JP4037537B2 - 液体クロマトグラフィー用充填剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフィー用充填剤、更に詳しくはカチオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換基としてカルボキシル基を有する充填剤(カルボキシル基含有充填剤)を用いた液体クロマトグラフィー分析法は、糖化ヘモグロビン類の分析をはじめとして、各種生体関連物質の分析等に極めて有用な方法である。
【0003】
カルボキシル基含有充填剤の従来の製造方法としては、以下の2つの方法が開示されている。
(1)架橋性粒子に、カルボキシル基含有化合物を反応させる方法。
すなわち、反応性官能基を有する無機系又は有機系粒子に、該反応性官能基と反応する基及びカルボキシル基を有する化合物を反応させることにより、上記無機系又は有機系粒子に、カルボキシル基を導入する方法。具体的には、例えば、特開平7−27754号公報には、エポキシ基含有粒子にカルボキシル基を2個以上含有する化合物を反応させて、カルボキシル基含有充填剤を調製する方法が開示されている。
【0004】
(2)カルボキシル基含有単量体を、架橋性単量体と重合する方法。
例えば、特公昭63−59463号公報には、カルボキシル基含有単量体5〜90重量%、架橋性単量体10〜95重量%、非架橋性単量体0〜85重量%を混合して重合する方法が開示されている。また、特公平8−7197号公報には、重合開始剤を含有する疎水性架橋重合体粒子の表面に、カルボキシル基含有単量体を重合させる方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)、(2)の方法で得られた液体クロマトグラフィー用充填剤には、以下の問題点が残っている。
上記(1)の方法による充填剤:
後処理によりカルボキシル基を導入する方法においては、イオン交換基を有する化合物を定量的に導入することは困難であることが一般的に知られており、単量体由来のイオン交換基導入に比べ、製造の再現性の点で劣る(吉廻、細矢、木全、田中:Chromatography,16(1)7-12(1995))。従って、液体クロマトグラフィー用充填剤としての分離性能がばらつくという欠点がある。また後処理の方法が極めて煩雑で長時間を要する。
【0006】
上記(2)の方法による充填剤:
カルボキシル基含有単量体の添加量や重合条件を制御することにより、充填剤に対して定量的にカルボキシル基を含有させることができ、また操作も簡便であるが、得られた液体クロマトグラフィー用充填剤は短時間分析において、溶出位置が近接するピークがある場合、これらのピークを溶出条件の変更だけでは分離できないことがある、また単量体の変更では、充填剤の微妙な調節ができない、等の欠点を有する。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来分離しにくかった物質、又は従来分離に長時間かかっていた物質を、短時間で簡便な溶出条件により高精度に分離できる液体クロマトグラフィー用充填剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤は、1分子中にカルボキシル基を1個含む単量体(A)、1分子中にカルボキシル基を2個含む単量体(B)及び架橋性単量体(C)を構成単位とする重合体からなることを特徴とする。
【0009】
以下、本発明の詳細を説明する。
(1分子中にカルボキシル基を1個含む単量体(A))
本発明において、上記1分子中にカルボキシル基を1個含む単量体(A)としては、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0010】
(1分子中にカルボキシル基を2個含む単量体(B))
本発明において、上記1分子中にカルボキシル基を2個含む単量体(B)としては、イタコン酸、マレイン酸が挙げられる。
【0011】
上記単量体(A)に対する単量体(B)の量は、多くなっても少なくなっても両者を混合した効果が低下する傾向があるので、単量体(A)100重量部に対して10〜1000重量部が好ましい。
【0012】
架橋性単量体(C)に対する、単量体(A)及び(B)の合計量は、少なくなるとイオン交換能が小さくなるため効果が小さくなり、多くなると重合中に凝集し易くなるので、架橋性単量体(C)100重量部に対して5〜100重量部が好ましい。
【0013】
(架橋性単量体(C))
架橋性単量体(C)は、1分子中にビニル基を2個以上有する単量体を言い、イオン交換基を有さないか又は有していても微量である単量体であって、単量体(A)及び(B)よりも疎水性であるものが好ましい。このような、架橋性単量体(C)としては、例えば、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは2種以上が混合されて用いられてもよい。
【0014】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤に用いられる重合体には、例えば、上記単量体(A)及び単量体(B)以外の非架橋性単量体などの、その他の単量体(D)が構成単位の一部とされていてもよい。上記非架橋性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体類;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
【0015】
上記その他の単量体(D)の上記架橋性単量体(C)に対する量は、多くなると架橋度が小さくなり耐圧性に問題を生じやすくなるので、上記架橋性単量体(C)100重量部に対して0〜300重量部が好ましい。
【0016】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤に用いられる重合体は、その製造時に多孔質化剤が用いられて製造されることにより、多孔質化されていてもよい。
【0017】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤に用いられる重合体は、その製造時に粒度分布の揃った重合体粒子(E)が用いられて製造されることにより、粒径を均一化させることもできる。上記重合体粒子(E)とは、粒度分布の揃った重合体粒子のことを指し、例えば、上記その他の単量体(D)に示した単量体などの単独重合体又は共重合体からなる非架橋重合体粒子が挙げられ、例えば、スチレン重合体、(メタ)アクリル酸メチル重合体、(メタ)アクリル酸エチル重合体などが挙げられる。
また、上記重合体粒子(E)として、上記その他の単量体(D)と上記架橋性単量体(C)との共重合体である架橋共重合体粒子(例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)も使用できるが、この場合は、架橋性単量体(C)の割合を10重量%以下として共重合して得られる低架橋重合体粒子が好ましい。
【0018】
上記重合体粒子(E)の製造方法は、公知の重合方法でよく、例えば、乳化重合、ソープフリー重合、分散重合、懸濁重合などが挙げられる。
【0019】
上記重合体粒子(E)の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、粒径のばらつきは変動係数(CV)(=標準偏差÷平均粒径×100)として15%以下が好ましい。
【0020】
上記重合体粒子(E)の量は、上記架橋性単量体(C)100重量部に対して、0.5〜100重量部が好ましい。
【0021】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤に用いられる重合体を製造するには公知の重合方法、例えば、懸濁重合、乳化重合、分散重合などにより行い得る。例えば、上記単量体(A)、上記単量体(B)、上記架橋性単量体(C)及び重合開始剤を所定量混合して重合する方法が挙げられる。また、上記架橋性単量体(C)を重合開始剤の存在下で重合させて架橋性重合体粒子を調製した後、単量体(A)及び(B)を順次、又は両者の混合物を一度に重合系に添加して重合する方法も挙げられる。
【0022】
上記重合開始剤としては、特に限定されず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用いられる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられる。
【0023】
上記重合開始剤の使用量は、上記架橋性単量体(C)100重量部に対し、0.05〜5重量部が好ましい。重合開始剤の使用量が0.05重量部未満になると、重合反応が不十分となったり、重合に長時間を要することがあり、5重量部を越えると、急激な反応の進行により、凝集物が発生することがある。この重合開始剤は、上記架橋性単量体(C)に溶解して用いてもよい。
【0024】
多孔質化された重合体を製造する場合は、多孔質化剤として単量体を溶解するが、重合体を溶解しない有機溶媒を重合反応系に添加して重合すればよい。このような多孔質化剤としては公知のものでよく、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和炭化水素類;イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール類などが挙げられる。
【0025】
上記多孔質化剤の使用量は、上記架橋性単量体(C)100重量部に対して、0〜100重量部が好ましい。
【0026】
上記の重合体粒子(E)を用いる場合には、架橋性単量体(C)(必要に応じて、その他の単量体(D)も含む)と重合開始剤を、重合体粒子(E)に吸収させて重合を進めることが好ましい。
【0027】
(本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤の粒径)
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤の平均粒径は0.5〜100μmが好ましく、粒径のばらつきは変動係数(CV)(=標準偏差÷平均粒径×100)として15%以下が好ましい。このような、本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤は、重合によって得られた重合体粒子を、必要に応じて分級することにより得られる。分級には、乾式又は湿式など公知の方法が用いられ得る。
【0028】
(本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤の使用)
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤は、ステンレス製などのカラムに充填されてカチオン交換液体クロマトグラフィーなどに用いられる。カラムへの充填に際しては、適宜の方法を用いることができるが、充填剤を溶離液として用いる溶媒などの分散媒に所定量分散し、カラム内にパッカーなどを経由して圧入する湿式法(スラリー法)が特に好ましい。
【0029】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤を用いて分離測定する際の測定対象物質としては、従来からカチオン交換液体クロマトグラフィー又はイオンクロマトグラフィーで分離されていたものの全てである。特に、カテコールアミン誘導体類、ヌクレオチド類、ペプチド類、タンパク質類などの生体関連物質が好適である。
【0030】
本発明の充填剤を適用できる液体クロマトグラフは公知のものでよく、例えば、送液ポンプ、試料導入装置、カラム、検出器などから構成される。また、これらに他の付属品(恒温槽や溶離液の脱気装置など)が適宜付属されてもよい。
【0031】
本発明の充填剤を用いた液体クロマトグラフィー分析には、公知の溶離液が用いられる。例えば、以下の物質などを含む各種緩衝液などが挙げられる。リン酸、硝酸、塩酸、過塩素酸などの無機酸及びその塩;酢酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸及びその塩又はハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質。また、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒も使用可能であり、また、水若しくは上記緩衝液と有機溶媒の混合物も使用可能である。
【0032】
【作 用】
本発明の充填剤は、カルボキシル基を含有する高分子微粒子よりなる液体クロマトグラフィー用充填剤であり、該カルボキシル基は、カルボキシル基を1個含有する単量体及び2個含有する単量体の両方に由来する。これらの単量体を一定の比率で添加して重合させることにより、充填剤のイオン交換能の微調整が可能となり、従来分離しにくかった物質、又は従来分離に長時間かかっていた物質を、短時間で簡便な溶出条件により、高精度に分離できる。
【0033】
【実施例】
以下に本発明方法の実施例を示す。
(実施例1)
メタクリル酸(単量体(A):和光純薬社製)40g、イタコン酸(単量体(B):キシダ化学社製)160g、トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体(C):新中村化学社製)400g及びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤:和光純薬社製)1.5gを混合し、2.5リットルの4%重量ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合した。
重合後、洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0034】
(実施例2)
アクリル酸(単量体(A):和光純薬社製)100g、マレイン酸30g(単量体(B):和光純薬社製)、スチレン(その他の単量体(D):和光純薬社製)20g、ジビニルベンゼン(架橋性単量体(C):キシダ化学社製)400g、トルエン(多孔質化剤:和光純薬社製)100g及びベンゾイルパーオキサイド1.5gを混合し、2.5リットルの6重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合した。
重合後、洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0035】
(実施例3)
トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体(C))400gにベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1.5gを混合して溶解し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で1時間重合した。更に反応系にメタクリル酸(単量体(A))100g及びイタコン酸(単量体(B))100gを添加して80℃で1時間重合した。
重合後、洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0036】
(比較例1)カルボキシル基を1個含む単量体のみの例:
メタクリル酸(単量体(A))200g、テトラエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体(C):新中村化学社製)400g及びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1.5gを混合し、2.5リットルの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合した。
重合後、洗浄し分級して平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0037】
(比較例2)カルボキシル基を2個含む単量体のみの例:
比較例1において、メタクリル酸200gの代わりに、イタコン酸(単量体(B))200gを用いた以外は、比較例1と同様に重合を行い、平均粒径5μmの充填剤を得た。
【0038】
(性能評価)
実施例及び比較例で得られた充填剤について、以下のようにして性能評価をした。
(1)液体クロマトグラフィー用カラムの製造:
充填剤0.7gを採取し、50mMリン酸緩衝液(pH6.0)30mlに分散し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製空カラム(4.6φ×35mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力200kg/cm2 で定圧充填して、液体クロマトグラフィー用カラムを製造した。
【0039】
(2)ヘモグロビン類の測定:
実施例及び比較例で得られた充填剤を各々充填したカラムを用いて、糖尿病診断の指標となる、ヒト血液中の糖化ヘモグロビン(Hb)類を含むHb類の測定を行った。
【0040】
(測定試料)
健常人血をフッ化ナトリウム採血し、これにグルコースを500mg/dlとなるよう添加し、37℃で5時間反応させ、次いで、溶血希釈液(0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)(東京化成社製)のリン酸緩衝液溶液(pH7.0))で溶血し、150倍に希釈して測定試料とした。
【0041】
(測定結果)
実施例3で得られた充填剤を用いた場合のクロマトグラムを図1、比較例1で得られた充填剤を用いた場合のクロマトグラムを図2、比較例2で得られた充填剤を用いた場合のクロマトグラムを図3に示す。
図中、ピーク1はヘモグロビンA1a及びb(HbA1a及びb);ピーク2はヘモグロビンF(HbF);ピーク3は不安定型HbA1c;ピーク4は安定型HbA1c;ピーク5はヘモグロビンA0(HbA0)を示す。
HbF(ピーク2)及び糖尿病診断の指標となる安定型HbA1cピーク(ピーク4)の良好な定量性が確保されるためには、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1c、HbA0の順に溶出される必要があるが、図1ではこの順序通りに各ピークが溶出し、しかも短時間の測定にもかかわらず、各ピークの分離がよいことがわかる。図2及び図3では各ピークの分離が、測定時間が長いにもかかわらず悪い。
【0042】
(3)タンパク質混合物の測定:
実施例及び比較例で得られた充填剤を各々充填したカラムを用いて、タンパク質標準物質の混合物を測定した。
(測定条件)
システム:上記(2)ヘモグロビン類の測定のシステムと同様
溶離液:下記溶離液C100%から溶離液D100%へのリニアグラディエント法で溶出した。
溶離液C:100mMリン酸緩衝液(pH7.0)
溶離液D:溶離液C+500mM NaCl(pH7.0)
流速:1.5ml/分
検出波長:254nm
試料注入量:10μl
【0043】
(測定試料)
ミオグロビン、α−キモトリプシノーゲン、リボヌクレアーゼA、リゾチーム(Sigma社製)混合物
【0044】
(測定結果)
実施例1で得られた充填剤を用いた場合のクロマトグラムを図4、比較例1で得られた充填剤を用いた場合のクロマトグラムを図5、比較例2で得られた充填剤を用いた場合のクロマトグラムを図6に示す。
図中、ピーク6はミオグロビン、ピーク7はα−キモトリプシノーゲン、ピーク8はリボヌクレアーゼA、ピーク9はリゾチームを示す。
図4は、図5、6に比べて短時間測定にもかかわらず、各ピークの分離がよいことがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤は、カチオン交換能の微調整が、カルボキシル基を1個含有する単量体とカルボキシル基を2個含有する単量体の混合割合を変えるだけで簡単にできるため、測定対象物質に最も適した組成を容易に選択できる。これにより、従来分離しにくかった物質、又は従来分離に長時間かかっていた物質を、短時間で簡便な溶出条件により、高精度に分離することができる。特にタンパク質類の分析に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図2】比較例1により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図3】比較例2により得られた充填剤を用いて、Hb類の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図4】実施例1により得られた充填剤を用いて、タンパク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図5】比較例1により得られた充填剤を用いて、タンパク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図6】比較例2により得られた充填剤を用いて、タンパク質混合物の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【符号の説明】
1 HbA1a及びb
2 HbF
3 不安定型HbA1c
4 安定型HbA1c
5 HbA0
6 ミオグロビン
7 α−キモトリプシノーゲン
8 リボヌクレアーゼA
9 リゾチーム
Claims (1)
- (メタ)アクリル酸(A)、イタコン酸又はマレイン酸(B)及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート又はジビニルベンゼン(C)を構成単位とする重合体からなることを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤。
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