JPH06265533A - 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法 - Google Patents

液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法

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JPH06265533A
JPH06265533A JP5052278A JP5227893A JPH06265533A JP H06265533 A JPH06265533 A JP H06265533A JP 5052278 A JP5052278 A JP 5052278A JP 5227893 A JP5227893 A JP 5227893A JP H06265533 A JPH06265533 A JP H06265533A
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hydrophilic
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monomer
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秀明 木庭
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 各種液体クロマトグラフィー用充填剤に適し
た多孔性有機重合体粒子の製造工程での粒子の凝集や融
着が無い優れた方法を提供する。 【構成】 有機重合体粒子に、親水性ビニル単量体およ
び/または親水基を生成し得る官能基を有するビニル単
量体を30〜90重量%と架橋性ポリビニル単量体を1
0〜70重量%含むビニル単量体混合物、ラジカル重合
開始剤並びに多孔質化溶媒を含浸後、該粒子を水性媒体
に懸濁し、該懸濁液を重合温度に昇温後、重合反応の継
続中に親水性ビニル単量体および/または親水基を生成
し得る官能基を有するビニル単量体を該懸濁液に添加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体クロマトグラフィ
ー用充填剤の製造方法に関し、特に、ゲル浸透クロマト
グラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等の各種ク
ロマトグラフィーに適した充填剤基材として高度に親水
化された多孔質有機重合体粒子の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】液体クロマトグラフィーは、各種物質の
分離、分析に極めて有効な手段である。その液体クロマ
トグラフィー用充填剤は、その用途に応じて種々のもの
が提案されてきた。例えば、タンパク質等の分離にはデ
キストランゲル、アガロースゲル等の天然多糖類系の架
橋ゲルがある。
【0003】一方、高速分析用充填剤として、多孔性シ
リカゲルのシラン処理により得られる無機系充填剤があ
る。これら天然多糖類系の架橋ゲルは軟質であり、充填
剤として液体クロマトグラフィーに使用した場合耐圧性
が劣るため、高速通液が不可能である。また、多孔質シ
リカゲル等の無機系担体は酸、およびアルカリで溶解す
るため、これを使用した無機径充填剤は使用する溶離液
のpHが3〜8に限定されるという問題点がある。
【0004】これらの天然多糖類系の架橋ゲル及び無機
系充填剤の問題点を改善した充填剤として、有機重合体
粒子からなる充填剤がある。中でも、特にタンパク質分
離等の液体クロマトグラフィーを高速かつ、タンパク質
の非特異的吸着なく実施することを目的とした充填剤が
提案されている(特開平3−73848号公報、特開平
3−179258号公報、特開平3−179259号公
報)。これらは、重合開始剤を含浸させた疎水性重合体
粒子を分散させた分散液に、例えば加水分解により水酸
基を生成し得る官能基を有する単量体を添加して溶解
し、粒子表面で該単量体を重合したのち、加水分解して
粒子表面に水酸基を有する被覆重合体粒子を得る方法に
関するものである。
【0005】一方、特開平4−317740号公報に
は、分散重合で得られた重合体粒子を種粒子とし、主と
して加水分解により水酸基を生成し得る官能基を有する
単量体であるグリシジルメタクリレートを含浸させ重合
させるシード重合により得られた液体クロマトグラフィ
ー用充填剤が記載されている。疎水性重合体粒子の表面
部分が、水酸基を有する重合体で被覆された液体クロマ
トグラフィー用充填剤は、骨格が疎水性であるために、
水性溶離液中での膨潤収縮が少なく、高速処理性に優れ
ているが、細孔を含む粒子表面部分を完全に親水化する
ことが困難であり、タンパク質回収率が不十分である問
題点や、分析試料に混在する低分子の疎水性物質による
汚染の問題がある。また、その製造方法は、粒子を分散
させた分散液に、単量体を添加して溶解させ重合させる
方法であり、単量体が水溶性でない場合は、溶解させる
ために、メタノール等の有機溶媒を多量に添加するため
に、単量体の分散液中濃度が非常に低く重合反応が進行
しにくく、また再現性も低い。更に、疎水性重合体粒子
の調製に引き続いて単量体を反応させる方法(連続法)
についても、同様の問題があり、また、有機溶媒添加に
よる未反応疎水性単量体の溶出や、粒子表面のみならず
分散液中で重合が進行するために、分散液中で生成した
重合体が粒子の凝集や融着を引き起こす問題点がある。
【0006】また、分散重合で得られた重合体粒子を種
粒子とし、主として加水分解により水酸基を生成し得る
官能基を有する単量体であるグリシジルメタクリレート
を含浸させ重合させるシード重合により得られた液体ク
ロマトグラフィー用充填剤は、粒子径の均一性が高く、
優れた分離特性が得られるが、親水性が未だ低く、十分
なタンパク質の回収率が得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この問題点
を解決した分離剤を提供することを目的とし、同時に該
分離剤を従来に無く簡便に製造できる方法を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、有機重
合体粒子に、親水性ビニル単量体および/または親水基
を生成し得る官能基を有するビニル単量体を30〜90
重量%と架橋性ポリビニル単量体を10〜70重量%含
むビニル単量体混合物、ラジカル重合開始剤並びに多孔
質化溶媒を含浸後、該粒子を水性媒体に懸濁し、該懸濁
液を重合温度に昇温後、重合反応の継続中に親水性ビニ
ル単量体および/または親水基を生成し得る官能基を有
するビニル単量体を該懸濁液に添加することを特徴とす
る液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法に関する
ものである。
【0009】本発明の分離用樹脂の製造方法は、粒子径
分布が狭い種粒子を用いるシード重合法により製造する
ものである。該シード重合で用いられる有機重合体粒子
(種粒子)は乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重
合、懸濁重合等の一般に良く知られた造球重合により製
造できる。中でも、乳化重合、ソープフリー乳化重合、
分散重合等で得られる重合体粒子は懸濁重合により製造
されたものに比較しその粒子径分布が狭く好ましい。特
に、分散重合で得られた重合体粒子は、乳化重合で得ら
れた粒子よりも粒子径が大きく、シード重合に用いる重
合体粒子として好ましい。
【0010】種粒子の組成としては、芳香族モノビニル
単量体および/または脂肪族モノビニル単量体からなる
重合体が好適である。これらは単独重合体もしくは2種
以上の単量体の共重合体の何れでも良く、1重量%以下
の架橋性ポリビニル単量体との共重合体であっても良
い。代表的には、ポリスチレンもしくはポリグリシジル
メタクリレート等のポリメタクリル酸エステルからなる
粒子が好ましい。種粒子の大きさは0.1〜100μm
の範囲で、目的に応じ任意に選ぶことができる。
【0011】本発明において、有機重合体粒子からなる
種粒子に親水性ビニル単量体および/または親水基を生
成し得る官能基を有するビニル単量体および架橋性ポリ
ビニル単量体を含むビニル単量体混合物を含浸させる。
この場合、親水性ビニル単量体および/または親水基を
生成し得る官能基を有するビニル単量体はモノビニル単
量体を示す。
【0012】この親水性ビニル単量体としては、(メ
タ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カ
ルボン酸類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等
のヒドロキシル基、アミノ基等の親水性基を有する(メ
タ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプ
ロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導
体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の
ビニルエーテル類;アリルアルコール、ビニルピロリド
ン等が挙げられるが、親水性ビニル単量体であれば特に
限定されない。これらの親水性ビニル単量体は単独でも
二種類以上の混合でも用いることが出来る。
【0013】また、親水基を生成し得る官能基を有する
ビニル単量体としては、メチルアクリレート、エチルア
クリレート等のアクリル酸アルキルエステル、3−クロ
ロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−クロロエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
N−ブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリ
ルアミド誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の
ビニルエステル類;アリルアルコールのエステルまたは
エーテル類;(メタ)アクリロニトリル等、その他のビ
ニル化合物;等が挙げられ、これらのビニル単量体は単
独でも二種類以上の混合においても用いることが出来る
が、その中でも加水分解により水酸基を生成し得る官能
基を有するビニル単量体が好ましい。
【0014】これら親水性ビニル単量体および/または
親水基を生成し得る官能基を有するビニル単量体の使用
量としては30〜90重量%の範囲である。また、架橋
性ポリビニル単量体としては、芳香族ポリビニル単量
体、脂肪族ポリビニル単量体が好適であり、芳香族ポリ
ビニル単量体としては、ジビニルベンゼンが、また、脂
肪族ポリビニル単量体としては多価アルコールのポリ
(メタ)アクリレートやアルキレンポリ(メタ)アクリ
ルアミドが好ましい。その一例として、グリセロールト
リ(メタ)アクリレート、アリルアシレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒド
ロキシブタンジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロ
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メチレンビ
スアクリルアミド等が挙げられるが、グリセロールジ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート等の親水性架橋性ポリビニル単量体を使用してもよ
い。これらビニル単量体の量は使用する種粒子の大きさ
と目的とする粒子の大きさを考慮して適宜決定される。
【0015】種粒子に含浸させるビニル単量体混合物中
の架橋性ポリビニル単量体の量は10〜70重量%であ
り、好ましくは20重量%から50重量%である。種粒
子に含浸させる多孔質化溶媒としては、シード重合時に
相分離剤として作用し、粒子の多孔質化を促進する有機
溶媒である脂肪族あるいは芳香族炭化水素類、エステル
類、ケトン類、アルコール類、エーテル類が挙げられ
る。このような有機溶媒としては、例えばトルエン、キ
シレン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、酢
酸ブチル、フタル酸ジメチル、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、ジブチルエーテル、1−ヘキサ
ノール、2−オクタノール、デカノール、ラウリルアル
コール、シクロヘキサノール等が挙げられ、これらは単
独もしくは混合して使用する。
【0016】ラジカル重合開始剤としては過酸化ベンゾ
イル、ブチルパーオキシヘキサノエート等の過酸化物系
開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバ
レロニトリル等のアゾ系開始剤が好ましい。これら重合
開始剤は、ビニル単量体混合物或いは多孔質化溶媒に溶
解し、ビニル単量体混合物の含浸と同時に、またはその
前後で種粒子に含浸される。
【0017】また、ビニル単量体混合物、多孔質化溶
媒、ラジカル重合開始剤等を種粒子に含浸させる際に、
場合により種粒子に対して親和性が高い溶媒で希釈し含
浸させることも好ましく、必要に応じて重合開始剤をこ
の溶媒に溶解し添加することもできる。このような溶媒
としては、アルコール、アセトン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等の水混和性低沸点溶媒やジクロロエタ
ン、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ
る。これらはビニル単量体混合物等の含浸を促進する溶
媒として機能するが、重合温度に昇温してシード重合を
開始する前に減圧留去することが好ましい。
【0018】本発明では有機重合体粒子からなる種粒子
に親水性ビニル単量体および/または親水基を生成し得
る官能基を有するビニル単量体および架橋性ポリビニル
単量体を含むビニル単量体混合物、ラジカル重合開始剤
並びに多孔質化溶媒を含浸後、該粒子を水性媒体に懸濁
し、該懸濁液を重合温度に昇温することによって行う所
謂シード重合を利用するものである。
【0019】また、ビニル単量体、多孔質化溶媒、重合
開始剤等が含浸され肥大化した種粒子が、シード重合中
に凝集、変形、融着することを防止し、その分散安定性
を増す為に、該粒子を懸濁分散させている水性媒体中に
分散安定剤を添加する。該分散安定剤としては公知のア
ニオン系、ノニオン系の界面活性剤、およびポリビニル
ピロリドン、ポリエチレンイミン、ビニルアルコール−
酢酸ビニルコポリマー等の合成高分子が好適であり、特
にビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーが好まし
い。中でも、その重合度が500前後である比較的低分
子量のビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーが特に
好ましい。
【0020】本発明において、シード重合開始後、重合
反応継続中に添加される親水性ビニル単量体および親水
基を生成し得る官能基を有するビニル単量体としては、
前記種粒子に含浸されるビニル単量体と同じものが挙げ
られる。また、親水性基を生成し得る官能基を有するビ
ニル単量体としては、アミノ基、4級アンモニウム基、
カルボキシル基、スルホン酸基等のイオン性親水性基を
導入できる官能基を有するビニル単量体も好ましい。更
に親水基を生成し得る官能基を有するビニル単量体は懸
濁液の水性媒体と完全に混和しなくても良い。特に、該
ビニル単量体が水性媒体よりも多孔質化溶媒の方に分配
し易い場合は、細孔形成部分に添加した該ビニル単量体
が濃縮され、細孔表面が効率よく修飾されるため好まし
い。
【0021】また、上記親水性ビニル単量体と親水基を
生成し得る官能基を有するビニル単量体の両者を添加す
ることは、シード重合粒子の外表面と粒子内細孔表面の
両者が同時に修飾されるため好ましい。また、添加され
る親水性ビニル単量体および/又は親水基を生成し得る
官能基を有するビニル単量体の一部にグリセロールジ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート等の親水性であり、かつ架橋性のポリビニル単量体
を使用することも可能である。該架橋性ポリビニル単量
体の使用量は、水性媒体に添加するビニル単量体の10
重量%以下であることが好ましい。
【0022】添加される親水性ビニル単量体および/又
は親水基を生成し得る官能基を有するビニル単量体の添
加量は、シード重合に先立ち予め含浸させるビニル単量
体に対し1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは2
〜20重量%である。これら添加されるビニル単量体の
水性媒体への添加時期は、所定の重合温度に昇温し、シ
ード重合を開始した後、0.5〜12時間の間、好まし
くは1〜6時間の間に、一括もしくは分割して添加す
る。分割して添加する場合は、例えば10〜60分毎に
添加する方法が好ましい。ビニル単量体は、そのまま添
加するか、もしくは溶媒で希釈または溶解して添加す
る。シード重合の重合温度は使用する重合開始剤の種類
にもよるが、50℃〜80℃が好ましい。シード重合の
重合時間は、重合開始剤の半減期前後またはそれ以上が
好ましく、例えば、3時間〜48時間が好ましい。
【0023】これらビニル単量体を添加するに際し、重
合開始剤、特に過硫酸カリウム等の水溶性開始剤を同時
に添加することも好ましい。シード重合開始後に水性媒
体に対し重合開始剤を添加しない場合には、亜硝酸ナト
リウム等の水中重合禁止剤を添加することが好ましい。
このように本発明においては公知の一般的なシード重合
方法を用いて製造されるが、種粒子として乳化重合法ま
たはソープフリー乳化重合法で製造された0.1〜1.
5μmの重合体粒子使用する場合には、まず膨潤助剤に
よる一次膨潤の後、シード重合することにより100μ
m程度までの粒子径が均一な多孔質粒子が製造できる方
法(J.Ugelstadら、Makromolecu
lareChemie、第80巻、737頁、1979
年)が好適に用いられる。
【0024】また、分散重合により製造された1〜10
μmの重合体粒子を種粒子とする場合には、例えば特開
昭64−26617号公報等に記載されたシード重合方
法が利用できる。本発明においては、重合完結後、種粒
子として用いた有機重合体粒子の良溶媒を用いて洗浄す
ることにより、種粒子由来の重合体の一部または全部を
除去することによっても、所望の多孔度の樹脂が得られ
る。
【0025】また、本発明において、親水基を生成し得
る官能基を有するビニル単量体を使用した場合は、重合
後親水基を生成し得る官能基を加水分解等による親水性
基の生成或いはアミノ基、4級アンモニウム基、カルボ
キシル基、スルホン酸基等のイオン性親水性基の導入工
程が必要である。例えば、加水分解により水酸基を生成
し得る基を有する単量体を使用した場合は、酸又はアル
カリ等の水溶液中、必要に応じて水混和性の有機溶媒の
存在下加水分解を行うか又はグリセリン等のジオール以
上のポリオールと反応させることにより加水分解を行
う。また、アルカノールアミン等を反応させれば、加水
分解による水酸基が生成する他、アミノ基等のイオン性
親水性基も付与される。
【0026】本発明方法で得られる多孔性重合体粒子の
BET法で測定した乾燥状態での好ましい細孔物性とし
ては、平均細孔半径として、10〜2000オングスト
ローム、好ましくは75〜1500オングストロームで
あり、細孔容積として0.2〜1.8ml/g、好まし
くは0.4〜1.2ml/gであり、細孔表面積として
1〜1000m2/g、好ましくは5〜500m2/gで
ある。特に、タンパク質の分離では、平均細孔半径が7
5オングストローム以下では、タンパク質が細孔内部ま
で拡散しなくなり、吸着量が低下して好ましくない。
【0027】本発明方法では、シード重合途中で添加し
たビニル単量体により、粒子外表面および/または細孔
表面が修飾されたことは、簡便には重量の増加や明らか
な物性の変化により検証できるが、更に分析的には元素
分析や赤外吸収スペクトルの測定により確認できる。ま
た、実用的には液体クロマトグラフィーにより、血清ア
ルブミンの回収率を得られたクロマトグラムのピーク面
積より算出することによっても確認できる。該方法によ
り定量した本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤の
血清アルブミン回収率は50%以上であり、好ましくは
75%以上である。
【0028】又、本発明で製造される充填剤に更にアミ
ノ基、アンモニウム基、カルボキシル基ネスルホン酸基
等のイオン性親水性基を導入すれば、更に好ましいタン
パク質吸脱着用の樹脂等にも使用できる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。 実施例1 攪拌器、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入管を備
えた反応器中にエタノール135.2重量部を入れ、ポ
リビニルピロリドン(平均分子量40,000)3.6
重量部を添加し溶解させた。この溶液にグリシジルメタ
クリレート60重量部、2,2−アゾビスイソブチロニ
トリル0.6重量部及びビス(ジエチルチオカルバモイ
ル)ジスルフィド0.6重量部を添加し、窒素雰囲気下
にて70℃に加熱して3時間重合を行った。放冷後、メ
タノール洗浄を行い単離した球状重合体粒子はその平均
粒子径が1.63μmであった。
【0030】上記の球状重合体粒子(種粒子)5重量部
にドデシル硫酸ナトリウム0.02重量部とイオン交換
水45重量部を加えて種粒子の水性分散液を調製した。
グリシジルメタクリレート44.94重量部、エチレン
グリコールジメタクリレート18.90重量部、1,2
−ジクロロエタン42.53重量部、トルエン48.9
4重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.
60重量部、ドデシル硫酸ナトリウム1.13重量部及
びイオン交換水450重量部から成る重合性ビニル単量
体混合物の微分散液を前記種粒子の水性分散液に攪拌
下、室温にて添加し16時間保持することにより油滴を
種粒子に吸収させた。
【0031】次いでこれに1.11重量%ポリビニルア
ルコール水溶液405重量部を添加し、70℃に昇温
後、1時間経過した時点でグリシジルメタクリレート1
2.84重量部を30分間で滴下し、更に6.5時間、
重合を行うことにより重合体粒子を得た。この重合体粒
子を単離後、325mlのアセトンを加え60℃にて4
時間抽出操作を行い、種粒子由来の重合体を除去した
後、乾燥することにより重合体粒子粉末69.55重量
部を得た。
【0032】得られた重合体粒子の平均粒子径は4.8
1μmであった。また、水銀ポロシメーターにより測定
した細孔容積は0.50ml/g、最頻度半径は254
オングストロームであり、BET法にて測定した比表面
積は35.3m2 /gであった。この重合体粒子30重
量部に10重量%硫酸水溶液300重量部を加え、50
℃にて5時間加熱することによりグリシジルメタクリレ
ート由来のエポキシ基の加水分解を行った。反応終了
後、粒子をイオン交換水にて充分に洗浄し、単離後乾燥
することにより粒子粉末を得た。
【0033】この重合体粒子の水酸基量をアセチル化法
により求めたところ、9.6meq/gであった。 応用例1 実施例1にて得られた水酸基を有する重合体粒子20重
量部に5N−NaOH水溶液96重量部を加え、室温に
おいて超音波分散下で30分間攪拌した。
【0034】次いで、これに51%β−ジエチルアミノ
エチルクロリド塩酸塩水溶液117.6重量部を加え、
50℃にて6時間反応することによりジエチルアミノエ
チル基を導入した。得られた粒子のジエチルアミノエチ
ル基の導入量を滴定法により測定したところ0.45m
eq/gであった。この粒子を内径8.0mm、長さ1
00mmのガラスカラム中に充填し、蛋白質吸脱着容量
の測定を行った。
【0035】
【表1】 測定条件: 測定装置:LC−6Aシステム(島津製作所製) 吸着液 :14mMトリスヒドロキシメチルアミノメタ
ン・塩酸緩衝液(pH8.0) 脱着液 :14mMトリスヒドロキシメチルアミノメタ
ン・塩酸緩衝液(pH8.0)+0.5M塩化ナトリウ
ム 流速 :1.0ml/min 圧力 :12kg/cm2 検出 :UV280nm 温度 :25℃ 試料 :牛血清アルブミン(シグマ社製) 上記の条件にて吸着液を通液し、吸着液に溶解した牛血
清アルブミンをカラムに注入し、吸着させた。飽和吸着
後、吸着されずに溶出する牛血清アルブミンをUV28
0nmの検出から確認することによりカラムに吸着され
た牛血清アルブミン量を求めたところ、粒子1mlあた
りの牛血清アルブミン吸着容量は85mgであった。
【0036】次に、脱着液を通液することによりカラム
に吸着した牛血清アルブミンを溶離させ、回収した牛血
清アルブミン量をUV280nmの吸光度より求めたと
ころ、粒子1mlあたりの脱着容量は77mgであり、
回収率は90%であった。 比較例1 シード重合途中にグリシジルメタクリレートを滴下する
ことを行わなず、70℃で8時間重合を行うこと以外は
実施例1と同様の操作を行い、重合体粒子粉末54.7
5重量部を得た。
【0037】得られた重合体粒子の平均粒子径は4.5
2μmであった。また、水銀ポロシメーターにより測定
した細孔容積は0.59ml/g、最頻度半径は298
オングストロームであり、BET法にて測定した比表面
積は44.2m2 /gであった。
【0038】この重合体粒子について実施例1と同様に
エポキシ基の加水分解を行い、アセチル化法により水酸
基量を求めたところ、8.9meq/gであった。更
に、応用例1と同様にしてジメチルアミノエチル基を導
入し、牛血清アルブミンの吸脱着容量測定を行ったとこ
ろ、粒子1mlあたりの牛血清アルブミン吸着容量は7
0mg、脱着容量は36mgであり、回収率は51%で
あった。
【0039】
【発明の効果】本発明は、多孔質有機重合体粒子からな
る粒子表面が親水化された分離用樹脂の簡便な方法によ
り製造する方法に関するものであり、特に、タンパク質
を分離する用途に好適な液体クロマトグラフィー用充填
剤を与えるものである。また、シード重合中に添加する
単量体の水性媒体と多孔質化溶媒間の分配を適宜考慮す
ることで、修飾部位を比較的自由に制御でき、各種液体
クロマトグラフィー用充填剤に適した多孔性有機重合体
粒子を製造でき、製造工程での粒子の凝集や融着が無い
優れた方法を提供するものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機重合体粒子に、親水性ビニル単量体
    および/または親水基を生成し得る官能基を有するビニ
    ル単量体を30〜90重量%と架橋性ポリビニル単量体
    を10〜70重量%含むビニル単量体混合物、ラジカル
    重合開始剤並びに多孔質化溶媒を含浸後、該粒子を水性
    媒体に懸濁し、該懸濁液を重合温度に昇温後、重合反応
    の継続中に親水性ビニル単量体および/または親水基を
    生成し得る官能基を有するビニル単量体を該懸濁液に添
    加することを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填
    剤の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000146934A (ja) * 1998-11-09 2000-05-26 Sekisui Chem Co Ltd 液体クロマトグラフィー用充填剤
JP2007114068A (ja) * 2005-10-20 2007-05-10 Sekisui Chem Co Ltd 液体クロマトグラフィー用充填剤及びヘモグロビン類の測定方法

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