JP4758529B2 - 液体クロマトグラフィー用充填剤およびそれを用いた測定方法 - Google Patents

液体クロマトグラフィー用充填剤およびそれを用いた測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフィー(以下、LCと略記する)用充填剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体クロマトグラフィー(LC)は、各種物質の測定に極めて有益な測定方法であり、現在最も汎用されている分析手法の一つであり、その分離機構により逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの各モードに分類される。
特にイオン交換基を有する充填剤を用いるイオン交換クロマトグラフィーは、各種イオン性物質の分離、特にヘモグロビン(Hb)類をはじめとするタンパク質などの生体関連物質の分離に優れている。イオン交換基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、3級アミノ基や4級アミノ基などがあげられる。
これらのイオン交換LC用充填剤は、無機系あるいは有機系高分子粒子に、イオン交換基を導入することにより得ることができる。無機系高分子としてはシリカ、セラミックス、ガラスなど;有機高分子としてはポリスチレン系高分子やアクリル系高分子などの合成高分子系;ポリアミノ酸や多糖類などの天然高分子系などがあげられる。
無機系充填剤の主流であるシリカ系充填剤は、全充填剤の中で最も汎用されている充填剤であるが、中性以上のpH条件におけるシリカ自体の溶出や、残存するシラノール基による吸着などの欠点が報告されている。
有機高分子系である天然高分子よりなる充填剤は、親水性が大きく非特異吸着が少ない優れた充填剤であるが、機械的強度に乏しいため、高流速での測定が行えず、従って測定時間が大幅に延長されるという問題がある。
一方合成高分子系充填剤は、上記欠点が少なく、簡便な方法により製造できる。
【0003】
このような有機合成高分子からなるLC用充填剤としては、多数報告されているが、例えば、特許第2619537号公報では、充填剤の粒径(1〜4.4μm)さらには、比表面積、官能基の種類、官能基導入量を好ましい範囲を開示している。しかしながら、上記方法によれば、充填剤が、上記粒径の範囲をはずれるような大きい粒子を使用すると、分離性能が低下し著しく測定時間が長くなり、多数のサンプルを短時間で処理することが難しいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、一般的に充填剤の重合方法に使用されている懸濁重合法の一般的な欠点として、得られる重合体粒子の粒度分布が広いことが挙げられる。すなわち、粒度分布が広いために、重合時に必要な粒径に合わせても、設定粒径範囲をはずれる大きい粒子等が多く発生し、結果的に分離性能を低下させてしまう。このため、粒度分布が広い状態では、充填剤として使用できなかった。
このため通常は、重合後に、湿式あるいは乾式による分級操作により粒度分布を一定の範囲、通常は変動係数(%)[CV値(%)=(標準偏差÷平均粒径)×100]で15%以下、好ましくは10%以下程度に納める必要がある。(特開平11−271294号公報)しかし分級操作での歩留まりは一般に非常に悪く、その分級収率(%)[=(分級後の収量÷分級前の量)×100)]は、分級前の粒度分布や分級時のカットサイズにもよるが、10%あるいはそれ以下になることも珍しくない。
また一般に粒度分布は、狭いほど分離性能が向上し、カラム寿命も延長するといわれているため、より粒度分布の狭い重合体粒子が得られる、乳化重合法、シード重合法、分散重合法により充填剤を調製することも可能であるとされている。しかしこれらの重合法は、懸濁重合法に比べ条件設定が複雑であり、スケールアップなども困難である。
本発明は、上記問題点を解決すべく考案されたものであり、粒度分布が広いままでも性能の良い、つまり分級操作等でのロスが少なくて歩留まりがよく、しかも分級したものと同等の高い分離性能や長いカラム寿命を有した充填剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の本発明では、架橋重合体よりなる液体クロマトグラフィー用充填剤であって、該重合体の平均粒径が、0.5〜20μmで、かつ粒度分布の変動係数(以下、CV値という)が20〜40%であることを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤を提供する。
また、請求項2の本発明では、請求項1の架橋重合体が、イオン交換基含有重合体であることを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤を提供する。
また、請求項3の本発明では、請求項1または、2記載の充填剤を用いることを特徴とする液体クロマトグラフィーによる試料の測定方法を提供する。
【0006】
以下、本発明の詳細を説明する。
(1)重合性単量体
(1−1)架橋性単量体
本発明に用いられる架橋性単量体としては、1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体であることが好ましい。このような架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルナフタレン等のスチレン誘導体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチルロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチルロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルの誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン等の脂肪族ジエン化合物;および上記単量体の誘導体などが挙げられる。その中でも、特に(メタ)アクリレート誘導体が好ましい。これらは、2種以上が混合されて用いられてもよい。
なお、例えば上記(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル、又は、メタクリル酸エステルを意味する。
【0007】
また、架橋重合体をより親水性化し、かつ耐膨潤性を良好に保つためには、水酸基などの親水性基を含む架橋性単量体を用いてもよい。
このような単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−5−メチル−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,11−ジ(メタ)アクリロキシ−4,8−ジオキサウンデカン−2,6,10−トリオールおよびこれらの誘導体類が挙げられる。これらは、2種以上が混合されて用いられてもよい。
【0008】
(1−2)親水性単量体
クロマトグラフィーにおいて、例えば、充填剤表面に存在する親水性官能基は、架橋重合体の親水性を維持し、かつ測定試料と相互作用を及ぼし合う主要素となり、重合体表面の親水性官能基と測定試料の相互作用の結果、測定試料が各成分に分離される。このため、充填剤表面には、分離作用に好適な、例えば、親水性官能基等の官能基を含有することが好ましい。
但し、上述した架橋性単量体が、上記した親水性官能基を含有する場合やそれに相当する性質を持つ場合には、親水性単量体を添加しなくてもよい。
上記作用を持つ親水性単量体は、本発明による充填剤を適用するLCの分離モードによって、以下のように選択される。
【0009】
(1−2−1)イオン交換クロマトグラフィー用充填剤
上記充填剤には、1分子中に1個以上のイオン交換基を含有する親水性単量体を用いるのが好ましい。このような単量体としては、下記のものが挙げられる。
【0010】
(1) カルボキシル基含有単量体:
上記カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2- (メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(2) リン酸基含有単量体:
上記リン酸基含有単量体としては、例えば、((メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェートおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
(3) スルホン酸基含有単量体:
上記スルホン酸基含有単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、(3−スルホプロピル)- イタコン酸、3-スルホプロピル(メタ)アクリル酸およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(4) 3級アミノ基含有単量体:
上記3級アミノ基含有単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3- ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(5) 4級アミノ基含有単量体:
上記4級アミノ基含有単量体としては、例えば、2-(メタ)アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3- (メタ)アクロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0011】
(1−2−2)ゲル浸透クロマトグラフィー用充填剤
上記充填剤には、1分子中に1個以上の水酸基等のイオン性親水基、又は、エポキシ基等の非イオン性親水基を含有する親水性単量体を用いるのが好ましい。
このような単量体としては、例えば、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0012】
(1−2−3)順相クロマトグラフィー用充填剤
上記充填剤には、1分子中に少なくとも1個の1〜2級アミノ基、シアノ基、水酸基などを有する親水性単量体を用いるのが好ましい。このような単量体としては、例えば、アリルアミン、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0013】
上記親水性単量体は、2種以上が混合されて用いられてもよく、さらに、上記親水性単量体及びその各種誘導体は、ナトリウム塩、カリウム塩などの塩類、塩化物などであってもよい。
また、上記親水性単量体は、各分離モードに限定される訳ではなく、他のモードに使用したり、他のモードに挙げた単量体と混合して用いることも可能である。
【0014】
これらの親水性単量体の使用量は、上記架橋性単量体100重量部に対して200重量部以下であることが好ましい。200重量部を超えると、複数の溶離液を用いた場合の溶離液の切り替え時などには、各溶離液への充填剤の平衡化に長時間を要し、結果測定時間が延長される。また、親水性の強い単量体では、重合時に凝集が発生しやすくなるためである。
【0015】
上記親水性基含有単量体は、上記単量体のほかに、化学反応により親水性基に変換しうる官能基を有する単量体を用い、重合終了後に、該化学反応を行い、親水性基に変換することでも、同様の親水性基含有重合体を調製し得る。
上記、化学反応としては、公知の反応を用いることができ、例えば、加水分解反応や転移反応などが用いられる。
また、上記化学反応によって変換し得る官能基としては、例えば、加水分解反応によってイオン交換基に変換し得るエステル基、水酸基に変換しうるエポキシ基、あるいは硫酸塩を反応しスルホン酸基を付加し得る水酸基等が挙げられる。
具体的には、例えばメチルメタクリレートを単量体として用い、重合後、アルカリ性下で加温する事により、エステル結合が分解してカルボキシル基に変化されることで、カチオン交換充填剤が調製し得る。
【0016】
(1−3)その他の単量体
また本発明に用いられる単量体は、必要に応じて、上記架橋性単量体以外の非架橋性単量体が構成単位の一部として混合されていてもよい。
上記非架橋性単量体としては、上記親水性単量体以外の、例えば、スチレン、α- メチルスチレン、p-メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体類;塩化ビニルなどの脂肪族系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリルなど(メタ)アクリル酸誘導体類が挙げられる。
【0017】
上記非架橋性単量体の量は、上記架橋性単量体100重量部に対して100重量部以下が好ましい。非架橋性単量体の量が100重量部より多くなると、膨潤、収縮などがおこりやすくなり、複数の溶離液を用いた場合などに溶離液への平衡化に長時間を要するようになるためである。
【0018】
(2)重合開始剤
本発明における重合開始剤としては、特に限定されず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用いられる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、 4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられる。
上記重合開始剤の使用量は、上記架橋性単量体100重量部に対し、0.05〜5重量部が好ましい。重合開始剤の使用量が0.05重量部未満になると、重合反応が不十分となったり、重合に長時間を要することがあり、5重量部を越えると、急激な反応の進行により、凝集物が発生することがある。
【0019】
(3)重合反応
本発明では、上記単量体を用いて、上記重合開始剤の存在下において重合反応を行う。
本発明における重合反応は、公知の重合方法、例えば乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などにより行われる。その中でも、操作の簡便性から、懸濁重合を用いることが好ましい。
例えば、懸濁重合法を用いる場合には、水溶性分散剤を溶解した水性分散媒に、上記重合開始剤を溶解した上記架橋性単量体および親水性単量体の混合物を分散させ、攪拌後、窒素雰囲気下で昇温することにより重合反応を行わせることができる。
上記懸濁重合の重合反応の温度および時間は、使用する単量体および重合開始剤の種類や量などによって異なるが、40〜100℃、0.3〜50時間程度であることが好ましい。その後、上記重合工程を経て得られた重合物を、水および有機溶媒等で洗浄して乾燥することにより架橋重合体が得られる。
【0020】
また、上述の重合反応において、架橋性単量体以外の単量体類は、重合反応開始時に、架橋性単量体と混合されて反応系に添加されてもよく、また、架橋性単量体のみを用いて重合開始剤の存在下で重合を行い、重合反応の途中で、これらの単量体類を添加しても良い。これらの単量体類の途中添加を行う場合、その添加時期は、重合反応における重合率が、好ましくは70〜98%の段階にあることが好ましい。但し、後述する有機溶媒とは、必ずしも同時期に添加する必要はない。
【0021】
一方、本発明のLC用充填剤に用いられる重合体の重合方法として、多段階反応による微粒子の合成方法が用いられてもよい。
すなわち、あらかじめ重合された粒度分布の揃った均一粒径重合体粒子に、上記単量体、または、これらの一部が吸収されて製造されることにより、粒径がより均一化される。ここでいう均一粒径重合体粒子とは、例えば上記非架橋性単量体などの単独重合体又は共重合体からなる非架橋重合体粒子などが挙げられ、スチレン重合体、(メタ)アクリル酸メチル重合体、(メタ)アクリル酸エチル重合体などである。
【0022】
また、上記の粒径均一重合体粒子として、上記非架橋性単量体と上記架橋性単量体との共重合体である架橋共重合体粒子(例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)も使用できるが、この場合は、架橋性単量体の割合を全単量体の10重量%以下として共重合して得られる低架橋重合体粒子が好ましい。
【0023】
上記の粒径均一重合体粒子の製造方法は公知の重合方法でよく、例えば乳化重合、ソープフリー重合、分散重合、懸濁重合などが挙げられる。
上記の粒径均一重合体粒子の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、粒径のばらつきは変動係数(CV値)(=標準偏差÷平均粒径×100)として15%以下が好ましい。
【0024】
上記の粒径均一重合体粒子を本発明方法の重合反応に用いる場合の量は、上記架橋性単量体100重量部に対して0.5〜100重量部が好ましい。
上記の粒径均一重合体粒子を用いる場合には、該重合体粒子に、架橋性単量体(必要に応じて、非架橋性単量体も含む)と重合開始剤を吸収させて重合を進めることが好ましい。
【0025】
(4)有機溶媒
本発明の充填剤の調製には、その重合時に有機溶媒が添加されてもよい。
(4−1多孔質化)
本発明における充填剤は、通常、多孔質であるが、その孔径をより大きくするために、その重合反応時に多孔質化剤として有機溶媒が用いられて製造されてもよい。
このように、大孔径に多孔質化された重合体を製造する場合は、多孔質化剤として単量体を溶解するが、重合体を溶解しない有機溶媒を重合反応系に添加して重合するような、公知の方法を用いることができる。このような多孔質化剤としては公知のものでよく、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和炭化水素;イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール類などが挙げられる。
【0026】
上記多孔質化剤の使用量は、多くなると、得られる重合体の耐圧性が低下し、膨潤、収縮し易くなり、また、重合中に凝集が発生し易くなるので、上記架橋性単量体100重量部に対して、0〜100重量部が好ましい。
【0027】
(4−2重合率の向上)
また、有機溶媒は、上記単量体その中でも親水性の単量体を用いた場合に重合率を向上するためにも用いられる。この場合、重合に用いられる単量体の良溶媒を添加することが好ましい。
添加方法は、特に限定されず、重合性単量体と混合して用いても、反応系に別に添加して用いても、あるいは重合途中で反応系に添加されてもよい。
【0028】
上記有機溶媒は、用いる架橋性単量体および親水性単量体によって異なるが、上記多孔質化剤に用いられる有機溶媒に加えて、さらに、親水性単量体に対して良溶媒であるものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0029】
上記有機溶媒の使用量は、上記架橋性単量体100重量部に対し、20〜500重量部が好ましい。有機溶媒の使用量が20重量部未満になると、効果がなくなり、500重量部を越えると、重合中に凝集しやすくなる。
【0030】
また、有機溶媒を重合途中に反応系に添加する場合、その添加時期は、重合反応において重合率が、70〜98%の範囲で添加することが好ましい。
重合率が70%以下の段階で添加すると、未反応の単量体に溶解して細孔径を必要以上に大きくしたり、重合途中で凝集物が発生する可能性が大きくなるので好ましくない。また重合率が98%以上の段階での添加は、重合反応が進行しすぎて、これらの添加の効果が現れにくい。
ここでの重合率の算出方法は、所定の重合時間経過後重合物を取り出し、水および有機溶媒で洗浄した後乾燥して、その乾燥重量を測定し、以下の式により求めることができる。
重合率(%)=(得られた重合物の重量/単量体仕込量)×100
【0031】
本発明の有機溶媒の添加方法は特に限定されず、重合系に添加分を一括して添加しても良いし、数分〜数時間かけて添加してもよい。また添加時に重合系の温度を一度室温まで下げるなど、温度を変化させてもよい。
【0032】
(5)LC用充填剤及びカラム
上記の重合工程により得られた親水性架橋重合体を、LC用充填剤とするには、粒径および粒度分布を一定の範囲となるよう調節する。
(5−1)充填剤の粒径
本発明におけるLC用充填剤の好ましい平均粒径は0.5〜20μmであり、さらに好ましくは1〜15μmである。0.5μm未満では、カラムに充填して使用する場合、圧力損失が大きくなったり、あるいは重合による粒径調整が困難である。また、20μmより大きいと、分離性能が低下する。
上記重合反応の結果、上記範囲を逸脱した場合、以下のように反応条件を設定する方法で粒径を上記範囲に調整することができる。上記反応条件としては、重合開始前の攪拌時(粒子径調整時)の攪拌速度、攪拌羽根の形状や大きさ、重合容器の形状や大きさ、重合溶媒(分散媒)の種類や濃度、単量体の種類や濃度を調整することにより、上記の粒径範囲に調整することが可能である。
また、架橋重合体粒子を、必要に応じて公知の分級方法によって分級することにより、上記範囲に調節することもできる。分級方法は、乾式又は湿式の公知の方法が用いら得る。
好ましくは、上記の反応条件を設定する方法で粒子径を調整する。
【0033】
(5−2)充填剤のCV値
本発明におけるLC用充填剤のCV値は20〜40%の範囲である。20%未満にするためには、条件設定が困難である特殊な重合方法を用いなければならない、また、分級操作の中でも特に収率の低下する分級方法を行わなければならない。また、40%を越える場合は、分級性能が低下したりカラム寿命が短くなってしまう。
上記範囲を逸脱した場合、以下のように反応条件を設定する方法で粒径を上記範囲に調整することができる。上記反応条件としては、重合開始前の攪拌時(粒子径調整時)の攪拌速度、攪拌羽根の形状や大きさ、重合容器の形状や大きさ、重合溶媒(分散媒)の種類や濃度、単量体の種類や濃度を調整することにより、上記の粒径範囲に調整することが可能である。
また、必要に応じて公知の分級方法(収率が大きく低下しない方法)によって分級することにより、上記範囲に調節することもできる。分級方法は、乾式又は湿式の公知の方法が用いら得る。
好ましくは、上記の反応条件を設定する方法で粒子径を調整する。
【0034】
(5−3)LC用充填剤のカラムへの充填
本発明におけるLC用充填剤は、ステンレス製などのカラムに充填されてLC測定に適用される。カラムへの充填に際しては、適宜に公知の方法を用いることができるが、充填剤を溶離液として用いる溶媒などの分散媒に所定量分散し、カラム内にパッカーなどを経由して圧入する湿式法(スラリー法)が特に好ましい。
【0035】
(5−4)測定対象物質
本発明におけるLC用充填剤は、従来のLC測定の手法における各種モードに適用させ得る。主な測定対象物質としては、従来からLCにより分離されていたものの全てである。特に、カテコールアミン誘導体類、ヌクレオチド類、ペプチド類、タンパク質類、糖類、多糖類などの生体関連物質が好適である。
また本発明における充填剤は、上記以外にも各種前処理用カラムや、リガンドを固定化してアフィニティクロマトグラフィー用担体とすることもできる。
【0036】
(5−5)LC装置
本発明における充填剤が充填されたカラムを適用できるLC装置は公知のものでよく、例えば、送液ポンプ、試料導入装置、カラム、検出器などから構成され得る。また、これらに他の付属品(恒温槽や溶離液の脱気装置など)が適宜付属されてもよい。
【0037】
(5−6)溶離液
本発明における充填剤を用いたLC分析には、公知の溶離液が用いられ得る。
例えば、以下の物質などを含む各種緩衝液などが挙げられる。リン酸、硝酸、塩酸、過塩素酸などの無機酸及びその塩類;酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸及びその塩類又はハロゲン化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質。また、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、ヘキサンなどの有機溶媒も使用可能であり、また、水若しくは上記緩衝液と有機溶媒の混合物も使用可能である。さらに公知の溶離液に添加される各種の化合物を添加することもできる。
これらの溶離液は、溶出力の異なる数種類が用いられてもよく、その場合は、測定途中で溶離液を適宜切り替えても良い。その方法としては、公知の方法が用いられてもよく、例えば、ステップグラディエント法やリニアグラディエント法を用いることも可能である。また用いられる各溶離液の通液順序は、特に制限がなく、例えば、溶出力の大小にも関係なく使用できる。さらに、溶離液は、測定途中で、適宜流速を変化させても良い。
【0038】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1):(カチオン交換充填剤)
(充填剤の調整)
1,10−ジメタクリロキシ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール(架橋性単量体:共栄社化学社製)100g、トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体:新中村化学社製)300gにベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1.5gを混合して溶解し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で1時間重合反応を行った。重合後、反応系を30℃に冷却した後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(イオン交換基含有単量体:東京化成工業社製)の50%水溶液400gおよびメタノール400gを添加して30℃で1時間撹拌した後、再び80℃で1時間重合を行った。
重合後、水及び有機溶媒で洗浄して、イオン交換基含有架橋重合体を得た。
(粒度分布の測定)
上記方法で得られた重合体の粒度分布を、粒度分布測定装置(コールターマルチタイザー:コールター社製)で測定した。その結果、平均粒径は、8.1±2.1μm(平均粒径±標準偏差)、CV値は、25.9%であった。
【0039】
(性能評価)
上記方法で得られた充填剤について、以下のように性能を評価した。
(1)LC用カラムの製造:
充填剤0.7gを採取し、50mMリン酸緩衝液(pH5.3)30mLに分散し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製空カラム(4.6φ×35mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力200kg/cm2 で定圧充填して、LC用カラムを製造した。
【0040】
(2)タンパク質混合物の測定
上記方法で得られた充填剤を充填したカラムを用いて、タンパク質標準物質の混合物を測定した。
(測定条件)
システム:送液ポンプ :LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学社製)
検 出 器 :紫外可視検出器SPD−6AV(島津製作所社製)
溶 離 液:下記溶離液A100%から溶離液B100%へのリニアグラディエント法で溶出した。
溶離液A:100mMリン酸緩衝液(pH5.7)
溶離液B:溶離液A+500mM NaCl(pH5.7)
流 速:2.0mL/分
検出波長 :254nm
試料注入量:10μm
【0041】
(測定試料)
ミオグロビン(図1のピーク1)、α−キモトリプシノーゲン(ピーク2)、リボヌクレアーゼA(ピーク3)、リゾチーム(ピーク4)(以上、いずれもSigma社製)の混合物
【0042】
(測定結果)
得られたクロマトグラムを図1に示す。
各ピークが短時間で良好に分離されていることがわかる。
【0043】
(3)ヒト血液中のヘモグロビン類の測定
上記方法で得られた充填剤を充填したカラムを用いて、糖尿病診断の指標となる、ヒト血液中のヘモグロビン(Hb)類を含むHb類の測定を行った。
(測定条件)
システム:上記(2)タンパク質混合物の測定に用いたシステムと同様。
溶離液 :リン酸塩及び過塩素酸塩を含む3種類の緩衝液によるステップグラディエント法で溶出した。
溶離液C:50mM過塩素酸を含有する20mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3)
溶離液D:70mM過塩素酸を含有する20mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3)
溶離液E:250mM過塩素酸を含有する20mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH8.0)
流 速:1.5mL/分
検出波長:415nm
【0044】
(測定試料の調製)
健常人血を採血し、抗血液凝固剤として、フッ化ナトリウム10mg/mlとなるように添加した。これに以下の処理を行い、a)糖負荷血試料;b)カルバミル化Hb(CHb)含有試料;c)アセチル化Hb(AHb)含有試料を調製した。
a)グルコースを500mg/dLとなるように添加し、37℃で5時間反応させ、次いで、溶血試薬(0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)のリン酸緩衝液溶液(pH7.0))で溶血し、150倍に希釈して測定試料a)とした。
b)CHb含有試料:健常人血10mLに、0.3%のシアン酸ナトリウムの生理食塩水溶液1mLを添加し、37℃で3時間反応させて、上記a)で用いたと同様の溶血試薬で溶血し、150倍に希釈して測定試料b)とした。
c)AHb含有試料:健常人血10mLに、0.3%のアセトアルデヒドの生理食塩水溶液1mLを添加し、室温で3時間反応させて、上記a)で用いたと同様の溶血試薬で溶血し、150倍に希釈して測定試料c)とした。
【0045】
(測定結果)
試料a)を測定した結果、得られたクロマトグラムを図2−a)に示す。
図2−a)中の各ピークは、ヘモグロビンA1a及びb(HbA1a及びb:ピーク11);ヘモグロビンF(HbF:ピーク12);不安定型HbA1c(ピーク13);安定型HbA1c(ピーク14);ヘモグロビンA0(HbA0:ピーク15)を示す。
HbF(ピーク12)及び糖尿病診断の指標となる安定型HbA1cピーク(ピーク14)の良好な定量性が確保されるためには、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1c、HbA0の順に溶出される必要があるが、図2−a)ではこの順序通りに各ピークが溶出し、高濃度の不安定型HbA1c(ピーク13)を、安定型HbA1cから良好に、しかも短時間に分離できた。
試料b)およびc)を測定した結果を、それぞれ図2−b)およびc)に示す。図2−b)およびc)中において、各ピークはCHb(ピーク16);AHb(ピーク17)を示す。いずれのピークも安定型HbA1cから良好に分離された。
【0046】
(4)カラムの耐久性試験
上記(3)のHb測定において、上記試料a)を繰り返し測定し、安定型HbA1c値の変動を比較した。安定性HbA1c値は下式により算出した。
安定型HbA1c値(%)=(安定型HbA1cのピーク面積)/(全ピーク面積)×100
得られた結果を表1に示した。その結果、測定検体1〜5検体目までの平均値と1995〜2000検体目の平均値は、ほぼ同様であり、カラム寿命が長いことが解った。
【0047】
(比較例1および2)
上記実施例1で得られたイオン交換基含有架橋性重合体を、分級装置(日鉄鉱業社製 ELBOW−JET)にて分級し、2種(比較例1および2)の充填剤を得た。それぞれの粒度分布および分級収率を表2に示した。
比較例1および2の充填剤について、実施例1と同様にカラムに充填し、Hb類の測定を行った。測定試料2−a)の測定結果は、比較例1および2とも、図2−a)と同様であった。
さらに実施例1の(4)の方法によりカラム耐久性試験を行った。その結果を表1に示す。いずれも実施例1の充填剤と同様、良好な結果であった。
しかしながら表2の分級収率からわかるように、比較例1では30%以下、比較例2では10%程度の収量しかなく、分級操作でのロスが非常に大きかった。
従って実施例1に示された本発明の充填剤は、粒度分布が広い状態;つまり分級ロスのない未分級の状態で、分級後の充填剤(比較例1および2)と同等の性能を有していることがわかった。
【0048】
【表1】
Figure 0004758529
【0049】
【表2】
Figure 0004758529
【0050】
(実施例2):(アニオン交換用充填剤)
ジエチルアミノエチルメタクリレート(親水性単量体:和光純薬社製)200g、ジエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体:新中村化学社製)400g及びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤:キシダ化学社製)1.5gを混合し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で重合反応を行った。2時間後、メタノール100gを反応系に添加してさらに80℃で3時間重合反応を行った。
実施例1と同様にして粒度分布を測定した結果、平均粒径は、6.5±2.5μm、CV値は、38.5%であった。
【0051】
(タンパク質混合物の測定)
上記方法で得られた充填剤を実施例1と同様に充填したカラムを用いて、タンパク質標準物質の混合物を測定した。
(測定条件)
システム:実施例1に同じ
溶離液 :下記溶離液F100%から溶離液G100%へのリニアグラディエント法で溶出した。
溶離液F:50mMリン酸緩衝液(pH6.2)
溶離液G:溶離液F+500mM NaCl(pH6.2)
流 速:1.5ml/分
検出波長:280nm
試料注入:10μm
【0052】
(測定試料)
ミオグロビン(ピーク1)、α−キモトリプシノーゲン(ピーク2)、リゾチーム(ピーク4)(以上、いずれもSigma社製)の混合物
【0053】
(測定結果)
得られたクロマトグラムを図3に示す。
各ピークが短時間で良好に分離されていることがわかる。
【0054】
(比較例3および4)
上記実施例2で得られたイオン交換基含有架橋性重合体を、比較例1と同様にして分級し、2種(比較例3および4)の充填剤を得た。それぞれの粒度分布および分級収率を表2に示した。
また、比較例3および4の充填剤について、実施例1と同様にカラムに充填し、タンパク質混合物の測定を行った。測定結果は、比較例3および4とも、図3と同様に良好な分離性能を示した。
しかしながら表2の分級収率からわかるように、比較例3では15%以下、比較例4では10%以下の収量しかなく、分級操作でのロスが非常に大きかった。
従って実施例2に示された本発明の充填剤は、粒度分布が広い状態でも、分級後の充填剤(比較例3および4)と同等の性能を有していることがわかった。
【0055】
(実施例3):(GPC用充填剤)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(親水性単量体:和光純薬社製)100g、メチルメタクリレート(非架橋性単量体:和光純薬社製)100g、テトラエチレングリコールジメタクリレート300g、トルエン(多孔質化剤)400g及びベンゾイルパーオキサイド1.5gを混合し、2.5リットルの6重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液に分散させた。 窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で重合反応を行った。1.5時間後、エタノール150gを反応系に添加し、さらに80℃で2時間重合反応を行った。
実施例1と同様にして粒度分布を測定した結果、平均粒径は、9.5±2.9μm、CV値は、30.5%であった。
【0056】
(ポリエチレングリコール類の測定)
実施例3で得られた充填剤を実施例1と同様に充填したカラムを用いて、糖類混合物を測定した。
(測定条件)
システム :送液ポンプ :LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学社製)
検 出 器 :示差屈折計SE−51(昭和電工社製)
溶 離 液:アセトニトリル:水=75:25の混合液
流 速:1.2ml/分
試料注入量:10μm
(測定試料)
各分子量を有するポリエチレングリコール(以上、いずれも和光純薬社製)
【0057】
(測定結果)
得られたクロマトグラムを図4に示す。
図中のピークは、分子量200〜7500のポリエチレングリコール(ピーク31〜37);エチレングリコール(ピーク38)を示す。
各ピークが短時間で良好に分離されていることがわかる。
【0058】
(比較例5および6)
上記実施例3で得られたイオン交換基含有架橋性重合体を、比較例1と同様にして分級し、2種(比較例5および6)の充填剤を得た。それぞれの粒度分布および分級収率を測定した結果、表2とほぼ同様の結果を得た。
また、比較例5および6の充填剤について、実施例1と同様にカラムに充填し、ポリエチレングリコール類の測定を行った。
その結果は、分離性能は、上記実施例3同様良好であった。しかしながら上記表2と同様に分級収率が極めて低く、分級操作でのロスが非常に大きかった。従って実施例3に示された本発明の充填剤は、粒度分布が広い状態で、分級後の充填剤(比較例5および6)と同等の性能を有していることがわかった。
【0059】
(実施例4):(順相クロマトグラフィー)
1,10−ジメタクリロキシ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール(架橋性単量体:共栄社化学社製)100g、メチルメタクリレート100g、テトラエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体:新中村化学社製)300gにベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1.5gを混合して溶解し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で1時間重合反応を行った。重合後、反応系を30℃に冷却した後、アクリルアミド(親水性単量体:和光純薬社製)の200gおよびメタノール300gを添加して30℃で1時間撹拌した後、再び80℃で1時間重合を行った。
実施例1と同様にして粒度分布を測定した結果、平均粒径は、5.3±1.4μm、CV値は、26.4%であった。
【0060】
(糖類混合物の測定)
実施例4で得られた充填剤を実施例1と同様に充填したカラムを用いて、糖類混合物を測定した。
(測定条件)
システム:実施例3に同じ
溶離液 :アセトニトリル:水=75:25の混合液
流 速:1.2ml/分
試料注入:10μm
【0061】
(測定試料)
フルクトース(ピーク41)、グルコース(ピーク42)、シュークロース(ピーク43)、マルトース(ピーク44)(以上、いずれも和光純薬社製)の混合物
(測定結果)
得られたクロマトグラムを図5に示す。
各ピークが短時間で良好に分離されていることがわかる。
【0062】
(比較例7および8)
上記実施例4で得られたイオン交換基含有架橋性重合体を、比較例1と同様にして分級し、2種(比較例7および8)の充填剤を得た。それぞれの粒度分布および分級収率を測定した結果、表2とほぼ同様の結果を得た。
また、比較例7および8の充填剤について、実施例1と同様にカラムに充填し、糖類混合物の測定を行った。
その結果は、分離性能は、上記実施例4同様良好であった。しかしながら上記表2と同様に分級収率が極めて低く、分級操作でのロスが非常に大きかった。従って実施例4に示された本発明の充填剤は、粒度分布が広い状態で、分級後の充填剤(比較例7および8)と同等の性能を有していることがわかった。
【0063】
(実施例5):(逆相クロマトグラフィー)
トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体:新中村化学社製)200g、テトラメチロールメタントリアクリレート150g(架橋性単量体:新中村化学社製)及びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤:キシダ化学社製)1.5gを混合し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で5時間重合反応を行った。重合後、水および有機溶媒で洗浄して、架橋重合体を得た。
実施例1と同様にして粒度分布を測定した結果、平均粒径は、7.2±2.5、CV値は、34.7%であった。
(タンパク質混合物の測定)
実施例5で得られた充填剤を実施例1と同様に充填したカラムを用いて、タンパク質標準物質の混合物を測定した。
(測定条件)
システム:実施例1に同じ
溶離液 :下記溶離液J100%から溶離液K00%へのリニアグラディエント法で溶出した。
溶離液J:15mM過塩素酸水溶液/アセトニトリル=70/30
溶離液K:15mM過塩素酸水溶液/アセトニトリル=20/80
流 速:1.5ml/分
検出波長:220nm
試料注入:10μm
(測定試料)
ミオグロビン(ピーク1)、リボヌクレアーゼ(ピーク3)、リゾチーム(ピーク4)(以上、いずれもSigma社製)の混合物
(測定結果)
得られたクロマトグラムを図6に示す。各ピークが短時間で良好に分離されていることがわかる。
【0064】
【発明の効果】
本発明は、上記構成よりなるので、粒子径が比較的大きくまた、粒度分布が広いままでも性能の良い、すなわち、分級したものと同等の高い分離性能や長いカラム寿命を有しており、さらに、粒度分布が広くても良いため、製造時の分級操作等による歩留まりの低下がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られた充填剤を用いて、タンパク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図2】実施例1により得られた充填剤を用いて、ヘモグロビン類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図3】実施例2により得られた充填剤を用いて、タンパク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図4】実施例3により得られた充填剤を用いて、ポリエチレングリコール類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図5】実施例4により得られた充填剤を用いて、単糖類混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図6】実施例1により得られた充填剤を用いて、タンパク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【符号の説明】
1 ミオグロビンのピーク
2 α−キモトリプシノーゲンのピーク
3 リボヌクレアーゼAのピーク
4 リゾチームのピーク
11 HbA1a及びbのピーク
12 HbFのピーク
13 不安定型HbA1cのピーク
14 安定型HbA1cのピーク
15 HbA0のピーク
16 CHbのピーク
17 AHbのピーク
31〜37 ポリエチレングリコールのピーク
38 エチレングリコールのピーク
41 フルクトースのピーク
42 グルコースのピーク
43 シュークロースのピーク
44 マルトースのピーク

Claims (2)

  1. イオン交換基含有架橋重合体よりなる液体クロマトグラフィー用充填剤であって、該重合体の平均粒径が、5.3〜20μmで、かつ粒度分布の変動係数(CV値)が30.5〜40%であることを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤。
  2. 請求項1記載の充填剤を用いることを特徴とする液体クロマトグラフィーによる試料の測定方法。
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