JPH06262070A - 分離用樹脂及びその製造方法 - Google Patents

分離用樹脂及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06262070A
JPH06262070A JP5052276A JP5227693A JPH06262070A JP H06262070 A JPH06262070 A JP H06262070A JP 5052276 A JP5052276 A JP 5052276A JP 5227693 A JP5227693 A JP 5227693A JP H06262070 A JPH06262070 A JP H06262070A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
vinyl monomer
particles
monomer
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5052276A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3316915B2 (ja
Inventor
Ken Hosoya
憲 細矢
Hideaki Kiba
秀明 木庭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Kasei Corp filed Critical Mitsubishi Kasei Corp
Priority to JP05227693A priority Critical patent/JP3316915B2/ja
Publication of JPH06262070A publication Critical patent/JPH06262070A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3316915B2 publication Critical patent/JP3316915B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 平均細孔半径が10オングストローム以上、
75オングストローム以下の細孔を有する多孔性有機重
合体粒子であり、液体クロマトグラフィーにおいて血清
アルブミン共存下で逆相分配モードにより有機低分子化
合物を分離した際に血清アルブミンの回収率が80%以
上である分離用樹脂及び該樹脂を有機重合体粒子に、架
橋性ポリビニル単量体を25重量%から100重量%含
むビニル単量体、ラジカル重合開始剤および多孔質化溶
媒を含浸させた後、該粒子を該水性媒体に懸濁し、該懸
濁液を昇温後、重合反応の継続中に親水性ビニル単量体
を該懸濁液に添加することより製造する方法。 【効果】 本発明は、従来のシリカゲルを担体とし
て分離剤よりも耐久性が優れる多孔質有機重合体粒子か
らなる粒子表面が親水化された分離用樹脂に関するもの
であり、タンパク質共存下で有機低分子化合物を逆相分
配モードで分離する用途に好適であり、測定試料の除タ
ンパク質の必要がないという特徴を有する分離用樹脂で
ある。また、該分離用樹脂を簡便な方法により製造する
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質構造を有し、粒
子内部の細孔表面は疎水的性質を有し、粒子表面が親水
化されており、特には液体クロマトグラフィー用充填
剤、各種分離用樹脂、吸着剤等の用途に好適であり、中
でも、タンパク質共存下で有機低分子化合物を逆相分配
モードで分離する用途に適した分離用樹脂及びその製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】血清等のタンパク質成分を多量に含有す
る生体成分中の薬物や代謝物を液体クロマトグラフィー
により定量する場合、該タンパク質の分離剤への吸着に
よる弊害があるため、従来は定量する生体成分からの除
タンパク等の前処理が必要とされていた。
【0003】しかし、このような前処理操作は、多くの
時間と労力を有し、且つ分析精度を悪化させるという問
題を有している。そこで、近年これらの除タンパク操作
を行うことなく直接タンパク質成分含有試料を注入し、
この試料中に含まれる各種成分を分離することのできる
分離剤が開発されている。これらの改良された分離剤
は、シリカゲルを担体として、その細孔内には疎水性、
外には親水性といった細孔内外に異なる性質を付与した
ものである。
【0004】この分離剤を用いれば血清中のタンパク質
は巨大分子なので細孔内に入らないが、親水性の外表面
に吸着することもなく素通りし、比較的小さな薬物等の
分子は疎水性の内表面に吸着して分離されるというもの
である。このような分離剤の例としては、オクタデシル
シリカゲルの粒子表面にタンパク質をコートした分離剤
(特開昭60−56256号)や、疎水性シリカゲルの
外表面の疎水性基のみを酵素により切断し、更に親水性
基を導入した分離剤(特開昭61−65159号および
特開平1−123145号)が知られている。
【0005】しかしながら従来知られている分離剤は、
シリカゲルを担体としている為、耐久性、特に耐アルカ
リ性に劣り、長期間の使用やアルカリでの回生処理に耐
えないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この問題点
を解決した分離用樹脂を提供することを目的とし、特に
タンパク質の回収率が良好な逆相分配モードに適した分
離用樹脂および該樹脂を従来に無く簡便に製造できる方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機重合
体粒子からなる種粒子にビニル単量体を含浸させて重合
するシード重合法において、そのシード重合途中に親水
性ビニル単量体を添加することによって、多孔質構造を
有し、粒子表面が親水化され、しかも粒子内部の細孔表
面は疎水的性質を有している多孔性重合体粒子が得られ
ることを見いだし、本発明に至ったものである。
【0008】また、多孔質構造と分離性能の関係を詳細
に検討した結果、平均細孔半径が一定の範囲においてタ
ンパク質が細孔内に進入せず、一方、有機低分子化合物
は細孔内に進入して良好に分離される範囲があることを
見いだし本発明に至ったものである。すなわち、本発明
は平均細孔半径が10オングストローム以上、75オン
グストローム以下の細孔を有する多孔性有機重合体粒子
であり、液体クロマトグラフィーにおいて血清アルブミ
ン共存下で逆相分配モードにより有機低分子化合物を分
離した際に血清アルブミンの回収率が80%以上である
分離用樹脂及び有機重合体粒子に、架橋性ポリビニル単
量体を25重量%から100重量%含むビニル単量体、
ラジカル重合開始剤および多孔質化溶媒を含浸させた
後、該粒子を該水性媒体に懸濁し、該懸濁液を昇温後、
重合反応の継続中に親水性ビニル単量体を該懸濁液に添
加することを特徴とする該分離用樹脂の製造方法をその
要旨とする。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
分離用樹脂は、粒子径分布が狭い(粒子径単分散の)種
粒子を用い、これに更にビニル単量体を含浸させて重合
する所謂シード重合法を利用して製造することにより、
より優れた性能を与える分離用樹脂が製造できる。該シ
ード重合で用いられる有機重合体粒子(種粒子)は乳化
重合、ソープフリー乳化重合、分散重合、懸濁重合等の
一般に良く知られた造球重合により製造できる。中で
も、乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重合等で得
られる重合体粒子は懸濁重合により製造されたものに比
較しその粒子径分布が狭く好ましい。
【0010】種粒子の組成としては、芳香族モノビニル
単量体および/または脂肪族モノビニル単量体からなる
重合体が好適である。これらは単独重合体もしくは2種
以上の単量体の共重合体の何れでも良く、1重量%以下
の架橋性ポリビニル単量体との共重合体であっても良
い。代表的には、ポリスチレンもしくはポリメタクリル
酸エステルからなる粒子が好ましい。種粒子の大きさは
0.1〜1000μmの範囲で、目的に応じ任意に選ぶ
ことができる。
【0011】本発明において、前述の如く製造された有
機重合体粒子からなる種粒子に架橋性ポリビニル単量体
を25重量%から100重量%含むビニル単量体を含浸
させる。該架橋性ポリビニル単量体としては、芳香族ポ
リビニル単量体、脂肪族ポリビニル単量体が好適であ
り、芳香族ポリビニル単量体としては、ジビニルベンゼ
ンが、また、脂肪族ポリビニル単量体としては多価アル
コールのポリ(メタ)アクリレートやアルキレンポリ
(メタ)アクリルアミドが好ましい。その一例として、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール
ジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)ア
クリレート、アリルアシレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロキシブタン
ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メ
タ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等
が挙げられる。
【0012】架橋性ポリビニル単量体以外のビニル単量
体としては、モノビニル単量体を使用する。該モノビニ
ル単量体としては、芳香族モノビニル単量体、脂肪族モ
ノビニル単量体が好ましい。芳香族モノビニル単量体と
しては、スチレン、t−ブトキシカルボニルスチレン、
エチルスチレン、ハロアルキルスチレン、クロロスチレ
ン等のスチレン誘導体、安息香酸ビニル、p−t−ブチ
ル安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニル等が好ましい。
また、脂肪族モノビニル単量体としては、モノ不飽和カ
ルボン酸、モノ不飽和カルボン酸エステル、アクリルア
ミド誘導体、モノ不飽和エーテル等が好ましく、その一
例としてメチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア
クリレート等の(置換)アルキル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセロールモ
ノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、
ブタン酸ビニル、N−イソプロピル(メタ)アクリルア
ミド、(メタ)アクリルアミド、n−オクタデシルビニ
ルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、アリルアルコ
ール等が挙げられる。
【0013】これらビニル単量体の量は使用する種粒子
の大きさと目的とする粒子の大きさを考慮して適宜決定
される。種粒子に含浸させるビニル単量体中の架橋性ポ
リビニル単量体の量は25重量%から100重量%であ
り、好ましくは40重量%から100重量%である。更
に、種粒子に含浸させる多孔質化溶媒としては、シード
重合時に相分離剤として作用し、粒子の多孔質化を促進
する有機溶媒である脂肪族あるいは芳香族炭化水素類、
エステル類、ケトン類、アルコール類、エーテル類が挙
げられる。このような有機溶媒としては、例えばトルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタ
ン、酢酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ
ブチルエーテル、1−ヘキサノール、2−オクタノー
ル、デカノール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノ
ール等が挙げられ、これらは単独もしくは混合して使用
する。
【0014】シード重合時のラジカル重合開始剤は過酸
化ベンゾイル、ブチルパーオキシヘキサノエート等の過
酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビ
スイソバレロニトリル等のアゾ系開始剤が好ましい。こ
れら重合開始剤は、ビニル単量体或いは多孔質化溶媒に
溶解し、ビニル単量体の含浸と同時に、またはその前後
に種粒子に含浸される。
【0015】また、これらビニル単量体、多孔質化溶
媒、ラジカル重合開始剤等を種粒子に含浸させる際に、
場合により種粒子に対して親和性が高い溶媒で希釈し含
浸させることも好ましく、必要に応じ、重合開始剤をこ
の溶媒に溶解し添加することもできる。このような溶媒
としては、アルコール、アセトン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等の水混和性低沸点溶媒やジクロロエタ
ン、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ
る。これら含浸を促進する溶媒は、シード重合開始のた
めに重合温度に昇温される前に減圧留去することが好ま
しい。
【0016】本発明では、このようにビニル単量体、多
孔質化溶媒、重合開始剤を含浸させ、種粒子を肥大化さ
せた後、水性媒体中に懸濁して重合を行う。該水性媒体
中には、シード重合中に凝集、変形、融着することを防
止し、その分散安定性を増す為に、分散安定剤を含有さ
せる。該分散安定剤としては公知のアニオン系、ノニオ
ン系の界面活性剤、およびポリビニルピロリドン、ポリ
エチレンイミン、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリ
マー等の合成高分子が好適であり、特にビニルアルコー
ル−酢酸ビニルコポリマーが好ましい。中でも、その重
合度が500前後である比較的低分子量のビニルアルコ
ール−酢酸ビニルコポリマーが特に好ましい。
【0017】シード重合は、重合温度に昇温されること
によって開始される。この重合温度は使用する重合開始
剤の種類にもよるが、50℃〜80℃が好ましい。ま
た、シード重合の重合時間は、重合開始剤の半減期前後
またはそれ以上が好ましく、例えば、3時間〜48時間
が好ましい。本発明において、シード重合は公知の一般
的な方法によって実施できるが、乳化重合法またはソー
プフリー乳化重合法で製造された0.1〜1.5μmの
重合体粒子を種粒子とする場合には、まずフタル酸ジブ
チル等の膨潤助剤による一次膨潤の後、シード重合する
ことにより100μm程度までの粒子径が均一な多孔質
粒子が製造できる方法(J.Ugelstadら、Ma
kromoleculare Chemie、第80
巻、737頁、1979年)が好適に用いられる。
【0018】また、分散重合により製造された1〜10
μmの重合体粒子を種粒子とし、シード重合する方法
(例えば特開昭64−26617号公報)も好適に使用
できる。本発明ではシード重合開始後、該重合反応継続
中、ビニル単量体等を含浸させた種粒子を含む懸濁液に
添加される親水性ビニル単量体としては、グリセロール
モノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート等の水酸基を1個以上有する(メタ)
アクリル酸エステル、、N−イソプロピル(メタ)アク
リルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリ
シジル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特に、上記
多孔質化溶媒よりも水性媒体の方に分配しやすい親水性
ビニル単量体が好適である。また、水性媒体に添加する
親水性ビニル単量体の一部にグリセロールジ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレ
ート等の親水性であり、架橋性のポリビニル単量体を使
用することも可能であるが、該架橋性ポリビニル単量体
の使用量は水性媒体に添加する親水性ビニル単量体の1
%以下であることが好ましい。親水性ビニル単量体の添
加量は、シード重合に先立ち種粒子に予め含浸させるビ
ニル単量体に対し1〜30重量%であり、好ましくは2
〜20重量%である。親水性ビニル単量体の添加時期
は、所定の重合温度に昇温し、シード重合を開始した
後、0.5〜12時間の間、好ましくは1〜6時間の間
に、一括もしくは分割して添加する。分割して添加する
場合は、例えば10〜60分毎に添加する方法が好まし
い。親水性ビニル単量体は、そのまま添加するか、もし
くは溶媒で希釈または溶解して添加する。
【0019】本発明ではシード重合を開始後、懸濁液に
親水性ビニル単量体を添加するに際し、重合開始剤、特
に過硫酸カリウム等の水溶性開始剤を同時に添加するこ
とも好ましい。シード重合開始後に水性媒体に対し重合
開始剤を添加しない場合には、シード重合に先立ち水性
媒体中に亜硝酸ナトリウム等の水中重合禁止剤を添加す
ることが好ましい。
【0020】本発明においては、重合完結後、種粒子と
して用いた有機重合体粒子の良溶媒を用いて洗浄するこ
とにより、種粒子由来の重合体の一部または全部を除去
することによっても、所望の多孔度の樹脂が得られる。
本発明方法により、親水性ビニル単量体が粒子表面で重
合することにより、粒子表面が親水化されたことは、簡
便には重量の増加や明らかな物性の変化により検証でき
るが、更に分析的には元素分析や赤外吸収スペクトルの
測定により確認できる。
【0021】本発明方法で得られる多孔性重合体粒子の
BET法で測定した乾燥状態での細孔物性としては、平
均細孔半径は10〜75オングストローム、好ましくは
15〜60オングストロームであり、細孔容積として
0.2〜1.8ml/g、好ましくは0.4〜1.2m
l/gであり、細孔表面積として1〜2000m2
g、好ましくは5〜1500m2/gである。平均細孔
半径が10オングストローム以下の場合は、有機低分子
化合物に対する分離性が悪くなり、一方、75オングス
トローム以上では、タンパク質が細孔内部まで拡散する
ようになり、細孔表面で吸着されることにより回収率が
低下する。
【0022】本発明では、所望の平均細孔半径を有する
樹脂とするために、使用する単量体や多孔質化溶媒等の
種類や量及び重合条件等を適宜選択して製造する。液体
クロマトグラフィーにより、血清アルブミンの共存下逆
相分配モードで有機低分子化合物を分離する条件で、本
発明の樹脂の血清アルブミンの回収率を、得られたクロ
マトグラムのピーク面積より算出することにより定量し
た血清アルブミン回収率は80%以上であり、好ましく
は90%以上、更に好ましくは95%以上である。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0024】実施例1 (1)ポリスチレン種粒子の調製 水(超純水を更にアルゴンをバブリングしながら沸騰さ
せた後、冷却したもの)300mlに塩化ナトリウム
0.27gを溶解させ、これに蒸留精製したスチレン5
mlを加えた。これらを室温においてメカニカルスター
ラーで緩やかに攪拌しながらさらに20分間アルゴンを
バブリングして反応容器の中を置換した後、容器を密閉
した。容器の温度を75℃にあげ、同時に攪拌速度を3
50rpmにあげた。この状態を30分間保った後、水
27.8mlに溶解させた過硫酸カリウム0.21gを
加え重合を開始した。最初透明であった溶液は約20分
で乳濁しはじめた。重合開始から30分後さらに5ml
のスチレンを加えた後、1時間毎に5mlのスチレン
を、最終的に加えたスチレンが全量が40mlになるま
で加えた。重合時間は開始剤添加後22.5時間であっ
た。重合後の乳化液は大まかに固形物を取り除いた後、
遠心分離(4500rpmで30分間)後上澄み液を捨
て、水を加えて再度粒子を分散させた後同様に遠心分離
し上澄み液を除去した。この操作を上澄み液が完全に透
明になるまで繰り返した。再度、水に分散させた後、光
学顕微鏡で粒子を観察したところ粒子径はほぼ1μmの
極めて粒子径分布の狭い(単分散性の高い)ポリスチレ
ンビーズが得られていることが確認できた。ポリスチレ
ン粒子の重量を基とした収率は65%であり、最終的に
調製したポリスチレン粒子の水分散液の濃度は9.5重
量%であった。この粒子径単分散ポリスチレン粒子分散
液を以後のシード重合に種粒子として使用した。
【0025】(2)膨潤助剤による一次膨潤 フタル酸ジブチル0.95mlに過酸化ベンゾイル0.
085gを溶解させ、これにドデシル硫酸ナトリウム
0.04gおよび水10mlを加え、超音波発生器を用
いて氷冷下に微分散液を調製した。このようにして調製
した膨潤助剤の微分散液に上記(1)で調製したポリス
チレン種粒子の水分散液(9.5重量%)を1.4ml
加えて、室温で緩やかに攪拌(マグネチックスターラ
ー、125rpm)しながら膨潤助剤を種粒子に含浸さ
せた。この段階の膨潤完結は光学顕微鏡で確認したが、
2時間から4時間の間に完全に終了した。
【0026】(3)分離用樹脂の調製 トルエン10mlおよびグリセロールジメタクリレート
9mlをポリビニルアルコール(重合度500、けん化
度89%)1.92gを水90mlに溶解させたものに
加えた。氷冷下に超音波発生器を用いて微分散液を調製
し、これを上記(2)において調製した一次膨潤粒子に
加え、同様に室温で緩やかに攪拌しながら(125rp
m)微分散液を膨潤粒子に含浸させた(1時間で終了、
この操作を二次膨潤と呼ぶ)。二次膨潤が終了した懸濁
液を200mlのセパラブルフラスコに移し、緩やかに
攪拌しながら室温でアルゴンを20分間バブリングし
た。亜硫酸ナトリウム0.01gを懸濁液に加え、容器
を密閉したのち、温度を80℃に上げてシード重合を開
始した。重合開始後1時間経過した時点で、グリセロー
ルモノメタクリレート1gを重合容器に添加した。攪拌
しながら更に20時間重合を行った。この過程での二次
粒子の生成は認められなかった。重合終了後、懸濁液は
水200mlに注ぎ入れ、超音波発生器で粒子が均一に
分散するまで振とうした後、室温で一夜静置した。上澄
み液を捨てた後、メタノール200mlを加え同様に超
音波発生器で粒子を再度分散させた後、静置し粒子が完
全に沈降した後、上澄み液を捨てた。この操作をメタノ
ールで更に二回、テトラヒドロフランで二回繰り返した
後ミクロフィルター(住友電工製Fluoropor
e、FP−200)で粒子をろ過し、室温で乾燥させた
後、重量を求めた。得られた粒子の重量は9.3gであ
り、用いたモノマーを基に算出した収率は89%であっ
た。乾燥粒子の多孔度物性はBET法による測定によ
り、平均細孔半径50オングストローム、細孔表面積3
00m2/g、細孔容積0.8ml/gであった。
【0027】得られた粒子を内径4.6mm、長さ15
0mmの液体クロマトグラフィー用カラムに充填し、
0.1Mの硫酸ナトリウムを含む0.02Mリン酸緩衝
液/アセトニトリル混合液(容量比=9:1、pH7)
を溶離液とし、蛋白質(牛血清アルブミン、分子量6.
7万)と低分子薬物であるテオフィリン(C78
42、分子量180)、バルビタール(C812
23、分子量184)の分離を行った。結果を図1に示
す。尚、検出は紫外光検出器(波長250nm)により
行った。牛血清アルブミンは、細孔内部へ浸透できない
程度に分子量が大きいが、粒子に吸着することなくカラ
ムを素通りして溶出し、一方、低分子薬物は、細孔内部
に浸透し、テオフィリンよりも疎水性が強いバルビター
ルの方が粒子に強く吸着してテオフィリンよりも遅く溶
出することにより、三者の良好な分離が行われることが
わかった。液体クロマトグラフィーにより、カラムから
溶出した牛血清アルブミンの量をピーク面積より定量し
たところ、99%であった。
【0028】比較例1 実施例1と全く同様に、二次膨潤まで行い、グリセロー
ルモノメタクリレートを添加しないで、シード重合を実
施した。得られた粒子を実施例1と全く同様にしてカラ
ムに充填し、蛋白質(牛血清アルブミン)と低分子薬物
(テオフィリン、バルビタール)の分離を行った。本比
較例では親水性単量体であるグリセロールモノメタクリ
レートをシード重合開始後に添加していない為、粒子最
外殻表面が親水化されておらず牛血清アルブミンが吸着
されて溶出しない結果となった(回収率3%)。これ
は、蛋白質により粒子表面が汚染される傾向があること
を示しており、血液中の薬物を前処理せずに注入し分析
する用途には耐久性が悪く好ましくない。
【0029】
【発明の効果】本発明は、従来のシリカゲルを担体とし
て分離剤よりも耐久性が優れる多孔質有機重合体粒子か
らなる粒子表面が親水化された分離用樹脂に関するもの
であり、タンパク質共存下で有機低分子化合物を逆相分
配モードで分離する用途に好適であり、測定試料の除タ
ンパク質の必要がないという特徴を有する分離用樹脂で
ある。また、該分離用樹脂を簡便な方法により製造する
方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の分離用樹脂を用いて、タン
パク質と低分子薬物(テオフィリン、バルビタール)の
分離を行った際のクロマトグラムを示す図であり、それ
ぞれ、縦軸は吸光度、横軸は時間(分)を表す。
【符号の説明】
1:牛血清アルブミン、2:テオフィリン、3:バルビ
タール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均細孔半径が10オングストローム以
    上、75オングストローム以下の細孔を有する多孔性有
    機重合体粒子であり、液体クロマトグラフィーにおいて
    血清アルブミン共存下で逆相分配モードにより有機低分
    子化合物を分離した際に血清アルブミンの回収率が80
    %以上である分離用樹脂。
  2. 【請求項2】 有機重合体粒子に、架橋性ポリビニル単
    量体を25重量%から100重量%含むビニル単量体、
    ラジカル重合開始剤および多孔質化溶媒を含浸させた
    後、該粒子を該水性媒体に懸濁し、該懸濁液を昇温後、
    重合反応の継続中に親水性ビニル単量体を該懸濁液に添
    加することを特徴とする請求項1に記載の分離用樹脂の
    製造方法。
JP05227693A 1993-03-12 1993-03-12 分離用樹脂及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3316915B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05227693A JP3316915B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 分離用樹脂及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05227693A JP3316915B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 分離用樹脂及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06262070A true JPH06262070A (ja) 1994-09-20
JP3316915B2 JP3316915B2 (ja) 2002-08-19

Family

ID=12910272

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05227693A Expired - Lifetime JP3316915B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 分離用樹脂及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3316915B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007057526A (ja) * 2005-07-26 2007-03-08 Showa Denko Kk 水溶性高分子と低分子化合物を含む試料中の低分子化合物の分析方法
US20140021136A1 (en) * 2012-07-20 2014-01-23 Haixiao QIU Chromatographic separation material
CN113385306A (zh) * 2021-06-24 2021-09-14 江苏建筑职业技术学院 一种用于低阶煤浮选的纳米粒子捕收剂及制备方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9162161B2 (en) 2010-03-31 2015-10-20 Jsr Corporation Filler for affinity chromatography

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007057526A (ja) * 2005-07-26 2007-03-08 Showa Denko Kk 水溶性高分子と低分子化合物を含む試料中の低分子化合物の分析方法
US20140021136A1 (en) * 2012-07-20 2014-01-23 Haixiao QIU Chromatographic separation material
US9302203B2 (en) * 2012-07-20 2016-04-05 Mitsubishi Chemical Corporation Chromatographic separation material
CN113385306A (zh) * 2021-06-24 2021-09-14 江苏建筑职业技术学院 一种用于低阶煤浮选的纳米粒子捕收剂及制备方法
CN113385306B (zh) * 2021-06-24 2023-02-28 江苏建筑职业技术学院 一种用于低阶煤浮选的纳米粒子捕收剂及制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3316915B2 (ja) 2002-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0763064B1 (en) A method of manufacturing particles, and particles that can be produced in accordance with the method
US5306561A (en) Preparation of surface-functional polymer particles
US4140653A (en) Solid support for liquid chromatography
JPH07100746B2 (ja) 均一なマクロ細孔性ポリマービードの製造方法
JP2005510609A (ja) 多孔性支持体の後修飾
JP2005510609A5 (ja)
JPS5861463A (ja) 液体クロマトグラフイ−用担体及び該担体を用いる脂溶性物質の分離精製方法
JP2003502465A (ja) フッ素化ポリマー吸着剤粒子の製造法
WO2009118401A1 (en) Composite material
JPS648304B2 (ja)
JPH0373848A (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤とその製造法
US6949601B1 (en) Single stage seed polymerization for the production of large polymer particles with a narrow size distribution
JP3316915B2 (ja) 分離用樹脂及びその製造方法
JP3087332B2 (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤
JPH06262071A (ja) 新規な分離用樹脂及びその製造方法
JPS58120607A (ja) 蛋白質吸着能を有する液体クロマトグラフィー用担体及びその製造方法
JP2002055093A (ja) 生体試料中の薬物の分離方法及びそれに用いる分離剤
JP3645317B2 (ja) リポ蛋白質分離用樹脂
JP2811789B2 (ja) 異化ヘモグロビン分離用担体
JP3176423B2 (ja) クロマトグラフィー用担体およびその製造方法
JP3424255B2 (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法
JP2745418B2 (ja) 多孔化重合体粒子の製造方法
JPH1183825A (ja) 分離剤およびそれを用いた分離方法
JP2890481B2 (ja) 親水性架橋共重合体粒子の製造方法
JPH06263653A (ja) 光学異性体分離用有機多孔性粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080614

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090614

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100614

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100614

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110614

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120614

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130614

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term