JP2010270685A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域で、ノック発生を効果的に抑制できなくなったり、同点火時期が過度に遅角側に補正されたりすることを抑制できるようにする。
【解決手段】基本学習領域内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域では、複数の多点学習領域が設定されるとともに、それら多点学習領域毎に多点学習値が用意される。各多点学習値は、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項に基づき更新され、上記ばらつきが大きい領域において同ばらつきに応じてそれぞれノック発生を抑制するうえで適切な値とされる。そして、上記領域では、エンジン1の点火時期に、現在のエンジン運転状態に対応する多点学習領域の多点学習値による補正が加えられ、その上で同多点学習領域の存在する基本学習領域に対応した基本学習値による補正が加えられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関する。
自動車用エンジン等の内燃機関においては、ノックの発生を抑制するための点火時期の遅角を含めて点火時期制御が行われる。
こうした内燃機関の点火時期制御は機関運転状態等に基づき算出される点火時期指令値を用いて行われ、同制御を通じて上記点火時期指令値が減少するほど同機関の点火時期が遅角される。上記点火時期指令値は、機関運転状態に基づき算出される最大遅角点火時期に対し、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項による補正を加えるとともに、前記フィードバック項に基づき更新される基本学習値による補正を加えることによって算出される(特許文献1参照)。
点火時期指令値の算出に用いられる上記フィードバック項は、ノック発生ありのときには予め定められた遅角更新量分だけ減量されて点火時期を遅角補正し、ノック発生なしのときには予め定められた進角更新量分だけ増量されて点火時期を進角補正するものである。従って、フィードバック項は、ノック発生時に点火時期を直ちに遅角させてノックの抑制を図るとともに、ノック発生のないときには点火時期を進角させて上記点火時期の遅角によって低下した機関出力を可能な限り回復させるための補正項ということになる。
また、点火時期指令値の算出に用いられる上記基本学習値に関しては、機関運転状態に応じて区画された複数の基本学習領域毎に用意されて現在の機関運転状態に対応したものが上記フィードバック項に基づき更新される。こうした基本学習値の更新は、例えば、上記フィードバック項に徐変処理を施した値である徐変値がその基準値を中心とする予め定められた所定範囲内の値となるよう基本学習値を増減させることにより実現される。そして、このように更新された基本学習値は、ノックの発生を抑制すべく点火時期を定常的に補正するための補正項ということになる。
なお、上記点火時期指令値を算出する際に最大遅角点火時期に対し補正を加えるための基本学習値としては、現在の機関運転状態に対応する基本学習領域の基本学習値が用いられる。従って、機関運転状態が所定の基本学習領域から別の基本学習領域に移行すると、それに合わせて上記点火時期指令値の算出に用いられる基本学習値も、上記所定の基本学習領域に対応したものから上記別の基本学習領域に対応したものに切り換えられる。
特開2000−356177公報(段落[0031]〜[0033]、[0036])
ところで、燃焼室内でのデポジットの付着といった内燃機関の経年劣化が生じると、そのデポジットが高温となって混合気の異常着火の原因となり、内燃機関にノックが発生することとなる。こうした燃焼室内でのデポジットの付着といった内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響は、同一の基本学習領域内において、その領域内中における更に細かな機関運転領域によって大きく異なる可能性がある。このため、基本学習領域毎に設定された基本学習値を用いて点火時期の補正を行うとき、同基本学習領域内での機関運転状態によっては上記基本学習値が内燃機関の経年劣化によるノック発生を抑制するうえで不適切な値となるおそれがある。詳しくは、上記ノック発生を抑制するうえで、上記基本学習値が大きすぎる値となって同ノック発生を効果的に抑制できなくなったり、上記基本学習値が小さすぎる値となって点火時期が過度に遅角側に補正されて内燃機関の出力低下を招いたりするおそれがある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域で、ノック発生を効果的に抑制できなくなったり、同点火時期が過度に遅角側に補正されたりすることを抑制できる内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明によれば、基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域では、複数の多点学習領域が設定されるとともに、それら多点学習領域毎に多点学習値が用意される。そして、現在の機関運転状態が基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域にあるときには、上記複数の多点学習領域のうち現在の機関運転状態が存在する多点学習領域の多点学習値がフィードバック項に基づき更新される。これにより、基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域において、そのばらつきに応じて同領域を細分化した多点学習領域毎の多点学習値をそれぞれノック発生を抑制するうえで適切な値とすることができる。そして、基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域では、最大遅角点火時期に対し、現在の機関運転状態に対応する多点学習領域の多点学習値による補正が加えられ、その上で同多点学習領域の存在する基本学習領域に対応した基本学習値による補正が加えられることとなる。上記のように多点学習値による補正を最大遅角点火時期に対し加えることで、基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域において、内燃機関でのノック発生を効果的に抑制できなくなったり、同点火時期が過度に遅角側に補正されたりすることを抑制できる。
ただし、多点学習値及び基本学習値の更新が許可された状態にあって、現在の機関運転状態が上記基本学習領域内であって多点学習領域以外の領域にあるときには、同基本学習領域の基本学習値がフィードバック項に基づき更新されて変化し、その変化が以下のような問題を招くおそれがある。すなわち、上記のように基本学習値が変化すると、機関運転状態が上記基本学習領域内の多点学習領域に移行したとき、その移行後の点火時期が上記基本学習値の変化による影響を受け、それによって点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎて機関出力の低下を招く値となったりするおそれがある。これに対処するため、上記基本学習値の変化が生じたときには、反省処理の実行を通じて、同基本学習値の変化の際の変化量分だけ多点学習値が上記基本学習値の変化方向とは逆方向に変化される。これにより、上記基本学習値の変化が生じたとき、多点学習領域で同変化による点火時期への影響が生じ、その影響によって上述した点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることの抑制が図られるようになる。
ところで、複数の多点学習領域のなかには機関運転状態が移行しやすい領域と移行しにくい領域とがある。機関運転状態の移行しやすい多点学習領域では、反省処理が行われて多点学習値が変化した後、現在の機関運転状態が上記多点学習領域に移行して同多点学習値のフィードバック項に基づく更新が進むことにより、その多点学習値が内燃機関のノックを抑制するうえで適切な値とされるようになる。しかし、機関運転状態の移行しにくい多点学習領域では、反省処理が行われる毎に多点学習値が変化するのに対し、現在の機関運転状態が上記多点学習領域に移行して同多点学習値の更新が行われる機会が少なくなる。その結果、その多点学習値を内燃機関のノックを抑制するうえで適切な値となるまで更新することは困難となり、同多点学習値が反省処理による変化の積み重ねによって上記適切な値から離れた値となるおそれがある。このように機関運転状態の移行しにくい多点学習領域の多点学習値が上記適切な値から離れた値になると、その多点学習領域に現在の機関運転状態が移行したとき、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりする。
こうした実情を考慮して、請求項1記載の発明では、反省処理を実行するに当たり、多点学習値の初期値からの更新が行われていない多点学習領域では多点学習値の上記反省処理による変化を禁止する。多点学習値の初期値からの更新が行われていないということは、同多点学習値に対応する多点学習領域は機関運転状態の移行しにくい領域であることを表している。こうした領域において、多点学習値の初期値からの更新が行われていない場合には、反省処理による多点学習値の変化が禁止されるため、その変化の積み重ねにより同多点学習値が内燃機関のノックを抑制するうえで適切な値から離れた値となることは回避される。従って、機関運転状態の移行しにくい上記多点学習領域に現在の機関運転状態が移行したとき、その多点学習領域の多点学習値が上記適切な値から離れた値となることに起因して、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることを回避できる。
請求項2記載の発明によれば、反省処理による多点学習値の変化が禁止されている多点学習領域に現在の機関運転状態が入ったときには、予め定められた遅角量分だけ減算された点火時期指令値を用いて上記多点学習領域での内燃機関の点火時期制御が開始される。反省処理による多点学習値の変化が禁止されている多点学習領域では、多点学習値のフィードバック項に基づく更新が進んでいないため、その多点学習値が内燃機関のノックを抑制するうえで適切な値となっていない可能性が高い。しかし、上記多点学習領域での内燃機関の点火時期制御を開始する際、上記遅角量分だけ減算された点火時期指令値を用いることにより、その点火時期制御が過度に点火時期を進角させた状態から開始されることは回避され、上記過度な点火時期の進角に伴う内燃機関のノック発生は抑制されるようになる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様、基本学習領域内における内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域において、内燃機関でのノック発生を効果的に抑制できなくなったり、同点火時期が過度に遅角側に補正されたりすることを抑制できる。また、多点学習値及び基本学習値の更新が許可された状態にあって、多点学習領域のある基本学習領域の基本学習値が更新されて変化すると、反省処理の実行を通じて同基本学習値の変化の際の変化量分だけ各多点学習値が上記基本学習値の変化方向とは逆方向に変化される。これにより、上記基本学習値の変化が多点学習領域での点火時期に影響を及ぼし、その影響によって点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることの抑制が図られる。
ところで、複数の多点学習領域のうち機関運転状態の移行しにくい多点学習領域では、反省処理が行われる毎に多点学習値が変化するのに対し、現在の機関運転状態が上記多点学習領域に移行して同多点学習値の更新が行われる機会が少なくなる。その結果、その多点学習値を内燃機関のノックを抑制するうえで適切な値となるまで更新することは困難となり、同多点学習値が反省処理による変化の積み重ねによって上記適切な値から離れた値となるおそれがある。そして、機関運転状態の移行しにくい多点学習領域の多点学習値が上記適切な値から離れた値になると、その多点学習領域に現在の機関運転状態が移行したとき、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりする。
こうした実情を考慮して、請求項3記載の発明では、各多点学習領域での多点学習値の初期値からの更新回数をそれぞれ計測しておき、反省処理を実行するに当たり、多点学習値の初期値からの更新回数が予め定められた判定回数未満である多点学習領域では多点学習値の上記反省処理による変化を禁止する。多点学習値の初期値からの更新回数が判定回数未満など少ない回数であることは、同多点学習値に対応する多点学習領域は機関運転状態の移行しにくい領域であることを表している。こうした領域において、多点学習値の初期値からの更新回数が判定回数未満である場合には、反省処理による多点学習値の変化が禁止されるため、その変化の積み重ねにより同多点学習値が内燃機関のノックを抑制するうえで適切な値から離れた値となることは回避される。従って、機関運転状態の移行しにくい上記多点学習領域に現在の機関運転状態が移行したとき、その多点学習領域の多点学習値が上記適切な値から離れた値となることに起因して、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることを回避できる。
請求項4記載の発明によれば、多点学習値の初期値からの更新回数が予め定められた設定回数よりも小さい多点学習領域に現在の機関運転状態が入ったときには、予め定められた遅角量分だけ減算された点火時期指令値を用いて上記多点学習領域での内燃機関の点火時期制御が開始される。多点学習値の初期値からの更新回数が設定回数未満となる多点学習領域では、多点学習値のフィードバック項に基づく更新が進んでいないため、その多点学習値が内燃機関のノックを抑制するうえで適切な値となっていない可能性が高い。しかし、上記多点学習領域での内燃機関の点火時期制御を開始する際、上記遅角量分だけ減算された点火時期指令値を用いることにより、その点火時期制御が過度に点火時期を進角させた状態から開始されることは回避され、上記過度な点火時期の進角に伴う内燃機関のノック発生が抑制されるようになる。
請求項5記載の発明によれば、遅角量分だけ減算した点火時期指令値を用いて点火時期制御を開始した後、その遅角量を徐々に「0」に近づけつつ同遅角量分だけ減算した点火時期指令値を用いて点火時期制御が行われる。上記点火時期制御の開始後、遅角量分だけ減算した点火時期指令値を用いて点火時期制御を行う際、その遅角量が「0」に対し大きい値となったままでは、点火時期が遅角し過ぎた状態となって内燃機関の出力低下を招く可能性がある。こうした場合でも、上記のように遅角量を徐々に「0」に近づけつつ、同遅角量分だけ減算した点火時期指令値を用いて点火時期制御を行うことにより、点火時期が遅角し過ぎた状態のままとなることを抑制でき、ひいては内燃機関の出力低下を招くことを抑制できる。また、上記のように遅角量を徐々に「0」に近づけることにより、それに伴い内燃機関の点火時期が急変することはなくなるため、同点火時期の急変に伴うショックの発生を抑制することもできる。
第1実施形態の点火時期制御装置が適用されるエンジン全体を示す略図。 点火時期指令値を算出するためのフィードバック項及びその徐変値の推移を示すタイムチャート。 基本学習領域及び多点学習領域を示す説明図。 点火時期指令値の算出の概要を示す説明図。 点火時期指令値の算出の概要を示す説明図。 第1実施形態における反省処理の実行手順を示すフローチャート。 第1実施形態における点火時期制御の実行手順を示すフローチャート。 第2実施形態における反省処理の実行手順を示すフローチャート。 第2実施形態における点火時期制御の実行手順を示すフローチャート。
[第1実施形態]
以下、本発明を自動車用エンジンの点火時期制御装置に具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示されるエンジン1においては、その燃焼室2に吸気通路3を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。そして、燃焼後の混合気は排気として各燃焼室2から排気通路8に送り出される。
こうしたエンジン1の点火時期制御装置は、同エンジン1の各種運転制御を実行する電子制御装置26を備えている。この電子制御装置26は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置26の入力ポートには、以下に示す各種センサが接続されている。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル27の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ28。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ29の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ30。
・エンジン1でのノック発生を検出するノックセンサ31。
・吸気通路3を通じて燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフローメータ32。
・クランクシャフト7の回転に対応する信号を出力し、エンジン回転速度(機関回転速度)の算出等に用いられるクランクポジションセンサ34。
また、電子制御装置26の出力ポートには、点火プラグ5の駆動回路及びスロットルバルブ29の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置26は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、エンジン回転速度やエンジン負荷(エンジン1の1サイクル当たりに燃焼室2に吸入される空気の量)といったエンジン運転状態を把握する。なお、エンジン回転速度はクランクポジションセンサ34からの検出信号に基づき求められる。また、エンジン負荷は、アクセルポジションセンサ28、スロットルポジションセンサ30、及び、エアフローメータ32等の検出信号に基づき求められるエンジン1の吸入空気量とエンジン回転速度とから算出される。電子制御装置26は、エンジン負荷やエンジン回転速度といったエンジン運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうしてエンジン1の点火時期制御等の各種運転制御が電子制御装置26を通じて実施される。
次に、エンジン1の点火時期制御の概要について説明する。
エンジン1の点火時期に関しては、エンジン運転状態等から求められる点火時期指令値STに基づき、同点火時期指令値STが減少するほど遅角側に制御されることとなる。同点火時期指令値STは、例えば、エンジン運転状態に基づき算出される最大遅角点火時期AKmaxに対し、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項Fによる補正を加えるとともに、そのフィードバック項Fに基づき更新される基本学習値AG(i) による補正を加えることによって算出される。
上記点火時期指令値STの算出に用いられる最大遅角点火時期AKmaxは、エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づき標準的な環境条件下においてノックを生じさせない最も進角側の点火時期として算出されるベース点火時期BTから、実験等により予め定められた固定値であるノック余裕代Rを減算することにより算出される。このように算出された最大遅角点火時期AKmaxは、上記ベース点火時期BTからノック余裕代Rだけ遅角させた値となり、最もノックが発生しやすい環境条件下においてノックを生じさせない最も進角側の点火時期を表す値となる。なお、上記環境条件としては気温、湿度、大気圧、及びエンジン冷却水温等があげられ、これらの条件に応じてエンジン1でのノックの発生しやすさが変化することとなる。
上記点火時期指令値STの算出に用いられるフィードバック項Fは、ノックセンサ31からの検出信号に基づきノック発生ありの旨判断されたときには予め定められた遅角更新量a分だけ減量されて点火時期を遅角補正し、ノック発生なしの旨判断されたときには予め定められた進角更新量b分だけ増量されて点火時期を進角補正するものである。こうしたフィードバック項Fのノック発生の有無に基づく推移の一例を図2に実線で示す。このように推移するフィードバック項Fは、ノック発生時に点火時期を直ちに遅角させてノックの抑制を図るとともに、ノック発生のないときには点火時期を進角させて上記点火時期の遅角によって低下したエンジン出力を可能な限り回復させるための補正項ということになる。
上記点火時期指令値STの算出に用いられる基本学習値AG(i) は、エンジン負荷及びエンジン回転速度といったエンジン運転状態に応じて区画された複数(この例では「2」)の基本学習領域i(i=0、1)毎に用意され、それぞれ電子制御装置26に設けられた不揮発性のRAMに記憶されている。そして、点火時期指令値STの算出に用いられる基本学習値AG(i) としては、現在のエンジン運転状態に対応する基本学習領域iの値が用いられる。また、現在のエンジン運転状態のある基本学習領域iでは、フィードバック項Fに徐変処理を施した値である徐変値Fsmに基づき基本学習値AG(i) の更新が行われる。こうした徐変値Fsmは、上記フィードバック項Fが図2に実線で示されるように推移したとすると、例えば同図に破線で示されるように推移する。
上記基本学習値AG(i) の更新に関しては、例えば、上記徐変値Fsmがその基準値(初期値)を中心とする予め定められた所定範囲H内の値となるよう基本学習値AG(i) を増減させることによって実現される。詳しくは、所定の時間間隔をおいた更新タイミング毎に、徐変値Fsmが上記所定範囲Hから外れているか否かが判断される。そして、上記徐変値Fsmが上記所定範囲Hに対し増加側に外れているときには基本学習値AG(i) が予め定められた進角更新量K1だけ増大され、上記徐変値Fsmが上記所定範囲Hに対し減少側に外れているときには基本学習値AG(i) が予め定められた遅角更新量K2だけ減少される。ちなみに、図2の例においては、タイミングT1以降で徐変値Fsmが上記所定範囲Hに対し減少側に外れており、そのときに上記更新タイミングを迎えると、基本学習値AG(i) が予め定められた遅角更新量K2だけ減少される。以上のように更新される基本学習値AG(i) は、ノックの発生を抑制すべく点火時期を定常的に補正するための補正項ということになる。
ここで、燃焼室2内でのデポジットの付着などエンジン1の経年劣化が生じると、同エンジン1でノックが発生しやすくなることから、それに基づいて基本学習値AG(i) が減少側の値に更新される。そして、上記更新後の基本学習値AG(i) を用いて点火時期を補正することで、エンジン1の経年劣化によってノックが発生しやすくなることの抑制が図られる。
ところで、燃焼室2内でのデポジットの付着といったエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響は、同一の基本学習領域i内において、その領域i内中における更に細かなエンジン運転領域によって大きく異なる可能性がある。この場合、基本学習領域i毎に設定された基本学習値AG(i) を用いて点火時期の補正を行うとき、同基本学習領域i内でのエンジン運転状態によっては上記基本学習値AG(i) がエンジン1の経年劣化によるノック発生を抑制するうえで不適切な値となるおそれがある。詳しくは、上記ノック発生を抑制するうえで、上記基本学習値AG(i) が大きすぎる値となって同ノック発生を効果的に抑制できなくなったり、上記基本学習値AG(i) が小さすぎる値となって点火時期が過度に遅角側に補正されてエンジン1の出力低下を招いたりするおそれがある。
こうしたことを抑制するため、本実施形態では、以下の式(1)から求められる点火時期指令値STに基づきエンジン1の点火時期制御を行うようにしている。
ST=AKmax+F+AG(i) +AGdp(n) …(1)
ST :点火時期指令値
AKmax :最大遅角点火時期
F :フィードバック項
AG(i) :基本学習値
AGdp(n) :多点学習値
この式(1)の多点学習値AGdp(n) は、燃焼室2内でのデポジットの付着などエンジン1の経年劣化が生じたとき、その経年劣化によるノック発生への影響のばらつきに対応して点火時期を補正するための補正項である。この多点学習値AGdp(n) は、基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域にエンジン運転状態に応じて同基本学習領域iよりも更に細かく区画された複数の多点学習領域n毎に用意されており、それぞれ電子制御装置26の不揮発性のRAMに記憶されている。
図3は、上記基本学習領域i及び多点学習領域nを示したものである。この例では、基本学習領域iとして、エンジン回転速度に応じて二つに区画された基本学習領域i(i=0、1)が設定されている。また、複数の基本学習領域iのうちエンジン回転速度の変化方向について最も低回転側に存在する基本学習領域i(i=0)内において、エンジン負荷の変化方向について低負荷側の領域には、複数の多点学習領域nが設定されている。これは、こうした領域において、エンジン1の経年劣化によるノック発生への影響の度合いのばらつきが大きくなるためである。
上記各多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) のうち、エンジン1の運転時に現在のエンジン運転状態のある多点学習領域nに対応したものがフィードバック項Fに基づき更新される。詳しくは、基本学習値AG(i) の更新と同様、フィードバック項Fに徐変処理を施した値である徐変値Fsmが所定範囲H内に収束するよう多点学習値AGdp(n) を増減させることにより、同多点学習値AGdp(n) の更新が実現されるようになる。従って、基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域では、そのばらつきに応じて同領域を細分化した多点学習領域n毎の多点学習値AGdp(n) をそれぞれノック発生を抑制するうえで適切な値とすることができる。なお、現在のエンジン運転状態が多点学習領域n内にあるときには、その多点学習領域nの存在する基本学習領域iの基本学習値AG(i) のフィードバック項Fに基づく更新は行われないようにされる。
上記式(1)の多点学習値AGdp(n) としては、現在のエンジン運転状態が複数の多点学習領域n内のいずれかにあるときには、同エンジン運転状態のある多点学習領域nに対応したものが用いられる。また、現在のエンジン運転状態が複数の多点学習領域nのうちのいずれにもないときには、式(1)の多点学習値AGdp(n) が「0」に設定されることとなる。このため、現在のエンジン運転状態が複数の多点学習領域nのうちのいずれにもないときには、点火時期指令値STが多点学習値AGdp(n) を用いずに算出されることになり、点火時期の同多点学習値AGdp(n) による補正も行われなくなる。
ちなみに、自動車の納車直後などにおいては、基本学習値AG(i) 及び多点学習値AGdp(n) 全てが自動車の出荷時の値である初期値となった状態から各々の更新を行うという状況が生じる。この場合、多点学習領域nの存在する基本学習領域iでは、まず基本学習値AG(i) の更新をある程度行ってから多点学習値AGdp(n) の更新を行うことが好ましい。このため、上述した状況のもとでは、上記多点学習値AGdp(n) の更新に対し基本学習値AG(i) の更新を優先して行うことを意図して、以下のように多点学習値AGdp(n) の更新が行われることとなる。すなわち、上記基本学習値AG(i) の更新がある程度行われるまでは多点学習値AGdp(n) の更新が禁止され、同基本学習値AG(i) の更新がある程度行われてから多点学習値AGdp(n) の更新が許可される。
上記式(1)から求められる点火時期指令値STに基づきエンジン1の点火時期制御を行うことで、基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域では、最大遅角点火時期AKmaxに対し多点学習値AGdp(n) に基づく補正が加えられる。更に、その補正後の値に対し基本学習値AG(i) に基づく補正が加えられることとなる。この多点学習値AGdp(n) は、基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域に同基本学習領域iよりも細かく区画された複数の多点学習領域n毎に用意されたものであり、現在のエンジン運転状態のある多点学習領域nに対応したものが用いられる。
こうした多点学習値AGdp(n) による最大遅角点火時期AKmaxの補正により、基本学習領域i内であってエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域においても、同経年劣化等に起因する同エンジン1での定常的なノック発生を的確に抑制することができる。言い換えれば、基本学習領域i内であってエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域において、エンジン1でのノック発生を効果的に抑制できなくなったり、同点火時期が過度に遅角側に補正されてエンジン1の出力低下を招いたりするという不具合が生じることを抑制できるようになる。
図4は、エンジン運転状態が多点学習領域nにあり、同領域nの多点学習値AGdp(n) が負の値であるときの点火時期指令値STの算出の概要を示している。また、図5は、エンジン運転状態が多点学習領域nにあり、同領域nの多点学習値AGdp(n) が正の値であるときの点火時期指令値STの算出の概要を示している。これらの図に示されるように、上記点火時期指令値STに関しては、最大遅角点火時期AKmaxに対し、上記多点学習領域nに対応する多点学習値AGdp(n) による補正が加えられるとともに、同多点学習領域nの存在する基本学習領域iに対応する基本学習値AG(i) による補正が加えられる。この状態にあって、ノック発生の有無に応じてフィードバック項Fが増減されると、そのフィードバック項Fの増減分だけ点火時期指令値STが矢印Y1又は矢印Y2で示されるように増減する。そして、この増減するフィードバック項Fの徐変値Fsmが所定範囲H内の値となるよう多点学習値AGdp(n) が増減されることにより、同多点学習値AGdp(n) の更新が実現されることとなる。
次に、多点学習値AGdp(n) 及び基本学習値AG(i) の更新が許可された状態にあって、最も低回転側の基本学習領域iにおける多点学習領域n以外の領域において同基本学習領域iに対応する基本学習値AG(i) がフィードバック項Fに基づき更新されて変化したとき、それに合わせて多点学習値AGdp(n) を変化させる反省処理について説明する。
多点学習値AGdp(n) 及び基本学習値AG(i) の更新が許可された状態にあって、上記のように最も低回転側の基本学習領域iに対応する基本学習値AG(i) が変化すると、その変化による影響が多点学習領域nにて算出される点火時期指令値STにも及ぶことになる。これは、多点学習領域nでの点火時期指令値STは、式(1)から分かるように、上述したように変化した基本学習値AG(i) と多点学習値AGdp(n) とに基づき算出されるためである。
そして、上記基本学習値AG(i) の変化が生じた後、多点学習領域nに移行して初めて点火時期指令値STが算出されるとき、同点火時期指令値STが上記基本学習値AG(i) の変化による影響を受けると、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角側に変化し過ぎてエンジン出力の低下を招く値となったりするおそれがある。こうした多点学習領域nでの点火時期に関する不具合の発生を抑制すべく上記反省処理が実行されることとなる。
この反省処理では、上記基本学習値AG(i) の変化が生じたとき、その変化の際の変化量分だけ各多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) が上記基本学習値AG(i) の変化方向とは逆方向に変化される。このように、上記基本学習値AG(i) の変化に合わせて各多点学習値AGdp(n) を変化させることにより、上述した不具合の発生の抑制が図られる。より詳しくは、上記基本学習値AG(i) の変化が生じた後、多点学習領域nに移行して初めて点火時期指令値STが算出されるとき、同点火時期指令値STが上記変化分だけノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角側に変化し過ぎてエンジン出力の低下を招く値となったりすることの抑制が図られるようになる。
ところで、複数の多点学習領域nのなかにはエンジン運転状態が移行しやすい領域と移行しにくい領域とがある。例えば、図3に示される複数の多点学習領域nのうち、低回転高負荷側に位置する多点学習領域nや高回転低負荷側に位置する多点学習領域nはエンジン運転状態が移行しにくい領域となり、それ以外の多点学習領域nはエンジン運転状態が比較的移行しやすい領域となる。
そして、エンジン運転状態の移行しやすい多点学習領域nでは、反省処理が行われて多点学習値AGdp(n) が変化した後、現在のエンジン運転状態が上記多点学習領域nに移行して同多点学習値AGdp(n) の更新が進むことにより、その多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値とされるようになる。しかし、エンジン運転状態の移行しにくい多点学習領域nでは、反省処理が行われる毎に多点学習値AGdp(n) が変化するのに対し、現在のエンジン運転状態が上記多点学習領域nに移行して同多点学習値AGdp(n) の更新が行われる機会が少なくなる。その結果、その多点学習値AGdp(n) をエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値となるまで更新することは困難となり、同多点学習値AGdp(n) が反省処理による変化の積み重ねによって上記適切な値から離れた値となるおそれがある。このようにエンジン運転状態の移行しにくい多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) が上記適切な値から離れた値になると、その多点学習領域nに現在のエンジン運転状態が移行したとき、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりする。
そこで本実施形態では、上記反省処理を実行するに当たり、多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が行われていない多点学習領域nでは多点学習値AGdp(n) の上記反省処理による変化を禁止する。なお、ここでいう多点学習値AGdp(n) の初期値とは、自動車の出荷時、言い換えれば自動車の製造後に使用を開始する時点の多点学習値AGdp(n) の値のことである。多点学習値AGdp(n) が上記初期値となる状況としては、自動車の製造後に使用を開始する時点の他、自動車からのバッテリの一時的な取り外しが行われた後に最初に自動車を使用する時点などがあげられる。
多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が行われていないということは、同多点学習値AGdp(n) に対応する多点学習領域nはエンジン運転状態の移行しにくい領域であることを表している。こうした領域において、多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が行われていない場合には、反省処理による多点学習値AGdp(n) の変化が禁止されるため、その変化の積み重ねにより同多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値から離れた値となることは回避される。従って、エンジン運転状態の移行しにくい上記多点学習領域nに現在のエンジン運転状態が移行したとき、その多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) が上記適切な値から離れた値となることに起因して、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることを回避できる。
次に、上記反省処理による多点学習値AGdp(n) の変化を禁止する手順の詳細について、反省処理実行ルーチンを示す図6のフローチャートを参照して説明する。この反省処理実行ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まず、各多点学習領域nにおいて多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が行われたか否かを判断するための更新フラグX(n) の設定処理が実行される(S101、S102)。なお、上記更新フラグX(n) は、各多点学習領域n毎に用意されており、自動車の納車直後など多点学習値AGdp(n) が初期値であるときには「0(更新なし)」となっている。すなわち、上記更新フラグX(n) として「0」が電子制御装置26に設けられた不揮発性のRAMの所定領域に記憶されている。そして、各多点学習領域nのいずれかで多点学習値AGdp(n) の更新が行われると(S101:YES)、同多点学習値AGdp(n) の更新が行われた多点学習領域nに対応する更新フラグX(n) が「1(更新あり)」に設定される(S102)。すなわち、上記更新フラグX(n) として「1」が上記不揮発性のRAMの所定領域に記憶される。
その後、反省処理に関わるステップS103〜S 107の処理が実行される。この一連の処理では、基本学習値AG(i) 及び多点学習値AGdp(n) の更新が許可されていることを条件に(S103:YES)、最も低回転側の基本学習領域i(i=0)における基本学習値AG(i) の変化があったか否かが判断される(S104)。ここで肯定判定であれば、上記基本学習値AG(i) が変化したときの変化量ΔAGが算出される(S105)。そして、各多点学習領域nのうち更新フラグX(n) が「1(更新あり)」となる多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) は、上記変化量ΔAG分だけ上記基本学習値AG(i) の変化方向と逆方向に変化される(S106)。一方、各多点学習領域nのうち更新フラグX(n) が「0(更新なし)」となる多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) に関しては、上記変化量ΔAG分の変化が禁止される(S107)。
次に、エンジン運転状態の移行しにくい多点学習領域n、言い換えれば多点学習値AGdp(n) の更新が行われにくい多点学習領域nでの点火時期制御について説明する。
更新フラグX(n) が「0(更新なし)」に設定されており、反省処理による多点学習値の変化が禁止されている多点学習領域nでは、多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が進んでいないため、その多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値となっていない可能性が高い。このため、上記多点学習領域nにエンジン運転状態が移行して同多点学習領域nでの点火時期制御が開始されるとき、多点学習値AGdp(n) が上記適切な値に対し大きすぎる値となり、それに起因して点火時期が過度に進角した状態となってエンジン1のノックを抑制できなくなるおそれがある。
こうしたことに対処するため、更新フラグX(n) が「0(更新なし)」に設定されており、反省処理による多点学習値AGdp(n) の変化が禁止されている多点学習領域nに現在のエンジン運転状態が入ったときには、予め定められた遅角量SR分だけ減算された点火時期指令値STを用いて上記多点学習領域nでのエンジン1の点火時期制御を開始する。この場合、同点火時期制御が点火時期を上記適切な値に対し過度に進角した状態から開始されることは回避されるため、上記過度な点火時期の進角に伴うエンジン1のノック発生が抑制されるようになる。
図7は、点火時期指令値STを上述したように遅角量SR分だけ減算するとともに、同減算後の点火時期指令値STを用いた点火時期制御を実行するための点火時期制御ルーチンを示すフローチャートである。この点火時期制御ルーチン、電子制御装置26を通じて、例えば所定クランク角毎の角度割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まず上記遅角量SR分の点火時期指令値STの減算が実行されているか否かを判断するための減算フラグGXが「0(停止)」であるか否かが判断される(S201)。ここで肯定判定であれば、エンジン運転状態が複数の多点学習領域nのうちのいずれか一つの多点学習領域nに移行したことを条件に(S202:YES)、同多点学習領域nに対応する更新フラグX(n) が「0(更新なし)」であるか否かが判断される(S203)。そして、更新フラグX(n) が「1(更新あり)」であれば、上記式(1)により算出された点火時期指令値STに基づく通常の点火時期制御が実行される(S212)。一方、更新フラグX(n) が「0(更新なし)」であれば、上記減算フラグGXが「1(実行)」とされ(S204)、上記式(1)に基づき算出された点火時期指令値STが上記遅角量SR分だけ減算される(S205)。この遅角量SRとしては予め実験等により定められた最適値が用いられる。その後、遅角量SR分だけ減算せれた点火時期指令値STに基づきエンジン1の点火時期制御が行われる(S206)。
従って、更新フラグX(n) が「0」となる多点学習領域nにおいては、その多点学習領域nにエンジン運転状態が移行したとき、遅角量SR分だけ減算された点火時期指令値STに基づき点火時期制御が開始されることとなる。同点火時期制御の開始後には、上記遅角量SR分の点火時期の遅角を徐々に解消するため、同遅角量SRを徐々に「0」に近づけるための処理(S207〜S209)が行われる。この一連の処理では、まず遅角量SRか所定値Δd分だけ減算され(S207)、その後に遅角量SRが「0」以下であるか否かが判断され(S208)、ここで肯定判定であれば遅角量SRが「0」に設定される(S209)。こうした処理を繰り返し行うことにより、上記遅角量SRが徐々に「0」に近づけられる。そして、減算フラグGXが「1(実行)」である間は、ステップS201の処理で否定判定がなされ、同減算フラグGXが「1」となったときと同一の多点学習領域nであることを条件に(S210:YES)、ステップS205〜S209の処理が繰り返される。
なお、減算フラグGXが「1」となって遅角量SR分の点火時期指令値STの減算が開始された後、減算フラグGXが「1」となったときの多点学習領域n外にエンジン運転状態が移行すると、ステップS210で否定判定がなされて減算フラグGXが「0(停止)」とされる(S211)。更に、上記遅角量SRをクリアすべく同遅角量SRが「0」に設定される(S209)。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域では、複数の多点学習領域nが設定されるとともに、それら多点学習領域n毎に多点学習値AGdp(n) が用意される。そして、現在のエンジン運転状態が基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域にあるときには、上記複数の多点学習領域nのうち現在のエンジン運転状態が存在する多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) がフィードバック項Fに基づき更新される。これにより、基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域において、そのばらつきに応じて同領域を細分化した多点学習領域n毎の多点学習値AGdp(n) をそれぞれノック発生を抑制するうえで適切な値とすることができる。そして、上記エンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域では、最大遅角点火時期AKmaxに対し、現在のエンジン運転状態に対応する多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) による補正が加えられ、その上で同多点学習領域nの存在する基本学習領域iに対応した基本学習値AG(i) による補正が加えられる。上記のように多点学習値AGdp(n) による補正を最大遅角点火時期AKmaxに対し加えることで、基本学習領域i内におけるエンジン1の経年劣化によるノック発生への影響のばらつきが大きい領域において、エンジン1でのノック発生を効果的に抑制できなくなったり、同点火時期が過度に遅角側に補正されたりすることを抑制できる。
(2)多点学習値AGdp(n) 及び基本学習値AG(i) の更新が許可された状態にあって、現在のエンジン運転状態が多点学習領域nの存在する基本学習領域i内であって多点学習領域n以外の領域にあるときには、同基本学習領域iの基本学習値AG(i) が更新されて変化すると、その変化が以下のような問題を招くおそれがある。すなわち、上記のように基本学習値AG(i) が変化すると、エンジン運転状態が上記基本学習領域i内の多点学習領域nに移行したとき、その移行後の点火時期が上記基本学習値AG(i) の変化による影響を受け、それによって点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切になったり、遅角し過ぎてエンジン出力の低下を招いたりするおそれがある。これに対処するため、上記基本学習値AG(i) の変化が生じたときには、反省処理の実行を通じて、同基本学習値AG(i) の変化の際の変化量ΔAG分だけ多点学習値AGdp(n) が上記基本学習値AG(i) の変化方向とは逆方向に変化される。これにより、上記基本学習値AG(i) の変化が生じたとき、多点学習領域nで同変化による点火時期への影響が生じ、その影響によって上述した点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることの抑制が図られる。
(3)上記反省処理を実行するに当たり、多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が行われていない多点学習領域nでは多点学習値AGdp(n) の上記反省処理による変化が禁止される。多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が行われていないということは、同多点学習値AGdp(n) に対応する多点学習領域nはエンジン運転状態の移行しにくい領域であることを表している。こうした領域において、多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が行われていない場合には、上記のように反省処理による多点学習値AGdp(n) の変化が禁止されるため、その変化の積み重ねにより同多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値から離れた値となることは回避される。従って、エンジン運転状態の移行しにくい上記多点学習領域nに現在のエンジン運転状態が移行したとき、その多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) が上記適切な値から離れた値となることに起因して、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることを回避できる。
(4)上記反省処理による多点学習値の変化が禁止されている多点学習領域nでは、多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が進んでいないため、その多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値となっていない可能性が高い。このため、上記多点学習領域nにエンジン運転状態が移行して同多点学習領域nでの点火時期制御が開始されるとき、多点学習値AGdp(n) が上記適切な値に対し大きすぎる値となり、それに起因して点火時期が過度に進角した状態となってエンジン1のノックを抑制できなくなるおそれがある。こうしたことに対処するため、上記多点学習領域nに現在のエンジン運転状態が入ったときには、予め定められた遅角量SR分だけ減算された点火時期指令値STを用いて上記多点学習領域nでのエンジン1の点火時期制御を開始する。これにより、同点火時期制御が点火時期を上記適切な値に対し過度に進角した状態から開始されることは回避され、上記過度な点火時期の進角に伴うエンジン1のノック発生が抑制されるようになる。
(5)上記遅角量SR分だけ減算した点火時期指令値STを用いて点火時期制御を開始した後、その遅角量SRを徐々に「0」に近づけつつ同遅角量SR分だけ減算した点火時期指令値STを用いて点火時期制御が行われる。上記点火時期制御の開始後、遅角量SR分だけ減算した点火時期指令値STを用いて点火時期制御を行う際、その遅角量SRが「0」に対し大きい値となったままでは、エンジン1の点火時期が遅角し過ぎた状態となって同エンジン1の出力低下を招く可能性がある。こうした場合でも、上記のように遅角量SRを徐々に「0」に近づけつつ、同遅角量SR分だけ減算した点火時期指令値STを用いて点火時期制御を行うことにより、点火時期が遅角し過ぎた状態のままとなることを抑制でき、ひいてはエンジン1の出力低下を招くことを抑制できる。また、上記のように遅角量SRを徐々に「0」に近づけることにより、それに伴いエンジン1の点火時期が急変することはなくなるため、同点火時期の急変に伴うショックの発生を抑制することもできる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図8及び図9に基づき説明する。
この実施形態は、各多点学習領域nでの多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新回数C(n) をそれぞれ計測しておき、反省処理を実行するに当たり、多点学習値AGdp(n) の変化量ΔAG分の変化を上記更新回数C(n) に基づき禁止または許容するようにしたものである。
図8は、本実施形態の反省処理実行ルーチンを示すフローチャートである。この反省処理実行ルーチンは、第1実施形態における反省処理実行ルーチン(図6)に対し、同ルーチンのステップS102、S106、S107に相当する処理(S302、S306、S307)が異なっている。
同ルーチンにおいては、まず、各多点学習領域nにおいて多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新回数C(n) を計測するための処理が実行される(S301、S302)。なお、上記更新回数C(n) は、各多点学習領域n毎に用意されて電子制御装置26に設けられた不揮発性のRAMの所定領域に記憶されており、自動車の納車直後など多点学習値AGdp(n) が初期値であるときには「0」となっている。そして、各多点学習領域nのいずれかで多点学習値AGdp(n) の更新が行われると(S301:YES)、同多点学習値AGdp(n) の更新が行われた多点学習領域nに対応する更新回数C(n) が「1」だけカウントアップされ(S302)、上記不揮発性のRAMに記憶される。
その後、反省処理に関わるステップS303〜S307の処理が実行される。この一連の処理では、基本学習値AG(i) 及び多点学習値AGdp(n) の更新が許可されていることを条件に(S303:YES)、最も低回転側の基本学習領域i(i=0)における基本学習値AG(i) の変化があったか否かが判断される(S304)。ここで肯定判定であれば、上記基本学習値AG(i) が変化したときの変化量ΔAGが算出される(S305)。そして、各多点学習領域nのうち更新回数C(n) が判定回数HK以上となる多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) は、上記変化量ΔAG分だけ上記基本学習値AG(i) の変化方向と逆方向に変化される(S306)。一方、各多点学習領域nのうち更新回数C(n) が上記判定回数HK未満となる多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) は、上記変化量ΔAG分の変化が禁止される(S307)。なお、上記判定回数HKは、予め実験等により定められた最適値を採用することが好ましく、この実施形態では例えば3回に設定されている。
図9は、本実施形態の点火時期制御ルーチンを示すフローチャートである。この点火時期制御ルーチンは、第1実施形態における点火時期制御ルーチンに対し、同ルーチンのステップS203(図7)に相当する処理(S403)のみが異なっている。
同ルーチンにおいては、まず、減算フラグGXが「0(停止)」であるか否かが判断される(S401)。ここで肯定判定であれば、エンジン運転状態が複数の多点学習領域nのうちのいずれか一つの多点学習領域nに移行したことを条件に(S402:YES)、同多点学習領域nに対応する更新回数C(n) が設定回数SK未満であるか否かが判断される(S403)。この設定回数SKとしては、多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値となるほど同多点学習値AGdp(n) の更新が進んでいるか否かを判断する基準となる値であって、同判断の基準として予め実験等により定められた最適値を採用することが好ましい。ちなみに、この実施形態での上記設定回数SKは、上記判定回数HKと同じく3回に設定されている。そして、更新回数C(n) が設定回数SK以上であれば、上記式(1)により算出された点火時期指令値STに基づく通常の点火時期制御が実行される(S412)。一方、更新回数C(n) が上記設定回数SK未満であれば、上記減算フラグGXが「1(実行)」とされ(S404)、上記式(1)に基づき算出された点火時期指令値STが上記遅角量SR分だけ減算される(S405)。
従って、更新回数C(n) が設定回数SK未満となる多点学習領域nにおいては、その多点学習領域nにエンジン運転状態が移行したとき、遅角量SR分だけ減算された点火時期指令値STに基づき点火時期制御が開始されることとなる。同点火時期制御の開始後には、上記遅角量SR分の点火時期の遅角を徐々に解消するため、同遅角量SRを徐々に「0」に近づけるための処理(S407〜S409)が行われる。こうした処理を繰り返し行うことにより、上記遅角量SRが徐々に「0」に近づけられる。そして、減算フラグGXが「1(実行)」である間は、ステップS401の処理で否定判定がなされ、同減算フラグGXが「1」となったときと同一の多点学習領域nであることを条件に(S410:YES)、ステップS405〜S409の処理が繰り返される。
なお、減算フラグGXが「1」となって遅角量SR分の点火時期指令値STの減算が開始された後、減算フラグGXが「1」となったときの多点学習領域n外にエンジン運転状態が移行すると、ステップS410で否定判定がなされて減算フラグGXが「0(停止)」とされる(S411)。更に、上記遅角量SRをクリアすべく同遅角量SRが「0」に設定される(S409)。
以上詳述した本実施形態によれば、第1実施形態の(1)、(2)、(5)の効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(6)上記反省処理を実行するに当たり、更新回数C(n) が判定回数HK未満である多点学習領域nでは多点学習値AGdp(n) の上記反省処理による変化が禁止される。更新回数C(n) が判定回数HK未満といった少ない回数であるということは、同更新回数C(n) に対応する多点学習領域nはエンジン運転状態の移行しにくい領域であることを表している。こうした領域において、更新回数C(n) が判定回数HK未満である場合には、上記のように反省処理による多点学習値AGdp(n) の変化が禁止されるため、その変化の積み重ねにより同多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値から離れた値となることは回避される。従って、エンジン運転状態の移行しにくい上記多点学習領域nに現在のエンジン運転状態が移行したとき、その多点学習領域nの多点学習値AGdp(n) が上記適切な値から離れた値となることに起因して、点火時期がノック発生を抑制するうえで不適切な値となったり、遅角し過ぎた値になったりすることを回避できる。
(7)上記更新回数C(n) が設定回数SK未満の多点学習領域nでは、多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新が進んでいないため、その多点学習値AGdp(n) がエンジン1のノックを抑制するうえで適切な値となっていない可能性が高い。このため、上記多点学習領域nにエンジン運転状態が移行して同多点学習領域nでの点火時期制御が開始されるとき、多点学習値AGdp(n) が上記適切な値に対し大きすぎる値となり、それに起因して点火時期が過度に進角した状態となってエンジン1のノックを抑制できなくなるおそれがある。こうしたことに対処するため、上記多点学習領域nに現在のエンジン運転状態が入ったときには、予め定められた遅角量SR分だけ減算された点火時期指令値STを用いて上記多点学習領域nでのエンジン1の点火時期制御を開始する。これにより、同点火時期制御が点火時期を上記適切な値に対し過度に進角した状態から開始されることは回避され、上記過度な点火時期の進角に伴うエンジン1のノック発生が抑制されるようになる。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1実施形態において、更新フラグX(n) として「0(更新なし)」または「1(更新あり)」を電子制御装置26に設けられる揮発性のメモリに記憶するようにし、エンジン1の停止毎に更新フラグX(n) が「0(更新なし)」に初期化されるようにしてもよい。この場合、更新フラグX(n) は、エンジン1の始動開始後における多点学習値AGdp(n) の更新の有無を表すものとなる。すなわち、エンジン1の始動開始時点の多点学習値AGdp(n) を初期値とし、その初期値からの同多点学習値AGdp(n) の更新がない場合には、上記更新フラグX(n) が「0(更新なし)」となる。一方、エンジン1の始動開始後、上記初期値からの多点学習値AGdp(n) の更新があった場合には、上記更新フラグX(n) が「1(更新あり)」となる。なお、この例でいう多点学習値AGdp(n) の初期値とは、上述したようにエンジン1の始動開始時点での多点学習値AGdp(n) の値のことである。
・第2実施形態において、更新回数C(n) を電子制御装置26に設けられる揮発性のメモリに記憶するようにし、エンジン1の停止毎に「0」に初期化されるようにしてもよい。この場合、更新回数C(n) は、エンジン1の始動開始後における多点学習値AGdp(n) の更新の回数を表すものとなる。すなわち、エンジン1の始動開始時点の多点学習値AGdp(n) を初期値とし、その初期値からの同多点学習値AGdp(n) の更新が行われる毎に、上記更新回数C(n) が「1」ずつカウントアップされる。なお、この例でいう多点学習値AGdp(n) の初期値とはエンジン1の始動開始時点での多点学習値AGdp(n) の値のことであり、その多点学習値AGdp(n) の初期値からの更新の回数が上記更新回数C(n) によって表される。
・第2実施形態において判定回数HKを3回以外の回数としてもよい。
・第2実施形態において設定回数SKを3回以外の回数としてもよい。
・第2実施形態において設定回数SKを判定回数HKとは異なる回数としてもよい。
・第1実施形態において第2実施形態の点火時期制御ルーチン(図9)を実行してもよい。この場合、第1実施形態において、第2実施形態と同様、更新回数C(n) の計測が行われる。
・最も低回転側の基本学習領域i内において、低負荷側の領域以外の領域に多点学習領域nを設定してもよい。
・基本学習領域iの合計数や多点学習領域nの合計数を適宜変更してもよい。
1…エンジン、2…燃焼室、3…吸気通路、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、26…電子制御装置、27…アクセルペダル、28…アクセルポジションセンサ、29…スロットルバルブ、30…スロットルポジションセンサ、31…ノックセンサ、32…エアフローメータ、34…クランクポジションセンサ。

Claims (5)

  1. 内燃機関の点火時期を点火時期指令値に基づき制御する点火時期制御装置であって、前記点火時期指令値は、機関運転状態に基づき算出される最大遅角点火時期に対し、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項による補正を加えるとともに、前記フィードバック項に基づき更新される基本学習値による補正を加えることで算出されるものであり、前記基本学習値に関しては、機関運転状態に応じて区画された複数の基本学習領域毎に用意されて現在の機関運転状態に対応する基本学習領域の値が前記フィードバック項に基づき更新されるとともに前記最大遅角点火時期の補正に用いられるものであり、前記点火時期指令値が減少するほど内燃機関の点火時期を遅角側に制御する内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記複数の基本学習領域のうちの少なくとも一つの領域内にあって、内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響にばらつきが生じる領域に、機関運転状態に応じて区画された複数の多点学習領域が設定されるとともに、それら多点学習領域毎に前記最大遅角点火時期の補正に用いられる多点学習値が用意され、
    前記多点学習値に関しては、現在の機関運転状態が多点学習領域にあるとき、その多点学習領域の値が前記フィードバック項に基づき更新されるとともに前記最大遅角点火時期の補正に用いられるものであり、
    現在の機関運転状態が多点学習領域にあるときには、前記最大遅角点火時期に対し前記多点学習領域の存在する基本学習領域の基本学習値による補正が加えられるとともに、前記多点学習領域の多点学習値による補正が加えられるものであり、
    前記多点学習領域の存在する基本学習領域において基本学習値が変化したときには、その基本学習値の変化量分だけ各多点学習領域の多点学習値を前記基本学習値の変化方向と逆方向に変化させる反省処理が実行され、
    前記反省処理を実行するに当たり、多点学習値の初期値からの更新が行われていない多点学習領域では多点学習値の前記反省処理による変化を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  2. 前記反省処理による多点学習値の変化が禁止されている多点学習領域に現在の機関運転状態が入ったときには前記点火時期指令値を予め定められた遅角量だけ減算し、その減算後の点火時期指令値を用いて前記多点学習領域での点火時期制御を開始する
    請求項1記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 内燃機関の点火時期を点火時期指令値に基づき制御する点火時期制御装置であって、前記点火時期指令値は、機関運転状態に基づき算出される最大遅角点火時期に対し、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項による補正を加えるとともに、前記フィードバック項に基づき更新される基本学習値による補正を加えることで算出されるものであり、前記基本学習値に関しては、機関運転状態に応じて区画された複数の基本学習領域毎に用意されて現在の機関運転状態に対応する基本学習領域の値が前記フィードバック項に基づき更新されるとともに前記最大遅角点火時期の補正に用いられるものであり、前記点火時期指令値が減少するほど内燃機関の点火時期を遅角側に制御する内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記複数の基本学習領域のうちの少なくとも一つの領域内にあって、内燃機関の経年劣化によるノック発生への影響にばらつきが生じる領域に、機関運転状態に応じて区画された複数の多点学習領域が設定されるとともに、それら多点学習領域毎に前記最大遅角点火時期の補正に用いられる多点学習値が用意され、
    前記多点学習値に関しては、現在の機関運転状態が多点学習領域にあるとき、その多点学習領域の値が前記フィードバック項に基づき更新されるとともに前記最大遅角点火時期の補正に用いられるものであり、
    現在の機関運転状態が多点学習領域にあるときには、前記最大遅角点火時期に対し前記多点学習領域の存在する基本学習領域の基本学習値による補正が加えられるとともに、前記多点学習領域の多点学習値による補正が加えられるものであり、
    前記多点学習領域の存在する基本学習領域において基本学習値が変化したときには、その基本学習値の変化量分だけ各多点学習領域の多点学習値を前記基本学習値の変化方向と逆方向に変化させる反省処理が実行され、
    前記各多点学習領域での多点学習値の初期値からの更新回数をそれぞれ計測しておき、前記反省処理を実行するに当たり、多点学習値の初期値からの更新回数が予め定められた判定回数未満である多点学習領域では多点学習値の前記反省処理による変化を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  4. 多点学習値の初期値からの更新回数が予め定められた設定回数よりも小さい多点学習領域に現在の機関運転状態が入ったときには前記点火時期指令値を予め定められた遅角量だけ減算し、その減算後の点火時期指令値を用いて前記多点学習領域での点火時期制御を開始する
    請求項3記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  5. 前記遅角量だけ減算した点火時期指令値を用いて点火時期制御を開始した後、前記減算後の点火時期指令値を用いた点火時期制御を行うに当たって前記遅角量を徐々に「0」に近づける
    請求項2又は4記載の内燃機関の点火時期制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016017508A (ja) * 2014-07-11 2016-02-01 株式会社デンソー 制御装置

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