JP5408766B2 - ヘモグロビン類測定用カラム充填剤、ヘモグロビン類測定用カラム充填剤の製造方法、及び、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents
ヘモグロビン類測定用カラム充填剤、ヘモグロビン類測定用カラム充填剤の製造方法、及び、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法 Download PDFInfo
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更に、低コストでの測定を可能とするためには、カラム耐久性が高い(カラム寿命が長い)ことも要求される。
粒度分布を均一にするためには、分級操作等を行う方法が一般的である。しかし、分級操作は煩雑であるうえにロスが非常に大きく、現行の分級操作では粒度分布幅の調整に限界がある。分級操作では、粒度分布の不均一さに由来する試料の拡散によるピークのブロード化を充分に抑制できない。
以下に本発明を詳述する。
上記非イオン性の親水性架橋重合体は、非イオン性の架橋性単量体と反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体とを含有する単量体混合物を重合反応させて得られる。
なお、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類は特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類は特に限定されず、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の本発明に用いられるアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、例えば、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)−ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単量体混合物が上記非イオン性の非架橋性単量体を含有することにより、本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤の化学的性能を変化させて、ピークの分離状態を適宜変えることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキル類は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
上記ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート類は特に限定されず、例えば、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート類は特に限定されず、例えば、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類は特に限定されず、例えば、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの非イオン性の非架橋性単量体は、単独で用いてもよいし、複数を併用して用いてもよい。
上記溶媒は、上記単量体混合物が溶解し、得られる非イオン性の親水性架橋重合体が溶解しない液体であれば特に限定されず、上記単量体混合物の種類により適宜選択される。なかでも、アルコール類、アセトン、アセトニトリル、芳香族炭化水素類等の有機溶媒類が好適である。
上記アルコール類は特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記重合開始剤は特に限定されず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
上記過硫酸塩は特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記有機過酸化物は特に限定されず、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記アゾ化合物は特に限定されず、例えば、2,2−アゾビスイソブヒロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる
なお、上記重合開始剤は、上記単量体混合物に溶解させて用いることが好ましい。
上記カチオン交換基は特に限定されず、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。
上記アニオン交換基は特に限定されず、例えば、3級アミノ基、4級アンモニウム基等が挙げられる。
なかでも、ヘモグロビンA1cの分離については、カチオン交換基であることが好適であり、特にスルホン酸基であることが好適である。
なお、上記イオン交換基を末端に有していれば、上記イオン交換基に付随する構造は特に限定されない。例えば、本明細書における「カルボキシル基」とは、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等、カルボキシル基が結合する全ての官能基類を指す。
上記非架橋性高分子は、非架橋性単量体を重合して得られる高分子を意味し、上記低架橋性高分子は、非架橋性単量体と少量の架橋性単量体とを共重合して得られる高分子を意味する。
なお、上記低架橋高分子において、原料となる架橋性単量体の含有量は特に限定されないが、上記非架橋性単量体100重量部に対して、好ましい上限は10重量部である。
なお、上記非イオン性の親水性架橋重合体がエポキシ基やグリシジル基を有する場合には、そのままイオン交換基を有する化合物と反応させてもよい。
なお、本明細書において粒子径のCV値とは、下記式(1)により求められる数値のことである。
粒子径のCV値(%)=(σ/Dn)×100 (1)
上記式(1)中、σは粒子径の標準偏差を表し、Dnは平均粒子径を表す。
本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を充填したカラムを、溶離液送液用のポンプ、サンプラ、検出器等を備えた公知のHPLCシステムに接続し、血液試料を用いることでヘモグロビンA1cの測定を行なうことができる。
上記緩衝液は特に限定されず、例えば、有機酸及び有機酸の塩類、アミノ酸類、無機酸及びその塩類、グッドの緩衝液類等が挙げられる。
上記有機酸は特に限定されず、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
上記アミノ酸類は特に限定されず、例えば、グリシン、タウリン、アルギニン等が挙げられる。
上記無機酸は特に限定されず、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等が挙げられる。
また、上記緩衝液は、必要に応じて、界面活性剤、各種ポリマー、親水性の低分子化合物等を適宜添加してもよい。
また、上記のヘモグロビン類に加えて、異常ヘモグロビン類を測定することができる。
本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を用いる液体クロマトグラフィーによるヘモグロビンA1c及び異常ヘモグロビン類の測定方法もまた、本発明の1つである。
上記異常ヘモグロビン類としては、具体的には例えば、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC等が挙げられる。
非イオン性の架橋性単量体としてトリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)200g及びトリメチロールエタントリアクリレート(新中村化学工業社製)50gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてグリセリンメタクリレート(日本油脂社製)50gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混合物を、5Lのエチルアルコールに溶解させ、攪拌しながら窒素雰囲気下で60℃に加温し、24時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、非イオン性の親水性架橋重合体を得た。
得られた非イオン性の親水性架橋重合体50gを、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに分散させ、室温において、エピクロルヒドリン40gを添加し、5時間反応させた。得られたエポキシ化重合体40gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、80℃で20時間反応させた。得られた反応物をイオン交換水で洗浄し、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は3.5μm、粒子径のCV値は1.3%であった。
得られた充填剤を、内径3mm、長さ30mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビンA1c分離カラムを調製した。
非イオン性の架橋性単量体としてテトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)350gと、非イオン性の非架橋性単量体としてエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂社製)50gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてグリシジルメタクリレート(日本油脂社製)100gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混合物を、5Lのエチルアルコールに溶解し、攪拌しながら窒素雰囲気下で60℃に加温し、24時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、非イオン性の親水性架橋重合体を得た。
得られた非イオン性の親水性架橋重合体50gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、80℃で20時間反応させた。得られた反応物をイオン交換水で洗浄し、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は3.0μm、粒子径のCV値は1.1%であった。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図1と同様のクロマトグラムを得た。
非イオン性の架橋性単量体としてトリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)20gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてグリシジルメタクリレート(日本油脂社製)5gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(ナカライテスク社製)0.2gを添加して溶解し、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液1Lに微分散させた。
この溶液に、非架橋性高分子粒子として平均粒子径0.3μmのポリメチルメタクリレート粒子50gを分散させた、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液200mLを添加した。更に4%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、「ゴーセノールGH−20」)水溶液300mLを添加し、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温し、10時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、非イオン性の親水性架橋重合体を得た。
得られた非イオン性の親水性架橋重合体50gを、20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、80℃で20時間反応させた。得られた反応物をイオン交換水で洗浄し、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は4.2μm、粒子径のCV値は2.6%であった。
得られた充填剤を、内径3mm、長さ30mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビンA1c分離カラムを調製した。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図1と同様のクロマトグラムを得た。
非イオン性の架橋性単量体としてテトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)20gと、非イオン性の非架橋性単量体としてエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂社製)5gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてグリセリンメタクリレート(日本油脂社製)5gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(ナカライテスク社製)0.2gを添加して溶解し、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液1Lに微分散させた。
この溶液に、非架橋性高分子粒子として平均粒子径0.27μmのメチルメタクリレート−トリエチレングリコールジメタクリレート共重合体粒子(架橋度5%)50gを分散させた、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液200mLを添加した。更に4%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、「ゴーセノールGH−20」)水溶液300mLを添加し、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温し、10時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、非イオン性の親水性架橋重合体を得た。
得られた非イオン性の親水性架橋重合体50gを、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに分散させ、室温において、エピクロルヒドリン40gを添加し、5時間反応させた。得られたエポキシ化重合体40gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、80℃で20時間反応させた。得られた反応物をイオン交換水で洗浄し、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は4.0μm、粒子径のCV値は2.1%であった。
得られた充填剤を、内径3mm、長さ30mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビンA1c分離カラムを調製した。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図1と同様のクロマトグラムを得た。
本比較例では、実施例2の充填剤を構成する単量体を用いて、従来技術である懸濁重合法により、架橋重合体を調製した後、イオン交換基を導入する方法の例を示す。
非イオン性の架橋性単量体としてテトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)300gと、非イオン性の非架橋性単量体としてエチレングリコールモノメタクリレート(和光純薬工業社製)50gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてグリシジルメタクリレート(和光純薬工業社製)50gとを混合し、得られた混合物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(ナカライテスク社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混合物を、4%のポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、「ゴーセノールGH−20」)水溶液5Lに溶解し、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温し、12時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、架橋重合体を得た。
得られた架橋重合体50gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、80℃で20時間反応させた。得られた反応物をイオン交換水で洗浄し、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は6.5μm、粒子径のCV値は15.3%であった。懸濁重合法を用いたため、均一な粒子径の充填剤は得られなかった。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図2のクロマトグラムを得た。図2中、ピーク1がヘモグロビンA1c、ピーク2がヘモグロビンAoである。実施例2のカラム充填剤を用いて得られたクロマトグラム(図1と同様)よりも測定時間を延長したにも関わらず、ヘモグロビンA1cの分離が不良であった。
本比較例では、従来技術である懸濁重合法により、架橋性単量体とイオン交換基を有する単量体を共重合する方法、すなわち、実施例1における反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体の代わりに、イオン交換基を有する単量体を用いた懸濁重合法の例を示す。
非イオン性の架橋性単量体としてトリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)300g及びトリメチロールエタントリアクリレート(新中村化学工業社製)50gの混合物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(ナカライテスク社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混合物を、4重量%のポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、「ゴーセノールGH−20」)水溶液5Lに溶解し、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温し、1時間重合反応を行なった。30℃に冷却した後、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東亞合成化学社製)100gを反応系に添加し、再び80℃に加温して1時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、カラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は7.6μm、粒子径のCV値は21.3%であった。懸濁重合法を用いたため、均一な粒子径の充填剤は得られなかった。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図2と同様のクロマトグラムが得られ、ヘモグロビンA1cの分離は不良であった。
本比較例では、実施例1における、非イオン性の親水性架橋重合体を構成する単量体を、本発明の範囲外のものに変更して得られた充填剤の例を示す。
非イオン性の架橋性単量体としてジビニルベンゼン(ナカライテスク社製)200gと、非イオン性の非架橋性単量体としてスチレン(新中村化学工業社製)50gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてグリセリンメタクリレート(日本油脂社製)50gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混合物を、5Lのエチルアルコールに溶解させ、攪拌しながら窒素雰囲気下で60℃に加温し、24時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、非イオン性の親水性架橋重合体を得た。
得られた非イオン性の親水性架橋重合体50gを、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに分散させ、室温において、エピクロルヒドリン40gを添加し、5時間反応させた。得られたエポキシ化重合体40gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、80℃で20時間反応させた。得られた反応物をイオン交換水で洗浄し、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は3.2μm、粒子径のCV値は2.0%であった。
得られた充填剤を、内径3mm、長さ30mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビンA1c分離カラムを調製した。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図2と同様のクロマトグラムが得られ、ヘモグロビンA1cの分離が不良であった。
本比較例では、実施例1における反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体の代わりに、イオン交換基を有する単量体を用いた例を示す。
非イオン性の架橋性単量体としてトリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)200g及びトリメチロールエタントリアクリレート(新中村化学工業社製)50gと、イオン交換基(スルホン酸基)を有する単量体として2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東亞合成化学社製)50gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混合物を、5Lのエチルアルコールに溶解させ、攪拌しながら窒素雰囲気下で60℃に加温し、24時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は4.5μm、粒子径のCV値は18.0%であった。
得られた充填剤を、内径3mm、長さ30mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビンA1c分離カラムを調製した。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図2と同様のクロマトグラムが得られ、ヘモグロビンA1cの分離が不良であった。
本比較例では、参考例1における非イオン性の親水性単量体の代わりに、イオン交換基を有する単量体を、非架橋性高分子粒子に吸収させる単量体として用いた例を示す。
非イオン性の架橋性単量体としてトリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)20gと、イオン交換基を有する単量体として2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東亞合成化学社製)5gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(ナカライテスク社製)0.2gを添加して溶解し、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液1Lに微分散させた。
この溶液に、非架橋性高分子粒子として平均粒子径0.3μmのポリメチルメタクリレート粒子50gを分散させた、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液200mLを添加した。更に4%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、「ゴーセノールGH−20」)水溶液300mLを添加し、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温し、重合反応を行おうとしたが、重合反応中に凝集塊が発生し、重合体が粒子として得られなかった。
本比較例では、参考例2におけるメチルメタクリレート−トリエチレングリコールジメタクリレート共重合体粒子の代わりにポリスチレンを非架橋性高分子粒子として用い、テトラエチレングリコールジメタクリレートの代わりにジビニルベンゼンを非イオン性の架橋性単量体としてとして用いた例を示す。
非イオン性の架橋性単量体としてジビニルベンゼン(新中村化学工業社製)20gと、非イオン性の非架橋性単量体としてスチレン(日本油脂社製)5gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてグリセリンメタクリレート(日本油脂社製)5gとを混合し、得られた混合物に重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(ナカライテスク社製)0.2gを添加して溶解し、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液1Lに微分散させた。
この溶液に、非架橋性高分子粒子として平均粒子径0.27μmのポリスチレン粒子50gを分散させた、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液200mLを添加した。更に4%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、「ゴーセノールGH−20」)水溶液300mLを添加し、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃に加温し、10時間重合反応を行なった。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンで洗浄することにより、非イオン性の架橋重合体を得た。
得られた非イオン性の架橋重合体50gを、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに分散させ、室温において、エピクロルヒドリン40gを添加し、5時間反応させた。得られたエポキシ化重合体40gを20重量%の硫酸ナトリウム水溶液に分散させ、80℃で20時間反応させた。得られた反応物をイオン交換水で洗浄し、スルホン酸基が導入されたカラム充填剤を得た。得られたカラム充填剤の平均粒子径は4.0μm、粒子径のCV値は3.2%であった。
得られた充填剤を、内径3mm、長さ30mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビンA1c分離カラムを調製した。
実施例1と同様の方法により、健常人血液を測定したところ、図2と同様のクロマトグラムが得られ、ヘモグロビンA1cの分離が不良であった。
本比較例では、実施例1における、非イオン性の親水性架橋重合体を構成する単量体を、本発明の範囲外のものに変更して得られた充填剤の例を示す。
非イオン性の架橋性単量体としてジエチレングリコールジビニルエーテル(和光純薬社製)300gと、反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体としてアリルグリシジルエーテル(日本油脂社製)50gとを混合し、得られた混合物に、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混合物を、5Lのエチルアルコールに溶解させ、攪拌しながら窒素雰囲気下で60℃に加温し、重合反応を行おうとしたが、重合反応中に凝集塊が発生し、重合体が粒子として得られなかった。
得られたカラム充填剤を、内径3mm、長さ30mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビンA1c分離カラムを調製し、HPLCシステム(島津製作所社製、LC−10A)に接続した。
修飾ヘモグロビン類としては、レイバイルヘモグロビンA1c含有試料(試料L)、アセチル化ヘモグロビン含有試料(試料A)、カルバミル化ヘモグロビン含有試料(試料C)の3種類を、公知の方法により調製した。
すなわち、試料Lは、健常人血液にグルコースを2000mg/dLとなるように添加し、37℃で3時間加温することにより調製した。試料Aは、健常人血液にアセトアルデヒドを50mg/dLとなるように添加し、37℃で2時間加温することにより調製した。試料Cは、健常人血液にシアン酸ナトリウムを50mg/dLとなるように添加し、37℃で2時間加温することにより調製した。
上記修飾ヘモグロビン類を含む試料(試料L、試料A、試料C)、及び、修飾ヘモグロビン類を含む試料の調製に用いた健常人血液(非修飾品)を、実施例及び比較例で得られたカラム充填剤を用いて測定し、各カラム充填剤の分離性能を評価した。分離性能の評価は、修飾ヘモグロビン試料のヘモグロビンA1c値から非修飾品のヘモグロビンA1c値を差し引いた値(Δ値)を算出して比較することにより行なった。得られたΔ値を表1に示す。
実施例及び比較例で得られたカラム充填剤を用いて、異常ヘモグロビンとしてヘモグロビンS及びヘモグロビンCを含む試料(ヘレナ研究所社製、「AFSCヘモコントロール」)の測定を行った。
実施例1で得られたカラム充填剤を用いて測定し、得られたクロマトグラムを図3に示す。図3中、ピーク1はヘモグロビンA1c、ピーク2はヘモグロビンAo、ピーク3はヘモグロビンF(胎児性Hb)、ピーク4はヘモグロビンS、ピーク5はヘモグロビンCを示す。図3より、実施例1で得られたカラム充填剤を用いて異常ヘモグロビン類であるヘモグロビンS及びヘモグロビンCを良好に分離することができた。実施例2、3及び4で得られたカラム充填剤を用いた場合でも、ほぼ同様の分離性能を示した。
一方、比較例のカラム充填剤を用いて測定した場合、ヘモグロビンS及びヘモグロビンCを分離することはできなかった。
実施例、参考例及び比較例で得られたカラム充填剤を用いて、ヘモグロビンA2を含む試料としてA2コントロール(レベル2)(バイオラッド社製)を測定した。
実施例1で得られたカラム充填剤を用いて測定し、得られたクロマトグラムを図4に示す。図4中、ピーク1はヘモグロビンA1c、ピーク2はヘモグロビンAo、ピーク3はヘモグロビンF(胎児性Hb)、ピーク6はヘモグロビンA2を示す。図4より、実施例1で得られたカラム充填剤を用いてヘモグロビンA2を良好に分離することができた。実施例2、参考例1、2で得られたカラム充填剤を用いた場合でも、ほぼ同様の分離性能を示した。
一方、比較例のカラム充填剤を用いて測定した場合、ヘモグロビンA2を分離することはできなかった。
実施例及び比較例で得られたカラム充填剤を用いて、同一の健常人血液試料を連続測定し、ヘモグロビンA1c値の推移を確認した。結果を図5に示す。
実施例で得られたカラム充填剤では、3000回測定においても測定値が変化しなかったが、比較例のカラム充填剤を用いた場合は、測定値が低下し、カラム寿命が短いことが確認された。
Claims (4)
- 液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定に用いられるカラム充填剤であって、
少なくとも、非イオン性の架橋性単量体と、前記非イオン性の架橋性単量体100重量部に対して反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体10〜100重量部とを含有する単量体混合物を、前記単量体混合物は溶解するが前記単量体混合物を重合して得られた非イオン性の親水性架橋重合体は溶解しない溶媒中において、重合開始剤の存在下で分散重合することにより非イオン性の親水性架橋重合体を得る工程と、
前記非イオン性の親水性架橋重合体に、前記非イオン性の親水性架橋重合体が有する反応性官能基と反応するイオン交換基を有する化合物を反応させてカラム充填剤を得る工程とにより製造されたものであり、
前記非イオン性の架橋性単量体は、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキルジ(メタ)アクリレート類、及び、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有するアルキロールアルカン(メタ)アクリレート類からなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルであり、かつ、前記反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体は、水酸基、エポキシ基、グリシジル基、1級アミノ基、2級アミノ基、シアノ基、及び、アルデヒド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルである
ことを特徴とするヘモグロビン類測定用カラム充填剤。 - ヘモグロビン類測定用カラム充填剤を製造する方法であって、
少なくとも、非イオン性の架橋性単量体と、前記非イオン性の架橋性単量体100重量部に対して反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体10〜100重量部とを含有する単量体混合物を、前記単量体混合物は溶解するが前記単量体混合物を重合して得られた非イオン性の親水性架橋重合体は溶解しない溶媒中において、重合開始剤の存在下で分散重合することにより非イオン性の親水性架橋重合体を得る工程と、
前記非イオン性の親水性架橋重合体に、前記非イオン性の親水性架橋重合体が有する反応性官能基と反応するイオン交換基を有する化合物を反応させてカラム充填剤を得る工程とを有するものであり、
前記非イオン性の架橋性単量体は、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキルジ(メタ)アクリレート類、及び、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有するアルキロールアルカン(メタ)アクリレート類からなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルであり、かつ、前記反応性官能基を有する非イオン性の親水性単量体は、水酸基、エポキシ基、グリシジル基、1級アミノ基、2級アミノ基、シアノ基、及び、アルデヒド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルである
ことを特徴とするヘモグロビン類測定用カラム充填剤の製造方法。 - 請求項1記載のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を用いることを特徴とする液体クロマトグラフィーによるヘモグロビンA1cの測定方法。
- 請求項1記載のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を用いることを特徴とする液体クロマトグラフィーによるヘモグロビンA1c及び異常ヘモグロビン類の測定方法。
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