JP7258276B2 - 糖化ヘモグロビン分析用カラムの充填剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は糖化ヘモグロビン分析用カラムの充填剤の製造方法に関する。
糖化ヘモグロビン(HbA1c)は、血中での寿命の特性から、血中の糖の量の指標となり、その測定値は糖尿病の診断に用いられる。
HbA1cの測定法には、HPLC法、免疫法、及び酵素法があるが、前処理が簡便かつ測定時間が短く測定再現性が良好であることからHPLC法が主流となっている。HPLC法では、カラムを用い溶離液により糖化ヘモグロビンを溶出させる。カラムによる分離モードは、一般的に充填剤に付与されているスルホ基などのカチオン交換基との相互作用によるイオン交換モードが適用される。
HbA1cの測定値は診断に影響するため、高いレベルの測定再現性が求められる。従って、カラムを繰り返し使用する際の分離性能の安定性とともに、カラムの製造においても高い再現性が要求される。
イオン交換モードによるカラムの分離性能に関して、再現性に最も大きく寄与するのは充填剤粒子の製造工程であると考えられる。充填剤粒子製造の再現性に言及した文献としては、特許第3927322号公報(特許文献1)、「クロマトグラフィー,16(1),7-12頁(1995)」(非特許文献1)などがある。これらによると、重合性化合物の重合体である粒子表面を後処理反応で化学修飾する製造方法は再現性が安定しないとされている。特許文献1はこの課題を解消しようとしているが、重合反応を多段階で実施し、重合率の制御が必要であるなど簡便な方法とは言えない。また、非特許文献1では、いわゆるシード重合法において、一段階目の膨潤工程で架橋粒子構造を形成した後二段階目の膨潤工程で官能基を有するモノマーを添加することにより表面のみに官能基が付加した粒子を製造している。しかし、この方法は二重結合とイオン交換基とを有する重合性化合物を用いた表面修飾に限定されるため、所望の修飾構造あるいは分離性能が得られるとは限らないという課題が残る。
後処理反応による粒子表面の化学修飾方法は、多様な修飾構造を得ることに適しており、科学的あるいは産業的利用価値が高い。この手法を用いた先行技術例としては特許第5901081号公報(特許文献2)が挙げられる。しかしながら、特許文献2では複雑な構造を有する架橋性重合体を用いる必要があり、また修飾方法もエピクロルヒドリンを導入する工程が必要など必ずしも汎用的あるいは経済的とは言えない。
このように、簡便で、より高い製造再現性が得られる粒子表面の化学修飾反応による糖化ヘモグロビン分析用カラム充填剤の製造方法が望まれていた。
特許第3927322号公報 特許第5901081号公報
クロマトグラフィー,16(1),7~12(1995)
本発明の課題は、糖化ヘモグロビン分析カラムに使用する充填剤を再現性良く製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、スルホ基を導入する前の有機高分子共重合体粒子、特にグリシジル基を有する重合性モノマー単位とジビニルベンゼン単独あるいはジビニルベンゼンを含む架橋性モノマー混合物単位とからなる共重合体粒子のゼータ電位が-20~-10mVである有機高分子共重合体粒子をスルホ化することによって、再現性良く糖化ヘモグロビンを分離する充填剤を製造できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、下記[1]~[6]の血液中の糖化ヘモグロビンの分析用カラムに使用する充填剤の製造方法に関する。
[1] 血液中の糖化ヘモグロビン分析用カラムに使用する充填剤の製造方法であって、ゼータ電位が-20~-10mVである有機高分子共重合体粒子をスルホ化する工程(スルホ化工程)を含むことを特徴とする充填剤の製造方法。
[2] 有機高分子共重合体粒子が、グリシジル基を有する重合性モノマー単位とジビニルベンゼン単独あるいはジビニルベンゼンを含む架橋性モノマー混合物単位とからなる共重合体粒子であって、スルホ化工程がグリシジル基のスルホプロピル化により行われる前項1に記載の充填剤の製造方法。
[3] グリシジル基を有する重合性モノマーがグリシジルメタクリレートである前項2に記載の充填剤の製造方法。
[4] グリシジル基を有する重合性モノマーがアリルグリシジルエーテルである前項2に記載の充填剤の製造方法。
[5] スルホプロピル化が、グリシジル基に1,3-プロパンスルトンを付加させることにより行われる前項2~4のいずれかに記載の充填剤の製造方法。
[6] 前記有機高分子共重合体粒子の全モノマー単位中、ジビニルベンゼン由来の架橋性モノマー単位の割合が質量基準で10~30%である前項1~5のいずれかに記載の充填剤の製造方法。
本発明の方法によれば、糖化ヘモグロビンの分析に用いられるカラムに使用する充填剤を再現性良く製造することができる。
実施例1で作製したカラムを用いた糖化ヘモグロビンコントロールサンプルのクロマトグラムの結果を示す。図中、1はHbF、2は不安定型HbA1c、3は安定型HbA1c、4はHbA0のピークである(図2~4についても同様)。 実施例4で作製したカラムを用いた糖化ヘモグロビンコントロールサンプルのクロマトグラムの結果を示す。 比較例1で作製したカラムを用いた糖化ヘモグロビンコントロールサンプルのクロマトグラムの結果を示す。 比較例3で作製したカラムを用いた糖化ヘモグロビンコントロールサンプルのクロマトグラムの結果を示す。
ゼータ電位は粒子の表面に形成される電荷の層を反映する指標として広く知られている(例えば、北原文雄ら,「ゼータ電位:微粒子界面の物理化学」,サイエンティスト社(1995))。
粒子表面の化学構造は電荷に反映される。つまりゼータ電位を測定することにより、例えば同じ組成で製造した重合体粒子であっても、反応温度や反応時間などの重合条件や、洗浄などの後処理条件の違いによって生じる粒子表面の化学構造の差異の存在を知ることが可能となる。
そこで本発明者らは、スルホ基を導入する前の有機高分子共重合体粒子のゼータ電位とスルホ化して得られる充填剤の分離性能の関係について検討した。
ゼータ電位の測定は、例えばMalvern Instruments社製Zetasizer(登録商標) Nano ZSPを用いることができる。
本発明に関しては測定条件として、1mM塩化カリウム水溶液に粒子を1g/mLの濃度で超音波分散し、塊が目視できなくなった状態としたのち、電極付き専用測定セルに分散液を注入し25℃にて3回測定した平均値を採用した。
本発明者らは、スルホ基を導入する前の有機高分子共重合体粒子のゼータ電位が-20~-10mVである有機高分子共重合体粒子をスルホ化することによって、再現性良く糖化ヘモグロビンを分離する充填剤が得られることを見出した。
以下に本発明の充填剤製造方法について述べる。
本発明の一実施形態では、(メタ)アクリル酸エステル由来のモノマー単位とジビニルベンゼン由来のモノマー単位を含む有機高分子共重合体粒子を基材として用いる。なお、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを指す。
本発明の一実施形態における有機高分子共重合体粒子は、架橋性単量体としてジビニルベンゼンを用いる。架橋性単量体としてジビニルベンゼンを使用することにより、非架橋性単量体の割合を高めても充填剤粒子に高い機械的強度を持たせることができ、充填剤粒子の強度が高まることにより充填剤粒子の小粒径化に伴う分析時の圧力の上昇に耐えることが可能となり、カラムの分離性能を高めることができる。
上記有機高分子共重合体粒子に用いられるジビニルベンゼンは、メタ及びパラ位の異性体混合物である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等から、任意の組み合わせで選択される。充填剤の親水性に影響ない質量比で10%の範囲でより疎水性の強いエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートや、ヘキシル(メタ)アクリレートも使用できる。
基材の親水性を高めるためや、スルホ基を導入するために、水酸基を持つ2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、あるいはグリシジル基を持つグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等を使用することが好ましい。これらの中でも、グリシジル基を持つグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルが、スルホ基構造の導入に好適に利用でき、開環反応により水酸基を持つ構造に変換できるため、より好ましい。さらに、入手が容易である点からグリシジルメタクリレートが最も好ましい。
水酸基を持つモノマーを用いる場合にスルホ基を導入する方法としては、例えば架橋性単量体との有機高分子共重合体粒子を得た後に塩基性条件下でエピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンを反応させることにより水酸基部分にグリシジル基を付加する方法が挙げられる。
グリシジルメタクリレートを用いる場合、その割合は全モノマー単位中、質量基準で70%~90%であることが好ましい。後述する通り、粒子表面におけるグリシジルメタクリレートの組成はゼータ電位に反映され、共重合組成がそこに大きく寄与すると考えられる。グリシジルメタクリレートの割合が70%以上であれば、有機高分子共重合体粒子の疎水性が高くなりすぎることがなく、タンパク質の非特異吸着が起こりにくく、スルホ基の導入時にスルホ基を効率的に導入できる。また、グリシジルメタクリレートが90%以下であれば、充填剤の強度が低くなることがなく、充填剤の変形によるカラムの劣化が低減される。グリシジルメタクリレートの割合は質量基準で75%~85%であることがより好ましい。
有機高分子共重合体粒子には、(メタ)アクリル酸エステルやジビニルベンゼン以外に、1質量%以下の範囲で、その他モノマーを含むことができる。その他のモノマーとしては、スチレン、エチルスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、α‐メチルスチレン、ブタジエン、酢酸ビニルなどが挙げられる。
上記有機高分子共重合体粒子の大きさには特に制限はないが、カラムへの充填と分離性能を考慮すると、平均粒子径が1μm~10μmであることが好ましい。平均粒子径が10μm以下であれば化合物の分離能力が高く、良好な分析結果を得ることができる。一方で1μm以下ではカラムの圧力が高くなり充填が困難である。さらに好ましくは平均粒子径2μm~7μm、分離能力が高いカラムを得るためには、2μm以上3μm未満が最も好ましい。
ここでの平均粒子径は、体積平均粒子径であり、以下の粒子径を意味する。すなわち、有機高分子共重合体粒子を粒度分布測定装置で2000個以上になるように撮像し、得られた二次元の粒子像(静止画像)から、各粒子の円相当径(粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)を得る。その円相当径から各粒子の体積を算出して、算出された体積を基準に、体積分率と粒子径の積を積算して得た粒子径である。このとき、各粒子は、上記の円相当径と同一の直径を有する球体とみなす。
粒度分布測定装置としては、FPIA-3000(シスメックス(株)製)などが使用できる。
本実施形態に用いる有機高分子共重合体粒子の重合方法については特に制約はない。核となる微小重合体粒子を水中にエマルジョン状に分散させたところへ、重合性化合物であるモノマーを添加し所望の粒径へ成長させる方法である、いわゆるシード重合法が粒径の揃った粒子を一段階で得ることができる点で好ましい。この他に懸濁重合法も使用できる。例えば、細孔径が制御されたシラス多孔質ガラス(SPG)膜と内圧式マイクロキットMN-20(SGPテクノ(株)製)を用いたSPG膜乳化重合法や、マイクロチャネル乳化装置((株)イーピーテック製)を用いたマイクロチャネル乳化重合法により重合することができる。膜等を用いる方法は、粒径の揃った粒子を得ることができるのでより好ましい。
上記有機高分子共重合体粒子の重合には、公知の油溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。具体的には2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBNと略記する。)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-65と略記する。)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等が挙げられる。
重合反応は、例えば、80℃で15時間加熱することにより行われる。
また、懸濁重合後に篩や遠心沈降、デカンテーション、または分級装置(例えば半自由渦式分級機エアロファイン(登録商標)クラシファイアAC(日清エンジニアリング(株)製など)を使用して分級を行い、平均粒子径、均一性及び微細粒子の含有量を調節することもできる。本発明で好ましく選択されるグリシジルメタクリレートとジビニルベンゼンとのモノマーの組み合わせは、これらの方法においても好適に使用できる。
本発明は、上記のようにして得られる有機高分子共重合体粒子につき、そのゼータ電位を-20~-10mVに制御することによって、引続き行うスルホ化などの表面修飾反応後の粒子にHbA1c分析に適した分離性能を付与するところに特徴がある。
すなわち、有機高分子共重合体粒子のゼータ電位は化学修飾される粒子表面のモノマー組成を反映するものであり、モノマー組成が一定の範囲に制御されることで表面修飾量が安定化し、イオン交換モードによる分離性能も安定となる。これはTOF-SIMS(飛行時間式二次イオン質量分析法)を用いて得られる粒子表面のモノマー組成に関する情報とも符合することが判明した。すなわち、ゼータ電位が-20mVを下回る粒子では、グリシジルメタクリレートに由来する成分が、-20~-10mVの範囲にある粒子よりも少ないことを観測した。ただし、TOF-SIMS法は、直接的に表面組成を観測することができるが、装置が高価であり、データの解析方法も複雑であるため産業的に用いるには適しているとは言えない。一方、ゼータ電位測定は、装置が小型で取り扱いが簡便であることから産業的に有用な観測方法と言える。
有機高分子共重合体粒子の表面における組成は、原料である重合性モノマーの混合組成が同一であったとしても、造粒工程などの操作時の温度や圧力の違いにより変動する可能性がある。実際に、ゼータ電位は製造ロットごとに違った値を示すことから、粒子表面におけるモノマー組成に違いが生じているものと推察される。また有機高分子共重合体粒子表面に不可逆的な汚染が生じた場合にもゼータ電位に反映されるため、品質管理の面からも有用な測定と言える。
有機高分子共重合体粒子のゼータ電位が-20mVより小さい場合(負の絶対値が大きい場合)、スルホ化を行った後の粒子を充填したカラムにおいてHbA1cの保持性能が小さくなり、その他のヘモグロビン類(HbFあるいは不安定型HbA1cなど)との分離が困難となる頻度が多くなる。これは修飾工程においてスルホ化される官能基部位が少ないことによると考えられる。一方、有機高分子共重合体粒子のゼータ電位が-20mV以上の場合は、スルホ化修飾後の粒子を充填したカラムを用いたHbA1c測定において、再現よく安定的にHbA1cを分離することが可能である。これは有機高分子共重合体粒子のゼータ電位が粒子表面の共重合組成を反映することと合致する。すなわち、ゼータ電位が-20mVよりも大きい場合はグリシジルメタクリレートに由来する組成が十分な割合となるため、修飾工程におけるスルホ化の割合も増え、その結果HbA1cの保持能力も大きくなると考えられる。一方、有機高分子共重合体粒子のゼータ電位が-10mVより大きい場合は、スルホ化修飾後においてHbA1cの保持が過大となってしまい測定再現性を欠くこととなる。ゼータ電位は-20mV~-12mVであることがより好ましい。
有機高分子共重合体粒子のゼータ電位は、基本的に共重合組成により制御されるが、造粒工程における油相(モノマー及び重合開始剤などの混合物)と水相の混合比率の調整、水相中への界面活性剤添加、油相を水相に分散させる際の温度調整、あるいは懸濁時の撹拌翼回転速度や撹拌操作時間の調整によってもある程度制御することができる。これらはグリシジル基を有する重合性モノマーが、造粒時に水相近傍に適度に富化するような変化をもたらす方法である。
グリシジル基は非常に反応性に富むことが知られており、水酸基やカルボキシ基、アミノ基などの活性水素を有する官能基と容易に反応する。グリシジル基が活性水素と反応すると、水酸基が生成する。そこで生成した水酸基は近接する他のグリシジル基と反応しグリシジル基の数は徐々に減少していくことになる。すなわち、グリシジル基の組成を反映するゼータ電位もこれに応じて変化する。
得られたグリシジル基を有する有機高分子共重合体粒子は、引続きスルホ化することが望ましいが、製造工程の都合でスルホ化前の状態で保存する場合が存在する。この場合は保存中のゼータ電位の変化を抑制することが重要である。
通常、室温にて保管するとグリシジル基を有する粒子のゼータ電位は経時的に低下し、製造後概ね40日間で5~10mV程度の変化を示す。この変化を抑制するには低温で保管すること、すなわちグリシジル基の反応を抑制することが効果的である。保管温度は低いほど好ましいが、-10℃~-30℃であればゼータ電位の変化を抑制するのに十分である。これよりも低温であると特殊な冷凍庫を必要とするなど経済的でない。標準的な冷凍庫の温度である-18℃で保管すると、少なくとも1年間はゼータ電位に変化は見られない。
本実施形態では、重合によって得られた有機高分子共重合体粒子に対し、スルホ化剤を反応させることでスルホ基を結合させる。
スルホ化剤としては、2-ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム、3-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、3-メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、1,3-プロパンスルトン、2,4-ブタンスルトン、1,3-ブタンスルトン、1,4-ブタンスルトン等が挙げられる。スルホ化剤は、重合によって得られた有機高分子共重合体粒子の表面に存在する水酸基との反応や、有機高分子共重合体粒子の表面に存在するエポキシ基等の反応性官能基との反応を利用して基材表面に結合される。スルホプロピル化は、これらスルホ化剤のうち3-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム、3-メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、1,3-プロパンスルトンを用いて行われる。スルホプロピル化には、反応の容易さから、3-メルカプトプロパンンスルホン酸ナトリウム、1,3-プロパンスルトンが好ましく、1,3-プロパンスルトンがより好ましい。
モノマー単位としてグリシジルメタクリレート、スルホ剤として1,3プロパンスルトンを選択する場合には、例えば、上記有機高分子共重合体粒子とスルホ化剤の反応は、塩基の存在下で行う。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基や、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン等の有機塩基が挙げられる。上記塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムt-ブトキシドが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。
上記有機高分子共重合体粒子に結合するスルホ基の量は20μmol/g~300μmol/gであることが好ましい。結合するスルホ基が20μmol/g未満では、HPLC分析における保持時間が短く分離が不十分となる。また、300μmol/g以上の場合は保持が強くなり過ぎ、分析時間が長くなってしまう。
充填剤のスルホ基の量は以下の方法によって測定することができる。すなわち、真空乾燥させた粒子1gに0.5M塩酸10mLを加えて分散させ、濾過した後に水で洗浄する。これにより、スルホ基が酸型になり、洗浄された状態の粒子を得る。次に、前記粒子に0.5M水酸化ナトリウム10mLを加え、濾液を集めるための容器を設置した状態でそれを濾過し、次いで粒子を水10mLで洗浄する。濾液と洗浄液の混合液を0.1M塩酸で滴定する。このときに要した塩酸のモル数を求め、水酸化ナトリウムのモル数(上記の場合、5mM)から引いた値を、スルホ基の量とする。
スルホ基は前記のような反応により、共重合体の表面に化学的に結合される。特に、グリシジルメタクリレート由来のエポキシ基、あるいはこれが開環したジオール基との反応を通じて結合される。導入されたスルホ基は式(1)の構造を有する。
Figure 0007258276000001
式中、Rは有機高分子共重合体粒子の表面に由来する部分構造を示す。Xは酸素原子または硫黄原子を示し、nは2~4の整数を示し、R1は水素原子またはメチル基を示すが、メチル基が置換しうるのはnが3または4の場合であり、かつ繰り返し単位について1個のみに限られる。
血液中には様々なヘモグロビンが存在する。約90%がヘモグロビンA0であり、約7%が糖化ヘモグロビンA1である。この他には、ヘモグロビンA2、ヘモグロビンFなどが含まれる。
糖化ヘモグロビンA1は、ヘモグロビンのβ鎖に結合する糖の種類によりヘモグロビンA1a、ヘモグロビンA1b、ヘモグロビンA1cなど異なった成分に分けられる。糖化ヘモグロビンA1のうち、ヘモグロビンA1cは約60%を占める。
ヘモグロビンA1cは、血液中のグルコースがヘモグロビンのβ鎖N末端に結合した状態で安定に存在する。ヘモグロビンA1cの割合はグルコースの量、すなわち血糖値に依存するが、その値は血糖値そのものとは異なり1~2か月は変動しないため、糖尿病診断の指標として用いられる。
液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類の測定を行う場合は、例えば特公平8-7197号公報に記載のように、カチオン交換カラムが用いられ、溶離液の溶出力を変化させることにより、ヘモグロビン類の分離が行われている。通常、溶血した血液試料をカチオン交換液体クロマトグラフィーに供給し溶離液を流して分離を行うと、ヘモグロビン類は、ヘモグロビンA1a、ヘモグロビンA1b、ヘモグロビンF、不安定型ヘモグロビンA1c、安定型ヘモグロビンA1c及びヘモグロビンA0の順序で溶出する。
カチオン交換モードの液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の分析は、広く知られており、基本的にはpHと塩濃度の調整により溶出時間差を発生させることにより行われる。pHはわずかの値の違いで溶出挙動に変化をもたらすため、通常は安定化のため溶離液に緩衝物質が添加される。緩衝物質の例としては、リン酸、酢酸、ギ酸、炭酸、アミン化合物、及びこれらの塩、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。中でもリン酸系緩衝液は、緩衝作用を示すpHの範囲が広く、最も典型的に用いられる。リン酸系緩衝液以外にも、アミン化合物を添加した緩衝液もしばしば好適に用いられ、そのアミン化合物の例としては、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ピリジン、イミダゾール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)などが挙げられる。また、エタノールアミン2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPPSO)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(EPPS)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、N-〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)などの両性イオン化合物も好適である。
溶離液に塩を添加することにより、タンパク質であるヘモグロビンの分散が促進され、ヘモグロビン類のより良い分離が達成される。添加される塩の種類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。塩の濃度はヘモグロビン類の分離挙動にも影響するが、通常は充てん剤の種類、及び使用されるpH条件とともに最適化される。
また、血液試料の腐敗を抑制する防腐剤や、溶血後の再凝固を抑制する抗凝固剤を添加することもある。防腐剤の例としては、アジ化ナトリウム、パラベン、プロクリン300などが挙げられる。抗凝固剤の例としてはエチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・二カリウム(EDTA・2K)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムなどが挙げられる。
さらには、血液中に含まれるヘモグロビン以外のタンパク質(例えばアルブミン)や脂質などがカラムや流路などに疎水的な吸着を起こすことを抑制するために、界面活性剤や水溶性の有機溶剤を添加することもある。界面活性剤の例としては、Triton(登録商標)X-100、Tween(登録商標)20、Tween80、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。水溶性有機溶剤の例としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
カチオン交換モードでHbA1cを分離定量するには、溶離液のpHを適度に調整する必要がある。ヘモグロビン類は概ねそれぞれの等電点に従い溶出され、pHを4.0~6.0の酸性領域に調整すると、HbA1a、HbA1b、HbF、L-A1c(不安定型A1c)、HbA1cの順に溶出する。HbA0は充てん剤との相互作用が強いため、HbA1cまでの成分を分離した後に、pHを8.0~11.0のアルカリ性領域に調整した溶離液に切り替えて通液することで溶出が達成される。pHの調整方法は、pHメーターで確認しながら、酸性領域では塩酸などの酸を、アルカリ性領域では水酸化ナトリウムなどのアルカリを、適量添加することにより行う。
それぞれのpH領域では、溶離液中に添加された緩衝物質が作用することにより一度調整したpHの値を安定に維持でき、再現良くHbA1cの分離定量を行うことができる。
溶離液の流量は、カラム及び液体クロマトグラフィー装置の耐圧性能、あるいは充填剤の粒径、細孔の有無など形状によって条件が最適化される。細孔を有しない充填剤(ノンポーラス)の場合、充てん剤粒子間にできる空間での溶質の拡散挙動を抑制することでシャープなピーク形状のクロマトグラフが得られるため、流量はできるだけ大きい方が好ましい。
通常、糖尿病診断のためにHbA1c濃度を測定する場合、多数の検体を扱うことが多く、短時間で測定を終えなければならない。
イオン交換モードによる測定において、血中に含まれるすべてのヘモグロビン類を溶出するためには、溶離液のpHをヘモグロビン各成分が分離される適正な条件に設定するが、単一のpHではすべての成分を溶出し終えるまでに時間を要するため、途中でpHを溶出の遅い成分の溶出を促進する条件に切り替えるグラジエント法を用いることができる。
典型的なグラジエント条件としては、第1液目をpH4.0~6.0の弱酸性に調整し、第2液をpH8.0~11.0に調整するステップグラジエントが挙げられる。これにより短時間でのHbA1c濃度測定が達成できる。
この他には、上記の第1液と第2液を混合し徐々にその混合組成を変化させるリニアグラジエント法も挙げられる。リニアグラジエント法は、ステップグラジエント法に比べると時間を要するが、各成分の分離を良好にしやすい利点がある。
本発明の液体クロマトグラフィー用カラムは、前述の方法により得られるカチオン交換タイプの充填剤を、スラリー法等の公知の充填法によってカラムに充填することによって得られる。
本発明の液体クロマトグラフィー用カラムは、筐体の材質がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製であることが好ましい。一般に液体クロマトグラフィー用カラムには、SUS製のカラムも用いられるが、本発明においてはヘモグロビン類など血中に含まれるタンパク質の筐体への吸着を抑制するため、PEEK製のカラムが好ましく用いられる。カラム内には充填剤粒子が流出しないためのフリットが設置されるが、そのフリットも吸着を抑制するためにPEEK製、あるいはPEEKとPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)とを混合し焼結した材質のものを使用することが望ましい。
カラムサイズは特に制約はないが、短時間で測定を終えることが望まれることから、長さは短い方が好ましく、具体的には7mm以上50mm以下が好ましい。さらに好ましくは8mm以上20mm以下である。短すぎると十分な分離を達成することができない。一方、長すぎると分析に要する時間が長くなってしまう。また太さは同じ流速を適用した場合に大きいほど圧力を低減することが可能となり好ましい。一方、太すぎると消費する溶離液の量が多くなり経済的でなくなる。具体的には内径1mm以上10mm以下が好ましい。さらに好ましくは2mm以上6mm以下である。
本発明により製造された充填剤を適用したカラムにより、血中のHbA1cなど糖化ヘモグロビン濃度を測定するに当たっては、複数種の溶離液を送液できるグラジエント機能を搭載した液体クロマトグラフィー装置を用いる。このような装置の例としては、AgilentTechnology社のInfinity(登録商標)1260、(株)島津製作所製Prominenseなどが挙げられる。
また、病院などに設置され糖尿病診断に用いられる、HbA1c測定専用に設計された装置において特に好適に使用される。HbA1c測定専用装置では短時間で1回の測定が終えられるよう、カラムと溶離液の組み合わせ及びグラジエント条件の最適化がなされる。
以下、実施例及び比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の記載により何ら限定されるものではない
実施例1:
[重合工程]
非架橋性モノマーであるグリシジルメタクリレート(日油(株)製)と架橋性モノマーであるジビニルベンゼン(新日鉄住金化学(株)製 純度99%)(グリシジルメタクリレート:ジビニルベンゼン=82:17)(質量比)のモノマー混合物に、重合開始剤として過酸化ラウロイル(ナカライテスク(株)製)をモノマー混合物に対して1%(質量基準)の割合で加えた。上記混合物を1%アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム水溶液に加え、マイクロチャネル乳化装置((株)イーピーテック製)により、マイクロチャンネル法を用いて重合反応を行うことで有機高分子共重合体粒子1を得た。得られた粒子の平均粒子径は2.6μmであった。
[ゼータ電位測定]
上記有機高分子共重合体粒子1gを1mM塩化カリウム水溶液に分散させた。ZetaSizerNano(マルバーン社製)を用い、この分散液0.8mLを注入した電極付き専用キャピラリーセル(型番:DTS1060)をセットしゼータ電位測定を行った。同じ分散液につき3回の測定を行い、その平均値を用いた。
合成から3日間室温にて保管した後に測定した結果、有機高分子共重合体粒子のゼータ電位は-12.1mVであった。
[修飾工程]
上記有機高分子重合体粒子3gに2-プロパノール24g、1,3-プロパンスルトン(東京化成工業(株)製)3gを加え、50℃に加熱した。これに8M水酸化カリウム水溶液1.2gを加え、6時間撹拌した後にろ過し、0.5N塩酸、水、0.5N水酸化ナトリウム水溶液、水で順次洗浄することで充填剤粒子1を得た。
[カラムへの充填]
上記充填剤粒子1を、4.6mm×10mmのPEEK製カラムにスラリー法で充填し、カラム1を得た。
[分析例]
実施例1にて作製したカラム1を用いて、下記の分析条件にて糖化ヘモグロビンコントロールサンプル(アークレイ社Hbコントロール)の分析を行った。
溶離液:リン酸緩衝液pH5.3、
流速:1.7mL/min、
検出器:VIS415nm(Agilent社Infinity1260)、
温度:35℃。
得られたクロマトグラムを図1に示す。この際の安定型糖化ヘモグロビン(HbA1c)ピークの半値幅は3.55秒、保持時間は18.8秒であった。
実施例2:
実施例1で得た有機高分子共重合体粒子を室温にて40日間保管した後にゼータ電位を測定した結果、ゼータ電位は-19.2mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
実施例3:
実施例1で得た有機高分子共重合体粒子を-18℃にて40日間保管した後にゼータ電位を測定した結果、ゼータ電位は-12.6mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
実施例4:
グリシジルメタクリレートとジビニルベンゼンの混合比率を80:19として、実施例1と同様に有機高分子共重合体粒子を得た。合成から3日間室温にて保管した後に測定した結果、ゼータ電位は-20.0mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
実施例5:
実施例4で得た有機高分子共重合体粒子を-18℃にて40日間保管した後にゼータ電位を測定した結果、ゼータ電位は-19.5mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
実施例6:
非架橋性モノマーとして、実施例1の重合工程におけるグリシジルメタクリレートの代わりにアリルグリシジルエーテル(大阪ソーダ(株)製)を用いた以外は実施例1と同様に有機高分子共重合体粒子を得た。
合成から3日間室温にて保管した後に測定した結果、有機高分子共重合体粒子のゼータ電位は-18.2mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
実施例7:
架橋性モノマーとして、ジビニルベンゼンに対しグリセリンジメタクレレート(新中村化学工業(株)製)を5質量%添加した混合体を用意し、非架橋性モノマーであるグリシジルメタクリレートと架橋性モノマー総量の比率を実施例1と同様に82:17として有機高分子共重合体粒子を得た。その日のうちに測定した結果、有機高分子共重合体粒子のゼータ電位は-19.8mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
比較例1:
グリシジルメタクリレートとジビニルベンゼンの混合比率を77:22として、実施例1と同様に有機高分子共重合体粒子を得た。合成から40日間室温にて保管した後に測定した結果、ゼータ電位は-57mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
比較例2:
実施例4で得た有機高分子共重合体粒子を室温にて30日間保管した後にゼータ電位を測定した結果、ゼータ電位は-23.5mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
比較例3:
グリシジルメタクリレートとジビニルベンゼンの混合比率を84:15として、実施例1と同様に有機高分子共重合体粒子を得た。合成から3日間室温にて保管した後に測定した結果、ゼータ電位は-9.3mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
比較例4:
実施例7で得た有機高分子共重合体粒子を室温にて3日間保管した後にゼータ電位を測定した結果、ゼータ電位は-32.0mVであった。実施例1と同様の修飾工程、及びカラムへの充填を経た後、同様の条件で分析を行い、HbA1cピークの半値幅、保持時間を求めた。
実施例1~7及び比較例1~4の結果をまとめて表1に示す。
表1中、不安定型HbA1cのピークと安定型HbA1cのピークの分離に関して、〇は分離が良好であること、×は分離が不完全であること示し、安定型HbA1cのピークとHbA0のピークの分離に関して、〇は分離が良好であること、×は分離が不完全であることを示す。
Figure 0007258276000002

Claims (6)

  1. 血液中の糖化ヘモグロビン分析用カラムに使用する充填剤の製造方法であって、ゼータ電位が-20~-10mVである有機高分子共重合体粒子をスルホ化する工程(スルホ化工程)を含むことを特徴とする充填剤の製造方法。
  2. 有機高分子共重合体粒子が、グリシジル基を有する重合性モノマー単位とジビニルベンゼン単独あるいはジビニルベンゼンを含む架橋性モノマー混合物単位とからなる共重合体粒子であって、スルホ化工程がグリシジル基のスルホプロピル化により行われる請求項1に記載の充填剤の製造方法。
  3. グリシジル基を有する重合性モノマーがグリシジルメタクリレートである請求項2に記載の充填剤の製造方法。
  4. グリシジル基を有する重合性モノマーがアリルグリシジルエーテルである請求項2に記載の充填剤の製造方法。
  5. スルホプロピル化が、グリシジル基に1,3-プロパンスルトンを付加させることにより行われる請求項2~4のいずれかに記載の充填剤の製造方法。
  6. 前記有機高分子共重合体粒子の全モノマー単位中、ジビニルベンゼン由来の架橋性モノマー単位の割合が質量基準で10~30%である請求項1~5のいずれかに記載の充填剤の製造方法。
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