JP2005510593A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 多孔性支持体の後修飾
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、特にクロマトグラフィーで使用するための、多孔性高分子支持体の分野に関する。さらに具体的には、本発明は、クロマトグラフィーのような分離用途に用いる際に性質が大幅に改良された支持体を与える、多孔性高分子支持体の新規な後修飾方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
種々の分離用途に有用な多孔性高分子支持体の数多くの製造方法が、合成又は天然モノマーの懸濁重合を始めとして、知られている。そのように製造された支持体の性質を改善するために、種々の戦略がまた、それらの表面修飾のために提案されてきた。そのような表面修飾は、例えば、支持体の利用可能な表面積を増大させるために実施され、クロマトグラフィーのためのリガンドによるその後の誘導体化を容易にし、その疎水性/親水性表面等を修飾し得る。
【0003】
親水性ポリ(ビニルエーテル)を陽イオン重合により重合し、続いてアガロースのような多孔性高分子支持体の表面に結合させる表面修飾法が、WO95/13861(Ericsson他)で提案されている。開示された方法は必然的に、重合前にビニルエーテルモノマーのヒドロキシル基を保護する工程及び得られたポリマーでの脱保護のための対応する工程を含む。かくして、記述された方法の欠点は、表面修飾された生成物を得るために多数のプロセス工程が必要とされることである。
【0004】
クロマトグラフィーでの汎用性をもつ分離材料を開発するために、クロマトグラフィー支持体をグラフトすることは、EP0337144(Merck Patent GMBH)から公知である。グラフト化は、通例のレドックス重合の過程で実施される。支持体粒子の細孔表面上にラジカル部位を形成するためには、セリウム(IV)イオンが重合触媒として利用される。かくして、EP0337144の一つの目的は、公知物質と比較して溶解性を改善することであって、それは、その支持体が共有結合で結合したポリマーでコーティングされている、ヒドロキシ基を含有する支持体に基づく親水性分離の使用により得られる。さらに具体的には、ポリマーは、ヒドロキシ基のα−C原子で生成したラジカルを介して支持体に結合されるので、この種のグラフト化は「からのグラフト化」原理を代表する。例えば、P F Rempp, P J Lutz: Comprehensive Polymer Science vol. 6, pp 403−421, Eds. G. Allen et al, Oxford 1989参照。この技法は、支持体表面上における限定された数のラジカルによる重合の開始に基づいて、したがって例えば酸素による停止に対し感受性である。好ましいモノマーは、高い成長速度を持つモノマーであって、それは典型的には、また本出願中で述べられるものである、アクリルアミド、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのモノマーを意味する。
【0005】
US5929214(Peters他)には、多孔性合成ポリマーモノリスが開示されており、細孔は、グラフト化された温度応答性ポリマー及びコポリマーを含んでいる。これらのモノリスは、熱ゲート又は熱バルブとしての用途に特に適する。このようなモノリスの細孔は、直径約600nm超であり、そのためポリマーは、かかるマクロ細孔を閉塞するに十分なサイズのものである必要がある。細孔の支持体上にグラフトされる熱応答性ポリマーを形成するための適当なモノマーは、公知であって、窒素原子上で弱い疎水基で置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ビニルカプロラクタム、メチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアクリル酸エステル、酢酸ビニル、2−(C置換2〜C置換6)−アルキル−1−ビニルオキサゾリン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、並びに、得られるポリマーの熱的応答性を妨害しない共重合性コモノマーとのコポリマーが含まれる。適当なコモノマー、例えば、N−アルキルアクリルアミドとのメチレンビスアクリルアミド、を用いて、架橋及び制御可能な膨潤性又は他の望ましい性質を付与し得る。US5929214にしたがって生産されるポリマーは、それらの低臨界溶液温度(LCST)以下における第一の構造から、それらのLCST以上における第二の構造へと、迅速かつ可逆的な相転移を受けて、それ故に「熱収縮」ポリマーと呼ばれる。
【0006】
Dhal等(Dhal, Pradeep K.; Vidyasankar, S.; Arnold, Frances H. Division of Chemistry and Chemical Engineering, California Institute of Technology, Pasadena, CA, USA. Chem. Mater. (1995), 7(1), 154−62)は、マクロ孔質ポリ(トリメチロールプロパントリメタクリル酸エステル)への機能性ポリマーの表面グラフト化を開示している。機能性モノマーのタイプは、元来のマトリックスの物理的性質を保持するために、選択される。
【0007】
US5865994(Dionex Corporation)は、陽イオンとの複合体の形成を許容するクラウンエーテル官能基及び陽イオンとの電荷相互作用の能力のある非クラウンエーテル陽イオン交換官能基より成る、二官能性陽イオン交換組成物を開示する。好ましい非クラウンエーテル官能性基は、スルホン酸エステル、カルボン酸エステル及びホスホン酸エステル基である。US5865994では、無水マレイン酸及びエチルビニルエーテルがマクロ孔質ポリマー樹脂上にグラフトされている、標準的陽イオン交換樹脂の比較例が、提供されている。クロマトグラフィーの分野においては、用語「マクロ孔質」は、湿潤状態においてのみ多孔性であるゲル多孔性粒子と較べて、乾燥又は湿潤状態の両方において多孔性である粒子に対して用いられる。第一のグループの例は、例えば、ジビニルベンゼン及びスチレンのような合成的ポリマーであり、一方では後者は、アガロースのような、種々の多糖類によって例示できる。この文脈では、ビニルエーテルは一般には、単独モノマーとして極めて重合し難いことが、周知である。表3−1においてビニルエーテルのファミリーは、ラジカル重合に対して−(マイナス)と評価されている、例えば“Principles of Plymerization”, Third Edition,page 200, Author: George Ordian, and publisher: John Wiley & Sons, Inc.参照。しかしながら、上述のUS5865994に記載された比較例では、エチルビニルエーテルが電子供与体として働くであろう一方で、無水マレイン酸が電子受容体として働くであろうので、重合が可能である。
【0008】
最後に、不飽和基及び親水性ドメインを含む疎水性ドメインを含む、親水性コーティング化支持体を形成することが、US5503933から公知である。親水性コーティング剤は、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンのような、疎水性ポリマーに、例えば、共有結合で付加できる。記述されたコーティングの目的は、疎水性支持体をマスクし、そして高低の極端なpHにおいて化学的に安定であるポリマーを提供することである。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明の一つの目的は、従来の方法と比較して、時間的必要性及び複雑性に関して単純化された高分子多孔性多糖類支持体の後修飾の方法を提供することである。これは、請求項1及び従属の請求項において説明されるように、支持体上に存在する未反応の二重結合を介して比較的短いポリマー鎖をグラフト化することにより達成される。かくして、グラフト用化合物は、例えば、支持体の表面上でラジカル重合によりインシツで重合される、ビニルエーテルであり得る。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、その頑健性が先行技術の方法と比較して改良されている、高分子多孔性多糖類支持体の後修飾のための方法を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、クロマトグラフィーで用いられるとき、改善された機械的安定性及びその結果改善された流動的性質を示す支持体をもたらす、上述のような架橋多糖類支持体の後修飾の方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、その方法が特異的な性質を持つ種々の異なる支持体のデザインに関して、改善された多用性を提供する、上述の架橋多糖類支持体の後修飾の方法を提供することである。本発明の具体的な目的は、その方法が先行技術の方法より少ない方法工程においてそのような種々の支持体を提供し得る、上で説明したような架橋多糖類支持体の後修飾の方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、立体障害効果が減少される、クロマトグラフィーのマトリックスとして有用な高分子多孔性支持体を提供することである。これは、用いられるグラフト用化合物が、より大きな細孔を拡散移動に対して開放されたままにしておきながら、ミクロ細孔を本質的に遮断するのに適当な長さの鎖を提供する、上のような高分子多孔性支持体の後修飾により達成される。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、先行技術の支持体と比較して、改良された分解能を示す、クロマトグラフィーのマトリックスとして有用な高分子多孔性多糖類支持体を提供することである。そのような支持体は、その方法がカラム効率及び選択性の両方を改良し得る、上述の後修飾の使用により提供される。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、その方法が当該支持体において得られる疎水性及び親水性の程度に関して強化された柔軟性を許容する、多孔性高分子多糖類支持体の後修飾の方法を提供することである。例えば、グラフト用化合物として、親水性ビニルエーテルのような、親水性モノマーを用いることにより、支持体は親水性にさせられる。そのような親水性支持体は、ひいては望ましくない非特異的疎水相互作用が本質的に無くなるであろう、イオン交換体、親和性クロマトグラフィー樹脂等の製造において使用できる。
【0016】
これに代えて、例えば、疎水性のビニルエーテル、又はスチレンもしくはスチレン誘導体をグラフト用化合物の一つとして用いると、自然に本質的に疎水性である支持体が得られるであろう。かくして、後修飾の新規な方法において用いられるグラフト用化合物を適当に選択することにより、そのように修飾された支持体の疎水性の程度が、容易に制御される。その結果、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)において有利に用いられる支持体の製造が、本発明により可能となる。
本発明の他の目的及び利点は、後続する詳細な開示並びに付随する請求項から現れるであろう。
【0017】
図面の簡単な説明
図1は、アリル基を有する多孔性アガロース支持体(Sepharose[登録商標]6 Fast Flow)(下)及び本発明にしたがってポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾した同じ種類の支持体(上)の1H NMRスペクトルである。
図2は圧力/流動(それぞれY軸及びX軸)曲線であり、本発明にしたがってポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾したSepharose[登録商標]6 Fast Flowが、Sepharose[登録商標]6 Fast Flow及び対応するアリル化Sepharose[登録商標]6 Fast Flowに比べて、機械的性質が向上していることを示す。
【0018】
図3は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による4種類のタンパク質の分離を示すクロマトグラムである。本発明にしたがってポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾したSepharose[登録商標]6 High Pressure及び6 Fast Flowの改善された分解能を、上に示す。
図4は、種々のマトリックスでの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による3種類のタンパク質の分離を示すクロマトグラムである。下のクロマトグラムは、従来の高分子支持体で得られたものであり、上のクロマトグラムは本発明にしたがって後修飾した多糖類支持体を用いて得たものである。
【0019】
定義
本発明では、具体的に説明されない用語は、当業者が本文脈の読み取りから理解するであろう従来の意味で用いられる。
【0020】
用語「マクロ孔質」粒子は、湿潤状態においてのみ多孔性である「ゲル多孔性」粒子と比較して、乾燥又は湿潤状態の両方で 多孔性である粒子を意味する。
【0021】
用語「グラフト化」は、本明細書では、第一の重合の後に未反応のまま残った二重結合のような基を反応させる第二の重合について用いられる。(グラフト化の様々な原理の総説としては、例えば、P F Rempp, P J Lutz: Comprehensive Polymer Science vol. 6, pp 403−421, Eds. G Allen et al, Oxford 1989を参照。)
【0022】
本発明の詳細な説明
さらに具体的には、本発明は、1以上の未反応の二重結合を含む多孔性高分子支持体の後修飾のための方法であって、当該方法は、
(a)高分子多糖類支持体を、1種以上のグラフト用化合物を含む液相と接触させる工程、
(b)工程(a)で得られた混合物において、高分子支持体上の1以上の二重結合とグラフト用化合物上の1以上の反応性基との間でフリーラジカル反応を開始する工程、及び任意に
(c)高分子支持体を洗浄して、過剰のグラフト用化合物を除去する工程
を含んでおり、グラフト用化合物は、反応性基としての二重結合が線状又は環状炭素鎖(任意に1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい)に結合したものからなる。未反応の二重結合は、支持体の製造から残存したものでもよいし且つ/又は意図的に導入したものでもよい。未反応の二重結合、即ちアリル基、は、本明細書中で説明されるように、反応に利用できるとまた理解される。
【0023】
上述のように、後修飾の本方法は、将来イオン交換法に使用するための1以上の官能基を導入する可能性の向上した、柔軟な方法である。本発明にしたがうグラフト化法は、細孔内並びに支持体の外部表面上において有益な重合をもたらし、そしてクロマトグラフィーでの改善された結果は、恐らくは改善された物質移動に因って、示されている。
【0024】
本文脈においては、用語「多糖類」支持体は、合成架橋剤で架橋した、例えばアガロース又はデキストラン支持体のような、任意の多糖類系支持体を含むと解釈されることが理解される。かくして、多糖類支持体は、以下に例示されるであろうような多糖類より成るが、しかし加えて、多糖類でない少量の添加剤を含んでいてもよい。本発明にしたがって表面修飾されている多糖類支持体は、逆懸濁ゲル化(S Hjerten: Biochim Biophys Acta 79(2), 393−398 (1964))のような、標準的な方法にしたがって容易に製造できる。これに代えて、ベースマトリックスは、Sepharose[登録商標]FF(Amersham Biosciences AB(スウェーデン、ウプサラ))のような市販の製品である。
【0025】
本方法の一実施形態では、工程(b)は、加えたグラフト用化合物を高分子支持体に重合させるに十分な量のフリーラジカル開始剤の添加によって実施される。フリーラジカルは、例えば、過酸化ジアセチル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ピバロン酸t−ブチル、過オクタン酸t−ブチル、過酸化ピバロン酸t−アミル、過酸化−2−エチルへキサン酸t−ブチル、過酸化ジ炭酸ジ−(4−t−ブチルシクロヘキシル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾ−ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、又は1,1’−アゾ−ビス(シアノシクロヘキサン)、及びそれらの混合物に基づいた、任意の適当な市販の開始剤であり得る。具体例は、製品V65(=2,2’−アゾ−ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、和光純薬工業)又はAIBN(=2,2’−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、和光純薬工業)である。フリーラジカル開始剤の選択は、以下により詳細に議論されるであろう、用いられるグラフト用化合物を考慮して、当業者により容易になされる。その量は決定的ではなく、例えば、1〜10mol%(モノマー当たり)の範囲内で、当業者により容易に選択される。フリーラジカル開始剤の適量を求める際の基本的な考慮は、単純には、多すぎると重合に悪影響を有するおそれがあり、少なすぎると望ましい結果には不十分となりかねないことであろう。
【0026】
グラフト用化合物上の反応性基、支持体上に存在する二重結合及び上述のフリーラジカル開始剤の間のラジカル反応は、加熱、UV光照射、化学物質の添加等のような、任意の従来の方法で開始させることができる。これに代えて、重合は、その場合には開始剤が存在する必要のない、γ線又は電子線照射によって開始させることできる。加熱を用いる場合、加熱浴、オーブン等を使用し得る。正確な温度は、例えばグラフト用化合物及びフリーラジカル開始剤の性質に依存するであろうが、しかし、例えば、約70℃のように約50℃以上でよく、2〜20時間のような適当な時間継続し得る。
【0027】
上述のように、本発明の利点の一つは、方法の簡単さである。かくして、上述の重合反応は、従来の化学に基づき、工程はいかなる特殊な装置等も必要とせずに、当業者により適するように容易に適合される。当然、任意の従来のフリーラジカル重合方法に対すると同一な考慮がここでも適用できて、例えば、酸素等と接触させずに作業することの利点が利用できる。しかしながら、そのような詳細は、当業者には周知であって、請求項によって定義されるように本発明の概念を変えるものではない。
【0028】
大抵の場合には、本発明にしたがう後修飾は、工程(c)に規定するように、グラフト化されたゲル高分子支持体を洗浄するための工程を含む。そのような洗浄は、例えば、使用したグラフト用化合物及び高分子支持体に応じて、水、メタノール、エタノール、アセトン又は任意の他の適当な緩衝液又は溶液を用いて、実施できる。ゲルに共有結合していない過剰なモノマー、オリゴマー及びポリマーの除去は、当分野における従来の措置であって、当業者はその条件を容易に決めることができる。
【0029】
本発明の後修飾の後に高分子支持体にどの程度の二重結合が残存しているかを求めるうえで、最も簡便な方法は、単に重量法を用いることである。言い換えると、後修飾の前後で支持体を秤量し、重量増加がグラフト化された化合物を表わすであろう。さらに具体的には、グラフト化されたポリマーの量は、元来存在するアリル基の量に逆比例するであろう。これに代えて、結果は、この分野で従来用いられるように、IRを用いて評価できる。かくして、当業者は、本発明の後修飾の定量的又は定性的な結果を決めるために、対照実験を容易に実施し得る。
【0030】
本発明にしたがって特に有利に用いられる物質は、不飽和基の支持体密度が比較的高いものであって、その理由はそのような物質は、その後のクロマトグラフィー用途で有用な誘導体化のために利用できる大多数の部位を与えるからである。
【0031】
本発明の有利な実施形態では、多孔性高分子支持体は、重合に利用可能な反応性二重結合を提供する架橋多糖類である。この文脈において、用語「反応性」は、当該基が本発明にしたがう後修飾のために利用可能であり、そしてそのような二重結合が、ラジカルで開始される重合に関与できるほとんど任意の基による多糖類の修飾により提供できるということを意味する。かくして、この実施形態では、支持体は、アガロース、寒天、セルロース、デキストラン、キトサン、コンニャク、カラゲーニン、ゲラン、アルギン酸エステル等のような、架橋炭水化物物質を含み得る。アガロース及びデキストラン支持体は、例えばSepharose[登録商標](Amersham Biosciences AB(スウェーデン、ウプサラ))のように、市販されている。これに代えて、そのような支持体は、周知の方法を用いて当業者により容易に製造される。周知のように、たとえアガロースのような多糖類は自然にゲル化するであろうとしても、エピクロルヒドリンのような、化学的架橋剤が好ましくは、クロマトグラフィー支持体として用いるために十分に堅固な生成物を与えるために添加される。多糖類支持体の二重結合による修飾、即ち、そのような支持体に上述のような未反応の二重結合を供給すること、はまた、周知の方法したがって、容易に実施される。かくして、例示的な実施形態では、本多糖類は、適当な温度及び反応時間で、アリル官能性エポキシドでの処理によりアリル化されている。そのような一般的に用いられるアリル官能性エポキシドの一例は、アリルグリシジルエーテル(AGE)であるが、当業者には明らかな通り、実質的に任意の試剤を使用できる。同様に、アリル化はこれに代えて、アリル官能性エポキシド類似体のような他のアリル官能性試剤又は臭化アリル、塩化アリル等のようなハロゲン化アリルを用いることにより実施できる。しかしながら、ビニルエポキシドのような任意の官能性エポキシドをこの目的に用いることができる。かくして、二重結合は、後修飾又はクロマトグラフィーにおける支持体の将来的な使用にいかなる負の効果も有しない任意の適当な化合物を介して、多糖類支持体に付加できる。例えば、鎖長、置換基等での対応する変動を持つ、本明細書中で説明されるグラフト用化合物に類似である化合物を、使用し得る。本明細書中で与えられた式に鑑みて、容易に理解されるように、二重結合が後修飾において自由に反応する一方で、支持体表面は、次いで、分子末端の一つを置換するであろう。
【0032】
本発明にしたがう表面修飾は、Sepharose[登録商標]XL媒体[登録商標](Amersham Biosciences AB(スウェーデン、ウプサラ))のような市販のデキストランでコーティングされたクロマトグラフィービーズの製造とは、そのようなデキストランコーティング剤は、その利用可能な表面積を増大させるために、そのアリル化以前にアガロースのヒドロキシ基に結合されているので、異なる。逆に、本発明は、当該ヒドロキシ基を最初にアリル化し、その後に、得られたアリル基への適当なグラフト用化合物のインシツのラジカル重合を実施する。
【0033】
以下の実施例で示されるであろうように、架橋多糖類支持体が表面修飾される、本発明の実施形態は、多大に改善された機械的性質を持つ支持体をもたらす。これは、しばしば94〜96%の範囲にある従来のアガロース粒子の高い多孔度は、より低く有利である機械的性質を伴うことが当分野内でよく認識された問題であるので、本発明の重要な利点である。さらに具体的には、従来の製品の機械的性質は、より高い流速が用いられる方法では、粒子の崩壊の危険性を必然的に伴うであろう。当然、流速が高ければ高いほど、方法は通常さらに経済的であり、それ故に、クロマトグラフィーの手順における増大した流速に耐え得る高度に多孔性のアガロース粒子は、長らく本発明が満足させる必要性であった。本発明をいかなる特定の理論に限定することなしに、表面修飾された支持体で得られる改善された機械的強度が、支持体表面上に存在するけれどもグラフト用化合物の実際の重合には関与しない幾つかのアリル基の、ラジカル機構による、さらなる架橋に因るものであることが推測される。
【0034】
有利な実施形態では、グラフト用化合物は、ヒドロキシル基のような、容易に誘導体化される官能性である基を含む。ヒドロキシルは、例えばグリシドールで誘導体化できる。グリシドールの複数分子が、三フッ化ホウ素エーテラートの付加によりヒドロキシルにポリマー的に付加されて、複数のヒドロキシルを含むポリマー鎖を含む共有結合コーティングを生成し得る。これに代えて、ヒドロキシルは酸化されて、複数のカルボン酸基を生成し得る。もう一つの実施形態では、ヒドロキシルは、エピブロモヒドリンのような、エピハロヒドリンのような化合物と反応させると、共有結合コーティング上で末端ハロゲン化物を製造し、それはアミンと反応して第四級アミンを製造し得る。
【0035】
通常、グラフト用化合物はモノマー化合物を指して、それ故に以下ではモノマーが議論されるであろう。グラフト化反応の間に、添加されたモノマーは、支持体上に存在する未反応の二重結合と直接反応するであろう。しかしながら、同時に幾つかのモノマーが最初互いに反応して、より短いポリマー鎖を形成し、それがひいては当該未反応の二重結合を介して支持体にグラフトされるということが可能である。
【0036】
本方法の一つの有利な態様は、上述のような多孔性高分子多糖類支持体の後修飾の方法であり、1種以上のグラフト化合物は、次の一般式(I)で表される。
【化1】
式中、
R=1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、エーテル、酸素又は最終の支持体の性質に全く無いか又は最少の悪影響を持つ任意の他の適当な基で任意に置換されている、C1−C30アルキル鎖、
R’=H又はCH3
R”=C0−C30アルキル鎖又は酸素、そして
X=On(式中、R”が酸素のnは0であり、R”がアルキル鎖のnは1であることを条件として、nは0〜1である。)。
【0037】
かくして、グラフト用化合物は有利には、1以上の炭素原子によりお互いから任意に分離されている、1個の二重結合及び1個のエーテル官能性を含むことが、見出されている。好ましくは、グラフト用化合物は、炭素鎖が少なくとも2個の炭素より成る、ビニルエーテル、即ち、エチルビニルエーテルである。
【0038】
さらに具体的には、一実施形態では、グラフト用化合物は、式(I)[式中、RはC17アルキル鎖であり、R’はHであり、R”はOであり、XはCH2である]により説明される。かくして、グラフト用化合物はビニルエーテルであり得る。現在、市販されている約150の異なるビニルエーテルがある。ビニルエーテルは、陽イオン条件下で容易に重合すると公知であるが、しかし本発明は、高分子支持体をグラフト化するという目的に対してそのフリーラジカル重合を、初めて開示する。一般的に、それらが簡便に取り扱われるので、約100℃以上の沸点を有する液体形状のビニルエーテルが好ましい。かくして、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソ−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、等のような任意のビニルエーテルが、簡便に用いられる。ビニルエーテルがグラフト用化合物として用いられるときに特に観察される技術的な効果は、それらが細孔中及びビーズ支持体上におけるその後の誘導体化のために利用可能な大多数の部位を提供するに十分に効果的である重合を提供するように思われ、一方では、同時に、得られた重合は細孔を閉塞するには十分に効率的ではない、ということである。この結果は予期されないものであって、本発明によって得られる利点に寄与する。
【0039】
架橋多糖類支持体の場合には、修飾された支持体の表面上に結合基を提供し得る官能性リガンドをまた含む、グラフト用化合物を用いることが特に有利である。かくして、この文脈において、用語「官能性リガンド」は、表面修飾された支持体の表面の性質を変え得るか、又はその上の結合基として機能し得るかのどちらかである任意の基を含むと理解される。具体的な実施形態では、当該リガンドは、イオン性基、親和性基、疎水基、親水基等から成る群から選択される。最も有利な実施形態では、高分子支持体は、架橋アガロースより成る。これは、支持体がクロマトグラフィーで用いられるとき、アガロース自体が標的物質に何らの、又は少なくとも殆どない、相互作用を提供しないので、有利である。かくして、本方法のこの実施形態は、高選択的なクロマトグラフィー支持体として有用である、表面修飾された支持体をもたらすであろう。さらに、イオン性基のような官能基を含むことにより、本発明のこの実施形態にしたがって表面修飾されている支持体は、誘導体化された支持体として直接的に有用である。この故に、望ましいリガンド及び/又は性質を保持する支持体を製造する方法において必要とされる多数の工程は、別の工程がそのようなリガンド及び/又は性質を付加するために必要とされるときと比較すると、減少される。その結果、その費用がまた実質的に減少される。この状況において、そのような官能基は、式(I)で表されるグラフト用化合物上に、又は、二種類以上のグラフト用化合物が用いられる場合には異なるモノマー上にの、どちらかに存在し得ることが理解される。修飾された支持体上で利用可能である官能基の量は、異なるグラフト用化合物間の比率に依存するであろう。
【0040】
本発明の有利な態様は、2種以上の異なる疎水性のグラフト用化合物を用いる、上記で定義したような後修飾の方法を含む、分離媒体に所定の疎水性を提供する方法である。かくして、本方法を用いて、疎水的相互作用クロマトグラフィーのような、望ましい状況での使用のための支持体をデザインすることができる。周知のように、疎水性という用語は水を吸収する傾向が殆ど又は全くない物質をいい、水に対する親和性として知られる親水性の反義語である。したがって、本方法は、異なる疎水性の複数のグラフト用化合物が用いられる方法としても定義される。この文脈において、「所定の」という用語は、後修飾に用いる2種以上のグラフト用化合物の割合が、最終生成物において少なくとも大まかに同一の割合をもたらすと仮定されることを意味する。したがって、疎水性の高い支持体については、疎水性の高いグラフト用化合物の割合を高めて後修飾に用いる。グラフト用化合物の混合物の有利な組成を日常的に確認するためには、第一のグラフト用化合物と第二のグラフト用化合物との95:5、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、10:90及び5:95のような一連の様々な割合、或いは3種以上のグラフト用化合物を用いるときは他の適当な割合のような、一連の様々な割合を試験することができる。したがって、組成は、異なる疎水性のグラフト用化合物の望ましい割合を選択するために、当業者により容易に最適化される。
【0041】
当業者が容易に理解するように、それらの性質が望ましい性質の生成物を提供するに十分な程度で異なる限り、基本的には任意の組み合せのグラフト用化合物を用いることができる。
【0042】
一実施形態では、第一のグラフト用化合物はヒドロキシアルキルビニルエーテルであり、第二のグラフト用化合物はビニルアルキルエーテルである。しかしながら、分岐アルキル鎖及び/又は環構造を含むもののような、他の種類のビニルエーテルが等しく有用であることが理解される。
【0043】
具体的な実施形態では、第一のグラフト用化合物は、式(I)で表され、第二のグラフト用化合物は、より低い又はより高い疎水性の官能性モノマーである。通常は、式(I)で表されるグラフト用化合物は、反応性溶媒として、かつこれ故に過剰に用いられる。
【0044】
多孔性高分子支持体の後修飾の本方法のもう一つの態様においては、グラフト用化合物は、一般式(II)で表される。
【化2】
式中、環は、最終生成物の望ましい性質に全く又は最小限の悪影響しかない任意の適当な置換基を有していてもよい。したがって、この実施形態はまた、式(II)の誘導体、即ち、スチレン誘導体、を包含する。
【0045】
一つの有利な実施形態では、本方法は、クロマトグラフィーにおいて、好ましくは逆相クロマトグラフィー(RPC)において、そのように製造された後修飾されたクロマトグラフィー支持体を用いる工程(d)をさらに含む。
RPCは、例えばペプチド及びより小さなタンパク質の分離と精製のために多用される方法である。本発明者は驚くべきことに、本発明の方法で後修飾した高分子支持体を、RPCに用いると、効率及び選択性に関して大いに改良された結果を提供し得るということを見出している。インスリンとのような、或る場合には、シリカマトリックスを用いる従来のRPCは、ジビニル系マトリックスよりも優れた結果を与えると見出されている。しかしながら、この状況でのシリカの使用は、そのアルカリに対する感受性に因る欠点を含む。シリカ系の物質はその結果、現場洗浄(CIP)が実施される方法での使用に対しては、かかる洗浄に通常水酸化ナトリウムを用いるので、不適当である。したがって、シリカ系マトリックスの寿命は、余り短かすぎて経済的ではない。しかしながら、ジビニル系マトリックスの後修飾は、以下の実施例で示されるように、例えば分解能に関してより優れた結果を与える物質をもたらすと本発明者らによって示されている。したがって、特に有利な実施形態では、本方法を用いて、上述のように後修飾されているマトリックスを用いるRPCにより、インスリンを精製する。本発明にしたがうそのような精製は、例えば、インスリンが組換え的に製造される方法での最終工程であり得て、そして粗い捕捉工程が最初に、例えばイオン交換クロマトグラフィーにより、行われ、上述のようなRPCがそれに引き続かれる。これに代えて、本支持体は、インスリンの精製におけて捕捉−工程で用いられる。当然、本発明は、他の及び類似のたんぱく質についても、例えば、RPCを用いる高純度にまでの最終精製のためにはまた有利である。特に、その後の薬学的用途を有するタンパク質は、それがその産業内で要求されるほどの高レベルの純度に達することを可能にするので、この方式によって特に有利に精製される。本発明にしたがって後修飾した多孔性高分子支持体を用いるRPCが利用できる、もう一つの有利な例は、分析目的のためであり、上述の分取クロマトグラフィーよりも小規模である。
【0046】
本発明はまた、上述の方法を用いて後修飾されている高分子支持体も包含する。そのような支持体は、例えば、粒子、モノリス又は膜であり得て、クロマトグラフィー又はバッチ式の分離において有用である。一つの特に有利なそのような支持体は、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)のための又は疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)のためのマトリックスである。後者の場合には、マトリックスは好ましくは、望ましい疎水性のデザインのために上述の方法にしたがって製造されている。本発明はまた、上記で定義したような後修飾された多孔性高分子支持体のクロマトグラフィーにおける使用を包含する。
【0047】
最後に、本発明はまた、上記で定義したような後修飾された多孔性高分子支持体を含むクロマトグラフィーカラムを包含する。そのようなカラムは、充填カラムであってもよいし、小規模でも工業的使用のための大規模のいずれでもよい。
【0048】
図面の詳細な説明
図1は、アリル基を有するSepharose[登録商標]6 Fast Flow(下)及びポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾したSepharose[登録商標]6 Fast Flow(上)の1H NMRスペクトルである。結果については、実施例1で説明する。
【0049】
図2は圧力/流動曲線であり、本発明にしたがってポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾したSepharose[登録商標]6 Fast Flowが、Sepharose[登録商標]6 Fast Flow及び対応するアリル化Sepharose[登録商標]6 Fast Flowに比べて、機械的性質が向上していることを示す。。従来の支持体を用いると圧力が劇的に増加するのに対して、本発明にしたがって後修飾した支持体を使用すると格段に魅力的な圧力曲線が得られることが明らかである。
【0050】
図3は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による4種類のタンパク質(ミオグロビン、リボヌクレアーゼA、キモトリプシノーゲンA及びα−ラクトアルブミン)の分離を示すクロマトグラムである。ポリヒドロキシブチルビニルエーテルでグラフトしたSepharose[登録商標]6 High Presure及び6 Fast Flowの改善された分解能を、上に示す。
【0051】
図4は、種々のマトリックスでの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による3種類のタンパク質の分離を示すクロマトグラムである。下のクロマトグラムは従来の高分子支持体で得られたものだり、上のものは本発明にしたがって後修飾した多糖類支持体を用いて得られたものである。さらに具体的には、最も下の曲線に用いた分離媒体は、Phenyl Sepharose[登録商標](Amersham Biosciences AB(スウェーデン、ウプサラ))であり、上から下に、本発明にしたがって100%ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、80%HBVEと20%ブチルビニルエーテル(BVE)、60%HBVEと40%BVE、40%HBVEと60%BVE、最後に一番上の20%HBVEと80%BVEで後修飾した支持体を示す。かくして、図の下から上へ向かって、疎水性モノマーの比率が増す。用いたタンパク質は、ミオグロビン、リボヌクレアーゼ、α−キモトリプシン及びα−ラクトアルブミンである。この出願で開示された原理を用いて、そのような後修飾された支持体を製造し、クロマトグラムは、周知のクロマトグラフィー原理で得た。
【0052】
【実施例】
本実施例は、単に例示目的のみのために本明細書中に含まれていて、付随の請求項により定義されるように本発明を限定するものと解釈されるべきではない。以下 及び本明細書中の他の所において含まれる全ての参考文献は、出典明示により本明細書の一部とする。
【0053】
実施例1:ヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾した支持体
2,2’−アゾ−ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65) 1.0gを、ヒドロキシブチルビニルエーテル40.0mL中に溶解した。ラジカル重合に利用できるアリル基を有するSepharose[登録商標]6 Fast Flow 6.00gを、モノマー/開始剤溶液中に浸した。反応混合物を70℃で15時間、機械的撹拌器で穏やかに撹拌した。完全な反応の後、樹脂に共有結合しなかった過剰のモノマー、オリゴマー及びポリマーを、溶媒としてメタノール及び水を用いる洗浄手順により除去した。NMRスペクトル(図1)に示すように、元々5〜6ppmで観測された残存アリル基の殆ど全てが消費されて、それぞれ、1.5及び3.4ppmの共鳴で示されるように、顕著な量のポリヒドロキシブチルビニルエーテルがSepharose[登録商標] Fast Flow 樹脂に導入されている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、アリル基を有する多孔性アガロース支持体(Sepharose[登録商標]6 Fast Flow)(下)及び本発明にしたがってポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾した同じ種類の支持体(上)の1H NMRスペクトルである。
【図2】図2は、圧力/流動(それぞれY軸及びX軸)曲線であり、本発明にしたがってポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾したSepharose[登録商標]6 Fast Flowが、Sepharose[登録商標]6 Fast Flow及び対応するアリル化Sepharose[登録商標]6 Fast Flowに比べて、機械的性質が向上していることを示す。
【図3】図3は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による4種類のタンパク質の分離を示すクロマトグラムである。本発明にしたがってポリヒドロキシブチルビニルエーテルで後修飾したSepharose[登録商標]6 High Pressure及び6 Fast Flowの改善された分解能を、上に示す。
【図4】図4は、種々のマトリックスでの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による3種類のタンパク質の分離を示すクロマトグラムである。下のクロマトグラムは、従来の高分子支持体で得られたものであり、上のクロマトグラムは本発明にしたがって後修飾した多糖類支持体を用いて得たものである。

Claims (14)

  1. 1以上の未反応の二重結合を含む多孔性高分子多糖類支持体の後修飾方法であって、当該方法が、
    (a)多孔性高分子多糖類支持体を、ヒドロキシアルキルビニルエーテルからなる第一のグラフト用化合物とビニルアルキルエーテルからなる第二のグラフト用化合物との2種以上のグラフト用化合物を含む液相と接触させる工程、
    (b)工程(a)で得られた混合物において多孔性高分子多糖類支持体の1以上の二重結合とグラフト用化合物の1以上の反応性基との間でフリーラジカル反応を開始する工程、及び
    (c)任意工程として、多孔性高分子多糖類支持体を洗浄して、過剰のグラフト用化合物を除去する工程
    を含んでおり、第二のグラフト用化合物が次の一般式(I)で表される、方法。
    式中、
    RはC1−C30アルキル鎖であり、
    R’はH又はCH3であり、
    R”は酸素であり、
    XはOnであって、nは0である。
  2. 多孔性高分子多糖類支持体が架橋している、請求項1に記載の方法。
  3. 多孔性高分子多糖類支持体に存在する反応性二重結合が官能性エポキシドによる多孔性高分子多糖類支持体の処理で得られたものである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 多孔性高分子多糖類支持体が1以上の粒子から成る、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(b)が、加えたグラフト用化合物を多孔性高分子多糖類支持体に重合させるに十分な量のフリーラジカル開始剤を添加することにより実施される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 式(I)において、RがC1−C10アルキル鎖であり、R’はHであり、R”はOでありそしてnは整数0である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 式(I)において、RがC17アルキル鎖である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記第一のグラフト用化合物がヒドロキシルブチルビニルエーテルである、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法であって、前記第一のグラフト用化合物のヒドロキシル基の誘導体化の工程をさらに含む方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の方法であって、2種以上のグラフト用化合物が反応性二重結合に加えて1以上の官能基を含み、該官能基が修飾された支持体の表面上のリガンドとして利用可能である、方法。
  11. 分離媒体に所定の疎水性を与える方法であって、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載された後修飾方法を含む方法。
  12. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の方法に従って製造される後修飾された多孔性高分子多糖類支持体。
  13. 請求項12に記載の後修飾された多孔性高分子多糖類支持体の、クロマトグラフィーにおける使用。
  14. 請求項12に記載の後修飾された多孔性高分子多糖類支持体を含むクロマトグラフィーカラム。
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