JP5077208B2 - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関するものである。
駆動源として内燃機関が搭載された車両では、内燃機関の運転状態に応じて点火時期を制御する、いわゆる点火時期制御が実行される。
この点火時期制御では、基本的に、内燃機関の運転状態に基づいて点火時期についての制御目標値が設定される。この制御目標値は、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項によって補正される。フィードバック補正項は、ノッキングの発生時には予め定められた遅角更新量分だけ変更されて点火時期を遅角補正し、ノッキングが発生していないときには予め定められた進角更新量分だけ変更されて点火時期を進角補正する。また上記制御目標値は、フィードバック補正項に基づき更新される学習値によって補正される。この学習値としては、例えばフィードバック補正項に徐変処理を施した値が算出される。
従来、そうした学習値として、内燃機関の経時変化(例えば機関燃焼室内へのデポジットの付着)による点火時期の変化分を補償するための第1の学習値とそれ以外の要因(例えば燃料性状の変化)による点火時期の変化分を補償するための第2の学習値との二つの学習値を設定するようにしたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の装置では、機関燃焼室内へのデポジットの付着による点火時期への影響が大きい第1の機関運転領域では第1の学習値の学習が許可される一方、その影響が小さい第2の機関運転領域では第1の学習値の学習が禁止される。これにより、第1の学習値としてはデポジット付着による点火時期の変化分に見合う値が学習され、第2の学習値としてはデポジット付着以外の要因による点火時期の変化分に見合う値が学習されて、ノッキングの発生要因に応じたかたちで点火時期が制御されるようになる。
特開2005−147112号公報(段落[0174],[0178])
ところで、内燃機関の運転環境(例えば吸入空気の温度や湿度)や同内燃機関に供給される燃料の性状(例えばオクタン価)が変化すると、ノッキングの発生状況が変化するために、これに伴ってフィードバック補正項も変化する。そのため、特許文献1に記載の装置のように内燃機関の運転領域に応じて第1の学習値の学習許可と学習禁止とを切り替えるようにすると、上述した運転環境や燃料性状が変化した場合に、以下のような不都合が生じる。
すなわち、運転環境や燃料性状の変化直後における第1の機関運転領域での内燃機関の運転に際して、その変化によって点火時期(詳しくは、フィードバック補正項)が変化したにもかかわらず、これが内燃機関の経時変化による点火時期の変化分を補償するための第1学習値に反映されてしまう。これは各学習値を共に補償対象に見合う値に精度良く学習する上で、それを妨げる一因となるために好ましくない。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料補給時における機関点火時期の学習を適切に行うことのできる内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の運転状態に基づき設定した基本値をノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づき更新される学習値とにより補正して点火時期の制御目標値を設定し、前記学習値として前記内燃機関の経時変化による点火時期の変化分を補償する第1の学習値とそれ以外の要因による点火時期の変化分を補償する第2の学習値とを各別に学習する内燃機関の点火時期制御装置において、前記内燃機関の経時変化による点火時期への影響が大きい第1の機関運転領域では前記第1の学習値および前記第2の学習値によって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定し、前記影響が小さい第2の機関運転領域では前記第2の学習値のみによって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定する設定手段と、前記第1の機関運転領域では前記第1の学習値の学習のみを許可し、前記第2の機関運転領域では前記第2の学習値の学習のみを許可する許可手段と、前記第2の学習値が変化したときに、前記第1の学習値を、前記第2の学習値の変化方向と逆方向に同第2の学習値の変化量以下の量だけ変化した値に変更する変更手段とを備えることをその要旨とする。
上記構成では、内燃機関の運転環境や内燃機関に供給される燃料の性状が変化したときに第1の機関運転領域である場合には、第1の学習値および第2の学習値によって補正されて点火時期の制御目標値が設定される。そして、これに合わせて第1の学習値のフィードバック補正項に基づく学習が実行されるために、運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分が第1の学習値、すなわち内燃機関の経時変化による点火時期の変化分を補償するための値に反映されてしまう。
その後において第2の機関運転領域になると、第2の学習値によって補正されて点火時期の制御目標値が設定されるようになり、その状態で第2の学習値のフィードバック補正項に基づく学習が実行されるようになる。このとき運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分が、その変化分を補償するための値、すなわち本来反映されるべき第2の学習値に反映されるようになる。そのため、このときの第2の学習値の変化量が運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分に見合う量になる。
上記構成によれば、そのようにして学習されて第2の学習値が変化した場合に、その変化量(運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分に見合う量)以下の量だけ第2の学習値の変化方向と逆方向に変化するように第1の学習値が変更される。これにより、運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分が第1の学習値に誤って反映された場合であっても、その反映分の少なくとも一部が、第2の学習値が変化したタイミングで第1の学習値を変化させることによって第2の学習値から第1の学習値に移行されるようになる。
このように上記構成によれば、内燃機関の運転環境や供給燃料の性状が変化した場合であれ、第1の学習値および第2の学習値をそれぞれ補償対象に見合う値に速やかに変化させることができ、点火時期の学習を適切に行うことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、前記変更手段は、前記第2の学習値の変化量と等しい量だけ前記第1の学習値を変更するものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分が第1の学習値に誤って反映された場合に、その反映分をより速やかに第1の学習値から第2の学習値に移行させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、当該装置は、前記第1の機関運転領域が機関運転状態に応じて区画された複数の多点学習領域からなるとともに、それら多点学習領域毎に前記第1の学習値が設定されてなり、且つ前記第1の機関運転領域において前記複数の多点学習領域のうちの現在の機関運転状態が含まれる領域についての前記第1の学習値を更新することをその要旨とする。
内燃機関の経時変化(機関燃焼室内へのデポジットの付着など)によるノッキング発生への影響が、細かな運転領域毎に大きく異なったものとなる場合がある。この場合、仮に機関運転領域によらずに第1の学習値として同一の値を用いて制御目標値を設定すると、機関運転領域によっては第1の学習値が内燃機関の経時変化に起因するノッキングの発生を抑えるうえで不適切な値となるおそれがある。詳しくは、第1の学習値が点火時期を適正な時期より進角側の時期に変更する値となってノッキングの発生を効果的に抑制できなくなったり、第1の学習値が点火時期を適正な時期より遅角側の時期に変更する値となって内燃機関の出力低下を招いたりするおそれがある。
上記構成によれば、内燃機関の経時変化に起因するノッキング発生への影響のばらつきが大きい機関運転領域において、同領域を細分化した多点学習領域毎に各別に設定された第1の学習値を、それぞれノッキングの発生を抑制するうえで適切な値に学習することができるようになる。したがって、第1の学習値として不適切な値が学習されることによってノッキングの発生を効果的に抑制できなくなったり、内燃機関の出力低下を招いたりするといった不具合の発生を抑えることができる。
なお、そうした多点学習領域と多点学習値とが設定された装置にあって、第2の学習値の変化に合わせて第1の学習値(具体的には、多点学習値)を変更する際には、請求項4によるように、複数の多点学習領域の全てを一括して変更する、との構成を採用することができる。
以下、本発明にかかる内燃機関の点火時期制御装置を具体化した一実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかる点火時期制御装置が適用される内燃機関の概略構成を示す。
図1に示すように、内燃機関10の燃焼室11には吸気通路12を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁13から噴射された燃料が供給される。そして、そうした吸入空気と噴射燃料とからなる混合気に対して点火プラグ16による点火が行われると、その混合気が燃焼してピストン17が往復移動し、内燃機関10のクランクシャフト18が回転する。燃焼後の混合気は排気として内燃機関10の燃焼室11から排気通路19に送り出される。
本実施の形態にかかる点火時期制御装置は、内燃機関10の運転のための各種制御を実行する電子制御装置30を備えている。この電子制御装置30は、各種制御に関係する各種の演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、その演算に必要なプログラムやデータが記憶された不揮発性メモリ(ROM)、CPUの演算結果が一時的に記憶される揮発性メモリ(RAM)、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えている。
電子制御装置30の入力ポートには各種のセンサが接続されている。そうしたセンサとしては、例えばアクセルペダル20の踏み込み量(アクセル踏み込み量AC)を検出するためのアクセルセンサ31や、吸気通路12に設けられたスロットルバルブ21の開度(スロットル開度TA)を検出するためのスロットルセンサ32、内燃機関10におけるノッキングの発生を検出するためのノックセンサ33が設けられている。その他、吸気通路12を通過する空気の量(通路空気量GA)を検出するための空気量センサ34や、クランクシャフト18の回転速度(機関回転速度NE)および回転角(クランク角)を検出するためのクランクセンサ35等も設けられている。
電子制御装置30は、各種センサの出力信号に基づき、機関回転速度NEや機関負荷KLなどといった内燃機関10の運転状態を把握する。なお機関負荷KLは、アクセル踏み込み量AC、スロットル開度TAおよび通路空気量GAに基づいて求められる内燃機関10の吸入空気量と機関回転速度NEとに基づき算出される。電子制御装置30は、そのようにして把握した内燃機関10の運転状態に応じて、出力ポートに接続された各種の駆動回路に指令信号を出力する。このようにして、電子制御装置30によって内燃機関10の点火時期制御などといった各種制御が実行される。
次に、内燃機関10の点火時期制御について、図2を参照しつつ説明する。
本実施の形態の点火時期制御では、内燃機関10の運転状態等から求められる制御目標値(具体的には、点火時期指令値ST)に基づいて内燃機関10の点火時期が制御され、同点火時期指令値STが小さい値であるときほど内燃機関10の点火時期が遅角側の時期に制御される。
図2に示すように、点火時期指令値STは基本的に、内燃機関10の運転状態に基づき算出されるノック限界点火時期(BT−R)に対して、ノッキングの発生の有無に応じて増減するフィードバック補正項Fによる補正と同フィードバック補正項Fに基づき更新される基本学習値AG[i]による補正とを加えることによって算出される。
ノック限界点火時期(BT−R)としては、ベース点火時期BT(実線L1)からノック余裕代Rを減算した値が算出される。なおベース点火時期BTは、標準的な環境条件下においてノッキングを生じさせない最も進角側の点火時期に相当する値であり、機関負荷KLおよび機関回転速度NEに基づき算出される。また、ノック余裕代Rは、実験等により予め定められた固定値である。
このように算出されるノック限界点火時期(BT−R)は、ベース点火時期BTからノック余裕代Rだけ遅角させた値(破線L2)、言い換えれば、最もノッキングが発生しやすい環境条件下においてノッキングを生じさせない点火時期の範囲における最も進角側の点火時期を表す値となる。なお、上記環境条件としては気温、湿度、大気圧、および機関冷却水温等が挙げることができ、これらの条件に応じて内燃機関10におけるノッキングの発生しやすさが変化する。本実施の形態では、ノック限界点火時期(BT−R)が基本値として機能する。
フィードバック補正項Fは、ノックセンサ33の出力信号に基づきノッキングが発生していると判断されたときには予め定められた遅角更新量a分だけ減量されて点火時期を遅角させる一方、ノッキングが発生していないと判断されたときには予め定められた進角更新量b分だけ増量されて点火時期を進角させるといったように機能する値である。このフィードバック補正項Fにより、ノッキング発生時においては点火時期を直ちに遅角させてその発生の抑制が図られ、ノッキングが発生していないときには点火時期を進角させて機関出力の増大が図られる。
基本学習値AG[i]は、機関運転状態(詳しくは、機関負荷KLおよび機関回転速度NE)により区画された複数(本実施の形態では三つ)の基本学習領域i[i=1,2,3]毎に用意されている。図3は、上記基本学習領域iを示したものであり、同図に示す例では機関回転速度NEに応じて三つに区画された基本学習領域i[i=1,2,3]が設定されている。そして点火時期指令値STを算出する際には、基本学習値AG[i]として、そのときどきの機関回転速度NEに対応する基本学習領域iの値が用いられる。この基本学習値AG[i]は、フィードバック補正項Fの変化傾向に基づいて学習更新される。具体的には、上記フィードバック補正項Fに徐変処理を施した値が、そのときどきの機関回転速度NEにより定まる基本学習領域iに対応する新たな基本学習値AG[i]として記憶される。こうした基本学習値AG[i]により、ノッキングの発生を抑制するべく点火時期(具体的には、点火時期指令値ST)が定常的に補正される。なお、上記徐変処理は例えば、直前の算出周期において更新された基本学習値AG[i]を「前回学習値」とし、1.0以上の正の数を「n」とすると、関係式[AG[i]={「前回学習値」×(n−1)+「フィードバック補正項F」}/n]を通じて基本学習値AG[i]を算出するといったように実行される。
図2に示すように、点火時期指令値STは、ノック限界点火時期(BT−R)に対して基本学習値AG[i]による補正を加えることにより、通常はノック限界点火時期(BT−R)よりも進角側の時期に相当する値になる。この状態にあって、ノッキング発生の有無に応じてフィードバック補正項Fが増減されると、フィードバック補正項Fの増減分だけ点火時期指令値STが図中に矢印Y1または矢印Y2で示すように増減する。そして、このように増減するフィードバック補正項Fを徐変処理した値が新たな基本学習値AG[i]として記憶されることによって同基本学習値AG[i]の更新が行われる。
ところで、内燃機関10の燃焼室11内にデポジットが付着するなどといった内燃機関10の経時変化が生じた場合に、同内燃機関10においてノッキングが発生しやすくなることがあり、そうした場合には基本学習値AG[i]が減少側の値に更新されるようになる。この場合の基本学習値AG[i]の更新量は、内燃機関10の経時変化に起因して点火時期のノック限界が遅角側の時期に移行する移行量に対応した値となる。したがって、更新後の基本学習値AG[i]を用いて点火時期(直接的にはノック限界点火時期(BT−R))を補正することにより、内燃機関10の経時変化に伴ってノッキングが発生しやすくなるといった不都合の発生が抑えられる。
ただし、内燃機関10の経時変化によるノッキング発生への影響は、同一の基本学習領域i内であっても、その領域i内における更に細かな機関運転領域毎に大きく異なったものとなる可能性がある。そして、そうした場合には、基本学習領域i毎に設定された基本学習値AG[i]のみを用いて点火時期の補正を行うと、同基本学習領域i内における機関運転状態によっては上記基本学習値AG[i]が内燃機関10の経時変化に起因するノッキングの発生を抑制するうえで不適切な値となるおそれがある。詳しくは、ノッキングの発生を抑制するうえで上記基本学習値AG[i]が大きすぎる値となってノッキング発生を効果的に抑制することができなくなったり、上記基本学習値AG[i]が小さすぎる値となって点火時期が過度に遅角側に補正されて内燃機関10の出力低下を招いたりするおそれがある。
本実施の形態では、点火時期指令値STが、ノック限界点火時期(BT−R)、フィードバック補正項F、および合計学習値AGTに基づいて以下の関係式(1)から求められる。

ST=(BT−R)+F+AGT …(1)

なお、関係式(1)における合計学習値AGTは、基本学習値AG[i]と多点学習値AGdp[n]とに基づいて、以下の関係式(2)から求められる値である。

AGT=AG[i]+AGdp[n] …(2)

関係式(2)における多点学習値AGdp[n]は、内燃機関10の燃焼室11内にデポジットが付着するなどといった内燃機関10の経時変化が生じたときに、ノッキング発生に対する同経時変化の影響のばらつきに応じたかたちで点火時期(具体的には、点火時期指令値ST)を補正するための補正項である。
本実施の形態では、基本学習領域i内の中でもノッキング発生に対する内燃機関10の経時変化による影響のばらつきが大きい領域に、内燃機関10の運転状態(詳しくは、機関負荷KLおよび機関回転速度NE)に応じて区画された同基本学習領域iよりも更に細かい複数の多点学習領域nが設定されている。そして、上記多点学習値AGdp[n]は、それら多点学習領域n毎に設定されている。
この多点学習値AGdp[n]は、そのときどきの内燃機関10の運転状態が含まれる多点学習領域nに対応する値がフィードバック補正項Fに基づき更新される。詳しくは、基本学習値AG[i]の更新と同様に、フィードバック補正項Fに徐変処理を施した値を新たな多点学習値AGdp[n]として記憶することにより、同多点学習値AGdp[n]の更新が行われる。
このように多点学習値AGdp[n]を更新することにより、ノッキング発生に対する内燃機関10の経時変化による影響のばらつきが大きい領域において、そのばらつきに応じて同領域を細分化した多点学習領域n毎の多点学習値AGdp[n]をそれぞれノッキングの発生を抑制するうえで適切な値とすることができる。
なお本実施の形態では、そのときどきの内燃機関10の運転状態が多点学習領域n内にあるときには、その多点学習領域nの存在する基本学習領域iの基本学習値AG[i]の更新は行わず、多点学習値AGdp[n]の更新のみが行われる。すなわち、機関運転状態が多点学習領域nのいずれかに含まれる場合には多点学習値AGdp[n]のみが学習され、機関運転状態が多点学習領域n以外の領域に含まれる場合には、基本学習値AG[i]のみが学習される。
また点火時期指令値STを求める際に、そのときどきの内燃機関10の運転状態が複数の多点学習領域n内のいずれかに含まれるときには、多点学習値AGdp[n]として、同運転状態が含まれる多点学習領域nに対応する値が用いられる。一方、そのときどきの内燃機関10の運転状態が複数の多点学習領域nのうちのいずれにも含まれないときには、多点学習値AGdp[n]として「0」が設定される。すなわち、現在の機関運転状態が複数の多点学習領域nのうちのいずれにも含まれないときには、多点学習値AGdp[n]を用いることなく点火時期指令値STが算出されて、多点学習値AGdp[n]による点火時期の補正が行われない。
このようにして点火時期指令値STを求めることにより、基本学習領域i内にあってノッキング発生に対する内燃機関10の経時変化による影響のばらつきが大きい領域(多点学習領域n)では、ノック限界点火時期(BT−R)に対して基本学習値AG[i]と多点学習値AGdp[n]との双方によって補正が加えられるようになる。
これにより、基本学習領域i内であって内燃機関10の経時変化によるノッキング発生への影響のばらつきが大きい領域においても、その経時変化等に起因する内燃機関10での定常的なノッキングの発生を的確に抑制することができるようになる。言い換えれば、基本学習領域i内であって内燃機関10の経時変化によるノッキング発生への影響のばらつきが大きい領域において、点火時期が適正な時期より進角側に補正されてノッキングの発生を効果的に抑制できなくなったり点火時期が適正な時期より遅角側に補正されて内燃機関10の出力低下を招いたりするといった不具合の発生を抑えることができるようになる。本実施の形態では、上述した点火時期指令値STの算出にかかる処理が設定手段および許可手段として機能する。
図3に、上記多点学習領域nの設定態様を示す。
図3に示すように、複数の多点学習領域nは、複数の基本学習領域iのうちの機関回転速度NEの変化方向について最も低回転側に存在する基本学習領域i[i=1]内において、機関負荷KLの変化方向について低負荷側の領域に設定されている。これは、こうした領域において、ノッキング発生に対する内燃機関10の経時変化に起因する影響の度合いのばらつきが大きくなるためである。そして、この領域が機関回転速度NEの変化方向において4つに区画されるとともに機関負荷KLの変化方向において6つに区画されることにより、同領域には合計で24の多点学習領域n[n=1〜24]が設定されている。なお本実施の形態では、多点学習領域nが第1の機関運転領域として機能し、多点学習値AGdp[n]が第1の学習値として機能し、基本学習領域i[i=1]の上記多点学習領域nを除く領域が第2の機関運転領域として機能し、基本学習領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]が第2の学習値として機能する。
ここで、内燃機関10の経時変化の有無による点火時期指令値STの変化について、最も低回転側の基本学習領域i[i=1]内における多点学習領域nとそれ以外の領域との違いを説明する。
図4は、上記基本学習領域i[i=1]内における多点学習領域n以外の領域において、内燃機関10の経時変化の有無による点火時期指令値STの変化態様の一例を示したものである。なお、同図における実線および二点差線は共に機関回転速度NEが一定の条件のもとでの機関負荷KLの変化に対する点火時期指令値STの推移の一例を示しており、実線は内燃機関10の経時変化なしの条件下での推移の一例を、二点差線は同経時変化ありの条件下での推移の一例をそれぞれ示している。
図4に示すように、基本学習領域i[i=1]内における多点学習領域n以外の領域では、内燃機関10の経時変化が生じてノッキングが発生しやすくなると、点火時期指令値STが実線で示す状態から二点差線で示す状態へと機関負荷KLの変化方向について一律の幅をもって遅角側に変化する。この点火時期指令値STの遅角側への変化量は、内燃機関10の経時変化の発生に起因するノッキングの発生を抑えるために上記基本学習領域iの基本学習値AG[i]が遅角側に変化した変化分に対応している。そうした基本学習値AG[i]による点火時期の補正を通じて、上記基本学習領域i[i=1]内における多点学習領域n以外の領域においては、内燃機関10の経時変化によってノッキングが発生しやすくなることを抑制することが可能である。これは、上記領域内においては、ノッキングの発生に対する内燃機関10の経時変化による影響がほぼ一律となるためである。
一方、図5は、上記基本学習領域i[i=1]内における各多点学習領域nの設定された領域(ここでは例えばn=1〜6の多点学習領域nに対応する領域)において、内燃機関10の経時変化の有無による点火時期指令値STの変化を示したものである。なお同図における実線及び破線は共に機関回転速度NE一定の条件のもとでの機関負荷KLの変化に対する点火時期指令値STの推移の一例を示しており、実線は内燃機関10の経時変化なしの条件下での推移の一例を、破線は同経時変化ありの条件下での推移の一例をそれぞれ示している。
図5に示すように、基本学習領域i[i=1]内における多点学習領域nでは、内燃機関10の経時変化が生じてノッキングが発生しやすくなると、点火時期指令値STが実線で示される状態から破線で示される状態へと機関負荷KL毎に異なる幅をもって遅角側に変化する。この点火時期指令値STの遅角側への変化量には、上記基本学習値AG[i]の遅角側への変化分に加えて、内燃機関10の経時変化の発生に伴うノッキング発生を抑制するために各多点学習領域nの多点学習値AGdp[n]が遅角側に変化した分も含まれている。
本実施の形態では、そうした基本学習領域i[i=1]内にあって各多点学習領域nの設定された領域において、内燃機関10の経時変化によってノッキングが発生しやすくなることを、多点学習値AGdp[n]による点火時期の補正を通じて抑制可能である。これは、ノッキングの発生に対する内燃機関10の経時変化による影響の度合いが多点学習領域n毎に大きくばらつくとしても、そのばらつきを考慮して細分化した多点学習領域n毎の多点学習値AGdp[n]がそれぞれノック発生を抑制するうえで適切な値に更新され、それら多点学習値AGdp[n]を用いて点火時期の補正が行われるためである。
ちなみに、複数の多点学習領域nにおけるノッキングの発生に対する内燃機関10の経時変化による影響は、それら多点学習領域n(図3参照)のうちの機関回転速度NEが低い速度側に設定される領域ほど大きくなる。また、上記影響は、複数の多点学習領域nのうちの特定の機関負荷KL(例えば全ての多点学習領域nを含む機関負荷KLの幅における中央値)を含む領域において最も大きくなり、同領域から遠い領域ほど小さくなる。したがって、各多点学習値AGdp[n]は、内燃機関10の低回転側に位置する多点学習領域nに対応するものほど小さい値になるとともに、特定の機関負荷KLを含む多点学習領域nに近い領域に対応するものほど小さい値になる傾向がある。
ここで、内燃機関10の運転環境(例えば吸入空気の温度や湿度)が変化したり、内燃機関10に供給される燃料の性状(例えばオクタン価)が変化したりすると、その後においてノッキングの発生状況が変化するために、フィードバック補正項Fも変化するようになる。そのため、本実施の形態にかかる装置のように内燃機関10の運転状態に応じて多点学習値AGdp[n]が学習される状態と同学習が禁止される状態(基本学習値AG[i]が学習される状態)とを切り替えるようにすると、上述したように運転環境や燃料性状が変化した場合に、以下のような不都合が生じる。
すなわち、運転環境や燃料性状の変化直後における多点学習領域nでの内燃機関10の運転に際して、その変化によって点火時期(詳しくは、フィードバック補正項F)が変化したのにもかかわらず、これが内燃機関10の経時変化による点火時期の変化分(具体的には、経時変化による点火時期への影響の度合いのばらつき)を補償するための多点学習値AGdp[n]に反映されてしまう。これは基本学習値AG[i]と多点学習値AGdp[n]とを共にその補償対象に見合う値に精度良く学習する上で、それを妨げる一因となるために好ましくない。
こうした実情をふまえて、本実施の形態では、以下に詳述する反省処理を実行するようにしている。本実施の形態では、この反省処理が、変更手段として機能する。
以下、反省処理について図6を参照して説明する。
図6は反省処理の具体的な実行手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示される一連の処理は、所定クランク角毎の割り込み処理として、電子制御装置30により実行される。
図6に示すように、この処理では先ず、最も低回転側の基本学習領域i[i=1]における基本学習値AG[i]が変化したか否かが判断される(ステップS101)。ここでは、基本学習値AG[i]の本処理の前回実行時における値Aと今回実行時における値Bとが異なる値であることをもって、基本学習値AG[i]が変化したと判断される。
そして、基本学習値AG[i]が変化したと判断される場合には(ステップS101:YES)、同基本学習値AG[i]の変化量ΔAG(=B−A)が算出されるとともに(ステップS102)、同変化量ΔAG分だけ各多点学習領域nの多点学習値AGdp[n]をそれぞれ上記基本学習値AG[i]の変化方向とは逆方向に変化させる(ステップS103)。その後、本処理は一旦終了される。
一方、基本学習値AG[i]が変化していないと判断される場合には(ステップS101:NO)、多点学習値AGdp[n]を変更することなく(ステップS102の処理およびステップS103の処理をジャンプして)、本処理は一旦終了される。
以下、こうした反省処理を実行することによる作用効果について図7を参照しつつ説明する。
図7は、内燃機関10の運転状態が「多点学習領域n」→「基本学習領域i[i=1]」→「多点学習領域n」といったように移行する場合における合計学習値AGTの推移の一例を示している。なお図7(a)は内燃機関10の運転環境や供給燃料の性状が殆ど変化しない場合の合計学習値AGTの推移の一例を示している。また、図7(b)は運転環境や燃料性状が変化した場合にあって反省処理が実行されない場合の合計学習値AGTの推移の一例を、図7(c)は運転環境や燃料性状が変化した場合にあって反省処理が実行される場合の合計学習値AGTの推移の一例をそれぞれ示している。
図7(a)に示すように、内燃機関10の運転環境や供給燃料の性状が変化しない場合には、多点学習値AGdp[n]や基本学習値AG[i]も殆ど変化しないために、内燃機関10の運転状態が上述のように移行したところで、多点学習領域nにおける合計学習値AGTの前回値と今回値とが大きく異なる値になることはない。
一方、内燃機関10の運転環境や供給燃料の性状が変化すると、多点学習値AGdp[n]や基本学習値AG[i]が更新されて変化する。そのため、図7(b)に示すように、反省処理が実行されないと仮定した場合には、再度多点学習領域nになったときに基本学習値AG[i]の変化分(図中に矢印C2で示す変化分)だけ合計学習値AGTの今回値と前回値とが異なる値になる。
具体的には、運転環境や燃料性状が変化すると、その後においてノッキングの発生状況が変化するために、フィードバック補正項Fも変化するようになる。そして、このとき機関運転状態が多点学習領域nであると、点火時期を適切な時期に調節するために、フィードバック補正項Fに基づいて多点学習値AGdp[n]が更新・学習される。そのため、このとき運転環境や燃料性状の変化によって点火時期(詳しくは、フィードバック補正項F)が変化したにもかかわらず、その変化分を補償するための補正分(図中に矢印C1で示す変化分)が多点学習値AGdp[n]、すなわち内燃機関10の経時変化による点火時期の変化分を補償するための値に反映されてしまう。
その後、機関運転状態が最も機関回転速度NEの低い側の基本学習領域i[i=1]になると、図7(b)に示す例では運転環境や燃料性状の変化後において基本学習値AG[i]の学習が実行されていないことから、このとき基本学習値AG[i]が変化前の運転環境や燃料性状に見合う値になっている。そのため、以後においてフィードバック補正項Fが変化するようになり、その変化に応じて基本学習領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]が点火時期を適切な時期に調節するべく更新・学習されるようになる。これにより、運転環境や燃料性状の変化による点火時期の変化分を補償する補正分(図中に矢印C2で示す変化分)が、既に多点学習値AGdp[n]の学習を通じて同多点学習値AGdp[n]に反映されているのにもかかわらず、さらに基本学習領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]にも反映されてしまう。
そのため、さらにその後において機関運転状態が多点学習領域nになると、上記補正分(C1)が反映された多点学習値AGdp[n]と上記補正量(C2)が反映された基本学習値AG[i]とに基づいて点火時期指令値STが設定されるようになって、点火時期が適切な時期から図中に矢印C2で示す変化分だけずれてしまう。このようにして点火時期がずれてしまうと、同点火時期がノッキングの発生を抑える上で不適切な時期になったり機関出力の低下を招く時期になったりするおそれがある。
本実施の形態では、そのようにして点火時期が適切な時期からずれてしまうような場合において反省処理が実行される。すなわち、図7(c)に示すように、各多点学習領域nの多点学習値AGdp[n]が基本学習値AG[i]の変化分(図中に矢印C3[={C2の絶対値}]で示す変化分)だけ同基本学習値AG[i]の変化方向とは逆方向の値に変更される。
具体的には先ず、機関運転状態が基本運転領域i[i=1]になると、同基本運転領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]が合計学習値AGTとして設定されるために、このとき同基本学習値AG[i]のみによって補正されて点火時期指令値STが設定される。そして、このとき基本運転領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]の上記フィードバック補正項Fに基づく学習が実行される。
そのため、図7(c)に示す例では、基本運転領域i[i=1]になったときに、内燃機関10の運転環境や供給燃料の性状の変化に伴う点火時期の変化分が、その変化分を補償するための値、すなわち本来反映されるべき基本学習値AG[i]に反映されるようになる。そのため、このときの基本学習値AG[i]の変化量が運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分に見合う量になる。
本実施の形態では、そのようにして学習されて基本学習値AG[i]が変化した場合に、その変化量ΔAG(すなわち、運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分に見合う量)と等しい量だけ同基本学習値AG[i]の変化方向と逆方向に変化するように全ての多点学習値AGdp[n]が一括して変更される。これにより、運転環境や燃料性状の変化に伴う点火時期の変化分が多点学習値AGdp[n]に誤って反映された場合であっても、その反映分が、基本学習値AG[i]が変化したタイミングで多点学習値AGdp[n]を変化させることによって多点学習値AGdp[n]から基本学習値AG[i]に移行されるようになる。
このように本実施の形態によれば、反省処理を実行することにより、内燃機関の運転環境や供給燃料の性状が変化した場合であれ、多点学習値AGdp[n]および基本学習値AG[i]をそれぞれ補償対象に見合う値に速やかに変化させることができ、点火時期の学習を適切に行うことができる。したがって、点火時期指令値STがノッキングの発生を抑制するうえで不適切な値になったり、遅角側に変化し過ぎて機関出力の低下を招く値になったりすることを抑えることができる。
また本実施の形態では、多点学習値AGdp[n]を一括して変更する際に、基本学習値AG[i]の変化量ΔAGと等しい量だけ多点学習値AGdp[n]が変更される。そのため、点火時期指令値STの過度の変更を抑えることなどを目的として上記変化量ΔAGよりも少ない量だけ多点学習値AGdp[n]を変更すると仮定した比較例の装置と比較して、多点学習値AGdp[n]に誤って反映された上記反映分を速やかに多点学習値AGdp[n]から基本学習値AG[i]に移行させることができる。
ちなみに、このように基本運転領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]の変化に合わせて多点学習値AGdp[n]を変更しなくても、同基本学習値AG[i]が学習された後において機関運転状態が多点学習領域nになって多点学習値AGdp[n]の学習が実行されると、同多点学習値AGdp[n]は補償対象に見合う値まで徐々に変化するようになる。
ただし、この場合には、図7(b)に示す例のように基本学習値AG[i]が変化した後において機関運転状態が多点学習領域nに移行して初めて点火時期指令値STが算出されるときに、同点火時期指令値STが上記基本学習値AG[i]の変化量ΔAG分(図中に矢印C2で示す分)だけずれることが避けられない。
この点、本実施の形態では、機関運転状態が多点学習領域nになるのを待たずに基本学習値AG[i]が変化したタイミングで多点学習値AGdp[n]を補償対象に見合う値にまで予め変化させておくことが可能になり、上述のように点火時期指令値STが上記変化量ΔAG分だけずれることを抑えることができるようになる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)基本学習領域i[i=1]の基本学習値AG[i]が変化したときに、基本学習値AG[i]の変化方向と逆方向に同基本学習値AG[i]の変化量ΔAG分と等しい量だけ変化した値に多点学習値AG[n]を変更するようにした。そのため、内燃機関10の運転環境や供給燃料の性状の変化に伴う点火時期の変化分が多点学習値AG[n]に誤って反映された場合であっても、その反映分を、基本学習値AG[i]が変化したタイミングで多点学習値AG[n]を変化させることによって基本学習値AG[i]から多点学習値AG[n]に移行させることができる。したがって、運転環境や燃料性状が変化した場合であれ、多点学習値AGdp[n]および基本学習値AG[i]をそれぞれ補償対象に見合う値に速やかに変化させることができ、点火時期の学習を適切に行うことができる。
(2)多点学習値AGdp[n]を一括して変更する際に、基本学習値AG[i]の変化量ΔAGと等しい量だけ多点学習値AGdp[n]を変更するようにした。そのため、上記変化量ΔAGよりも少ない量だけ多点学習値AGdp[n]を変更すると仮定した比較例の装置と比較して、多点学習値AGdp[n]に誤って反映された上記反映分を速やかに多点学習値AGdp[n]から基本学習値AG[i]に移行させることができる。
(3)内燃機関10の運転状態に応じて区画された複数の多点学習領域nを設定するとともに、それら多点学習領域n毎に多点学習値AGdp[n]を設定した。そのため、ノッキング発生に対する内燃機関10の経時変化による影響のばらつきが大きい領域において、そのばらつきに応じて同領域を細分化した多点学習領域n毎の多点学習値AGdp[n]をそれぞれノッキングの発生を抑制するうえで適切な値とすることができる。したがって、多点学習値AGdp[n]として不適切な値が学習されることによってノッキングの発生を効果的に抑制できなくなったり内燃機関の出力低下を招いたりするといった不具合の発生を抑えることができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・基本学習領域iの区画数は任意に変更することができる。
・多点学習領域nの区画数や区画態様は任意に変更可能である。
・基本学習領域i[i=1]に対応する基本学習値AG[i]の変化量ΔAGと等しい量だけ全ての多点学習値AGdp[n]を一括して変更するのではなく、その変化量ΔAGに所定係数K(ただし、0<K<1.0)を乗じた量(=ΔAG×K)だけ全ての多点学習値AGdp[n]を一括して変更するようにしてもよい。こうした構成によれば、基本学習値AG[i]の変更に合わせて多点学習値AGdp[n]を変更する際に、その変更量が小さく抑えられるようになる。そのため何らかの要因によって多点学習値AGdp[n]が誤って変更された場合に、その点火時期への影響を小さく抑えることができるようになる。
また、そうした所定係数Kとして、多点学習値AGdp[n]の変更方向毎に異なる値を設定するようにしてもよい。そうした構成としては具体的には、例えば多点学習値AGdp[n]を進角側の値に変更する場合における所定係数K(例えば「0.5」)より、同多点学習値AGdp[n]を遅角側の値に変更する場合における所定係数K(例えば「1.0」)を大きい値に設定するといった構成を挙げることができる。同構成によれば、ノッキングが生じにくくなる遅角側の値への多点学習値AGdp[n]の変更に際しては同多点学習値AGdp[n]を速やかに変更することができる。しかも、ノッキングが生じやすくなる進角側の値への多点学習値AGdp[n]の変更に際してはその変更量を押さえ気味にしてノッキングの発生を的確に抑えつつ同多点学習値AGdp[n]を変更することができる。なお、これとは逆に、多点学習値AGdp[n]を進角側の値に変更する場合における所定係数Kより、同多点学習値AGdp[n]を遅角側の値に変更する場合における所定係数Kを小さい値に設定することも可能である。
また、上記所定係数Kとして、多点学習領域n毎に異なる値を設定するようにしてもよい。そうした構成としては具体的には、例えば機関回転速度NEが高い領域や機関負荷KLが大きい領域における所定係数K(例えば「1.0」)を、機関回転速度NEが低い領域や機関負荷KLが小さい領域における所定係数K(例えば「0.5」)より大きい値に設定するといった構成を挙げることができる。同構成によれば、機関回転速度NEが高い領域や機関負荷KLが大きい領域、すなわちノッキングが生じやすくなる機関運転領域において多点学習値AGdp[n]を早期に適正な値にまで変化させることができる。なお、これとは逆に、機関回転速度NEが高い領域や機関負荷KLが大きい領域における所定係数Kを、機関回転速度NEが低い領域や機関負荷KLが小さい領域における所定係数Kより小さい値に設定するようにしてもよい。
本発明を具体化した一実施の形態にかかる点火時期制御装置が適用される内燃機関の概略構成を示す略図。 点火時期指令値の算出手順の概要を示す説明図。 基本学習領域および多点学習領域を示す説明図。 内燃機関の経時変化の有無による点火時期指令値の変化態様の一例を示すグラフ。 内燃機関の経時変化の有無による点火時期指令値の変化態様の一例を示すグラフ。 反省処理の具体的な実行手順を示すフローチャート。 (a)〜(c)合計学習値の推移の一例を示す説明図。
符号の説明
10…内燃機関、11…燃焼室、12…吸気通路、13…燃料噴射弁、16…点火プラグ、17…ピストン、18…クランクシャフト、19…排気通路、20…アクセルペダル、21…スロットルバルブ、30…電子制御装置、31…アクセルセンサ、32…スロットルセンサ、33…ノックセンサ、34…空気量センサ、35…クランクセンサ。

Claims (4)

  1. 内燃機関の運転状態に基づき設定した基本値をノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づき更新される学習値とにより補正して点火時期の制御目標値を設定し、前記学習値として前記内燃機関の経時変化による点火時期の変化分を補償する第1の学習値とそれ以外の要因による点火時期の変化分を補償する第2の学習値とを各別に学習する内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記内燃機関の経時変化による点火時期への影響が大きい第1の機関運転領域では前記第1の学習値および前記第2の学習値によって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定し、前記影響が小さい第2の機関運転領域では前記第2の学習値のみによって前記基本値を補正して前記制御目標値を設定する設定手段と、
    前記第1の機関運転領域では前記第1の学習値の学習のみを許可し、前記第2の機関運転領域では前記第2の学習値の学習のみを許可する許可手段と、
    前記第2の学習値が変化したときに、前記第1の学習値を、前記第2の学習値の変化方向と逆方向に同第2の学習値の変化量以下の量だけ変化した値に変更する変更手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記変更手段は、前記第2の学習値の変化量と等しい量だけ前記第1の学習値を変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    当該装置は、前記第1の機関運転領域が機関運転状態に応じて区画された複数の多点学習領域からなるとともに、それら多点学習領域毎に前記第1の学習値が設定されてなり、且つ前記第1の機関運転領域において前記複数の多点学習領域のうちの現在の機関運転状態が含まれる領域についての前記第1の学習値を更新する
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記変更手段は、前記複数の多点学習領域の全てを一括して変更する
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
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