JP6004516B2 - ヘモグロビン類分離用カラム充填剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
架橋重合体粒子は架橋性単量体を重合して得られる架橋重合体粒子が好ましい。架橋性単量体としては、例えば、芳香族系架橋性単量体、炭化水素系架橋性単量体、ビニルエーテル系架橋性単量体、アクリル系架橋性単量体、その他の架橋性単量体等が挙げられる。なかでも、アクリル系架橋性単量体が好ましい。
なお、本明細書において「アクリル系」とは、アクリル基又はメタクリル基を有することを意味する。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を示し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を示す。
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)−ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、ウレタン(メタ)ジアクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−5−メチル−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,11−ジ(メタ)アクリロキシ−4,8−ジオキサウンデガン−2,6,10−トリオール等が挙げられる。
分子内に二つ以上の(メタ)アクリル基を有するアルキロールアルカン(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の架橋性(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートやトリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートやテトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の水酸基を有する(メタ)アクリレート類しては、例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「カチオン交換基」は、カチオン交換基に付随する構造は問わないため、カチオン交換基を末端に有する全ての官能基を含む。例えば、本明細書における「カルボキシ基」とは、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等、カルボキシ基が結合する官能基類全てを含む。また、本発明のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を構成する架橋重合体粒子は、種類の異なるカチオン交換基を複数種有していてもよい。
これらのハロゲン基を有する単量体は、単独で用いてもよいし2種以上を用いてもよい。
ハロゲン基及び反応性基として水酸基を含有する架橋重合体粒子と、カチオン交換基を有するアルデヒド化合物を酸触媒下でアセタール反応を行う方法により、該架橋重合体粒子にカチオン交換基を導入することができる。
ハロゲン基及び反応性基として水酸基を含有する架橋重合体粒子と、トリカルバニル酸、ブタンテトラカルボン酸等の多官能カルボン酸化合物を、脱水反応によるエステル化反応を行う方法により、該架橋重合体粒子にカチオン交換基を導入することができる。
ハロゲン基及び反応性基として水酸基を含有する架橋重合体粒子と、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン等のスルトン類を水酸化アルカリ水溶液中又は水酸化アルカリの有機溶媒中で反応させる方法により、該架橋重合体粒子にカチオン交換基を導入することができる。
反応性基として水酸基又はアミノ基を含有する架橋重合体粒子と、三フッ化ホウ素エーテラートを反応させた後、亜硫酸ナトリウム水溶液中で加熱処理する方法により、架橋重合体粒子にカチオン交換基を導入することができる。
なお、上記平均粒子径は、個数カウント方式粒度分布測定装置(パーティクルサイジングシステムズ社製、「アキュサイザー780」)等を用いて測定することができる。
有機酸としては、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、グリシン、タウリン、アルギニン等が挙げられる。
また、溶離液には、一般に添加される物質、例えば、界面活性剤、各種ポリマー、親水性の低分子化合物、カオトロピック化合物等を適宜添加してもよい。
分散剤の濃度の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は20重量%である。分散剤の濃度が0.01重量%未満であると、単量体に対する分散効果が得られにくく、重合反応後に得られる重合体粒子が凝集することがある。分散剤の濃度が20重量%を超えると、高濃度の分散剤により反応系の粘度が大きくなり、凝集塊が発生したり、得られる架橋重合体粒子の粒径が微小化し、測定時に圧力が高くなったりすることがある。分散剤の濃度のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%である。
過硫酸塩としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物としては2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
また、本発明のヘモグロビン類分離用カラム充填剤の製造方法により、本発明のヘモグロビン類分離用カラム充填剤が効率よく得ることができる。
実施例1では、ハロゲン基を有する単量体、カチオン性単量体、及び、架橋性単量体を重合して、ハロゲン基及びカチオン交換基を有する架橋重合体粒子を調製した。
テトラエチレングリコールモノメタクリレート(架橋性単量体:日油社製)200g、トリフルオロエチルメタクリレート(ハロゲン基を有する単量体:共栄社化学社製)20g、及びメタクリル酸(カチオン交換性単量体:和光純薬工業社製)100gの混合物に、過酸化ベンゾイル(重合開始剤:ナカライテスク社製)1.0gを溶解した。得られた混合物を4重量%のポリビニルアルコール(分散剤:日本合成化学社製、「ゴーセノールGH−20」)水溶液2Lに分散させ、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温して8時間重合反応を行なった。得られたハロゲン基及びカチオン交換基を有する架橋重合体粒子を洗浄して回収し、ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を得た。
ハロゲン基を有する単量体を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により、ハロゲン基を有さずカチオン交換基を有するヘモグロビン類分離用カラム充填剤を得た。
評価1では、実施例1及び比較例1のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いて、ヒト健常人血液中の安定型ヘモグロビンA1cを測定しクロマトグラムを比較した。
実施例1及び比較例1の各ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を、内径4.6mm、長さ30mmのステンレス製エンプティカラム(巴製作所社製)に充填してヘモグロビン類分離用カラムを調製した。
得られたヘモグロビン類分離用カラムを、HPLCシステム(島津製作所社製、「LC−20A」)に接続した。測定試料として、フッ化ナトリウム採血したヒト健常人血液を、0.05%のTritonX−100(Sigma−Aldrich社製)を含むリン酸緩衝液(pH6.8)により200倍に溶血希釈したものを用いた。
溶離液Aとして150mmol/Lのリン酸緩衝液(pH6.1)、溶離液Bとして320mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.5)の2種の溶離液を用い、流速1.0mLで送液して溶離液Aから溶離液Bへのステップワイズグラジエント法により分離し、415nmの吸光度を測定した。
実施例1のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図1に示す。図1中、ピーク1が安定型ヘモグロビンA1c、ピーク2がヘモグロビンA0である。安定型ヘモグロビンA1cと他のヘモグロビン分画とが短時間内に良好に分離された。
比較例1のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図2に示す。比較例1のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合、実施例1のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合より安定型ヘモグロビンA1cの分離性能が悪かった。
評価2では、評価1に用いたヒト健常人血液の代わりに、人為的に調製した修飾ヘモグロビン類を含む試料を測定し、安定型ヘモグロビンA1cの分離性能を比較した。
修飾ヘモグロビン類を含む試料としては、レイバイルヘモグロビンA1c含有試料(試料L)、アセチル化ヘモグロビン含有試料(試料A)、カルバミル化ヘモグロビン含有試料(試料C)の3種類を、公知の方法により調製した。
試料Lは、ヒト健常人血液にグルコースを2000mg/dLとなるように添加し、37℃で3時間加温することにより調製した。試料Aは、ヒト健常人血液にアセトアルデヒドを50mg/dLとなるように添加し、37℃で2時間加温することにより調製した。試料Cは、ヒト健常人血液にシアン酸ナトリウムを50mg/dLとなるように添加し、37℃で2時間加温することにより調製した。
修飾ヘモグロビン類を含む試料(試料L、試料A、試料C)と、修飾ヘモグロビン類を含む試料の調製に用いたヒト健常人血液(非修飾品)とを、実施例1及び比較例1で調製したヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いて測定した。分離性能は、修飾ヘモグロビン類を含む試料のヘモグロビンA1c値から非修飾品のヘモグロビンA1c値を差し引いた値(Δ値)を算出して比較することにより評価した。測定結果を表1に示す。
評価1及び評価2の結果から、実施例1のヘモグロビン類分離用カラム充填剤はハロゲン基を有することにより分離性能が向上したことが確認できた。
実施例2では、ハロゲン基を有する単量体及び架橋性単量体を重合して得られたハロゲン基を有する架橋重合体に、カチオン交換性単量体を重合して、ハロゲン基及びカチオン交換基を有する架橋重合体粒子を調製した。
トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体:新中村化学工業社製)200g、クロロヒドロキシプロピルメタクリレート(ハロゲン基を有する単量体:東京化成工業社製)20gの混合物に、過酸化ベンゾイル1.0gを溶解した。得られた混合物を4重量%のポリビニルアルコール水溶液2Lに分散させ、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温して1時間重合反応を行なった。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東亞合成社製)130gを反応系に添加して更に80℃で1時間重合を行った。得られたハロゲン基及びカチオン交換基を有する架橋重合体粒子を洗浄して回収し、ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を得た。
ハロゲン基を有する単量体を用いなかったこと以外は、実施例2と同様の操作により、ハロゲン基を有さずカチオン交換基を有するヘモグロビン類分離用カラム充填剤を得た。
実施例3では、ハロゲン基を有する単量体及び架橋性単量体を重合して得られたハロゲン基を有する架橋重合体に、カチオン交換性化合物を反応させて、ハロゲン基及びカチオン交換基を有する架橋重合体粒子を調製した。
トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体:新中村化学工業社製)200g、クロロヒドロキシプロピルメタクリレート(ハロゲン基を有する単量体:東京化成工業社製)20gの混合物に、過酸化ベンゾイル1.0gを溶解した。得られた混合物を4重量%のポリビニルアルコール水溶液2Lに分散させ、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温して8時間重合反応を行なった。得られた重合体を洗浄して回収した。
得られたハロゲン基を有する架橋重合体粒子50gを、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに分散させ、40gのエピクロルヒドリンを添加して室温で5時間反応させた。得られたエポキシ化架橋重合体粒子40gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させて80℃で20時間反応させた。得られたハロゲン基及びカチオン交換基を有する架橋重合体粒子を洗浄して回収し、ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を得た。
ハロゲン基を有する単量体を用いなかったこと以外は、実施例3と同様の操作により、ハロゲン基を有さずカチオン交換基を有するヘモグロビン類分離用カラム充填剤を得た。
評価3では、実施例2、実施例3、比較例2、及び、比較例3のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いて、ヒト健常人血液中の安定型ヘモグロビンA1cを測定しクロマトグラムを比較した。
実施例2、実施例3、比較例2、及び、比較例3の各ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を、内径4.6mm、長さ30mmのステンレス製エンプティカラム(巴製作所社製)に充填してヘモグロビン類分離用カラムを調製した。
得られたヘモグロビン類分離用カラム、及び、溶離液Cとして220mmol/Lのリン酸緩衝液(pH5.3)、溶離液Dとして370mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.5)の2種の溶離液を用い、上記評価1と同様の方法によりヒト健常人血液を測定した。
実施例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図3に示す。安定型ヘモグロビンA1cと他のヘモグロビン分画とが短時間内に良好に分離された。実施例3のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合も、図3と同様のクロマトグラムが得られた。
比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図4に示す。比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合、実施例2、実施例3のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合よりも安定型ヘモグロビンA1cの分離性能が悪かった。比較例3のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合も、図4と同様のクロマトグラムが得られた。
評価4では、評価3に用いたヒト健常人血液の代わりに修飾ヘモグロビン類を含む試料を用い、評価2と同様の方法により安定型ヘモグロビンA1cの分離性能を比較した。
測定結果を表1に示す。表1に示した実施例2及び実施例3のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合のΔ値は0.2%以下であり、修飾ヘモグロビン類が含まれる試料においても、正確に安定型ヘモグロビンA1cが測定できた。比較例2及び比較例3のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合では、修飾ヘモグロビンの存在によりヘモグロビンA1c値が大きく変動した。
評価3及び評価4の結果から、実施例2及び実施例3のヘモグロビン類分離用カラム充填剤はハロゲン基を有することにより分離性能が向上したことが確認できた。
評価5では、実施例2及び比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いて、異常ヘモグロビンを含む試料を測定した。
実施例2及び比較例2の各ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を、内径4.6mm、長さ30mmのステンレス製エンプティカラム(巴製作所社製)に充填してヘモグロビン類分離用カラムを調製した。
異常ヘモグロビンとしてヘモグロビンS及びヘモグロビンCを含む試料(ヘレナ研究所社製、「AFSCヘモコントロール」)を用いて測定を行った。
実施例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図5に示す。図5中、ピーク1は安定型ヘモグロビンA1c、ピーク2はヘモグロビンA0、ピーク3はヘモグロビンF(胎児性Hb)、ピーク4はヘモグロビンS、ピーク5はヘモグロビンCを示す。実施例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合、異常ヘモグロビンのヘモグロビンS及びヘモグロビンCを良好に分離することができ、安定型ヘモグロビンA1cとの同時測定が可能であった。
比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図6に示す。比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合、異常ヘモグロビン類のヘモグロビンS及びヘモグロビンCを分離することはできなかった。
評価6では、実施例2及び比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いて、ヘモグロビンA2を含む試料を測定した。
実施例2及び比較例2の各ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を、内径4.6mm、長さ30mmのステンレス製エンプティカラム(巴製作所社製)に充填してヘモグロビン類分離用カラムを調製した。
ヘモグロビンA2を含む試料として、A2コントロール(レベル2)(バイオラッド社製)を用いて測定を行った。
実施例2のカラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図7に示す。図7中、ピーク1は安定型ヘモグロビンA1c、ピーク2はヘモグロビンA0、ピーク3はヘモグロビンF(胎児性Hb)、ピーク6はヘモグロビンA2を示す。実施例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合、ヘモグロビンA2を良好に分離することができた。
比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合に得られたクロマトグラムを図8に示す。比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合、ヘモグロビンA2を分離することはできなかった。
評価7では、実施例2及び比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いて、同時再現性試験を実施した。
実施例2及び比較例2の各ヘモグロビン類分離用カラム充填剤を、内径4.6mm、長さ30mmのステンレス製エンプティカラム(巴製作所社製)に充填してヘモグロビン類分離用カラムを調製した。
得られたカラムを用い、ヒト健常人血液試料及び上記評価5で用いた異常ヘモグロビンを含む試料を20回連続して測定し、安定型ヘモグロビンA1c値の再現性を比較した。
測定結果を表2に示す。
実施例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合は、いずれのヘモグロビン成分においても良好な再現性を示した。
比較例2のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を用いた場合は、臨床検査に使用できる再現性は得られなかった。
2 ヘモグロビンA0
3 ヘモグロビンF(胎児性Hb)
4 ヘモグロビンS
5 ヘモグロビンC
6 ヘモグロビンA2
Claims (5)
- ハロゲン基及びカチオン交換基を有する架橋重合体粒子からなるヘモグロビン類分離用カラム充填剤であって、
前記架橋重合体粒子は、ハロゲン基を有する単量体(ただし、クロロメチルスチレン及びハロゲン化ビニル類を除く)と架橋性単量体とを構造単位とし、更にカチオン交換基を有する重合体からなる
ことを特徴とするヘモグロビン類分離用カラム充填剤。 - ハロゲン基を有する単量体は、ハロゲン基を有するビニルエーテル系単量体又はハロゲン基を有するアクリル系単量体であることを特徴とする請求項1記載のヘモグロビン類分離用カラム充填剤。
- ハロゲン基を有する単量体は、ハロゲン基を有するアクリル系単量体であることを特徴とする請求項1又は2記載のヘモグロビン類分離用カラム充填剤。
- 請求項1、2又は3記載のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を製造する方法であって、
ハロゲン基を有する単量体(ただし、クロロメチルスチレン及びハロゲン化ビニル類を除く)と、カチオン交換基を有する単量体と、架橋性単量体とを重合する工程を有することを特徴とするヘモグロビン類分離用カラム充填剤の製造方法。 - 請求項1、2又は3記載のヘモグロビン類分離用カラム充填剤を製造する方法であって、
ハロゲン基を有する単量体(ただし、クロロメチルスチレン及びハロゲン化ビニル類を除く)と架橋性単量体とを重合してハロゲン基を有する架橋重合体を得る工程と、
該ハロゲン基を有する架橋重合体に、カチオン交換基を導入する工程とを有することを特徴とするヘモグロビン類分離用カラム充填剤の製造方法。
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