JP2011007071A - 空燃比センサの異常検出装置 - Google Patents

空燃比センサの異常検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】空燃比センサにおける異常有りの旨の判断を厳しく行うようにしたとしても、同空燃比センサでの異常の有無の判断を正確に行うことのできる空燃比センサの異常検出装置を提供する。
【解決手段】空燃比センサ26の異常の有無を判断するための異常検出処理は、以下の手順により行われる。エンジン1の空燃比をリッチ状態とリーン状態との間で周期的に変動させるアクティブ空燃比制御を行い、同制御中における空燃比センサ26の出力の応答性に対応する応答性パラメータを同センサ26の出力に基づき求め、それを異常検出用のデータとして取得する。そして、予め定められた設定回数分だけ取得した各データの最大値と最小値との幅をそれら各データの増減方向の分布幅として求め、この分布幅が異常判定値未満のときには空燃比センサ26での異常有りの旨判断とし、同分布幅が異常判定値以上のときには空燃比センサ26での異常無しの旨判断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空燃比センサの異常検出装置に関する。
自動車用等の内燃機関においては、排気中の酸素濃度に基づき同機関の空燃比に対応した信号を出力する空燃比センサが設けられ、その空燃比センサからの出力に基づき同機関の空燃比が理論空燃比となるよう燃料噴射量を補正することが行われている。こうした燃料噴射量の補正を通じて内燃機関の空燃比を理論空燃比に制御することにより、同機関の排気系に設けられる排気浄化触媒の排気浄化能力が良好に保たれ、同機関の排気エミッションの改善が図られる。
上記内燃機関においては、空燃比センサの劣化等の異常が排気エミッションに影響を及ぼすおそれがあるため、そうした影響を未然に防ぐことを意図して空燃比センサの異常の有無を判断する異常検出装置も設けられる。同異常検出装置としては、例えば特許文献1に示されるように、以下の[1]〜[3]の手順により、空燃比センサでの異常の有無を判断するものが知られている。[1]内燃機関の空燃比をリッチとリーンとの間で周期的に変動させるアクティブ空燃比制御を行う。[2]アクティブ空燃比制御中における空燃比センサの出力に基づき同出力の応答性に対応するパラメータ(以下、応答性パラメータという)を求め、それを異常検出用のデータとして取得する。[3]取得したデータと異常判定値との比較に基づき、空燃比センサでの異常の有無を判断する。
特開2004−225684公報(段落[0030]〜[0039]、[0041]、[0052]、[0055]、[0056]、図5)
ところで、近年は内燃機関の排気エミッション改善に対する要求が厳しくなっており、こうした要求を満たすことのできない空燃比センサを異常と判断すべく、上記[3]の手順における異常判定値を正常寄りの値に移行させ、空燃比センサでの異常有りの旨の判断を厳しく行うことが考えられている。
ただし、上記[3]の手順における空燃比センサでの異常有りの旨の判断を厳しく行うと、空燃比センサにおける正常時の出力と異常時の出力との差が小さくなり、上記[2]の手順で求められる応答性パラメータに空燃比センサでの異常の有無による違いが生じにくくなる。特に、内燃機関の小吸気量状態にあっては、同機関の排気圧(排気の流量に対応)が低下し、空燃比センサの劣化等の異常による影響が同センサの出力に現れにくくなるため、応答性パラメータに空燃比センサでの異常の有無による違いが生じにくいという上述した傾向が顕著になる。更に、内燃機関の小吸気量状態での自動車の加減速走行時には、内燃機関における各種機器の応答遅れに起因して上記応答性パラメータが大きく変動するため、上記[2]の手順で取得されたデータが空燃比センサの異常の有無を判別しにくい値になる可能性が高い。
以上のように、上記[2]の手順で求められる応答性パラメータに空燃比センサでの異常の有無による違いが生じにくくなると、上記[3]の手順による空燃比センサでの異常の有無の判断を正確に行うことが困難になる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、空燃比センサにおける異常有りの旨の判断を厳しく行うようにしたとしても、同空燃比センサでの異常の有無の判断を正確に行うことのできる空燃比センサの異常検出装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明によれば、以下の手順で空燃比センサでの異常の有無の判断が行われる。すなわち、アクティブ空燃比制御を行い、同制御中に空燃比センサの出力がリッチピークとリーンピークとの間で変化する際、その変化の応答性に対応するパラメータ(以下、応答性パラメータという)が上記出力に基づき求められて異常検出用のデータとして取得される。そして、複数回のデータの取得により得られた各データの増減方向の分布幅が求められ、その分布幅と異常判定値との比較に基づき空燃比センサでの異常の有無が判断される。詳しくは、上記分布幅が異常判定値未満であれば空燃比センサでの異常有りの旨判断され、同分布幅が異常判定値以上であれば空燃比センサでの異常無しの旨判断(正常である旨判断)される。
ここで、空燃比センサで異常が生じたときには、アクティブ空燃比制御中における同センサの出力の応答性が悪くなる関係から、同制御中における上記応答性パラメータの変化が小さくなり、取得された各データのばらつきも小さくなる。一方、空燃比センサが正常なときには、アクティブ空燃比制御中における同センサの出力の応答性が良好である関係から、同制御中における上記応答性パラメータの変化が大きくなり、取得された各データのばらつきが空燃比センサの異常時と比較して大幅に大きくなる傾向がある。このため、上記取得したデータの増減方向の分布幅に関しては、空燃比センサに異常が発生していないとき(正常なとき)には、異常が発生しているときに比べて大幅に大きくなる。
以上のことから分かるように、上記取得したデータの増減方向の分布幅には、空燃比センサでの異常の有無による違いが大きく現れることとなる。このことは、空燃比センサでの異常の有無の判断を厳しく行うべく上記異常判定値を正常寄りの値に移行させたとき、その異常判定値と空燃比センサの正常時の上記分布幅との間にある程度の間隔を持たせることができることを意味する。従って、上記分布幅と異常判定値との比較に基づき空燃比センサでの異常の有無を判断するに当たり、同異常判定値を正常寄りに移行させて空燃比センサにおける異常有りの旨の判断を厳しく行うようにしたとしても、同空燃比センサでの異常の有無の判断を正確に行うことができるようになる。
請求項2記載の発明によれば、取得された各データの増減方向の分布幅が、それら各データのうちの最大値と最小値とを用いて正確に求められる。このため、求められた上記分布幅と異常判定値との比較に基づき、空燃比センサでの異常の有無の判断を正確に行うことができる。
請求項3記載の発明によれば、取得された各データに適正なばらつきの生じる回数に設定された設定回数分だけ同データの取得が行われ、それら取得されたデータのうちの最大値と最小値との幅が上記分布幅として求められる。このため、取得した各データの増減方向の分布幅を的確に求めることができる。
請求項4記載の発明によれば、アクティブ空燃比制御中に空燃比センサの出力がリッチピークからリーンピークに変化する際に取得した各データの増減方向の分布幅と異常判定値との比較に基づき、空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化する際における同センサの異常の有無が判断される。また、上記空燃比センサの出力がリーンピークからリッチピークに変化する際に取得した各データの増減方向の分布幅と異常判定値との比較に基づき、空燃比センサの出力がリーンからリッチに変化する際における同センサの異常の有無を判断することが行われる。このため、空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化する際の異常が発生している場合であれ、あるいはリーンからリッチに変化する際の異常が発生している場合であれ、それらの異常に関して異常有りの旨の判断を的確に行うことができる。
本実施形態における空燃比センサの異常検出装置が適用されるエンジン全体を示す略図。 排気中の酸素濃度変化に対する空燃比センサの出力の変化を示すグラフ。 空燃比センサの異常の有無を判断するための異常検出処理の実行手順を示すフローチャート。 (a)及び(b)は、アクティブ空燃比制御中における燃料噴射量の増減態様、及び空燃比センサの出力の変化態様を示すタイムチャート。 アクティブ空燃比制御中に空燃比センサの出力がリッチピークからリーンピークに変化する際に、応答性パラメータのデータとして取得された変化速度θの最大値θmaxの分布を示した分布図。 アクティブ空燃比制御中に空燃比センサの出力がリーンピークからリッチピークに変化する際に、応答性パラメータのデータとして取得された変化速度θの最大値θmaxの分布を示した分布図。 第1判断処理の実行手順を示すフローチャート。 第2判断処理の実行手順を示すフローチャート。
以下、本発明を自動車用エンジンに設けられた空燃比センサの異常検出装置に具体化した一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に示されるエンジン1においては、各気筒の燃焼室2に吸気通路3及び排気通路4が接続されている。そして、エンジン1の吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ11が設けられた吸気通路3を介して燃焼室2に空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁5から吸気通路3内に燃料が噴射供給されることにより、燃焼室2内に空気と燃料とからなる混合気が充填される。この混合気が各気筒の点火プラグ6による点火に基づき燃焼すると、そのときの燃焼エネルギによってピストン7が往復移動し、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト8が回転する。また、燃焼後の混合気は排気として排気通路4に送り出される。
上記エンジン1を原動機として搭載する自動車には、同エンジン1の運転制御など各種制御を実行する電子制御装置19が設けられている。この電子制御装置19は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置19の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・自動車の運転者によって踏込操作されるアクセルペダル20の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ21。
・エンジン1の吸気通路3に設けられたスロットルバルブ11の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ22。
・吸気通路3を通過して燃焼室2に吸入される空気の量(吸気量)を検出するエアフロメータ23。
・クランクシャフト8の回転に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ24。
・エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ25。
・排気通路4に設けられてエンジン1の排気中の酸素濃度に応じた信号を出力する空燃比センサ26。
また、電子制御装置19の出力ポートには、燃料噴射弁5、点火プラグ6、及びスロットルバルブ11といった各種機器の駆動回路が接続されている。
電子制御装置19は、上記各センサから入力された検出信号より把握されるエンジン運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。こうして点火プラグ6の点火時期制御、スロットルバルブ11の開度制御、及び、燃料噴射弁5による燃料噴射の制御といった各種制御が電子制御装置19により実施されている。
上記燃料噴射弁5による燃料噴射の制御としては、例えば、燃料噴射量の空燃比フィードバック補正を含む燃料噴射量制御があげられる。上記燃料噴射量の空燃比フィードバック補正は、燃料噴射量を補正するための空燃比フィードバック補正値FDをエンジン1の空燃比が理論空燃比となるよう空燃比センサ26の出力VAF等に基づき増減した後、同空燃比フィードバック補正値FDで上記補正を行うことにより実現される。こうした空燃比フィードバック補正を通じてエンジン1の空燃比を理論空燃比に制御することにより、同エンジン1の排気通路4に設けられる排気浄化触媒の排気浄化性能を良好に保ち、エンジン1の排気エミッションの改善を図ることが可能になる。
上記空燃比センサ26の出力VAFは、図2に示されるように、排気中の酸素濃度が薄くなるほど小さくなり、理論空燃比での混合気の燃焼が行われたときには、そのときの排気中の酸素濃度Xに対応して例えば「1.0v」となる。従って、リッチ混合気の燃焼(リッチ燃焼)に起因して排気中の酸素濃度が薄くなるほど、空燃比センサ26の出力VAFが「1.0v」よりも小さい値になる。また、リーン混合気の燃焼(リーン燃焼)に起因して排気中の酸素濃度が濃くなるほど、空燃比センサ26の出力VAF「1.0v」よりも大きい値になる。そして、空燃比センサ26の出力VAFが「1.0」よりも大きくなるほど、上記空燃比フィードバック補正値FDがエンジン1の燃料噴射量を増量すべく増大する。また、空燃比センサ26の出力VAFが「1.0」よりも小さくなるほど、空燃比フィードバック補正値FDがエンジン1の燃料噴射量を減量すべく減少する。このように変化する空燃比フィードバック補正値FDに基づきエンジン1の燃料噴射量を増減補正することにより、エンジン1の空燃比が理論空燃比に制御される。
次に、電子制御装置19を通じて行われる空燃比センサ26の劣化等の異常の有無を判断するための異常検出処理について、同処理を実行するための異常検出処理ルーチンを示す図3のフローチャートを参照して説明する。この異常検出処理ルーチンは、電子制御装置19を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まず、上記異常検出処理を実行するうえでの前提条件である診断条件が成立しているか否かが判断される(S101)。上記診断条件が成立している旨の判断は、例えば、エンジン1における冷却水温、回転速度、負荷、空燃比変動、吸入空気量(吸気量)、及び吸気量変動等がすべて上記異常検出処理を実行可能な領域にあること等の条件の成立をもってなされる。なお、エンジン回転速度は、クランクポジションセンサ24からの検出信号に基づき求められる。また、エンジン負荷は、エンジン1の吸入空気量に対応するパラメータと上記エンジン回転速度とから算出される。ここで用いられる吸入空気量に対応するパラメータとしては、例えば、エアフロメータ23からの検出信号に基づき求められるエンジン1の吸入空気量の実測値や、スロットルポジションセンサ22によって検出されるスロットル開度等が用いられる。
上記ステップS101で診断条件が成立している旨判断されると、空燃比センサ26での異常の有無の判断に用いられるデータを取得するためのアクティブ空燃比制御が実行される(S102)。このアクティブ空燃比制御は、エンジン1の燃料噴射量を例えば図4(a)に示されるように周期的に増減させ、それによってエンジン1の空燃比を理論空燃比よりもリッチな状態と理論空燃比よりもリーンな状態との間で周期的に変動させるようにしたものである。なお、同制御でエンジン1の空燃比を変動させる際の理論空燃比に対する空燃比の変化量については、例えば、リッチ側及びリーン側に対しそれぞれ理論空燃比の3%程度とされる。
こうしたアクティブ空燃比制御が行われると、空燃比センサ26の出力VAFの応答性に対応するパラメータ(以下、応答性パラメータという)を同制御中における空燃比センサ26の出力VAFに基づき求め、それを異常検出用のデータとして取得するための処理(図3のS103、S104)が行われる。上記応答性パラメータとしては、空燃比センサ26の出力VAFがリッチピークとリーンピークとの間で変化する際における同出力VAFの変化速度θの最大値θmaxを用いることができる。ここで、空燃比センサ26の出力VAFの変化速度θは、単位時間当たりの同出力VAFの変化を表す値であって、リッチピークとリーンピークとの間での変化期間中に所定の時間間隔Δt毎に同出力VAFを取り込み、その取り込み毎に次の式「θ=(今回VAF−前回VAF)/Δt」を用いて算出される。
従って、空燃比センサ26の出力VAFにおけるリッチピークからリーンピークまでの変化が完了すると、そのときに上記リッチピークからリーンピークまでの間における同出力VAFの変化速度θの最大値θmax(正の方向についての最大値)が決定される。そして、この最大値θmaxが上記リッチピークからリーンピークまでの間における上記応答性パラメータに対応するデータとして取得される(S103)。より詳しくは、同最大値θmaxが電子制御装置19のRAMに記憶される。こうした最大値θmaxの記憶は、アクティブ空燃比制御中、空燃比センサ26の出力VAFにおけるリッチピークからリーンピークまでの変化が完了する毎に行われる。
また、空燃比センサ26の出力VAFにおけるリーンピークからリッチピークまでの変化が完了すると、そのときに上記リーンピークからリッチピークまでの間における同出力VAFの変化速度θの最大値θmax(負の方向についての最大値)が決定される。そして、この最大値θmaxが上記リーンピークからリッチピークまでの間における上記応答性パラメータに対応するデータとして取得される(S104)。より詳しくは、同最大値θmaxが電子制御装置19のRAMに記憶される。こうした最大値θmaxの記憶は、アクティブ空燃比制御中、空燃比センサ26の出力VAFにおけるリーンピークからリッチピークまでの変化が完了する毎に行われる。
以上のようにデータ(最大値θmax)の取得が行われると、空燃比センサ26の出力VAFがリッチからリーンに変化する際における同センサ26の異常の有無を判断するための第1判断処理(S105)が行われる。この第1判断処理では、空燃比センサ26での上記異常の有無の判断を、例えば次のように行うことが考えられる。すなわち、アクティブ空燃比制御中、空燃比センサ26からの出力VAFがリッチピークからリーンピークに変化したときの上記データと異常判定値との比較に基づき、空燃比センサ26での上記異常の有無を判断する。更に、空燃比センサ26の出力VAFがリーンからリッチに変化する際における同センサ26の異常の有無を判断するための第2判断処理(S106)も行われる。この第2判断処理では、空燃比センサ26での上記異常の有無の判断を、例えば次のように行うことが考えられる。すなわち、アクティブ空燃比制御中、空燃比センサ26からの出力VAFがリーンピークからリッチピークに変化したときの上記データと異常判定値との比較に基づき、空燃比センサ26での上記異常の有無を判断する。
そして、上記空燃比センサ26の出力VAFがリッチからリーンに変化する際における同センサ26の異常の有無の判断が終了するとともに(S107:YES)、上記出力VAFがリーンからリッチに変化する際における空燃比センサ26の異常の有無の判断が終了すると(S108:YES)、アクティブ空燃比制御が停止される(S109)。
ところで、[背景技術]の欄にも記載したように、近年はエンジン1の排気エミッション改善に対する要求が厳しくなっており、こうした要求を満たすことのできない空燃比センサ26を異常と判断するようにしている。具体的には、上記第1判断処理(S105)及び第2判断処理(S106)で用いられる異常判定値をそれぞれ正常寄りの値に移行させ、それによって空燃比センサ26での異常有りの旨の判断を厳しく行うようにすることが考えられる。
ただし、上記のように空燃比センサ26での異常有りの旨の判断を厳しく行うと、空燃比センサ26における正常時と異常時との出力VAFの差が小さくなり、ステップS103,S104で求められる応答性パラメータ(最大値θmax)に、空燃比センサ26での異常の有無による違いが生じにくくなる。特に、エンジン1の小吸気量状態にあっては、同エンジン1の排気圧(排気の流量に対応)が低下し、空燃比センサ26の劣化等の異常による影響が同センサ26の出力VAFに現れにくくなるため、応答性パラメータ(最大値θmax)に空燃比センサ26での異常の有無による違いが生じにくいという上述した傾向が顕著になる。更に、エンジン1の小吸気量状態での自動車の加減速走行時には、エンジン1における各種機器の応答遅れに起因して上記応答性パラメータ(最大値θmax)が大きく変動するため、上記ステップS103,S104で取得されたデータが空燃比センサ26の異常の有無を判別しにくい値になる可能性が高い。
以上のように、上記ステップS103,S104で求められた応答性パラメータ(最大値θmax)に空燃比センサ26での異常の有無による違いが生じにくくなると、第1判断処理(S105)及び第2判断処理(S106)による空燃比センサ26での異常の有無の判断を正確に行うことが困難になるという不具合が生じる。以下、この理由について図5及び図6を参照して更に詳しく説明するとともに、上記不具合への対策の概要について同じく図5及び図6を参照して説明する。
図5は、空燃比センサ26の出力VAFがリッチピークからリーンピークに変化する際に、応答性パラメータのデータとして取得された最大値θmaxの分布を示したものである。なお、同図において、「□」は空燃比センサ26が正常な状態であるときに取得した上記データを示しており、「○」は空燃比センサ26が正常ではあるものの異常に対し許容下限状態であるときに取得した上記データを示しており、[△]は空燃比センサ26が劣化等による異常状態であるときに取得した上記データを示している。
上記「□」で示されるデータの分布する領域RA1は上記[○]で示されるデータの分布する領域RA2に対し図中上側に位置し、同領域RA2は上記「△」で示されるデータの分布する領域RA3に対し図中上側に位置する。これは、空燃比センサ26に劣化等の異常が生じると、アクティブ空燃比制御中における空燃比センサ26の出力VAFの応答性が正常時(図4(b)の実線)に対し二点鎖線で示されるように悪化し、それによる影響が図5上でのデータの分布に現れるためである。また、上記領域RA1,RA2,RA3はそれぞれエンジン1の吸気量が増大するほど図中上側に変位するようになる。これは、エンジン1の吸気量増大に伴い同エンジン1の排気圧(排気の流量に対応)が上昇し、多量の排気が空燃比センサ26を通過するようになり、それによってエンジン1の実空燃比の変化に対する空燃比センサ26の出力VAFの応答性が向上するためである。
ここで、エンジン1の排気エミッションの厳しい要求に伴い、第1判断処理(図3のS105)で用いられる異常判定値を正常寄りの値に移行させると、空燃比センサ26での異常の有無の判断が厳しく行われるようになる。この場合、上記排気エミッションの厳しい要求を満たすことのできない空燃比センサ26が異常と見なされることから、領域RA2と領域RA3とが図中の上下方向について接近するようになり、エンジン1の小吸気量状態で領域RA2と領域RA3とが重なるようになる。このように領域RA2と領域RA3とが重なるということは、その重なる部分及びその付近において、上記応答性パラメータ(最大値θmax)に空燃比センサ26での異常の有無による違いが現れにくくなっていることを意味する。これにより、上記第1判断処理による空燃比センサ26での異常の有無の判断を正確に行うことが困難になるという不具合が生じる。
こうした不具合への対策として、本実施形態の第1判断処理では、空燃比センサ26の出力VAFがリッチピークからリーンピークに変化する毎に取得された各データ(最大値θmax)に基づき、同空燃比センサ26での異常の有無の判断が次のようにして行われる。すなわち、空燃比センサ26の出力VAFがリッチピークからリーンピークに変化する毎に取得された各データ(最大値θmax)の増減方向の分布幅が求められ、その分布幅と異常判定値との比較に基づき空燃比センサ26での異常の有無が判断される。詳しくは、上記分布幅が異常判定値未満であれば空燃比センサ26での異常有りの旨判断され、同分布幅が異常判定値以上であれば空燃比センサ26での異常無しの旨判断(正常である旨判断)される。
ここで、空燃比センサ26で異常が生じたときには、アクティブ空燃比制御中における同センサ26の出力VAFの応答性が悪くなる関係から、同制御中における上記応答性パラメータの変化が小さくなり、取得された各データのばらつきも小さくなる。一方、空燃比センサ26が正常なときには、アクティブ空燃比制御中における同センサ26の出力VAFの応答性が良好である関係から、同制御中における上記応答性パラメータの変化が大きくなり、取得された各データのばらつきが空燃比センサ26の異常時と比較して大幅に大きくなる傾向がある。このため、上記取得したデータの増減方向の分布幅に関しては、空燃比センサ26に異常が発生していないとき(正常なとき)には、異常が発生しているときに比べて大幅に大きくなる。ちなみに、図5において、図中上下方向の幅「Y1a」は空燃比センサ26が正常な状態であるときの上記取得したデータの増減方向の分布幅を示しており、幅「Y1b」は空燃比センサ26が劣化等の異常状態であるときの上記取得したデータの増減方向の分布幅を示している。
以上のことから分かるように、上記取得したデータの増減方向の分布幅には、空燃比センサ26での異常の有無による違いが大きく現れることとなる。このことは、空燃比センサ26での異常の有無の判断を厳しく行うべく上記異常判定値を正常寄りの値に移行させたとき、その異常判定値と空燃比センサ26の正常時の上記分布幅との間にある程度の間隔を持たせることができることを意味する。従って、上記分布幅と異常判定値との比較に基づき空燃比センサ26での異常の有無を判断するに当たり、同異常判定値を正常寄りに移行させて空燃比センサ26における異常有りの旨の判断を厳しく行うようにしたとしても、同空燃比センサ26での異常の有無の判断を正確に行うことができるようになる。
図6は、空燃比センサ26の出力VAFがリーンピークからリッチピークに変化する際に、応答性パラメータのデータとして取得された最大値θmaxの分布を示したものである。なお、同図においても、図5と同様、「□」は空燃比センサ26が正常な状態であるときに取得した上記データを示しており、「○」は空燃比センサ26が正常ではあるものの異常に対し許容下限状態であるときに取得した上記データを示しており、[△]は空燃比センサ26が異常な状態であるときに取得した上記データを示している。
上記「□」で示されるデータの分布する領域RA4は上記[○]で示されるデータの分布する領域RA5に対し図中下側に位置し、同領域RA5は上記「△」で示されるデータの分布する領域RA6に対し図中下側に位置する。これは、空燃比センサ26に劣化等の異常が生じると、アクティブ空燃比制御中における空燃比センサ26の出力VAFの応答性が正常時(図4(b)の実線)に対し二点鎖線で示されるように悪化し、それによる影響が図6上でのデータの分布に現れるためである。また、上記領域RA4,RA5,RA6はそれぞれエンジン1の吸気量が増大するほど図中下側に変位するようになる。これは、エンジン1の吸気量増大に伴い同エンジン1の排気圧(排気の流量に対応)が上昇し、多量の排気が空燃比センサ26を通過するようになり、それによってエンジン1の実空燃比の変化に対する空燃比センサ26の出力VAFの応答性が向上するためである。
ここで、エンジン1の排気エミッションの厳しい要求に伴い、第2判断処理(図3のS106)で用いられる異常判定値を正常寄りの値に移行させると、空燃比センサ26での異常の有無の判断が厳しく行われるようになる。この場合、上記排気エミッションの厳しい要求を満たすことのできない空燃比センサ26が異常と見なされることから、領域RA5と領域RA6とが図中の上下方向について接近するようになり、エンジン1の小吸気量状態で領域RA5と領域RA6とが重なるようになる。このように領域RA5と領域RA6とが重なるということは、その重なる部分及びその付近において、上記応答性パラメータ(最大値θmax)に空燃比センサ26での異常の有無による違いが現れにくくなっていることを意味する。これにより、上記第2判断処理による空燃比センサ26での異常の有無の判断を正確に行うことが困難になるという不具合が生じる。
こうした不具合への対策として、本実施形態の第2判断処理では、空燃比センサ26の出力VAFがリーンからリッチピークに変化する毎に取得された各データ(最大値θmax)に基づき、同空燃比センサ26での異常の有無の判断が次のようにして行われる。すなわち、空燃比センサ26の出力VAFがリーンピークからリッチピークに変化する毎に取得された各データ(最大値θmax)の増減方向の分布幅が求められ、その分布幅と異常判定値との比較に基づき空燃比センサ26での異常の有無が判断される。詳しくは、上記分布幅が異常判定値未満であれば空燃比センサ26での異常有りの旨判断され、同分布幅が異常判定値以上であれば空燃比センサ26での異常無しの旨判断(正常である旨判断)される。
ここで、空燃比センサ26で異常が生じたときには、アクティブ空燃比制御中における同センサ26の出力VAFの応答性が悪くなる関係から、同制御中における上記応答性パラメータの変化が小さくなり、取得された各データのばらつきも小さくなる。一方、空燃比センサ26が正常なときには、アクティブ空燃比制御中における同センサ26の出力VAFの応答性が良好である関係から、同制御中における上記応答性パラメータの変化が大きくなり、取得された各データのばらつきが空燃比センサ26の異常時と比較して大幅に大きくなる傾向がある。このため、上記取得したデータの増減方向の分布幅に関しては、空燃比センサ26に異常が発生しているとき(正常なとき)には、異常が発生しているときに比べて大幅に大きくなる。ちなみに、図6において、図中上下方向の幅「Y2a」は空燃比センサ26が正常な状態であるときの上記取得したデータの増減方向の分布幅を示しており、幅「Y2b」は空燃比センサ26が劣化等の異常状態であるときの上記取得したデータの増減方向の分布幅を示している。
以上のことから分かるように、上記取得したデータの増減方向の分布幅には、空燃比センサ26での異常の有無による違いが大きく現れることとなる。このことは、空燃比センサ26での異常の有無の判断を厳しく行うべく上記異常判定値を正常寄りの値に移行させたとき、その異常判定値と空燃比センサ26の正常時の上記分布幅との間にある程度の間隔を持たせることができることを意味する。従って、上記分布幅と異常判定値との比較に基づき空燃比センサ26での異常の有無を判断するに当たり、同異常判定値を正常寄りに移行させて空燃比センサ26における異常有りの旨の判断を厳しく行うようにしたとしても、同空燃比センサ26での異常の有無の判断を正確に行うことができるようになる。
次に、異常検出ルーチン(図3)のステップS105で行われる第1判断処理の詳細な実行手順について、第1判断処理ルーチンを示す図7のフローチャートを参照して説明する。この第1判断処理ルーチンは、上記異常検出ルーチンのステップS105に進む毎に実行される。
第1判断処理ルーチンにおいては、まず、空燃比センサ26の出力VAFにおけるリッチピークからリーンピークへの変化が完了し、そのリッチピークからリーンピークへの変化の際におけるデータ(最大値θmax)の取得が行われたか否かが判断される(S201)。
ここで肯定判定であれば、上記データの取得回数N1が「1」だけカウントアップされる(S202)。この取得回数N1が設定回数A以上になると(S203:YES)、空燃比センサ26の出力VAFがリッチピークからリーンピークに変化する毎に取得された各データに基づき、それら各データの増減方向(図5の上下方向)の分布幅Y1が求められる(S204)。詳しくは、上記分布幅Y1は、上記設定回数A分の取得データのうちの正の方向についての最大値と最小値とに基づき、それら最大値と最小値との幅として求められる。なお、上記設定回数Aは、その回数分だけ取得されたデータに適正なばらつきの生じる得る回数として予め実験等により定められた値、例えば5回という値に定められている。
その後、上記分布幅Y1と異常判定値H1との比較に基づく空燃比センサ26での異常の有無の判断が行われる。詳しくは、上記分布幅Y1が異常判定値H1以上であれば(図7のS205:YES)、空燃比センサ26の出力VAFがリッチからリーンに変化する際における同センサ26の異常は生じておらず、同センサ26は正常である旨判断される(S206)。また、上記分布幅Y1が異常判定値H1未満であれば(S205:NO)、空燃比センサ26の出力VAFがリッチからリーンに変化する際における同センサ26の異常が生じている旨判断される(S207)。そして、これら空燃比センサ26の正常か異常かの判断(S206、S207)が行われると、取得回数N1がクリアされて「0」とされる(S208)。
次に、異常検出ルーチン(図3)のステップS106で行われる第2判断処理の詳細な実行手順について、第1判断処理ルーチンを示す図8のフローチャートを参照して説明する。この第2判断処理ルーチンは、上記異常検出ルーチンのステップS106に進む毎に実行される。
第2判断処理ルーチンにおいては、まず、空燃比センサ26の出力VAFにおけるリーンピークからリッチピークへの変化が完了し、そのリーンピークからリッチピークへの変化の際におけるデータ(最大値θmax)の取得が行われたか否かが判断される(S301)。
ここで肯定判定であれば、上記データの取得回数N2が「1」だけカウントアップされる(S202)。この取得回数N2が設定回数A以上になると(S303:YES)、空燃比センサ26の出力VAFがリーンピークからリッチピークに変化する毎に取得された各データに基づき、それら各データの増減方向(図6の上下方向)の分布幅Y2が求められる(S304)。詳しくは、上記分布幅Y2は、上記設定回数A分の取得データのうちの負の方向についての最大値と最小値とに基づき、それら最大値と最小値との幅として求められる。
その後、上記分布幅Y2と異常判定値H2との比較に基づく空燃比センサ26での異常の有無の判断が行われる。詳しくは、上記分布幅Y1が異常判定値H1以上であれば(図8のS205:YES)、空燃比センサ26の出力VAFがリーンからリッチに変化する際における同センサ26の異常は生じておらず、同センサ26は正常である旨判断される(S306)。また、上記分布幅Y2が異常判定値H2未満であれば(S305:NO)、空燃比センサ26の出力VAFがリッチからリーンに変化する際における同センサ26の異常が生じている旨判断される(S307)。そして、これら空燃比センサ26の正常か異常かの判断(S306、S307)が行われると、取得回数N2がクリアされて「0」とされる(S308)。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)空燃比センサ26での異常の有無の判断は、次の手順で行われることとなる。すなわち、アクティブ空燃比制御を行い、同制御中に空燃比センサ26の出力VAFがリッチピークとリーンピークとの間で変化する際、その変化の応答性に対応する応答性パラメータ(最大値θmax)が上記出力VAFに基づき求められて異常検出用のデータとして取得される。そして、複数回のデータの取得により得られた各データの増減方向の分布幅Y1,Y2が求められ、その分布幅Y1,Y2と異常判定値H1,H2との比較に基づき空燃比センサ26での異常の有無が判断される。詳しくは、上記分布幅Y1,Y2が異常判定値H1,H2未満であれば空燃比センサ26での異常有りの旨判断され、同分布幅Y1,Y2が異常判定値H1,H2以上であれば空燃比センサ26での異常無しの旨判断(正常である旨判断)される。
ここで、上記分布幅Y1,Y2に関しては、空燃比センサ26に異常が発生していないとき(正常なとき)には、異常が発生しているときに比べて大幅に大きくなる。このため、上記分布幅Y1,Y2には、空燃比センサ26での異常の有無による違いが大きく現れる。このことは、空燃比センサ26での異常の有無の判断を厳しく行うべく上記異常判定値H1,H2を正常寄りの値に移行させたとき、その異常判定値H1,H2と空燃比センサ26の正常時の上記分布幅Y1,Y2との間にある程度の間隔を持たせることができることを意味する。従って、上記分布幅Y1,Y2と異常判定値H1,H2との比較に基づき空燃比センサ26での異常の有無を判断するに当たり、同異常判定値H1,H2を正常寄りに移行させて空燃比センサ26における異常有りの旨の判断を厳しく行うようにしたとしても、同空燃比センサ26での異常の有無の判断を正確に行うことができるようになる。
(2)上記記分布幅Y1,Y2は、設定回数A分だけ取得された各データのうちの最大値と最小値とに基づき、それら最大値と最小値との間の幅として求められる。これにより、設定回数A分だけ取得された各データの増減方向の分布幅Y1,Y2が、それら各データのうちの最大値と最小値とを用いて正確に求められることとなる。このため、求められた上記分布幅Y1,Y2と異常判定値H1,H2との比較に基づき、空燃比センサ26での異常の有無の判断を正確に行うことができる。
(3)上記設定回数Aは、その回数分だけ取得されたデータに適度なばらつきの生じる得る回数とされている。そして、上記設定回数A分だけ取得された各データのうちの最大値と最小値との幅が上記分布幅Y1,Y2,として求められる。このため、上記各データの増減方向の分布幅Y1,Y2を的確に求めることができる。
(4)第1判断処理により、空燃比センサ26の出力VAFがリッチピークからリーンピークに変化する際に取得した設定回数A分の各データの分布幅Y1と異常判定値H1との比較に基づき、空燃比センサ26の出力VAFがリッチからリーンに変化する際における同センサ26の異常の有無が判断される。また、第2判断処理により、空燃比センサ26の出力VAFがリーンピークからリッチピークに変化する際に取得した設定回数A分の各データの分布幅Y2と異常判定値H2との比較に基づき、空燃比センサ26の出力VAFがリーンからリッチに変化する際における同センサ26の異常の有無が判断される。このため、空燃比センサ26の出力VAFがリッチからリーンに変化する際の異常が発生している場合であれ、あるいはリーンからリッチに変化する際の異常が発生している場合であれ、それらの異常に関して異常有りの旨の判断を的確に行うことができる。
また、上記二種類の異常のうちの一方のみが生じている場合、空燃比センサ26からの出力VAFに基づく空燃比フィードバック補正により、エンジン1の空燃比を理論空燃比に制御しようとする際、同制御に伴うエンジン1の空燃比の変動中心が理論空燃比からずれることは避けられない。その結果、エンジン1の排気通路4に設けられる排気浄化触媒の排気浄化性能を良好に保つことができず、エンジン1の排気エミッションが悪化するおそれがある。しかし、上述したように二種類の異常のうちの一方のみが生じている場合でも同異常が発生している旨の判断を行うことができるため、その旨の判断に基づき上記異常に対処することで上述した排気エミッションの悪化を抑制することが可能になる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・空燃比センサ26の出力VAFのリッチからリーンへの変化時に生じる異常の有無の判断とリーンからリッチへの変化時に生じる異常の有無の判断とを別々に行ったが、こうした異常の有無の判断の仕方を必ずしも採用する必要はない。例えば、応答性パラメータのデータとしてアクティブ空燃比制御中における出力VAFの単位時間当たりの変化量の絶対値を取得し、設定回数A分だけ取得した上記データの増減方向の分布幅を用いて空燃比センサ26での異常の有無を判断してもよい。この場合、空燃比センサ26の出力VAFの変化方向に関係なく、同センサ26での異常の有無が判断される。
・設定回数Aを2回、3回、又は4回等にしたり6回以上にしたりするなど、設定回数Aの値を適宜変更してもよい。
・アクティブ空燃比制御中に求められる応答性パラメータとして、空燃比センサ26の出力VAFのリッチピークとリーンピークとの間での軌跡長ΣSを用いてもよい。なお、上記軌跡長ΣSは、空燃比センサ26の出力VAFのリッチピークとリーンピークとの間での同出力VAFの所定時間毎の変化の積算値である。ちなみに、応答性パラメータとしては、上記軌跡長ΣSを用いる場合と比較して、上記実施形態のように変化速度θの最大値θmaxを用いる方が好ましい。これは、変化速度θの最大値θmaxは、軌跡長ΣSよりも、アクセル踏込量の変化等の外乱に起因する影響を受けにくいためである。このため、分布幅Y1,Y2を定めるためのデータとして上記最大値θmaxを用いることで、上記分布幅Y1,Y2を上記外乱の影響を受けることなく適正なものとしやすくなる。
1…エンジン、2…燃焼室、3…吸気通路、4…排気通路、5…燃料噴射弁、6…点火プラグ、7…ピストン、8…クランクシャフト、11…スロットルバルブ、19…電子制御装置、20…アクセルペダル、21…アクセルポジションセンサ、22…スロットルポジションセンサ、23…エアフロメータ、24…クランクポジションセンサ、25…水温センサ、26…空燃比センサ。

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気中の酸素濃度に基づき同機関の空燃比に対応した信号を出力する空燃比センサの異常検出装置であって、内燃機関の空燃比をリッチとリーンとの間で周期的に変動させるアクティブ空燃比制御を行い、同制御中における前記空燃比センサの出力がリッチピークとリーンピークとの間で変化する際の応答性に対応するパラメータを同出力に基づき求めて異常検出用のデータとして取得し、そのデータを用いて空燃比センサでの異常の有無を判断する空燃比センサの異常検出装置において、
    前記データの取得を複数回行って得られた各データの増減方向の分布幅を求め、その分布幅と異常判定値との比較に基づき、同分布幅が前記異常判定値未満であれば前記空燃比センサでの異常有りの旨判断し、同分布幅が前記異常判定値以上であれば前記空燃比センサでの異常無しの旨判断する
    ことを特徴とする空燃比センサの異常検出装置。
  2. 前記分布幅は、取得された各データのうちの最大値と最小値とに基づき、それら最大値と最小値との間の幅として求められる
    請求項1記載の空燃比センサの異常検出装置。
  3. 前記データの取得回数が予め定められた設定回数となったとき、その設定回数分だけ取得されたデータのうちの最大値と最小値との幅が前記分布幅として求められ、
    前記設定回数は、その設定回数分だけ取得されたデータに適正なばらつきの生じる得る回数とされている
    請求項2記載の空燃比センサの異常検出装置。
  4. 前記データの取得に関しては、前記アクティブ空燃比制御中における前記空燃比センサの出力がリッチピークからリーンピークに変化する際の取得と、リーンピークからリッチピークに変化する際の取得とに分けられ、それらデータの取得における取得回数が別々に計測されるものであり、
    前記空燃比センサの異常の有無の判断は、前記アクティブ空燃比制御中において、前記空燃比センサの出力がリッチピークからリーンピークに変化する際に取得した各データの増減方向についての分布幅と異常判定値との比較に基づき行われるとともに、前記空燃比センサの出力がリーンピークからリッチピークに変化する際に取得した各データの増減方向についての分布幅と異常判定値との比較に基づき行われる
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の空燃比センサの異常検出装置。
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