JP3927322B2 - 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法、更に詳しくはカチオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換基としてカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などのカチオン交換基を有する充填剤を用いた液体クロマトグラフィー分析法は、糖化ヘモグロビン類の分析をはじめとして、各種生体関連物質の分析等に極めて有用な方法である。
【0003】
上記カチオン交換基を有する充填剤の製造方法としては、例えば、以下の4つの方法が開示されている。
(1)架橋性粒子に、カチオン交換基を有する化合物を反応させる方法。
すなわち、反応性官能基を有する無機系又は有機系粒子に、該反応性官能基と反応する基及びカチオン交換基を有する化合物を反応させることにより、上記無機系又は有機系粒子に、カチオン交換基を導入する方法。具体的には、例えば、特開平1−262468号公報には、粒子中のエポキシ基にカルボキシル基含有化合物又はスルホン酸基含有化合物を反応させる方法が開示されている。
【0004】
(2)カチオン交換基を有する単量体を、架橋性単量体と混合して共重合する方法。
例えば、特公昭63−59463号公報には、カルボキシル基含有単量体5〜90重量%、架橋性単量体10〜95重量%、非架橋性単量体0〜85重量%を混合して重合する方法が開示されている。
【0005】
(3)疎水性架橋性単量体の重合途中にカチオン交換基を有する単量体を添加し、更に重合を継続する方法。
例えば、Y.Ohtsuka et al の文献[J. Applied Polym. Sci.,27(1982)3279-3288]には、イオン交換樹脂の製造法ではないが、疎水性架橋性単量体としてエチレングリコールジメタクリレートを用い、該単量体を10〜60分重合した後、アクリル酸やメタクリル酸などのカチオン交換基含有単量体を反応系に添加して、更に重合を24時間継続して行う方法が開示されている。
【0006】
(4)疎水性架橋重合体粒子の表面付近で、カチオン交換基含有単量体を重合させる方法。
特公平8−7197号公報には、重合開始剤を含浸させた疎水性架橋重合体粒子を水性分散媒に分散した後、カチオン交換基含有単量体を添加して重合し、粒子表面付近で該単量体を重合させる方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)〜(4)の方法には、以下の問題点が残っている。
上記(1)の方法:
・後処理によりイオン性基を導入する方法においては、イオン交換基を有する化合物を定量的に導入することは困難であることが一般的に知られており、上記(2)や(4)の方法のような単量体由来のイオン交換基導入に比べ、製造の再現性の点で劣る(吉廻、細矢、木全、田中:Chromatography,16(1)7-12(1995))。
・また後処理の方法が極めて煩雑で長時間を要する。
・カチオン交換基含有化合物と反応させるための官能基としては、水酸基、グリシジル基、アミノ基などがあるが、いずれも親水性基であり、これらの親水性基を有する単量体を多量に用いて重合を行って粒子を調製するため、耐圧性・耐膨潤性に劣る。
【0008】
上記(2)の方法:
・上記(1)の方法に比べ、充填剤にカチオン交換基を定量的に含有させることが可能であり、操作も簡単であるが、カチオン交換基が粒子内部にも存在するため、耐圧性が劣るとともに、溶離液の変更等による外部環境の変化に対して、平衡化に時間がかかり、結果的に測定時間の延長を招く、等の欠点を有する。
【0009】
上記(3)の方法:
・重合途中で親水性単量体を添加する方法では、同一条件で重合を行っても再現性が悪く、生産上極めて不都合である。すなわち、重合途中で、主に親水性単量体由来の重合物が凝集してしまい使用不可能となることが多い;液体クロマトグラフィー用充填剤として使用した場合、保持時間やカラム圧力などの性能にばらつきが大きい;微調整すること(例えば:粒径を最適化するなど)も可能であるが、非常に煩雑でありコストもかかる;重合時間が長い(24時間)ため凝集が発生しやすい、などの欠点がある。
【0010】
上記(4)の方法:
・一連の重合作業で行えないため、作業が繁雑である。
・疎水性架橋重合体に重合開始剤を、定量的に含浸させることが困難なため、液体クロマトグラフィー用充填剤としての性能の再現性が悪い。
・重合の途中で、カチオン交換基含有単量体を添加する連続法も記載されているが、添加された該単量体が均一に分散しない状態で、すぐに重合が開始されるため、ロット間差が大きい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、煩雑で再現性の低下を招く後処理によるカチオン交換基の導入方法を用いず、粒子内部に親水性基が多く存在することによる膨潤・収縮や、平衡化時間の延長がなく、更に、長時間又は煩雑な操作をすることなく、しかも製造再現性に優れ、製造ロット間差の少ない、液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法は、以下の工程よりなることを特徴とする。
(i)疎水性架橋性単量体と重合開始剤とを含む重合性混合物を水性分散媒に分散する第1工程、
(ii)第1工程で得られた分散系を50〜100℃に昇温して、20〜240分間重合反応を行う第2工程、
(iii )その後、10〜40℃に反応系を冷却する第3工程、
(iv)該反応系にカチオン交換基含有単量体を添加する第4工程、
(v)添加終了後、該反応系を10〜40℃で0.5〜24時間撹拌する第5工程、
(vi)該反応系を50〜100℃に昇温して重合反応を行い、重合開始後20〜240分間で、かつカチオン交換基含有単量体の添加量の0.1〜20%の重合率の段階において重合反応を終了する第6工程、
(vii )得られた重合体を、水及び/又は有機溶媒で洗浄する第7工程。
【0013】
以下、本発明の詳細を工程を追って説明する。
第1工程は、疎水性架橋性単量体と重合開始剤とを含む重合性混合物を水性分散媒に分散する工程である。
【0014】
(疎水性架橋性単量体)
上記疎水性架橋性単量体とは、イオン交換基を有さないか又は有していても微量である単量体であって、1分子中にビニル基を2個以上有し、第4工程で用いるカチオン交換基含有単量体よりも疎水性であるものを言う。このような、疎水性架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルナフタレン等のスチレン誘導体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルの誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサンジエン等の脂肪族ジエン化合物;および上記単量体の誘導体などが挙げられる。これらは2種以上が混合されて用いられてもよい。
【0015】
(重合開始剤)
上記重合開始剤としては、特に限定されず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用いられる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物;および上記重合開始剤の誘導体類などが挙げられる。
【0016】
上記重合開始剤の使用量は、疎水性架橋性単量体100重量部に対し、0.05〜5重量部が好ましい。重合開始剤の使用量が0.05重量部未満になると、重合反応が不十分となったり、重合に長時間を要することがあり、5重量部を越えると、急激な反応の進行により、凝集物が発生することがある。この重合開始剤は、上記疎水性架橋性単量体に溶解して用いられる。
【0017】
(重合性混合物)
上記重合性混合物は、疎水性架橋性単量体と重合開始剤とを必須成分として含むが、更に必要に応じて、その他の単量体(a)、その他の添加物(b)などが混合されてもよい。
【0018】
上記その他の単量体(a)は、例えば、非架橋性単量体が挙げられ、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体類;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
【0019】
上記非架橋性単量体の使用量は、疎水性架橋性単量体100重量部に対して、好ましくは0〜50重量部である。
【0020】
但し、非架橋性単量体のうち、親水性単量体、例えば、水酸基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート;エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレート;第4工程で用いられるカチオン交換基含有単量体;アニオン交換基含有単量体などは用いられない。これらが充填剤粒子を構成するための素材として用いられると粒子内部に存在するこれらの親水性基のため、充填剤粒子の耐圧性・耐膨潤性が低下するからである。
【0021】
上記その他の添加物(b)としては、例えば、多孔質化剤(b−1)、疎水性重合体粒子(b−2)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではなく、公知の添加物が添加され得る。
【0022】
上記多孔質化剤(b−1)としては、単量体を溶解するが、重合体を溶解しない有機溶媒が挙げられ、これを添加することにより、得られる重合体を多孔質にすることができる。多孔質化剤(b−1)としては、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和炭化水素類;イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール類などが挙げられる。
【0023】
上記多孔質化剤(b−1)の使用量は、上記疎水性架橋性単量体100重量部に対して、0〜100重量部が好ましい。
【0024】
上記疎水性重合体粒子(b−2)とは、粒度分布の揃った疎水性の重合体粒子のことを指し、これに上記疎水性架橋性単量体と重合開始剤を吸収させた後、重合を行うことにより、粒度分布の揃った充填剤を得ることができる。上記重合体粒子(b−2)としては、例えば、上記その他の単量体(a)に示した単量体などの単独重合体又は共重合体からなる非架橋重合体粒子が挙げられ、例えば、スチレン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル重合体、(メタ)アクリル酸エチル重合体などが挙げられる。
また、上記重合体粒子(b−2)として、上記その他の単量体(a)と上記疎水性架橋性単量体の共重合体である架橋共重合体粒子も使用できるが、この場合は、疎水性架橋性単量体の割合を10重量%以下として共重合して得られる低架橋重合体粒子が好ましい。
【0025】
上記疎水性重合体粒子(b−2)の製造方法は、公知の重合方法でよく、例えば、乳化重合、ソープフリー重合、分散重合、懸濁重合などが挙げられる。
【0026】
上記疎水性重合体粒子(b−2)の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、粒径のばらつきは変動係数(CV)(=標準偏差÷平均粒径×100)として15%以下が好ましい。
【0027】
上記疎水性重合体粒子(b−2)の使用量は、疎水性架橋性単量体100重量部に対して、0.5〜100重量部が好ましい。
【0028】
(水性分散媒)
上記水性分散媒としては、水、又は水に溶解する適宜の水溶性有機溶媒と水との混合物が挙げられる。上記水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン;アセトニトリルなどを例示することができるが、特にこれらに限定されるものではない。水溶性有機溶媒と水との混合物の場合、上記有機溶媒は20重量%以下が好ましい。
【0029】
上記水性分散媒には、必要に応じて、分散剤(c)、その他の添加剤(d)が含まれてもよい。上記分散剤(c)としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デンプン、ヒドロキシセルロース、ポリビニルエーテルなどの高分子化合物;リン酸カルシウムなどの無機塩類;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニールエーテル、ポリエチレングリコールモノステアリレート、ソルビタンモノステアリレートなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられ、その使用量は、上記水性分散媒の0.01〜20重量%溶液として用いるのが好ましい。
【0030】
上記その他の添加剤(d)としては、例えば、pH調節剤;使用する単量体の溶解度を調整するための物質;消泡剤などが挙げられる。
【0031】
上記pH調節剤としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸類;酢酸などの有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基類;リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液などの各種の無機及び有機系の緩衝液などが挙げられる。
【0032】
上記使用する単量体の溶解度を調整するための物質としては、例えば、酢酸ナトリウムなどの塩類が挙げられる。
【0033】
上記消泡剤としては、例えば、各種界面活性剤など公知の消泡剤が挙げられる。
【0034】
上記水性分散媒の使用量は、重合性混合物100重量部に対して200〜10000重量部が好ましい。
【0035】
第1工程における、重合性混合物を水性分散媒に分散させる方法は、特に限定されるわけではないが、例えば、重合性混合物を、上記水性分散媒に添加して、10〜40℃の状態で撹拌する方法が挙げられる。上記分散系には、不活性ガスを封入又は通気するのが好ましい。
【0036】
第2工程は、第1工程で得られた分散系を50〜100℃に昇温して、20〜240分間重合反応を行う工程である。
以下、この重合反応のことを1次重合と言い、また第6工程の重合反応のことを2次重合と言う。
1次重合の重合温度は、50〜100℃に限定される。50℃未満では重合速度が遅すぎて重合に時間がかかりすぎ、100℃を超えると、重合速度が早すぎて凝集が起こりやすくなる。1次重合の重合時間は20〜240分間に限定される。20分未満では、重合率が低すぎて、液体クロマトグラフィー用充填剤として用いた場合、その性能の再現性が低下する。240分を超えると、重合率が高すぎて、第6工程の2次重合の重合率の低下又は上記2次重合において凝集を引き起こす可能性が高くなる。
【0037】
第3工程は、第2工程の重合反応系を10〜40℃に冷却する工程である。
10〜40℃に冷却されることにより、1次重合反応は、重合が完全に終了する以前に中断される。「重合が完全に終了する以前」とは、疎水性架橋重合体を含む単量体類の重合率が、好ましくは98%以下の状態であり、重合開始剤が理論上、添加量の5%以上残存する状態をいう。この工程において、10℃未満までへの冷却は、作業が繁雑となり、作業時間が延長するとともに、また内容物によっては、溶解度の大きな低下により析出する場合があるので好ましくなく、40℃を超えると、重合が徐々に進行するため、重合率の制御が困難となり、再現性が低下する。重合を行った温度から10〜40℃への冷却までに要する時間は、120分以内が好ましく、60分以内がより好ましい。
【0038】
第4工程は、上記反応系にカチオン交換基含有単量体を添加する工程である。上記カチオン交換基とは、あるpHにおいてカチオン交換能を示す官能基を言い、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられる。カチオン交換基含有単量体とは、1分子中にカチオン交換基を1個以上および重合性官能基を1個以上有する単量体のことを言い、例えば、カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの誘導体など;リン酸基を有する単量体としては、例えば、((メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート及びこれらの誘導体など;スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−スルホプロピル)−イタコン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸及びこれらの誘導体など;上記単量体の、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などの塩類、などが挙げられる。
【0039】
上記カチオン交換基含有単量体の他に、化学反応によりカチオン交換基に変換し得る官能基を有する単量体を用い、かつ該化学反応を重合後に行うことによっても、同様のカチオン交換基含有重合体を調製し得る。該化学反応とは、加水分解反応や転移反応などが挙げられる。上記化学反応によって変換し得る官能基としては、例えば、加水分解反応によってカチオン交換基に変換し得る基が挙げられ、例えば、エステル基などが挙げられる。この方法の一例を挙げると、例えば、メチルメタクリレートを単量体として用い、重合後、アルカリ性下で加温してエステル結合を分解してカルボキシル基に変化させることにより、カチオン交換基含有充填剤を調製し得る。
【0040】
上記第4工程に用いる単量体は複数種を混合して用いても良い。
【0041】
上記第4工程に用いる単量体の使用量は、上記重合性混合物100重量部に対して10〜200重量部が好ましい。
【0042】
第4工程に用いる単量体の添加については、反応系の温度が10〜40℃において添加する。添加は、一括して添加してもよいし、滴下してもよい。滴下する場合は、60分以内に添加を終了するのが好ましい。
【0043】
第5工程は、上記の添加終了後、該反応系を10〜40℃で0.5〜24時間撹拌する工程である。
この工程は、カチオン交換基含有単量体を、水性分散媒に均一に分散させ、かつ1次重合粒子又は残存する単量体類と水性分散媒の間における分配平衡を安定させるために行う。撹拌時間は、用いるカチオン交換基含有単量体又は水性分散媒の組成などにより異なるが、0.5〜24時間に限定される。0.5時間未満では、カチオン交換基含有単量体が反応系に均一になりにくく、その結果、重合の再現性が低下し、24時間を超えて撹拌を行っても効果はそれ以上に向上しないばかりでなく、単量体種によっては、10〜40℃においても重合が進行し、この進行具合のバラツキにより製造再現性の低下の恐れがある。
【0044】
上記撹拌時の温度が10〜40℃に限定される理由は、10℃未満までへの冷却は、作業が繁雑となり、作業時間が延長するとともに、また内容物によっては、溶解度の大きな低下により析出する場合があるので好ましくなく、40℃を超えると、重合が徐々に進行するため、重合率の制御が困難となり、再現性が低下するためである。
【0045】
第6工程は、該反応系を50〜100℃に昇温して重合反応を行い、重合開始後20〜240分間で、かつカチオン交換基含有単量体の添加量の0.1〜20%の重合率の段階において重合反応を終了する工程である。
この2次重合の重合温度は、50〜100℃に限定されるが、この温度は1次重合の温度と異なってもよい。上記温度が50℃未満になると重合速度が遅すぎて重合に時間がかかりすぎ、100℃を超えると重合速度が早すぎて凝集が起こりやすくなる。上記2次重合の重合時間は20〜240分に限定される。上記時間が20分未満では、カチオン交換基含有単量体の重合率が低すぎて、液体クロマトグラフィー用充填剤として用いた場合、イオン交換容量が小さすぎて、十分なイオン交換反応がなされず、その結果分離が不十分となる。また、上記時間が240分を超えると、カチオン交換基含有単量体の単独重合体による凝集が発生しやすくなり好ましくない。
【0046】
上記工程においては、カチオン交換基含有単量体の添加量の0.1〜20%の重合率の段階で重合を終了する。上記重合率が0.1%未満では、重合率が低すぎて、液体クロマトグラフィー用充填剤として用いた場合、イオン交換容量が小さすぎて、測定対象物質との十分なイオン交換反応がなされず、その結果分離が不十分となる。上記重合率が20%を超えると、凝集が発生しやすく、再現性が大きく低下するとともに、液体クロマトグラフィー用充填剤として用いた場合、カラム圧力が上昇し、使用上極めて都合が悪くなる。
なお、ここで言う重合率とは、添加量に対する、最終的に得られた重合生成物中のカチオン交換基含有単量体量を示し、下記の第7工程の洗浄によって除去され得る、カチオン交換基含有単量体の単独重合体などは含まない。
【0047】
第7工程は、得られた重合体を、水及び/又は有機溶媒で洗浄する工程である。この工程は、生成した重合体を水及び/又は有機溶媒で洗浄し、余剰の添加物、不要の生成物などを除去するために行う。上記洗浄は水と有機溶媒双方で洗浄する必要は必ずしもない。水と有機溶媒双方を使用する場合、洗浄の順序は特に問わない。
【0048】
上記洗浄により除去される物質は、分散剤、残存単量体、非架橋の重合体などが挙げられる。特にカチオン交換基含有単量体は第4工程において大過剰に添加するので、該単量体及びその重合体を除去するために、洗浄を行う必要がある。
【0049】
有機溶媒による洗浄の場合に使用する有機溶媒は、得られた重合体粒子が溶解しないこと、及び除去すべき物質の溶解度を考慮して選択されるが、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
【0050】
上記洗浄方法は、重合生成物に、水又は有機溶媒、場合によってはこれらの混合物を添加して撹拌する;又は重合生成物を有機溶媒に浸漬したり、重合生成物に有機溶媒を循環させて抽出するなど、或いはその他公知の方法により行うことができる。また、洗浄工程において、重合体粒子が破損しない程度に加温してもよい。洗浄に用いられた水や有機溶媒は、例えば、デカンテーション又は遠心分離などの方法により除去する。
【0051】
(液体クロマトグラフィー用充填剤への適用)
上記工程によって得られた重合体粒子は、以下の粒径及び粒度分布を満足することにより液体クロマトグラフィー用充填剤とされる。
上記平均粒径は0.1〜50μmが好ましく、0.5〜20μmがより好ましい。粒度分布は、CVが20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
前記工程によって得られた重合体粒子は、必要に応じて分級することにより、上記条件を満足させ得る。分級は、乾式又は湿式など公知の方法が用いられ得る。
【0052】
液体クロマトグラフィー用充填剤として用いる場合、上記充填剤をステンレス製又は樹脂製などのカラムに充填することにより、液体クロマトグラフィー用カラムを構成することができる。充填に際しては、適宜の方法を用いることができるが、充填剤を溶離液に用いる溶媒などの分散媒に所定量分散し、カラム内にパッカーなどを経由して圧入する湿式法(スラリー法)が特に好ましい。
【0053】
本発明で得られる液体クロマトグラフィー用充填剤を用いて分離測定する際の測定対象物質としては、従来からカチオン交換液体クロマトグラフィー又はイオンクロマトグラフィーで分離されていたものの全てである。特に、カテコールアミン誘導体類、ヌクレオチド類、ペプチド類、タンパク質類などの生体関連物質が好適である。
【0054】
本発明で得られる充填剤を適用できる液体クロマトグラフは公知のものでよく、例えば、送液ポンプ、試料導入装置、カラム、検出器などから構成される。また、これらに他の付属品(恒温槽や溶離液の脱気装置など)が適宜付属されてもよい。
【0055】
本発明で得られる充填剤を用いた液体クロマトグラフィー分析には、公知の溶離液が用いられる。例えば、以下の物質などを含む各種緩衝液などが挙げられる。リン酸、硝酸、塩酸、過塩素酸などの無機酸及びその塩;酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸及びその塩又はハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質;その他の無機又は有機塩類。また、Goodの緩衝液も使用可能である。
また、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒も使用可能であり、また、水若しくは上記緩衝液と有機溶媒の混合物も使用可能である。
【0056】
【作 用】
本発明では、まず、架橋度が高く、粒子骨格内部にイオン交換基などの親水性基が少ない疎水性架橋重合体粒子を調製し、しかる後、該粒子の表面付近でカチオン交換基含有単量体を重合させる。従って、(1)得られた充填剤は、膨潤・収縮が少ないので、溶離液の変化に対する平衡化が早いため、特に複数の溶離液を用いた各種のグラディエント溶出法においても測定時間を短くできる;(2)得られた充填剤は、耐圧性が大きいので、高流速分析が行え、従って測定時間の短縮に有利である。また同様に高圧下でのカラム充填が可能となるため、カラム寿命の延長が図ることができる。
また、本発明の方法では、カチオン交換基含有単量体を添加する際には、温度を室温付近(10〜40℃)まで一度冷却してから添加し、また室温付近で一定時間撹拌を行うことにより、製造安定性を飛躍的に高めている。
また、カチオン交換基含有単量体は、大過剰量添加し、かつ低重合率の段階で停止させているので、極めて凝集しやすい単量体であっても、再現性良く重合を行うことができる。
【0057】
【実施例】
以下に本発明方法の実施例を示す。
(実施例1)
トリエチレングリコールジメタクリレート(疎水性架橋性単量体:新中村化学社製)400gにベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤:和光純薬社製)1.5gを混合して溶解した。これを2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、ゴーセノールGH−20)水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、75℃で1.2時間重合した。1.2時間経過後、反応系を約30分間で35℃に冷却し、メタクリル酸(カルボキシル基含有単量体:和光純薬社製)200gを一括添加した。その後25℃で60分間撹拌した後、80℃に昇温して1時間重合した。
重合後、生成物を水及びアセトンで洗浄し、分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0058】
(実施例2)
ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体:キシダ化学社製)250g、スチレン(非架橋性単量体:和光純薬社製)50gを混合し、これにトルエン100g及びベンゾイルパーオキサイド1.5gを混合して溶解した。これを2.5リットルの5重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で2.5時間重合した。2.5時間経過後、反応系を約40分間で30℃に冷却し、アクリル酸(カルボキシル基含有単量体:和光純薬社製)150gを一括添加した。その後25℃で60分間撹拌した後、再び80℃に昇温して1時間重合した。
重合後、生成物を水及びアセトンで洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0059】
(実施例3)
テトラエチレングリコールジメタクリレート(疎水性架橋性単量体:新中村化学社製)350g、テトラメチロールメタンテトラアクリレート(疎水性架橋性単量体:新中村化学社製)50gにベンゾイルパーオキサイド1.5gを混合して溶解した。これを2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で1.3時間重合した。1.3時間経過後、反応系を約30分間で35℃に冷却し、メタクリル酸(カルボキシル基含有単量体:和光純薬社製)80g及びイタコン酸(カルボキシル基含有単量体:東京化成社製)80gを一括添加した。その後25℃で60分間撹拌した後、80℃に昇温して1時間重合した。重合後、生成物を水及びアセトンで洗浄し、分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0060】
(実施例4)
トリエチレングリコールジメタクリレート350g及びテトラメチロールメタントリアクリレート(疎水性架橋性単量体:新中村化学社製)50gの混合物にベンゾイルパーオキサイド1.0gを混合して溶解した。これを2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で1.5時間重合した。1.5時間経過後、反応系を約20分間で室温まで冷却し、反応系内の温度が30℃となったところで、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(スルホン酸基含有単量体:東京化成社製)の50%水溶液400mlを10分間で滴下し添加した。その後25℃で60分間撹拌した後、再び80℃に昇温して1時間重合した。
重合後、生成物を水及びアセトンで洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0061】
(実施例5)
メチルメタクリレート(和光純薬社製)200gを、イオン交換水1200gに添加した。撹拌しながら窒素雰囲気下で70℃に昇温した後、0.5重量%の過硫酸カリウム(E.Merk社製)水溶液10ml及び2重量%のスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬社製)水溶液10mlを反応系に添加した。70℃で24時間重合を行った後、反応生成物を濾過して、平均粒径0.7μm、粒径のCV3.5%の単分散粒子を得た。
【0062】
上記単分散粒子1gを分散させた0.5重量%ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)水溶液400mlに、3重量%ポリビニルアルコール水溶液200mlを添加し、1時間室温で撹拌した(単分散粒子分散液)。一方でトリエチレングリコールジメタクリレート50gにベンゾイルパーオキサイド1.0gを溶解した。これに0.5重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液900mlを添加し、ホモジナイザー(IKA Labotechnik 社製)を用いて、24000rpmで15分間撹拌した。得られた乳化液を、上記単分散粒子分散液に添加して24時間室温で撹拌し、単量体及び重合開始剤を、単分散粒子に吸収させた。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で1.5時間重合した。1.5時間経過後、反応系を約30分間で35℃まで冷却し、メタクリル酸30gを一括添加した。その後25℃で60分間撹拌した後、再び80℃に昇温して1時間重合した。
重合後、生成物を水及びアセトンで洗浄し分級して平均粒径3.5μmの充填剤を得た。
【0063】
(実施例6)
実施例5における、メタクリル酸30gの代わりに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸25gを用いた以外は、実施例5と同様に操作して、平均粒径3.5μmの充填剤を得た。
【0064】
(比較例1)
ジエチレングリコールジメタクリレート(疎水性架橋性単量体)400g及びメタクリル酸(カルボキシル基を有する単量体)200gの混合物に、ベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1.5gを混合して溶解した。これを2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合した。
重合後、生成物を洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0065】
(比較例2)
ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体:キシダ化学社製)250g、スチレン(非架橋性単量体:和光純薬社製)50g、トルエン100g、アクリル酸150g及びベンゾイルパーオキサイド1.5gを混合して溶解した。これを2.5リットルの5重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合した。
重合後、生成物を水及びアセトンで洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0066】
(比較例3)後処理によるカルボキシル基の導入例:
グリシジルメタクリレート(日本油脂社製)350g、エチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)50g及びアゾビスイソブチロニトリル10gを混合し、4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、60℃で10時間重合した。
得られた重合体を洗浄した後、分級して平均粒径5μmの重合体を得た。
該重合体100gをキシレン300gに添加した。キシレンを含浸させた重合体を、15gの濃硫酸を含む4重量%ポリビニルアルコール水溶液1リットルに添加し、撹拌しながら80℃で1時間加温した。その後水及びアセトンで洗浄して乾燥した。得られた重合体100gをジオキサン500ml中に分散させ、三フッ化ホウ素エーテラート(55%)5mlを加えて50℃で8時間加温した。アセトン洗浄した後、乾燥した。
【0067】
さらに該重合体20gを1000mlの水に分散させ、モノクロル酢酸ナトリウム35g、ヨウ化カリウム20g、50重量%水酸化ナトリウム60gを加え、撹拌しながら60℃で3時間反応させた。得られた重合体を洗浄して乾燥させ、平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0068】
(比較例4)後処理によるスルホン酸基の導入例:
2−ヒドロキシエチルメタクリレート400g、ジエチレングリジールジメタクリレート50g、メチルメタクリレート50g及びベンゾイルパーオキサイド1.5gを混合し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合した。
得られた重合体を洗浄した後、分級して平均粒径5μmの重合体を得た。
該重合体100gを20重量%の水酸化ナトリウム水溶液100ml中に分散させた。これにエピクロルヒドリン40gを添加して5時間反応させた。得られたエポキシ基含有重合体100gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液100mlに分散させた後、80℃で15時間反応させた。得られた重合体を洗浄して乾燥させ、平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0069】
(比較例5)Y. Ohtsuka et al の文献 [J. Applied Polym. Sci., 27 (1982) 3279-3288 ] による方法:
エチレングリコールジメタクリレート(疎水性架橋性単量体:新中村化学社製)100g及びベンゾイルパーオキサイド1.0gを混合して溶解した。これを2.5リットルの1重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させ、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃に昇温した。1時間経過後、メタクリル酸50gを反応系に添加し、さらに80℃で24時間重合した。
重合後、生成物を洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0070】
(比較例6)Y. Ohtsuka et al の文献 [J. Applied Polym. Sci., 27 (1982) 3279-3288 ] による方法:
比較例5における、メタクリル酸50gの代わりに、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(スルホン酸基含有単量体:和光純薬社製)50gを用いた以外は、比較例5と同様に操作し、充填剤を得た。
【0071】
(比較例7)2段重合 官能基(COOH)(特公平8−7197号公報の方法分割法):
トリエチレングリコールジメタクリレート400gにベンゾイルパーオキサイド1.5gを溶解し、5重量%ポリビニルアルコール水溶液2.5リットルに分散させた。撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合を行った。得られた生成物を水およびアセトンで洗浄して、架橋重合体粒子を得た。
この粒子300gを、ベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1.0gを含むアセトン溶液1リットルに添加し、粒子に重合開始剤を含浸させた。次に20℃において減圧下でアセトンを留去した。1重量%ポリビニルアルコール水溶液2.5リットルに、得られた重合開始剤含有粒子を分散させ、撹拌しながらメタクリル酸200gを添加し、窒素置換後80℃で1時間重合を行った。
重合後、洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0072】
(比較例8)2段重合 官能基(COOH)(特公平8−7197号公報の方法連続法):
トリエチレングリコールジメタクリレート400gにベンゾイルパーオキサイド1.5gを溶解し、5重量%ポリビニルアルコール水溶液2.5リットルに分散させた。撹拌しながら昇温し、80℃で1時間重合を行った。1時間後、反応系にメタクリル酸200gを添加し、さらに80℃で1時間重合を行った。
重合後、洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0073】
(性能評価)
実施例1〜6及び比較例1〜8の充填剤について、以下のようにして性能評価をした。
(1)液体クロマトグラフィー用カラムの製造:
充填剤0.7gを採取し、50mMリン酸緩衝液(pH6.0)30mlに分散し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製空カラム(4.6φ×35mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力200kg/cm2 で定圧充填して、液体クロマトグラフィー用カラムを製造した。
【0074】
(2)耐膨潤性試験:
カルボキシル基含有充填剤を充填したカラムに、以下のようにして、pHの異なる溶離液を通液して、その際のカラム圧力の変動;およびカラム圧力が安定するまでに要した時間(平衡化までの時間)から、膨潤度合いを測定・比較した。
すなわち、実施例1〜3、5;比較例1〜3で得られた充填剤を各々充填したカラムに、200mMリン酸緩衝液(pH5.7:A液)を30分間通液した。カラム圧力が一定になった後、300mMリン酸緩衝液(pH8.5:B液)を通液し、カラム圧力の変動を観察した。得られた結果を表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
実施例1〜3及び5の充填剤は、比較例1〜3の充填剤に比べ、より圧力値の上昇が少なく、圧力値の安定までに要した時間(平衡化までの時間)が極めて短いことがわかった。
【0077】
次に、実施例4及び6;比較例4で得られたスルホン酸基を有する充填剤を各々充填したカラムに、100mMリン酸緩衝液(pH3.0:C液)を30分間通液した。カラム圧力が一定になった後、300リン酸緩衝液(pH8.5:D液)を通液し、カラム圧力の変動及びカラム圧力が安定するまでに要した時間(平衡化までの時間)を観察した。結果を表2に示した。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例4及び6の充填剤は、比較例4の充填剤に比べ、より圧力値の上昇が少なく、圧力値の安定までに要した時間(平衡化までの時間)が極めて短いことがわかった。
【0080】
以上より、本発明の方法により得られた実施例1〜6の充填剤は、従来の1段階の重合法による充填剤(比較例1及び2)又は後処理によるカチオン交換基導入法による充填剤(比較例3及び4)に比べて、溶離液の変化に対する平衡化が早く、膨潤しにくいことがわかった。
【0081】
(3)ヘモグロビン類の測定:
実施例及び比較例で得られた充填剤を各々充填したカラムを用いて、糖尿病診断の指標となる、ヒト血液中の糖化ヘモグロビン(Hb)類を含むHb類の測定を行った。
(測定条件)
システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
溶離液:リン酸塩及び過塩素酸塩を含む緩衝液2種によるステップグラディエント法で溶出した。
溶離液1:最初からヘモグロビンA0(HbA0)の前までを溶出。安定型ヘモグロビンA1c(安定型HbA1c)が最も適当な保持時間に溶出されるよう、濃度を10〜200mM、pHを5.0〜5.8の間で調節した。
溶離液2:HbA0を溶出。濃度は300mM、pH7.2とした。
流速:1.5ml/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μl
【0082】
(測定試料)
健常人血をフッ化ナトリウム採血し、以下の試料を調製した。
試料a)糖負荷血:健常人血に、500mg/dlとなるようグルコース水溶液を添加し、37℃で5時間反応させ、次いで、溶血希釈液(0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)のリン酸緩衝液溶液(pH7.0))で溶血し、150倍に希釈して試料aとした。
試料b)カルバミル化Hb(CHb)含有試料:健常人血10mlに、0.3重量%のシアン酸ナトリウムの生理食塩水溶液1mlを添加し、37℃で3時間反応させ、次いで、溶血希釈液(0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)のリン酸緩衝液溶液(pH7.0))で溶血し、150倍に希釈して試料bとした。
試料c)アセチル化Hb(AHb)含有試料:健常人血10mlに、0.3重量%のアセトアルデヒドの生理食塩水溶液1mlを添加し、室温で3時間反応させ、次いで、溶血希釈液(0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)のリン酸緩衝液溶液(pH7.0))で溶血し、150倍に希釈して試料cとした。
【0083】
(測定結果)
(イ)実施例1〜6の充填剤:
(試料a)
実施例1の充填剤を用いて、試料aを測定して得られたクロマトグラムを図1(a)に示す。
図1(a)において、ピーク1はヘモグロビンA1a及びb(HbA1a及びb);ピーク2はヘモグロビンF(HbF);ピーク3は不安定型HbA1c;ピーク4は安定型HbA1c;ピーク5はHbA0を示す。
HbF(ピーク2)及び糖尿病診断の指標となる安定型HbA1cピーク(ピーク4)の良好な定量性を維持するためには、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1c、HbA0の順に溶出される必要がある。特にHbFは通常、HbA1c類やHbA0に比較してピークが小さいため、例えば安定型HbA1cとHbA0の間などに溶出されると、HbFの定量性は極めて低下する。
図1(a)では、上記順序で各ピークが溶出され、またHbFや安定型HbA1cが他成分のピークと良好に分離されている。
【0084】
(試料b)
実施例1の充填剤を用いて、試料bを測定して得られたクロマトグラムを図1(b)に示す。
図1(b)において、ピーク6はCHbを示す。CHbが安定型HbA1cから良好に分離されている。
(試料c)
実施例1の充填剤を用いて、試料cを測定して得られたクロマトグラムを図1(c)に示す。
図1(c)において、ピーク7はAHbを示す。AHbが安定型HbA1cから良好に分離されている。
【0085】
また、実施例2〜6の充填剤を用いた場合でも、同様の結果が得られた。
【0086】
(ロ)比較例1〜3の充填剤:
(試料a)
比較例1の充填剤を用いて、試料aを測定して得られたクロマトグラムを図2(a)に示す。
HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cの順で溶出されているが、測定時間が長いにもかかわらず、不安定型HbA1cと安定型HbA1cとの分離が悪い。
(試料b)
比較例1の充填剤を用いて、試料bを測定して得られたクロマトグラムを図2(b)に示す。
CHbと安定型HbA1cの分離が悪い。
(試料c)
比較例1の充填剤を用いて、試料cを測定して得られたクロマトグラムを図2(c)に示す。
AHbと安定型HbA1cの分離が悪い。
【0087】
また、比較例2及び3の充填剤を用いた場合でも、同様の結果が得られた。
【0088】
(ハ)比較例4の充填剤:
(試料a)
比較例4の充填剤を用いて、試料aを測定して得られたクロマトグラムを図3(a)に示す。
不安定型HbA1cと安定型HbA1cは分離されているが、HbFが測定できなかった。また、測定時間が長い。
(試料b)
比較例4の充填剤を用いて、試料bを測定して得られたクロマトグラムを図3(b)に示す。
CHbと安定型HbA1cの分離が悪い。
(試料c)
比較例4の充填剤を用いて、試料cを測定して得られたクロマトグラムを図3(c)に示す。
AHbと安定型HbA1cの分離が悪い。
【0089】
(ニ)比較例5及び6の充填剤:
(試料a)
比較例5の充填剤を用いて、試料aを測定して得られたクロマトグラムを図4(a)に示す。
(試料b)
比較例5の充填剤を用いて、試料bを測定して得られたクロマトグラムを図4(b)に示す。
(試料c)
比較例5の充填剤を用いて、試料cを測定して得られたクロマトグラムを図4(c)に示す。
いずれの場合も、測定時間が長いにもかかわらず、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cの分離が悪い。
【0090】
また、比較例6の充填剤を用いた場合でも、同様の結果が得られた。
【0091】
(ホ)比較例7及び8の充填剤:
(試料a)
比較例7の充填剤を用いて、試料aを測定して得られたクロマトグラムを図5(a)に示す。
(試料b)
比較例7の充填剤を用いて、試料bを測定して得られたクロマトグラムを図5(b)に示す。
不安定型HbA1cやCHbは、実施例と同様、安定型HbA1cと良好に分離できた。
(試料c)
比較例7の充填剤を用いて、試料cを測定して得られたクロマトグラムを図5(c)に示す。
AHbは、安定型HbA1cと分離できなかった。
【0092】
また、比較例8の充填剤を用いた場合でも、同様の結果が得られた。
【0093】
以上から、本発明の方法の実施例による充填剤を用いると、従来技術ではできなかった、不安定型HbA1c、CHb、AHbの影響を受けることなく安定型HbA1cを定量し、HbFも定量できることがわかる。
【0094】
(ヘ)カラム耐久性:
実施例4及び比較例4の充填剤について、カラム耐久性を比較した。
上記試料aを繰り返し測定し、得られたクロマトグラムから以下の式により算出される安定型HbA1c値の変化を調べた。
安定型HbA1c(%)=(安定型HbA1cのピーク面積)÷(全ピーク面積)×100
【0095】
得られた結果を図6に示す。測定初期の値を100とした場合の相対値で示す。図6より、実施例4の充填剤では、比較例4の充填剤に比べて、安定型HbA1c値が長期間安定であり、カラム耐久性が優れていることがわかる。
【0096】
(ト)重合再現性:
実施例1及び4、比較例3〜8の充填剤を、各々30回同一条件下で調製し、各ロット間差を調べた。
(測定方法)
上記測定方法において、安定型HbA1cピークの保持時間が、約10分となるように溶離液1を調製した。
各ロットの充填剤を用い、上記試料aを測定し、安定型HbA1cピークの保持時間を調べた。
30ロットにおいて、重合状態が良好であったものについて測定した時の、安定型HbA1cピークの保持時間の平均値、標準偏差及び変動係数を表3に示す。なお、調製途中で凝集が発生し、充填剤としての評価が不可能であったロット数についても表3に示した。
【0097】
【表3】
【0098】
表3より明らかなように、本発明方法による実施例では、重合途中での凝集を起こすことなく、かつ充填剤としての性能の再現性が極めて良い。一方、従来技術である後処理による製造方法(比較例3及び4)では、充填剤の性能としてばらつきが大きい。さらに重合途中でカチオン交換基含有単量体を添加する方法や、架橋粒子に重合開始剤を含浸させてカチオン交換基含有単量体を重合する方法(比較例5〜8)では、性能のばらつきに加えて、重合途中での凝集が発生しやすいことが分かる。
【0099】
(4)タンパク質混合物の分析例:
カルボキシル基含有充填剤(実施例1〜3、比較例1〜3、5、7、8)を用いて、タンパク質標準物質の混合物を分析した。
(測定条件)
システム:上記(3)ヘモグロビン類の測定のシステムと同様
溶離液:リン酸ナトリウムを含む緩衝液2種によるリニアグラディエント法で溶出した。
溶離液3:30mM(pH7.1)
溶離液4:溶離液3+300mM Na2 SO4
溶離液3の100%から溶離液4の100%へのリニアグラディエント
流速:1.5ml/分
検出波長:280nm
試料注入量:10μl
【0100】
(測定試料)
ミオグロビン、α−キモトリプシノーゲン、リボヌクレアーゼA、リゾチーム(Sigma社製)混合物
【0101】
(測定結果)
得られたクロマトグラムを図7に示す。図7(a)は、実施例1〜3の充填剤を用いた場合のクロマトグラム、図7(b)は、比較例1〜3、5、7、8の充填剤を用いた場合のクロマトグラムを示す。図7中、ピーク8はミオグロビン、ピーク9はα−キモトリプシノーゲン、ピーク10はリボヌクレアーゼA、ピーク11はリゾチームを示す。図より、実施例1〜3の充填剤を用いた場合は、各ピークが短時間で良好に分離されているが、比較例1〜3、5、7、8の充填剤を用いた場合は、測定時間が長いにもかかわらず、各ピークがシャープさに欠けることがわかる。
【0102】
(5)ペプチド混合物の分析例:
スルホン酸基含有充填剤(実施例4、6、比較例4、6)を用いて、ペプチド標準物質の混合物を分析した。
(測定条件)
システム:上記(3)ヘモグロビン類の測定のシステムと同様
溶離液:酢酸を含む緩衝液2種によるリニアグラディエント法で溶出した。
溶離液5:30mM(pH2.8)
溶離液6:溶離液5+300mM Na2 SO4
溶離液5の100%から溶離液6の100%へのリニアグラディエント
流速:1.5ml/分
検出波長:215nm
試料注入量:10μl
【0103】
(測定試料)
γ−エンドルフィン、カルシトニン、サブスタンスP、インシュリン、β−エンドルフィン(Sigma社製)混合物
【0104】
(測定結果)
得られたクロマトグラムを図8に示す。図8(a)は、実施例4及び6の充填剤を用いた場合のクロマトグラム、図8(b)は、比較例4の充填剤を用いた場合のクロマトグラム、図8(c)は、比較例6の充填剤を用いた場合のクロマトグラムを示す。図8中、ピーク12はγ−エンドルフィン、ピーク13はカルシトニン、ピーク14はサブスタンスP、ピーク15はインシュリン、ピーク16はβ−エンドルフィンを示す。図より、実施例4及び6の充填剤を用いた場合は、各ピークが短時間で良好に分離されているが、比較例4の充填剤を用いた場合は、測定時間が長いにもかかわらず、各ピークがシャープさに欠けることがわかり、比較例6の充填剤を用いた場合は、各ピークが分離されなかった。
【0105】
(重合の再現性)
実施例4、6;比較例4、6の重合方法を、各々30回同一条件下で調製し、各ロット間差を調べた。
(測定方法)
上記測定方法において、β−エンドルフィン(ピーク16)ピークの保持時間が、約20分となるよう溶離液5を調製した。
各ロットの充填剤を用い、上記試料を測定し、β−エンドルフィンピークの保持時間を調べた。
30ロットにおいて、重合状態が良好であったものについて測定した時の、β−エンドルフィンピークの保持時間の平均値、標準偏差及び変動係数を表4に示す。なお、調製途中で凝集が発生し、充填剤としての評価が不可能であったロット数についても表4に示した。
【0106】
【表4】
【0107】
以上から、本発明方法で得られたスルホン酸基含有充填剤は、従来の製造方法による充填剤に比べて、より短時間で高精度にペプチド類を分離でき、また重合ロット間のばらつきも非常に少ないことがわかる。
【0108】
【発明の効果】
本発明方法により得られる液体クロマトグラフィー用充填剤は、骨格部分が疎水性架橋粒子で構成され、イオン交換能を有する官能基は表面付近に偏在しているため、溶離液の組成変化などによる外部環境に対して平衡が早く、耐膨潤性に優れている。従って従来より行われていた、架橋性単量体とカチオン交換基含有単量体を混合して重合することにより得られる充填剤や、親水性単量体と架橋性単量体を共重合させた後、後処理によってカチオン交換基を導入する方法により得られる充填剤のように、粒子内部に多くの親水性官能基を有する充填剤よりも短い測定時間内で高分離能を有する。
【0109】
また本発明方法は、カチオン交換基含有単量体を添加する際に、重合系を室温付近の温度まで冷却して重合反応を停止または重合速度を極度に遅くすること;及び該単量体添加後に室温付近の温度で一定時間撹拌することにより、添加したカチオン交換基含有単量体を反応系内で安定状態としてから、該単量体の重合を行う。これにより、従来行われていた、重合途中でカチオン交換基含有単量体を添加したり、架橋性重合体に重合開始剤を含浸させてからカチオン交換基含有単量体を重合させる方法に比べて重合安定性が極めて高くなる。
【0110】
さらに従来法では、カチオン交換基含有単量体を添加してから24時間程度重合を行い、重合率を高めていたが、これでは重合途中での凝集が発生しやすく、使用できる単量体も制限される。またイオン交換反応に十分なカチオン交換基を導入する条件と凝集を防ぐための条件が矛盾し、条件設定が難しい。本発明では、カチオン交換基含有単量体を大過剰添加して、低重合率の段階で停止する方法により、凝集しやすい単量体でも、重合再現性の低下を招くことなく、イオン交換反応に十分なイオン交換容量を充填剤に付与できる。
【0111】
また一連の重合操作で完了するため、後処理によるカチオン交換基の導入法に比べて操作が簡便で、かつ簡便であるために再現性も良い。またカチオン交換基は全て単量体由来であるから、液クロ充填剤に適用した場合の性能の再現性もよく、製造上極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図2】比較例1により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図3】比較例4により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図4】比較例5により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図5】比較例7により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図6】カラム耐久性試験の結果を示す図。
【図7】タンパク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図8】ペプチド混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【符号の説明】
1 HbA1a及びb
2 HbF
3 不安定型HbA1c
4 安定型HbA1c
5 HbA0
6 カルバミル化Hb
7 アセチル化Hb
8 ミオグロビン
9 α−キモトリプシノーゲン
10 リボヌクレアーゼA
11 リゾチーム
12 γ−エンドルフィン
13 カルシトニン
14 サブスタンスP
15 インシュリン
16 β−エンドルフィン
Claims (1)
- 以下の工程よりなることを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
(i)疎水性架橋性単量体と重合開始剤とを含む重合性混合物を水性分散媒に分散する第1工程、
(ii)第1工程で得られた分散系を50〜100℃に昇温して、20〜240分間重合反応を行う第2工程、
(iii )その後、10〜40℃に反応系を冷却する第3工程、
(iv)該反応系にカチオン交換基含有単量体を添加する第4工程、
(v)添加終了後、該反応系を10〜40℃で0.5〜24時間撹拌する第5工程、
(vi)該反応系を50〜100℃に昇温して重合反応を行い、重合開始後20〜240分間で、かつカチオン交換基含有単量体の添加量の0.1〜20%の重合率の段階において重合反応を終了する第6工程、
(vii )得られた重合体を、水及び/又は有機溶媒で洗浄する第7工程。
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