JP2012097598A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】EGRとVVTとを併せ持つ内燃機関においてEGR作動時及びVVT作動時の各々について点火時期制御のための学習値を正確に行える点火時期制御装置を提供する。
【解決手段】EGR用多点学習値及びVVT用多点学習値を各別に学習させることによりEGR機構やVVT機構の作動によるノッキング限界の変動に対応して点火時期を正確に制御する。先回トリップ時にEGRカットされた場合は今回トリップ時に強制的にEGRを作動させてEGR用多点学習値を学習させる機会を設け、今回トリップ時にEGR用多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることを防止する。先回トリップ時にEGRカットされなかった場合は今回トリップ時に強制的にEGRを停止(VVTを作動)させてVVT用多点学習値を学習させる機会を設け、今回トリップ時にVVT用多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることをも防止する。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関する。より具体的には、本発明は、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)機構とVVT(Variable Valve Timing:可変バルブタイミング)機構とを併せ持つ内燃機関の点火時期制御装置に関する。
駆動源として内燃機関が使用される車両等においては、内燃機関の運転状態に応じて点火時期を制御する、所謂「点火時期制御」が実施される。
上記点火時期制御においては、内燃機関の運転状態に基づいて点火時期についての制御目標値(以降、「点火時期指令値」とも称する)が設定されるのが一般的である。この点火時期指令値は、内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期に対して、ノッキングの発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項による補正を加えるとともに、当該フィードバック補正項に基づいて更新される学習値による補正を加えることによって算出される。
点火時期指令値の算出に用いられる上記フィードバック補正項は、ノッキングが発生した場合には予め定められた遅角更新量分だけ変更されて点火時期を遅角補正してノッキングの抑制を図るとともに、ノッキングが発生していない場合には予め定められた進角更新量分だけ変更されて点火時期を進角補正して機関出力を可能な限り高めるように設定される補正項である。
また、点火時期指令値の算出に用いられる上記学習値は、機関運転状態に応じて区画された複数の基本学習領域毎に用意され、各時点での機関運転状態に該当する領域に対応した学習値が上記フィードバック補正項に基づいて更新されるものである。かかる学習値の更新は、例えば、上記フィードバック補正項に徐変処理を施した値が新たな学習値とされることによって実現される。そして、このように更新される学習値は、ノッキングの発生を抑制すべく点火時期を補正するための補正項である。
例えば、何らかの要因により点火時期のノッキング限界が遅角側に移行し、ノッキングが発生し易くなった場合、上記学習値は、点火時期のノッキング限界の遅角側への移行量に対応して、遅角側に更新される。従って、上記更新後の学習値を用いて点火時期を補正することにより、同要因によってノッキングが発生し易くなることが抑制される。このように内燃機関のノッキング限界を移行させる要因(以降、「ノッキング限界移行要因」とも称する)としては、例えば、内燃機関の運転環境(例えば、吸入空気の温度や湿度)や内燃機関に供給される燃料の性状(例えば、オクタン価)の変化、及び内燃機関の経年劣化(例えば、燃焼室内におけるデポジットの付着)等が挙げられる。
ところで、昨今では、排気ガスの清浄化(未燃ガスやNOx(窒素酸化物)等の削減)やポンピングロスの低減等を目的として、EGR(排気ガス再循環)を行うことが広く行われている。このEGRの実現方法としては、燃焼室から排気通路に排出された排気ガスを吸気通路に再循環させる外部EGRと、VVT(可変バルブタイミング)機構により内燃機関の吸気弁及び排気弁の両方が同時に開いている状態(所謂「オーバーラップ」)を意図的に設けて燃焼室内に残留する既燃ガス(燃焼室から排気通路に一旦排出されたものの排気弁を通って燃焼室内に戻る既燃ガスを含む)の量を調整するを内部EGRと、に大別される。以降、本明細書においては、外部EGRを単に「EGR」と称する。
また、EGR(外部EGR)機構と(主に上記内部EGRを行う)VVT機構とを併せ持ち、内燃機関の運転状態(例えば、機関冷却水温、機関負荷、機関回転速度等)に応じて、これらの機構を切り換えて使用する内燃機関も知られている。かかる内燃機関においては、上記EGR機構やVVT機構の作動状況によってもノッキング限界が影響を受ける場合がある。
上記のような制御機構の作動によるノッキング限界に対する影響は、内燃機関の運転状態に応じて刻々と変化するため、前述の基本学習領域毎に設定された学習値(以降、「基本学習値」と称する)による点火時期制御では点火時期を適切に補正することが難しく、点火時期が進角側に移行し過ぎて、ノッキングの発生を効果的に抑制できなかったり、逆に遅角側に移行し過ぎて、内燃機関の出力低下を招いたりする虞がある。即ち、上記のような制御機構の作動によるノッキング限界に対する影響については、上記基本学習値よりも更にきめ細かく点火時期の補正を行う必要がある。
そこで、上記のような制御機構の作動によるノッキング限界に対する影響に対処すべく、同制御機構が作動する機関運転領域に、基本学習領域よりも更に細分化された複数の学習領域(以降、「多点学習領域」と称する)を設けて、同制御機構の作動によるノッキング限界に対する影響に対処するための多点学習値を同多点学習領域の個々の学習領域毎に設定しておき、同多点学習値をフィードバック補正項に基づいて更新し、同更新後の多点学習値を用いて点火時期を補正することによって、同制御機構の作動時にも点火時期を適正に補正することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、上記のようにEGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関においては、トリップ(機関の始動から停止までの運転期間)の開始直後等の冷間時にはEGRの作動を禁止して(EGRカット制御)、VVTのみを作動させるように制御するのが一般的である。これは、トリップ開始直後の冷間時にEGRを作動させると、排気ガス中の未燃ガスの増大やドライバビリティの低下等の不都合が顕著となる虞があるためである。
その後、何らかの判断基準(例えば、機関冷却水温、変速シフト等)に基づき、上記不都合が解消される機関運転状態に至ったと判断されると、EGRの作動が許可(EGRカット制御が解除)され、これ以降は、基本的に、EGR作動領域として定められた所定の運転領域に内燃機関の運転状態が該当する限り、EGRが作動し続ける。一方、VVTについては、例えば、WOT(Wide Open Throttle:スロットルバルブ全開状態)等、EGR作動領域外の領域においてのみ作動することになる。
尚、EGRが作動すると、ノッキングが発生し難くなる(ノッキング限界が進角側に移行する)ため、これに対応して点火時期司令値を進角補正する制御が働くようにして、ノッキングが発生しない範囲内で、できるだけ大きなトルクを得られるようにするのが一般的である。即ち、EGRの作動時には、予め定められた量(AEGR)だけ、点火時期司令値が進角補正される。
その後、機関冷却水温が上昇し、通常の暖気状態に達すると、ノッキング発生の防止を目的とする点火時期の補正のための学習値の学習(以降、「KCS(Knoking Control System:ノッキング制御システム)学習」とも称する)が開始され、その時々の内燃機関の運転状態に適切な点火時期を達成するための学習値(KCS学習値)が学習されるようになる。
ここで、何らかの要因(例えば、燃焼室から排気通路に排出された排気ガスを吸気通路に再循環させるための通路(EGR通路)に設けられた排気通路から吸気通路に再循環させる排気ガスの量を調整するための弁(EGR弁)がデポジットの付着等によって詰まった等の要因)により、排気ガスが十分に再循環されなくなった場合を想定する。
この場合、内燃機関の運転状態が上記EGR作動領域に入っていると、EGRが作動しているものとみなされ、上述のように点火時期司令値がAEGRだけ進角補正される。しかし、実際には、上記のように排気ガスが十分に再循環されなくなっているため、実際にはノッキング限界は進角側に十分移行しておらず、その結果、過剰進角状態となってしまい、ノッキングが発生するようになる虞が高い。
上記のようにノッキングが発生すると、ノッキングの発生を抑制すべく、KCSによる遅角補正が行われ、当該運転状態に対応する学習値が遅角側に学習・更新されるが、内燃機関の点火時期が過度に遅角側に変更されると、内燃機関の出力低下を招いり、ドライバビリティや排気ガスの清浄度の低下を招いたりする虞がある。そこで、EGRの作動中に学習値の遅角側への変化量が所定の閾値を超えた場合には、EGRの作動を禁止(EGRカット制御)し、VVTを作動させるようにするのが一般的である。
しかしながら、VVT作動時には、ノッキング限界の進角側への移行量はEGR作動時と比較して小さいことから、EGR作動時のような点火時期司令値の進角補正(点火時期司令値をAEGRだけ進角側に変更する補正)は行われないので、上記のように(AEGRの適用を前提として)遅角側に学習・更新された学習値のままでは、今度は過剰遅角状態となり、内燃機関の出力低下を招き、ひいてはドライバビリティの低下を招く虞がある。
従って、その後、VVT作動下での当該運転状態において上述のKCS学習が実施されることにより、当該運転状態に対応する学習値は徐々に進角側に学習・更新され、やがて当該運転状態において適切な点火時期が実現されるようになる。
上記学習値は今回のトリップが終了(機関が停止)しても維持されるが、EGRによる排気ガスの再循環を阻害した上記要因が解消されないまま(即ち、今回のトリップと同様に排気ガスが十分に再循環されない状態のまま)次回のトリップが開始(当該内燃機関が始動)されると、今回のトリップと同様に、内燃機関の運転状態が上記EGR作動領域に入るとEGRが作動しているものとみなされ、上述のように点火時期司令値がAEGRだけ進角補正されるので、VVT作動下において適切な点火時期を実現すべく学習された、その時点での学習値のままでは、再び過剰進角状態となってしまい、ノッキングが発生するようになる。即ち、EGR作動時の学習値の遅角側への更新とVVT作動時の学習値の進角側への更新とが繰り返される、学習値のハンチングが起こる虞が高い。
特開2010−024901号公報
前述の従来技術において懸念される学習値のハンチングに対する対策として、EGR作動時とVVT作動時との各々について、適切な点火時期を達成するための学習値を提供すべく、EGR作動時とVVT作動時との各々について、前述の多点学習領域並びに各多点学習領域に対応する多点学習値を設定し、EGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値を学習させることが考えられる。しかしながら、このようにEGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値を学習させるようにすると、以下のような不都合が発生する虞がある。
(1)前述のように、EGR作動時に何らかの要因(例えば、EGR弁がデポジットの付着等によって詰まった等の要因)により排気ガスが十分に再循環されなくなり、EGR用多点学習値が所定の閾値を超えて遅角側に学習・更新され、EGRカット制御によりVVTの作動に切り換えられると、それ以降はVVT用多点学習値が使用されるため、EGR用多点学習値が遅角側に取り残される(誤学習)。
上記(1)の場合、EGR用多点学習値は遅角側に学習・更新されたままとなるのでEGRカット制御が作動し続け、たとえその後、例えば、デポジットの飛散や除去等によって上記要因が解消されてノッキング限界が通常値に戻っていても、これに対応してEGR用多点学習値が進角側に学習・更新されて適切な値となる機会が得られず、次回のトリップ以降もEGRを利用できなくなる。
(2)前述のように、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関においては、VVTの作動は、EGRカット制御作動時を除き、一部の機関運転状態(例えば、トリップ開始直後等の冷間時や、WOT等)のみに限定されるため、VVT用多点学習値の学習頻度を十分に確保することが難しい。その結果、VVT作動時に何らかの要因(例えば、内燃機関の経時変化に伴うデポジットの付着等の要因)によりノッキング限界が遅角側に変動し、これに対応してVVT用多点学習値が一旦遅角側に学習・更新されると、たとえその後、例えば、デポジットの飛散や除去等によって上記要因が解消されてノッキング限界が正常値に戻っていても、これに対応してVVT用多点学習値が進角側に学習・更新されて適切な値となる機会に乏しく、VVT用多点学習値が遅角側に取り残される(誤学習)。
上記(2)の場合、次回のトリップ開始直後等の冷間時には、前述のようにEGRの作動を禁止して(EGRカット制御)VVTのみを作動させるように制御がなされると、上記のようにVVT用多点学習値が遅角側に取り残されたままであるため、内燃機関の出力低下を招き、ひいてはドライバビリティの低下を招く虞がある。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、EGR作動時及びVVT作動時の各々について、点火時期制御のための学習値を精度良く学習することができる、内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、
排気ガス再循環機構と可変バルブタイミング機構とを併せ持つ内燃機関について、
前記内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期を、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づいて更新される学習値とによって補正して点火時期の制御目標値を設定する、内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記学習値として、機関回転速度及び機関負荷を座標軸とする機関運転領域において、前記排気ガス再循環機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをEGR用多点学習値として保持し、前記可変バルブタイミング機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをVVT用多点学習値として保持して、前記排気ガス再循環機構の作動時には前記EGR用多点学習値を学習・更新させ、前記可変バルブタイミング機構の作動時には前記VVT用多点学習値を学習・更新させて、前記内燃機関の点火時期を制御すること、並びに
前記排気ガス再循環機構の作動時に、前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てる、EGRカット制御手段と、
先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられている場合、前記排気ガス再循環機構の作動を許可し、前記排気ガス再循環機構を作動させて、前記EGR用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたEGR用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、EGR検査手段と、
先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられていない場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止し、前記可変バルブタイミング機構を作動させて、前記VVT用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、VVT検査手段と、
を更に備えること、
を特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置によって達成される。
本発明によれば、EGR機構とVVT機構とを併せ持ち、且つEGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値を学習させるように構成された点火時期制御装置を備える内燃機関において、EGR作動時に何らかの要因により排気ガスが十分に再循環されなくなった場合に、EGR用多点学習値が遅角側に更新されたまま取り残されたり、VVT作動時に何らかの要因によりノッキング限界が遅角側に変動して、VVT用多点学習値が遅角側に更新されたまま取り残されたりして、これらの学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査することができる。かかる検査結果を点火時期制御に利用することにより、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、EGR作動時及びVVT作動時の各々について、点火時期制御のための学習値を精度良く学習することができる、内燃機関の点火時期制御装置を提供することができる。
本発明の1つの実施態様に係る点火時期制御装置が適用される、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関の概略構成を示す略図である。 機関運転領域におけるEGR作動領域、VVT作動領域、及びノッキング領域を示す模式図である。 EGR検査手段がEGR用多点学習値を強制的に学習させる処理(EGR検査処理)の実行手順の一例を示すフローチャートである。 VVT検査手段がVVT用多点学習値を強制的に学習させる処理(VVT検査処理)の実行手順の一例を示すフローチャートである。 本従来技術に係る点火時期制御装置が適用される、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関の1回のトリップにおける各種処理処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の1つの実施態様に係る点火時期制御装置が適用される、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関の1回のトリップにおける各種処理処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
前述のように、本発明は、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、EGR作動時及びVVT作動時の各々について、点火時期制御のための学習値を精度良く学習することができる、内燃機関の点火時期制御装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、同内燃機関の点火時期制御装置を、EGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値を学習させるように構成し、更に、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施された場合は、今回のトリップにおいて強制的にEGRを作動させてEGR用多点学習値を学習させる機会を設け、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施されなかった場合は、今回のトリップにおいて強制的にEGRを停止させてVVT用多点学習値を学習させる機会を設けて、EGR用多点学習値やVVT用多点学習値が先回のトリップにおいて遅角側に更新されたまま取り残されることを防止することにより、かかる内燃機関においても、EGR作動時及びVVT作動時の各々について、点火時期制御のための学習値を精度良く学習させることができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
即ち、本発明の第1態様は、
排気ガス再循環機構と可変バルブタイミング機構とを併せ持つ内燃機関について、
前記内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期を、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づいて更新される学習値とによって補正して点火時期の制御目標値を設定する、内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記学習値として、機関回転速度及び機関負荷を座標軸とする機関運転領域において、前記排気ガス再循環機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをEGR用多点学習値として保持し、前記可変バルブタイミング機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをVVT用多点学習値として保持して、前記排気ガス再循環機構の作動時には前記EGR用多点学習値を学習・更新させ、前記可変バルブタイミング機構の作動時には前記VVT用多点学習値を学習・更新させて、前記内燃機関の点火時期を制御すること、並びに
前記排気ガス再循環機構の作動時に、前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てる、EGRカット制御手段と、
先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられている場合、前記排気ガス再循環機構の作動を許可し、前記排気ガス再循環機構を作動させて、前記EGR用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたEGR用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、EGR検査手段と、
を更に備えること、
を特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置である。
尚、前記EGRカット制御手段が、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てるか否か(「ON」又は「OFF」の何れに設定するか)の判定を行う際の基準となる、前記EGR用多点学習値の遅角側への更新に関する「所定の閾値」は、当該内燃機関の特性や要求される最低トルク値等に基づいて、適宜設定することができる。
上記のように、本発明の第1態様に係る内燃機関の点火時期制御装置においては、EGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値が学習される。これにより、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、EGR機構やVVT機構の作動によるノッキング限界に対する影響に対して、従来技術よりも更にきめ細かく点火時期の適正な制御を行うことができる。
更に、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施された場合は、EGR検査手段が、今回のトリップにおいて強制的にEGRを作動させてEGR用多点学習値を学習させ、当該学習によって得られたEGR用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する機会を設ける。従って、本発明の第1態様に係る内燃機関の点火時期制御装置によれば、前述のように、EGR作動時に何らかの要因(例えば、EGR弁がデポジットの付着等によって詰まった等の要因)により排気ガスが十分に再循環されなくなり、EGR用多点学習値が所定の閾値を超えて遅角側に学習・更新される等して、予め定められた基準値から乖離しているか否かをトリップ毎に検査することができる。
尚、EGR検査手段による上記検査の結果は、当該内燃機関の種々の制御に利用することができる。例えば、EGR検査手段による学習によって得られたEGR用多点学習値が予め定められた基準値から大きく乖離している場合に、その旨を示すアラームや制御用の信号を発する等のことができる。
次に、本発明の第2態様は、
排気ガス再循環機構と可変バルブタイミング機構とを併せ持つ内燃機関について、
前記内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期を、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づいて更新される学習値とによって補正して点火時期の制御目標値を設定する、内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記学習値として、機関回転速度及び機関負荷を座標軸とする機関運転領域において、前記排気ガス再循環機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをEGR用多点学習値として保持し、前記可変バルブタイミング機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをVVT用多点学習値として保持して、前記排気ガス再循環機構の作動時には前記EGR用多点学習値を学習・更新させ、前記可変バルブタイミング機構の作動時には前記VVT用多点学習値を学習・更新させて、前記内燃機関の点火時期を制御すること、並びに
前記排気ガス再循環機構の作動時に、前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てる、EGRカット制御手段と、
先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられていない場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止し、前記可変バルブタイミング機構を作動させて、前記VVT用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、VVT検査手段と、
を更に備えること、
を特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置である。
上記のように、本発明の第2態様に係る内燃機関の点火時期制御装置においては、本発明の前記第1態様に係る内燃機関の点火時期制御装置と同様に、EGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値が学習される。これにより、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、EGR機構やVVT機構の作動によるノッキング限界に対する影響に対して、従来技術よりも更にきめ細かく点火時期の適正な制御を行うことができる。
更に、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施されなかった場合は、VVT検査手段が、今回のトリップにおいて強制的にEGRを停止させてVVT用多点学習値を学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する機会を設ける。従って、前述のように、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関においては、VVTの作動は、EGRカット制御作動時を除き、一部の機関運転状態のみに限定されるものの、本発明の第2態様に係る内燃機関の点火時期制御装置によれば、VVT用多点学習値の学習頻度を十分に確保することができる。
その結果、VVT作動時に何らかの要因(例えば、内燃機関の経時変化に伴うデポジットの付着等の要因)によりノッキング限界が遅角側に変動し、これに対応してVVT用多点学習値が一旦遅角側に学習・更新される等して、予め定められた基準値から乖離しているか否かをトリップ毎に検査することができる。また、VVT用多点学習値がこのように一旦遅角側に学習・更新されても、今回のトリップにおいてVVT用多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることは無くなる。即ち、先回のトリップ以降に、例えば、デポジットの飛散や除去等によって上記要因が解消されてノッキング限界が正常値に戻っていた場合は、これに対応してVVT用多点学習値が進角側に学習・更新されて適切な値となる機会が得られるので、今回以降のトリップ開始直後等の冷間時にEGRカット制御によりVVTのみを作動させるように制御がなされても、内燃機関の出力低下を招いたり、ドライバビリティの低下を招いたりすることが無くなる。
尚、VVT検査手段による上記検査の結果は、当該内燃機関の種々の制御に利用することができる。例えば、VVT検査手段による学習によって得られたVVT用多点学習値が予め定められた基準値から大きく乖離している場合に、その旨を示すアラームや制御用の信号を発する等のことができる。
更に、本発明の第3態様は、
排気ガス再循環機構と可変バルブタイミング機構とを併せ持つ内燃機関について、
前記内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期を、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づいて更新される学習値とによって補正して点火時期の制御目標値を設定する、内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記学習値として、機関回転速度及び機関負荷を座標軸とする機関運転領域において、前記排気ガス再循環機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをEGR用多点学習値として保持し、前記可変バルブタイミング機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをVVT用多点学習値として保持して、前記排気ガス再循環機構の作動時には前記EGR用多点学習値を学習・更新させ、前記可変バルブタイミング機構の作動時には前記VVT用多点学習値を学習・更新させて、前記内燃機関の点火時期を制御すること、並びに
前記排気ガス再循環機構の作動時に、前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てる、EGRカット制御手段と、
先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられている場合、前記排気ガス再循環機構の作動を許可し、前記排気ガス再循環機構を作動させて、前記EGR用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたEGR用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、EGR検査手段と、
先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられていない場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止し、前記可変バルブタイミング機構を作動させて、前記VVT用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、VVT検査手段と、
を更に備えること、
を特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置である。
上記のように、本発明の第3態様に係る内燃機関の点火時期制御装置においては、本発明の前記第1態様及び第2態様に係る内燃機関の点火時期制御装置と同様に、EGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値が学習される。これにより、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、EGR機構やVVT機構の作動によるノッキング限界に対する影響に対して、従来技術よりも更にきめ細かく点火時期の適正な制御を行うことができる。
更に、本発明の前記第1態様に係る内燃機関の点火時期制御装置と同様に、更に、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施された場合は、EGR検査手段が、今回のトリップにおいて強制的にEGRを作動させてEGR用多点学習値を学習させ、当該学習によって得られたEGR用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する機会を設ける。従って、本発明の第3態様に係る内燃機関の点火時期制御装置においても、前述のように、EGR作動時に何らかの要因(例えば、EGR弁がデポジットの付着等によって詰まった等の要因)により排気ガスが十分に再循環されなくなり、EGR用多点学習値が所定の閾値を超えて遅角側に学習・更新される等して、予め定められた基準値から乖離しているか否かをトリップ毎に検査することができる。
しかも、本発明の前記第2態様に係る内燃機関の点火時期制御装置と同様に、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施されなかった場合は、VVT検査手段が、今回のトリップにおいて強制的にEGRを停止させてVVT用多点学習値を学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する機会を設ける。従って、本発明の第3態様に係る内燃機関の点火時期制御装置においても、VVT作動時に何らかの要因(例えば、内燃機関の経時変化に伴うデポジットの付着等の要因)によりノッキング限界が遅角側に変動し、これに対応してVVT用多点学習値が一旦遅角側に学習・更新される等して、予め定められた基準値から乖離しているか否かをトリップ毎に検査することができる。
尚、EGR検査手段やVVT検査手段による各検査結果は、当該内燃機関の種々の制御に利用することができる。例えば、EGR検査手段やVVT検査手段による学習によって得られたEGR用多点学習値やVVT用多点学習値が予め定められた基準値から大きく乖離している場合、その旨を示すアラームや制御用の信号を発する等のことができる。
更に、EGR検査手段やVVT検査手段による各検査結果を利用して、当該内燃機関が備えるの種々の機構の作動を制御することもできる。例えば、EGR検査手段による学習によって得られたEGR用多点学習値が所定の閾値よりも十分に進角側の値に更新されていた場合は、そのままEGRを作動させ続けてもよいが、同EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合は、そのままEGRを作動させ続けると、同内燃機関の出力低下を招き、ひいてはドライバビリティの低下を招く虞があるので、EGRの作動を禁止することが望ましい。
従って、本発明の第4態様は、本発明の前記第1態様又は第3態様の何れかに係る内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記EGR検査手段による学習によって得られた前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを再び立てる手段を更に備えることを特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置である。
結果として、本発明の第4態様に係る内燃機関の点火時期制御装置においては、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施された場合は、EGR検査手段が、今回のトリップにおいて強制的にEGRを作動させてEGR用多点学習値を学習させる機会を設けるので、前述のように、EGR作動時に何らかの要因(例えば、EGR弁がデポジットの付着等によって詰まった等の要因)により排気ガスが十分に再循環されなくなり、EGR用多点学習値が所定の閾値を超えて遅角側に学習・更新され、EGRカット制御によりVVTの作動に切り換えられても、今回のトリップにおいてEGR用多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることは無くなる。即ち、先回のトリップ以降に、例えば、デポジットの飛散や除去等によって上記要因が解消されてノッキング限界が通常値に戻っていた場合は、これに対応してEGR用多点学習値が進角側に学習・更新されて適切な値となる機会が得られるので、EGRを再び利用することができるようになる。
尚、前記EGR検査手段によって強制的に実施される学習の結果、前記EGR用多点学習値が再び所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合に前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを再び立てる(「ON」に設定する)一連の処理は、前記EGR検査手段又は前記EGRカット制御手段が実行するように構成してもよい。更には、かかる処理を実行するための手段を別途設けてもよい。
また、前述のように、先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられていない場合は、VVT検査手段が、排気ガス再循環機構の作動を禁止し、可変バルブタイミング機構を作動させて、VVT用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査するが、先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられていないということは、一般的には、先回のトリップ以降にEGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていない限り、VVT検査手段による検査処理が完了したら、排気ガス再循環機構の作動を再び許可することが望ましい。
従って、本発明の第5態様は、本発明の前記第2態様又は第3態様の何れかに係る内燃機関の点火時期制御装置であって、
前記VVT検査手段によるVVT用多点学習値の学習が完了した時点以降に、前記排気ガス再循環機構の作動を再び許可する手段を更に備えることを特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置である。
上記により、本発明の第5態様に係る内燃機関の点火時期制御装置によれば、VVT検査手段がVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査を完了するとEGRの作動が再び許可されるので、EGRの作動機会を徒に低減させること無く、VVT用多点学習値の学習頻度を十分に確保することができる。
その結果、EGRの作動機会の減少を最低限に抑えつつ、VVT作動時に何らかの要因(例えば、内燃機関の経時変化に伴うデポジットの付着等の要因)によりノッキング限界が遅角側に変動し、これに対応してVVT用多点学習値が一旦遅角側に学習・更新されても、今回のトリップにおいてVVT用多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることを抑制することができる。
即ち、本発明に係る内燃機関の点火時期制御装置においては、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、同内燃機関の点火時期制御装置を、EGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値を学習させるようにしても、EGR用多点学習値及びVVT用多点学習値の何れについても、今回のトリップにおいて、これらの多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることを防止することができるので、EGR機構やVVT機構の作動によるノッキング限界に対する影響に対して、従来技術よりも更にきめ細かく点火時期の適正な制御を行うことができる。
以下、添付図面を参照しつつ、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ自動車用エンジンの点火時期制御装置として本発明を具現化した実施態様について説明する。
前述のように、図1は、本発明の1つの実施態様に係る点火時期制御装置が適用される、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関の概略構成を示す略図である。
図1において、エンジン100には1つの気筒のみが図示されているが、エンジンの設計に応じて任意の数とすることができることは言うまでもない。例えば、気筒の数は「4」、「5」、「6」、「8」、「10」、又は「12」とすることができる。
本実施態様に係る点火時期制御装置が実行する各種の処理は、例えば、エンジンECU(Electronic Control Unit)200が実行するプログラムにより実現される。尚、エンジンECU200により実行されるプログラムを、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録してもよい。
エンジン100は、エアクリーナ102から吸入された空気とインジェクタ104から噴射される燃料との混合気を、燃焼室内で点火プラグ106により点火して燃焼させる内燃機関である。
点火時期は、エンジン100の運転状態に応じて設定される。以下、エンジン100の運転状態に応じて設定される点火時期を基本点火時期と称する。ノッキングが発生した場合等には、点火時期は基本点火時期から遅角される。
基本点火時期は、機関回転速度NE及び機関負荷KLをパラメータとして有するマップに従って設定される。機関負荷KLは、後述するエアフローメータ314により検出された吸入空気量及び機関回転速度NE等に基づいて算出される。尚、機関負荷KLを算出する方法については当該技術分野において周知であるため、ここでは詳細な説明は割愛する。
混合気が燃焼すると、燃焼圧によりピストン108が押し下げられ、クランクシャフト110が回転する。燃焼後の混合気(排気ガス)は、排気ガス浄化触媒112により浄化された後に車外に排出される。エンジン100に吸入される空気の量は、スロットルバルブ114により調整される。吸気バルブ116が開いた際に燃焼室に混合気が導入され、排気バルブ118が開いた際に燃焼室から排気ガスが排出される。
吸気バルブ116の位相、すなわち開閉タイミングは、VVT機構120によって変更される。尚、吸気バルブ116に加えて排気バルブ118の位相を変更するようにしてもよい。
本実施の形態において、エンジン100には、EGR機構が設けられている。EGR機構は、気筒から排気通路130に排出された排気ガスを吸気通路132に再循環させる外部EGRにより、ポンピングロス及び未燃ガスを低減する。
EGR機構により排気通路130から吸気通路132に再循環される排気ガスの量は、EGR通路134上に設けられたEGR弁136により調整される。EGR弁136が開くと排気通路130から吸気通路132への排気ガスの再循環が行なわれる。EGR弁136が閉じると排気通路130から吸気通路132への排気ガスの再循環が停止される。
エンジン100は、エンジンECU200により制御される。エンジンECU200には、ノックセンサ300と、水温センサ302と、タイミングロータ304に対向して設けられたクランクポジションセンサ306と、スロットル開度センサ308と、車速センサ310と、イグニッションスイッチ312と、エアフローメータ314とが接続されている。
ノックセンサ300は、エンジン100のシリンダブロックに設けられる。ノックセンサ300は、圧電素子により構成されている。ノックセンサ300は、エンジン100の振動により電圧を発生する。当該電圧は振動の大きさに対応した大きさとなる。ノックセンサ300は、当該電圧を表わす信号をエンジンECU200に送信する。
本実施態様において、エンジンECU200には、ノックセンサ300から送信された信号に基づいてノッキングが発生したか否かを判定し、ノッキングが発生したと判定された場合には点火時期を遅角し、ノッキングが発生していないと判定された場合には点火時期を進角するノックコントロールシステム(KCS)が実装されている。
例えば、ノックセンサ300により検出された振動の大きさが所定の閾値よりも大きい場合にノックが発生したと判定される。尚、ノッキングが発生したか否かを判定する方法については当該技術分野において周知であるため、ここでは詳細な説明は割愛する。
水温センサ302は、エンジン100のウォータージャケット内の冷却水の温度(水温)を検出し、検出結果を表わす信号を、エンジンECU200に送信する。
タイミングロータ304は、クランクシャフト110に設けられており、クランクシャフト110と共に回転する。タイミングロータ304の外周には、予め定められた間隔で複数の突起が設けられている。クランクポジションセンサ306は、タイミングロータ304の突起に対向して設けられている。タイミングロータ304が回転すると、タイミングロータ304の突起と、クランクポジションセンサ306とのエアギャップが変化するため、クランクポジションセンサ306のコイル部を通過する磁束が増減し、コイル部に起電力が発生する。クランクポジションセンサ306は、起電力を表わす信号を、エンジンECU200に送信する。エンジンECU200は、クランクポジションセンサ306から送信された信号に基づいて、クランク角及びクランクシャフト110の回転数(機関回転速度NE)を検出する。
スロットル開度センサ308は、スロットル開度を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。車速センサ310は、車輪(図示せず)の回転数を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。エンジンECU200は、車輪の回転数から、車速を算出する。イグニッションスイッチ312は、エンジン100を始動させる際に、運転者の操作によってオンされる。
エアフローメータ314は、エンジン100に吸入される空気量を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。本実施態様において、エアフローメータ314には、吸気温センサが内蔵されたホットワイヤ式のエアフローメータが用いされる。従って、エアフローメータ314は、エンジン100に吸入される空気の温度(吸気温)を検出すると共に、エンジン100に吸入される空気量を検出する。尚、吸気温センサをエアフローメータ314とは別に設けるようにしてもよい。
エンジンECU200は、電源である補機バッテリ320から供給された電力により作動する。エンジンECU200は、各センサ及びイグニッションスイッチ312から送信された信号、並びにROM(Read Only Memory)202に記憶されたマップ及びプログラムに基づいて演算処理を行ない、エンジン100が所望の運転状態となるように、各種機器類を制御する。
エンジンECU200の機能については、当該技術分野において周知であるため、ここでは詳細な説明は割愛するが、同機能をソフトウェアにより実現するようにしてもよく、またハードウェアにより実現するようにしてもよい。
図2は、機関回転速度NE及び機関負荷KLを座標軸とする機関運転領域におけるEGR作動領域、VVT作動領域、及びノッキング領域を示す模式図である。尚、図2において、EGR作動領域は(EGRカット制御時を除き)EGR機構が作動する領域、VVT作動領域はEGR機構が作動しない領域、そしてノッキング域はノッキングが発生する領域をそれぞれ表す。よって、エンジン100の運転状態が図2におけるEGR作動領域外にある場合、ECU200によってEGRが停止されると共に、VVT機構が作動され、吸気バルブ116と排気バルブ118とのオーバーラップによって気筒から吸気通路132に排出された排気ガスが気筒に吸い戻される内部EGR等が行なわれる。
次に、図3は、EGR検査手段がEGR用多点学習値を強制的に学習させる一連の処理(EGR検査処理)の実行手順の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、この処理では先ず、先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられているか否か(「ON」に設定されているか否か)が判定される(ステップ101)。先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられていない場合は(ステップ101:NO)、今回のトリップにおけるEGRの作動に伴うEGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値になっているか否かが判定される(ステップ104)。EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値になっていない場合には(ステップ104:NO)、EGRの作動が許可されたままで本処理が一旦終了される。一方、EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値になっている場合には(ステップ104:YES)、EGRの作動が再び禁止され、本処理が一旦終了される。
一方、ステップS101において先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられていると判定された場合は(ステップ101:YES)、EGRの作動が許可され(ステップ102)、今回のトリップにおけるEGRの作動に伴うEGR用多点学習値の学習が行われる(ステップS103)。次に、今回のトリップにおけるEGRの作動に伴うEGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値になっているか否かが判定され(ステップ104)、EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値になっていない場合には(ステップ104:NO)、EGRの作動が許可されたままで本処理が一旦終了される。一方、EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値になっている場合には(ステップ104:YES)、EGRの作動が再び禁止され、本処理が一旦終了される。尚、実施態様によっては、ステップS104における判定結果に応じてアラームを発する等の処理に替えてもよい。
以上のようにして、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施された場合は、EGR検査手段が、今回のトリップにおいて強制的にEGRを作動させてEGR用多点学習値を学習させる機会を設けるので、前述のように、EGR作動時に何らかの要因(例えば、EGR弁がデポジットの付着等によって詰まった等の要因)により排気ガスが十分に再循環されなくなり、EGR用多点学習値が所定の閾値を超えて遅角側に学習・更新され、EGRカット制御によりVVTの作動に切り換えられても、今回のトリップにおいてEGR用多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることは無くなる。即ち、先回のトリップ以降に、例えば、デポジットの飛散や除去等によって上記要因が解消されてノッキング限界が通常値に戻っていた場合は、これに対応してEGR用多点学習値が進角側に学習・更新されて適切な値となる機会が得られるので、EGRを再び利用することができるようになる。
尚、上記EGR検査処理において、EGR用多点学習値の学習を実施させようとする際には、当然のことながら、KCS学習が可能な条件が成立する状態(例えば、機関冷却水温THWや機関回転速度NEが通常の暖気状態)になければならない。また、ステップ103において実施されるEGR用多点学習値の学習の後に上記EGR検査処理が完了したか否かを判別するためのフラグ(EGR検査完了フラグ)を立てる(「ON」に設定する)ステップを設ける等しておき、上記EGR検査処理の初期の段階(例えば、ステップ101の直後)においてEGR検査完了フラグが立っているか否か(「ON」に設定されているか否か)を判定するステップを設けて、EGR検査完了フラグが立っている場合には本処理を終了させる等することにより、1回のトリップにおいて上記EGR検査処理が繰り替えし実行されるのを防止してもよい。
一方、図4は、VVT検査手段がVVT用多点学習値を強制的に学習させる処理(VVT検査処理)の実行手順の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、この処理では先ず、先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられていないか否か(「OFF」に設定されているか否か)が判定される(ステップ201)。先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられている場合は(ステップ201:NO)、今回のトリップにおいては既にVVTが動作している筈であり、VVT用多点学習値を学習する機会が自ずと生ずるので、本処理によりVVT用多点学習値を強制的に学習させる必要は無いため、本処理が一旦終了される。
一方、ステップS201において先回のトリップにおいてEGRカット実施フラグが立てられていないと判定された場合は(ステップ201:YES)、EGRの作動が禁止され(ステップ202)、今回のトリップにおけるVVTの作動に伴うVVT用多点学習値の学習が行われる(ステップS203)。次に、今回のトリップにおけるVVTの作動に伴うVVT用多点学習値の学習が完了したら、EGRの作動が再び許可され(ステップS204)、本処理が一旦終了される。尚、実施態様によっては、ステップS204における判定結果に応じてアラームを発する等の処理に替えてもよい。
以上のようにして、先回のトリップにおいてEGRカット制御が実施されなかった場合は、VVT検査手段が、今回のトリップにおいて強制的にEGRを停止させてVVT用多点学習値を学習させる機会を設けるので、前述のように、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関におけるVVTの作動は、EGRカット制御作動時を除き、一部の機関運転状態のみに限定されるものの、VVT用多点学習値の学習頻度を十分に確保することができる。
その結果、VVT作動時に何らかの要因(例えば、内燃機関の経時変化に伴うデポジットの付着等の要因)によりノッキング限界が遅角側に変動し、これに対応してVVT用多点学習値が一旦遅角側に学習・更新されても、今回のトリップにおいてVVT用多点学習値が実態に反して遅角側に取り残されることは無くなる。即ち、先回のトリップ以降に、例えば、デポジットの飛散や除去等によって上記要因が解消されてノッキング限界が正常値に戻っていた場合は、これに対応してVVT用多点学習値が進角側に学習・更新されて適切な値となる機会が得られるので、今回以降のトリップ開始直後等の冷間時には、前述のようにEGRカット制御によりVVTのみを作動させるように制御がなされても、内燃機関の出力低下を招いたり、ドライバビリティの低下を招いたりすることが無くなる。
尚、上記VVT検査処理においも、前述のEGR検査処理と同様に、VVT用多点学習値の学習を実施させようとする際には、当然のことながら、KCS学習が可能な条件が成立する状態(例えば、機関冷却水温THWや機関回転速度NEが通常の暖気状態)になければならない。また、ステップ203において実施されるVVT用多点学習値の学習の後に上記VVT検査処理が完了したか否かを判別するためのフラグ(VVT検査完了フラグ)を立てる(「ON」に設定する)ステップを設ける等しておき、上記VVT検査処理の初期の段階(例えば、ステップ201の直後)においてVVT検査完了フラグが立っているか否か(「ON」に設定されているか否か)を判定するステップを設けて、VVT検査完了フラグが立っている場合には本処理を終了させる等することにより、1回のトリップにおいて上記VVT検査処理が繰り替えし実行されるのを防止してもよい。
ところで、上記EGR検査処理や上記VVT検査処理の実行時に限らず、機関運転中にEGRの作動を開始又は停止すると、燃焼室内の混合気の状態が不安定になり、過渡的なノッキングの発生等の不都合が生ずる虞があるので、EGRの作動状態を切り換える際には、その時点での機関運転状態がEGR作動領域に該当するか否かを判定し、EGR作動領域に該当する間はEGRの作動状態を切り換えず、機関運転状態がEGR作動領域に該当しなくなってからEGRの作動状態を切り換えるようにするのが望ましい。
図5は、本従来技術に係る点火時期制御装置が適用される、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関の1回のトリップにおける各種処理処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、従来技術に係る点火時期制御装置においては、図6に示す本発明の1つの実施態様に係る点火時期制御装置とは異なり、前述のVVT検査処理やEGR検査処理が実施されず、単にEGRが作動しているか否かの判定(ステップ301)の結果に基づいて、EGRが作動している場合には(ステップ301:YES)EGR用多点学習値を学習させ、EGRが作動していない場合には(ステップ301:NO)VVT用多点学習値を学習させるのみである。
かかる制御では、前述のように、EGR用多点学習値の遅角量が大きくなり、EGRカット制御によりVVTの作動に切り換えられると、それ以降はVVT用多点学習値が学習されるため、EGR用多点学習値が遅角側に取り残されたままとなる。また、VVT用多点学習値についても、前述のように、一部の機関運転領域を除き、学習頻度が少ないため、何らかの理由により異常値が学習されても、適正な値に更新される機会がなかなか得られない。
一方、図6は、本発明の1つの実施態様に係る点火時期制御装置が適用される、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関の1回のトリップにおける各種処理処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施態様に係る点火時期制御装置においては、図5に示す従来技術に係る点火時期制御装置とは異なり、各トリップの開始毎に前述のVVT検査処理(ステップ401)やEGR検査処理(ステップ402)が実施され、今回のトリップにおける実際の機関運転状況やノッキング限界移行要因等に則したEGR用多点学習値やVVT用多点学習値を学習する機会が提供される。従って、本実施態様に係る点火時期制御装置においては、前述のようなEGR用多点学習値やVVT用多点学習値の誤学習を防止することができる。
尚、図6においては、VVT検査処理(ステップ401)及びEGR検査処理(ステップ402)を両方とも実行する態様を例示したが、制御対象となる内燃機関の性状や要求特性等に応じて、これら2種の検査処理の何れか一方のみを実行するように構成してもよい。また、図6においては、VVT検査処理をEGR検査処理よりも先に実行する態様を例示したが、これら2種の検査処理の実行順序についても、制御対象となる内燃機関の性状や要求特性等に応じて適宜変更することができる。
尚、上記のようにVVT検査処理及びEGR検査処理の実行順序を規定しようとする場合は、例えば、前述のEGR検査完了フラグ及びVVT検査完了フラグを利用することができる。具体的には、後に実行しようとする処理の実行手順において、先に実行しようとする処理の検査完了フラグを参照し、当該処理が完了しているか否かを判定するステップを設けて、先に実行しようとする処理の検査完了フラグが立っていない(「OFF」に設定されている)場合には、後に実行しようとする当該処理の実行を留保するようにすることができる。
因みに、一般的には、VVT検査処理をEGR検査処理よりも先に実行するのが望ましい。これは、通常時はEGRを動作させており、EGRを強制的に作動させるEGR検査処理実行時と同じ状況であるため、動作頻度の少ないVVTを強制的に作動させるVVT検査処理を優先的に実行させることにより、これらの検査処理を両方とも確実に実行させるのが望ましいためである。
ところで、VVT検査処理の実行に際しては、先回のトリップにおいて学習されたVVT用多点学習値とEGR用多点学習値を比較し、その大小関係に応じてVVT検査処理の実行の可否を判定するのが望ましい場合があるので、当該判定方法の一例について以下に概説する。
VVT検査処理の目的は、前述のように、VVT用多点学習値が遅角側に取り残されていないかどうかを確認することである。例えば、先回のトリップ以前に(例えば、デポジットの飛散、清浄剤による除去等により)EGRが正常に作動するようになり、今回のトリップではEGRカット制御が解除された状態で運転されている(EGR用多点学習値も正常)場合でも、VVT用多点学習値の学習頻度が乏しいため、VVT用多点学習値が遅角側に取り残される虞がある。
そこで、VVT検査処理の実行に当たっては、先回のトリップにおいて学習されたVVT用多点学習値とEGR用多点学習値を比較し、EGR用多点学習値と比較してVVT用多点学習値が遅角側にある場合は、VVT用多点学習値が遅角側に取り残されたままになっている蓋然性が高いと判断されるので、EGRを強制的に停止してVVT検査処理を実行し、VVT用多点学習値の学習機会を設け、そうでない場合はVVT検査処理を実行しないようにする。
尚、前述のように、EGRの作動時にはノッキングが発生し難くなることが期待されることから、予め定められた量(AEGR)だけ点火時期司令値が進角補正されるのが一般的である。一方、EGRの非動作時には、かかる進角補正は適用されない。このように、EGRの作動時と非作動時とでは点火時期制御において適用される補正値等の状況が若干異なる。
また、前述のようにトリップの開始直後等の冷間時には、EGRの作動が禁止され(EGRカット制御)、VVTのみを作動させるように制御されるのが一般的であるが、この間はKCSは作動しているものの、KCS学習は未だ開始されていないため、先回のトリップにおいて学習されたVVT用多点学習値には、この間のフィードバック補正項Fの変動幅が反映されていない可能性が高い。
従って、VVT検査処理の実行に当たって、VVT用多点学習値が遅角側に取り残されたままになっているか否かを判断するために先回のトリップにおいて学習されたVVT用多点学習値とEGR用多点学習値とを比較する際には、これらの学習値の大小関係を単純に比較するのではなく、これらの状況を考慮して設けられる所定の閾値を設けてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、EGR機構とVVT機構とを併せ持ち、且つEGR作動時とVVT作動時とで格別に多点学習値を学習させるように構成された点火時期制御装置を備える内燃機関において、EGR作動時に何らかの要因により排気ガスが十分に再循環されなくなった場合に、EGR用多点学習値が遅角側に更新されたまま取り残されたり、VVT作動時に何らかの要因によりノッキング限界が遅角側に変動して、VVT用多点学習値が遅角側に更新されたまま取り残されたりする不都合を防止することができる。即ち、本発明によれば、EGR機構とVVT機構とを併せ持つ内燃機関において、EGR作動時及びVVT作動時の各々について、点火時期制御のための学習値を精度良く学習することができる、内燃機関の点火時期制御装置を提供することができる。
100…エンジン、104…インジェクタ、106…点火プラグ、110…クランクシャフト、112…排気ガス浄化触媒、114…スロットルバルブ、116…吸気バルブ、118…排気バルブ、120…VVT機構、130…排気通路、132…吸気通路、134…EGRガス通路、136…EGRバルブ、200…エンジンECU、202…ROM、300…ノックセンサ、302…水温センサ、304…タイミングロータ、306…クランクポジションセンサ、308…スロットル開度センサ、310…車速センサ、312…イグニッションスイッチ、314…エアフローメータ、320…補機バッテリ。

Claims (5)

  1. 排気ガス再循環機構と可変バルブタイミング機構とを併せ持つ内燃機関について、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期を、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づいて更新される学習値とによって補正して点火時期の制御目標値を設定する、内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記学習値として、機関回転速度及び機関負荷を座標軸とする機関運転領域において、前記排気ガス再循環機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをEGR用多点学習値として保持し、前記可変バルブタイミング機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをVVT用多点学習値として保持して、前記排気ガス再循環機構の作動時には前記EGR用多点学習値を学習・更新させ、前記可変バルブタイミング機構の作動時には前記VVT用多点学習値を学習・更新させて、前記内燃機関の点火時期を制御すること、並びに
    前記排気ガス再循環機構の作動時に、前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てる、EGRカット制御手段と、
    先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられている場合、前記排気ガス再循環機構の作動を許可し、前記排気ガス再循環機構を作動させて、前記EGR用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたEGR用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、EGR検査手段と、
    を更に備えること、
    を特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置。
  2. 排気ガス再循環機構と可変バルブタイミング機構とを併せ持つ内燃機関について、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期を、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づいて更新される学習値とによって補正して点火時期の制御目標値を設定する、内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記学習値として、機関回転速度及び機関負荷を座標軸とする機関運転領域において、前記排気ガス再循環機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをEGR用多点学習値として保持し、前記可変バルブタイミング機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをVVT用多点学習値として保持して、前記排気ガス再循環機構の作動時には前記EGR用多点学習値を学習・更新させ、前記可変バルブタイミング機構の作動時には前記VVT用多点学習値を学習・更新させて、前記内燃機関の点火時期を制御すること、並びに
    前記排気ガス再循環機構の作動時に、前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てる、EGRカット制御手段と、
    先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられていない場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止し、前記可変バルブタイミング機構を作動させて、前記VVT用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、VVT検査手段と、
    を更に備えること、
    を特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 排気ガス再循環機構と可変バルブタイミング機構とを併せ持つ内燃機関について、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて設定された基本点火時期を、ノッキング発生の有無に応じて更新されるフィードバック補正項と同フィードバック補正項に基づいて更新される学習値とによって補正して点火時期の制御目標値を設定する、内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記学習値として、機関回転速度及び機関負荷を座標軸とする機関運転領域において、前記排気ガス再循環機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをEGR用多点学習値として保持し、前記可変バルブタイミング機構が作動する領域を機関回転速度及び機関負荷の所定の範囲毎に区画して得られる複数の多点学習領域を設定し、当該多点学習領域毎に多点学習値を設定したものをVVT用多点学習値として保持して、前記排気ガス再循環機構の作動時には前記EGR用多点学習値を学習・更新させ、前記可変バルブタイミング機構の作動時には前記VVT用多点学習値を学習・更新させて、前記内燃機関の点火時期を制御すること、並びに
    前記排気ガス再循環機構の作動時に、前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを立てる、EGRカット制御手段と、
    先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられている場合、前記排気ガス再循環機構の作動を許可し、前記排気ガス再循環機構を作動させて、前記EGR用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたEGR用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、EGR検査手段と、
    先回のトリップにおいて、前記EGRカット実施フラグが立てられていない場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止し、前記可変バルブタイミング機構を作動させて、前記VVT用多点学習値を所定回数学習させ、当該学習によって得られたVVT用多点学習値の予め定められた基準値からの乖離傾向を検査する、VVT検査手段と、
    を更に備えること、
    を特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置。
  4. 請求項1又は請求項3の何れか1項に記載の内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記EGR検査手段による学習によって得られた前記EGR用多点学習値が所定の閾値よりも遅角側の値に更新されていた場合、前記排気ガス再循環機構の作動を禁止して、前記排気ガス再循環機構の作動が禁止されたことを示すEGRカット実施フラグを再び立てる手段を更に備えることを特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置。
  5. 請求項2又は請求項3の何れか1項に記載の内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記VVT検査手段によるVVT用多点学習値の学習が完了した時点以降に、前記排気ガス再循環機構の作動を再び許可する手段を更に備えることを特徴とする、内燃機関の点火時期制御装置。
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