JP2010129458A - 耐食導電材およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池および固体高分子型燃料電池用セパレータ - Google Patents

耐食導電材およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池および固体高分子型燃料電池用セパレータ Download PDF

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直子 武市
Nobuaki Suzuki
伸明 鈴木
Kazuaki Nishino
和彰 西野
Naotaka Aoyama
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三喜男 和田
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Abstract

【課題】耐食性および導電性に優れる耐食導電材を提供する。
【解決手段】本発明の耐食導電材は、第3族元素を含むTi合金からなるTi系基材と、このTi系基材の少なくとも一部の表面に形成され、TiとBとNを必須構成元素とする耐食性または導電性を示す耐食導電性皮膜と、からなることを特徴とする。この耐食導電材は、第3族元素がTi系基材中に含まれることで、より高い耐食性を示す。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐食性または導電性に優れる耐食導電材およびその製造方法と、その耐食導電材を用いた固体高分子型燃料電池およびそのセパレータに関する。
固体高分子型燃料電池用の金属セパレータ等に代表されるように、最近では、耐食性と導電性とを高次元で両立できる部材が求められている。
もっとも、種々のことが要求される工業レベルで、それらを両立させることは容易ではない。例えば、Ti系またはステンレス系の金属材料は、表面に強固で安定な不働態皮膜を形成して優れた耐食性を発揮する。しかし、その不働態皮膜は安定な絶縁性化合物からなるため、通常は非常に抵抗が大きく導電性に乏しい。
そこで部材に耐食性および導電性をもたせるために、下記特許文献にあるような種々の提案がされている。
特開2005−336551号公報 特開2004−273370号公報 特開2000−353531号公報 特開2000−123850号公報
特許文献1は、Ti材に熱処理を施してFe濃化相を形成し、そのTi材の耐食性を向上させることを提案している。もっとも、特許文献1にはそのTi材の導電性に関する開示がない。また、そのようなFe濃化相を形成するには複雑な加工熱処理が必要となる。
特許文献2は、Ti系基材中にTiB系ホウ化物粒子を晶出させたセパレータを提案している。このセパレータは、基材上の不働態皮膜によって耐食性が確保されると共に表面に晶出したホウ化物によって導電性が発現される。
もっとも、ホウ化物は非常に硬いため、そのセパレータは圧延性および成形性に劣る。勿論、ホウ化物の分散量を減らせば、成形性や圧延性は改善されるが、導電性が低下する。また、ホウ化物が脱離した部分から腐食が進行する恐れもあり得る。
特許文献3は、Ti系基材の表面に金属窒化物層を形成したセパレータを提案している。このセパレータを本発明者が試験したところ、確かに電解腐食試験前における接触抵抗は低減されるものの、電解腐食試験後の接触抵抗が大きく増加することがわかった。
特許文献4は、ステンレス鋼またはチタン合金等からなる基材に化学的に非常に安定な貴金属めっき層を設けたセパレータを提案している。
しかし、このような貴金属の使用は高コストである。また、貴金属の使用量を低減すると、密着性の悪化やめっき層の剥離などのおそれがある。さらに、基材がAl等の場合、めっき層のピンホール部分で局部電池が形成され、基材に孔食などの局部腐食が生じるおそれもある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、比較的低コストで形成可能であり、耐食性または導電性が安定して得られる耐食導電性皮膜を基材表面に有する耐食導電材およびその製造方法並びにその耐食導電材からなる固体高分子型燃料電池用セパレータとそのセパレータを用いた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、イットリウム(Y)やランタン(La)等の第3族元素を含むTi系基材の表面上に、
Ti、BおよびNを含む耐食性および導電性に優れる耐食導電性皮膜を形成することに成功した。そして本発明者はその成果を発展させて以降に述べる種々の発明を完成させるに至った。
〈耐食導電材〉
(1)すなわち、本発明の耐食導電材は、第3族元素を含むチタン(Ti)合金からなるTi系基材と、該Ti系基材の少なくとも一部の表面に形成され、Tiとホウ素(B)と窒素(N)を必須構成元素とする耐食性または導電性を示す耐食導電性皮膜と、からなることを特徴とする。
(2)本発明の耐食導電性皮膜は、単に耐食性または導電性に優れるだけではなく、それらの特性が長期的に安定しており、従来の皮膜よりも遙かに現実的である。そして、必ずしも高価な貴金属等を使用する必要がなく、また、比較的安価な材料や工程により形成可能であり、工業的な実用性が高い。
もっとも、本発明の耐食導電性皮膜が優れた耐食性および導電性を発揮する詳細なメカニズムや理由は、必ずしも定かではなく、本発明者が鋭意究明中ではある。この点に関して現状では次のように考えられる。
Tiはそもそも酸化数が+4または0で安定であり、その酸化数が+4から外れるとときに導電性を発現する。このため、例えば、Tiの酸化数が+4にならないTiN、TiB、TiOなどは、比較的安定な導電性化合物である。逆にいえば、Tiの(平均)酸化数が+4または0になるチタン化合物は、導電性が失われて、化学的に安定で耐食性に優れる。この典型例が不働態皮膜である。不働態皮膜は酸化数が+4となり安定であるため耐食性に優れる一方で、結晶中を自由に移動できる電子が減少するために導電性に乏しい。
勿論、当初、導電性を有するチタン化合物であっても、さらに酸化されてTiの平均酸化数が+4または0になれば(例えば、TiO等になると)、その導電性が失われてその替わりに耐食性が高まる。
ところで本発明の耐食導電材の場合、耐食導電性皮膜の形成されるTi系基材中には予め第3族元素が存在している。この第3族元素は、酸化物が+3であるためTiの酸化数が+4となることを阻害するが、その一方で、Ti系基材の表面に形成される化合物を安定化させる。これは、Ti系基材の表面に不働態皮膜が形成されてTiの酸化物が+4で安定となっても、酸化数が+3の第3族元素が、不働態皮膜を構成する酸化物中のチタンサイトと置換するためと思われる。つまり、第3族元素の存在によって、被膜を構成する化合物に欠陥を生じさせ、これに伴い、電子伝導を担う電子の移動度がある程度維持されるようになったと考えられる。
いずれにしても、本発明に係る耐食導電性皮膜は、Ti系基材が第3族元素を含有している場合、導電性を発現する皮膜でありながら、優れた耐食性も発現する。
〈固体高分子型燃料電池およびそのセパレータ〉
本発明は、上記の耐食導電材の代表的な一形態である固体高分子型燃料電池用セパレータとしても把握される。
すなわち、本発明は、中央に設けられた固体高分子電解質膜と該固体高分子電解質膜の一方側に接して設けられた燃料電極と該固体高分子電解質膜の他方側に接して設けられた酸化電極と該燃料電極および該酸化電極の外側に設けられたセパレータとからなる単位電池を積層してなり、
該セパレータと該燃料電極との間に燃料ガスを供給すると共に該セパレータと該酸化電極との間に酸化剤ガスを供給して直流電力を発生させる固体高分子型燃料電池において、前記セパレータの少なくとも一部は、上記の耐食導電材からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータであると好適である。
さらに本発明は、そのセパレータを用いた固体高分子型燃料電池としても把握される。
〈耐食導電材の製造方法〉
本発明の耐食導電材等は、その形成方法や製造方法等を問わないが、例えば、次のような本発明に係る方法により形成または製造が可能である。
すなわち、本発明の耐食導電材の製造方法は、第3族元素を含むチタン(Ti)合金からなるTi系基材の少なくとも一部の表面に、BおよびNを含む処理粉末を付着させる付着工程と、該付着工程後のTi系基材を加熱する加熱工程とを備えてなり、上記の耐食導電材が得られることを特徴とする。
〈その他〉
(1)本発明の耐食導電材は、Ti系基材の材質、形状、大きさ等を問わない。例えば、製品形状またはそれに近い形状の部材であってもよい。また、これから加工、成形等される素材、粉末などでもよい。例えば、インゴット状、棒状、管状、板状等の素材であっても良いし、さらには粉末等の原料的なものであってもよい。
(2)本発明の耐食導電材は、耐食性と導電性とを同時に高次元で満足させ得るが、耐食性または導電性の一方のみに特化したものであっても良い。従って、本発明の耐食導電材は、高耐食性のみ要求される部材等にも高導電性のみ要求される部材等にも、本発明の耐食導電材は好適である。このような耐食導電材の要求仕様に応じて、本発明の耐食導電性皮膜の組成や形成方法を適宜変更すればよい。
(3)本発明でいう第3族元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド、アクチノイドである。ランタノイドは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれかである。アクチノイドは、アクチニウム(Ac)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)、ウラン(U)、ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、バークリウム(Bk)、カリホルニウム(Cf)、アインスタイニウム(Es)、フェルミウム(Fm)、メンデレビウム(Md)、ノーベリウム(No)、ローレンシウム(Lr)である。
このうちでも、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、TbおよびDyなどが実用的な第3族元素である。Ti系基材を構成するTi合金に含まれる第3族元素は、一種でも複数種でもよい。例えば、ランタノイド系元素は、比較的安価で入手が容易なミッシュメタル(Mm)として提供されることが多い。このMmをTi系基材となるTi合金の調製に用いると、そのTi合金中には複数の第3族元素が含まれることになる。
(4)本発明に係る耐食導電性皮膜は、上記の元素以外にも、その耐食導電性皮膜の特性を改善し、または劣化させない改質元素などを多少含んでもよい。例えば、このような元素として、Cr、Mn、Co、Al、などがある。
また、本発明の耐食導電性皮膜は、改質元素以外に「不可避不純物」の含有も許容し得る。不可避不純物は、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な元素である。このような不可避不純物は、基材などに元々含まれる場合の他、耐食導電性皮膜の形成時に不可避に混入等し得る。不可避不純物として、例えば、Li、Na、Mg、K、Ca、V、Ni、Cu、O、Cl等がある。なお、Ti系基材から観れば不可避不純物であっても、耐食導電性皮膜自体から観ると不可避不純物でないもの、または耐食導電性皮膜の特性改善に有効なものも存在する。
(5)本明細書でいう「耐食性」は、酸雰囲気下でも腐食しない耐酸性、酸素雰囲気下でも酸化されない耐酸化性など、少なくともいずれか一つの特性で優れていればよい。「導電性」は、皮膜自体の電気抵抗が小さい場合、他の導電材と接触したときに問題となる接触抵抗が小さい場合など、少なくともいずれか一つの特性で優れていればよい。
また、特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限xおよび上限yを含む。また、本明細書に記載した下限および上限は任意に組合わせて、「a〜b」のような範囲を構成し得ることを断っておく。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。
なお、本明細書では耐食導電性皮膜で被覆されたTi系基材からなる耐食導電材について主に述べるが、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、その製造方法さらには耐食導電材の適用例等にも、適宜適用できるものであることを断っておく。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なることを断っておく。
〈耐食導電性皮膜の組成〉
本発明の耐食導電性皮膜の必須構成元素は、TiとBとNである。このように本発明に係る皮膜中に含まれる必須構成元素は少なくとも明確である。ここで、その耐食導電性皮膜を構成する全元素やその組成を一義的に明確にすることは現状困難である。もっともこのことは、本発明の有効性や本発明の技術的思想としての明確性に影響を与えない。皮膜中の必須構成元素やその製造方法等が明確である限り、本発明の特定としては充分である。
〈耐食導電材の製造方法〉
本発明の耐食導電材の製造方法は特に限定されるものではないが、以下では、現状で効率的と思われる粉末処理法を例に挙げて説明する。
(1)粉末処理法は、耐食導電性皮膜の形成に必要な元素を少なくとも一種以上含む処理粉末(以下、適宜、単に「粉末」という。)を基材に付着させる付着工程を備える。この粉末は単種でも複数種でもよい。さらに、必須構成元素の全てが必ずしも粉末として提供される必要はない。基材側または溶媒側などから供給される元素があってもよい。
もっとも、通常、処理粉末が少なくともBを含むと好ましい。さらに処理粉末がBおよびNを含むとより好ましい。そこで、処理粉末が窒化ホウ素(BN)粉末であると好ましい。処理粉末にNが含まれていない場合は、後工程で窒化処理などを行うことで、皮膜中にNを導入することも可能である。
(2)Ti系基材へ粉末を均一にまたは効率的に付着させるために、細かな粉末を溶媒に分散させた分散液(またはスラリー)を用いてもよい。この場合、付着工程はそのスラリーを基材上に塗布する塗布工程と、塗布後にスラリーを乾燥させる乾燥工程とからなる。塗布工程は、刷毛塗り、スプレー、浸漬などにより行える。乾燥は、加熱乾燥の他、自然乾燥などでもよい。使用する粉末の粒径、溶媒などは、粉末の組成などに応じて適宜調整されればよい。例えば、BN粉末であれば、平均粒径が0.05〜100μmのものを、イソプロピルアルコール、ヘキサン、エタノール等の溶媒に分散させると良い。両者の混合割合は、塗布工程の種類に応じて調整されるとよい。
(3)加熱工程
加熱工程は、基材表面に形成された化合物や塩などの反応を促進して、特性に優れた耐食導電性皮膜を形成するためになされる。例えば、Ti系基材の表面に形成されたBN等と、基材側のTiまたは第3族元素とを反応させることで、必須構成元素の結晶構造等からなる耐食導電性皮膜が形成される。
加熱工程を行う雰囲気は非酸化雰囲気が好ましく、加熱時間などは耐食導電性皮膜の組成や膜厚などによって適宜調整される。例えば、BN粉末が付着したTi系基材を非酸化性ガス雰囲気下又は真空中で温度500℃〜1650℃さらには700℃〜1100℃で加熱するとよい。
この加熱工程は、窒化工程を兼ねて行われてもよい。例えば、ホウ化したTi系基材を窒化することで、表面に形成したTiB皮膜などにNを導入することで本発明の耐食導電性皮膜が形成される場合もあり得る。この窒化方法には、ガス窒化(ガス軟窒化を含む)、イオン窒化、塩浴窒化(塩浴軟窒化(タフトライド)を含む)等があるが、比較的容易な装置または工程で、耐食導電性皮膜へNの導入を行う観点から、ガス窒化が好ましい。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〈試験片の製造〉
(1)Tiと種々の添加元素とを配合した複数のTi合金からなるTi系基材を溶製して得た。このTi系基材(Ti合金)の配合組成を表1に示した。
(2)これら各種のTi系基材に粉末処理法を適用して、Ti系基材の表面に皮膜を形成し、各種の試験片を得た。粉末処理法は次のようにして行った。
先ず、平均粒径10μmのBN粉末(オクトム社製)を溶媒に分散させた。溶媒は、ノルマルヘキサン60質量%とイソプロパノール(IPA)40質量%との混合溶媒を用いた。この混合溶媒とBN粉末との混合割合は、80重量部:20重量部とした。こうして得たBN分散液をTi系基材の表面にスプレー塗布した(塗布工程)。その後、このTi系基材を温度80℃の恒温炉内で10分間乾燥させた(乾燥工程、付着工程)。さらに、このTi系基材を高純度Ar気流中で温度1000℃で30分間加熱した(加熱工程)。このような処理をしたTi系基材を洗浄して、表1に示した複数の試験片を得た。
〈試験片の測定〉
上記の各試験片の初期の接触抵抗と、試験片を腐食溶液中に浸漬した後の接触抵抗とを測定した。用いた腐食溶液は希硫酸(pH4)に5ppmF +10ppmClを添加し、80℃に保持したものである。印加した腐食電圧は1V(vs.SHE)、腐食試験時間は96時間とした。
接触抵抗は図1に示すようにして測定した。すなわち、各試験片Sとカーボンペーパー105とを積層状態で2枚の金メッキ銅板161、162間に挟み込み、金メッキ銅板161、162間へ、定電流DC電源107から1Aの定常電流を流した。このとき、金メッキ銅板61、62間に空気圧1.47MPaの荷重Fを印加した。この状態で60秒間保持した後に、金メッキ銅板161、162間の電位差Vを測定した。これに基づき、接触抵抗R(=V/A)を算出した。
これらの結果を表1に併せて示すと共に、図2にも各試験片の接触抵抗を棒グラフで示した。
〈評価〉
表1および図2に示すように、Ti系基材が第3族元素を含むTi合金からなる試験片の場合、他の試験片と比較して、接触抵抗が低い範囲で安定しており、高い耐食性を備えることが明らかとなった。
〈固体高分子型燃料電池〉
本発明に係る耐食導電材の一実施形態として、Ti系基材の表面に耐食導電性皮膜を形成した固体高分子型燃料電池用セパレータを備える固体高分子型燃料電池を図3Aおよび図3Bに示す。
固体高分子型燃料電池は、分子中にプロトン交換基をもつ固体高分子電解質膜がプロトン導電性電解質として機能することを利用したものである。具体的には図3A、図3Bに示すように、固体高分子型燃料電池Fは、固体高分子電解質膜1の両側にそれぞれ酸化電極2と燃料電極3が接合されている。さらに、それら電極の外側に、ガスケット4を介しセパレータ5が配置される。酸化電極2側のセパレータ5には空気供給口6と空気排出口7が設けられ、燃料電極3側のセパレータ5には水素供給口8と水素排出口9が設けられる。
セパレータ5には、水素g及び空気oの導通及び均一分配のため、水素g及び空気oの流動方向に延びる複数の溝10が形成されている。また、給水口11から送り込んだ冷却水wはセパレータ5の内部を循環した後、排水口12から排出させる。このセパレータ5に内蔵された水冷機構により、発電時の発熱に依る固体高分子電解質膜等の過熱が抑制される。
水素供給口8から燃料電極3とセパレータ5との間隙に送り込まれた水素gは、電子を放出したプロトンとなって固体高分子電解質膜1を透過し、酸化電極2とセパレータ5との間隙を通過する空気o中の酸素と反応してによって燃焼する。そして、酸化電極2と燃料電極3との間の負荷に電力が供給され得る。
一般的に燃料電池は、1セル当りの発電量が極く僅かである。このため、一対のセパレータ5、5間を1単位としたセルを複数積層することで、所望の出力(電力量)が確保される。もっとも、多数のセルを積層した場合、セパレータ5と各電極2、3との間の接触抵抗が大きくなり、電力損失も大きくなって、固体高分子型燃料電池Fの発電効率が低下し易い。
ここで本実施例のセパレータ5は、その表層に導電性に優れた耐食導電性皮膜を有するため、その耐食性が確保されつつも、酸化電極2および燃料電極3との間の接触抵抗が低減される。従って、本実施例に係る耐食導電材を用いれば、加工性や耐衝撃性等に優れると共に、耐食性と導電性の両立を図った固体高分子型燃料電池用セパレータが容易に得られる。
Figure 2010129458
接触抵抗の測定装置を示す模式図である。 各試験片に関する接触抵抗の変化を示す棒グラフである。 本実施例に係る固体高分子型燃料電池の1セルを示す断面図である。 本実施例に係る固体高分子型燃料電池の1セルの分解斜視図である。
符号の説明
S 試験片
F 固体高分子型燃料電池
1 固体高分子電解質膜
2 燃料電極
3 酸化電極
5 セパレータ

Claims (5)

  1. 第3族元素を含むチタン(Ti)合金からなるTi系基材と、
    該Ti系基材の少なくとも一部の表面に形成され、Tiとホウ素(B)と窒素(N)を必須構成元素とする耐食性または導電性を示す耐食導電性皮膜と、
    からなることを特徴とする耐食導電材。
  2. 中央に設けられた固体高分子電解質膜と該固体高分子電解質膜の一方側に接して設けられた燃料電極と該固体高分子電解質膜の他方側に接して設けられた酸化電極と該燃料電極および該酸化電極の外側に設けられたセパレータとからなる単位電池を積層してなり、
    該セパレータと該燃料電極との間に燃料ガスを供給すると共に該セパレータと該酸化電極との間に酸化剤ガスを供給して直流電力を発生させる固体高分子型燃料電池において、
    前記セパレータの少なくとも一部は、請求項1に記載の耐食導電材からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータ。
  3. 請求項2に記載の固体高分子型燃料電池用セパレータを備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  4. 第3族元素を含むTi合金からなるTi系基材の少なくとも一部の表面に、BおよびNを含む処理粉末を付着させる付着工程と、
    該付着工程後のTi系基材を加熱する加熱工程とを備えてなり、
    請求項1に記載の耐食導電材が得られることを特徴とする耐食導電材の製造方法。
  5. 前記処理粉末は、窒化ホウ素(BN)粉末である請求項4に記載の耐食導電材の製造方法。
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