JP2007157639A - 燃料電池用金属セパレータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも接触抵抗が低い燃料電池用金属セパレータを提供すること。また、このセパレータをアンモニアガスを用いずに得ることが可能な製造方法を提供すること。
【解決手段】電解質電極接合体側の最表面にTi2Nが存在する燃料電池用金属セパレータとする。具体的には、金属材料よりなる基材層と、基材層の電解質電極接合体側に積層された表層とを備え、表層の最表面にTi2Nが存在する構成とすると良い。一方、上記セパレータは、導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中にて、金属材料よりなる基材層表面に存在するTiを窒化する工程を経ることにより得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】電解質電極接合体側の最表面にTi2Nが存在する燃料電池用金属セパレータとする。具体的には、金属材料よりなる基材層と、基材層の電解質電極接合体側に積層された表層とを備え、表層の最表面にTi2Nが存在する構成とすると良い。一方、上記セパレータは、導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中にて、金属材料よりなる基材層表面に存在するTiを窒化する工程を経ることにより得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池用金属セパレータおよびその製造方法に関するものである。
燃料電池は、化学エネルギーを直接、電気エネルギーに変えるための発電装置である。燃料電池としては、例えば、電解質として固体高分子電解質を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC)などが広く知られている。
一般に、燃料電池は、電解質の一方面に燃料極、他方面に酸化剤極を接合して電解質電極接合体とし、これをセパレータを介して複数積層した構成を備えている。
上記燃料電池の構成部材のうち、セパレータは、酸性雰囲気、酸化雰囲気などの腐食環境下に曝されることが多い。また、セパレータは、電解質電極接合体の電極と接触して集電を行う。そのため、セパレータには、良好な耐食性を有していること、導電性を有し、接触抵抗が小さいことなどの特性が主に要求される。
従来、例えば、PEFCでは、上記要求特性を満たすセパレータ材料として、カーボンが使用されてきた。しかしながら、カーボンセパレータは、加工性が悪く、ガス流路を切削加工により形成しなければならないため、高コストになりやすいといった問題があった。
そのため、カーボンに比較して、加工性が良好であり、かつ、安価な金属材料により、セパレータ材料を代替したいという要望があった。
そこで、近年では、例えば、耐食性が良好なステンレス鋼を基材層に用い、この基材層の表面に、金などの導電層を積層した金属セパレータが提案されている。また、ステンレス鋼以外にも、チタンなどを基材層に用いようとする動きも見られる。
このような背景の下、例えば、特許文献1には、ステンレス鋼またはチタンなどよりなる基材層と、この基材層を覆う保護層とを備え、保護層の表面はTiNで占められており、その内部にいくにつれてN含量を減少させるようにした金属セパレータが開示されている。
また、この金属セパレータの製造方法として、ステンレス鋼よりなる基材層の表面にチタン層を形成し、N2:H3:CO2=1:1:0.07の組成を有する窒素混合ガスによる窒素雰囲気中にて、チタン層を窒化することにより、上記構成の保護層を形成する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の金属セパレータおよびその製造方法は、次の点で未だ改良の余地があった。
すなわち、本発明者らによるこれまでの研究によれば、特許文献1に記載の金属セパレータは、電極と接触する保護層表面がTiNであるので、接触抵抗が比較的高いといった問題があった。また、この問題は、上記保護層が腐食環境下に曝された場合に顕著となることが分かっている。
一方、特許文献1では、上記金属セパレータを製造するのに、アンモニアガスを用いていると推測される。これは、第1に、チタンの窒化によりTiNを生成させる上で、アンモニアガスを使用するのは常套手段であること、第2に、使用する窒素混合ガスの組成にH3成分が含まれていることなどの理由による。
ところで、アンモニアガスは毒性があることが知られている。そのため、環境上の問題などから、アンモニアガスの使用には制限が多い。したがって、金属セパレータを製造するにあたり、アンモニアガスをできる限り使用しないことが望ましいといえる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来よりも接触抵抗が低い燃料電池用金属セパレータを提供することにある。また、他の課題は、この燃料電池用金属セパレータをアンモニアガスを用いずに得ることが可能な製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る燃料電池用セパレータは、電解質電極接合体側の最表面にTi2Nが存在することを要旨とする。
この際、上記燃料電池用セパレータは、金属材料よりなる基材層と、上記基材層の電解質電極接合体側に積層された表層とを備え、上記表層の最表面にTi2Nが存在するようにすると良い。
また、上記Ti2Nの面積率は、50%以上であると良い。
一方、本発明に係る燃料電池用金属セパレータの製造方法は、導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中にて、金属材料よりなる基材層表面に存在するTiを窒化する工程を有していることを要旨とする。
この際、上記窒化温度は、700℃〜1050℃の範囲内にあると良い。
本発明に係る燃料電池用金属セパレータは、電解質電極接合体側の最表面にTi2Nが存在している。そのため、従来に比較して、電解質電極接合体の電極とセパレータ最表面との接触抵抗が小さくなる。また、腐食環境下に曝された場合であっても、接触抵抗の変動を抑制することができる。
このような効果が得られるのは、TiNよりも導電性に優れ、TiNと同等もしくはそれ以上の耐食性を有すると思われるTi2Nを、セパレータ最表面に積極的に存在させ、電解質電極接合体の電極と直接接触させるようにしたためである。
また、上記燃料電池用金属セパレータは、金などを使用した従来の燃料電池用金属セパレータに比較して、コスト的にも有利である。
この際、上記Ti2Nの面積率が50%以上である場合には、上記効果が得やすくなる利点がある。
一方、本発明に係る燃料電池用金属セパレータの製造方法は、導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中にて、金属材料よりなる基材層表面に存在するTiを窒化する工程を有している。
そのため、金属材料よりなる基材層表面には、最表面にTi2Nが存在する表層が形成される。したがって、上記製造方法によれば、導入ガスにアンモニアガスを使用することなく、従来よりも電極との接触抵抗が低い燃料電池用金属セパレータが得られる。
この際、上記Tiの窒化温度が700℃〜1050℃の範囲内にある場合には、表層の最表面にTi2Nを優勢に存在させやすい利点がある。
以下、本実施形態に係る燃料電池用金属セパレータおよびその製造方法について詳細に説明する。なお、以下では、本実施形態に係る燃料電池用金属セパレータを「本セパレータ」と、本実施形態に係る燃料電池用金属セパレータの製造方法を「本製造方法」ということがある。
1.本セパレータ
本セパレータは、金属製であり、電解質電極接合体側の最表面には、導電性のTi2Nが存在している。つまり、本セパレータは、電解質電極接合体側の最表面にTi2Nを積極的に出すようにしたことを特徴の一つとしている。
本セパレータは、金属製であり、電解質電極接合体側の最表面には、導電性のTi2Nが存在している。つまり、本セパレータは、電解質電極接合体側の最表面にTi2Nを積極的に出すようにしたことを特徴の一つとしている。
このような構成を採用するのは、主に次の理由による。一般に、燃料電池は、電解質の両面に電極を接合した電解質電極接合体の両面を、一対のセパレータで挟持し、これを複数積層した構造を備えている。
このような積層構造中において、通常、セパレータは、その一方面が電解質電極接合体の電極面と接触した状態で使用される。そのため、本セパレータでは、少なくとも電解質電極接合体に直接接触する最表面に、Ti2Nを存在させることにより、耐食性を有しつつ、接触抵抗の減少を図るようにしたのである。
ここで、上記Ti2Nは、本セパレータの最表面の大部分を占めていることが好ましい。
もっとも、本セパレータの最表面の全てを完全にTi2Nとすることは製造上難しい場合が多い。そのため、本発明の目的を損なわない範囲内であれば、本セパレータの最表面には、TiN、TiN0.3など、Ti2N以外のチタンの窒化物や、Ti、不可避な夾雑物などが存在していても構わない。つまり、上記Ti2Nは、本セパレータの最表面に優勢に存在しておれば良い。
本セパレータにおいて、電解質電極接合体の電極に接する面、例えば、PEFCの場合、具体的には、ガス拡散層に接する面に占めるTi2Nの面積率は、好ましくは50%以上、より好ましくは、60%以上、さらに好ましくは、70%以上あると良い。Ti2Nの面積率が上記範囲内にあれば、本発明の効果を確実なものとしやすいからである。
本セパレータにおいて、上記Ti2Nは、上記したとおり、電極面と直接接触する最表面に存在しておれば良いが、最表面のみならず、最表面から内部に向かって一定距離に亘って存在していても良い。
この場合、最表面よりも内部におけるTi2Nの存在状態については、特に限定されることはない。これは、主に本セパレータの趣旨などに基づくものである。
具体的には、例えば、最表面から内部に向かって存在割合が減少するように分布していても良いし、あるいは、最表面から内部に一定距離に亘り、ほぼ同じ存在割合で分布していても良い。
なお、Ti2Nが最表面に存在していることは、本セパレータの最表面をX線回折などにより分析すれば確認することができる。
本セパレータは、基本的に金属を主に構成されている。ここでいう金属は、単体金属のみならず、合金をも含む。用いる金属は、耐食性などを考慮して適宜選択することができる。
本セパレータを主に構成する金属としては、具体的には、例えば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金などの耐食金属、さらに詳しくは、セパレータ内の環境で不働態化し、耐食性を発現する金属を例示することができる。これらは1種または2種以上用いられていても良い。
上記本セパレータの具体的な構成としては、例えば、上記金属材料よりなる基材層と、この基材層の電解質電極接合体側に積層された表層とを備えた構成などを例示することができる。
この場合、表層の最表面にTi2Nが少なくとも存在していることになる。また、この表層は、最表面から基材層に向かってTi2Nの存在割合が少なくなるように組成が傾斜していても良いし、あるいは、最表面から基材層表面まで、ほぼ同じ存在割合でTi2Nが分布していても良い。
この際、表層の厚みは、本発明の目的を達成することができれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、好ましい上限値として、100μm、50μm、10μmなどを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、0.1μm、1μm、5μmなどを例示することができる。
また、基材層の厚みは、ガス分離性、構造強度、耐食性、軽量化などを考慮して適宜選択することができる。
具体的には、例えば、好ましい上限値として、0.8mm、0.5mm、0.3mmなどを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、0.05mm、0.1mm、0.2mmなどを例示することができる。
なお、本セパレータには、燃料ガス、酸化剤ガスを供給するためのガス流路などが形成されている。このようなガス流路は、例えば、プレス成形などの塑性加工により形成することができる。具体的なガス流路の形態については、例えば、既に知られる形態などを適宜採用すれば良く、詳細な説明は省略する。
本セパレータは、金属部材を使用できる温度で作動する燃料電池に適用することができる。燃料電池の種類としては、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC、ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)含む)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、リン酸塩ガラスなどプロトン導電性ガラスを電解質に用いた燃料電池などを例示することができる。
本セパレータは、腐食環境下に曝された場合であっても、接触抵抗を比較的低く維持することができる。そのため、例えば、強酸性基を電解質基に用いており、強酸性環境下になりやすいPEFCなどに好適に用いることができる。
2.本製造方法
本製造方法は、基本的には、窒素雰囲気中にて、基材層表面に存在するTiを窒化する工程を有している(以下、「本工程」ということがある。)。
本製造方法は、基本的には、窒素雰囲気中にて、基材層表面に存在するTiを窒化する工程を有している(以下、「本工程」ということがある。)。
本工程では、上記窒素雰囲気を作り出すのに、導入ガスとして窒素を用いる。導入ガスとしてアンモニアを用いた場合でも、アンモニアの分解により生成したN2により窒素雰囲気を作り出すことができるが、本工程における窒素雰囲気はこのように作り出される雰囲気と区別される。
すなわち、本工程では、実質的にN2で満たされた導入ガスを用いており、この導入ガス中にアンモニアガスは含まれていない。なお、「実質的に」とは、100%純粋な窒素ガスを用いることは難しいことから、不可避な不純物などが含まれていても良いという意味である。また、Ti2Nの形成に悪影響を与えない範囲内であれば、アンモニアガス以外の他のガスが含まれていても良い。
本工程では、このような窒素雰囲気を用いているので、基材層表面に存在するTiが窒化されるとTi2Nが形成される。
ここで、本工程において、基材層を構成する金属材料がTiまたはTi合金からなる場合、基材表面にはTi成分が存在している。そのため、この場合には、このTi成分を、基材層表面に存在するTiとして用いることができる。
一方、基材層が、TiまたはTi合金以外の金属材料、例えば、ステンレス鋼などからなる場合には、何らかの手法を用いて、基材層表面にTiを存在させる必要がある。
TiまたはTi合金以外の金属材料よりなる基材層表面にTiまたはTi合金を存在させる手法としては、具体的には、例えば、クラッド、電気めっき、溶射、物理的気相成長法(PVD:真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など)、化学的気相成長法(CVD:熱CVD、プラズマCVDなど)などを例示することができる。これら手法は、1種または2種以上併用しても良い。好ましくは、真空引きなどをする必要がないクラッド、電気めっきなどがコスト面で有利である。
もっとも、基材層がTiまたはTi合金からなる場合には、基材表面にTiまたはTi合金を存在させる工程自体を省略できるので、コスト面で一層有利であると言える。
また、Tiの窒化を行う前に、必要に応じて、上記基材層表面にできた酸化被膜などを除去しておいても良い。上記除去方法としては、具体的には、例えば、プラズマエッチング、化学エッチング、機械研磨などを例示することができる。
また、本工程において、Tiの窒化温度は、基材層表面のTiが窒化されてTi2Nが合成される最適な温度を適宜選択すれば良い。
上記窒化温度としては、その好ましい上限値として、具体的には、例えば、1050℃、880℃、800℃などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、具体的には、例えば、700℃、750℃などを例示することができる。
また、窒化時間は、窒化温度などとの兼ね合いで適宜最適な時間を選択すれば良い。例えば、生産性の向上などを重視する場合には、窒化反応が生じやすい高温で、比較的短時間で表層を作るなどの選択も可能である。
また、上記した通り、通常、セパレータにはガス流路などが形成される。このガス流路を形成する工程は、本工程の前に行っても良いし、本工程の後に行っても良い。
具体的な例を用いて説明すると、Tiは、約880℃の温度で、α型からβ型に相転移する。そのため、寸法精度などを重視する場合、窒化温度が880℃以下のときには、Tiの相転移が起こらないので、ガス流路を形成する工程と本工程とは、何れの順で行っても良い。
これに対し、窒化温度が880℃以上のときには、ガス流路を形成した後に、本工程を行うと、相転移温度を超える熱処理を行うことになる。そのため、得られるセパレータの寸法精度が低下することもあり得る。
そのため、このときには、ガス流路を形成した後に、本工程を行うようにすれば、寸法精度の高いセパレータを得ることができる。
上記説明した本工程は、例えば、PVDを行うことが可能な装置内、CVDを行うことが可能な装置内、連続加熱炉内などで行うことができる。
このうち、本工程は連続加熱炉内で好適に行うと良い。比較的簡便な装置であり、コスト的にも有利だからである。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
(実施例1)
初めに、厚み0.3mmの純Ti板をプレス成形し、ガス流路を形成した。次いで、導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中に、このプレス成形体をさらし、電解質電極接合体側となる表面のTiをガス窒化した。
(実施例1)
初めに、厚み0.3mmの純Ti板をプレス成形し、ガス流路を形成した。次いで、導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中に、このプレス成形体をさらし、電解質電極接合体側となる表面のTiをガス窒化した。
この際、窒素供給量は0.5L/minとし、純Ti板の加熱温度は800℃、加熱時間は2時間とした。
これにより実施例1に係るTi製セパレータを作製した。
(実施例2)
導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中に、厚み0.5mmの純Ti板をさらし、電解質電極接合体側となる表面のTiをガス窒化した。
導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中に、厚み0.5mmの純Ti板をさらし、電解質電極接合体側となる表面のTiをガス窒化した。
この際、窒素供給量は0.5L/minとし、純Ti板の加熱温度は1000℃、加熱時間は0.5時間とした。その後、得られた板材をプレス成形し、ガス流路を形成した。
これにより実施例2に係るTi製セパレータを作製した。
(比較例1)
その表面がTiN(AIP法:アークイオンプレーティング法)により被覆された、厚み0.5mmの市販の純Ti板を準備した。次いで、これをプレス成形し、ガス流路を形成した。これにより比較例1に係るTi製セパレータを作製した。
その表面がTiN(AIP法:アークイオンプレーティング法)により被覆された、厚み0.5mmの市販の純Ti板を準備した。次いで、これをプレス成形し、ガス流路を形成した。これにより比較例1に係るTi製セパレータを作製した。
(比較例2)
その表面がTiN(HCD法:フォローカソードデポジッション法)により被覆された、厚み0.5mmの市販の純Ti板を準備した。次いで、これをプレス成形し、ガス流路を形成した。これにより比較例2に係るTi製セパレータを作製した。
その表面がTiN(HCD法:フォローカソードデポジッション法)により被覆された、厚み0.5mmの市販の純Ti板を準備した。次いで、これをプレス成形し、ガス流路を形成した。これにより比較例2に係るTi製セパレータを作製した。
次に、上記実施例および比較例において、表面にチタンの窒化物が形成されている各試料(外形φ34mm)を準備した。そして、これら試料を用いて、X線回折パターン測定、電解腐食試験、電解腐食試験前後の接触抵抗値の測定を行った。
(X線回折パターン測定)
実施例1、2および比較例1、2に係る各試料の表面に、X線を当ててX線回折パターンの測定を行った。得られたX線回折パターンを図1に示す。
実施例1、2および比較例1、2に係る各試料の表面に、X線を当ててX線回折パターンの測定を行った。得られたX線回折パターンを図1に示す。
図1によれば、比較例1および比較例2に係る各試料の最表面は、TiNにより被覆されていることが分かる。
これらに対し、実施例1および実施例2に係る各試料の最表面には、Ti2Nが存在していることが分かる。もっとも、各試料の最表面にはTi2N以外にもTiNなどが存在している。しかしながら、これらのピーク強度よりも、Ti2Nのピーク強度のほうが強いことが分かる。
そのため、この試験結果によれば、実施例1および実施例2の各試料の最表面の主成分はTi2Nであり、Ti2Nが優勢に存在していることが分かる。
(電解腐食試験)
次に、実施例1および比較例1、2に係る各試料について、電解腐食試験を行った。この際、電解液には、希硫酸にCl−を10ppm、F−を5ppm添加し、phを4に調製したものを用いた。
次に、実施例1および比較例1、2に係る各試料について、電解腐食試験を行った。この際、電解液には、希硫酸にCl−を10ppm、F−を5ppm添加し、phを4に調製したものを用いた。
また、内寸直径34mm、高さ30mmの電解セルを用い、測定温度は80℃、電圧(vs.Pt)は0.26V、試験時間は1日とした。
図2〜図4に、実施例1および比較例1、2に係る試料の電解腐食試験結果を示す。図2〜図4によれば、何れも初期に腐食電流が急激に落ち、ある程度のところで一定になっていることが分かる。
この試験結果によれば、実施例1および比較例1、2は、耐食性を有していることが確認できた。
次に、実施例1および比較例1、2に係る各試料について、上記電解腐食試験前後におけるカーボンペーパとの接触抵抗値を以下の手順により測定した。
図5は、接触抵抗値の測定方法を模式的に示した図である。すなわち、金めっき銅板10と金めっき銅板12との間に、各試料14とカーボンペーパ16(接触相手材として電解質電極接合体の電極を模擬したもの)とを挟み込んだ状態で、低電流DC電源18により1Aの定常電流を印加した。この際、各金めっき銅板10、12には、ロードセル(図示されない)により空気圧1.47MPaの荷重を負荷した。
これにより、各試料14とカーボンペーパ16との接触部分(接触面積2cm×2cm)に1Aの電流が流れる。そこで、荷重負荷後60秒後における各試料14とカーボンペーパ16との間の電位差から電気抵抗値を測定し、これを接触抵抗値とした。
図6に、実施例1および比較例1、2の電解腐食試験前後におけるカーボンペーパとの接触抵抗値を示す。
図6によれば、実施例1は、比較例1、2に比較して、電解腐食試験前の接触抵抗値が低いことが分かる。さらに、実施例1は、比較例1、2に比較して、電解腐食試験後の接触抵抗値が低く、試験前後における接触抵抗値の変動も少ないことが分かる。
以上の各試験結果より、実施例に係るセパレータは、耐食性に優れるとともに接触抵抗も小さく、腐食が生じても接触抵抗の変動を抑制できることが確認できた。また、このような作用効果を奏する実施例に係るセパレータを得るのに、アンモニアガスを用いる必要がないことも確認できた。
以上、本発明に係る燃料電池用金属セパレータおよびその製造方法について説明したが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
Claims (5)
- 電解質電極接合体側の最表面にTi2Nが存在することを特徴とする燃料電池用金属セパレータ。
- 金属材料よりなる基材層と、
前記基材層の電解質電極接合体側に積層された表層とを備え、
前記表層の最表面にTi2Nが存在することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用金属セパレータ。 - 前記Ti2Nの面積率は、50%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用金属セパレータ。
- 導入ガスに窒素を用いた窒素雰囲気中にて、金属材料よりなる基材層表面に存在するTiを窒化する工程を有していることを特徴とする燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- 前記窒化温度が、700℃〜1050℃の範囲内にあることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
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