JP2010133388A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この装置は、点火時期の制御目標値を、内燃機関の経時変化による点火時期の変化分を補償する多点学習値AGdp[n]と、それ以外の要因による点火時期の変化分を補償する基本学習値AG[i]とにより補正する。制御目標値を、内燃機関の経時変化による点火時期への影響が大きい多点学習領域nでは多点学習値AGdp[n]および基本学習値AG[i]によって補正し、それ以外の領域では基本学習値AG[i]のみによって補正する。多点学習領域nでは多点学習値AGdp[n]の学習のみを許可し、それ以外の領域では基本学習値AG[i]の学習のみを許可する。多点学習値AGdp[n]の単位期間あたりの学習量を制限する(S105〜S110)。基本学習値AG[i]の単位期間あたりの学習量は制限しない(S102)。
【選択図】図6
Description
この点火時期制御では、基本的に、内燃機関の運転状態に基づいて点火時期についての制御目標値が設定される。この制御目標値は、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項によって補正される。フィードバック補正項は、ノッキングの発生時には予め定められた遅角更新量分だけ変更されて点火時期を遅角補正し、ノッキングが発生していないときには予め定められた進角更新量分だけ変更されて点火時期を進角補正する。また上記制御目標値は、フィードバック補正項に基づき更新される学習値によって補正される。この学習値としては、例えばフィードバック補正項に徐変処理を施した値が算出される。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の運転状態に基づき設定した基本値をノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づき更新される学習値とにより補正して点火時期の制御目標値を設定し、前記学習値として前記内燃機関の経時変化による点火時期の変化分を補償する第1の学習値とそれ以外の要因による点火時期の変化分を補償する第2の学習値とを各別に学習する内燃機関の点火時期制御装置において、前記内燃機関の経時変化による点火時期への影響が大きい第1の機関運転領域では前記第1の学習値および前記第2の学習値によって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定し、前記影響が小さい第2の機関運転領域では前記第2の学習値のみによって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定する設定手段と、前記第1の機関運転領域では前記第1の学習値の学習のみを許可し、前記第2の機関運転領域では前記第2の学習値の学習のみを許可する許可手段と、前記第1の学習値の単位期間あたりの学習量についての制限度合いが前記第2の学習値の単位期間あたりの学習量についての制限度合いより大きくなるように、それら学習量を制限する制限手段とを備えることをその要旨とする。
なお、前述した学習値の単位期間あたりの学習量を制限するとの構成は、請求項8によるように、学習量についての許容限界を定めた許容限界量を設定する、といった構成により実現することができる。
図1に、本実施の形態にかかる点火時期制御装置が適用される内燃機関の概略構成を示す。
本実施の形態の点火時期制御では、内燃機関10の運転状態等から求められる制御目標値(具体的には、点火時期指令値ST)に基づいて内燃機関10の点火時期が制御され、同点火時期指令値STが小さい値であるときほど内燃機関10の点火時期が遅角側の時期に制御される。
ST=(BT−R)+F+AGT …(1)
なお、関係式(1)における合計学習値AGTは、基本学習値AG[i]と多点学習値AGdp[n]とに基づいて、以下の関係式(2)から求められる値である。
AGT=AG[i]+AGdp[n] …(2)
関係式(2)における多点学習値AGdp[n]は、内燃機関10の燃焼室11内にデポジットが付着するなどといった内燃機関10の経時変化が生じたときに、ノッキング発生に対する同経時変化の影響のばらつきに応じたかたちで点火時期(具体的には、点火時期指令値ST)を補正するための補正項である。なお、各多点学習値AGdp[n]は電子制御装置30のRAM30aに記憶されている。
図3に示すように、複数の多点学習領域nは、複数の基本学習領域iのうちの機関回転速度NEの変化方向について最も低回転側に存在する基本学習領域i[i=1]内において、機関負荷KLの変化方向について低負荷側の領域に設定されている。これは、こうした領域において、ノッキング発生に対する内燃機関10の経時変化に起因する影響の度合いのばらつきが大きくなるためである。そして、この領域が機関回転速度NEの変化方向において4つに区画されるとともに機関負荷KLの変化方向において6つに区画されることにより、同領域には合計で24の多点学習領域n[n=1〜24]が設定されている。なお本実施の形態では、多点学習領域nが第1の機関運転領域として機能し、多点学習値AGdp[n]が第1の学習値として機能し、基本学習領域i[i=1]の上記多点学習領域nを除く領域が第2の機関運転領域として機能し、基本学習領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]が第2の学習値として機能する。
内燃機関10の運転環境や供給燃料の性状が大きく変化すると、それに伴って点火時期(詳しくはフィードバック補正項F)が急速に変化する。そのため、運転環境や燃料性状の変化による点火時期の変化分を補償するための基本学習値AG[i]としては、そうした点火時期の急変に合わせて急速に変化する値が設定されることが望ましい。これに対して、内燃機関10の経時変化に伴う点火時期の変化は長い期間をかけてゆっくりと進む。そのため、内燃機関10の経時変化による点火時期の変化分を補償するための多点学習値AGdp[n]としては、そうした点火時期の変化に合わせてゆっくりとした速度で変化する値を設定すればよい。
なお、このフローチャートに示す一連の処理は、学習処理の具体的な実行手順を概念的に示したものであり、実際の処理は、所定のクランク角毎の割り込み処理として、電子制御装置30により実行される。
(1)各多点学習値AGdp[n]の単位期間あたりの学習量についての制限度合いが各基本学習値AG[i]の単位期間あたりの学習量についての制限度合いより大きくなるように、それら基本学習値AG[i]および多点学習値AGdp[n]の学習量を制限するようにした。そのため、内燃機関10の運転環境や供給燃料の性状が変化した場合に、その変化に伴う点火時期の変化分が多点学習値AGdp[n]に誤って反映されることを抑えつつ、同変化分を基本学習値AG[i]に速やかに反映させることができ、点火時期の学習を適切に行うことができる。
・基本学習領域iの区画数は任意に変更することができる。
・多点学習領域nの区画数や区画態様は任意に変更可能である。
Claims (8)
- 内燃機関の運転状態に基づき設定した基本値をノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づき更新される学習値とにより補正して点火時期の制御目標値を設定し、前記学習値として前記内燃機関の経時変化による点火時期の変化分を補償する第1の学習値とそれ以外の要因による点火時期の変化分を補償する第2の学習値とを各別に学習する内燃機関の点火時期制御装置において、
前記内燃機関の経時変化による点火時期への影響が大きい第1の機関運転領域では前記第1の学習値および前記第2の学習値によって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定し、前記影響が小さい第2の機関運転領域では前記第2の学習値のみによって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定する設定手段と、
前記第1の機関運転領域では前記第1の学習値の学習のみを許可し、前記第2の機関運転領域では前記第2の学習値の学習のみを許可する許可手段と、
前記第1の学習値の単位期間あたりの学習量についての制限度合いが前記第2の学習値の単位期間あたりの学習量についての制限度合いより大きくなるように、それら学習量を制限する制限手段と
を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記制限手段は、前記第1の学習値の単位期間あたりの学習量を制限するとともに前記第2の学習値の単位期間あたりの学習量を制限しないことによって、前記第1の学習値についての前記制限度合いを前記第2の学習値についての前記制限度合いより大きくするものである
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
当該装置は、前記第1の機関運転領域が機関運転状態に応じて区画された複数の多点学習領域からなるとともに、それら多点学習領域毎に前記第1の学習値が設定されてなり、且つ前記第1の機関運転領域において前記複数の多点学習領域のうちの現在の機関運転状態が含まれる領域についての前記第1の学習値を更新する
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記単位期間は、同一の学習値が連続して学習される期間である
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記単位期間は、前記内燃機関の運転を開始するべく運転スイッチが操作されてからその運転を停止するべく前記運転スイッチが操作されるまでの期間である
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記第1の学習値および前記第2の学習値は共に揮発性のメモリに記憶される値であり、
前記装置は、前記内燃機関およびその周辺機器に電力を供給するための電気回路に蓄電池を接続する作業が行われたときに、その後の所定期間にわたり、前記学習量についての制限度合いを一時的に小さくする制限緩和手段を更に備える
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項6に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記制限緩和手段は、前記学習量についての制限を一時的に解除するものである
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記制限手段は、前記学習量についての許容限界を定めた許容限界量を設定することによって同学習量を制限するものである
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
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