JP2010136638A - 食品用物性改良剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品の様々な分野において使用可能な添加剤を提供することであり、具体的には、強い乳化安定性を与える食品用乳化剤、穀物食品の結着防止や澱粉含有食品の老化抑制,小麦粉または小麦グルテンに用いる物性改良剤、並びに口溶けや脆さを与える冷菓用物性安定剤を提供することにある。
【解決手段】水溶性大豆多糖類に架橋化処理を施した、架橋化大豆多糖類を用いることで、これらの課題を解決する、食品用物性改良剤を得ることができた。
【選択図】なし

Description

本願発明は、架橋化大豆多糖類を有効成分とする食品用物性改良剤に関する。
(乳化剤)
一般に、乳化剤は、単分子系乳化剤と高分子系乳化剤に大別することができる。単分子系乳化剤は所謂界面活性剤であり、脂肪酸石鹸やグリセリンエステル,シュガーエステル等がある。高分子系乳化剤にはアラビアガムに代表されるガム質やカゼインのような天然物がある。これらの乳化剤は用途によって適当に配合して使用しているが、単分子系乳化剤は一般にpHの変化に弱かったり、塩の添加や希釈による濃度の変化によって乳化性が失われるという問題を残している。
天然の高分子であるアラビアガムのようなものでは、安定な乳化状態を得るには高濃度の使用が必要な上、その供給量が生産国の天候に左右され易いために価格の変動が激しく、安定供給可能な天然の高分子乳化剤が望まれている。水溶性大豆多糖類は、これら欠点に対して供給が安定している上に、強い乳化安定性を与えることが知られている(特許文献1)が、更なる乳化力の改善が望まれていた。
(結着防止剤)
米飯や麺類は、保存中に食品同士が結着し、団子状になることがある。これら結着した食品は、食べにくく、おいしくなく、加熱をしてもムラとなって効率が悪い。この食品同士の結着性を低減し、ほぐれ性を改善する従来の方法としては、油脂または乳化油脂を混合する方法(特許文献2)、HLBの高いショ糖脂肪酸エステルを添加する方法(特許文献3)、有機酸を添加する方法(特許文献4)などがある。また、水溶性大豆多糖類も本目的に使用されている(特許文献5)。しかし水溶性大豆多糖類でも機能が十分ではなく、また使用量を増やすことで機能を向上させた場合は異風味を感じたり等の問題が残っている。
(老化抑制剤)
一般に、加熱し糊化した澱粉は時間が経つにつれて老化現象を起こし硬化する。そのため、クッキー,スポンジケーキ,パン,米菓,餅類,中華まん,葛餅,蕨餅等の澱粉含有食品は、澱粉質の老化(硬化)により食感が変化しやすく、また一部の透明な食品は白色不透明化を起こす。その澱粉の老化を抑制する目的で、種々の方法が用いられている。例えば原料中に油脂類や乳化剤等を添加する手段が慣用されているが、今日では、食品の低カロリー化への要望から油脂量を少なくする傾向にあり、また乳化剤の多用は、該製品の風味を悪くするという欠点を有する。また、焼成,蒸し,炊き上げ等を経て製造した澱粉含有食品を、製造後に凍結する方法がとられているが、解凍後の急激な老化(硬化)等の問題がある。餅類及び餅菓子類は、例えば砂糖や水飴等の糖類を添加して老化現象を遅延させる方法が行われてきたが、かかる方法では製品の甘味が強く、消費者に敬遠される傾向にある。水溶性大豆多糖類も本目的に使用され、老化抑制効果を示す(特許文献6)が、その機能はまだ十分ではなく、更なる改良が望まれていた。
(グルテン物性改良剤)
小麦粉はパンや菓子類,バッター等の幅広い分野に、その主原料として用いられている。また、その主成分のひとつのグルテンも、小麦より分離され、様々な食品素材として用いられている。例えば、焼麩や麩菓子の原料としたり、ベーカリー製品に添加し容積を増大したり、揚げ物衣用のバッター,麺類や水産練り製品に品質改良剤として添加したりといった、様々な用途に用いられている。
グルテンは水に不溶なために、それを利用して各種食材に使用できる一方で、グルテンの可溶化を行ない、新たな物性を付与することができる。特に、小麦から得られる生グルテンを乾燥した活性グルテンは、広く種々の用途に用いられている。これを調製するに当り、スプレードライ法がよく用いられているが、水への分散性が悪いグルテンに対し、分散性を確保するために添加する無機酸や有機酸,アルカリ,還元剤等の影響によりグルテンの風味,色調を損ね、ゲル強度等の物性が悪くなるといった問題がある。
また、小麦粉製品の調製に於て、そのドゥの粘弾性を維持するためや、麩饅頭等の成形効率の向上,揚げ物へのクリスピー感の付与、あるいは、活性グルテン調製時の分散性を向上させる目的で、水溶性大豆多糖類が使用されている(特許文献,7,8)。しかし、水溶性大豆多糖類でもこれらの機能は必ずしも十分ではなく、更なる改良を求められている。
(冷菓)
冷菓には、アイスクリーム類と呼ばれるアイスクリーム,アイスミルク,ラクトアイス,および、氷菓と呼ばれるアイスキャンデー,かき氷,かち割り氷,シャーベット等がある。最終製品に高いオーバーラン性を与えることで、コスト低減や食感改良を行ない、製造工程を安定させ、常温下においてもすぐに溶けないといった、いわゆる保型性を付与するために、並びにアイスクリーム類のコクや粘りを付与し、またアイスキャンデーやシャーベットの氷結晶改質による食感変化を与えるために、グアーガム,ペクチン,タラガム,カロブビーンガム,タマリンド種子多糖類,カラギーナン,アルギン酸ナトリウム,カルボキシメチルセルロースナトリウム,寒天,キサンタンガム,ジェランガムといった多糖類やゼラチン、澱粉といった物質が単独もしくは併用されて使用されてきた。しかし、これら従来の冷菓用安定剤は、ボディー感,粘りといった、重い食感を付与してしまうこともあった。これらの欠点を克服するものとして、水溶性大豆多糖類が本目的に使用されている(特許文献9)が、水溶性大豆多糖類でも口溶けや脆さといった食感改良機能が十分ではなかった。
特開平6-121922号公報 特開平3-175940号公報 特公昭60-8103号公報 特開昭61-181350号公報 特開平06-121647号公報 特開平10-150938号公報 特開平11-169117号公報 特願2007-316798 特開2001-161280号公報
本願発明の目的は、食品の様々な分野において使用可能な添加剤を提供することであり、具体的には、強い乳化安定性を与える食品用乳化剤、穀物食品の結着防止や澱粉含有食品の老化抑制および小麦粉または小麦グルテンに用いる物性改良剤、並びに口溶けや脆さを与える冷菓用物性安定剤を提供することにある。
本願発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、架橋処理を施した水溶性大豆多糖類が、ここに列挙した課題を解決する種々の食品物性改良機能を有することを見出し、本願発明を完成させた。
即ち、本願発明は、
(1)架橋化大豆多糖類を有効成分とする、食品用物性改良剤。
(2)食品用乳化剤として用いられる、(1)に記載の食品用物性改良剤。
(3)穀物食品用結着防止剤として用いられる、(1)に記載の食品用物性改良剤。
(4)澱粉含有食品老化抑制剤として用いられる、(1)に記載の食品用物性改良剤。
(5)小麦粉または小麦グルテンの物性改良剤として用いられる、(1)に記載の食品用物性改良剤。
(6)冷菓用物性安定剤として用いられる、(1)に記載の食品用物性改良剤。
に関するものである。
本願発明によれば、架橋化大豆多糖類を用いることで、従来の水溶性大豆多糖類よりも優れた乳化安定性を与える食品用乳化剤,穀物食品の結着防止剤や澱粉含有食品の老化抑制および小麦粉または小麦グルテン用の物性改良剤,並びに冷菓用安定剤である、食品用物性改良剤を得ることができる。
以下、本願発明を具体的に説明する。
(架橋化大豆多糖類)
架橋化大豆多糖類とは、水溶性大豆多糖類に架橋化処理を行なって得られた大豆多糖類である。本願発明に使用する水溶性大豆多糖類とは、種々の方法で得られる大豆多糖類を用いることができるが、例えば、特許第2599477号公報に記載された様な水溶性大豆多糖類を用いることができる。製造の一例を示せば、豆腐や豆乳、分離大豆蛋白質の製造時に副産物として得られるオカラや、脱脂大豆粕を原料として、水系下で蛋白質の等電点付近である弱酸性域で高温抽出し、固液分離により水溶性大豆多糖類を得ることができる。油分,蛋白質が共に少ない、分離大豆蛋白質製造時のオカラが原料に好ましく、抽出温度は100℃を超えると抽出効率が高く好ましい。この様に得られた水溶性大豆多糖類は、抽出濾液または抽出濾液の精製物に対して以下の架橋反応を行なっても良いし、抽出濾液またはその精製物を更に乾燥した物に対して架橋反応を行なっても良い。
上記の、水溶性大豆多糖類に架橋処理を行って得られたものが、架橋化大豆多糖類である。架橋処理としては、水溶性大豆多糖類分子間を直接架橋させることも出来るし、架橋剤を介して架橋させることも出来る。多糖類分子間を直接架橋させる方法を例示すると、水溶性大豆多糖類に、塩酸等の鉱酸をはじめとした各種の酸水溶液を、多糖類100gに対して2〜50m mol加え、水分量を0.5〜20重量%とした上で100℃〜160℃で加熱する。また、水溶性大豆多糖類を酵素処理や、放射線処理によって架橋しても良い。
水溶性大豆多糖類に架橋剤を介して架橋させる方法を例示する。大豆多糖類の水溶液に対し、種々の架橋剤を添加する。ここで言う架橋剤とは、特に限定されないが、リン酸,フィチン酸,ポリリン酸,メタリン酸,無水リン酸,ヘキサメタリン酸,トリメタリン酸、等のリン酸化合物及びその塩、並びに、オキシ塩化リン、エピクロロヒドリン,ホルムアルデヒド,グルタルアルデヒド,ジエポキシアルカン及びジエポキシアルケン等が例示出来る。中でも食品に利用する場合は、反応の効率からもリン酸化合物若しくはその塩類が好ましく、中でもトリメタリン酸若しくはその塩類が最も好ましい。添加する架橋剤の量は、架橋剤の種類や大豆多糖類の濃度によっても異なるが、例えば水溶性大豆多糖類の5重量%水溶液にトリメタリン酸ナトリウムを用いる場合、溶液中の固形分に対して好ましくは1重量%以上100重量%以下、更に好ましくは10重量%以上80重量%以下、最も好ましくは20重量%以上50重量%以下である。架橋剤の量が少なすぎると、架橋の効率が低く、架橋剤の量が多すぎると溶液の粘度が急激に上昇し、処理の過程でゾル化或はゲル化することがある。反応液中の水溶性大豆多糖類の濃度に合わせても、添加する架橋剤の濃度を調整する必要があり、水溶性大豆多糖類の濃度が高い場合、添加する架橋剤は上記値より少量にすることができる。尚、反応液中の大豆多糖類の濃度は、薄いと反応性が低く、高いと粘度上昇等が伴い取扱性が悪化するが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%が特に好ましい。また、架橋反応をする場合、反応時の水溶性大豆多糖類の粘性を調製するために、塩類を添加することもできる。塩類としては、水の溶解するものであって、NaCl,CaCl2などが好ましいものとして例示できる。
架橋剤としてリン酸化合物またはその塩類を用いた場合、それらを添加後の水溶液は、アルカリ条件で加熱処理することで、効率よく架橋反応を行なうことが出来る。本願発明の食品用物性改良機能を高めるには、アルカリ条件としては、好ましくはpH10以上、更に好ましくはpH12以上であり、且つ、好ましくはpH14未満、更に好ましくはpH13以下が良好である。また、加熱条件としては、好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上、最も好ましくは55℃以上であり、且つ、好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下が良好である。加熱時間は、好ましくは10分間以上、更に好ましくは30分以上であり、且つ、好ましくは4時間以下、更に好ましくは2時間以下が良好である。加熱pHおよび加熱温度が高い場合は、水溶性大豆多糖類がβ脱離反応等により分解することがあり、また、加熱pHおよび加熱温度が低い場合は、架橋反応性に劣る。この操作により、水溶性大豆多糖類は架橋が起こり、高分子画分が生成され、食品用物性改良効果を高めることが出来る。尚、発生する不溶化物を除去すると、水溶性画分のみを得ることができる。
水溶性大豆多糖類分子間を直接あるいは架橋剤を介して架橋させる以外に、水溶性大豆多糖類と他の高分子素材とを架橋させることも可能であり、本願の架橋化大豆多糖類はこれらも包含する。また、その際の反応方法や条件も水溶性大豆多糖類単独の場合に準じる。その高分子素材は特に限定されないが、デンプン,化工澱粉,デキストリン,セルロース,微結晶セルロース,発酵セルロース、各種修飾セルロース,寒天,カラギーナン,ファーセラン,グアーガム,ローカストビーンガム,タマリンド種子多糖類,タラガム,アラビアガム,トラガントガム,カラヤガム,ペクチン,キサンタンガム,プルラン,ジェランガムなどの多糖類、また乳蛋白質や大豆蛋白質などの蛋白質及びその分画物が例示される。混合する高分子素材は2種類以上であっても構わない。
得られた架橋化大豆多糖類はそのままで用いることも可能であるが、混在するミネラル成分を除去してもよい。脱塩精製処理の方法として、塩類が分離除去出来るいずれの方法でも構わない。メタノール,エタノール,イソプロパノール,アセトン等の極性有機溶媒を用いた沈殿法,電気透析,イオン交換樹脂あるいは疎水性樹脂,UF膜を用いた膜分画等が例示出来る。これらの1つ又は2つ以上の方法を組み合わせて用いることが好ましい。こうして精製された架橋化大豆多糖類溶液をプレート殺菌、或いは超高温短時間殺菌(UHT)等の殺菌処理を経た後、凍結乾燥,スプレードライ,加熱乾燥後に粉砕する等の方法により、粉体の架橋化大豆多糖類が得られる。
上記の方法で得られた架橋化大豆多糖類は、主要な構成糖として少なくともラムノース、フコース、アラビノース、ガラクトース、グルコース及びウロン酸を含む。尚、中性糖は、硫酸分解した後、HPLC-PAD法で分析した。ウロン酸は、D-ガラクツロン酸を標準物質としてBlumenkrantz法で比色定量した。以上の様な方法により得られた架橋化大豆多糖類は、後述する食品物性改良剤として、以下に挙げる種々の用途に用いることができる。
●第1形態
本願発明の第1形態は、強い乳化安定性を与える食品用乳化剤である。すなわち、以下に例示する乳化食品に本願発明を用いることで、その乳化状態を改善し、物性の改良を行なうことができる。
(乳化食品)
本願発明の食品用乳化剤を用いる乳化食品とは、マヨネーズ,ドレッシング,コーヒーホワイトナー,ホイップクリーム,各種の乳化香料等、食品に用いるまたは食品である水中油型乳化物のことを示す。架橋化大豆多糖類をこれら水中油型乳化物に用いると、例えばマヨネーズ,ドレッシングに用いた場合、キサンタンガムや澱粉を使用したときよりも、かなり粘度の低いサッパリしたマヨネーズ,ドレッシングを得ることができる。また、コーヒーホワイトナーやホイップクリームのようなクリーム類に使用することにより、pHの変化や希釈に対しても乳化破壊を起こし難いクリーム類を得ることができる。
さらに、乳化香料に使用すると、長期に渡って乳化が安定した乳化物を得ることができる。乳化香料とは、食品の着香や濁度付与を目的に、主にフレーバーを伴った油相を安定剤や乳化剤を用いて調製された水中油型乳化物であるが、本願発明は、従来のアラビアガムや水溶性大豆多糖類に比べ、強い乳化力を有し、安定した乳化状態を継続的に維持することが可能となる。
また賦形材と共に乳化させたフレーバーオイルをスプレードライヤーなどで乾燥して調製する粉末香料の乳化剤として、本願発明を使用した場合、アラビアガムや水溶性大豆多糖類を使用したときよりも、フレーバーリリースが良く、またフレーバーの持続性に優れた粉末香料が得られる。本願発明は、強い乳化力と安定した乳化状態が必要な、これら乳化香料または粉末香料に適しており、乳化香料に最も適している。
(食品用乳化剤)
本願発明において架橋化大豆多糖類は、上記の乳化食品に対して、単独で乳化剤として使用することができる。また、既存の乳化剤と併用することにより、既存の乳化剤の欠点を補うことができる。既存の乳化剤としては、脂肪酸石鹸に代表される各種アニオン界面活性剤、4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル,シュガーエステル等の非イオン界面活性剤、並びにレシチンの様な両性界面活性剤等が挙げられる。
また、以下に例示する高分子安定剤を併用することもできる。高分子安定剤としては、例えば、布海苔,寒天,カラギーナン,ファーセレラン,タマリンド種子多糖類,タラガム,カラヤガム,ペクチン,キサンタンガム,アルギン酸ナトリウム,トラガカントガム,ガディガム,グワーガム,ローカストビーンガム,プルラン,ジェランガム,アラビアガム,ゼラチン,ホエー等のアルブミン,カゼインナトリウム,各種澱粉等の天然系安定剤や、カルボキシメチルセルロース(CMC),メチルセルロース(MC),ヒドロキシエチルセルロース(HEC),アルギン酸プロピレングリコールエステルおよび可溶性澱粉に代表される化工澱粉等の半合成糊剤、ポリビニルアルコールやポリアクリル酸ナトリウム等の合成糊剤が例示できる。
本願発明における食品用乳化剤は、上記する各種乳化剤および安定剤の一種または二種以上と併用することにより一層効果が向上する場合があり、各種乳化剤の欠点を補うことができる。また、水相に蔗糖や水飴に代表される糖類や、グリセリン,D-ソルビトール,プロピレングリコールなどの多価アルコール類や、例えば、乳酸,食酢,クエン酸,りんご酸等の酸味料等を添加すれば、安定性が向上する場合がある。更に、L-アスコルビン酸,その誘導体、アミノカルボニル反応生成物などの退色防止剤や防腐剤等の添加物を入れることができる。
また、本願発明の食品用乳化剤が対象とする、水中油型乳化物に使用される油相は、水に難溶性の油性食用物質であれば何でもよく、一般の油脂類や油溶性香料,或いは油溶性色素,ワックス等が広く利用できる。
本願発明の架橋化大豆多糖類を含む乳化剤の使用量は、使用する乳化食品の形態により異なるが、例えば乳化香料に用いる場合には、乳化香料組成物の油相に対して、架橋化大豆多糖類として0.5〜200重量%加えることが好ましく、10〜100重量%加えることが更に好ましい。0.5重量%未満では、完全に乳化しないことがあり、また200重量%を超える濃度では、風味等に問題が起こることがある。
架橋化大豆多糖類単独または架橋化大豆多糖類を含む乳化剤の、乳化食品への添加方法は、乳化剤をまず水相に溶解し、続けて油相と混和した後に水中油型乳化物の調製を行なうか、予め調製した水中油型乳化物に対し、該乳化剤が溶解した水相を添加するか、予め調製した水中油型乳化物に対し、乾燥した該乳化剤を加えるなどの方法が挙げられる。
●第2形態
本願発明の第2形態は、穀物食品用結着防止剤である。すなわち、以下に例示する穀物食品に本願発明を用いることで、穀物食品の結着を効果的に防止することができる。
(穀物原料)
本願発明の穀物原料とは、米,小麦,大麦,稗,粟,とうもろこし等のイネ科植物や蕎麦,大豆等の種子、や、その粉砕品、更に、その粉砕品から澱粉や蛋白質の組成により分画したものや、澱粉や蛋白質をそれぞれ濃縮あるいは化工処理または分離したものを広く穀物原料と定義する。具体的には、脱皮,脱胚軸した精白米等やその粉砕品である米粉、ロール粉砕機を用いて原料小麦を粉化し篩分けを行い、ふすま部を取り除くことで得られる小麦粉、とうもろこしの角質胚乳部を乾燥させ粉砕して得られるコーングリッツ等、更にこれらを分画した、あるいは濃縮した、米澱粉,小麦澱粉,タピオカ澱粉,馬鈴薯澱粉,甘藷澱粉,小麦グルテン,コーンフラワー,コーンスターチ,ワキシーコーンスターチ,コーングルテン等を指す。
(穀物食品)
穀物食品とは、上記穀物原料を用いた一群の食品やその加工食品である。精白米を用いた、米飯,餅およびその加工品、蕎麦粉を用いた蕎麦、小麦粉を用いたうどんや中華麺,パスタ,麺皮等の麺類およびその加工品、同じく小麦粉を用いたバッターやパン,ピザ,焼菓子およびその加工品、更に穀物に由来する澱粉を用いた、団子等の菓子類、並びにグルテンを用いた麺やパン、ソーセージ等を指す。
(穀物食品用結着防止剤)
穀物食品用結着防止剤とは、上記の穀物食品、特に米飯,麦飯,バターライス,おにぎり,ピラフ,やきめし,かやくご飯等の米飯類や、餅,餅菓子,粟餅,団子,饅頭等の和菓子類、うどん,パスタ,インスタントラーメン等、米や米粉,小麦粉,澱粉類を用いたこれら食品について、架橋化大豆多糖類を混和し、あるいは表面処理することで、その相互の、あるいは容器との付着を防止または低減するものである。
本願発明の結着防止剤を穀物食品に混和するには、小麦粉や澱粉の生地に、結着防止剤を練込み、その後麺やパスタ,麺皮、団子状等の種々の形態に成形する。あるいは、米飯や麺類等の、炊飯時や蒸煮時の水(湯)に、予め結着防止剤を混和させておいても良い。
結着防止剤を穀物食品に表面処理する方法としては、結着防止剤の水溶液に、炊飯,蒸煮後の米飯や餅、茹で上がった麺またはパスタ等の穀物食品を浸したり、同水溶液をこれら穀物食品に噴霧しまたはまぶしたり、あるいは、結着防止剤が溶解した調味液を用いて、あるいは結着防止剤の粉体を直接用いて、同様の操作を行なうことで達成できる。
穀物食品に用いる結着防止剤は、その形態を問わず、例えば溶液でも粉体でも良い。またその効果を妨げない限り結着防止剤以外の他の食品成分を含んでも良く、適宜、他の添加剤と併用することができる。他の添加剤としては、レシチンやグリセリン脂肪酸エステル,蔗糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、或いは一般の動植物性油脂や脂溶性ビタミンであるトコフェロール等の油性物質、蔗糖,マルトース,トレハロース等の糖質、及び糖アルコール,デキストリン,寒天,カラギーナン,ファーセレラン,タマリンド種子多糖類,タラガム,カラヤガム,キサンタンガム,アルギン酸ナトリウム,トラガントガム,グアーガム,ローカストビーンガム,プルラン,ジェランガム,アラビアガム,ヒアルロン酸,シクロデキストリン,キトサン,カルボキシメチルセルロース(CMC),アルギン酸プロピレングリコールエステル,加工澱粉など各種澱粉類等の多糖類やこれら多糖類の加水分解物、ゼラチン,ホエー等のアルブミン、カゼインナトリウム,可溶性コラーゲン,卵白,卵黄末,大豆蛋白等の蛋白性物質や、カルシウム強化剤等の塩類、酢酸ソーダ等のpH調整剤が挙げられる。
結着防止剤の添加量は、架橋化大豆多糖類として、穀物食品の乾燥重量に対して、0.001〜20重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。架橋化大豆多糖類を添加又は表面処理した穀物食品の特徴としては、穀物食品のほぐれがよく麺線や飯粒の結着がないこと、水分を多く抱きかかえることが出来、歩留まりがよいことなどがあげられる。0.001重量%未満では、結着防止効果が弱いことがあり、また20重量%を超える濃度では、風味等に問題が起こることがある。
穀物食品のほぐれ性の改良による効果としては、その食品を食べる際に食べ易い、おいしいと感じるほかに、再調理をする際加熱ムラがなく、熱効率がよい為、短時間で最適の食品を得ることができる点があげられる。この他に架橋化大豆多糖類を添加又は表面処理した穀物食品の特徴及び効果としては、乳化剤を使用したときにみられるぱさつき感がなく、表面の光沢が維持されること、麺質および飯質の低下が少なく、長期の保存においても効果が持続されること、油分を添加したときにみられる油浮きがなく、和風の食品にも使用しやすいこと、添加方法が簡単なため特別な設備を必要としないことなどがあげられる。
●第3形態
本願発明の第3形態は、澱粉含有食品の老化抑制である。すなわち、以下に例示する澱粉含有食品に本願発明を用いることで、澱粉含有食品の老化を効率的に抑制することができる。
(澱粉含有食品)
本願発明の澱粉含有食品とは、米,小麦,大麦,稗,粟,とうもろこしや、キャッサバ,馬鈴薯,甘藷等について、それらをそのまま、またはその粉砕品を、あるいはそれから得た澱粉を用いた、各種食品を指す。具体的には、クッキー,ビスケット,クラッカー,スポンジケーキ,中華まん,各種のパン,米菓,餅菓子類,餅類など、小麦粉,米や米粉,または他の穀物に由来する、澱粉を主要原料として生地を焼成したり、蒸したり、炊き上げることによって製造される食品を言う。
(澱粉含有食品老化抑制剤)
本発明の澱粉含有食品老化抑制剤とは、上記の食品について、架橋化大豆多糖類を混和することで、その澱粉の老化を抑制するものである。本願発明の老化抑制剤を添加する時期については、特に制限は無く、原料中に予め添加しておくか、又は製造工程の途中で添加しても良い。特に、蒸練機、エクストルーダーを用いて製造する方法においては、著しい効果が認められる。後は各食品の製造法に準じ常法どおり、焼成したり、蒸したり炊き上げる等して、各々の食品を製造することができる。
老化抑制剤を澱粉含有食品に予め混和するには、小麦粉,米粉,澱粉の生地に、老化抑制剤を練込み、その後スポンジケーキ、各種パン、餅類や餅菓子類,パスタ,麺皮、団子等の種々の形態に成形する。あるいは、米飯や麺類等の、炊飯時や蒸煮時の水(湯)に、予め老化抑制剤を混和させておいても良い。
老化抑制剤を澱粉含有食品の製造工程で添加する方法としては、老化抑制剤の水溶液に、炊飯,蒸煮後の米飯や餅、茹で上がった麺またはパスタ等の穀物食品を浸したり、同水溶液をこれら穀物食品に噴霧またはまぶしたり、あるいは老化抑制剤の粉体を直接用いて、同様の操作を行なうことで達成できる。
澱粉含有食品用老化抑制剤は、その形態を問わず、例えば溶液でも粉体でも良い。
本願発明における老化抑制剤は、これを単独で老化抑制剤として使用することが可能であるが、油脂,マーガリン,及びシュガーエステルに代表される乳化剤等を併用することができる。また、老化抑制剤の効果を妨げない範囲において、粘度付与剤として各種ガム質及び蛋白質並びにそれらの加水分解物を併用することができる。粘度付与剤としては、例えば寒天、カラギーナン,ファーセレラン,グアーガム,ローカストビーンガム,タマリンド種子多糖類,タラガム,アラビアガム,トラガントガム,カラヤガム,ペクチン,キサンタンガム,プルラン,ジェランガムなどの多糖類の他、ゼラチン,アルブミン,カゼインナトリウム等の水溶性蛋白質を例示できる。
これら架橋化大豆多糖類を用いた老化抑制剤の添加量は、架橋化大豆多糖類として、澱粉含有食品の乾燥重量に対して、0.001〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。下限未満では効果が弱く、また上限を超えると、風味等の問題が出ることがある。
●第4形態
本願発明の第4形態は、小麦粉および小麦グルテンの物性改良剤である。すなわち、以下に例示する小麦粉および小麦グルテンに本願発明を用いることで、小麦粉および小麦グルテンの分散性を高めることができる。
(小麦粉および小麦グルテンの物性改良剤)
本願発明における小麦粉には、強力粉,中力粉,薄力粉またはデュラムセモリナ小麦粉等を使用できる。これら小麦粉を含むドウやバッター液に架橋化大豆多糖類を添加すると、グルテンネットワークの形成を強力に阻害し、ドウの粘弾性上昇やバッター液の粘度上昇を長時間にわたって低く抑えることができる。例えば架橋化大豆多糖類を添加されたバッターは、数十分〜数時間経過しても粘度の上昇が抑えられ、フライの前処理工程などでの高い作業性が長時間にわたって確保される。また、架橋化大豆多糖類は、パンやスポンジに添加するとソフト感、しっとり感の付与し、麩饅頭へ添加すると流動性が上がり成形効率を向上し、更に焼き菓子に添加するとコワレを防止し、膨化を向上できる。
本願発明における小麦グルテンとは、例えば小麦粉に水を加えて混捏して生地を作り、この生地を水洗しながら澱粉質を洗い流すこと等により得られる、水分を60〜70重量%含む生グルテンや、これを乾燥させ粉末状にした活性グルテンを指す。これら小麦グルテンに架橋化大豆多糖類を添加すると、水への分散性を著しく改善することができる。特に活性グルテンの製造時に、グルテンの分散液に使用すると、塩酸や硫酸等の無機酸や酢酸等の有機酸、アンモニア,水酸化ナトリウム等のアルカリ、還元剤等を用いて予め生グルテンを水に分散させる前工程を省略することができ、容易に噴霧乾燥等の乾燥工程が行なえる。これにより、酸やアルカリ,還元剤によるグルテンの風味,色調の劣化や、ゲル強度の低下等の物性の劣化を抑えることができる。
また、グルテンを加水分解する際に、架橋化大豆多糖類を添加すると、グルテンの分散が良くなり、酸,アルカリまたはプロテアーゼ等による加水分解が効率良く行なえ、風味良好な加水分解グルテンを得ることができる。
架橋化大豆多糖類の小麦粉への好ましい使用量は、小麦粉製品によって異なるが、例えばバッター等における架橋化大豆多糖類の添加量としては、小麦粉重量に対して、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%である。また小麦グルテンを分散させる為の架橋化大豆多糖類の使用量は、分散液中のグルテン濃度に比例して、量を多くしてやれば良好に分散させることができる。具体的には、小麦グルテン分散液のグルテン濃度が、概ね25重量%未満であれば、グルテンの固形物重量に対し架橋化大豆多糖類換算で好ましくは0.03〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%、最も好ましくは1〜5重量%である。また、小麦粉または小麦グルテンを用いたドウ,バッターまたは分散液のグルテン濃度が、概ね25重量%以上であれば、グルテンの固形物重量に対し架橋化大豆多糖類換算で好ましくは0.05〜25重量%、より好ましくは0.1〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。この範囲であればグルテンを凝集させることなく十分に分散させることができる。またこの範囲を超えて添加しても効果に大きな違いはない。
このようにグルテンと架橋化大豆多糖類を混合することで、グルテンを水性媒体に分散させることができる。生グルテンを水性媒体に分散させる場合、例えば架橋化大豆多糖類の水溶液に生グルテンを添加、混合すればよい。活性グルテンも同様にして水性媒体に分散させることができる。或いは活性グルテンと架橋化大豆多糖類を粉体混合することで、活性グルテンを水性媒体に良好に分散させることができる。生グルテン又は活性グルテンは、水性媒体に添加、撹拌しても凝集塊を形成し分散しないが、本方法により均一に分散させることができる。
本願発明の分散法によれば、酸やアルカリで水性媒体のpHを調整せずともグルテンを良好に分散させることができるが、通常グルテンが十分に分散しないpH5〜9の範囲において、本方法が有用となる。好ましくはpH5.3以上、さらに好ましくはpH5.5以上、好ましくはpH8以下、さらに好ましくはpH6.9以下であれば、分散効果が高く分散液の粘度も低くなる。
●第5形態
本願発明の第3形態は、冷菓用の品質安定剤である。すなわち、以下に例示する冷菓に本願発明を用いることで、氷菓,アイスクリーム等の冷菓類について、その物性の改良を行なうことができる。
(冷菓)
本願発明において冷菓とは、乳成分を含まない冷菓と乳成分を含み且つ非酸性の冷菓をいい、前者の乳成分を含まない冷菓としては、例えばアイスキャンデー,ブロックアイス,かき氷,かち割り氷,シャーベット等の、いわゆる氷菓子が例示できる。また、後者の乳成分を含み且つ非酸性の冷菓としては、例えば使用原料の成分によって乳等省令により分類されるアイスクリーム,アイスミルク,ラクトアイス等のアイスクリーム類が例示できる。
本願発明における冷菓は、次のような特性を有する。アイスキャンデーやかち割り氷においては、従来の安定剤を使用したときのように口の中や常温下で簡単に溶けないものでありながら、粘りのある食感でなく、安定剤を使用していない場合のように噛み砕き難いものではなく、噛むと脆く砕けるものとなる。また、シャーベットでは、さじ刺さりがよい結晶系でありながら、従来の安定剤を使用したときのような粘りを感ずることなく、あっさりとした食感を有するものとなる。
また、アイスクリーム類においては、高オーバーラン性を有するにもかかわらず、従来の安定剤でオーバーランを付与したときのように後味が残るものではなく、すっきりとした口どけを呈する。
(配合)
架橋化大豆多糖類の添加量は、冷菓の種類によって異なるが、冷菓の重量に対して、0.001〜15重量%、好ましくは0.005〜10重量%であり、より好ましくは、0.05〜3重量%である。添加量がいずれの場合も、少なすぎると、明確な効果が得られず、逆に多すぎると、粘度が上昇したりして、目的とする軽い食感が得にくくなる。
架橋化大豆多糖類以外に本願発明に使用される原料としては、従来冷菓に使用される、牛乳,脱脂乳,生クリーム等の乳原料,ヤシ油,パーム油,菜種油等の植物油脂,ショ糖,麦芽糖,アスパルテーム,ステビア等の甘味料,ショ糖脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤,各種多糖類やゼラチン等の安定剤,クエン酸,乳酸等の酸味料,各種リン酸塩,クエン酸ナトリウムなどの塩類,更に香料,色素,果汁,果肉,水分等を、架橋化大豆多糖類の特性を損なわない範囲で使用できる。
上記の原料を用いた、本願発明を用いた冷菓の製造方法について下記に説明する。架橋化大豆多糖類を溶解、添加すること以外は、従来の冷菓製造工程をそのまま用いることができる。本願発明で必須成分となる架橋化大豆多糖類の溶解、添加方法は、従来の多糖類、蛋白質等の冷菓用安定剤と同様に、攪拌している水に他の原料と共に投入して溶解する方法が好ましいが、この方法と同様の溶解状態が得られる溶解方法であれば、溶解方法は限定されない。例えば、あらかじめ、脱脂乳、練乳等の乳原料に分散して、加熱殺菌時に溶解する方法も使用できる。添加時期も、同様に限定されないが、アイスクリーム類のように、均質化を施す冷菓においては、均質化を行う前に添加されることが好ましい。
(冷菓製造工程)
次に標準的な従来の冷菓製造工程を以下に説明する。
アイスクリーム類の従来の標準的な製造工程は、まず、計量した乳原料、植物性油脂、甘味料、乳化剤、安定剤を混合、溶解してミックスを調製する。この場合、乳化剤、架橋化大豆多糖類を含む安定剤、糖類といった粉体原料がままこにならないように混合して投入することが好ましく、単独で投入する場合は、十分な攪拌条件を設定する。また、溶解温度は50〜80℃が好ましい。
次いで、このミックスを必要に応じて殺菌、滅菌処理する。殺菌、滅菌処理としては通常はUHT加熱処理が用いられる。UHT加熱処理には、直接加熱方式と間接加熱処理があるが、そのどちらも用いることができる。加温溶解したミックスは均質化される。均質化圧力は、一段式であれば100〜180kg/cm2が一般的であり、二段式の場合は、第一バルブで約100kg/cm2、第二バルブで20〜80kg/cm2がよい。均質化温度は、60〜75℃が一般的である。なお均質化工程は、加熱殺菌後に実施されることもある。
殺菌、均質化が終了したら、速やかに0〜5℃迄冷却して、5〜24時間一時的に貯蔵する工程、いわゆるエージング工程を取る。このエージングにより、ミックス中の各成分をなじませ、安定化するのである。エージングが終了したら、香料、ベータカロチン等の着色料を入れ、フリージングする。フリージングとは、ミックスをフリーザーにより急激に冷却させて水分を凍結しながら空気を混入させ、ミックス中に微細な空気、気泡、氷の結晶、脂肪粒子を分散させ、半流動状のソフトクリーム状にする工程である。フリージングが終わったら、適当な容器に充填、包装して、‐20〜‐30℃迄急速凍結する。この温度で一晩以上保管して硬化工程を経て最終製品を得る。
(氷菓製造工程)
一方、氷菓の従来の標準的な製造工程は、次のようなものである。計量した原料をアイスクリーム類と同様に溶解し、均質化、加熱殺菌するのは全ての氷菓に一般的な工程である。ただし、原料としてアイスクリーム類よりも酸味料や果汁が使用されることが多い。次に、かち割り氷、かき氷、アイスキャンデーであれば、凍結缶と呼ばれる型に入れて急速凍結する。なお、アイスキャンデーの中には、ホモミキサー等により強制攪拌して気泡を抱かせてから凍結する場合もある。
凍結された後、アイスキャンデーやブロックアイスはその時点で包装すれば製品となるが、かちわり氷は必要に応じて適当な大きさ砕かれてから包装されて製品とする。かき氷は凍結したものを薄く削って容器に充填、包装することにより製品とする。一方、シャーベットは原料を溶解したミックスをそのまま凍結するのではなく、アイスクリーム類と同様にフリージングを行う。乳原料や植物性油脂、果汁、果肉、ココア等の不溶性固形分を使用した場合、アイスクリーム類と同様に均質化が行われる。最後に氷菓においてもアイスクリーム類と同様に硬化工程が取られる。
以下、実施例により本願発明の実施態様を説明する。なお、例中、部および%は何れも重量基準を意味する。
○比較製造例(水溶性大豆多糖類の製造)
分離大豆蛋白質の製造工程で得られた生オカラに2倍重量部の水を加え、塩酸を用いてpHを4.5に調整した。120℃で90分間加圧加熱処理を行ない、冷却後に遠心分離(10,000g×20分)により不溶性成分を分離して水溶性大豆多糖類溶液を得た。同多糖類溶液を最終60重量%エタノールで沈殿させ、回収した沈殿を90重量%の含水エタノールで洗浄し、得られた沈殿を風乾して架橋化大豆多糖類である、大豆多糖類Aを得た。
○製造例(架橋化大豆多糖類)
比較製造例で得た大豆多糖類Aの5重量%水溶液を調製し、沸騰水浴中で5分間加熱した。多糖類水溶液にトリメタリン酸ナトリウムを最終2重量%となるように溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12に調整した。この反応液を60℃で1時間攪拌しながら反応させた。不溶物を遠心分離(8,000rpm, 30分)で除去し、上清を多糖類として得た。多糖類溶液を最終60重量%エタノールで沈殿させ、回収した沈殿を90重量%の含水エタノールで洗浄し、得られた沈殿を風乾して架橋化大豆多糖類である、大豆多糖類Bを得た。
○試験例(大豆多糖類及び架橋化大豆多糖類の分子量及び分析値)
中性糖は、硫酸分解した後、HPLC-PAD法で分析した。ウロン酸は、D-ガラクツロン酸を標準物質としてBlumenkrantz法で比色定量した。またゲルろ過HPLC(TSKgel-G-5000PWXL;TOSOH, 7.8mm×30cm 移動相:50mM 酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0), 流速1.0mL/min, RI検出器, 標準物質プルランP-82(昭和電工(株)))により分子量分布を測定した。高分子画分の定量については、RI検出装置で測定して得たクロマトグラムの総ピーク面積が多糖類の総量に相当するとし、総ピーク面積に対する分子量50万から1000万の高分子多糖類成分のピーク面積の含有割合を定量した。以下の表1に高分子成分の含有割合と組成、糖組成分析値を示す。
○表1(大豆多糖類の分子量及び分析値)
Figure 2010136638
トリメタリン酸処理後の大豆多糖類Bは、高分子成分含有比率の含量からも明らかな様に、処理前の大豆多糖類Aに比較して高分子化している。これにより、トリメタリン酸処理によって、水溶性大豆多糖類が架橋されたことが確認できた。
○実施例1,比較例1〜2(乳化香料)
表2に示した配合にて乳化香料を調製した。すなわち大豆多糖類Bを水に溶解し、これにオレンジオイルを含む混合油とグリセリンを添加、分散して100重量部とし、50重量%クエン酸溶液でpHを4.0に調製後、高圧ホモゲナイザー(150kgf/cm2×2pass)で均質化を行った(実施例1)。また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類A(比較例1)、アラビアゴム(和光純薬工業(株))(比較例2)を用いて、同様の調製を行なった。次にグラニュー糖87重量部、クエン酸3重量部を水910重量部に溶解し、続いて上記実施例1および比較例1,2の各乳化物2重量部を添加してオレンジ様清涼飲料を得た。上記乳化物及び飲料を3ヶ月間5℃で保存し、その状態を観察した。
○表2(乳化香料配合)
Figure 2010136638
上記乳化香料およびオレンジ様清涼飲料の乳化状態を観察し、結果を表3に示した。評価は○良好、△オイルオフ、×オイルオフおよび凝集・分離として行った。また乳化物のメディアン径はレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2000:(株)島津製作所製)を用いて測定した。架橋化大豆多糖類(大豆多糖類B)を用いた実施例は、乳化香料,オレンジ様清涼飲料ともに良好な安定性を維持した。従来の水溶性大豆多糖類(大豆多糖類A)を用いた比較例1およびアラビアガムを用いた比較例2よりも少ない添加量で、安定な乳化香料および飲料を調製できた。
○表3(乳化香料および清涼飲料の乳化状態)
Figure 2010136638
○実施例2,比較例3〜4(粉末香料)
大豆多糖類B 20重量部とデキストリン(マックス2000 松谷化学製)15重量部を水200重量部に溶解し、これにレモンオイル60重量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド5重量部を混合した後、75℃まで加温して、高圧ホモゲナイザー(150kgf/cm2)で均質化を行った。得られた乳化物をスプレードライヤーで噴霧乾燥し、粉末香料を得た(実施例2)。また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類A(比較例3)、アラビアガム(比較例4)を用いて、同様の調製を行なった。
粉末香料の1,0.5,0.3,0.1,0.05,0.01重量%の水溶液を調製し、フレーバーリリースの良さを官能にて評価した。香りを感じる場合は○、かすかに香りを感じる場合は△、香りを感じない場合は×と評価した。また、溶液を40℃で2時間インキュベートした後の、フレーバーの持続性も同様の基準で評価した。表4に評価結果を示した様に、大豆多糖類Bを使用した粉末香料は、大豆多糖類Aやアラビアガムと比較して、低濃度でも香りを感じやすく、フレーバーリリースにもフレーバーの持続性にも優れていた。
○表4(フレーバーリリースおよびフレーバー持続性の評価)
Figure 2010136638
○実施例3,比較例5〜6(乳化タイプドレッシング)
水64.1重量部,醸造酢12.5重量部に、砂糖5重量部、食塩3重量部、L-グルタミン酸ナトリウム0.3重量部、および大豆多糖類Bの5重量部を添加し完全に溶解した。そこにサラダ油15重量部を徐々に添加し、ホモミキサーで予備乳化後、高圧ホモゲナイザー(400kgf/cm2)で均質化を行い、低粘度の乳化タイプドレッシングを得た。また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類A(比較例5)、キサンタンガム0.4重量部(比較例6)を用いて、同様の調製を行なった。
以上の実施例および比較例で示した乳化タイプドレッシングの官能試験をパネラー5名で行い、また5℃で30日間保存した時の乳化状態を観察し、結果を表5に示した。乳化状態の評価は○良好、△オイルオフ、×オイルオフおよび凝集・分離として行った。以下に示す様に大豆多糖類Bを添加した乳化タイプドレッシングはキサンタンガムに比べて粘度が低く滑らかな食感であった。また、その30日間経過後の状態は、大豆多糖類Aやキサンタンガムに比較して、良好な安定性を維持していた。
○表5(乳化タイプドレッシングの官能試験評価)
Figure 2010136638
(コーヒー用ホワイトナー)
○実施例4,比較例7
大豆多糖類B 5重量部を水75重量部に溶解した。これに市販のミルクフレーバー0.1部を添加した精製椰子油20重量部を70℃で加えホモミキサーにて予備乳化を行った。次いで、高圧ホモゲナイザーにて乳化(150kg/cm2,2pass)して、コーヒー用ホワイトナーを得た(pH6.4)。また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類A(比較例7)を用いて、同様にコーヒー用ホワイトナーを得た(pH6.1)。
以上の実施例および比較例で示したコーヒー用ホワイトナーの5℃で3ヶ月間の保存安定性及び砂糖5重量%含むコーヒー(80℃、pH値5.2)に加えた場合の安定性と風味について官能試験を行った。乳化物の保存安定性の評価は○良好,△オイルオフ,×オイルオフおよび凝集・分離として行い。結果を表6に示した。大豆多糖類Bで得られたホワイトナーは、大豆多糖類Aに比べ、保存安定性および風味にやや優れたものだった。
○表6(コーヒー用ホワイトナーの評価)
Figure 2010136638
○実施例5,比較例8,対象例1(米飯類)
生米400gを洗米し、生米重量に対して大豆多糖類Bを0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%となるように炊飯水988gに溶解した。炊飯器(三洋電機(株)製)を使用して炊飯後、炊き上がった米飯を20℃に冷却したものを実施例5とし、また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類Aを用いて、同様の調製を行なったものを比較例8とし、大豆多糖類Bを添加せず、炊飯水を960gとした以外は同様の調製を行なったものを対象例1とした。パネラー5名で官能評価を行った結果を表7に示した。米飯のほぐれ性の評価については数値で表した。すなわちほぐれないものは0点、良好なほぐれ性を示すものは3点とし、パネラーの平均点を記載した。以下に示した様に、大豆多糖類Bは大豆多糖類Aよりも少量の添加で米飯に良好なほぐれ性を付与し、更に大豆多糖類Bを添加することで米飯は適度な粒感を有していた。
○表7(米飯試験結果)
Figure 2010136638
○実施例6,比較例9,対象例2(麺類)
生うどんを沸騰水中で茹でた後、水洗してうどん表面のぬめりを取り、氷冷して麺をしめ、水切りをして茹でうどんを得た。大豆多糖類Bの5重量%水溶液を、得られた茹でうどんの重量に対してそれぞれ2重量%,4重量%となるようにうどん表面に均一に噴霧したものを実施例6と、また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類Aを用いて同様の調製を行なったものを比較例9、大豆多糖類Bを添加せずに同様の調製を行なったものを対象例2とした。次いで冷蔵庫中で24時間保存し、パネラー5名で官能評価を行った結果を表8に示した。うどんのほぐれ性の評価については数値で表した。すなわちほぐれないものは0点、良好なほぐれ性を示すものは3点とし、パネラーの平均点を記載した。以下に示す様に、大豆多糖類Bを添加したうどんは大豆多糖類Aを添加したものよりも良好なほぐれ性を有しており、大豆多糖類Aよりも少量の添加で良好なほぐれ性を有していた。
○表8(麺類試験結果)
Figure 2010136638
○実施例7,比較例10,対象例3(蕨餅)
大豆多糖類B 1.5gと蕨粉100g、砂糖20gを水500gに投入してミキサーで混合し、弱火にかけながら透明になるまで練り上げ、冷却・成型して蕨餅を得、実施例7とした。大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類Aを用いて同様の調製を行なったものを比較例10、大豆多糖類Bを添加せずに同様の調製を行なったものを対象例3とした。その後蕨餅を冷蔵庫中で24時間保存し、老化の進行状態を確認した。評価方法はパネラー6名による官能評価およびレオメーター(NRM-2002J:不動工業(株)製)を用いて蕨餅の硬さを測定した。なお、レオメーターの測定値が高い程蕨餅は硬く、老化が進行したことを示す。評価結果を表9に示す様に、大豆多糖類Bを添加した蕨餅は大豆多糖類Aを添加したものよりも老化の進行を抑制することができ、その食感は24時間保存後も軟らかくみずみずしいものであった。
○表9(蕨餅試験結果)
Figure 2010136638
○実施例8、比較例11、対象例4(バッター試験)
小麦粉(日清フーズ(株)製 商品名:「フラワー 薄力小麦粉」)に大豆多糖類Bをそれぞれ対小麦粉1重量%,5重量%になるように加え、混合した。加水量を対小麦粉1.3重量倍とし、卓上ミキサー((株)愛工舎製作所製・ケンミックスKM-600)で、1分30秒攪拌し、バッター液を得た。実施例8において、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類Aを用いて同様の調製を行ったものを比較例11、大豆多糖類Bを添加せずに同様の調製を行ったものを対象例4とした。その後、各バッター液を5℃の恒温槽中で所定時間保存後、粘度計((株)トキメック製)にて5℃で粘度を測定した。各バッター液粘度の経時変化を調製後0分の値を100%として、その増減率で表した。結果を図1に示した。対象例4においては、経時的に著しい粘度の増加が確認されたのに比べて、実施例8及び比較例11では粘度の増加はほとんどなく、長時間経過しても安定していた。また大豆多糖類Bは大豆多糖類Aよりも少ない添加量で効果的にバッター液粘度を安定させることができた。
○実施例9、比較例12、対象例5(天ぷら)
実施例8と同様の条件にて調製した小麦粉1重量%のバッター液を0時間,3時間,6時間、5℃の恒温槽中にて静置した。調製したバッター液に、半切りにしたちくわ(5cm)を浸し、余分に付着したバッター液を除いた後、170℃のフライ油で2分間フライした。実施例9において、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類Aを用いて同様の調製を行ったものを比較例12、大豆多糖類Bを添加せずに同様の調製を行ったものを対象例5とした。以上のようにして得られた天ぷらを一定時間冷ました後、パネラー5名により、試食評価した。点数は対象例5の0時間品を5点とし、さくさく感の高いものを10点、ねちゃつきの強いものを0点として表し、結果を表10に示した。対象例5においては、経時的にバッター粘度が増加し、油っぽく、ねちゃついた食感になったのに比べて、実施例9及び比較例12ではバッター液の経時的な変化はほとんどなく、衣の付き方も一定で、フライ後の食感もさくさく感を維持して、良好であった。また実施例9は比較例12よりもさくさく感が強く、良好な食感であった。
○表10(天ぷら試食評価結果)
Figure 2010136638
○実施例10(グルテン分散試験)
表11の配合で大豆多糖類A、大豆多糖類Bを蒸留水に添加及び撹拌し、溶液を得た。なお、表11記載の分散性改良剤の濃度は、活性グルテンを100重量%とした時の重量%で示した。これをスリーワンモーター(新東科学(株))で攪拌しながら(500rpm)、活性グルテンを20重量%となるよう添加し、グルテンの分散状態を目視および分散液の粘度にて評価を行った。粘度はグルテンを水に均一に分散させた直後の25℃における粘度を回転粘度計(東機産業(株)製)で測定した。評価結果を表11に配合と合わせて示した。
○表11(グルテン分散試験)
Figure 2010136638
上記結果の通り、対象品として、活性グルテンを水に添加したが、全く分散せず凝集塊を形成した。一方、本願発明品及び比較品はグルテンを良好に分散させることが出来た。また本願発明品は比較品よりも少ない添加量でも分散させることが可能であり、優れた分散性を示した。
○実施例11,比較例13〜15,対象例6(シャーベット)
表12に示した配合にてシャーベットを調製した。すなわち大豆多糖類Bを含む粉体原料を混合し、80℃の水に投入後、攪拌溶解を行った。次いで濃縮オレンジ果汁、オレンジピューレ、水飴を投入し、80℃に過熱して10分間、攪拌溶解し、高圧ホモゲナイザーにて均質化(100kgf/cm2)を行った。その後4℃で20時間エージングを行い、更に香料を添加後アイスクリーマーに投入し、オーバーランを60%に設定してフリージングを行った後、容器に充填して急速凍結し、凍結後-25℃で一晩硬化させてシャーベットを得、実施例11とした。また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類Aを用いて同様の調製を行なったものを比較例13、ローカストビーンガム(ローカストビーンガムF:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を用いたものを比較例14、タマリンド種子多糖類(グリロイド2A:大日本住友製薬(株)製)を用いたものを比較例15、大豆多糖類Bを添加せずに同様の調製を行なったものを対象例6とした。
○表12(シャーベット配合)
Figure 2010136638
得られたシャーベットについてオーバーラン性、保型性の評価を行い、またパネラー5名で官能評価を行った結果を表13に示した。なお、官能評価の結果は5点満点とし数値で表した。すなわち口どけが良好なもの、および粘りが少ないものほど高い点数とし、パネラーの平均点を記載した。以下に示した様に、大豆多糖類Bをシャーベット用安定剤として使用した場合、得られたシャーベットは良好なオーバーラン性と保型性を示し、また粘りが少なく口どけが良いものであった。
○表13(シャーベット試験結果)
Figure 2010136638
○実施例12(ブロックアイス)
表14に示した配合にてブロックアイスを調製した。すなわち大豆多糖類Bを含む粉体原料を混合し、80℃の水に投入後、攪拌溶解を行った。次いで濃縮オレンジ果汁、オレンジ香料を投入し均一に混合した。その後4℃で20時間エージングを行い、ミックスを凍結缶に充填して急速凍結を行い、更に-25℃で一晩硬化させてブロックアイスを得、実施例12とした。また、大豆多糖類Bの代りに大豆多糖類Aを用いて同様の調製を行なったものを比較例16、ローカストビーンガム(ローカストビーンガムF:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を用いたものを比較例17、大豆多糖類Bを添加せずに同様の調製を行なったものを対象例7とした。
○表14(ブロックアイス配合)
Figure 2010136638
得られたシャーベットについてパネラー5名で官能評価を行った結果を表15に示した。なお、官能評価の結果は5点満点とし数値で表した。歯で噛んだ時に砕け易もの、口どけが良好なもの、および粘りが少ないものほど高い点数とし、パネラーの平均点を記載した。以下に示す様に、大豆多糖類Bをブロックアイス用安定剤として使用した場合、得られたブロックアイスは歯で噛んだときに容易に砕け、食べ易いものであった。また粘りが少なく口どけも良いものであった。
○表15(ブロックアイス試験結果)
Figure 2010136638
バッター粘度変化測定結果の図である。
符号の説明
1 ○:実施例8,5重量%添加
2 ●:実施例8,1重量%添加
3 △:比較例11,5重量%添加
4 ▲:比較例11,1重量%添加
5 ×:対象例4,無添加

Claims (6)

  1. 架橋化大豆多糖類を有効成分とする、食品用物性改良剤。
  2. 食品用乳化剤として用いられる、請求項1に記載の食品用物性改良剤。
  3. 穀物食品用結着防止剤として用いられる、請求項1に記載の食品用物性改良剤。
  4. 澱粉含有食品老化抑制剤として用いられる、請求項1に記載の食品用物性改良剤。
  5. 小麦粉または小麦グルテンの物性改良剤として用いられる、請求項1に記載の食品用物性改良剤。
  6. 冷菓用物性安定剤として用いられる、請求項1に記載の食品用物性改良剤。
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