JP2007138869A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近であって同下死点を含む所定範囲内に入ったとき、内燃機関にノックが発生するのを抑制する。
【解決手段】吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近であって同下死点を含む所定範囲A内に入ったときには、点火時期指令値STを求めるのに用いられるノック限界点火時期(BT−R・H)が遅角側に補正される。そして、この遅角補正されたノック限界点火時期(BT−R・H)に対し学習値AG1による補正等が加えられて点火時期指令値STが算出される。この学習値AG1については閉弁タイミングIVCが所定範囲A外にあるときに更新されたものであるが、その学習値AG1を用いて点火時期指令値STを算出したとしても、上記ノック限界点火時期(BT−R・H)が遅角側に補正されているため、当該点火時期指令値STが進角し過ぎた状態になることは抑制される。
【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関するものである。
自動車用エンジン等の内燃機関においては、例えば特許文献1にみられるように、異常燃焼の一種であるいわゆるノックの発生を点火時期の遅角によって抑制することが行われ、こうした点火時期遅角を含めて点火時期制御が行われる。
内燃機関の点火時期制御に用いられる点火時期指令値は、機関運転状態に基づき算出されるノック限界点火時期に対し、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項による補正を加えるとともに、フィードバック項に基づき更新される学習値による補正を加えることによって算出される。そして、このように算出された点火時期指令値に基づき点火時期が調整されることとなる。
点火時期指令値の算出に用いられる上記フィードバック項は、ノック発生ありのときには予め定められた遅角更新量分だけ減量されて点火時期を遅角補正し、ノック発生なしのときには予め定められた進角更新量分だけ増量されて点火時期を進角補正するものである。従って、フィードバック項は、ノック発生時に点火時期を直ちに遅角させてノックの抑制を図るとともに、ノック発生のないときには点火時期を進角させて上記点火時期の遅角によって低下した機関出力を可能な限り回復させるための補正項ということになる。
また、点火時期指令値の算出に用いられる上記学習値は、そのときのフィードバック項に基づき更新されるものであり、例えば同フィードバック項に徐変処理を施した値が新たな学習値とされるものである。従って、学習値は、ノックの発生を抑制すべく点火時期を定常的に補正するための補正項ということになる。
以上のフィードバック項及び学習値を用いて算出される点火時期指令値に基づき点火時期を調整することで、ノック抑制のための点火時期遅角を含む点火時期制御が実現される。
特開2000−145532公報
ところで、内燃機関においては、燃費改善等を意図して、吸気バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構を備えるものが実用化されている。こうした内燃機関に上述した点火時期制御を適用した場合、吸気バルブのバルブ特性の変更により、同バルブの閉弁タイミングが下死点付近のタイミングになるとき、内燃機関の圧縮比が大となってノックが発生しやすくなる。これは、上記点火時期制御においては、機関運転状態に基づくノック限界点火時期の算出が、吸気バルブのバルブ特性を変更しない内燃機関であることを前提として行われるためと推測される。
以上のことから、吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近にある状況のもとで学習値の更新が行われると、それ以外の状況のもとで学習値の更新が行われるときに比べて、更新された学習値がより点火時期を遅角補正する側(減少側)の値となる。すなわち、吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近にある状況のもとでは、それ以外のときに比べて、学習値の適正な値がより遅角補正側(減少側)の値をとることになる。
このため、吸気バルブの閉弁タイミングが下死点から離れている状況から、下死点付近となる状況への変化が生じると、その変化直後においては学習値がノックを抑制しきれないほど大きい値、言い換えれば点火時期を進角させ過ぎる値となる。従って、吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近となる状況へと変化してから、学習値が当該状況下での適正な値に更新されるまでの間は、点火時期指令値が進角し過ぎた状態になってノックが発生しやすくなることは避けられない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近であって同下死点を含む所定範囲内に入ったとき、内燃機関にノックが発生するのを抑制することのできる内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、吸気バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構を備える内燃機関に適用され、機関運転状態に基づき算出されるノック限界点火時期に対し、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項による補正を加えるとともに、前記フィードバック項に基づき更新される学習値による補正を加えることで点火時期指令値を算出し、その点火時期指令値に基づき点火時期を制御する内燃機関の点火時期制御装置において、前記吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近であって且つ同下死点を含む所定範囲内にあるとき、前記ノック限界点火時期を遅角側に補正する補正手段を備えた。
吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近であって同下死点を含む所定範囲内に入ったとき、ノック限界点火時期に対し、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲外にあるときに更新された学習値による補正が加えられ、それによって点火時期指令値の算出が行われる。仮に、上記学習値による補正を上記補正手段による遅角側への補正がなされていないノック限界点火時期に加えて点火時期指令値の算出を行ったとすると、算出される点火時期指令値が進角し過ぎた状態になる。その結果、点火時期指令値が適正な値まで遅角するよう学習値が更新されるまでの間、内燃機関にノックが発生することは避けられない。しかし、上記構成によれば、吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近であって同下死点を含む所定範囲内に入ったとき、補正手段により遅角側に補正されたノック限界点火時期に対し上記学習値による補正が加えられ、それによって点火時期指令値の算出が行われる。従って、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内に入ったとき、点火時期指令値が進角し過ぎた状態になるのを抑制することができ、その点火時期指令値が適正な値になるよう学習値が更新されるまでの間に上記ノックが発生するのを抑制することができる。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記補正手段は、前記吸気バルブの閉弁タイミングが前記所定範囲内にあるとき、前記吸気バルブの開閉タイミングに基づき内燃機関の圧縮比を求め、その後に予め設定された標準圧縮比に対する前記内燃機関の圧縮比の変化量を算出し、その変化量の大きさが大となるほど前記ノック限界点火時期を遅角側に大きく補正するものとした。
吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内に入ったとき、予め設定された標準圧縮比に対する内燃機関の圧縮比の変化量の大きさが大であるほど、内燃機関にてノックが発生しやすくなることから、点火時期指令値の適正値が遅角側の値になる。なお、上記標準圧縮比としては、例えば吸気バルブのバルブ特性を変更するための可変動弁機構を備えてない内燃機関の圧縮比が採用される。上記構成によれば、標準圧縮比に対する内燃機関の圧縮比の変化量の大きさが大であってノックが発生しやすいほど、補正手段によりノック限界点火時期が遅角側に大きく補正され、このノック限界点火時期に対し学習値による補正等を加えることで点火時期指令値が算出される。このため、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内に入ったとき、点火時期指令値をノック発生を抑制するうえでの適正な値により近い値とすることが可能になる。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記補正手段は、前記吸気バルブの閉弁タイミングが前記所定範囲内から同所定範囲外に変化したとき、前記ノック限界点火時期における遅角側への補正量を「0」にするものとした。
吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にある状況のもとで学習値の更新が行われ、その後に吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲外に変化したとき、仮にノック限界点火時期の遅角側への補正が行われたままだとすると、そのノック限界点火時期に対し学習値による補正等を加えて算出される点火時期指令値が、ノックを抑制するうえで必要以上に遅角した値になる。このため、点火時期指令値が適正な値まで進角するよう学習値が更新されるまでの間、内燃機関の出力が低下することは避けられない。上記構成によれば、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内から所定範囲外へと変化したとき、ノック限界点火時期の遅角側への補正量が「0」とされ、その状態でノック限界点火時期に対し学習値による補正等が加えられて点火時期指令値が算出される。従って、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲外に変化したとき、点火時期指令値が遅角し過ぎた状態になるのを抑制することができ、その点火時期指令値が適正な値になるよう学習値が更新されるまでの間に機関出力の低下が生じるのを抑制することができる。
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、ノック発生があるときには前記フィードバック項を遅角更新量ずつ減少させ、ノック発生がないときには前記フィードバック項を進角更新量ずつ増加させるフィードバック制御手段を更に備え、吸気バルブの閉弁タイミングが前記所定範囲内にあるときには、それ以外のときに比べて前記遅角更新量を大とすることを要旨とした。
吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にあるときには、ノックが発生しやすいことから、ノック発生時に同ノックを抑制すべくフィードバック項を遅角更新量ずつ減少させる際、その遅角更新量を吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲外にあるときに比べて大きくすることが、フィードバック項によって点火時期指令値をノック抑制のための適正な値に速やかに収束させるうえで好ましい。上記構成によれば、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にあるとき、フィードバック項の遅角更新量が大きくされるため、ノック限界点火時期に対しフィードバック項による補正を加える際、点火時期指令値を速やかに上記適正な値に収束させることができる。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記ノック限界点火時期は、機関運転状態に基づき標準的な環境条件下でのノック限界点火時期として算出されるベース点火時期から予め定められたノック余裕代だけ遅角させた値である最もノックが発生しやすい環境条件下でのノック限界点火時期であって、前記補正手段は、前記ノック余裕代の補正を通じて前記ノック限界点火時期を遅角側に補正するものであることを要旨とした。
上記構成によれば、ベース点火時期を算出するための処理については可変動弁機構のない内燃機関と共通化することができ、ノック余裕代を補正するための処理を新たに加えるだけでノック限界点火時期の遅角側への補正を実現することができる。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、前記学習値を前記フィードバック項に基づき更新してメモリに記憶用学習値として記憶し、同メモリに記憶された前記記憶用学習値を読み込んで前記点火時期指令値を算出するための学習値として用いる学習値更新手段を更に備え、前記補正手段によるノック限界点火時期の遅角側への補正は、最もノックが発生しやすい環境条件であることを前提に大きく行われるものであって、前記学習値更新は、前記補正手段による補正前のノック余裕代をRとし、前記補正手段による補正後のノック余裕代をR・Hとすると、前記点火時期指令値を算出するための学習値として前記メモリに記憶された前記記憶用学習値に「(R・H)/R」を乗算したものを用い、前記フィードバック項に基づき更新された学習値に「R/(R・H)」を乗算したものを記憶用学習値として前記メモリに記憶するものとした。
補正手段によるノック限界点火時期の遅角については、最もノックが発生しやすい環境条件であることを前提に行われる。このため、ノック限界点火時期の遅角量が大きめに設定され、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内に入ったとき、ノック限界点火時期に対し学習値による補正等を加えて算出される点火時期指令値は、僅かながら適正な値に対して遅角し過ぎた状態になる可能性が高い。上記構成によれば、こうした点火時期指令値の適正な値からのずれについては、記憶用学習値に「(R・H)/R」の乗算した値を点火時期指令値を算出するための学習値とすることで、極力小さくすることができる。従って、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内に入った後における点火時期指令値の適正な値への収束性を向上させることができる。
また、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にあるときに学習値の更新が行われた場合、メモリに記憶される記憶用学習値としては、上記更新が行われた学習値に対して「R/(R・H)」を乗算した値が用いられる。仮に、上記更新が行われた学習値がそのまま記憶用学習値としてメモリに記憶されたとすると、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲外に変化したとき、点火時期指令値の算出に用いられる学習値が吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にあるときに更新された学習値のままになり、同学習値を用いて算出された点火時期指令値が適正値から進角側にずれることになる。これは、補正手段によるノック限界点火時期の遅角を、最もノックが発生しやすい環境条件であることを前提に行っているためである。上述した点火時期指令値の適正値からの進角側へのずれについては、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にあるときにメモリに記憶される記憶用学習値として、上記更新が行われた学習値に対して「R/(R・H)」を乗算した値を用いることで、極力小さくすることができる。従って、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲外に出た後における点火時期指令値の適正な値への収束性を向上させることができる。
請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明において、前記フィードバック項は、ノック発生があるときには遅角更新量ずつ減少させられ、ノック発生がないときには進角更新量ずつ増加させられるものであり、前記フィードバック項の遅角更新量は、予め定められたベース値に「(R・H)/R」を乗算したものが用いられるものとした。
上記構成によれば、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にあるとき、その閉弁タイミングが下死点に近づいてノックが発生しやすくなるほど、補正手段による補正後のノック余裕代R・Hが同補正前のノック余裕代Rよりも大になり、補正手段によって遅角側に補正されるノック限界点火時期の遅角量が大とされる。そして、閉弁タイミングが下死点に近づいてノックが発生しやすくなるほど「(R・H)/R」という値が大となることから、フィードバック項の遅角更新量についてもノックが発生しやすくなるほど大きくされることになる。従って、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲内にある状況下で、フィードバック項により点火時期指令値をノックを抑制するのに適正な値に収束させる際、その収束性を一層向上させることができる。
[第1実施形態]
以下、本発明を自動車用エンジンの点火時期制御装置に具体化した第1実施形態を図1〜図11に従って説明する。
図1に示されるエンジン1においては、その燃焼室2に吸気通路3を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。そして、燃焼後の混合気は排気として各燃焼室2から排気通路8に送り出される。
エンジン1において、燃焼室2と吸気通路3との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、燃焼室2と排気通路8との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断される。これら吸気バルブ9及び排気バルブ10については、クランクシャフト7の回転が伝達される吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12の回転に伴い開閉動作する。
エンジン1は、吸気バルブ9のバルブ特性を可変する可変動弁機構として、吸気カムシャフト11に設けられたバルブタイミング可変機構13と、吸気カムシャフト11の吸気バルブ9との間に設けられたリフト量可変機構14とを備えている。上記バルブタイミング可変機構13は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を調節することで、図2に示されるように吸気バルブ9の開弁期間を一定に保持した状態で同バルブ9の開弁時期及び閉弁時期が共に進角又は遅角させるものである。また、上記リフト量可変機構14は、吸気バルブ9の最大リフト量及び同バルブ9を開閉させる吸気カム11aの作用角を、図3に示されるように互いに同期して変化させるものである。
次に、本実施形態におけるエンジン1の点火時期制御装置の電気的構成について、図1を参照して説明する。
エンジン1の点火時期制御装置は、エンジン1の各種運転制御を実行する電子制御装置26を備えている。この電子制御装置26は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置26の入力ポートには、以下に示す各種センサが接続されている。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル27の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ28。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ29の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ30。
・エンジン1でのノック発生を検出するノックセンサ31。
・吸気通路3を通じて燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフローメータ32。
・クランクシャフト7の回転に対応する信号を出力し、エンジン回転速度の算出等に用いられるクランクポジションセンサ34。
・吸気カムシャフト11の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ35。
電子制御装置26の出力ポートには、点火プラグ5の駆動回路 バルブタイミング可変機構13の駆動回路、及びリフト量可変機構14の駆動回路などが接続されている。
そして、電子制御装置26は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、エンジン回転速度やエンジン負荷(エンジン1の1サイクル当たりに燃焼室2に吸入される空気の量)といったエンジン運転状態を把握する。なお、エンジン回転速度はクランクポジションセンサ34からの検出信号に基づき求められる。また、エンジン負荷は、アクセルポジションセンサ28、スロットルポジションセンサ30、及び、エアフローメータ32等の検出信号に基づき求められるエンジン1の吸入空気量とエンジン回転速度とから算出される。電子制御装置26は、エンジン負荷やエンジン回転速度といったエンジン運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうしてエンジン1の点火時期制御、吸気バルブ9のバルブタイミング(開閉タイミング)の制御、並びに、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角の制御等が電子制御装置26を通じて実施される。
次に、エンジン1の点火時期制御について詳しく説明する。
エンジン1の点火時期は、以下の式(1)から求められる点火時期指令値STに基づいて制御される。
ST=(BT−R)+F+AG1 …(1)
ST :点火時期指令値
(BT−R):ノック限界点火時期
BT :ベース点火時期
R :ノック余裕代
F :フィードバック項
AG1 :学習値
式(1)のノック限界点火時期(BT−R)は、エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づき標準的な環境条件下においてノックを生じさせない最も進角側の点火時期として算出されるベース点火時期BTから、実験等により予め定められた固定値であるノック余裕代Rを減算することにより算出される。こうした算出されたノック限界点火時期(BT−R)は、上記ベース点火時期BTからノック余裕代Rだけ遅角させた値となり、最もノックが発生しやすい環境条件下においてノックを生じさせない最も進角側の点火時期を表す値となる。なお、上記環境条件としては気温、湿度、大気圧、及びエンジン冷却水温等があげられ、これらの条件に応じてエンジン1でのノックの発生しやすさが変化することとなる。
式(1)のフィードバック項Fは、ノックセンサ31からの検出信号に基づきノック発生ありの旨判断されたときには予め定められた遅角更新量a分だけ減量されて点火時期を遅角補正し、ノック発生なしの旨判断されたときには予め定められた進角更新量b分だけ増量されて点火時期を進角補正するものである。従って、フィードバック項Fは、ノック発生時に点火時期を直ちに遅角させてノックの抑制を図るとともに、ノック発生のないには点火時期を進角させて上記点火時期の遅角によって低下したエンジン出力を可能な限り回復させるための補正項ということになる。
また、式(1)の学習値AG1は、そのときのフィードバック項Fに基づき更新されるものであり、例えば同フィードバック項Fに徐変処理を施した値が新たな学習値AG1とされるものである。従って、学習値AG1は、ノックの発生を抑制すべく点火時期を定常的に補正するための補正項ということになる。なお、フィードバック項Fに基づき更新された学習値AG1は、記憶用学習値AGとして電子制御装置26の不揮発性メモリ(バックアップRAM)に記憶される。そして、この学習値AG1の更新及び記憶は、以下の(A)〜(F)に示される手順で行われる。
(A)電子制御装置26の不揮発性メモリから記憶用学習値AGを読み込む。
(B)読み込んだ記憶用学習値AGを点火時期指令値STの算出に用いられる学習値AG1として設定する。
(C)学習値AG1等に基づき点火時期指令値STを算出し、その点火時期指令値STに基づき点火時期を制御する。
(D)フィードバック項Fに基づき学習値AG1を更新する。
(E)更新後の学習値AG1を記憶用学習値AGとして設定する。
(F)記憶用学習値AGを電子制御装置26の不揮発性メモリに記憶する。
ここで、上記式(1)を用いた点火時期指令値STの算出の概要について、図4を参照して説明する。
点火時期指令値STを算出するためのベース点火時期BT(実線L1)は、エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づき、標準的な環境条件下においてノックを生じさせない最も進角側の点火時期として算出される。そして、このベース点火時期BTからノック余裕代Rだけ遅角した値(破線L2)が、最もノックが発生しやすい環境条件下においてノックを生じさせない最も進角側の点火時期を表すノック限界点火時期(BT−R)とされる。更に、このノック限界点火時期(BT−R)に対し、フィードバック項Fによる補正、及び学習値AG1による補正を加えることで点火時期指令値STが算出される。ノック限界点火時期(BT−R)に対し上記学習値AG1による補正を加えることで、通常は点火時期指令値STがノック限界点火時期(BT−R)よりも進角側の値になる。この状態にあって、ノック発生の有無に応じてフィードバック項Fが増減されると、そのフィードバック項Fの増減分だけ点火時期指令値STが矢印Y1又は矢印Y2で示されるように増減する。そして、この増減するフィードバック項Fを徐変処理した値が新たな学習値AG1とされ、学習値AG1の更新が行われることとなる。
ところで、バルブタイミング可変機構13の駆動による吸気バルブ9のバルブタイミングの制御、並びに、リフト量可変機構14の駆動による吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角の制御が行われるときには、それらの制御を通じて吸気バルブ9の閉弁タイミングが変化する。
図5は、エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づき上記バルブタイミング、最大リフト量、及び作用角が制御されるときのエンジン負荷及びエンジン回転速度の変化に対する吸気バルブの閉弁タイミングIVCの変化を示すグラフである。
同図から分かるように、エンジン1が低回転低負荷の状態にあるときには、閉弁タイミングIVCが下死点(BDC)よりも進角側のタイミングとなる。これは吸気バルブ9の閉弁を下死点よりも早めることで、エンジン1の圧縮比を低く抑えてエンジン1のポンプロス低減を図るためである。また、エンジン1が高回転の状態にあるときには、閉弁タイミングIVCが下死点よりも遅角側のタイミングとなる。これはエンジン高回転時には、閉弁タイミングIVCを下死点よりも遅くすることで、エンジン1の吸気脈動を利用して吸気充填効率を高めることができ、ひいてはエンジン出力を向上させることができるためである。
従って、エンジン1の運転状態によっては、閉弁タイミングIVCが下死点付近であって同下死点を含む所定範囲Aに入るようになる。例えば、エンジン1が低回転低負荷の状態にあってエンジン負荷が大となったりエンジン回転速度が大となったりしたときには、閉弁タイミングIVCが上記所定範囲A内に入ることになる。そして、このように閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったときには、それ以前の所定範囲A外にあるときに比べて、閉弁タイミングIVCが下死点に近くなってエンジン1の圧縮比が大となることから、[発明が解決しようとする課題]の欄にも記載したとおりノックが発生しやすくなる。
以上のことから、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にある状況のもとで学習値AG1の更新が行われると、それ以外の状況のもとで学習値AG1の更新が行われるときに比べて、更新された学習値AG1がより点火時期を遅角補正する側(減少側)の値となる。すなわち、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にある状況のもとでは、それ以外のときに比べて、学習値AG1のノック発生を抑制するうえでの適正な値がより遅角補正側の値をとることになる。
次に、例えばエンジン回転速度が低回転一定のときにエンジン負荷が小から大へと変化した場合など、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったときの学習値AG1等の動きについて図6のグラフを参照して説明する。この図は、エンジン回転速度を低回転で一定とした条件のもとでのエンジン負荷の変化に対するベース点火時期BT及びノック限界点火時期(BT−R)等の変化、並びに、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内へと変化したときの学習値AG1等の変化態様を示したものである。
同図において、エンジン負荷が小であって閉弁タイミングIVCが所定範囲A外であるとき、フィードバック項Fに基づき更新される学習値AG1は、例えば矢印Y3で示される大きさの値となる。そして、ノック限界点火時期(BT−R)に対しフィードバック項Fによる補正、及び学習値AG1による補正を加えることによって求められる点火時期指令値STは、例えば図中に点P1で示される値となる。
こうした状態にあって、エンジン負荷が大となって閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ると、その閉弁タイミングIVCの変化直後においては、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外にあるときに更新された学習値AG1が点火時期指令値STの算出に用いられる。すなわち、同点火時期指令値STを算出する際、ノック限界点火時期(BT−R)に対し、矢印Y3で示される学習値AG1と同じ大きさである矢印Y4で示される学習値AG1による補正が加えられる。こうして算出された点火時期指令値STは、例えば点P2で示される値となる。
しかし、このときに点火時期指令値STの算出に用いられる学習値AG1(矢印Y4)については、ノックを抑制しきれないほど大きい値、言い換えれば点火時期(点火時期指令値ST)を進角させ過ぎる値となる。すなわち、このときの点火時期指令値STのノックを抑制するうえでの適正な値は上記点P2よりも遅角側の値、例えば点P3で示される値となり、点火時期指令値STが上記点P2で示される値となったのでは、同点火時期指令値STがノックを抑制するうえで進角し過ぎた状態ということになる。
なお、このように点火時期指令値STが進角し過ぎた状態になるのは、次の(a)及び(b)に示される二つの理由によるものと推測される。(a)ノック限界点火時期(BT−R)を求めるのに用いられるベース点火時期BTの算出処理が、吸気バルブ9のバルブ特性を変更しないエンジン、言い換えればバルブタイミング可変機構13やリフト量可変機構14といった可変動弁機構を備えないエンジンを前提としてなされている。(b)上記吸気バルブ9のバルブ特性の変更を通じて閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったときには、エンジン1の圧縮比が高くなってノックが発生しやすくなることから、点火時期指令値STのノックを抑制するうえでの最適な値が上記点P2で示される値よりも遅角側の値である上記点P3で示される値になる。
従って、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内へと変化すると、点火時期指令値STがノックを抑制するうえで適切な値(点P3)よりも進角した状態となり、ノックが発生することとなる。そして、こうしたノックの発生毎にフィードバック項Fが遅角更新量aずつ減少させられ、そのフィードバック項Fによる補正がノック限界点火時期(BT−R)に加えられることで、点火時期指令値STが適正な値(点P3)とされる。その後、上記フィードバック項Fに基づき学習値AG1が更新されることにより、この学習値AG1による補正を通じて点火時期指令値STが点P3で示される値となるよう同学習値AG1が矢印Y5で示される値へと小さくされる。
以上のように、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内へと変化し、点火時期指令値STがノックを抑制するうえで適正な値(点P3)より進角した状態(点P2)になると、フィードバック項Fによる補正を通じて点火時期指令値STが適正な値(点P3)へと変化する。そして、そのフィードバック項Fに基づき学習値AG1が更新されるようにはなる。しかし、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ってから、学習値AG1が更新されて点火時期指令値STが上記適正な値になるまでの間は、エンジン1にノックが発生することは避けられない。
そこで本実施形態では、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときには、点火時期指令値STを求めるのに用いられるノック限界点火時期を遅角側に補正する。具体的には、式(1)で用いられるノック余裕代Rを補正係数Hの乗算を通じて増加側に補正し、この補正後のノック余裕代R・Hを用いてノック限界点火時期を算出することにより、上述したノック限界点火時期の遅角側への補正が行われる。この実施形態では、ノック限界点火時期の遅角側への補正を実現するため、点火時期指令値STを算出する際、上記式(1)に代えて以下の式(2)が用いられる。
ST=(BT−R・H)+F+AG1 …(2)
ST :点火時期指令値
(BT−R・H):ノック限界点火時期
BT :ベース点火時期
R :補正前のノック余裕代
H :補正係数
R・H :補正後のノック余裕代
F :フィードバック項
AG1 :学習値
これにより、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときには、遅角側に補正されたノック限界点火時期(BT−R・H)に対し、学習値AG1による補正等を加えて点火時期指令値STが算出される。従って、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったとき、上記点火時期指令値STが進角し過ぎた状態になるのを抑制することができ、上述したように同点火時期指令値STが適正な値になるよう学習値AG1が更新されるまでの間にノックが発生するのを抑制することができる。
ここで、上記式(2)を用いて点火時期指令値STを算出することにより、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったとき、上記点火時期指令値STが進角し過ぎた状態になるのを抑制することができる理由について、図7を参照して詳しく説明する。
同図において、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外にあって点火時期指令値STが図6と同じく点P1で示される値となっているとき、エンジン負荷が大になると閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入る。こうした閉弁タイミングIVCの変化直後においては、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外にあるときに更新された学習値AG1が点火時期指令値STの算出に用いられる。ただし、同点火時期指令値STの算出は、図6のノック限界点火時期(BT−R)に比べて遅角側に補正されたノック限界点火時期(BT−R・H)に対し上記学習値AG1を加えることによって行われる。従って、この学習値AG1が矢印Y3で示される学習値AG1と同じ大きさである矢印Y4で示される大きさであったとしても、算出される点火時期指令値STがノック発生を抑制するうえで適切な値、すなわち上記点P3で示される値よりも進角側の値になることは抑制される。このため、上述したように閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ってから点火時期指令値STが上記適正な値になるまでの間にノックが発生するという不具合が生じるのを抑制することができる。
なお、このときに算出される点火時期指令値STについては、具体的には上記点P3で示される値よりも遅角側の値である点P4で示される値となる。これは、ノック限界点火時期(BT−R・H)を遅角補正するための補正係数Hが、最もノックの発生しやすい環境条件であることを想定して設定されているためである。従って、最もノックの発生しやすい環境条件であるとき以外は、上記のように算出される点火時期指令値STが点P3で示される値よりも遅角側の値(点P4)となるよう算出される。
このため、図7の例では、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入った後は、ノックが発生しないことに基づきフィードバック項Fが進角更新量bずつ増加させられ、そのフィードバック項Fによる補正がノック限界点火時期(BT−R・H)に加えられることで、点火時期指令値STが適正な値(点P3)とされる。その後、上記フィードバック項Fに基づき学習値AG1が更新されることにより、この学習値AG1による補正を通じて点火時期指令値STが点P3で示される値となるよう同学習値AG1が矢印Y4よりも大きくされる。
次に、ノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角補正を行うためのノック余裕代Rの補正係数Hによる補正手順について、ノック余裕代補正ルーチンを示す図8のフローチャートを参照して説明する。このノック余裕代補正ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まずエンジン1の圧縮比V2が吸気バルブ9の開弁タイミングIVO及び閉弁タイミングIVCに基づき算出される(S101)。ここで用いられる吸気バルブ9の開弁タイミングIVO及び閉弁タイミングIVCは、バルブタイミング可変機構13への指令信号及びリフト量可変機構14への指令信号から求めることが可能である。そして、上記圧縮比V2については、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外であるときには、可変動弁機構を備えないエンジンの圧縮比として予め設定される標準圧縮比V1と等しくなるように算出される。なお、可変動弁機構を備えないエンジンにおいては、吸気バルブの閉弁タイミングが上記所定範囲Aから外れた状態となる。従って、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内であるときには、同閉弁タイミングIVCが下死点に近づくほど、開弁タイミングIVO及び閉弁タイミングIVCに基づき算出される圧縮比V2が上記標準圧縮比V1よりも大となる。
続いて、予め定められた上記標準圧縮比V1に対するステップS101で算出された圧縮比V2の変化量ΔVが「ΔV=V2−V1」という式を用いて算出される(S102)。こうして算出された変化量ΔVについては、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外であるときには「1.0」となり、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内であるときには同閉弁タイミングIVC下死点に近づくほど大きくなる。そして、上記変化量ΔVに基づきノック余裕代Rを補正するための補正係数Hが算出される(S103)。こうして算出された補正係数Hについては、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外であって上記変化量ΔVが「0」となるときには図9に示されるように「1.0」となり、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときには閉弁タイミングIVCが下死点に近づいて上記変化量ΔVが大となるほど「1.0」から増加側に離れた値となる。
その後、予め定められた固定値であるノック余裕代Rに補正係数Hを乗算することにより、補正後のノック余裕代R・Hが算出される(S104)。従って、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときには、閉弁タイミングIVCが下死点に近づき上記変化量ΔVが大となるほど、補正係数Hが大となって補正後のノック余裕代R・Hが大となることから、ノック限界点火時期(BT−R・H)が遅角側に大きく補正されることとなる。そして、このノック限界点火時期(BT−R・H)に対し学習値AG1による補正等を加えることで点火時期指令値STが算出される。
ここで、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったとき、上記変化量ΔVの大きさが大であるほど、エンジン1にてノックが発生しやすくなることから、点火時期指令値STのノック発生を抑制するうえでの適正な値が遅角側の値になる。このため、上記のように変化量ΔVが大となるほど遅角側に大きく補正されるノック限界点火時期(BT−R・H)に対し学習値AG1による補正等を加えて点火時期指令値STを算出することで、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったとき、同点火時期指令値STをノック発生を抑制するうえで適正な値により近い値とすることが可能になる。
次に、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内から所定範囲A外に変化したときの学習値AG1等の動きについて図10及び図11のグラフを参照して説明する。これらの図は、エンジン回転速度を低回転で一定とした条件のもとでのエンジン負荷の変化に対するベース点火時期BT及びノック限界点火時期(BT−R・H)等の変化、並びに、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内から所定範囲A外へと変化したときの学習値AG1等の変化態様を示したものである。
図10において、エンジン負荷が大であって閉弁タイミングIVCが所定範囲A内であるとき、フィードバック項Fに基づき更新される学習値AG1は、例えば矢印Y6で示される大きさの値となる。そして、ノック限界点火時期(BT−R・H)に対しフィードバック項Fによる補正、及び学習値AG1による補正を加えることによって求められる点火時期指令値STはノック発生を抑制するうえで最適な値、例えば図中に点P3で示される値となる。
こうした状態にあって、エンジン負荷が小となって閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から出ると、上記変化量ΔVが「0」になって補正係数Hが「1.0」になるため、補正後のノック余裕代R・Hが予め定められた固定値であるノック余裕代Rと等しくなり、ノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正量が「0」となる。そして、このノック限界点火時期(BT−R・H)に対し、上記矢印Y6で示される上記学習値AG1と等しい大きさである矢印Y7で示される大きさの学習値AG1による補正を加えることで、点火時期指令値STの算出が行われる。このように算出された点火時期指令値STは、ノック発生を抑制するうえでの適正な値(点P1)に対し若干進角側にずれるものの極めて近い値になる。
このように点火時期指令値STは適正な値から若干ずれるのは、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内であるときに上記学習値AG1の更新が行われており、その状況下ではノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角補正が最もノックの発生しやすい環境条件であることを想定して大きく行われているためである。そして、点火時期指令値STは適正な値からの進角側への僅かなずれは、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外に出た後、ノック発生の有無に応じて増減されるフィードバック項Fによる補正、及び同フィードバック項Fに基づき更新される学習値AG1による補正を通じて解消される。
ところで、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内から所定範囲A外に変化したとき、仮にノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正が行われたままだとすると次のような問題が生じる。すなわち、図11のノック限界点火時期(BT−R・H)における破線で示される値に対し、上記矢印Y7で示される大きさの学習値AG1による補正を加えて点火時期指令値STを算出したとき、その点火時期指令値STがノックを抑制する上で適正な値(点P1)に対し必要以上に遅角した値、例えば点P5で示される値になる。
こうした点火時期指令値STの適正な値(点P1)からのずれは、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外に出た後、ノック発生の有無に応じて増減されるフィードバック項Fによる補正、及び同フィードバック項Fに基づき更新される学習値AG1による補正を通じて解消される。ただし、点火時期指令値STが適正な値(点P1)まで進角するよう学習値AG1が更新されるまでの間は、点火時期指令値STが遅角し過ぎた状態となることから、エンジン1の出力が低下することは避けられない。この点、本実施形態では、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内から所定範囲A外に変化したとき、ノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正量が「0」とされるため、上記変化直後の点火時期指令値STが適正な値(点P1)に対し必要以上に遅角した値になることはない。従って、上述したようにエンジン1の出力が低下するという不具合が生じるのを抑制することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったときには、点火時期指令値STを求めるのに用いられるノック限界点火時期(BT−R・H)が遅角側に補正される。そして、この遅角補正されたノック限界点火時期(BT−R・H)に対し学習値AG1による補正等が加えられて点火時期指令値STが算出される。この学習値AG1については閉弁タイミングIVCが所定範囲A外にあるときに更新されたものであるが、その学習値AG1を用いて点火時期指令値STを算出したとしても、上記ノック限界点火時期(BT−R・H)が遅角側に補正されているため、当該点火時期指令値STが進角し過ぎた状態になるのを抑制することができる。従って、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったとき、点火時期指令値STが適正な値になるよう学習値AG1が更新されるまでの間にノックが発生するという不具合が生じるのを抑制することができる。
(2)上記ノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正量は、ノック余裕代Rの補正係数Hによって定められる。そして、この補正係数Hについては、閉弁タイミングIVCが下死点に近づいてエンジン1の圧縮比V2の標準圧縮比V1に対する変化量ΔVが大となるほど、「1.0」から増加側に離れた値となる。従って、ノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正は、閉弁タイミングIVCが下死点に近づいて上記変化量ΔVが大となるほど、言い換えればノックが発生しやすくなるほど大きく行われることとなる。このため、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったとき、上記のように遅角補正されるノック限界点火時期(BT−R・H)に対し学習値AG1による補正等を加えて点火時期指令値STを算出することで、その点火時期指令値STをノック発生を抑制するうえでの適正な値により近い値とすることが可能になる。
(3)閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にある状況のもとで学習値AG1の更新が行われ、その後に閉弁タイミングIVCが所定範囲A外に変化したとき、すなわち上記変化量ΔVが「0」になったときには、補正係数Hが「1.0」とされてノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正量が「0」とされる。このとき、仮にノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正が行われたままだとすると、そのノック限界点火時期(BT−R・H)に対し上記学習値AG1による補正等を加えて算出される点火時期指令値STが、ノックを抑制する上で必要以上に遅角した値になる。このため、点火時期指令値STが適正な値まで進角するよう学習値AG1が更新されるまでの間、エンジン1の出力が低下することは避けられない。しかし、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外へと変化したときには、上述したようにノック限界点火時期(BT−R・H)の遅角側への補正量が「0」とされ、その状態でノック限界点火時期(BT−R・H)に対し上記学習値AG1による補正等が加えられて点火時期指令値STが算出される。従って、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外へと変化したとき、点火時期指令値STが遅角し過ぎた状態になるのを抑制することができ、その点火時期指令値STが適正な値になるよう学習値AG1が更新されるまでの間にエンジン1が出力が低下するという不具合の発生を抑制することができる。
(4)ノック限界点火時期(BT−R・H)としては、エンジン運転状態に基づき算出されるベース点火時期BTから、補正係数Hによる補正後のノック余裕代R・Hを減算して遅角側の値としたものが用いられる。このため、上記ベース点火時期BTを算出するための処理については、可変動弁機構を備えていないエンジン1と共通化することができ、ノック余裕代Rを補正係数Hの分だけ補正する処理を新たに加えるだけで、ノック限界点火時期(BT−R・H)の上記遅角側への補正を実現することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図12〜図14を参照して説明する。
この実施形態は、第1実施形態において、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったとき、図7に示されるように点火時期指令値STが適正な値(点P3)よりも遅角側の値(点P4)になるのを抑制し、点火時期指令値STの上記適正な値への収束性を向上させるようにしたものである。また、この実施形態では、第1実施形態において、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内から所定範囲A外に出たとき、点火時期指令値STが図10に示されるように適正な値(点P1)から若干進角側にずれた値になるのを抑制し、点火時期指令値STの上記適正な値への収束性を高めるようにもしている。
これらのことを実現するため、この実施形態では、上記(A)〜(F)で示される学習値AG1の更新手順に変更を加えている。図12は、この実施形態において学習値AG1の更新を行うための学習値更新ルーチンを示すフローチャートである。この学習値更新ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいて、ステップS201〜S206の各処理はそれぞれ、第1実施形態における学習値AG1の更新を行うための上記(A)〜(F)の各処理に対応している。そして、ステップS201〜S206の各処理のうち、(B)に対応する処理(S202)、及び(E)に対応する処理(S205)のみが第1実施形態と異なっている。
具体的には、ステップS202の処理では、補正係数Hによる補正後のノック余裕代R・Hを同補正前のノック余裕代Rで除算した値「{(R・H)/R}」が求められ、その値を記憶用学習値AGに乗算したものが点火時期指令値STを算出するための学習値AG1として設定される。このステップS202の処理により、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったとき、図7に示されるように点火時期指令値STが適正な値(点P3)よりも遅角側の値(点P4)になることが抑制される。
また、ステップS205の処理では、補正係数Hによる補正前のノック余裕代Rを同補正後のノック余裕代R・Hで除算した値「{R/(R・H)}」が求められ、その値を学習値AG1に乗算したものが記憶用学習値AGとして設定される。このステップS205の処理により、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内から所定範囲A外に出たとき、点火時期指令値STが図10に示されるように適正な値(点P1)から進角側に若干ずれた値になることが抑制される。
次に、上記ステップS202,S205の処理を実行することによって得られる作用効果について、図13及び図14のグラフを参照して詳しく説明する。これら図は、エンジン回転速度を低回転で一定とした条件のもとでのエンジン負荷の変化に対するベース点火時期BT及びノック限界点火時期(BT−R)等の変化、並びに、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内へと変化したときの学習値AG1等の変化態様を示したものである。
図13において、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A外であるときには、補正係数Hが「1.0」となることから、ステップS205の処理により学習値AG1に値「{R/(R・H)}」を乗算したものを記憶用学習値AGに設定したとき、学習値AG1と記憶用学習値AGとは等しくなる。従って、フィードバック項Fに基づき更新された学習値AG1はそのまま記憶用学習値AGとして設定され、その記憶用学習値AGが不揮発性メモリに記憶されることとなる。
そして、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったときには、ステップS202の処理により、上記記憶用学習値AGに値「{(R・H)/R}」を乗算したものが点火時期指令値STの算出に用いる学習値AG1として設定される。このとき、補正係数Hは「1.0」よりも大きい値となることから、学習値AG1は上記値「{R/(R・H)}」に対応する分だけ記憶用学習値AGよりも大きくなる。そして、上記のように大きくされた学習値AG1を用いて点火時期指令値STの算出が行われる。従って、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったとき、図7に示されるように点火時期指令値STが適正な値(点P3)に対し遅角側にずれるのを抑制し、そのずれを極力小さくすることができる。
また、図14において、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときにフィードバック項Fに基づく学習値AG1の更新が行われた場合、上記学習値AG1に対し値「{R/(R・H)}」を乗算したものが記憶用学習値AGとして設定される。このとき、補正係数Hは「1.0」よりも大きい値となることから、記憶用学習値AGは上記値「{R/(R・H)}」に対応する分だけ学習値AG1よりも小さくなる。
仮に、上記更新が行われた学習値AG1がそのまま記憶用学習値AGとして不揮発性メモリに記憶されたとすると、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外に変化したとき、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときに更新された学習値AG1をそのまま点火時期指令値STの算出に用いることになる。このため、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A外に出たとき、図10に示されるように点火時期指令値STがノック発生を抑制するうえでの適正な値(点P1)から進角側に若干ずれる。
しかし、こうした点火時期指令値STの適正な値(点P1)から進角側への僅かなずれについては、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるとき、学習値AG1に対し値「R/(R・H)」を乗算したものを記憶用学習値AGとして設定し、その記憶用学習値AGを不揮発性メモリに記憶することで、極力小さくすることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、第1実施形態における(1)〜(4)の効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(5)吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A外から所定範囲A内に入ったとき、図7に示されるように点火時期指令値STが適正な値(点P3)よりも遅角側の値(点P4)になるのを抑制し、点火時期指令値STの上記適正な値への収束性を向上させることができる。
(6)吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内から所定範囲A外に出たとき、点火時期指令値STが図10に示されるように適正な値(点P1)から若干進角側にずれた値になるのを抑制し、点火時期指令値STの上記適正な値への収束性を向上させることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図15を参照して説明する。
吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときには、それ以外のときに比べてノックが発生しやすい。このため、当該状況下においては、ノック発生時に同ノックを抑制すべくフィードバック項Fを遅角更新量aずつ減少させる際、その遅角更新量aを閉弁タイミングIVCが所定範囲A外にあるときに比べて大きくすることが、フィードバック項Fによって点火時期指令値STをノック抑制のための適正な値に速やかに収束させるうえで好ましい。この実施形態では、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときには、それ以外のときに比べてフィードバック項Fの遅角更新量aを大とし、同フィードバック項Fによって点火時期指令値STを適正な値に速やかに収束させるようにしたものである。
図15は、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったときに遅角更新量aを大とするためのフィードバック項更新ルーチンを示すフローチャートである。このフィードバック項更新ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、ノック発生がない旨判断されたとき(S301:NO)、フィードバック項Fが進角更新量bだけ増加されることで、同フィードバック項Fの進角側への更新が行われる(S304)。また、ノック発生ありの旨判断されたときには(S301:YES)、フィードバック項Fの遅角更新量の算出が行われる(S302)。具体的には、第1及び第2実施形態にて設定された遅角更新量aをベース値とし、そのベース値に対して「{(R・H)/R}」を乗算した値を遅角更新量(以下、遅角補正量a・{(R・H)/R}という)とする。続いて、こうして算出された遅角更新量a・{(R・H)/R}をフィードバック項Fから減算することで、同フィードバック項Fの遅角側への更新が行われる(S303)。
この場合、閉弁タイミングIVCが所定範囲A外にあるときには、補正係数Hが「1.0」となることから、遅角更新量a・{(R・H)/R}が上述したベース値と等しくなる。一方、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるときには、補正係数Hが「1.0」よりも大となりノックが発生しやすい状況になるほど、その補正係数Hによる補正後のノック余裕代R・Hが同補正前のノック余裕代Rよりも大になる。このため、ノックが発生しやすい状況であるほど、「(R・H)/R」という値が大となり、フィードバック項Fの遅角更新量a・{(R・H)/R}が上述したベース値を基準として大きくなってゆく。このようにノックが発生しやすくなるほど遅角更新量a・{(R・H)/R}を大とすることができるため、フィードバック項Fにより点火時期指令値STをノックを抑制するのに適正な値に収束させる際、その収束性を一層向上させることができる。
この実施形態では、以下に示す効果が得られる。
(7)吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったとき、それ以外のときに比べてフィードバック項Fの遅角更新量a・{(R・H)/R}を大とし、同フィードバック項Fによって点火時期指令値STを適正な値に速やかに収束させることができる。
(8)吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったとき、ノックが発生しやすくなるほど遅角更新量a・{(R・H)/R}を大とすることができるため、フィードバック項Fにより点火時期指令値STをノックを抑制するのに適正な値に収束させる際、その収束性を一層向上させることができる。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第3実施形態において、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるとき、遅角更新量aを予め定められた固定値だけ大きくするようにしてもよい。
・第3実施形態において、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内にあるとき、それ以外のときに比べて進角更新量bを小さくするようにしてもよい。この場合、例えば同進角更新量bを予め定められた固定値だけ小さくすることが考えられる。また、上記進角更新量bをベース値とし、そのベース値に「R/(R・H)」を乗算したものを進角更新量として用いることも可能である。このようにすれば、ノックが発生しやすくなるほど進角更新量を小さくすることができるため、フィードバック項Fの進角側への更新時にノックが発生するのを抑制しやすくなる。
・第1〜第3実施形態において、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づくマップ演算等によりノック限界点火時期を算出し、そのノック限界点火時期に対しフィードバック項Fによる補正、及び学習値AG1による補正を加えて点火時期指令値STを算出してもよい。この場合、吸気バルブ9の閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったときには、マップ演算されたノック限界点火時期に対し補正係数等による補正を加えることで、同ノック限界点火時期の遅角側への補正を行うことが考えられる。
・第1実施形態において、閉弁タイミングIVCが所定範囲A内に入ったとき、補正係数Hを変化量ΔVに応じて可変としたが、この補正係数Hを実験等により最適に定められた固定値とすることも可能である。
・可変動弁機構としてバルブタイミング可変機構13とリフト量可変機構14との一方のみを備えるエンジンに本発明を適用してもよい。
第1実施形態の点火時期制御装置が適用されるエンジン全体を示す略図。 バルブタイミング可変機構の駆動に基づく吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を示すグラフ。 リフト量可変機構の駆動に基づく吸気バルブの最大リフト量及び吸気カムの作用角の変化態様を示すグラフ。 点火時期指令値の算出手順の概要を示す説明図。 エンジン回転速度及びエンジン負荷の変化に対する吸気バルブの閉弁タイミングの変化を示すグラフ。 エンジン負荷の変化に対する点火時期指令値、ベース点火時期、ノック限界点火時期、及び学習値等の変化態様を示すグラフ。 エンジン負荷の変化に対する点火時期指令値、ベース点火時期、ノック限界点火時期、及び学習値等の変化態様を示すグラフ。 ノック限界点火時期を遅角側に補正するためのノック余裕代の補正手順を示すフローチャート。 変化量ΔVの変化に対する補正係数Hの変化を示すグラフ。 エンジン負荷の変化に対する点火時期指令値、ベース点火時期、ノック限界点火時期、及び学習値等の変化態様を示すグラフ。 エンジン負荷の変化に対する点火時期指令値、ベース点火時期、ノック限界点火時期、及び学習値等の変化態様を示すグラフ。 第2実施形態における学習値の更新手順を示すフローチャート。 エンジン負荷の変化に対する点火時期指令値、ベース点火時期、ノック限界点火時期、及び学習値等の変化態様を示すグラフ。 エンジン負荷の変化に対する点火時期指令値、ベース点火時期、ノック限界点火時期、及び学習値等の変化態様を示すグラフ。 第3実施形態でのフィードバック項の更新手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…エンジン、2…燃焼室、3…吸気通路、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、11a…吸気カム、12…排気カムシャフト、13…バルブタイミング可変機構、14…リフト量可変機構、26…電子制御装置(補正手段、学習値更新手段、フィードバック制御手段)、27…アクセルペダル、28…アクセルポジションセンサ、29…スロットルバルブ、30…スロットルポジションセンサ、31…ノックセンサ、32…エアフローメータ、34…クランクポジションセンサ、35…カムポジションセンサ。

Claims (7)

  1. 吸気バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構を備える内燃機関に適用され、機関運転状態に基づき算出されるノック限界点火時期に対し、ノック発生の有無に応じて増減するフィードバック項による補正を加えるとともに、前記フィードバック項に基づき更新される学習値による補正を加えることで点火時期指令値を算出し、その点火時期指令値に基づき点火時期を制御する内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記吸気バルブの閉弁タイミングが下死点付近であって且つ同下死点を含む所定範囲内にあるとき、前記ノック限界点火時期を遅角側に補正する補正手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記吸気バルブの閉弁タイミングが前記所定範囲内にあるとき、前記吸気バルブの開閉タイミングに基づき内燃機関の圧縮比を求め、その後に予め設定された標準圧縮比に対する前記内燃機関の圧縮比の変化量を算出し、その変化量の大きさが大となるほど前記ノック限界点火時期を遅角側に大きく補正する
    請求項1記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記吸気バルブの閉弁タイミングが前記所定範囲内から同所定範囲外に変化したとき、前記ノック限界点火時期における遅角側への補正量を「0」にする
    請求項1又は2記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    ノック発生があるときには前記フィードバック項を遅角更新量ずつ減少させ、ノック発生がないときには前記フィードバック項を進角更新量ずつ増加させるフィードバック制御手段を更に備え、
    吸気バルブの閉弁タイミングが前記所定範囲内にあるときには、それ以外のときに比べて前記遅角更新量を大とする
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  5. 前記ノック限界点火時期は、機関運転状態に基づき標準的な環境条件下でのノック限界点火時期として算出されるベース点火時期から予め定められたノック余裕代だけ遅角させた値である最もノックが発生しやすい環境条件下でのノック限界点火時期であって、
    前記補正手段は、前記ノック余裕代の補正を通じて前記ノック限界点火時期を遅角側に補正するものである
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  6. 請求項5記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記学習値を前記フィードバック項に基づき更新してメモリに記憶用学習値として記憶し、同メモリに記憶された前記記憶用学習値を読み込んで前記点火時期指令値を算出するための学習値として用いる学習値更新手段を更に備え、
    前記補正手段によるノック限界点火時期の遅角側への補正は、最もノックが発生しやすい環境条件であることを前提に大きく行われるものであって、
    前記学習値更新は、前記補正手段による補正前のノック余裕代をRとし、前記補正手段による補正後のノック余裕代をR・Hとすると、前記点火時期指令値を算出するための学習値として前記メモリに記憶された前記記憶用学習値に「(R・H)/R」を乗算したものを用い、前記フィードバック項に基づき更新された学習値に「R/(R・H)」を乗算したものを記憶用学習値として前記メモリに記憶する
    ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  7. 前記フィードバック項は、ノック発生があるときには遅角更新量ずつ減少させられ、ノック発生がないときには進角更新量ずつ増加させられるものであり、
    前記フィードバック項の遅角更新量は、予め定められたベース値に「(R・H)/R」を乗算したものが用いられる
    請求項6記載の内燃機関の点火時期制御装置。
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