JP6733166B2 - 分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法、分離材用の多孔質ポリマ粒子、及びカラム - Google Patents

分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法、分離材用の多孔質ポリマ粒子、及びカラム Download PDF

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Description

本発明は、分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法、分離材用の多孔質ポリマ粒子、及びカラムに関する。
従来、タンパク質に代表される生体高分子を分離精製する場合、一般的には多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体、親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とするイオン交換体等が用いられている。多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体の場合、塩濃度による体積変化が小さいため、カラムに充填してクロマトグラフィーで用いると、通液時の耐圧性に優れる傾向にある。しかし、このイオン交換体を、タンパク質等の分離に用いると、疎水的相互作用に基づく不可逆吸着等の非特異吸着が起きるため、ピークの非対称化が発生する、又は該疎水的相互作用でイオン交換体に吸着されたタンパク質が吸着されたまま回収できないという問題点がある。
一方、上記のデキストラン、アガロース等の多糖に代表される親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とするイオン交換体の場合、タンパク質の非特異吸着がほとんどないという利点がある。ところが、このイオン交換体は、水溶液中で著しく膨潤し、溶液のイオン強度による体積変化、及び遊離酸形と負荷形との体積変化が大きく、機械的強度も充分ではないという欠点を有する。特に、架橋ゲルをクロマトグラフィーで使用する場合、通液時の圧力損失が大きく、通液によりゲルが圧密化するといった欠点がある。
親水性天然高分子の架橋ゲルの欠点を克服するため、多孔性高分子の細孔内に天然高分子ゲル等のゲルを保持した複合体が、ペプチド合成の分野で知られている(例えば、特許文献1参照)。このような複合体を用いることにより、反応性物質の負荷係数を高め、高収率の合成が可能となる。また、硬質な合成高分子物質でゲルを包囲するため、カラムベッドの形態で使用しても、容積変化がなく、カラムを通過するフロースルーの圧力が変化しないという利点を有する。
また、セライト等の無機多孔質体にデキストラン、セルロースといった多糖等のキセロゲルを保持させた分離材が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。このゲルには吸着性能を付加するために、ジエチルアミノエチル(DEAE)基等が付与されており、ヘモグロビンの除去に用いられる。このような分離材は、カラムでの通液性が良好である。
また、マクロネットワーク構造のコポリマの細孔を、モノマから合成した架橋共重合体ゲルで埋めた、ハイブリッドコポリマのイオン交換体が知られている(例えば、特許文献4参照)。架橋共重合体ゲルは、架橋度が低い場合、圧力損失、体積変化等の問題があるが、ハイブリッドコポリマにすることで通液特性が改善され、圧力損失が少なく、イオン交換容量が向上し、リーク挙動が改善される。
また、有機合成ポリマ基体の細孔内に巨大網目構造を有する親水性天然高分子の架橋ゲルを充填した複合化充填材が提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6参照)。
また、メタクリル酸グリシジルとアクリル架橋モノマとの共重合により形成される多孔質粒子の合成が知られている(例えば、特許文献7参照)。
米国特許第4965289号明細書 米国特許第4335017号明細書 米国特許第4336161号明細書 米国特許第3966489号明細書 特開平1−254247号公報 米国特許第5114577号明細書 特開2009−244067号公報
しかしながら、従来の分離材は、生体高分子の非特異吸着が多く、吸着量が充分でなく、また、カラムとして用いたときの通液性に劣るという問題がある。
そこで、本発明は、生体高分子の非特異吸着が低減され、吸着量が高く、カラムとして用いたときの通液性に優れる分離材用の多孔質ポリマ粒子及びその製造方法、並びに該多孔質ポリマ粒子を備えるカラムを提供することを目的とする。
本発明は下記[1]〜[11]に記載の分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法及びそれにより得られる分離材用の多孔質ポリマ粒子を提供する。
[1]重合性不飽和基を有するモノマ、重合性不飽和基を有する水溶性高分子及び水性媒体を含む混合液を乳化する工程と、乳化された上記混合液中で上記モノマ及び上記水溶性高分子を共重合することにより多孔質ポリマ粒子を生成させる工程とを含む、分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法。
[2]上記混合液が、油溶性界面活性剤を更に含む、[1]に記載の製造方法。
[3]上記モノマがスチレン系モノマを含む、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]上記モノマが多官能性モノマを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]上記多孔質ポリマ粒子の平均細孔径が0.1〜0.5μmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]上記多孔質ポリマ粒子の粒径の変動係数が5〜15%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]上記水溶性高分子が水酸基を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]上記水溶性高分子が多糖類である、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]上記多糖類がアガロース及び/又はデキストランを含む、[8]に記載の製造方法。
[10]上記多孔質ポリマ粒子が、上記モノマと共重合している上記水溶性高分子を多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜400mg有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]重合性不飽和基を有するモノマと重合性不飽和基を有する水溶性高分子との共重合体を含有する、分離材用の多孔質ポリマ粒子。
[12][11]に記載の分離材用の多孔質ポリマ粒子を備えるカラム。
本発明によれば、タンパク質等の非特異吸着が低減され、吸着量が高く、カラムとして用いたときの通液性に優れる分離材用の多孔質ポリマ粒子及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明の分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法は、重合性不飽和基を有するモノマ、重合性不飽和基を有する水溶性高分子及び水性媒体を含む混合液を乳化する工程と、乳化された上記混合液中で上記モノマ及び上記水溶性高分子を共重合することにより多孔質ポリマ粒子を生成させる工程とを含む。
本実施形態に係る多孔質ポリマ粒子の製造方法により、水溶性高分子が表面にグラフトされた多孔質ポリマ粒子を1段階で合成することができる。なお、本明細書において、多孔質ポリマ粒子の表面とは、多孔質ポリマ粒子の外側の表面のみでなく、多孔質ポリマ粒子の内部における細孔の表面を含むものとする。また、本明細書中(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味し、他の類似の表現においても同様である。上記多孔質ポリマ粒子の重合方法としては、例えば、従来の懸濁重合、シード重合等を用いることができる。
重合性不飽和基を有するモノマは、重合性不飽和基を複数有する多官能性モノマであってよく、重合性不飽和基を1つ有する単官能性モノマであってもよい。耐久性、耐酸、耐アルカリ性の観点より、重合性不飽和基を有するモノマは多官能性モノマを含むことが好ましい。モノマが有する重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基などが挙げられる。重合性不飽和基を有するモノマとしては、例えば以下のような、スチレン又はその誘導体であるスチレン系モノマが挙げられる。
スチレン系の多官能性モノマとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフェナントレン等のジビニル化合物が挙げられる。これらの多官能性モノマは、1種を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。上記のなかでも耐久性、耐酸、アルカリ性の観点より、ジビニルベンゼンを含有することが好ましい。
重合性不飽和基を有するモノマがジビニルベンゼンを含む場合、その量は、重合性不飽和基を有するモノマ全質量に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。重合性不飽和基を有するモノマ全質量に対するジビニルベンゼンの含有量の上限は、100質量%であってもよい。
スチレン系の単官能性モノマとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。上記の中でも耐酸、耐アルカリ性を有するスチレンを使用することが好ましい。また、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、アルデヒド基等の官能基を有するスチレン誘導体も使用することができる。
重合性不飽和基を有する水溶性高分子は、水溶性高分子に重合性不飽和基を導入することにより得ることができる。水溶性高分子が有する重合性不飽和基は、上記モノマにおける重合性不飽和基と同様のものを適用できる。重合性不飽和基はエチレン性不飽和基であることが好ましい。水溶性高分子は、水酸基を有することが好ましい。水酸基を有する水溶性高分子としては、例えば、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリセロール(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルアクリルアミド等が挙げられる。多糖類としては、例えば、アガロース、デキストラン、セルロース、キトサン、これらの誘導体等を用いることができる。多糖類はアガロース又はデキストランであることが好ましい。水溶性高分子は、1種を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。水溶性高分子の平均分子量は、例えば1万〜20万程度であってよい。
重合性不飽和基を有する水溶性高分子の使用量は、モノマ100質量部に対して1〜100質量部であってよく、1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
水溶性高分子に重合性不飽和基を導入する方法としては、分子鎖中の活性水素基を利用して重合性不飽和基を付与することが可能である。活性水素基としては、アルコール性水酸基、カルボキシ基等が挙げられる。また、多糖類の場合には、例えば、還元末端との反応を利用して重合性不飽和基を付与する方法を用いることができる。
水性媒体としては、水溶性高分子を溶解できるものであればよく、水、又は、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。水性媒体は水であることが好ましい。
重合性不飽和基を有するモノマ、重合性不飽和基を有する水溶性高分子及び水性媒体を含む混合液の乳化により、水溶性高分子が溶解されている水性媒体中にモノマの液滴が分散している乳化液が得られる。乳化は、例えば、混合液に界面活性剤を添加して撹拌することにより行うことができる。具体的には、例えば、予め水溶性高分子を水性媒体中に溶解した水溶性高分子含有水性液と、油溶性界面活性剤をモノマに溶解させた油性液とをそれぞれ調製しておき、両者を混合して撹拌することによって乳化液を調製することができる。混合液を乳化して乳化液とすることによって、油溶性界面活性剤が溶解したモノマの液滴中に、水溶性高分子を水性媒体とともに取り込むことができる。水溶性高分子含有水性液中の水溶性高分子の濃度は、5〜100mg/mlとすることが好ましい。撹拌に必要な時間はモノマの種類によっても変わるが、通常、一昼夜撹拌すれば水溶性高分子の濃度がモノマの液滴の内部と外部とで平衡状態となる。
混合液が乳化した状態で、重合性不飽和基を有するモノマ及び重合性不飽和基を有する水溶性高分子を共重合することにより、上記モノマ及び水溶性高分子の共重合体を含む多孔質ポリマ粒子を生成することができる。生成する多孔質ポリマ粒子は、その表面に水溶性高分子鎖を有する。上記水溶性高分子鎖はポリマ中に化学的に固定化されるため、架橋等による固定化を行わなくてもよい。多孔質ポリマ粒子の表面に水溶性高分子を固定化することにより、多孔質ポリマ粒子のタンパク質の非特異吸着を低減することが可能となる上、官能基を導入した際のタンパク質吸着量が天然高分子と同等以上とすることが可能となる。
重合温度は、モノマ及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、25〜110℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
モノマ及び水溶性高分子を重合した後、生成した多孔質ポリマ粒子を水、アルコール等の溶媒で洗浄し、未グラフト分の水溶性高分子を除去することが好ましい。
油溶性界面活性剤は、HLB値が2〜10であることが好ましく、3〜8であることがより好ましく、3〜6であることが更に好ましい。油溶性界面活性剤としては、分岐C16〜C24脂肪酸、鎖状不飽和C16〜C22脂肪酸又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート又はヤシ脂肪酸から誘導されるソルビタンモノエステル;分岐C16〜C24脂肪酸、鎖状不飽和C16〜C22脂肪酸又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のジグリセロールモノエステル、例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート又はヤシ脂肪酸のジグリセロールモノエステル;分岐C16〜C24アルコール(例えば、ゲルベアルコール)、鎖状不飽和C16〜C22アルコール又は鎖状飽和C12〜C14アルコール(例えば、ヤシ脂肪アルコール)のジグリセロールモノ脂肪族エーテルが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
好ましい油溶性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート(例えば、SPAN(登録商標)20、好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるソルビタンモノラウレート)、ソルビタンモノオレエート(例えば、SPAN(登録商標)80、好ましくは純度約40%、より好ましくは約50%、最も好ましくは約70%を超えるソルビタンモノオレエート)、ジグリセロールモノオレエート(例えば、純度約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるジグリセロールモノオレエート)、ジグリセロールモノイソステアレート(例えば、好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるジグリセロールモノイソステアレート)、ジグリセロールモノミリステート(好ましくは純度約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるソルビタンモノミリステート)、ジグリセロールのココイル(例えば、ラウリル、ミリストイル)エーテルが挙げられる。
界面活性剤を使用する場合、界面活性剤の使用量はモノマ100質量部に対して30〜80質量部であることが好ましく、40〜70質量部であることがより好ましく、40〜60質量部であることが更に好ましい。界面活性剤の使用量が5質量部以上であると、水滴の安定性を高め、大きな単一孔が形成しにくくなる。界面活性剤の使用量が80質量部以下であると、重合後に多孔質ポリマ粒子が形状をより保ちやすくなる。界面活性剤の使用量によって、得られる多孔質ポリマ粒子の空隙率、比表面積、細孔径の大きさをコントロールすることができる。
水性媒体には、その他の界面活性剤が含まれていてもよい。その他の界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性イオン系の界面活性剤のうち、いずれも用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、アルケルニルコハク酸塩(ジカリウム塩)、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類等の炭化水素系ノニオン界面活性剤、シリコンのポリエチレンオキサイド付加物類、ポリプロピレンオキサイド付加物類等のポリエーテル変性シリコン系ノニオン界面活性剤、パーフルオロアルキルグリコール類等のフッ素系ノニオン界面活性剤が挙げられる。
両性イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の炭化水素界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
その他の界面活性剤は、1種を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。上記界面活性剤の中でも、モノマの重合時の分散安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましい。
多孔質化助剤として、重合時に相分離を促し、粒子の多孔質化を促進する有機溶媒である、脂肪族又は芳香族の炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類を用いることもできる。多孔質化助剤は、具体的には、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、オクタン、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、メチルエチルケトン、ジブチルエーテル、1−ヘキサノール、2−オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノール等が挙げられる。これらの多孔質化助剤は、1種を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
多孔質化助剤は、モノマ全質量に対して0〜200質量%使用できる。多孔質化助剤の量によって粒子の空孔率をコントロールすることができる。さらに、多孔質化助剤の種類によって、細孔の大きさ及び形状をコントロールすることができる。
重合に際し、必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤を使用する場合、重合開始剤は、モノマ100質量部に対して、0.1〜7.0質量部の範囲で使用することができる。
重合に際し、粒子の分散安定性を向上させるために、乳化液に高分子分散安定剤を添加してもよい。
高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等)、ポリビニルピロリドンが挙げられ、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物も併用することができる。これらのうち、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンが好ましい。高分子分散安定剤を使用する場合、高分子分散安定剤の添加量は、モノマ100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。
モノマが単独に乳化重合することを抑えるために、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤を用いてもよい。
多孔質ポリマ粒子の表面に存在する水溶性高分子は、架橋させてもよい。架橋剤としては、例えば、ジビニルスルホン、エピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物、メチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジル化合物などのような、水酸基に活性な官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。また、水溶性高分子としてキトサンのようなアミノ基を有する化合物を使用する場合には、ジクロルオクタンのようなジハライドも架橋剤として使用できる。
この架橋反応には通常、触媒が用いられる。該触媒は架橋剤の種類に合わせて適宜従来公知のものを用いることができるが、例えば、架橋剤がエピクロルヒドリン等の場合には、水酸化ナトリウム等のアルカリが有効であり、ジアルデヒド化合物の場合には塩酸等の鉱酸が有効である。
架橋剤による架橋反応は、通常、多孔質ポリマ粒子を適当な媒体中に分散、懸濁させた系に架橋剤を添加することによって行われる。架橋反応は、架橋反応条件(例えば温度)を反応が進行する条件に調整し、行うことができる。例えば、該架橋反応条件を温度条件とした場合、反応系の温度を上げ、その温度が反応温度に達すれば架橋反応が生起する。架橋剤の添加量は、水溶性高分子として多糖類を使用した場合には、単糖類の1単位を1モルとすると、それに対して0.1〜100モル倍の範囲内で、目的とする多孔質ポリマ粒子の性能に応じて選定することができる。架橋剤の添加量が過剰で、かつ、水溶性天然高分子との反応率が高い場合、原料の水溶性高分子の特性が損なわれる傾向にある。
触媒を使用する場合、触媒の使用量としては、架橋剤の種類により異なるが、通常、水溶性高分子として多糖類を使用する場合に、多糖類を形成する単糖類の1単位を1モルとすると、これに対して0.01〜10モル倍の範囲、より好ましくは0.1〜5モル倍で使用される。
多孔質ポリマ粒子を分散、懸濁させる媒体としては、架橋剤を抽出してしまうことなく、かつ、架橋反応に不活性なものである必要がある。具体的には水、アルコール等が挙げられる。架橋反応は、通常、5〜90℃の範囲の温度で、1〜10時間かけて行う。好ましくは、30〜90℃の範囲の温度である。
架橋反応終了後、多孔質ポリマ粒子をろ別し、次いで、水、メタノール、エタノール等の親水性有機溶媒で洗浄し、懸濁用媒体等を除去すれば、表面の水溶性高分子が架橋された多孔質ポリマ粒子が得られる。
多孔質ポリマ粒子は、モノマと共重合している水溶性高分子を多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜400mg有することが好ましく、90〜400mg有することがより好ましい。水溶性高分子の量が多孔質ポリマ粒子1g当たり30mg以上であると、タンパク質吸着量がより高まる傾向があり、400mg以下であると、細孔が塞がれにくくなる傾向がある。多孔質ポリマ粒子に含まれる水溶性高分子の量は、熱分解の重量減少、アンスロン法等で測定することができる。
多孔質ポリマ粒子の平均粒径は、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下である。また、多孔質ポリマ粒子の平均粒径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上であり、更に好ましくは50μm以上である。多孔質ポリマ粒子の平均粒径が10μm以上であると、カラム充填後のカラム圧を抑制できる傾向がある。
多孔質ポリマ粒子の粒径の変動係数(C.V.)は、通液性の向上の観点から、5〜15%であることが好ましく、5〜12%であることがより好ましく、5〜10%であることが更に好ましい。粒径のC.V.を低減する方法として、マイクロプロセスサーバー(日立製作所社製)等の乳化装置により単分散化することが挙げられる。
多孔質ポリマ粒子の平均粒径及び粒径のC.V.は、以下の測定法により求めることができる。
1)粒子を、超音波分散装置を使用して水(界面活性剤等の分散剤を含む)に分散させ、1質量%の多孔質ポリマ粒子を含む分散液を調製する。
2)粒度分布計(シスメックスフロー、シスメックス製)を用いて、上記分散液中の粒子約1万個の画像により平均粒径と粒径のC.V.を測定する。
多孔質ポリマ粒子の全体積(細孔容積を含む)に対する細孔容積の割合(空隙率)は、30体積%以上70体積%以下であることが好ましい。多孔質ポリマ粒子は、平均細孔径が0.1μm以上0.5μm未満である細孔、すなわちマクロポアーを有することが好ましい。多孔質ポリマ粒子は、細孔容積の割合が40体積%以上70体積%以下であることがより好ましい。また、多孔質ポリマ粒子は、平均細孔径が0.2μm以上0.5μm未満であることがより好ましい。平均細孔径が0.1μm以上であると、細孔内に物質が入りやすくなる傾向にあり、平均細孔径が0.5μm未満であると、比表面積が充分なものとなる。これらは上述の油溶性界面活性剤のモノマに対する配合量により調整可能である。
多孔質ポリマ粒子の比表面積は30m/g以上であることが好ましい。より高い実用性の観点から、比表面積は35m/g以上であることがより好ましく、40m/g以上であることが更に好ましい。比表面積が30m/g以上であると、分離する物質の吸着量が大きくなる傾向がある。
多孔質ポリマ粒子の平均細孔径は、0.1〜0.5μmであることが好ましく、0.1〜0.3μmであることがより好ましい。平均細孔径がこの範囲にあると、多孔質ポリマ粒子中に液が流れやすくなり、動的吸着量を多くすることができる。
多孔質ポリマ粒子の平均細孔径、比表面積及び空隙率は、水銀圧入測定装置(オートポア:島津製作所)を用いて、例えば以下のようにして測定することができる。試料約0.05gを、標準5mL粉体用セル(ステム容積0.4mL)にとり、初期圧21kPa(約3psia、細孔直径約60μm相当)の条件で測定する。水銀パラメータは、装置デフォルトの水銀接触角130degrees、水銀表面張力485dynes/cmに設定する。また、細孔径0〜5μmの範囲に限定してそれぞれの値を算出する。
本明細書における通液速度とは、φ7.8×300mmのステンレスカラムに多孔質ポリマ粒子を充填し、液を通した際の通液速度を表す。多孔質ポリマ粒子は、カラムに充填した場合、カラム圧0.3MPaのときに800cm/h以上であることが好ましい。カラムクロマトグラフィーでタンパク質等を分離する場合、カラムに通液されるタンパク質溶液等の通液速度は、一般に400cm/h以下の範囲である。一方、本実施形態の製造方法により得られる多孔質ポリマ粒子を使用した場合は、従来のタンパク質分離用の多孔質ポリマ粒子よりも速い速度の800cm/h以上の通液速度で使用しても高吸着量を維持できる。
多孔質ポリマ粒子は、イオン交換基、リガンド(プロテインA)等を表面上の水酸基を介して導入することにより、イオン交換精製、アフィニティ精製等に使用することができる。イオン交換基を導入する方法として、例えば、ハロゲン化アルキル化合物を用いる方法が挙げられる。
ハロゲン化アルキル化合物としては、モノハロゲノカルボン酸及びそのナトリウム塩、ハロゲン化アルキル基を少なくとも1つ有する1級、2級又は3級アミン及びその塩酸塩、ハロゲン化アルキル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩等が挙げられる。モノハロゲノカルボン酸としては、例えば、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基を少なくとも1つ有する3級アミンとしては、例えば、ジエチルアミノエチルクロライド等が挙げられる。これらのハロゲン化アルキル化合物は、臭化物又は塩化物であることが好ましい。ハロゲン化アルキル化合物の使用量としては、イオン交換基を付与する多孔質ポリマ粒子の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。
イオン交換基の導入には、反応を促進するために、有機溶媒を用いるのが有効である。有機溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール等のアルコール類が挙げられる。
通常、イオン交換基の導入は、多孔質ポリマ粒子表面の水酸基に行われるので、湿潤状態の粒子を、ろ過等により水切りした後、所定濃度のアルカリ性水溶液に浸漬し、一定時間放置した後、水−有機溶媒混合系で、上記ハロゲン化アルキル化合物を添加して反応させる。この反応は温度40〜90℃で、還流下、0.5〜12時間行うことが好ましい。上記の反応で使用されるハロゲン化アルキル化合物の種類により、付与されたイオン交換基が決定される。
イオン交換基として、弱塩基性基であるアミノ基を導入する方法としては、上記ハロゲン化アルキル化合物のうち、アルキル基のうちの少なくとも1つがハロゲン化アルキル基で置換されている、モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン、モノ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、ジ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−ジ−アルカノールアミン等を反応させる方法、又はアルカノール基のうちの少なくとも1つがハロゲン化アルカノール基で置換されている、モノ−、ジ−又はトリ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、ジ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−ジ−アルカノールアミンを反応させる方法等が挙げられる。これらのハロゲン化アルキル化合物の使用量としては、多孔質ポリマ粒子の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。反応条件としては、40〜90℃で、0.5〜12時間であることが好ましい。
イオン交換基として、強塩基性基の4級アンモニウム基を導入する方法としては、まず3級アミノ基を導入し、該3級アミノ基にエピクロルヒドリン等のハロゲン化アルキル基含有化合物を反応させ、4級アンモニウム基に変換させる方法が挙げられる。また、4級アンモニウムクロライド等の4級アンモニウムハロゲナイドなどを多孔質ポリマ粒子に反応させてもよい。
イオン交換基として、弱酸性基であるカルボキシ基を導入する方法としては、上記ハロゲン化アルキル化合物として、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等のモノハロゲノカルボン酸又はそのナトリウム塩を反応させる方法が挙げられる。これらハロゲン化アルキル化合物の使用量は、イオン交換基を導入する多孔質ポリマ粒子の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。
イオン交換基として、強酸性基であるスルホン酸基の導入方法としては、多孔質ポリマ粒子に対してエピクロロヒドリン等のグリシジル化合物を反応させ、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩の飽和水溶液に多孔質ポリマ粒子を添加する方法が挙げられる。反応条件は、30〜90℃で1〜10時間であることが好ましい。
一方、イオン交換基の導入方法として、アルカリ性雰囲気下で、多孔質ポリマ粒子に1,3−プロパンスルトンを反応させる方法も挙げられる。1.3−プロパンスルトンは、多孔質ポリマ全質量に対して0.4%以上使用することが好ましい。反応条件は、0〜90℃で0.5〜12時間であることが好ましい。
本実施形態の製造方法により得られる多孔質ポリマ粒子は、タンパク質の静電的相互作用による分離、アフィニティ精製に用いるのに好適であるため、分離材として用いることができる。例えば、タンパク質を含む混合溶液の中にイオン交換基を導入した多孔質ポリマ粒子を添加し、静電的相互作用によりタンパク質だけを多孔質ポリマ粒子に吸着させた後、該多孔質ポリマ粒子を溶液からろ別し、塩濃度の高い水溶液中に添加すれば、多孔質ポリマ粒子に吸着しているタンパク質を容易に脱離、回収できる。また、多孔質ポリマ粒子は、カラムクロマトグラフィーにおいて使用することも可能である。
多孔質ポリマ粒子を用いて分離できる生体高分子としては、水溶性物質が好ましい。具体的には、血清アルブミン、免疫グロブリン等の血液タンパク質などのタンパク質、生体中に存在する酵素、バイオテクノロジーにより生産されるタンパク質生理活性物質、DNA、生理活性を有するペプチドなどの生体高分子であり、好ましくは分子量が200万以下、より好ましくは50万以下のものである。また、公知の方法に従い、タンパク質の等電点、イオン化状態等によって、多孔質ポリマ粒子の性質、条件等を選ぶ必要がある。公知の方法として、例えば、特開昭60−169427号公報等に記載の方法が挙げられる。
本実施形態の製造方法により得られる多孔質ポリマ粒子は、多孔質ポリマ粒子の表面に、イオン交換基、プロテインA等を導入することにより、タンパク質等の生体高分子の分離において、天然高分子からなる粒子又はポリマからなる粒子の持つそれぞれの利点を有する。特に上記多孔質ポリマ粒子は、上述の方法で作られるものであるため、耐久性及び耐アルカリ性を有する。また、上記多孔質ポリマ粒子は、表面に水溶性高分子鎖を有するため、非特異吸着を低減し、タンパク質の脱吸着が起こりやすい傾向にある。さらに、上記多孔質ポリマ粒子は、同一流速下でのタンパク質等の吸着容量(動的吸着容量)が大きい傾向にある。
多孔質ポリマ粒子にイオン交換基を導入したイオン交換体の平均粒径は、通常10〜300μmであることが好ましい。分取用又は工業用のクロマトグラフィーでの使用には、カラム内圧の極端な増加を避けるために、特に50〜100μmのものが好ましい。
本実施形態の製造方法により得られる多孔質ポリマ粒子は、カラムクロマトグラフィーで使用した場合、使用する溶出液の性質に依らず、カラム内での体積変化がほとんどないという、操作性における優れた効果を発揮する。
なお、本実施形態では、イオン交換基を導入する形態の多孔質ポリマ粒子について説明したが、イオン交換基を導入しなくても分離材用の多孔質ポリマ粒子として用いることができる。このような分離材用多孔質ポリマ粒子は、カラムに用いることができ、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーに利用することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(重合性不飽和基を有する水溶性高分子1の合成)
デキストラン5g(Mw4万)をジメチルスルホキシド(DMSO)50mLに溶解させた後、4−アミノスチレンを0.2g、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム20mgを添加し、60℃で7日間攪拌した。一日おきにシアノ水素化ホウ素ナトリウムを20mgずつ添加し続け、デキストランにエチレン性不飽和基を導入した。エチレン性不飽和基が導入されたデキストランをメタノール中で沈殿させ、水溶性高分子1として回収した。
(重合性不飽和基を有する水溶性高分子2の合成)
アガロース水溶液(2質量%)100mLに水酸化ナトリウム4g、及びメタクリル酸グリシジル0.4gを加えて70℃で12時間反応させ、アガロースにエチレン性不飽和基を導入した。エチレン性不飽和基が導入されたアガロースをイソプロピルアルコール中で沈殿させ、水溶性高分子2として回収した。
(重合性不飽和基を有する水溶性高分子3の合成)
2−シアノ−2−プロピルジチオベンゾエート0.4g、ヒドロキシエチルメタクリレート78.1g、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.38g、及びエタノール140mLを混合し、70℃で5時間重合を行った後、水素化ホウ素ナトリウム(0.2g)を5gの水に溶解したものを添加し、3時間攪拌を続けた。得られたポリマ(ポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA))をジクロロメタン中で沈殿させた後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量を測定した結果、Mw9.2万であった。得られたポリマ5g、及び2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート3gをジメチルホルムアミド(DMF)100g中に混合し、60℃で10時間攪拌し、ポリマにエチレン性不飽和基を付与した。得られたポリマを再度ジクロロメタン中で沈殿させ、水溶性高分子3として回収した。
(重合性不飽和基を有する水溶性高分子4の合成)
2−シアノ−2−プロピルジチオベンゾエート0.4g、グリセリンモノメタクリレート78.1g、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.38g、及びエタノール140mLを混合し、70℃で5時間重合を行った後、水素化ホウ素ナトリウム(0.2g)を5gの水に溶解したものを添加し、3時間攪拌を続けた。得られたポリマ(ポリグリセロールメタクリレート(PGMA))をジクロロメタン中で再沈殿させた後、GPCにより分子量を測定した結果、Mw7.5万であった。得られたポリマ5g、及び2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート3gをDMF100g中に混合し、60℃で10時間攪拌し、ポリマにエチレン性不飽和基を付与した。得られたポリマを再度ジクロロメタン中で沈殿させ、水溶性高分子4として回収した。
(実施例1)
(多孔質ポリマ粒子1の合成)
500mLの三口フラスコに、純度96%のジビニルベンゼン(新日鉄住金化学社製、DVB960)16g、スパン80(油溶性界面活性剤、HLB値4.3)4.8g、及び過酸化ベンゾイル0.64gを混合したモノマ溶液と、エチレン性不飽和基を有する水溶性高分子1(1質量%)及びメチルセルロース(0.05質量%)を含有する水溶液とを投入し、混合液を調製した。マイクロプロセスサーバーを使用して混合液を乳化し、モノマ濃度25体積%の乳化液400mlを得た。得られた乳化液をフラスコに移し、80℃のウォーターバスで加熱しながら、攪拌機を用いて約8時間撹拌をした。生成した粒子をろ過後、アセトンで洗浄し、多孔質ポリマ粒子1を得た。得られた多孔質ポリマ粒子の平均粒径(体積基準)をフロー型粒径測定装置(レーザー回折粒度分布計、FPIA−3000、シスメックス社製)で測定し、平均粒径及び粒径のC.V.値を算出した(表1)。また、多孔質ポリマ粒子を乾燥後、熱重量分析により、多孔質ポリマ粒子中の水溶性高分子量を測定した。結果を表2に示す。
(タンパク質の非特異吸着能評価)
多孔質ポリマ粒子をBSA(Bovine Serum Alubumin)濃度20mg/mLのリン酸緩衝液(pH7.4)に50mLに0.5g投入し、24時間室温で攪拌した。その後、遠心分離で上澄みをとった。分光光度計で上澄みの280nmの吸光度を測定することによって求めた上澄み中のBSA濃度から、多孔質ポリマ粒子に吸着したBSA量(mg/mL粒子)を算出した。5mg/mL粒子未満を○、5mg/mL粒子以上を×として非特異吸着を評価した。結果を表2に示す。
<イオン交換基の導入>
多孔質ポリマ粒子分散液から遠心分離により水を除去し、多孔質ポリマ粒子20gを、ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩を所定量溶解させた水溶液100mLに分散させ、70℃で10分攪拌した。その後、70℃に加温した5M NaOH水溶液100mLを添加し、1時間反応させた。反応終了後、生成物をろ取し、水/エタノール(体積比8/2)で2回洗浄し、ジエチルアミノエチル(DEAE)基をイオン交換基として有する(DEAE変性)多孔質ポリマ粒子を得た(実施例1)。以降の、平均細孔径、比表面積、空隙率、通液性、動的吸着量の評価には、DEAE変性多孔質ポリマ粒子を用いた。
(平均細孔径、比表面積、空隙率)
多孔質ポリマ粒子の平均細孔径、比表面積、ポロシティ(空隙率)を水銀圧入測定装置(オートポア:島津製作所)にて測定した。試料は、多孔質ポリマ粒子のそのまま約0.05gを、標準5cc粉体用セル(ステム容積0.4cc)にとり、初期圧21kPa(約3psia、細孔直径約60μm相当)の条件で測定した。水銀パラメータは、装置デフォルトの水銀接触角130degrees、水銀表面張力485dynes/cmに設定した。また、細孔径0〜5μmの範囲に限定してそれぞれの値を算出した。
多孔質ポリマ粒子をφ7.8×300mmのステンレスカラムに濃度30質量%スラリー(溶媒:メタノール)として15分間かけて充填し、以下の評価に用いた。
(通液性評価)
多孔質ポリマ粒子を充填したカラムに流速を変えながら水を流し、流速とカラム圧との関係を調べ、カラム圧が0.3MPaの時の線流速(通液速度)を測定した。1000cm/h以下を×、1000cm/h以上1500cm/h以下を△、1500cm/h以上を○として評価した。結果を表2に示す。
(動的吸着量評価)
多孔質ポリマ粒子を充填したカラムに、20mmol/L Tris−塩酸緩衝液(pH8.0)を10カラム容量流した。その後、BSA濃度2mg/mLの20mmol/LのTris−塩酸緩衝液を流し、UV吸光度測定によりカラム出口での溶出液中のBSA濃度を測定した。カラム入口と出口のBSA濃度が一致するまで緩衝液を流した。その後、5カラム容量分の1M NaCl Tris−塩酸緩衝液で希釈した。10%break throughにおける動的結合容量を以下の式を用いて算出した。結果を表2に示す。
10=cF(t10−t)/V
10:10%breakthroughにおける動的結合容量(mg/mL wet resin)
cf:注入液のBSA濃度(mg/mL)
F:流速(mL/min)
:ベッド体積(mL)
10:10%breakthroughにおける時間(min)
:BSA注入開始時間(min)
(実施例2)
油溶性界面活性剤としてスパン80の使用量を6.4gに変更した以外は実施例1と同様にして多孔質ポリマ粒子2を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(実施例3)
油溶性界面活性剤としてスパン80の使用量を8gに変更した以外は実施例1と同様にして多孔質ポリマ粒子3を合成し、実施例1と同様にして評価した。
参考例1
油溶性界面活性剤としてスパン80の使用量を9.6gに変更した以外は実施例1と同様にして多孔質ポリマ粒子4を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(実施例5)
水溶性高分子1の代わりに水溶性高分子2を使用した以外は実施例2と同様にして多孔質ポリマ粒子5を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(実施例6)
水溶性高分子1の代わりに水溶性高分子3を使用した以外は実施例2と同様にして多孔質ポリマ粒子6を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(実施例7)
水溶性高分子1の代わりに水溶性高分子4を使用した以外は実施例2と同様にして多孔質ポリマ粒子7を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例1)
水溶性高分子1を使用しなかった以外は実施例2と同様にして多孔質ポリマ粒子8を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例2)
水溶性高分子1の代わりに、エチレン性不飽和基を有さないデキストラン(Mw4万)を使用した以外は実施例2と同様にして多孔質ポリマ粒子9を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例3)
水溶性高分子1の代わりに、エチレン性不飽和基を有さないポリビニルアルコール(PVA、ゴーセノールGH−17)を使用した以外は実施例2と同様にして多孔質ポリマ粒子10を合成し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例4)
市販のアガロース粒子(Capto DEAE:GEヘルスケア社製)を多孔質ポリマ粒子11として使用し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例5)
スパン80を追加して使用し、マイクロプロセスサーバーを使用しなかった以外は特開平1−254247号公報に記載の実施例1と同様にして、以下のように多孔質ポリマ粒子12を作製した。モノマとして2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート11.2g、エチレングリコールジメタクリレート4.8gを用い、スパン80を5g用いて多孔質ポリマ粒子核を合成した。洗浄後の多孔質ポリマ粒子核の4gにデキストラン(分子量15万)1g、水酸化ナトリウム0.6g及び水素化ホウ素ナトリウム0.15gを蒸留水に溶解させた溶液6gを加えて、多孔質ポリマ粒子核の細孔内に含浸させた。得られたデキストラン溶液含浸重合体を、1質量%エチルセルローストルエン溶液1Lに加えて撹拌し、分散、懸濁させた。得られた懸濁液中に、エピクロルヒドリン5mLを加えて50℃に昇温し、この温度で6時間撹拌して、重合体の細孔内に含浸されているデキストランを架橋反応させた。反応終了後、懸濁液をろ過して生成ゲル状物を液と分離し、トルエン、エタノール、蒸留水で順次洗浄し、多孔質ポリマ粒子を得た。得られた多孔質ポリマ粒子12について、実施例1と同様にして評価した。
Figure 0006733166
Figure 0006733166

表2の結果からも分かるとおり、重合性不飽和基を有する水溶性高分子を、重合性不飽和基を有するモノマと共重合することにより動的吸着量を大幅に向上することができ、非特異吸着もほとんど無く、0.3MPa時の線流速が良好な多孔質ポリマ粒子を合成することができた。重合性不飽和基を有さない水溶性高分子を使用した場合は、水溶性高分子がモノマと共重合されず、非特異吸着が発生しやすくなった。

Claims (9)

  1. 重合性不飽和基を有するモノマ、重合性不飽和基及び水酸基を有する水溶性高分子、水性媒体及び油溶性界面活性剤を含む混合液を乳化する工程と、
    乳化された前記混合液中で前記モノマ及び前記水溶性高分子を共重合することにより多孔質ポリマ粒子を生成させる工程とを含み、
    前記混合液中の前記油溶性界面活性剤の量が、前記モノマ100質量部に対して30〜50質量部であり、前記油溶性界面活性剤のHLBが3〜8であり、前記水溶性高分子が、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリセロール(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法。
  2. 前記モノマがスチレン系モノマを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記モノマが多官能性モノマを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記多孔質ポリマ粒子の平均細孔径が0.1〜0.5μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記多孔質ポリマ粒子の粒径の変動係数が5〜15%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記水溶性高分子が多糖類である、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記多糖類がアガロース及び/又はデキストランを含む、請求項に記載の製造方法。
  8. 前記多孔質ポリマ粒子が、前記モノマと共重合している前記水溶性高分子を多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜400mg有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法により分離材用の多孔質ポリマ粒子を得る工程と、該多孔質ポリマ粒子をカラムに充填する工程とを含む、分離材用の多孔質ポリマ粒子を備えるカラムの製造方法。
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