JP3087332B2 - 液体クロマトグラフィー用充填剤 - Google Patents

液体クロマトグラフィー用充填剤

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JP3087332B2
JP3087332B2 JP03086795A JP8679591A JP3087332B2 JP 3087332 B2 JP3087332 B2 JP 3087332B2 JP 03086795 A JP03086795 A JP 03086795A JP 8679591 A JP8679591 A JP 8679591A JP 3087332 B2 JP3087332 B2 JP 3087332B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液体クロマトグラフィー
用充填剤に関する。詳しくは、多孔質構造を有し、粒径
分布の標準偏差が小さく、小粒径であって、しかも、カ
ラム差圧が低く、また分離対象物質の不可逆的吸着が少
なく、分離段数の高い特定の方法で製造された液体クロ
マトグラフィー用充填剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリマー系液体クロマトグラフィー用充
填剤として従来知られているものの大部分は懸濁重合法
で製造されており、粒径分布が広い為に、カラム差圧が
高く、又、その製法では分離段数の高いものが得られな
いという欠点があった。粒径分布の狭い液体クロマトグ
ラフィー用充填剤としては、乳化重合で得られた粒径1
μm以下のラテックス粒子をシードポリマーとするシー
ド重合により体積で約1000倍に肥大化させて得られ
た粒径約10μmの多孔質ポリスチレン粒子を母体とし
てその表面を親水化したものがある(J.Ugelst
adtら、Nature、第303巻、第5号、95
頁、1983年)。しかしながら、この充填剤は疎水性
の高いポリスチレン粒子を母体としている為、分離対象
物の蛋白質を不可逆的に吸着する欠点を有しており、ま
た、高流速で通液した際、分離段数が低下するという欠
点を有していた。
【0003】また、特開昭64−26617号公報に
は、分散重合で得られたポリマー粒子をシードポリマー
としてシード重合することにより、粒径分布の狭い液体
クロマトグラフィー用充填剤を製造できることが示され
ている。しかし、この場合、例示されているアクリル系
充填剤は、シード重合時の架橋性モノマーの使用量が全
モノマー中90%以上と高いので、機械的強度の点では
優れるものの該架橋性モノマーに由来する疎水性によ
り、分離対象物の蛋白質の一部を不可逆的に吸着すると
いう問題点を有していた。更に、官能基の導入される部
分が主にシードポリマー由来の部分であるために、官能
基の導入量を上げられないという問題点を有していた。
【0004】一方、分離段数の高い液体クロマトグラフ
ィー用充填剤としては、非多孔質粒子の表面のみを使用
した充填剤がある(Y.Katoら、J.Chroma
tography、第398巻、327頁、1987
年)。この場合、分離対象物の細孔内部への拡散による
ピークのブロード化が抑えられる為、極めて良好な分離
が得られるが、粒子の表面しか使用しない為、試料負荷
量を上げた場合、極端に性能が低下するという欠点があ
った。また、非多孔質である為、カラム差圧が高く、長
尺のカラムが製造できないという欠点や高流速で通液で
きないといった欠点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を改良し、分離対象物である生体高分子を回収率良く高
精度に分離でき、しかも試料負荷量が高く、カラム差圧
が低い液体クロマトグラフィー用充填剤の提供を目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記各
工程により得られる液体クロマトグラフィー用充填剤を
その要旨とする。 第1工程 グリシジルメタクリレート60〜100(重量)%、多
価アルコールと炭素−炭素2重結合を有するモノカルボ
ン酸とのポリエステル架橋性モノマー0〜1(重量)
%、グリシジルメタクリレート以外の炭素−炭素2重結
合を有するモノ不飽和化合物0〜40(重量)%を含む
混合物を、該混合物を溶解するが生成するポリマーは溶
解しない溶媒の存在下に分散重合し、シードポリマーを
製造する。
【0007】第2工程 第1工程において製造したシードポリマー及び該シード
ポリマーの2〜20重量倍の重合性モノマーを、該重合
性モノマーの40〜200(重量)%の希釈剤の存在
下、シード重合してエポキシポリマーを製造する。但
し、該重合性モノマーは、多価アルコールと炭素−炭素
2重結合を有するモノカルボン酸とのポリエステル架橋
性モノマー10〜50(重量)%、グリシジルメタクリ
レート50〜90(重量)%及びグリシジルメタクリレ
ート以外の炭素−炭素2重結合を有するモノ不飽和化合
物0〜40(重合)%を含有する。
【0008】第3工程 第2工程で得られたエポキシポリマーを有機溶媒で処理
し、可溶分を抽出除去する。 第4工程 第3工程において製造したエポキシポリマーに官能基を
導入する。以下本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の第1工程および第2工程で用いる
架橋性モノマーは炭素−炭素2重結合を2個以上有する
モノマーであり、該架橋性モノマーとしては、多価アル
コールと炭素−炭素2重結合を有するモノカルボン酸と
のポリエステルを使用する。該多価アルコールとして
は、テトラメチロールメタン、テトラメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、グリセリン、エチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等を挙げることができ、
これらの多価アルコールと炭素−炭素2重結合を有する
モノカルボン酸のポリエステルである架橋性モノマーの
一例として、エチレングリコールジアクリレート(又は
ジメタクリレート)、ジエチレングリコールジアクリレ
ート(又はジメタクリレート)、グリセリンジアクリレ
ート(又はジメタクリレート)、グリセリントリアクリ
レート(又はトリメタクリレート)、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート(又はトリメタクリレート)、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(又はメタク
リレート)等のアクリル系架橋性モノマーを挙げること
ができる。これらのポリエステル架橋性モノマーは単独
で用いても混合して用いても良く、更に他の架橋性モノ
マーを併用することも出来る。これらの多価アルコール
とカルボン酸とのポリエステルである架橋性モノマーは
使用する全架橋性モノマー中70重量%以上含まれてい
るのが好ましい。ここで第2工程のシード重合の際架橋
性モノマーの種類、量、及び希釈剤を適宜組み合わせる
ことによりシード重合して得られるエポキシポリマーの
多孔度物性(細孔容積、細孔半径、表面積等)を変化さ
せることができる。また、上記以外の併用しうる架橋性
モノマーとしては、ジビニルベンゼン等のポリビニル化
合物を挙げることが出来、これらは架橋性モノマー成分
のうち30重量%以下となるように添加する。また、第
1工程と第2工程で用いられる架橋性モノマーは必ずし
も同一である必要はない。
【0010】本発明においてグリシジルメタクリレート
以外の炭素−炭素2重結合を有するモノ不飽和化合物を
用いることにより、エポキシポリマーの多孔度物性や疎
水性を微妙に変化させ、クロマトグラフィーにおける保
持挙動を調節することができるのでより好ましい。グリ
シジルメタクリレート以外の炭素−炭素2重結合を有す
るモノ不飽和化合物は、親水性のモノマーから疎水性の
モノマーまで種々用いることができ、一例として、グリ
シジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト(又はメタクリレート)、グリセリンモノアクリレー
ト(又はメタクリレート)、メチルアクリレート(又は
メタクリレート)、2−エチルヘキシルアクリレート
(又はメタクリレート)等のアクリル系モノマー、クロ
ロメチルスチレン、ビニルベンジルグリシジルエーテル
等の芳香族ビニルモノマー等が挙げられる。また、モノ
不飽和化合物は陽イオン交換基や陰イオン交換基等の各
種官能基を有していても良い。更に、これら例示された
モノマーを単独で用いても、混合しても良く、第1工程
と第2工程で用いられるグリシジルメタクリレート以外
の炭素−炭素2重結合を有するモノ不飽和化合物は必ず
しも同一である必要はない。
【0011】次に本発明の液体クロマトグラフィー用充
填剤を製造する方法について説明する。液体クロマトグ
ラフィー用充填剤は、第1工程において、分散重合によ
りシードポリマーを製造し、第2工程において、第1工
程で製造したシードポリマーに、架橋性モノマーを含む
重合性モノマーを含浸後、重合(シード重合)させるこ
とにより肥大化させ、第3工程により、第2工程で製造
した肥大化ポリマー(エポキシポリマー)を有機溶媒に
より処理し、主としてシードポリマー由来の線状可溶分
を抽出除去し、次いで第4工程により、有機溶媒処理し
たエポキシポリマーに官能基を導入する各工程により製
造される。
【0012】第1工程では、グリシジルメタクリレート
を主成分とするモノマーを分散重合することによりシー
ドポリマーを製造するが、所望の粒径を有するポリマー
粒子を得るためには用いる溶媒を選択する必要がある。
即ち、用いる溶媒としてはモノマーは溶解するが生成す
るポリマーは溶解しない溶媒(生成するポリマーに対し
ては貧溶媒)を用いる。このような溶媒は、水と相溶性
があり、具体的にはメタノール、エタノール、2−プロ
パノール、2−メチル−2−プロパノール等のアルコー
ル類、2−メトキシ−エタノール等のエーテル−アルコ
ール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類、これら各種溶媒の混合物、更にこれらの各種溶媒と
水との混合物等を挙げることができる。
【0013】また、これらの溶媒のうち、生成するポリ
マーに対する貧溶媒としての性質が強い程、即ち該溶媒
の溶解度パラメーターと生成するポリマーの溶解度パラ
メーターの差が大きくなる程ポリマーの粒径が小さくな
る傾向がある。更に、上記のような貧溶媒を主体とする
溶媒中にシクロヘキサン等の良溶媒を少量添加すること
によってポリマーの粒径が大きくなる傾向にある。この
ような溶媒の種々の性質を利用して、所望の粒径が得ら
れるように溶媒を適宜選択し、これらを単独あるいは混
合して媒体として使用する。
【0014】一方、生成するポリマーの粒径に影響を与
える他の要因としては、仕込みのモノマー濃度が挙げら
れる。この濃度が高いと粒径は大きくなり、濃度が低い
と粒径は小さくなる傾向がある。シードポリマーを製造
するための分散重合の際、生成するポリマーの凝集、変
形、融着を防ぎ、その分散安定性を増すために分散安定
剤を用いることが好ましい。分散安定剤としてはこの種
の重合反応に用いられている各種ホモポリマー、コポリ
マー、グラフトポリマー、ブロックポリマー等の合成高
分子化合物、更に天然高分子化合物およびその誘導体等
を用いることができる。具体的にはポリビニルピロリド
ン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、
ポリアクリル酸、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリ
マー、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス等を挙げることができるが、特に用いる反応媒体に対
して溶解するものが好ましい。
【0015】更に分散重合に際して、より重合を安定に
進行させ、分散安定性を高めるために、上記分散安定剤
に加えて補助安定剤を用いることもできる。このような
補助安定剤としてはアニオン性界面活性剤、ノニオン性
界面活性剤、4級アンモニウム塩、長鎖アルコール等が
用いられる。具体的にはジ(2−エチルヘキシル)スル
ホコハク酸ナトリウム、ノニルフェノキシポリエトキシ
エタノール、メチルトリカプリリルアンモニウムクロリ
ド、セチルアルコール等を挙げることができる。
【0016】本発明の第2工程においては、第1工程で
得られたシードポリマーに重合性モノマーを含浸させシ
ード重合することにより肥大化するが、その際、希釈剤
を存在させることが必要である。希釈剤は重合性モノマ
ーを溶解するとともにシードポリマーに対する親和性が
高いものが好ましく、具体的には、エチレンジクロライ
ド、プロピレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素が
挙げられ、特にエチレンジクロライドが好適である。ま
た、シード重合時に相分離剤として作用し、粒子の多孔
質化を促進する有機溶媒である脂肪族あるいは芳香族の
炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等も使
用することが出来る。このような有機溶媒としては、例
えばトルエン、オクタン、酢酸ブチル、フタル酸ジメチ
ル、ジブチルエーテル、1−ヘキサノール、シクロヘキ
サノール等か挙げられる。これらの希釈剤は単独、もし
くは混合して用いることができる。
【0017】シードポリマーに含浸させる重合性モノマ
ーは、該重合性モノマー中、多価アルコールと炭素−炭
素2重結合を有するモノカルボン酸とのポリエステル架
橋性モノマー10〜50重量%、グリシジルメタクリレ
ート50〜90重量%、及びグリシジルメタクリレート
以外の炭素−炭素2重結合を有するモノ不飽和化合物0
〜40重量%含有するものである。含浸させる重合性モ
ノマーの量はシードポリマーに対して2〜20重量倍、
好ましくは4〜20重量倍、更に好ましくは5〜15重
量倍である。また希釈剤の量は重合性モノマーに対し4
0〜200重量%、好ましくは50〜150重量%であ
る。
【0018】重合性モノマー及び希釈剤の分散液の調製
においては、分散性を高めるために分散安定剤を用いる
ことが好ましい。このような分散安定剤としては公知の
ものを用いることができるが、重合性モノマーを微分散
安定化するのがよく、具体的にはドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキ
ルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤
を挙げることができ、更にポリエチレングリコールモノ
ステアレート、ソルビタンモノステアレート等の非イオ
ン系界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン
イミン、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー等の
合成高分子を併用することができる。
【0019】また、シード重合に用いることができる重
合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニト
リル、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、
2,2′−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ系重合開始剤、又は過酸化ベンゾイル、ラ
ウロイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、
3,3′,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド等
の過酸化物を挙げることができる。
【0020】本発明においてはシード重合の際、重合開
始剤及び重合性モノマーを吸収して肥大化したシードポ
リマーが凝集、変形、融着することを防止し、その分散
安定性を増すために、重合性モノマーを含浸後、重合を
始める前に再度、分散安定剤を添加することが好まし
い。このような分散安定剤としては公知のアニオン系、
ノニオン系の界面活性剤、及びポリビニルピロリドン、
ポリエチレンイミン、ビニルアルコール−酢酸ビニルコ
ポリマー等の合成高分子が使用できる。
【0021】本発明のシード重合における重合温度とし
ては通常40℃〜90℃、好ましくは50℃〜80℃で
ある。第2工程で得られる肥大化ポリマー(エポキシポ
リマー)の好ましい粒径範囲は1.5μm〜20μmで
あり、さらに好ましくは2μm〜15μmである。ま
た、90%以上の粒子が平均粒径±1μmの範囲にある
ことが好ましい。シード重合の際適当な希釈剤を重合性
モノマー相に存在させることにより多孔性のエポキシポ
リマー粒子を得る。多孔性にすることによって表面積が
増え、導入できる官能基量が増加するので、充填剤とし
て使用する際、試料負荷量を上げることができる。本発
明充填剤の製造法によれば、シードポリマー由来のポリ
マー成分がシード重合の際、相分離剤として作用する為
に希釈剤の効果以上に多孔質構造が発達する。本発明充
填剤は、その発達した多孔質構造の為に溶離液の粒子内
へ拡散性が良く、高流速の通液に耐えうるものである。
また同様の理由により架橋性モノマーの使用量を10〜
50重量%と低くできる為に、架橋性モノマー単位に由
来する母体樹脂の疎水性を低くすることができ、分離対
象物質の不可逆的吸着をも抑えることができるのであ
る。
【0022】第3工程により、第2工程で得られたエポ
キシポリマーを有機溶媒で処理することにより、主とし
てシードポリマー由来の線状可溶分を抽出除去する。抽
出に用いられる有機溶媒はシードポリマー中の線状可溶
分を溶解するものであればどのようなものでも良いが、
アセトン等のケトン系有機溶媒や1,2−ジクロロエタ
ン等のハロゲン化炭化水素系有機溶媒が好適に用いられ
る。抽出操作にはソックスレー抽出器を用いる方法や還
流管を付けたフラスコを用いるバッチ法等が挙げられ
る。この操作で抽出される線状可溶分の量は、分散重合
時に使用する架橋性モノマーの量やその重合条件に依存
するが、一般に、抽出した液を貧溶媒と混合することに
よりシードポリマーの25〜75重量%に相当する、平
均分子量が10万〜100万の線状可溶分が回収され
る。
【0023】次いで、第4工程により第3工程で得られ
たエポキシポリマーに官能基を導入する。その導入方法
としては、グリシジルメタクリレート由来のエポキシ基
を、水、エチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、アミノ糖等により開還変性し、生成し
た水酸基に直接あるいはスペーサーを介して官能基を結
合させる方法、あるいは該エポキシ基を開還変性せず、
直接あるいはスペーサーを介して官能基を結合させる方
法等を挙げることができる。導入する官能基としてはイ
オン交換基、疎水性基、アフィニティリガンド等が挙げ
られ、用いられるクロマトグラフィーの様式に応じて選
択できる。具体的にはカルボキシル基やスルホプロピル
基等の陽イオン交換基、1級から4級のアミノ基等の陰
イオン交換基、脂肪族または芳香族アルキル基等の疎水
性基、色素、レクチン、酵素、阻害剤、抗体、ペプチ
ド、DNA等の各種アフィニティリガンド等が挙げられ
る。官能基の導入量は樹脂の滴定や元素分析、あるいは
導入前後の重量変化等により推定できる。また、その好
適な導入量は目的に応じて適宜選択される。
【0024】
【作用】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤は、
特定の製造方法により製造することにより、シードポリ
マーの粒径均一性をシード重合後の肥大化ポリマーに反
映させた担体である。また、シードポリマー由来の線状
ポリマー成分がシード重合の際、相分離剤として作用す
る為に希釈剤の添加効果以上に多孔質構造が発達したも
のである。従って、本発明の液体クロマトグラフィー用
充填剤は粒径の均一性と発達した多孔質構造の効果によ
り、従来の同じ平均粒径の担体を用いた場合よりもカラ
ム差圧が低く、高速で溶離液を流すことができ、分離パ
ターンもシャープで理論段数も高い。また、架橋性モノ
マーの使用量を少なくすることができる為に、架橋性モ
ノマー単位に由来する樹脂母体の疎水性を低くすること
ができ、分離対象物質の不可逆的吸着を抑えることがで
きる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】実施例1 (1)エポキシポリマーの製造 ポリビニルピロリドン(商品名K−30:東京化成株式
会社製、平均分子量40,000)2.26g、グリシ
ジルメタクリレート21.95gをエタノール85.5
2g中に溶解させ、窒素ガスで溶存酸素を置換後70℃
に昇温した。この溶液に、20重量%の2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリルを溶解したアセトン溶液1.1
0gを添加した。約20秒後にポリマー粒子の析出が始
まり、5分後には反応系全体が白濁した。更に6時間、
70℃で反応させ分散重合を続けた。放冷後、ポリマー
粒子を単離し、0.1%のドデシル硫酸ナトリウム水溶
液で洗浄した。この操作におけるポリマー粒子の回収量
は18gであった。この粒子を電子顕微鏡で観察したと
ころ、粒径が1.6〜1.9μmの極めて粒径分布の狭
い球状粒子であることが確認された。この球状粒子をシ
ードポリマーとして以下の操作を行った。
【0027】まず2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル0.76g、エチレングリコールジメタクリレート2
2.7g、グリシジルメタクリレート52.9g、1,
2−ジクロロエタン37.8g、トルエン37.8g、
ドデシル硫酸ナトリウム1.27g、及び水544gを
混合し、大部分の油滴の粒径が、0.1〜3μmの範囲
となるように微分散し乳化液を調製した。次いで、この
乳化液を先の分散重合て得られたシードポリマー6.2
g、ドデシル硫酸ナトリウム0.6g及び水60gから
成る水性分散液に、室温にて3回に分けて添加し、その
ままの温度で13時間ゆっくり攪拌しながら油滴をシー
ドポリマーに吸収させた。次いで、これに1%ポリビニ
ルアルコール水溶液567gを加え、70℃で8時間シ
ード重合を行った。放冷後、遠心分離してポリマー粒子
を単離し、水及びメタノールで洗浄した。単離したポリ
マー粒子に10重量倍のアセトンを加え、70℃で10
分間加熱処理することによりシードポリマー由来の線状
可溶分を抽出除去した。この抽出除去操作を3回繰り返
した後、ろ過し、乾燥した。抽出液は回収し、1/10
量まで濃縮した後、20倍量の水に添加することにより
シードポリマー由来の線状可溶分を沈澱として回収し
た。得られた沈澱を濾過し乾燥したところ1.9gであ
り、シードポリマーの少なくとも31%が抽出除去され
たことを確認した。沈澱として回収した線状可溶分を
1,2−ジクロロエタンに溶解し、GPCにより分子量
を測定したところ重量平均分子量が24万であった。一
方、乾燥後のポリマー粒子の収率はシード重合の仕込み
原料に対し、約70%であった。この重合で得られたポ
リマー粒子は、走査電子顕微鏡により観察したところ、
平均粒径4.0μmの多孔性粒子であり、90%以上の
粒子が平均粒径±1μm以内にあることが確認された。
また、ポロシメーターによりその多孔度を測定したとこ
ろ、細孔容積が0.35ml/g、細孔半径が550Å
であり、また窒素吸着法により測定した表面積は11.
4m2 /gであった。
【0028】(2)官能基の導入 前記(1)で得られたエポキシポリマー50gを10%
2 SO4 水溶液535g中、50℃の温度下で5時間
加熱することにより加水分解を行ない、エポキシ環の開
環反応を行なった。反応終了後、ポリマーをろ別し、脱
塩水にて十分に洗浄し、乾燥した。こうして得られた水
酸基を有するポリマー50gに5N−NaOH水溶液2
00mlを加え含浸させた。次いで、ジエチルアミノエ
チルクロライドの50重量%水溶液300gを添加し、
50℃にて6時間反応させ、ジエチルアミノエチル基を
導入した。反応終了後、ポリマーをろ別し、脱塩水、1
N−HCl水溶液、脱塩水の順で洗浄した。得られた樹
脂の陰イオン交換容量は乾燥重量1g当たり0.32ミ
リ当量であった。
【0029】(3)分離性能評価 (2)で得られたジエチルアミノエチル基を有する樹脂
2.0g(湿潤状態)を定圧ポンプにて内径4.6m
m、長さ50mmのステンレス製カラムに充填し、得ら
れた充填カラムを島津社製高速液体クロマトグラフLC
−6Aシステムに接続して分離性能評価を行なった。試
料としてはミオグロビン、オバルブミン、トリプシンイ
ンヒビターの混合液を用いた。その測定条件は以下に示
す通りである。
【0030】流速:1.4ml/分 溶離:下記AからBへ、10分直線グラジエント A:20mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン・塩
酸塩緩衝液(pH8.0) B:A+0.5M塩化ナトリウム 検出:UV280nm 温度:25℃ サンプル注入量:5μl サンプル濃度: ミオグロビン:2.5μg/5μl オバルブミン:5μg/5μl トリプシンインヒビター:5μg/5μl
【0031】得られたクロマトグラムを図1に示した。
このクロマトグラムからオバルブミンとトリプシンイン
ヒビターの分離度は9.8と計算され、非常に良好な分
離が得られていることがわかる。また、この測定条件に
おける通液時の圧力は、40kg/cm2 であり、従来
の懸濁重合法で製造した同様の粒径を有するものに比
べ、はるかに低いものであった。また、サンプル回収率
も89%であり、極めて低いサンプル負荷量にも拘わら
ず良好な結果を与えた。
【0032】実施例2 ポリビニルピロリドン(商品名K−30:東京化成株式
会社製、平均分子量40,000)2.26gをエタノ
ール85.52g中に溶解させ、窒素ガスで溶存酸素を
置換後70℃に昇温した。この溶液にグリシジルメタク
リレート26.33g、メチルメタクリレート2.93
g、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.146
gの溶液を添加した。約3分後にポリマー粒子の析出が
始まり、5分後には反応系全体が白濁した。更に6時
間、70℃で反応させ分散重合を続けた。放冷後、ポリ
マー粒子を単離し、0.1%のドデシル硫酸ナトリウム
水溶液で洗浄した。この粒子を電子顕微鏡で観察したと
ころ、粒系が2.0〜2.5μmの極めて粒系分布の狭
い球状粒子であることが確認された。これをシードポリ
マーとして以下の操作を行なった。
【0033】まず2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル1.01g、エチレングリコールジメタクリレート2
7.3g、グリセリンジメタクリレート3.0g、グリ
シジルメタクリレート70.5g、1,2−ジクロロエ
タン50.4g、トルエン30.2g、ドデシル硫酸ナ
トリウム1.69g、及び水725gを混合し、大部分
の油滴の粒径が、0.1〜3μmの範囲となるように微
分散して乳化液を調製した。次いで、この乳化液を先の
分散重合で得られたシードポリマー8.2g、ドデシル
硫酸ナトリウム0.8g及び水80gから成る水性分散
液に、室温にて3回に分けて添加し、そのままの温度で
13時間ゆっくり攪拌しながら油滴をシードポリマーに
吸収させた。次いで、これに1%ポリビニルアルコール
水溶液756gを加え、70℃で8時間シード重合を行
った。放冷後、遠心分離して単離し、水及びメタノール
で洗浄した。単離したポリマー粒子には10重量倍のア
セトンを加え、70℃で10分間加熱処理することによ
りシードポリマー由来の線状可溶分を抽出除去した。こ
の抽出除去操作を3回繰り返した後ろ過し、乾燥した。
抽出液は回収し、1/10量まで濃縮した後、20倍量
の水に添加することによりシードポリマー由来の線状可
溶分を沈澱として回収した。得られた沈澱をろ過し乾燥
したところ4.9gであり、シードポリマーの少なくと
も60%が抽出除去されたことを確認した。沈澱として
回収した線状可溶分を1,2−ジクロロエタンに溶解
し、GPCにより分子量を測定したところ重量平均分子
量が12万であった。乾燥後のエポキシポリマー粒子の
収率はシード重合の仕込み原料に対し、75%であっ
た。この重合で得られたポリマー粒子は、走査電子顕微
鏡により観察したところ、平均粒径6.5μmの多孔性
粒子であり、90%以上の粒子が平均粒径±1μm以内
にあることが確認された。
【0034】得られたエポキシポリマーを用い、実施例
1と全く同様の方法によりジエチルアミノエチル基を導
入した。得られた樹脂の陰イオン交換容量は乾燥重量1
g当たり0.41ミリ当量であった。この樹脂を実施例
1と全く同様にして分離性能の評価を行なったところ、
実施例1と同様のクロマトパターンが得られ、オバルブ
ミンとトリプシンインヒビターの分離度が7.5と良好
な分離が得られた。また、サンプル回収率も90%と良
好であった。
【0035】実施例3 ポリビニルピロリドン(商品名K−30:東京化成株式
会社製、平均分子量40,000)2.26g、グリシ
ジルメタクリレート37.6gをエタノール85.52
g中に溶解させ、窒素ガスで溶存酸素を置換後70℃に
昇温した。この溶液に20重量%の2,2′−アゾビス
イソブチロニトリルを溶解したアセトン溶液1.88g
を添加した。約25秒後にポリマー粒子の析出が始ま
り、5分後には反応系全体が白濁した。更に6時間、7
0℃で反応させた分散重合を続けた。放冷後、ポリマー
粒子を単離し、0.1%のドデシル硫酸ナトリウム水溶
液で洗浄した。この操作におけるポリマー粒子の回収量
は29gであった。この粒子を電子顕微鏡で観察したと
ころ、粒径が2.6〜3.0μmの極めて粒径分布の狭
い球状粒子であることが確認された。このポリマー粒子
をシードポリマーとして以下の操作を行った。
【0036】まず2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル1.01g、エチレングリコールジメタクリレート2
0.1g、グリシジルメタクリレート80.6g、1,
2−ジクロロエタン40.3g、トルエン40.3g、
ドデシル硫酸ナトリウム1.69g、及び水725gを
混合し、大部分の油滴の粒径が、0.1〜3μmの範囲
となるように微分散し、乳化液を調製した。次いで、こ
の乳化液を、先の分散重合で得られたシードポリマー
8.2g、ドデシル硫酸ナトリウム0.8g及び水80
gから成る水性分散液に、室温にて3回に分けて添加
し、そのままの温度で13時間ゆっくり攪拌しながら油
滴をシードポリマーに吸収させた。次いで、これに1%
ポリビニルアルコール水溶液756gを加え、70℃で
8時間シード重合を行った。放冷後、遠心分離してポリ
マー粒子を単離し、水及びメタノールで洗浄した。単離
したポリマー粒子に10重量倍のアセトンを加え、70
℃で10分間加熱することによりシードポリマー由来の
線状可溶分を抽出除去した。この抽出除去操作を3回繰
り返した後、ろ過し、乾燥した。抽出液は回収し、1/
10量まで濃縮した後、20倍量の水に添加することに
よりシードポリマー由来の線状可溶分を沈澱として回収
した。得られた沈澱を濾過し乾燥したところ2.9gで
あり、シードポリマーの少なくとも35%が抽出除去さ
れたことを確認した。沈澱として回収した線状可溶分を
1,2−ジクロロエタンに溶解し、GPCにより分子量
を測定したところ重量平均分子量が32万であった。乾
燥後のエポキシポリマー粒子の収率はシード重合の仕込
み原料に対し、68%であった。この重合で得られたポ
リマー粒子は、走査電子顕微鏡により観察したところ、
平均粒径7.5μmの多孔質粒子であり、90%以上の
粒子が平均粒径±1μm以内にあることが確認された。
【0037】得られたエポキシポリマーを用い、実施例
1と全く同様にしてエポキシ環の開環反応を行なった。
次いで、プロパンスルトンと反応させることにより強酸
性陽イオン交換基であるスルホプロピル基を導入した。
得られた樹脂の陽イオン交換容量は乾燥重量1g当たり
0.47ミリ当量であった。この樹脂を実施例1と同様
にして内径7.5mm、長さ75mmのステンレス製カ
ラムに充填し、分離性能の評価を行なった。試料として
はリボヌクレアーゼ、A、チトクロームC、リゾチーム
の混合液を用いた。その測定条件は以下に示す通りであ
る。
【0038】流速:1.0ml/分 溶離:下記AからBへ、20分直線グラジエント A:20mMリン酸緩衝液(pH6.5) B:A+0.5M塩化ナトリウム 検出:UV280nm 温度:25℃ サンプル注入量:5μl サンプル濃度: リボヌクレアーゼ A:65μg/5μl チトクロームC:45μg/5μl リゾチーム:30μg/5μl 得られたクロマトグラムを図2に示したが、良好な分離
が得られていることがわかる。
【0039】実施例4 ポリビニルピロリドン(商品名K−30:東京化成株式
会社製、平均分子量40,000)2.26g、グリシ
ジルメタクリレート29.26gをエタノール85.5
2g中に溶解させ、窒素ガスで溶存酸素を置換後70℃
に昇温した。この溶液に20重量%の2,2′−アゾビ
スイソブチロニトリルを溶解したアセトン溶液1.46
gを添加した。約20秒後にポリマー粒子の析出が始ま
り、5分後には反応系全体が白濁した。更に6時間、7
0℃で反応させ分散重合を続けた。放冷後、ポリマー粒
子を単離し、0.1%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液
で洗浄した。この操作におけるポリマー粒子の回収量は
23gであった。この粒子を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、粒径が1.8〜2.2μmの極めて粒径分布の狭い
球状粒子であることが確認された。この球状粒子をシー
ドポリマーとして以下の操作を行った。
【0040】まず2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル1.01g、エチレングリコールジメタクリレート3
0.3g、グリシジルメタクリレート70.5g、1,
2−ジクロロエタン80.6g、ドデシル硫酸ナトリウ
ム1.69g、及び水725gを混合し、大部分の油滴
の粒径が、0.1〜3μmの範囲となるように微分散
し、乳化液を調製した。次いで、この乳化液を先の分散
重合で得られたシードポリマー8.2g、ドデシル硫酸
ナトリウム0.8g及び水80gから成る水性分散液
に、室温にて3回に分けて添加し、そのままの温度で1
3時間ゆっくり攪拌しながら油滴をシードポリマーに吸
収させた。次いで、これに1%ポリビニルアルコール水
溶液756gを加え、70℃で8時間シード重合を行っ
た。放冷後、遠心分離してポリマー粒子を単離し、水及
びメタノールで洗浄した。単離したポリマー粒子に10
重量倍のアセトンを加え、70℃で10分間加熱処理す
ることにより、シードポリマー由来の線状可溶分を抽出
除去した。この抽出除去操作を3回繰り返した後ろ過
し、乾燥した。抽出後は回収し、1/10量まで濃縮し
た後、20倍量の水に添加することによりシードポリマ
ー由来の線状可溶分を沈澱として回収した。得られた沈
澱を濾過し乾燥したところ3.0gであり、シードポリ
マーの少なくとも37%が抽出除去されたことを確認し
た。沈澱として回収した線状可溶分を1,2−ジクロロ
エタンに溶解し、GPCにより分子量を測定したところ
重量平均分子量が28万であった。乾燥後のエポキシポ
リマー粒子の収率はシード重合の仕込み原料に対し、7
5%であった。この重合で得られたポリマー粒子は、走
査電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径5.8μ
mの多孔性粒子であり、90%以上の粒子が平均粒径±
1μm以内にあることが確認された。得られたエポキシ
ポリマーを用い、実施例1と全く同様にしてエポキシ環
の開環反応を行なった。次いで水酸化ナトリウム水溶液
存在下、モノクロロ酢酸と反応させ、弱酸性陽イオン交
換基であるカルボキシメチル基を導入した。得られた樹
脂の陽イオン交換容量は乾燥重量1g当たり0.36ミ
リ当量であった。この樹脂を実施例3と全く同様にして
評価した。そのクロマトグラフムを図3に示したが良好
な分離が得られていることがわかる。
【0041】実施例5 実施例3と全く同様にしてシードポリマーを製造し、更
に以下の操作を行ってエポキシポリマーを製造した。ま
ず2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.51g、
エチレングリコールジメタクリレート15.2g、グリ
シジルメタクリレート35.3g、1,2−ジクロロエ
タン50.5g、ドデシル硫酸ナトリウム0.85g及
び水363gを混合し、大部分の油滴の粒径が、0.1
〜3μmの範囲となるように微分散し、乳化液を調製し
た。次いで、この乳化液を、先の分散重合で得られたシ
ードポリマー4.1g、ドデシル硫酸ナトリウム0.4
g及び水40gから成る水性分散液に、室温にて3回に
分けて添加し、そのままの温度で13時間ゆっくり攪拌
しながら油滴をシードポリマーに吸収させた。次いで、
これに1%ポリビニルアルコール水溶液378gを加
え、70℃で8時間シード重合を行った。放冷後、遠心
分離してポリマー粒子を単離し、水及びメタノールで洗
浄した。単離したポリマー粒子に10重量倍のアセトン
を加え、70℃で10分間加熱処理することにより、シ
ードポリマー由来の線状可溶分を抽出除去した。この抽
出除去操作を3回繰り返した後ろ過し、乾燥した。抽出
液は回収し、1/10量まで濃縮した後、20倍量の水
に添加することによりシードポリマー由来の線状可溶分
を沈澱として回収した。得られた沈澱をろ過し乾燥した
ところ2.1gであり、シードポリマーの少なくとも5
1%が抽出除去されたことを確認した。沈澱として回収
した線状可溶分を1,2−ジクロロエタンに溶解し、G
PCにより分子量を測定したところ重量平均分子量が2
5万であった。乾燥後のエポキシポリマー粒子の収率は
シード重合の仕込み原料に対し、約65%であった。こ
の重合で得られたポリマー粒子は、走査電子顕微鏡によ
り観察したところ、平均粒径5.6μmの多孔性粒子で
あり、90%以上の粒子が平均粒径±1μm以内にある
ことが確認された。得られた原料エポキシポリマーを用
い、実施例1と全く同様にしてエポキシ環の開環反応を
行なった後、エピクロロヒドリンを反応させ、更にトリ
メチルアミンを反応させ、強塩基性陰イオン交換基であ
る4級アンモニウム基を導入した。得られた樹脂の陽イ
オン交換容量は乾燥重量1g当たり0.62ミリ当量で
あった。この樹脂を実施例1と同様にして内径7.5m
m、長さ75mmのステンレス製カラムに充填し、分離
性能の評価を行なった。試料としてはミオグロビン、オ
バルブミン、トリプシンインヒビターの混合液を用い
た。その測定条件は以下に示す通りである。
【0042】流速:1.0ml/分 溶離:下記AからBへ、20分直線グラジエント A:20mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン・塩
酸緩衝液(pH7.9) B:A+0.5M塩化ナトリウム 検出:UV280nm 温度:25℃ サンプル注入量:10μl サンプル濃度: ミオグロビン:30μg/10μl オバルブミン:160μg/10μl トリプシンインヒビター:100μg/10μl そのクロマトグラムを図4に示したが良好な分離が得ら
れていることがわかる。
【0043】実施例6 (1)エポキシポリマーの製造 ポリビニルピロリドン(商品名K−30:東京化成株式
会社製、平均分子量40,000)2.26g、グリシ
ジルメタクリレート20.82g、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート1.09g、ジエチレングリコールジ
メタクリレート0.0439gをエタノール85.52
g中に溶解させ、窒素ガスで溶存酸素を置換後70℃に
昇温した。この溶液に20重量%の2,2′−アゾビス
イソブチロニトリルを溶解したアセトン溶液0.66g
を添加した。約20秒後にポリマー粒子の析出が始ま
り、4分後には反応系全体が白濁した。更に6時間、7
0℃で反応させ分散重合を続けた。放冷後、ポリマー粒
子を単離し、0.1%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液
で洗浄した。この操作におけるポリマー粒子の回収量は
20gであった。この粒子を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、粒径が1.5〜1.8μmの極めて粒径分布の狭い
球状粒子であることが確認された。このポリマー粒子を
シードポリマーとして以下の操作を行った。
【0044】まず2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル1.01g、エチレングリコールジメタクリレート3
5.4g、ジビニルベンゼン(純度55%)5.0g、
グリシジルメタクリレート50.5g、メチルメタクリ
レート10.1g、1,2−ジクロロエタン80.7
g、ドデシル硫酸ナトリウム0.85g及び水363g
を混合し、大部分の油滴の粒径が、0.1〜3μmの範
囲となるように微分散し、乳化液を調製した。次いで、
この乳化液を先の分散重合で得られたシードポリマー
8.2g、ドデシル硫酸ナトリウム0.8g及び水80
gから成る水性分散液に、室温にて3回に分けて添加
し、そのままの温度で13時間ゆっくり攪拌しながら油
滴をシードポリマーに吸収させた。次いで、これに1%
ポリビニルアルコール水溶液756gを加え、70℃で
8時間シード重合を行った。放冷後、遠心分離でポリマ
ー粒子を単離し、水及びメタノールで洗浄した。単離し
たポリマー粒子に10重量倍のアセトンを加え、70℃
で10分間加熱処理することによりシードポリマー由来
の線状可溶分を抽出除去した。この抽出除去操作を3回
繰り返した後ろ過し、乾燥した。抽出液は回収し、1/
10量まで濃縮した後、20倍量の水に添加することに
よりシードポリマー由来の線状可溶分を沈澱として回収
した。得られた沈澱をろ過し乾燥したところ2.2gで
あり、シードポリマーの少なくとも27%が抽出除去さ
れたことを確認した。沈澱として回収した線状可溶分を
1,2−ジクロロエタンに溶解し、GPCにより分子量
を測定したところ重量平均分子量が28万であった。乾
燥後のポリマー粒子の収率はシード重合の仕込み原料に
対し、約78%であった。この重合で得られたポリマー
粒子は、走査電子顕微鏡により観察したところ、平均粒
径5.7μmの多孔性粒子であり、90%以上の粒子が
平均粒径±1μm以内にあることが確認された。得られ
たエポキシポリマーを用い、実施例1と全く同様にして
エポキシ環の開環反応を行なった後、エピクロロヒドリ
ンを反応させた。導入されたグリシジル基の量は乾燥重
量1g当たり0.29ミリ当量であった。更にこの樹脂
にブチルアルコールを反応させてブチル基を導入し、疎
水性クロマトグラフィー担体を製造した。このものを常
法に従って実施例1と同様にして内径7.5mm、長さ
75mmのステンレス製カラムに充填し、分離性能の評
価を行なった。試料としてはミオグロビン、オバルブミ
ン、トリプシンインヒビターの混合液を用いた。その測
定条件は以下に示す通りである。
【0045】流速:1.0ml/分 溶離:下記AからBへ、20分直線グラジエント A:B+1.7M硫酸アンモニウム B:0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8) 検出:UV280nm 温度:25℃ サンプル注入量:8μl サンプル濃度: ミオグロビン:15μg/5μl オバルブミン:85μg/5μl トリプシンインヒビター:55μg/5μl 得られたクロマトグラムから各蛋白質の保持時間を求め
たところ、以下の表のようになり、良好な分離が得られ
ていることがわかる。
【0046】
【0047】比較例1 実施例1の第2工程で含浸させた重合性モノマー及び希
釈剤を用い、通常の懸濁重合により実施例1と同じ平均
粒径を有するポリマー粒子を製造した。得られたポリマ
ー粒子を風ヒ分級(歩留まり18%)後、実施例1と同
様の方法で、ジエチルアミノエチル基を導入した。得ら
れた樹脂の交換容量は0.35ミリ当量であった。さら
に実施例1と同一の条件で蛋白質の分離を行ったとこ
ろ、分級したにも拘らず粒径分布が広く、実施例1と同
様の通液条件では測定圧力が150kg/cm2 以上と
なり同一流速での分離は不可能であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の液体クロマトグラフィー用充填
剤は、従来の液体クロマトグラフィー用充填剤に比較し
て、粒径分布が狭い為に通液時のカラム差圧が低く、小
粒径である為に分離段数が高く、また樹脂母体の親水性
が高い為に分離対象物質の不可逆的吸着が少ないと言う
利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤を用
いて蛋白質混合物を分離した際のクロマトグラムを示す
図であり、夫々、縦軸は吸光度、横軸は時間(分)を表
わす。
【図2】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤を用
いて蛋白質混合物を分離した際のクロマトグラムを示す
図であり、夫々、縦軸は吸光度、横軸は時間(分)を表
わす。
【図3】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤を用
いて蛋白質混合物を分離した際のクロマトグラムを示す
図であり、夫々、縦軸は吸光度、横軸は時間(分)を表
わす。
【図4】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤を用
いて蛋白質混合物を分離した際のクロマトグラムを示す
図であり、夫々、縦軸は吸光度、横軸は時間(分)を表
わす。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−119937(JP,A) 特開 昭63−94155(JP,A) 特開 平4−35743(JP,A) 特開 昭58−177140(JP,A) 特開 昭56−151712(JP,A) 特開 昭61−142459(JP,A) 特開 平2−36351(JP,A) 特開 昭62−63856(JP,A) 特開 昭64−26617(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/22 - 20/26 G01N 30/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記各工程により得られる液体クロマト
    グラフィー用充填剤 第1工程 グリシジルメタクリレート60〜100(重量)%、多
    価アルコールと炭素−炭素2重結合を有するモノカルボ
    ン酸とのポリエステル架橋性モノマー0〜1(重量)
    %、グリシジルメタクリレート以外の炭素−炭素2重結
    合を有するモノ不飽和化合物0〜40(重量)%を含む
    混合物を、該混合物を溶解するが生成するポリマーは溶
    解しない溶媒の存在下に分散重合し、シードポリマーを
    製造する。 第2工程 第1工程において製造したシードポリマー及び該シード
    ポリマーの2〜20重量倍の重合性モノマーを、該重合
    性モノマーの40〜200(重量)%の希釈剤の存在
    下、シード重合してエポキシポリマーを製造する。但
    し、該重合性モノマーは、多価アルコールと炭素−炭素
    2重結合を有するモノカルボン酸とのポリエステル架橋
    性モノマー10〜50(重量)%、グリシジルメタクリ
    レート50〜90(重量)%及びグリシジルメタクリレ
    ート以外の炭素−炭素2重結合を有するモノ不飽和化合
    物0〜40(重合)%を含有する。 第3工程 第2工程で得られたエポキシポリマーを有機溶媒で処理
    し、可溶分を抽出除去する。 第4工程 第3工程において処理したエポキシポリマーに官能基を
    導入する。
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