JP2001099820A - 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法 - Google Patents
液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法Info
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Abstract
く、しかもLC用充填剤として十分な官能基を有するよ
う親水性単量体を効率よく反応させる方法を提供する。 【解決手段】 親水性架橋重合体よりなる液体クロマト
グラフィー用充填剤の製造方法において、架橋性単量体
および親水性単量体を用いて重合開始剤の存在下で重合
反応を行い、該重合反応における重合率が、70〜98
%の範囲にある段階で重合系に有機溶媒を添加し、さら
に重合を継続して親水性架橋重合体を得ることを特徴と
する、液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
Description
フィー(以下、LCと略記する)用充填剤の製造方法に
関する。
親水性物質の測定に極めて有益な測定方法であり、現在
最も汎用されている分析手法の一つである。特にその中
でもイオン交換基を有するイオン交換用充填剤は、各種
イオン性物質の分離に優れている。イオン交換基として
は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、3級ア
ミノ基や4級アミノ基などがあげられる。親水性のLC
用充填剤は、無機系あるいは有機系高分子粒子に、親水
性基を導入することにより得ることができる。無機系高
分子としてはシリカ、セラミックス、ガラスなど;有機
高分子としてはポリスチレン系高分子やアクリル系高分
子などの合成高分子系、ポリアミノ酸や多糖類などの天
然高分子系などがあげられる。
填剤は、全充填剤の中で最も汎用されている充填剤であ
るが、中性以上のpH条件におけるシリカ自体の溶出
や、残存するシラノール基による吸着などの欠点が報告
されている。また、有機高分子系の中でも天然高分子よ
りなる充填剤は、親水性が大きく非特異吸着が少ない優
れた充填剤であるが、機械的強度に乏しいため、高流速
での測定が行えず、従って測定時間が大幅に延長される
という問題がある。一方、有機合成高分子系の充填剤
は、上記欠点が少なく、簡便な方法により製造できる。
充填剤として、例えばイオン交換基含有充填剤の製造方
法としては、以下の2つの方法が開示されている。 (1)架橋性粒子に、イオン交換基含有化合物を反応さ
せる方法。 すなわち、反応性官能基を有する架橋粒子に、該反応性
官能基と反応する基およびイオン交換基を有する化合物
を反応させることにより、上記架橋粒子にイオン交換基
を導入する方法。具体的には、例えば、特開平1−26
2468号公報には、架橋粒子中の水酸基にカルボキシ
ル基含有化合物、スルホン酸基含有化合物、アミノ基含
有化合物を反応させる方法が開示されている。
単量体と共重合する方法。 例えば特公昭63−59463号公報には、親水性基で
あるカルボキシル基を含有単量体5〜90重量%、架橋
性単量体10〜95重量%、非架橋性単量体0〜85重
量%を混合して共重合する方法が開示されている。ま
た、特公平8−7197号公報には、重合開始剤を含有
する疎水性架橋重合体粒子の表面に、親水性基含有単量
体を重合させる方法が開示されている。
LC用充填剤には、以下の問題点が指摘されている。
(1)の、後処理により親水性基を導入する方法におい
ては、親水性基を有する化合物を定量的に導入すること
は困難であることが一般的に知られており、単量体由来
の親水性基導入に比べ、製造の再現性の点で劣る(吉
廻、細矢、木全、田中:Chromatography, 16(1) 7-12
(1995) )。従って、LC用充填剤としての分離性能
や、測定値がばらつくという欠点がある。また、後処理
の方法が極めて煩雑で長時間を要する。
による充填剤には、このような欠点は少なく、親水性基
含有単量体の添加量や重合条件を制御することにより、
充填剤に対して定量的に親水性基を含有させることがで
き、また操作も簡便である。
水性単量体は、特に水系の分散媒を用いた重合系におい
ては、分散媒中に溶解しやすいので、より疎水性である
架橋性単量体と共重合しにくい。その結果、LC用充填
剤とした場合に、測定試料との十分な相互作用を及ぼす
官能基が導入できず、分離性能の低下を招くことにな
る。そして、十分量の官能基を導入するために、親水性
単量体の添加量を増やす方法が考えられるが、増やし過
ぎると重合途中で凝集物を発生し、重合体が得られない
という問題がある。本発明は、上記問題点を解決すべく
考案されたものであり、その目的は、重合反応の途中で
凝集反応を起こすことなく、しかもLC用充填剤として
十分な官能基を有するよう親水性単量体を効率よく反応
させる方法を提供することである。
に、請求項1の本発明では、親水性架橋重合体よりなる
液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法において、
架橋性単量体及び、親水性単量体を用いて重合開始剤の
存在下で重合反応を行い、該重合反応における重合率
が、70〜98%の範囲にある段階で重合系に有機溶媒
を添加し、さらに重合を継続して親水性架橋重合体を得
ることを特徴とする、液体クロマトグラフィー用充填剤
の製造方法を提供する。また、請求項2の本発明では、
親水性架橋重合体よりなる液体クロマトグラフィー用充
填剤の製造方法において、架橋性単量体を用いて重合開
始剤の存在下で重合反応を行い、該重合反応における重
合率が、70〜98%の範囲にある段階で、重合系に親
水性単量体及び、有機溶媒を添加し、さらに重合を継続
して親水性架橋重合体を得ることを特徴とする、液体ク
ロマトグラフィー用充填剤の製造方法を提供する。ま
た、請求項3の本発明では、請求項1又は、2記載の親
水性単量体が、イオン交換基含有単量体であることを特
徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法を
提供する。
2個以上のビニル基を有する単量体であって、後述する
親水性単量体よりも疎水性なものが好ましい。このよう
な架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、
ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルエチル
ベンゼン、ジビニルナフタレン等のスチレン誘導体;エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサ
グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリ
コールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、テトラメチルロールメタントリ(メ
タ)アクリレート、テトラメチルロールメタンテトラ
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル
の誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−
ヘキサジエン等の脂肪族ジエン化合物;および上記単量
体の誘導体などが挙げられる。その中でも、特に(メ
タ)アクリレート誘導体が好ましい。これらは、2種以
上が混合されて用いられてもよい。なお、例えば上記
(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステ
ル、又は、メタクリル酸エステルを意味する。
耐膨潤性を良好に保つためには、水酸基などの親水性基
を含む架橋性単量体を用いてもよい。上記架橋性単量体
としては、1分子中に水酸基を1個以上含む架橋性単量
体が好ましく、例えば、1分子中に少なくとも1個の水
酸基と2個以上のビニル基を有する架橋性単量体が挙げ
られる。このような単量体としては、例えば、2−ヒド
ロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリルロキシプロパン、
1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−4,7−ジオキサ
デカン−2,9−ジオール、1,10−ジ(メタ)アク
リロキシ−5−メチル−4,7−ジオキサデカン−2,
9−ジオール、1,11−ジ(メタ)アクリロキシ−
4,8−ジオキサウンデカン−2,6,10−トリオー
ルおよびこれらの誘導体類が挙げられる。これらは、2
種以上が混合されて用いられてもよい。
量は、上記全架橋性単量体に占める割合が50重量%以
下であることが好ましい。これは、50重量%より多く
なると、重合体の親水性が増大し過ぎ、重合中に凝集が
発生しやすくなるためである。
維持し、かつ測定試料と相互作用を及ぼし合う主要素と
なり、重合体表面の親水性官能基と測定試料の相互作用
の結果、測定試料が各成分に分離される。このため、用
いられる親水性単量体は、本発明による充填剤を適用す
るLCの分離モードによって、以下のように選択され
る。
用充填剤 上記充填剤には、1分子中に1個以上のイオン交換基を
含有する親水性単量体を用いるのが好ましい。このよう
な単量体としては、下記のものが挙げられる。
ボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アク
リル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク
酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン
酸、マレイン酸、フマル酸およびこれらの誘導体などが
挙げられる。 (2) リン酸基含有単量体:上記リン酸基含有単量体とし
ては、例えば、((メタ)アクリロイルオキシエチル)
アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキ
シエチル)アシッドホスフェート、(3-(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピル)アシッドホスフェートおよびこ
れらの誘導体などが挙げられる。 (3) スルホン酸基含有単量体:上記スルホン酸基含有単
量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、(メタ)
アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2- メチ
ルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アク
リレート、(3−スルホプロピル)- イタコン酸、3-ス
ルホプロピル(メタ)アクリル酸およびこれらの誘導体
などが挙げられる。 (4) 3級アミノ基含有単量体:上記3級アミノ基含有単
量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、2-ヒドロキシ-3- ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、およびこれらの誘導体などが挙げられる。 (5) 4級アミノ基含有単量体:上記4級アミノ基含有単
量体としては、例えば、2-(メタ)アクロイルオキシエ
チルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタ)ア
クロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライ
ド、2-ヒドロキシ-3- (メタ)アクロイルオキシプロピ
ルトリメチルアンモニウムクロライドおよびこれらの誘
導体などが挙げられる。
充填剤 上記充填剤には、1分子中に1個以上の水酸基等のイオ
ン性親水基、又は、エポキシ基等の非イオン性親水基を
含有する親水性単量体を用いるのが好ましい。このよう
な単量体としては、例えば、エチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、グ
リシジル(メタ)アクリレートおよびこれらの誘導体な
どが挙げられる。
剤 上記充填剤には、1分子中に少なくとも1個の1〜2級
アミノ基、シアノ基、水酸基などを有する親水性単量体
を用いるのが好ましい。このような単量体としては、例
えば、アリルアミン、(メタ)アクリルアミド、N-メチ
ル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリル
アミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリロニトリルおよびこれらの誘導体などが
挙げられる。
て用いられてもよく、さらに、上記親水性単量体の及び
その各種誘導体は、ナトリウム塩、カリウム塩などの塩
類、塩化物などであってもよい。また、上記親水性単量
体は、各分離モードに限定される訳ではなく、他のモー
ドに使用したり、他のモードに挙げた単量体と混合して
用いることも可能である。
橋性単量体100重量部に対して10〜200重量部が
好ましい。10重量部以下では、測定試料との十分な相
互作用が発揮できず、その結果分離能が低下し、200
重量部以上では、親水性が大きくなり過ぎ耐圧性・耐膨
潤性が低下する。また溶離液の切り替え時などには平衡
化に長時間を要し、結果測定時間が延長される。
ほかに、化学反応により親水性基に変換しうる官能基を
有する単量体を用い、重合終了後に、該化学反応を行
い、親水性基に変換することでも、同様の親水性基含有
重合体を調製し得る。上記、化学反応としては、公知の
反応を用いることができ、例えば、加水分解反応や転移
反応などが用いられる。また、上記化学反応によって変
換し得る官能基としては、例えば、加水分解反応によっ
てイオン交換基に変換し得る、エステル基などが挙げら
れる。具体的には、例えばメチルメタクリレートを単量
体として用い、重合後、アルカリ性下で加温する事によ
り、エステル結合が分解してカルボキシル基に変化され
ることで、カチオン交換充填剤が調製し得る。
水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用いら
れる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫酸カ
リウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの
過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベインゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタ
ノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキ
サイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロ
パーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t
−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリ
メチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘイサノエート、ジ−t−ブチルパー
オキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、 4,4’−アゾビス(4−シ
アノペンタン酸)、2,2’アゾビス(2−メチルブチ
ロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル
などのアゾ化合物などが挙げられる。上記重合開始剤の
使用量は、上記架橋性単量体100重量部に対し、0.
05〜5重量部が好ましい。重合開始剤の使用量が0.
05重量部未満になると、重合反応が不十分となった
り、重合に長時間を要することがあり、5重量部を越え
ると、急激な反応の進行により、凝集物が発生すること
がある。
範囲で添加する有機溶媒は、用いる架橋性単量体および
親水性単量体によって異なるが、親水性単量体に対して
良溶媒であることが好ましく、例えば、メタノール、エ
タノール、プロパノールなどのアルコール類、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチル
エチルケトンなどのケトン類、ジメチルエーテル、ジエ
チルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミドな
どが挙げられる。
体100重量部に対し、20〜500重量部が好まし
い。有機溶媒の使用量が20重量部未満になると、効果
がなくなり、500重量部を越えると、重合中に凝集し
やすくなる。
在下において重合反応を行う。本発明における重合反応
は、公知の重合方法、例えば乳化重合法、懸濁重合法、
分散重合法などにより行われる。例えば懸濁重合法を用
いる場合には、水溶性分散剤を溶解した水性分散媒に、
上記重合開始剤を溶解した上記架橋性単量体および親水
性単量体の混合物を分散させ、攪拌後、窒素雰囲気下で
昇温することにより重合反応を行わせることができる。
また重合反応において、まず架橋性単量体のみを用いて
重合開始剤の存在下で重合を行い、重合反応の途中で、
親水性単量体を添加しても良い。親水性単量体の途中添
加の場合、その添加時期は、架橋性単量体混合物の重合
率が70〜98%の範囲にある段階である。但し後述す
る有機溶媒と同時期に添加する必要はない。
重合体の重合方法として、多段階反応による微粒子の合
成方法が用いられてもよい。すなわち、あらかじめ重合
された粒度分布の揃った均一粒径重合体粒子に、上記単
量体、または、これらの一部が吸収されて製造されるこ
とにより、粒径がより均一化される。ここでいう均一粒
径重合体粒子とは、例えば上記非架橋性単量体などの単
独重合体又は共重合体からなる非架橋重合体粒子などが
挙げられ、スチレン重合体、(メタ)アクリル酸メチル
重合体、(メタ)アクリル酸エチル重合体などである。
上記非架橋性単量体と上記架橋性単量体との共重合体で
ある架橋共重合体粒子(例えば、スチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体)も使用できるが、この場合は、架橋性
単量体の割合を全単量体の10重量%以下として共重合
して得られる低架橋重合体粒子が好ましい。
知の重合方法でよく、例えば乳化重合、ソープフリー重
合、分散重合、懸濁重合などが挙げられる。上記の粒径
均一重合体粒子の平均粒径は、0.1〜10μmが好ま
しく、粒径のばらつきは変動係数(CV値)(=標準偏
差÷平均粒径×100)として15%以下が好ましい。
重合反応に用いる場合の量は、上記架橋性単量体100
重量部に対して0.5〜100重量部が好ましい。上記
の粒径均一重合体粒子を用いる場合には、該重合体粒子
に、架橋性単量体(必要に応じて、非架橋性単量体も含
む)と重合開始剤を吸収させて重合を進めることが好ま
しい。
応じて、上記架橋性単量体以外の非架橋性単量体が構成
単位の一部として混合されていてもよい。上記非架橋性
単量体としては、上記親水性単量体以外の、例えば、ス
チレン、α- メチルスチレン、p-メチルスチレン、クロ
ロメチルスチレンなどのスチレン誘導体類;塩化ビニル
などの脂肪族系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メ
タ)アクリルアミド、アクリロニトリルなど(メタ)ア
クリル酸誘導体類が挙げられる。
量体100重量部に対して100重量部以下が好まし
い。非架橋性単量体の量が100重量部より多くなる
と、膨潤、収縮などがおこりやすくなり、複数の溶離液
を用いた場合などに溶離液への平衡化に長時間を要する
ようになるためである。
常、多孔質であるが、その孔径をより大きくするため
に、その重合反応時に多孔質化剤が用いられて製造され
てもよい。大孔径に多孔質化された重合体を製造する場
合は、多孔質化剤として単量体を溶解するが、重合体を
溶解しない有機溶媒を重合反応系に添加して重合する、
公知の方法を用いることができる。このような多孔質化
剤としては公知のものでよく、例えば、トルエン、キシ
レン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族
炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等
の飽和炭化水素;イソアミルアルコール、ヘキシルアル
コール、オクチルアルコール等のアルコール類などが挙
げられる。
得られる重合体の耐圧性が低下し、膨潤、収縮し易くな
り、また、重合中に凝集が発生し易くなるので、上記架
橋性単量体100重量部に対して、0〜100重量部が
好ましい。本発明方法における重合反応の温度および時
間は、使用する単量体および重合開始剤の種類や量など
によって異なるが、40〜100℃、0.3〜24時間
程度である。
媒、親水性単量体の添加 本発明においては、上記架橋性単量体及び、親水性単量
体の混合物を用いて重合開始剤存在下で重合反応を開始
し、一定時間経過後、すなわち重合率が70〜98%の
範囲にある段階で有機溶媒を添加する。また、本発明に
おいては、上記架橋性単量体を用いて重合開始剤存在下
で重合反応を開始し、一定時間経過後、すなわち重合率
が70〜98%の範囲にある段階で親水性単量体及び、
有機溶媒を添加する。
未反応の単量体に溶解して細孔径を必要以上に大きくし
たり、重合途中で凝集物が発生する可能性が大きくなる
ので好ましくない。また重合率が98%以上の段階での
添加は、重合反応が進行しすぎて、これらの添加の効果
が現れにくい。ここでの重合率の算出方法は、所定の重
合時間経過後重合物を取り出し、水および有機溶媒で洗
浄した後乾燥して、その乾燥重量を測定し、以下の式に
より求めることができる。 重合率(%)=(得られた重合物の重量/単量体仕込
量)×100
れず、重合系に添加分を一括して添加しても良いし、数
分〜数時間かけて添加してもよい。また添加時に重合系
の温度を一度室温まで下げるなど、温度を変化させても
よい。
機溶媒、親水性単量体の添加を開始した後、あるいは添
加終了後、さらに重合を継続する。この重合反応の温度
および時間は、使用する単量体および重合開始剤の種類
や量などによって異なるが、40〜100℃、0.3〜
50時間程度である。有機溶媒添加前と後で、これらの
条件を変更してもよい。以上の重合工程を経て得られた
重合物を、水および有機溶媒等で洗浄して乾燥すること
により親水性架橋重合体が得られる。
する (4−1)充填剤の粒径 上記の重合工程により得られた親水性架橋重合体を、L
C用充填剤とするには、粒径および粒度分布を一定の範
囲となるよう調節する。本発明のLC用充填剤の好まし
い平均粒径は0.5〜100μmであり、さらに好まし
くは1〜20μmである。また粒径のばらつきはCV値
として40%以下が好ましい。また、得られた親水性架
橋重合体の平均粒径および粒度分布が上記の範囲を逸脱
する場合には、親水性架橋重合体粒子を、必要に応じて
分級することにより、上記範囲に調節する。分級方法
は、乾式又は湿式の公知の方法が用いら得る。
のカラムへの充填 本発明で得られたLC用充填剤は、ステンレス製などの
カラムに充填されてLC測定に適用される。カラムへの
充填に際しては、適宜に公知の方法を用いることができ
るが、充填剤を溶離液として用いる溶媒などの分散媒に
所定量分散し、カラム内にパッカーなどを経由して圧入
する湿式法(スラリー法)が特に好ましい。
の手法における各種モードに適用させ得る。主な測定対
象物質としては、従来から親水性充填剤により分離され
ていたものの全てである。特に、カテコールアミン誘導
体類、ヌクレオチド類、ペプチド類、タンパク質類、糖
類、多糖類などの生体関連物質が好適である。また本発
明により得られた充填剤は、上記以外にも各種前処理用
カラムや、リガンドを固定化してアフィニティクロマト
グラフィー用担体とすることもできる。
できるLC装置は公知のものでよく、例えば、送液ポン
プ、試料導入装置、カラム、検出器などから構成され得
る。また、これらに他の付属品(恒温槽や溶離液の脱気
装置など)が適宜付属されてもよい。
用いられ得る。例えば、以下の物質などを含む各種緩衝
液などが挙げられる。リン酸、硝酸、塩酸、過塩素酸な
どの無機酸及びその塩類;酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コ
ハク酸、クエン酸などの有機酸及びその塩類又はハロゲ
ン化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩
基性物質。また、例えば、アセトン、アセトニトリル、
ジオキサン、ジクロロメタン、メタノール、エタノー
ル、ヘキサンなどの有機溶媒も使用可能であり、また、
水若しくは上記緩衝液と有機溶媒の混合物も使用可能で
ある。さらに公知の溶離液に添加される各種の化合物を
添加することもできる。
−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール(架橋性
単量体:共栄社化学社製)100g、トリエチレングリ
コールジメタクリレート(架橋性単量体:新中村化学社
製)300gにベンゾイルパーオキサイド(重合開始
剤)1.5gを混合して溶解し、2.5リットルの4重
量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。窒素雰
囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で1時間重合反応
を行った(この時点での重合率は93%であった)。重
合後、反応系を30℃に冷却した後、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸(親水性単量体:東
京化成工業社製)の50%水溶液400gおよびメタノ
ール400gを添加して30℃で1時間撹拌した後、再
び80℃で1時間重合を行った。重合後、洗浄し分級し
て平均粒径6μmの充填剤を得た。
ついて、以下のように性能を評価した。 (1)LC用カラムの製造:充填剤0.7gを採取し、
50mMリン酸緩衝液(pH6.0)30mLに分散
し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をス
テンレス製空カラム(4.6φ×35mm)を接続した
パッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液
ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力200kg/
cm2 で定圧充填して、LC用カラムを製造した。
タンパク質標準物質の混合物を測定した。 (測定条件) システム:送液ポンプ :LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学社製) 検 出 器 :紫外可視検出器SPD−6AV(島津製作所社 製) 溶 離 液:下記溶離液A100%から溶離液B100%へのリニアグラディ エント法で溶出した。 溶離液A:100mMリン酸緩衝液(pH5.7) 溶離液B:溶離液A+500mM NaCl(pH5.7) 流 速:1.5mL/分 検出波長 :254nm 試料注入量:10μm
1)、α−キモトリプシノーゲン(ピーク2)、リボヌ
クレアーゼA(ピーク3)、リゾチーム(ピーク4)
(以上、いずれもSigma社製)の混合物
1に示す。各ピークが短時間で良好に分離されているこ
とがわかる。
糖尿病診断の指標となる、ヒト血液中のヘモグロビン
(Hb)類を含むHb類の測定を行った。 (測定条件) システム:上記(2)タンパク質混合物の測定に用いたシステムと同様。 溶離液 :リン酸塩及び過塩素酸塩を含む3種類の緩衝液によるステップグラ ディエント法で溶出した。 溶離液C:50mM過塩素酸を含有する20mMコハク酸−20m Mリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液D:70mM過塩素酸を含有する20mMコハク酸−20m Mリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液E:250mM過塩素酸を含有する20mMコハク酸−20 mMリン酸緩衝液(pH8.0) 流 速:1.5mL/分 検出波長:415nm
血液凝固剤として、フッ化ナトリウム10mg/mlと
なるように添加した。これに以下の処理を行い、a)糖
負荷血試料;b)カルバミル化Hb(CHb)含有試
料;c)アセチル化Hb(AHb)含有試料を調製し
た。 a)グルコースを500mg/dLとなるように添加
し、37℃で5時間反応させ、次いで、溶血試薬(0.
1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフ
ェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社
製)のリン酸緩衝液溶液(pH7.0))で溶血し、1
50倍に希釈して測定試料a)とした。 b)CHb含有試料:健常人血10mLに、0.3%の
シアン酸ナトリウムの生理食塩水溶液1mLを添加し、
37℃で3時間反応させて、測定試料b)とした。 c)AHb含有試料:健常人血10mLに、0.3%の
アセトアルデヒドの生理食塩水溶液1mLを添加し、室
温で3時間反応させて、測定試料c)とした。
られたクロマトグラムを図2−a)に示す。図2−a)
中の各ピークは、ヘモグロビンA1a及びb(HbA1
a及びb:ピーク11);ヘモグロビンF(HbF:ピ
ーク12);不安定型HbA1c(ピーク13);安定
型HbA1c(ピーク14);ヘモグロビンA0(Hb
A0:ピーク15)を示す。HbF(ピーク12)及び
糖尿病診断の指標となる安定型HbA1cピーク(ピー
ク14)の良好な定量性が確保されるためには、Hb
F、不安定型HbA1c、安定型HbA1c、HbA0
の順に溶出される必要があるが、図2−a)ではこの順
序通りに各ピークが溶出し、高濃度の不安定型HbA1
c(ピーク13)を、安定型HbA1cから良好に、し
かも短時間に分離できた。試料b)およびc)を測定し
た結果を、それぞれ図2−b)およびc)に示す。図2
−b)およびc)中において、各ピークはCHb(ピー
ク16);AHb(ピーク17)を示す。いずれのピー
クも安定型HbA1cから良好に分離された。
重合条件において、重合ロット毎の性能差を以下のよう
にして確認した。上記と同様の重合条件にて30回(3
0ロット)重合を行い、得られた充填剤30ロット間の
性能のバラツキをみた。上記(3)のヒト血液中のヘモ
グロビン類の測定を、それぞれのロットについて行い、
安定型HbA1c(ピーク14)の保持時間を調べた。
30ロットの平均保持時間は、0.9分、標準偏差は
0.08分であり、CV値(%)=8.9%であり、実
施例1の製造方法は、製造再現性に優れていることが判
った。
リレート(親水性単量体:和光純薬社製)200g、ジ
エチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体:
新中村化学社製)400g及びベンゾイルパーオキサイ
ド(重合開始剤:キシダ化学社製)1.5gを混合し、
2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール(日本
合成化学社製)水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹
拌しながら昇温し、80℃で重合反応を行った。2時間
後(重合率90%)、メタノール100gを反応系に添
加してさらに80℃で3時間重合反応を行った。重合
後、洗浄し分級して平均粒径6μmの充填剤を得た。
られた充填剤を実施例1と同様に充填したカラムを用い
て、タンパク質標準物質の混合物を測定した。 (測定条件) システム:実施例1に同じ 溶離液 :下記溶離液F100%から溶離液G100%へのリニアグラディエ ント法で溶出した。 溶離液F:50mMリン酸緩衝液(pH6.2) 溶離液G:溶離液F+500mM NaCl(pH6.2) 流 速:1.5ml/分 検出波長:280nm 試料注入:10μm
α−キモトリプシノーゲン(ピーク2)、リゾチーム
(ピーク4)(以上、いずれもSigma社製)の混合
物
3に示す。各ピークが短時間で良好に分離されているこ
とがわかる。
ト(親水性単量体:和光純薬社製)100g、メチルメ
タクリレート(非架橋性単量体:和光純薬社製)100
g、テトラエチレングリコールジメタクリレート300
g、トルエン(多孔質化剤)400g及びベンゾイルパ
ーオキサイド1.5gを混合し、2.5リットルの6重
量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液
に分散させた。 窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、
80℃で重合反応を行った。1.5時間後(重合率89
%)、エタノール150gを反応系に添加し、さらに8
0℃で2時間重合反応を行った。重合後、洗浄し分級し
て平均粒径6μmの充填剤を得た。
例3で得られた充填剤を実施例1と同様に充填したカラ
ムを用いて、糖類混合物を測定した。 (測定条件) システム :送液ポンプ :LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学社製) 検 出 器 :示差屈折計SE−51(昭和電工社製) 溶 離 液:アセトニトリル:水=75:25の混合液 流 速:1.2ml/分 試料注入量:10μm (測定試料)各分子量を有するポリエチレングリコール
(以上、いずれも和光純薬社製)
4に示す。図中のピークは、分子量200〜7500の
ポリエチレングリコール(ピーク31〜37);エチレ
ングリコール(ピーク38)を示す。各ピークが短時間
で良好に分離されていることがわかる。
シ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール(架橋
性単量体:共栄社化学社製)100g、メチルメタクリ
レート100g、テトラエチレングリコールジメタクリ
レート(架橋性単量体:新中村化学社製)300gにベ
ンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1.5gを混合
して溶解し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアル
コール水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しなが
ら昇温し、80℃で1時間重合反応を行った(重合率9
4%)。重合後、反応系を30℃に冷却した後、アクリ
ルアミド(親水性単量体:和光純薬社製)の200gお
よびメタノール300gを添加して30℃で1時間撹拌
した後、再び80℃で1時間重合を行った。重合後、洗
浄し分級して平均粒径6μmの充填剤を得た。
充填剤を実施例1と同様に充填したカラムを用いて、糖
類混合物を測定した。 (測定条件) システム:実施例3に同じ 溶離液 :アセトニトリル:水=75:25の混合液 流 速:1.2ml/分 試料注入:10μm
1)、グルコース(ピーク42)、シュークロース(ピ
ーク43)、マルトース(ピーク44)(以上、いずれ
も和光純薬社製)の混合物 (測定結果)得られたクロマトグラムを図5に示す。各
ピークが短時間で良好に分離されていることがわかる。
施例1において、メタノールを用いなかった以外は、同
様に操作を行い、平均粒径6μmの充填剤を得た。実施
例1と同様にタンパク質混合物の測定を行った結果を図
6に示す。また実施例1と同様にヘモグロビン類の測定
を行った結果を図7に示す。親水性単量体の重合率が低
いため十分な保持力が得られず、各ピークが分離しなか
った。この低分離能は、溶離液の溶出力を弱めて、各ピ
ークを図1あるいは図2と同様の保持時間に溶出させた
場合でも解消されなかった。
て、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸の50%水溶液400gを用いた代わりに、同水溶液
を800g用いた以外は、同様に操作を行った。比較例
1において、親水性単量体の重合率が低かったため、親
水性単量体の添加量を増やして重合反応を行ったとこ
ろ、重合の途中で凝集物が発生し、生成物を得ることが
できなかった。
反応の途中で凝集反応を起こすことがないため、製造時
の歩留まりの低下がなくなるだけでなく、しかもLC用
充填剤として十分な官能基を有するよう親水性単量体を
効率よく反応できるため、均一な性能を持つ充填剤微粒
子を得られる。また、重合反応が一連の操作で完了する
ため、従来の後処理によるイオン交換基導入方法と比べ
操作が簡便なだけでなく、導入率の制御も容易であり、
良好な再現性が得られる。さらに必要なイオン交換基を
充填剤表面に均一にかつ十分に導入することができるた
め、何れのLC測定のモードにおいても適度な保持力が
得られ、分離性能に優れている。
パク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラ
ムを示す図。
グロビン類の測定を行った際に得られたクロマトグラム
を示す図。
パク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラ
ムを示す図。
エチレングリコール類の測定を行った際に得られたクロ
マトグラムを示す図。
類混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを
示す図。
パク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラ
ムを示す図。
類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 親水性架橋重合体よりなる液体クロマト
グラフィー用充填剤の製造方法において、架橋性単量体
及び、親水性単量体を用いて重合開始剤の存在下で重合
反応を行い、該重合反応における重合率が、70〜98
%の範囲にある段階で重合系に有機溶媒を添加し、 さらに重合を継続して親水性架橋重合体を得ることを特
徴とする、液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方
法。 - 【請求項2】 親水性架橋重合体よりなる液体クロマト
グラフィー用充填剤の製造方法において、架橋性単量体
を用いて重合開始剤の存在下で重合反応を行い、該重合
反応における重合率が、70〜98%の範囲にある段階
で、重合系に親水性単量体及び、有機溶媒を添加し、 さらに重合を継続して親水性架橋重合体を得ることを特
徴とする、液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方
法。 - 【請求項3】 請求項1又は、2記載の親水性単量体
が、イオン交換基含有単量体であることを特徴とする液
体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
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