 送液ポンプ 5a 溶離液 6 試料導入装置 7 カラム 8 カラム恒温槽 9 検出器 10 データ処理装置 11 HbA1a及びbのピーク 12 HbFのピーク 13 不安定型HbA1cのピーク 14 安定型HbA1cのピーク 15 HbA0のピーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 G01N 33/50 U 33/72 33/72 A // G01N 30/96 30/96 D Fターム(参考) 2G045 AA25 BB29 BB44 BB50 BB52 CA25 DA48 FA07 FB06 HA06 HA09 JA01 JA08 4G066 AB06B AB07B AB09B AC12B AC17B AC33B AD06B AE10B BA09 BA20 BA36 CA54 DA12 EA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘモグロビン類の測定方法に用いられ
    る、カチオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤であ
    って、 安定型HbA1c保持力試験法により、80mMリン酸
    緩衝液(pH5.60)を使用して測定した保持力パラ
    メータが2.5〜60、 及び/または、45mM過塩素酸含有30mMリン酸緩
    衝液(pH5.50)を使用して測定した保持力パラメ
    ータが1.5〜60であることを特徴とする液体クロマ
    トグラフィー用充填剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体クロマトグラフィー
    用充填剤が、カラム筐体に充填されてなる液体クロマト
    グラフィー用カラム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の充填剤または請求項2記
    載のカラムを使用した、液体クロマトグラフィーによる
    ヘモグロビン類の測定方法。
JP2001186358A 2000-06-20 2001-06-20 液体クロマトグラフィー用充填剤、カラム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法 Pending JP2002082105A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001186358A JP2002082105A (ja) 2000-06-20 2001-06-20 液体クロマトグラフィー用充填剤、カラム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-184622 2000-06-20
JP2000184622 2000-06-20
JP2001186358A JP2002082105A (ja) 2000-06-20 2001-06-20 液体クロマトグラフィー用充填剤、カラム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002082105A true JP2002082105A (ja) 2002-03-22

Family

ID=26594273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001186358A Pending JP2002082105A (ja) 2000-06-20 2001-06-20 液体クロマトグラフィー用充填剤、カラム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002082105A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003337124A (ja) * 2002-05-20 2003-11-28 Sekisui Chem Co Ltd 液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ用カラム液体クロマト測定方法
JP2003344372A (ja) * 2002-05-31 2003-12-03 Arkray Inc ヘモグロビン溶液
WO2008020603A1 (fr) * 2006-08-17 2008-02-21 Keio University Procédé de séparation d'un peptide phosphorylé ou d'une protéine phosphorylée
WO2008093723A1 (ja) * 2007-01-30 2008-08-07 Arkray, Inc. HbA1c測定方法
WO2020054572A1 (ja) 2018-09-12 2020-03-19 積水メディカル株式会社 ヘモグロビン類測定用試薬及びヘモグロビン類の測定方法
EP2261655B1 (en) * 2008-03-31 2021-07-21 Sekisui Chemical Co., Ltd. Liquid chromatography component comprising filters and a prefilter
EP3851850A4 (en) * 2018-09-12 2022-06-08 Sekisui Medical Co., Ltd. REAGENTS AND METHODS FOR MEASUREMENT OF HEMOGLOBINS

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000111539A (ja) * 1998-08-07 2000-04-21 Sekisui Chem Co Ltd ヘモグロビン類の測定方法
JP2001099820A (ja) * 1999-09-30 2001-04-13 Sekisui Chem Co Ltd 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000111539A (ja) * 1998-08-07 2000-04-21 Sekisui Chem Co Ltd ヘモグロビン類の測定方法
JP2001099820A (ja) * 1999-09-30 2001-04-13 Sekisui Chem Co Ltd 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003337124A (ja) * 2002-05-20 2003-11-28 Sekisui Chem Co Ltd 液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ用カラム液体クロマト測定方法
JP2003344372A (ja) * 2002-05-31 2003-12-03 Arkray Inc ヘモグロビン溶液
WO2008020603A1 (fr) * 2006-08-17 2008-02-21 Keio University Procédé de séparation d'un peptide phosphorylé ou d'une protéine phosphorylée
JP5273658B2 (ja) * 2006-08-17 2013-08-28 学校法人慶應義塾 リン酸化ペプチド又はリン酸化タンパク質の分離方法
WO2008093723A1 (ja) * 2007-01-30 2008-08-07 Arkray, Inc. HbA1c測定方法
US8008085B2 (en) 2007-01-30 2011-08-30 Arkray, Inc. Method of measuring HbA1c
EP2261655B1 (en) * 2008-03-31 2021-07-21 Sekisui Chemical Co., Ltd. Liquid chromatography component comprising filters and a prefilter
JP2020046435A (ja) * 2018-09-12 2020-03-26 積水メディカル株式会社 ヘモグロビン類測定用試薬及びヘモグロビン類の測定方法
CN112334767A (zh) * 2018-09-12 2021-02-05 积水医疗株式会社 血红蛋白类测定用试剂以及血红蛋白类的测定方法
WO2020054572A1 (ja) 2018-09-12 2020-03-19 積水メディカル株式会社 ヘモグロビン類測定用試薬及びヘモグロビン類の測定方法
EP3851850A4 (en) * 2018-09-12 2022-06-08 Sekisui Medical Co., Ltd. REAGENTS AND METHODS FOR MEASUREMENT OF HEMOGLOBINS
JP7340439B2 (ja) 2018-09-12 2023-09-07 積水メディカル株式会社 ヘモグロビン類測定用試薬及びヘモグロビン類の測定方法
CN112334767B (zh) * 2018-09-12 2024-01-09 积水医疗株式会社 血红蛋白类测定用试剂以及血红蛋白类的测定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010164579A (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP4740036B2 (ja) ヘモグロビン類の測定方法
EP1103812B1 (en) Method for determining hemoglobins
JPH055730A (ja) 液体クロマトグラフ装置
WO2018008447A1 (ja) ヘモグロビン調製液及びヘモグロビン類測定液体クロマトグラフィー法
EP1146333B1 (en) Method of separating hemoglobin a2
JP3429709B2 (ja) 安定型ヘモグロビンA1cの測定方法
JP2003207497A (ja) 溶離液と溶血試薬及びヘモグロビン類の測定方法
JP2002082105A (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤、カラム、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法
JP5041733B2 (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP2001228133A (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP4404429B2 (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP2003014714A (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP2003107069A (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP4094776B2 (ja) 溶血試薬及びこれを用いたヘモグロビン類の測定方法
JP4473999B2 (ja) カラム洗浄液
JP3429679B2 (ja) 安定型ヘモグロビンA1cの測定方法
JP4404428B2 (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JPH11295286A (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP4391733B2 (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP4571046B2 (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP2001349894A (ja) ヘモグロビン類の測定方法
JP4109395B2 (ja) ヘモグロビン類の測定方法
EP4119941A1 (en) Hemoglobin assay method
JP2000146941A (ja) ヘモグロビン類の測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100809

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110105