JP2010085532A - 赤外線反射パターン形成シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートに照射した赤外線を広角に反射させて読み取り精度を向上させることができる構造を備えた赤外線反射パターン形成シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基材1の表面にプライマー層2を介して赤外線反射層3が所定のパターンで設けられており、その赤外線反射層3を構成する組成物が、赤外線を反射する材料を含み、プライマー層2のうち赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTが、赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚いように構成して上記課題を解決した。ここで、赤外線を反射する材料が、赤外線領域の波長に対して波長選択反射性を持つ多層構造材料であり、コレステリック構造を有する液晶材料であることが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、赤外線反射パターン形成シート及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、シートに照射した赤外線を広角に反射させて読み取り精度を向上させた赤外線反射パターン形成シート、及びその製造方法に関する。
近年、手書きした文字、絵及び記号等を、情報処理装置が扱うことができる電子データに変換する必要性が高まっており、特に、スキャナー等の読取装置を経由せず、手書き情報をリアルタイムでコンピューター等に入力できる入力手段への需要が高まっている。そうした入力手段としては、ドットパターンが印刷されたシートを可視光に対して透明化し、その透明シートをディスプレイ装置の前面に設置し、その透明シート上に直接手書きした内容を情報処理装置に入力することができる入力装置が提案されている。
例えば特許文献1には、ディスプレイ装置の前面又は前方に装着される透明シートであって、入力用電子ペン等による入力軌跡の位置を示すための位置情報を提供可能なマークを所定波長の光を照射されて当該入力軌跡読取手段に読み取り可能な光を発光するインキを用いて印刷したものが提案されている。しかしながら、同文献1には、そのような透明シートを具体化するインキの種類等は記載されていない。さらに、透明シートを実際に使用する場合にはドットパターン上に入力用電子ペンを接触させて読むため、できるだけ読取角度を広くして様々な使用態様に対応できることが好ましいが、同文献1には、そうした使用態様に対応可能な技術的事項は提案されていない。
こうした問題に対し、特許文献2では、ディスプレイ装置の画面に直接手書きデータ入力できるシステムを実現する座標検知手段を提供する部材であって、軽量、安価、大面積化が容易で、量産可能かつ広い読取角度を有する赤外線反射パターン印刷透明シートを提案している。この透明シートは、透明基材の表面に赤外線反射性の透明パターンが印刷され、ディスプレイ装置の前面に装着される透明シートであって、その透明パターンを構成するインキが赤外線反射材料を含むと共に赤外線領域の波長選択反射性を持つ固定化されたコレステリック構造を有する液晶材料であり、その透明パターンを赤外線の照射及び検知可能な入力端末が読み取ることで、透明シート上の入力端末の位置を判別可能であり、その印刷された透明パターンをその透明基材に直交する面での切断面は、一定の繰返し周期の多層構造を形成し、その液晶材料のらせん軸と透明基材の表面の法線がなす傾き角が少なくとも0〜45°の範囲内で分布するものである、とされている。
特開平2003−256137号公報 特開平2008−165385号公報
しかしながら、上記特許文献2で提案された透明シートは、透明パターンを構成する液晶材料のらせん軸と透明基材の表面の法線がなす傾き角が少なくとも0〜45°の範囲内で分布するように構成され、その範囲で広い読み取り角度を実現できるとされているが、その水準で十分であると言えばそうではなく、より一層安定で精度のよい読み取りを可能にする透明シートの開発が要請されていた。
本発明は、上記要請に応えたものであって、その目的は、シートに照射した赤外線を広角に反射させて読み取り精度を向上させることができる構造を備えた赤外線反射パターン形成シート及びその製造方法に関する。
本出願人は、現時点で未公開の特許出願に係る電磁波シールド材に関するものであるが、未硬化の導電性組成物が充填された所定パターンの凹部を有する版面と、その導電性組成物の転写対象である基材の一方の面とを、未硬化のプライマー層を介して圧着し、その圧着を保持した状態で少なくともプライマー層を硬化した後に版面から剥がすことによって、導電性組成物を極めて良好に転写でき、転写率のよい導電層パターンを形成できるという画期的な方法を見出した。こうして得られた電磁波シールド材は、プライマー層のうち導電層パターンが形成されているパターン形成部におけるプライマー層の厚さが、導電層パターンが形成されていないパターン非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚くなっていることから、この技術を応用して本発明に係る赤外線反射パターン形成シートを完成させた。
上記課題を解決するための本発明の赤外線反射パターン形成シートは、透明基材の表面にプライマー層を介して赤外線反射層が所定のパターンで設けられており、前記赤外線反射層を構成する組成物が、赤外線を反射する材料を含み、前記プライマー層のうち前記赤外線反射層が形成されているパターン形成部におけるプライマー層の厚さが、前記赤外線反射層が形成されていないパターン非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚いことを特徴とする。
この発明によれば、赤外線反射層を構成する組成物が、赤外線を反射する材料(「赤外線反射材料」ともいう。)を含み、プライマー層のうち赤外線反射層が形成されているパターン形成部におけるプライマー層の厚さが、赤外線反射層が形成されていないパターン非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚いように構成されているので、凸形状になっているパターン形成部上に設けられた赤外線反射材料は、例えばペン型入力端末から照射された赤外線を様々な方向に反射する。その結果、ペン型入力端末は反射された赤外線を検知し易くなり、ペン型入力端末による反射情報の読み取り精度を向上させることができる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、前記赤外線を反射する材料が、赤外線領域の波長に対して波長選択反射性を持つ多層構造材料であるように構成する。
この発明によれば、赤外線反射材料が、赤外線領域の波長に対して波長選択反射性を持つ多層構造材料であるので、その多層構造材料が凸形状になっているパターン形成部上に設けられ、その結果、その多層構造材料は、その赤外線反射性の多層構造を構成する層面の方向が連続して多方向に広く分布するため、ペン型入力端末から照射された赤外線を様々な方向に反射し、上記同様の効果をより一層効果的に奏することになる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、前記赤外線を反射する材料が、コレステリック構造を有する液晶材料であるように構成する。この場合における好ましい液晶材料として、ネマチック液晶にカイラル剤を混合したカイラルネマチック液晶材料、又は、高分子コレステリック液晶材料を挙げることができる。
この発明によれば、赤外線を反射する材料がコレステリック構造を有する液晶材料(所謂コレステリック液晶)であり、そのコレステリック液晶は通常、フォーカルコニック状態ではなくプレーナ状態で凸形状のパターン形成部上に設けられるので、ペン型入力端末から照射された赤外線を様々な方向に反射でき、上記同様の効果を奏することができる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、前記液晶材料が、前記赤外線反射層を構成する組成物に含まれる結着材によって固定化されているように構成する。
この発明によれば、赤外線を効果的に反射することができる液晶材料が、赤外線反射層を構成する組成物に含まれる結着材によって固定化されているので、赤外線の反射性能を一層安定化させることができる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、前記パターン形成部におけるプライマー層と赤外線反射層とは、(a)該プライマー層を構成する成分と該赤外線反射層を構成する成分とが混合している領域、(b)該プライマー層と該赤外線反射層との境界が非直線状に入り組んでいる領域、(c)該赤外線反射層を構成する組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している領域、及び、(d)該プライマー層からなる第1の山と、該第1の山の中腹より上に形成された該赤外線反射層からなる第2の山とで構成された突起状の断面形態、のいずれか1又は2以上を有するように構成する。
この発明によれば、パターン形成部におけるプライマー層と赤外線反射層とが(a)〜(d)のいずれか1又は2以上の形態となり、プライマー層と赤外線反射層との境界部分が単純な境界面構造になっていないので、両層の密着性が向上している。そして、こうした形態は、赤外線反射パターン形成シートの製造時において、版面内に充填された赤外線反射材料組成物の透明基材への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われた形態を表している。さらに、かかる形態においては、その凸形状パターンをなすプライマー層と赤外線反射層との界面における赤外線反射面は、その凸形状の反射面が更に多種類の微小反射面で変調された複合構造を呈するため、赤外線の反射角度分布はより広がり、読み取り精度の一層の向上が可能となる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、前記プライマー層が、電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であるように構成する。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、前記赤外線反射層を構成する組成物に含まれる結着材が、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂であるように構成する。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、前記赤外線反射層上にはオーバーコート層が形成されているように構成する。
この発明によれば、赤外線反射層上に形成されたオーバーコート層が平坦化層として作用すれば、赤外線反射材料で反射した赤外線がオーバーコート層と空気との界面で不規則な屈折を起こさず、ペン型入力端末での赤外線の検知を安定した状態で行うことができる。さらに、オーバーコート層が保護層として作用すれば、ペン型入力端末を滑らかに掃引することができるとともに、赤外線反射層を保護することができる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの好ましい態様は、ディスプレイ装置に装着するための装着手段を備えているように構成する。この場合の装着手段としては、ディスプレイ装置に接触する接触面側に設けられ、ディスプレイ装置に貼り付けるための接着性又は粘着性を有する貼着具であるように構成することが好ましい。
上記課題を解決するための本発明の第1態様に係る赤外線反射パターン形成シートの製造方法は、透明基材の一方の面に所定のパターンで赤外線反射層が形成されてなる赤外線反射パターン形成シートの製造方法であって、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に赤外線反射層を形成できる赤外線反射材料組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該赤外線反射材料組成物を掻き取って該凹部内に該赤外線反射材料組成物を充填する赤外線反射材料組成物充填工程と、前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記赤外線反射材料組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の赤外線反射材料組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するプライマー層硬化工程と、前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材を前記版面から剥がして前記凹部内の赤外線反射材料組成物を前記プライマー層上に転写する転写工程と、前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された赤外線反射材料組成物を硬化させて赤外線反射層を形成する赤外線反射材料組成物硬化工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の第2態様に係る赤外線反射パターン形成シートの製造方法は、透明基材の一方の面に所定のパターンで赤外線反射層が形成されてなる赤外線反射パターン形成シートの製造方法であって、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に赤外線反射層を形成できる赤外線反射材料組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該赤外線反射材料組成物を掻き取って該凹部内に該赤外線反射材料組成物を充填する赤外線反射材料組成物充填工程と、前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記赤外線反射材料組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の赤外線反射材料組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、前記圧着工程後に前記プライマー層と前記赤外線反射材料組成物とを同時に硬化する同時硬化工程と、前記同時硬化工程後に前記透明基材を前記版面から剥がして前記凹部内の赤外線反射材料組成物を赤外線反射層として前記プライマー層上に転写する転写工程と、を有することを特徴とする。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの製造方法の好ましい態様は、前記プライマー層が電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であり、該プライマー層の流動性の保持を電離放射線の未照射又は加熱によって行うように構成する。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの製造方法の好ましい態様は、前記転写工程後において、前記プライマー層のうち前記赤外線反射材料組成物が転写された部分の厚さは、前記赤外線反射材料組成物が転写されていない部分の厚さよりも大きいように構成する。
本発明の赤外線反射パターン形成シートは、画像表示可能なディスプレイ装置の表面又は前方に装着される透明シートとして用いられるものであって、その赤外線反射層は、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末(「ペン型入力端末」ともいう。)を用いて赤外線の反射情報を読み取ることで該透明シート上における入力端末の位置に関する情報の提供を可能とするパターンとして作用するものである。したがって、本発明の赤外線反射パターン形成シートによれば、赤外線反射層を構成する組成物が、赤外線を反射する材料(赤外線反射材料)を含み、プライマー層のうち赤外線反射層が形成されているパターン形成部におけるプライマー層の厚さが、赤外線反射層が形成されていないパターン非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚いように構成されているので、凸形状になっているパターン形成部上に設けられた赤外線反射材料は、ペン型入力端末から照射された赤外線を様々な方向に反射する。その結果、ペン型入力端末は反射された赤外線を検知し易くなり、ペン型入力端末による反射情報の読み取り精度を向上させることができる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートの製造方法によれば、流動性を保持したプライマー層が形成された透明基材のプライマー層側と、赤外線反射材料組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着するので、凹部内の赤外線反射材料組成物上部に生じやすい凹みに流動性のあるプライマー層が充填される。その結果、プライマー層が赤外線反射材料組成物に空隙なく密着して凹部内の赤外線反射材料組成物を透明基材側に未転写部のない状態で正確に転写することができ、転写不良に基づく形状不良、低密着性等の不具合が生じない赤外線反射パターン形成シートを製造することができる。そして、その結果として、転写後の赤外線反射パターン形成シートは、プライマー層のうち赤外線反射層が形成されているパターン形成部におけるプライマー層の厚さが、赤外線反射層が形成されていないパターン非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚いように構成されるので、凸形状になっているパターン形成部上に設けられた赤外線反射材料組成物からなる赤外線反射層は、ペン型入力端末から照射された赤外線を様々な方向に反射するように作用する。その結果、ペン型入力端末は反射された赤外線を検知し易くなり、ペン型入力端末による反射情報の読み取り精度を向上させることができるという効果を併せ持つ。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[赤外線反射パターン形成シート]
図1は、本発明の赤外線反射パターン形成シートを用いるシステム全体の概略図であり、図2は、本発明の赤外線反射パターン形成シートを構成するドットパターンが不規則に配列した例を示す拡大平面図である。図3は、本発明の赤外線反射パターン形成シートを構成するドットパターンの一例を示す模式的な断面図である。また、図4は、ドットパターンの形態の一例を示す模式的な断面図であり、図5は、ドットパターンの形態の他の一例を示す模式的な断面図である。本発明の赤外線反射パターン形成シート(以下「シート10」と略す。)は、図3に示すように、透明基材1の表面にプライマー層2を介して赤外線反射層3が所定の透明パターン4で設けられており、その赤外線反射層3を構成する組成物が、赤外線を反射する材料を含んでいる。そして、プライマー層2のうち赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTが、赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚いことに特徴がある。こうしたシート10において、「透明パターン4」とは、図2及び図3に示すように、多数のドット状の赤外線反射層3が所定のパターンで転写性(転移率)よく設けられたものをいい、具体的には図2に示すように所定の不規則パターンで形成されている。
本発明に係るシート10は、画像表示可能なディスプレイ装置21の表面又は前方に装着される透明シートとして用いられるものであって、その透明パターン4は、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末(「ペン型入力端末22」ともいう。)を用いて赤外線の反射情報を読み取ることで該シート10上におけるペン型入力端末22の位置に関する情報の提供を可能とするパターンとして作用するものである。したがって、このシート10によれば、透明パターン4を構成する赤外線反射層3が、赤外線を反射する材料(赤外線反射材料)を含む赤外線反射材料組成物3’で形成されており、プライマー層2のうち赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTが、赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚いように構成されているので、凸形状になっているパターン形成部A上に設けられた赤外線反射材料は、ペン型入力端末22から照射された赤外線を様々な方向に反射する。その結果、ペン型入力端末22は反射された赤外線を検知し易くなり、ペン型入力端末22による反射情報の読み取り精度を向上させることができる。
図1において、ペン型入力端末22は、赤外線iを発し、透明パターン4を形成する赤外線反射層3で反射した反射光rを検知するものである。符号23は読取データ処理装置であり、ペン型入力端末22と読取データ処理装置23とは接続コード24等で接続されている。また、「シート10がディスプレイ装置21の前面に対向して装着される」とは、例えば、シート10がディスプレイ装置21の前面に直接接触して配置される場合、粘着剤層又は接着剤層を介して接着される場合、さらには空隙を介して非接触の状態でディスプレイ装置21の前方に配置される場合を含む概念である。また、「前面」「前方」とは、ディスプレイ装置21が画像を表示する表示面側、言い換えれば観察者側の面又は方向である。また、図3中の符号9の層は、赤外線反射層3を覆うオーバーコート層(詳細は後述する。)である。
以下、本発明のシート10の各構成を詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材1は、赤外線反射パターン形成シート(シート10)の基材であり、可視光を透過する材料であれば特に限定されないが、光学的不具合の少ない材料で形成されたものが好ましい。いわゆるフィルム、シート、あるいは板の形態のものが適宜用いられる。また、平坦なディスプレイ表面に合わせた平坦状のものであっても、湾曲面状のディスプレイ表面に合わせた曲面形状のものであってもよい。
透明基材1としては、ガラス等からなる無機基材であってもよいし、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリオレフィン等からなる樹脂基材であってもよい。
樹脂基材を構成する材料としては、アクリル樹脂(ここでは、所謂、メタクリル樹脂も包含する概念として用いる)、ポリエステル樹脂等をベースとするフィルムが好ましいが、これに限定されない。樹脂材料としては、具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリロニトリル等が使用できる。中でも、二軸延伸PETフィルムが透明性、耐久性に優れ、しかもその後の工程で紫外線照射処理や加熱処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有する点で好適である。
一方、無機基材を構成する無機材料としては、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛硝子、硼珪酸硝子、石英硝子、燐酸硝子等の硝子、結晶質石英(水晶)、方解石(炭酸カルシウム)、ダイヤモンド(金剛石)等の透明無機結晶、PLZT等の透明セラミックス等が挙げられる。
透明基材1は、ロール・トウ・ロールで加工可能な連続な長尺帯状フィルムであってもよいし、所定の大きさからなる枚葉フィルムであってもよい。なお、ここで「ロール・トウ・ロール」とは、長尺帯状の基材を巻取(ロール)の形態で供給し、その巻取から帯状シートを巻き出して所定の加工をし、しかる後に再度巻取の形態に巻き取って保管、搬送するフィルムの利用形態を意味する。
透明基材1の厚さは、通常20μm以上5000μm以下、カール性の観点から好ましくは100μm以上5000μm以下、の範囲から材料、要求性能及び使用形態に応じて適宜選定する。透明基材1の光透過率としては、ディスプレイ装置21の前面設置用として用いられるため、100%のものが理想であるが、透過率80%以上のものを選択することが好ましい。透明基材1の表面には、必要に応じて、後述するプライマー層2と透明基材1との密着性を改善するために易接着層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理を行ったりしてもよい。易接着層としては、透明基材1とプライマー層2との両方に接着性のある樹脂から構成する。易接着層の樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂の中から適宜選択する。
また、透明基材1としてTACフィルム等の高分子フィルムのような溶媒に溶解又は膨潤しやすい材料を用いる場合には、赤外線反射層3を形成する際に使用する赤外線反射材料組成物中の溶媒で透明基材1が侵されないように、透明基材1上にバリア層(図示しない)を設けてもよい。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やヒドロキシエチルセルロース(HEC)等の水溶性物質をバリア層として用いればよい。
なお、本発明では、後で詳述するプライマー層2を有するので、特開2008−165385号公報で提案するような広い読取角度を得るための凹凸層を透明基材1上に設ける必要はない。その結果、凹凸層を形成するための煩雑な工程が不要となるという利点がある。
(プライマー層)
プライマー層2は、透明基材1上に密着性よく設けられる。そして、このプライマー層2上には所定のパターン(ドット状の透明パターン4)で赤外線反射層3が密着性よく設けられる。したがって、プライマー層2は、透明基材1と赤外線反射層3の両方に対して密着性がよい樹脂材料で構成されていることが好ましく、また、赤外線反射層3との屈折率差が十分小さく、赤外線反射層3に比べて読み取りに使用される赤外線の反射率及び吸収率が十分低く、可視光線及び読み取りに使用される赤外線に対して透明な樹脂であれば特に限定はない。例えば、電離放射線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を塗工してなる層であることが好ましい。また、密着性、耐久性改善、各種物性付与のために各種添加剤や変性樹脂を使用してもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。透明基材1の材料がTAC(トリアセチルセルロース)等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂として、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂が好ましい。
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー(単量体)、或いはプレポリマーやオリゴマーが用いられる。モノマーとしては、例えば、ラジカル重合性モノマー、具体的には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、カチオン重合性モノマー、具体的には、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等も挙げられる。また、プレポリマー(乃至はオリゴマー)としては、例えば、ラジカル重合性プレポリマー、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマー、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートという表記は、アクリレート又はメタクリレートという意味である。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、また、カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100重量部に対して0.1重量部以上5重量部以下程度添加する。なお、電離放射線としては、紫外線又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いることもできる。
必要に応じて適宜添加剤を添加する。該添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、光拡散剤等が挙げられる。
特に本発明においては、プライマー層2が、版に接した状態で流動状態と硬化状態の2つの状態間を遷移保持できることに特徴がある。一例として、プライマー層2は、塗工した後においては流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられており、その後、プライマー層2上に赤外線反射材料組成物3’(図8参照)が転写形成される際においては短時間で流動状態から硬化状態に変化させることができるものであることが必要である。こうしたプライマー層2を透明基材1上に形成することにより、プライマー層2上に赤外線反射材料組成物3’を転写する際に、その赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができるので、赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2との密着性を高めて高い転写性を実現できるとともに、赤外線反射材料組成物3’が設けられたパターン形成部Aでのプライマー層2の厚さを厚くして凸形状にすることができるので、そのパターン形成部Aに設けられる赤外線反射層3での赤外線の反射を広い角度で実現させることができる。
なお、本願で言う「流動性」又は「流動状態」とは、プライマー層2を赤外線反射材料組成物3’が充填された版面に圧着又は塗工する際の圧力によって流動(変形)する性質又は状態をいい、水のように低粘度である必要はない。また、必ずしもNewton粘性である必要もなく、チキソトロピー性或いはダイラタンシー性のような非Newton粘性を有していてもよい。塗工に適した粘度に調整されたプライマー層2が透明基材1上に塗布された後、プライマー層2が熱可塑性樹脂である場合には、版面に圧着又は塗工する際に流動(変形)すればよく、プライマー層2は圧着又は塗工時において流動(変形)する温度になっていればよい。この場合、軟化状態と言い換えてもよい。流動状態になっているプライマー層2の粘度は、通常、1mPa・s以上100000mPa・s以下の範囲内であり、好ましくは、50mPa・s以上2000mPa・s以下の範囲内である。
そうしたプライマー層2の流動性状態は、プライマー層用樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、電離放射線硬化性を持ったプライマー層用インキを透明基材1上に塗布するだけで得られる。電離放射線硬化型のプライマー層用インキは、一般に前記のごとき電離放射線硬化性を持つモノマーやオリゴマーからなり、必要に応じて、更に、光重合開始剤(紫外線硬化、或いは光硬化の場合)、各種添加剤等を含み、電離放射線で硬化させるまでは流動性を示す。このプライマー層用インキは溶剤を含んでもよいが、その場合、塗布後に乾燥工程が必要であるため、プライマー層用インキは溶剤を含まないタイプ(いわゆるノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
また、プライマー層用樹脂として熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、流動性状態になる程度(例えば、50℃〜200℃程度)に加熱して生じさせることができる。こうした流動性状態のプライマー層2を、後述するように赤外線反射材料組成物が充填された版面に圧着した後、冷却することで硬化させて転写すれば、その赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができる。ここで、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布する方法としては、熱可塑性樹脂組成物の溶液を塗布後に乾燥する方法や、ホットメルト状態の樹脂を塗布する方法がある。また、透明基材1上に塗布された熱可塑性樹脂組成物の加熱は、赤外線反射材料組成物が充填された版面に接触する前に行ってもよく、版面に圧着する際に加熱ロール等を用いて圧着と加熱を同時に行ってもよいが、いずれにしろ、赤外線反射材料組成物3’をプライマー層2に転移する際にはプライマー層2の流動性がなくなる程度まで冷却されている必要がある。
プライマー層2の厚さは特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm以上100μm以下の程度(後述の厚さTで評価した数値)となるように形成される。また、プライマー層2の厚さ(T)は、通常は、赤外線反射層3とプライマー層2との合計値(総厚。図3で言うと赤外線反射層3の頂部と透明基材1の表面との高度差)の1%以上50%以下の程度である。なお、後の製造方法の説明欄で詳述するが、赤外線反射材料組成物3’がプライマー層2上に転写され、さらにその赤外線反射材料組成物3’を硬化させてシート10を製造した後におけるプライマー層2は、図3に示すように、赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aの厚さTが、赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bの厚さTよりも厚い。なお、透明パターン4の説明欄で詳述するように、プライマー層2の厚さの厚いパターン形成部Aの中腹7より上には赤外線反射層3が形成されている。
図3に示すプライマー層2は、パターン形成部Aの厚さが厚い山型形態(第1の山17)になっている。この第1の山17は、透明基材1の一方の面S1上に設けられた硬化させる前の流動状態のプライマー層2を、凹版62内に設けられた赤外線反射材料組成物3’に圧着し(後述する図9(A)(C)を参照)、又は、凹版62内に設けられた赤外線反射材料組成物3’上に硬化させる前の流動状態のプライマー層2を設け、そのプライマー層2と透明基材1とを圧着し(後述する図9(B)(C)を参照)、その結果として赤外線反射材料組成物3’の凹み6にプライマー層2を隙間なく充填した後に、プライマー層2を硬化し又はプライマー層2と赤外線反射材料組成物3’とを同時硬化し、その後に透明基材1を引き剥がすようにして透明基材1側にプライマー層2と赤外線反射材料組成物3’からなる赤外線反射層3とを転写したことよって生じたものである。
具体的には、後述の図8の製造工程図で例示するように、透明基材1上に流動状態のプライマー層2を設け、そのプライマー層2を赤外線反射材料組成物3’を凹部64内に充填した後の版面63に圧着し、赤外線反射材料組成物3’の凹み6にプライマー層2が隙間なく充填させた後にプライマー層2を硬化してなるものである。版面63は、ドクターブレード65やワイピングロール等によって凹部64内以外の余分な赤外線反射材料組成物3’が掻き取られるが、その際に、凹部64内の赤外線反射材料組成物3’の上部には、凹み6が生じやすく、その凹み6を有した状態で版面63にプライマー層2を圧着することにより、流動性のあるプライマー層2がその凹み6内に流入し、充填されて、その結果、図3に示すような山型形態になって第1の山17を構成する。こうした山型形態のプライマー層2を有する本発明のシート10は、特開2008−165385号公報に記載のように、レベリング剤や微粒子をプライマー層2に添加しなくても凸形状を形成できるので、コスト的にも製造上においても有利である。
なお、プライマー層2中には、適宜必要に応じ、本発明における赤外線反射層3の赤外線反射機能やモアレ防止効果を妨げない範囲で公知の各種添加剤や各種色素を適宜添加してもよい。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤等の光安定剤、分散安定剤等が挙げられ、色素としては、例えば外光反射防止用色素等のディスプレイ用フィルターにおいて公知の色素が挙げられる。
(赤外線反射層)
赤外線反射層3は、図2及び図3に示すように、多数のドット状に所定のパターンで転写性(転移率)よく設けられたものであり、具体的には図2に示すように平面内において所定の不規則パターンで設けられて透明パターン4を構成する。この赤外線反射層3は、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末22(図1を参照)により赤外線の反射層として読み取られ、シート10上における入力端末22の位置情報(位置座標)を特定するために作用する。そして、その赤外線反射層3を構成する組成物は、赤外線を反射する材料(赤外線反射材料という。)を含み、通常は、赤外線反射材料と結着材とを含んでいる。
ところで、赤外線反射材料としては、赤外線反射顔料、コレステリック液晶(CLC)、多層構造を持つ顔料などがあり、これらを効果的に使うにはある程度の厚さのドットを精度良く形成することが必要であるとされていた。しかしながら、従来のグラビア印刷では100μm程度のドットを精度良く印刷するのは難しく、インキ流れなどの問題があり、厚く印刷することも難しいという問題があった。インキを厚く盛るためにインキの粘度を上げると、インキの転移が起こり難くなって所望形状のドットを形成できないという問題もあった。また、ペン型入力端末22でドットを検知する場合、検知角度を広く確保するためにはドット内の赤外線反射面が均一に揃うのは好ましくなく、湾曲したりランダムになっているほうが好ましいとされている。しかしながら、通常の印刷の場合、透明基材は平坦な面であるため、特にコレステリック液晶を用いる場合には、液晶の配向を湾曲させるための材料的な工夫が必要であった。
こうした問題に対し、特開2008−165385号では、(i)透明基材上の固化されたプライマー層に予め凹凸を設け、その上に赤外線反射材料でドットを形成したり、(ii)固化されたプライマー層の表面に撥液性物質を添加して湾曲形状のドットを形成したり、(iii)固化されたプライマー層中に微粒子を含有させて凹凸表面とし、その上に赤外線反射材料からなる透明パターンを形成したり、(iv)赤外線反射材料からなる透明パターンを所定厚さで印刷した後にエンボス板を用いて機械的に凹凸処理したりして上記課題を解決することが提案されている。こうした方法でもある程度の効果はあるものの、別工程を付加したり、悪影響が生じる虞のある材料(微粒子等)を添加したりすることから、コスト及び特性の観点からさらなる改良が期待されていた。
本発明では、赤外線反射材料を含む組成物で赤外線反射層3を構成し、さらに、プライマー層2のうち赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTが、赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚いように構成されている。そのため、赤外線反射材料は凸形状になっているパターン形成部A上に設けられているので、その赤外線反射面は図3〜図5の断面図からもわかるように平坦面では無く、連続的に分布する種々の方向の面の集合体となる。例えば図1に示すペン型入力端末22から照射された平行乃至略平行光束から成る赤外線を様々な方向に反射することができる。その結果、ペン型入力端末22は、その入力端末の傾斜角度の依存性が減少し、反射された赤外線を検知し易くなり、ペン型入力端末22による反射情報の読み取り精度を向上させることができる。また、製造方法の説明欄で詳述するように、特殊な工程を加えることもなく、特殊な材料を添加することもないので、コスト及び特性の観点からも好ましい。
赤外線反射材料とは、赤外線領域の光に対して波長選択反射性を持つ材料のことであり、例えば、多層構造材料、赤外線反射顔料、又はコレステリック構造を有する液晶材料等を好ましく挙げることができる。これらの赤外線反射材料が山型形状になっているパターン形成部A上に設けられれば、その山型形状に沿った反射面を形成しやすく、その山型形状の面の法線方向に反射させ易いので、ペン型入力端末22から照射された赤外線iを様々な方向に反射し、上記同様の効果を奏することになる。なお、本発明において、赤外線反射材料が反射する赤外線iの波長は特に限定されないが、通常、800nm〜2500nmの近赤外領域の光であり、以下ではこの波長域の赤外線を念頭において説明する。
多層構造材料としては、赤外線を反射するような間隔で形成された赤外線反射面を有する層(赤外線反射層)で構成された多層構造材料を挙げることができる。その多層構造材料は、各層(赤外線反射層)のBragg反射によって特定波長の赤外線を反射するものである。即ち、反射すべき赤外線の波長をλ、その多層構造における反射面間隔をd、その赤外線反射材料の平均屈折率をn、その反射面の法線に対する赤外線の入射角をθとした場合に、これら各量は、2・d・n・cosθ=λ、の関係を有する。特に、θ=0°(垂直入射)の場合を考えると、2・d・n=λ、となる。例えば、θ=0°でλ=850nm、n=1.8とした場合、多層構造における反射面間隔は、d=236nmとなるものを選定する。
具体的には、コレステリック液晶の架橋体のような固定化されたコレステリック構造を有する多層液晶材料3aを、結着材3bに混ぜて赤外線反射材料組成物3’とし、その赤外線反射材料組成物3’で赤外線反射層3を形成することができる(図4を参照)。また、予め所定の厚さで作製したコレステリック液晶の架橋体(固化物)を所定の大きさにまで破砕した多層液晶材料を結着材3bに混ぜて赤外線反射材料組成物3’とし、その赤外線反射材料組成物3’で赤外線反射層3を形成することもできる。なお、液晶は一般には流動性を有する状態のものを指すが、この多層液晶材料3aは、流動性を有する液晶材料を架橋、冷却等の手段により、液晶の持つ光学特性、屈折率、異方性等の所望の性能を維持する状態で固化させ、非流動状態としたものである。
赤外線反射顔料は、赤外線反射材料の粉末乃至粒子が用いられる。そうした赤外線反射材料を例示すると、無機系材料としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム錫(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)等の複合金属酸化物、アルミニウム、金、銅等の金属、或は、特開2004−4840号公報に記載の、天然又は合成雲母、別の葉状珪酸塩、ガラス薄片、薄片状二酸化珪素又は酸化アルミニウム等の透明支持材料と、金属酸化物の被覆とからなる干渉顔料等も用いることができる。
また、有機系材料顔料としては、例えば、特開2005−330466号公報及び特開2002−249676号公報に記載されている顔料が挙げられ、中でも、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジケトピロロピロール系、アゾメチン系及びアゾメチンアゾ系の有機色素が好ましく挙げられる。
実際に、透明インキに含有させて使用する場合に市販されている具体例としては、例えば、SYMULER FAST YELLOW 4192(ベンツイミダゾロン)、FASTONGN SUPER RED 500RG(キナクリドン)、FASTONGN SUPER RED ATY(ジアミノアンスラキノニル)、FASTONGN SUPER VIOLET RVS(ジオキサジン)、FASTONGN SUPER MAG ENTA R(キナクリドン)、FASTONGN SUPER BLUE 6070S(インダンスロン)、FASTONGN BLUE RSK(フタロシアニンα)、FASTONGN BLUE 5380(フタロシアニンβ)、FASTONGN GREEN MY(ハロゲン化フタロシアニン)(いずれも商品名;大日本インキ工業株式会社製)等のうち、目的の波長で所望の反射率を示すものが好ましく用いられる。
これらの中でも、特に、フタロシアニンα、フタロシアニンβ、ハロゲン化フタロシアニンが好ましい。上記材料から適宜選択した1種或は2種以上の顔料を結着材に混ぜて赤外線反射材料組成物3’とし、その赤外線反射材料組成物3’で赤外線反射層3を形成することができる。
こうした多層構造材料や赤外線反射顔料と併用される結着材3bとしては、透明であればよいが、できれば電離放射線硬化型樹脂が好ましく用いられる。なお、所定の流動性を確保するための増粘剤を配合してもよく、粘度調整することにより赤外線反射材料組成物3’として好ましく用いることができる。この結着材3bと増粘材については後述する。
一方、コレステリック構造を有する液晶材料(所謂コレステリック液晶材料)としては、ネマチック液晶にカイラル剤を混合したカイラルネマチック液晶材料、又は、高分子コレステリック液晶材料、を好ましく挙げることができる。具体的には、こうした液晶材料を山型形状になっているパターン形成部A上に設け、且つその山型形状に沿って配向させれば、その山型形状に沿った反射面を形成しやすく、その山型形状の面の法線方向に反射させ易い(図5を参照)。その結果、ペン型入力端末22から照射された赤外線iを様々な方向に反射し、上記同様の効果を奏することになる。特にコレステリック液晶は、フォーカルコニック状態ではなくプレーナ状態で山型形状のパターン形成部A上に設けられるので、ペン型入力端末22から照射された赤外線iを様々な方向に反射できる。
コレステリック液晶材料としては、溶液タイプのものと、高分子量タイプのものの2種類があるが、溶液タイプのコレステリック液晶材料は、光架橋性を有するコレステリック液晶溶液を後述の凹部64(図8及び図9参照)内に充填し、溶剤を飛ばしながら配向温度で処理するとともに、その上から流動性のプライマー層2を圧着してプライマー層2の形状に沿って配向させる。配向の間隔はカイラル剤の配合比で制御することができ、また、粘度の調整は液晶溶液の濃度、溶媒、液晶の種類などで調整することができる。また、必要に応じて増粘剤などを添加する。その後においては、プライマー層2と同時に又は液晶材料を単独で電離放射線(UV等)により架橋させ、面間隔を固定する。
このコレステリック液晶材料は、コレステリック規則性を有するコレステリック液晶相を呈する液晶材料であるが、赤外線反射層3を形成した後においては、流動性が発現しないように液晶材料を固定化させる必要がある。そのため、重合性のネマチック液晶に重合性のカイラル剤を混合した重合性のカイラルネマチック液晶材料(重合性モノマー又は重合性オリゴマー)、又は高分子コレステリック液晶材料を好ましく使用することができる。
その重合性のネマチック液晶や重合性のカイラルネマチック液晶においては、特に架橋可能な重合性モノマー又は重合性オリゴマーを用いることが好ましく、重合性官能基としてアクリレート構造を有しているとさらに好ましい。こうした重合性の液晶材料がコレステリック相を呈する温度範囲については特に制限はなく、コレステリック相の状態で架橋により固定化できればよいが、コレステリック相を呈する温度が30℃〜140℃の範囲であれば、赤外線反射層形成時の乾燥工程と液晶の相転移とを同時に行えるため好ましい。このような液晶材料であれば、液晶分子をコレステリック液晶の状態のままで光学的に固定化することができ、シート10としての取り扱いが容易な、常温で安定した赤外線反射層3を形成することができる。
前記した架橋可能な重合性モノマーとしては、特開平7−258638号公報、特表平11−513019号公報、特表平9−506088号公報及び特表平10−5088822号公報に開示されているような、液晶性モノマー及びカイラル化合物の混合物を用いることができる。例えば、ネマチック液晶相を呈する液晶性モノマーにカイラル剤を添加することによりカイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)が得られる。なお、コレステリック液晶の製膜法は、特開2001−5684号公報や特開2001−110045号公報にも記載されている。
本発明で用いることができるネマチック液晶分子(液晶性モノマー)としては、例えば下記化合物(1)〜(11)が挙げられる。ここに例示した化合物はアクリレート構造を有し、紫外線照射等により重合させることが可能である。なお、化合物(11)において、Xは2〜5(整数)である。
Figure 2010085532
Figure 2010085532
また、前記した架橋可能な重合性オリゴマーとしては、特開昭57−165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。
さらに、前記した液晶ポリマーとしては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9−133810号公報に開示されているような液晶性高分子、特開平11−293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
用いられるカイラル剤は、不斉炭素原子を有し、ネマチック液晶と混合することでカイラルネマチック相を形成する材料であって、重合性を有するものであれば特に制限はないが、化合物(12)として例示するようなアクリレート構造を有する材料は、紫外線照射により重合可能であるため好ましい。化合物(12)中、Xは2〜5(整数)である。
Figure 2010085532
赤外線反射層3の赤外線を反射する性質は、後述するように、コレステリック構造を持った液晶材料の波長選択反射性(X線回折におけるBragg反射と同様な原理)を利用したものであり、その選択反射ピーク波長(Bragg反射条件を満たす波長)は、赤外線反射層3に含まれるコレステリック構造のピッチ長で決定されるが、液晶材料としてネマチック液晶とカイラル剤を用いる場合には、カイラル剤の添加量を調整することによりピッチ長を制御できる。目標とする赤外線領域の選択反射ピーク波長を得るためのカイラル剤の添加量は、使用する液晶の種類やカイラル剤の種類により異なるが、例えば化合物(11)の液晶と化合物(12)のカイラル剤を用いる場合には、液晶100重量部に対してカイラル剤3重量部程度を添加することにより、赤外領域に反射ピークを持つコレステリック相が形成される。液晶材料に高分子コレステリック液晶を用いる場合は、目的とするピッチ長を有するポリマー材料を選べばよい。
ネマチック液晶分子とカイラル剤との重合体は、例えば、重合性ネマチック液晶と重合性カイラル剤に公知の光重合開始剤等を添加し、紫外線を照射してラジカル重合させることにより得ることができる。また、赤外線反射層3を形成する際、重合性モノマー又は重合性オリゴマーやカイラル剤を溶媒に溶解した組成物を用いることが好ましい。このときの溶媒としては、材料に対し十分な溶解性を持つ限り特に限定されず公知のものを用いればよく、例えば、アノン(シクロヘキサノン)、シクロペンタノン、トルエン、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMA(N,N−ジメチルアセトアミド)、酢酸メチル、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル等の一般的な溶媒や、それらの混合溶媒が挙げられる。
一方、高分子量タイプのコレステリック液晶材料は、高いガラス転移点を有し、加熱後に冷却することにより常温でガラス状態に固化することが可能な液晶ポリマーである。こうした高分子コレステリック液晶材料も上記同様、液晶分子をコレステリック規則性を有した液晶の状態のままで光学的に固定化することができ、本発明に係るシート10としての取り扱いが容易な、常温で安定した赤外線反射層3を形成することができる。こうした高分子量タイプのコレステリック液晶材料は、加熱により流動性を発現するので、加温した状態で凹部64(図8及び図9参照)内に充填し、その上から流動性のプライマー層2を圧着した後に冷却することにより、プライマー層2の形状に沿って配向させてもよい。また、必要に応じて架橋処理などを行なうことができる。
赤外線反射層3を構成する赤外線反射材料組成物3’には、広い読取角度等を得る目的で、レベリング剤や微粒子等を配合することができる。レベリング剤や微粒子としては、液晶の配向を必要以上に(液晶材料のらせん軸に所望の角度(分布)を付与する以上に)乱さないものであれば特に制限なく用いることができる。
以上説明したコレステリック液晶材料としては、赤外線領域の少なくとも一部の波長において高反射率(通常5%〜50%程度)を有するものであればよく、可視光線領域の波長において必ずしも高透過性であることは要求しない。その理由は、仮にコレステリック液晶材料が完全不透明であったとしても、そのコレステリック液晶材料の非形成部(図3に示すパターン非形成部B)の面積を適度に大きく取り、そこからの透過光を利用すれば、シート10全体としては、所望の透明性を得ることができるからである。ただし、そのコレステリック液晶材料の可視光線透過率は高い方が好ましいことは勿論である。
図4及び図5に示す断面形態は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)での観察によって確認することができる。図4に示す赤外線反射層3は、一定の繰返し周期からなる多層液晶材料3aを含んでおり、その多層液晶材料3aを構成する面の法線と透明基材1の表面の法線とが成す角度が0°〜45°の範囲内を示すことが好ましく、特に0°〜80°の範囲内を示すことがより好ましい。また、図5に示す赤外線反射層3も、液晶材料のらせん軸と透明基材の表面の法線とが成す角度が0°〜45°の範囲内を示すことが好ましく、特に0°〜80°の範囲内を示すことがより好ましい。ここで、「透明基材1の表面の法線」とは、透明基材1がディスプレイ装置21の湾曲面に沿って湾曲した場合等により非平面となった場合も考慮したためであり、透明基材1が平面の場合は単なる垂線と一致する。
(コレステリック液晶材料)
ここで、上記したコレステリック液晶材料について詳しく説明する。コレステリック(カイラルネマチック)液晶材料とは、液晶分子が透明基材1の表面に対して法線の方向(下記の光の入射角θ=0°)に、多層構造となる一定周期のらせん(螺旋)構造(コレステリック構造のこと。)を有し、これに起因する特徴的な光学的性質を発現する。そのコレステリック液晶材料の特徴は、らせんの特性に対応した選択反射特性を示すことである。即ち、らせんの旋回方向に対応(らせんの旋回方向と一致)した旋回方向の円偏光を旋回方向は不変のままで反射するという円偏光選択反射性、及び該らせんピッチに対応した特定波長帯域の光を反射するという波長選択反射性、を有することである。
波長選択反射性については、具体的には、選択反射波長λ(ピーク波長λnm)は、一般に次式で与えられる。
λ=p・n・cosθ
p:コレステリック液晶のらせんピッチ(nm)
n:液晶のらせん軸に直交する面内の平均屈折率
θ:光の入射角(面の法線からの角度)
また、該選択反射波長λ(ピーク波長λ)の帯域幅Δλ(nm)は、一般に次式で与えられる。
λ=p・Δn・cosθ
p:コレステリック液晶のらせんピッチ(nm)
Δn:液晶のらせん軸に直交する面内の複屈折率
θ:光の入射角(面の法線からの角度)
コレステリック液晶材料は、このような選択反射性能を有し、取り扱いが容易であり、そして加工性に優れていることから工業的に広く適用することができるとされている。しかし、選択反射波長λに関する上記の式から、コレステリック液晶材料は入射角θが増加すると反射される光の波長が減少するため、反射波長が所定の波長から逸脱する、すなわち読取角度が制限されることがわかる。本発明に係るシート10においては、コレステリック液晶材料のらせん軸と、透明基材1の表面の法線とのなす傾き角が少なくとも0〜45°の範囲内で分布を有することで、上記のような読取角度の制限を解消して、より広い読取角度を得るものである。
コレステリック液晶材料の1ピッチとは、細長い液晶分子がらせんを描いて360°回転する軸の長さであるが、実際に断面を観察すると、180°回転するごとに繰り返しの層構造が見えることが確認できる。したがって、断面を観察したときに見える見掛けの層間ピッチは、液晶のらせんピッチの1/2であり、例えば、断面観察したときに見える見掛けの層間ピッチが250nmであれば、液晶のピッチは500nmとなる。
なお、円偏光を入射した場合、樹脂、ガラス等の一般に基板として用いられる材料からなる透明基材1については、表面で反射する光の円偏光成分の回転方向は反転する。一方、コレステリック液晶材料の表面においては、表面で反射する光の円偏光成分の回転方向はそのままで不変である。よって、その性質を利用すれば、円偏光フィルター等と組み合わせることにより、赤外線反射層3からの反射光とその背景光(パターン部以外からの反射光)のSN比を改善することが可能である。
通常のコレステリック液晶材料の塗膜においては、コレステリック構造のらせん軸は、実質上、基材の法線方向に一様に向いており、コレステリック構造がなすBragg反射面は平行平面群をなしている。その場合、特定の一入射角に対しては特定の一反射角のみとなるため、書込み時のペン型入力端末22の傾きに応じて、入力端末22に戻る反射光rの光量は増減し、結局、読取角度(許容できる入力端末の傾斜角)は狭くなる。
一方、本発明に係るシート10では、コレステリック液晶材料がパターン形成部Aで山型形状を成すプライマー層2上に設けられ、その結果として釣鐘状、半球状又はこれらに類似するように湾曲する赤外線反射層3を形成する。その結果、赤外線反射層3を構成するコレステリック液晶材料のらせん軸と透明基材の表面の法線とがなす角度が通常0〜45°乃至は0〜80°程度の範囲内となる。その理由は、コレステリック液晶材料において、コレステリック構造がなすBragg反射面(群)の多くが、その赤外線反射層3の表面形状にならって湾曲し、山型形状のプライマー層表面と平行又は略平行になっているためである。
このように、本発明に係るシート10は、特定の一入射角の入射光線に対して、釣鐘状等からなる赤外線反射層3の表面形状に沿った複数の反射面で反射した複数の反射光rを生じる特性を有するため、書込み時の入力端末22がある範囲内で傾斜しても、入力端末22に何れかの反射光rが入射すれば、赤外線反射層3の検知が可能となる。この特性により、本発明のシート10は、入力端末22に戻る反射光rの光量の増減の変動が少なくなり、かつ反射光rの光量もある角度の範囲内で一定量以上に保つことが可能となり、読取角度(許容できる入力端末22の傾斜角)が広くなるという利点がある。
(透明パターン)
透明パターン4は、赤外線反射層3が所定のパターンで形成されてなるものである。この透明パターン4は、センサーを備えた入力端末22にて読み取った部分的なパターンから、シート10面上における入力端末22の位置情報を導き出すことができるよう設定されている。こうしたパターンについては、特許文献1にも例示されており、例えばドットの形状を複数設定し、平面内において、所定範囲内に配置されたこれら複数形状のドットの組み合わせをパターン化したようなもの、縦横に配置した罫線の太さを変えて、所定範囲内の前記罫線の重なり部分の大きさの組み合わせをパターン化したようなもの、x、y座標の値を直接ドットの縦横の大きさと結びつけたもの等が挙げられるが、特に簡素で好適なものとしては、縦横に等間隔に並ぶ基準点を設定して、この基準点に対して上下左右に変位したドットを配置し、これらドットの当該基準点からの相対的な位置関係を利用したものが挙げられる。
本発明のシート10において、入力端末22に備えられた赤外線センサーにより反射パターン(透明パターン4)を検知するには、選択反射ピーク波長における赤外線反射率が大きいほうが好ましい。通常は、選択反射ピーク波長において、反射率が5%〜50%程度であることが好ましく、20%〜50%であることがより好ましい。なお、コレステリック構造による反射は、コレステリック螺旋と同じ向きの円偏光のみを反射する性質があるため、最大でも50%程度となる。
コレステリック構造による反射の場合、コレステリック液晶材料からなる赤外線反射層3の厚さが厚いほど反射強度が大きくなるが、厚すぎると液晶の配向性の不必要な乱れや透明性の低下、乾燥負荷の増大を招くため、赤外線反射層3の厚さは通常1μm〜20μm程度であり、好ましくは3μm〜15μm程度である。コレステリック液晶構造のらせんピッチ数が10〜20ピッチ程度で反射率は飽和状態になるとされているが、液晶組成と固化条件が決まれば、実際の製造上は、反射強度が飽和する膜厚を実験的に求め、反射率の最適化を図ればよい。
透明パターン4がドットパターンである場合、ドット形状は隣接するドットと容易に区別できれば特に制限はなく、通常は、平面視形状が、円、楕円、多角形等の形状が用いられる。また、ドットの立体形状については、後述する製造方法で製造された釣鐘状、半円状又はそれに類する形状である。詳しくは以下に説明する。
(透明パターンの断面形態)
次に、透明パターン4の断面形態について詳しく説明する。透明パターン4は、図3に示すように、プライマー層2のうち赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aが、プライマー層2からなる第1の山17と、第1の山17の中腹7より上に形成された赤外線反射層3からなる第2の山18とで構成された突起状(凸型形状)の断面形態をなしている。ここで、「中腹7」とは、赤外線反射層3からなる第2の山18が設けられている第1の山17(プライマー層2)の斜面において、赤外線反射層3が形成されたパターン形成部Aと赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bとの境界部と言うことができ、「麓部13」とは、赤外線反射層3からなる第2の山18が設けられていない第1の山17(プライマー層2)の斜面を指している。なお、図3において、符号8は、平坦部又は平坦面を指しており、プライマー層2からなる第1の山17の麓部13が終わった領域である。
図6及び図7は、透明パターン4(4A〜4D)の第1形態〜第4形態を示す模式断面図である。透明パターン4は、プライマー層2と、プライマー層2上に所定のパターンで形成された赤外線反射材料組成物3’からなる赤外線反射層3とで構成されている。図6及び図7に示す透明パターン4A〜4Dは、そのいずれにおいても、赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTが、赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚くなっている。
こうした形態は、平坦面からなるプライマー層2上に赤外線反射層3が形成されている場合に比べ、プライマー層2と赤外線反射層3との密着性に優れるという形態由来の効果がある。また、こうした形態は、後述する製法に起因するものであって、版面上でドクターブレードやワイピングロール等によって凹部内以外の余分な赤外線反射材料組成物3’が掻き取られた際に、その凹部内の赤外線反射材料組成物3’の上部には凹み6が生じやすく、その凹み6を有した状態で版面にプライマー層2を設けることにより、流動性のあるプライマー層2がその凹み6内に充填され、硬化後に剥離することによって生じたものである。各透明パターン4は、プライマー層2が赤外線反射層3に空隙なく密着し、赤外線反射層3の転写不良に基づく形状不良、低密着性等の不具合が生じないシート10を提供できる。
「T>T」からなる構造は、パターン非形成部Bにもプライマー層2が存在していること、及び/又は、パターン非形成部Bに赤外線反射層3を構成する赤外線反射材料組成物3’が実質的に存在しないこと、である。前者の「パターン非形成部Bにもプライマー層2が存在していること」により、例えば後述する転写工程時に赤外線反射材料組成物3’はプライマー層2とともに透明基材1に確実に転写する。すなわち、転写工程時において、版面から透明基材1とプライマー層2とを剥がす際には、版面の凹部内に充填された赤外線反射材料組成物3’が「引き剥がし抵抗」になり、その赤外線反射材料組成物3’がプライマー層2とともに透明基材1から剥がれて凹部内に残ろうとする。しかしながら、本発明では、パターン形成部Aのプライマー層2とパターン非形成部Bのプライマー層2とは厚さこそ違うものの連続して透明基材1上に設けられているので、その「引き剥がし抵抗」に抗し、前記赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2とからなる透明パターン4を凹部から引き剥がして良好に転写することができる。
この転写工程の際には、(1)版面の凹部と赤外線反射材料組成物3’との密着力をF1とし、(2)赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2との密着力をF2とし、(3)プライマー層2と透明基材1との密着力をF3としたとき、密着力F1〜F3のうちで密着力F1が最も小さくなっていることが、転移性を向上させるための好ましい条件となるが、本発明のシート10の構成材料においては特に凹部内面をアンカー処理(例えば微細凹凸を形成する等の処理)を行わない限り通常その条件を満たすものになっている。仮に、例えば透明基材1として用いられるガラス基材等の無機基材を用いた場合には、密着力F1〜F3のうち、密着力F1とF3との大きさが問題になるが、この場合であっても、密着力F1〜F3のうちでF1が最も小さくなっている場合が多い。そうした好ましい条件を満たすために、必要に応じて透明基材1の表面を処理してプライマー層2との密着力を向上させるようにしてもよい。なお、上記F1〜F3の大きさは、転移性を向上させる上で好ましい条件の一つとして挙げることができるが、その条件が必須の条件というわけではない。
また、後者の「パターン非形成部Bに赤外線反射層3を構成する赤外線反射材料組成物3’が実質的に存在しないこと」により、例えばシート10がディスプレイ装置21の前面に配置されて使用され、ペン型入力端末22から赤外線iを照射した際に、パターン非形成部Bでの赤外線の反射を起こさないので、位置情報の精度を高めることができる。なお、ここでいう「赤外線反射材料組成物3’が実質的に存在しない」とは、赤外線反射材料組成物3’が全く存在していない場合を含み、さらに、ある程度存在していても赤外線を反射しない程度の赤外線反射材料組成物3’の存在を許容することを意味している。
図6及び図7に示す4つの形態は、上記特徴を有する透明パターン4の更なる特徴を示したものであり、図3に示す透明パターン4をさらに詳しく表した形態である。なお、第1〜第4形態の透明パターン4は、透明パターン4の形状がいずれも釣鐘状であるが、これは、透明パターン4を形成するための賦形型を釣鐘状にしたためであり、こうした形状に限定されない。
第1形態の透明パターン4Aは、図6(A)に示すように、プライマー層2と赤外線反射層3との境界部分12が非直線状に入り組んだ形態である。この形態において、その境界部分12は、プライマー層2を構成する樹脂と赤外線反射層3を構成する赤外線反射材料組成物3’が含む液晶材料や結着材との界面である。例えば、赤外線反射材料組成物3’が図4に示す多層液晶材料3aと結着材3bとで構成されている場合には、その界面は、赤外線反射層3中の多層液晶材料3aと結着材3bとプライマー層2を構成する樹脂とが入り組んだ非直線状の態様で形成される。このときの入り組みの程度は、多層液晶材料3aの形状や大きさに影響を受ける。また、例えば、赤外線反射材料組成物が図5に示す配向させた多層液晶層3cである場合には、プライマー層2を凹部内に圧着する際の圧力等によって、プライマー層2と赤外線反射層3との境界部分が入り組んだ形態になっている。なお、この第1形態の透明パターン4Aにおいて、入り組んだ境界部分12は、全体としては(包絡面形状としては)中央が高い山型の断面形態となり、第1の山17を構成する。
こうした第1形態の透明パターン4Aは、そもそも平坦面でない第1の山17からなるプライマー層2上に赤外線反射層3が形成されていることを以ってしても密着性がよいのに加え、上記のように境界部分12が非直線状に入り組んだ形態になっているので、所謂投錨効果により、プライマー層2と赤外線反射層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こうした透明パターン4Aを形成する際にも、版凹部内に充填された赤外線反射材料組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果も備えている。
第2形態の透明パターン4Bは、図6(B)に示すように、プライマー層2と赤外線反射層3との境界部分12に、プライマー層2に含まれるプライマー成分と、赤外線反射材料組成物3’を構成する成分とが混合する領域14が存在している形態である。図6(B)では境界部分12をラインとして明確に表しているが、実際の混合領域14では、そうした境界ラインは明確には現れておらず、明瞭でない曖昧な境界部分が現れる。また、図6(B)では混合領域14は、境界部分12を上下に挟むように存在する。この場合は、プライマー層2中のプライマー成分(例えば溶剤など)と赤外線反射層3中の任意の成分(例えばモノマー成分など)とが両層内に相互に浸入する場合である。なお、混合領域14が境界部分12の上側のみに存在しても下側のみに存在してもよい。混合領域14が境界部分12の上側のみに存在する場合としては、プライマー層2中のプライマー成分が赤外線反射層3内に浸入し、赤外線反射層3中の任意の成分がプライマー層2内に浸入しない場合であり、一方、混合領域14が境界部分12の下側のみに存在する場合としては、赤外線反射層3中の任意の成分がプライマー層2内に浸入し、プライマー層2中のプライマー成分が赤外線反射層3内に浸入しない場合である。なお、混合領域14の厚さ(図6(B)の上下方向の厚さ)は特に限定されない。
こうした第2形態の透明パターン4Bも上記第1形態の場合と同様、そもそも平坦面でない第1の山17からなるプライマー層2上に赤外線反射層3が形成されていることを以ってしても密着性がよいのに加え、上記のように境界部分12に混合領域14を有するので、プライマー層2と赤外線反射層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こうした透明パターン4Bを形成する際にも、版凹部内に充填された赤外線反射材料組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果も備えている。
第3形態の透明パターン4Cは、図7(A)に示すように、赤外線反射層3を構成する赤外線反射材料組成物中に、プライマー層2に含まれるプライマー成分16が存在している形態である。図7(A)ではプライマー成分16が境界部分12で多く、頂部に向かって少なくなってゆく態様を模式的に表しているが、こうした態様には特に限定されず、要するに、プライマー成分16が赤外線反射層3内に存在していればよい。プライマー成分16は、赤外線反射層3の頂部から検出される程度に赤外線反射層3内に浸入していてもよいし、境界部分12近傍で検出される程度であってもよい。なお、第3形態において、特に、プライマー成分16が赤外線反射層3内に存在している領域が境界部分12の近傍に局在化している場合が、第2形態において混合領域14が境界部分12の上側にのみ存在する形態に相当するといえる。
こうした第3形態の透明パターン4Cも上記第1及び第2形態の場合と同様、そもそも平坦面でない第1の山17からなるプライマー層2上に赤外線反射層3が形成されていることを以ってしても密着性がよいのに加え、上記のようにプライマー成分16が赤外線反射層3に存在する程度に浸入しているので、プライマー層2と赤外線反射層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こうした透明パターン4Cを形成する際にも、版凹部内に充填された赤外線反射材料組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果も備えている。
なお、上記の第2及び第3形態の透明パターン4において、プライマー層2中のプライマー成分16が赤外線反射層3中に浸入した場合、プライマー成分16にもよるが、そのプライマー成分16が赤外線反射材料組成物を増粘又はゲル化しもしくは半固化状態とし、又はプライマー中の硬化性成分を赤外線反射材料組成物内に浸入させることができる。その後、プライマー層2のみを硬化した後の転写工程において、増粘され又は半硬化した赤外線反射材料組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)することができる。また、プライマー層2と赤外線反射材料組成物とを同時硬化した後の転写工程においては、両層の層間接着力が高まるので、赤外線反射材料組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)することができる。
第4形態の透明パターン4Dは、図7(B)に示すように、その土台部分(麓部13)がプライマー層2の突出部で構成された第1の山17であり、その第1の山17の上に形成される赤外線反射層3は、その土台部分の上端部(第1の山17の中腹7)より上側に設けられた第2の山18であるように構成されている。この第4形態の特徴は、図7(B)に示すように、第1の山17の中腹7に、輪郭面の傾斜の不連続部を有するように構成されていることにある。こうした不連続部の作用により、赤外線反射層3の脱落をさらに抑制できる。かかる輪郭面の傾斜の不連続部は、後述する製造方法の過程でプライマー層2が赤外線反射材料組成物3’内に流入する際に生じたものである。プライマー層2の第1の山17の輪郭面(外表面)の傾斜が不連続的に変化する部分である。さらに、この第4形態(第1〜第3形態も同様)において、赤外線反射層3のサイドエッジ5が、斜めにせり上がる麓部13の傾斜形態に近い角度になっているので、赤外線反射層3のサイドエッジ5の先端部(符号7の部分)がプライマー層2から剥がれ難くなっている。
上記の第1〜第4形態の透明パターン4の特徴は少なくとも1つ有することが好ましいが、それらの特徴を2つ以上有していてもよく、4つの全てを有していてもよい。
また、以上説明した第1〜第4形態に係る透明パターン4は、上記の効果に加え、赤外線反射材料組成物(赤外線反射層3)の転移性を改善できるため、通常のグラビア印刷等の凹版を利用する方法に比べ、転移後の赤外線反射材料組成物(赤外線反射層3)の厚さを厚くすることもできる。
以上、本発明のシート10の構成について説明したが、本発明のシート10は、透明基材1上に設けられたプライマー層2のうち、赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aの厚さTは赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bの厚さTよりも厚い形態になっているので、上記課題で指摘した凹み6を充填するようにプライマー層2が設けられている。こうした形態からなるプライマー層2は、シート10の製造時に、ドクターブレードやワイピングロール等で掻き取った後の凹部内の赤外線反射材料組成物上部の凹み6に充填して形成されたものであり、その結果、プライマー層2に赤外線反射材料組成物が密着性よく圧着し、赤外線反射材料組成物3’の転写不良に基づく形状不良、低密着性等の不具合が生じないシート10を提供できるという効果がある。
また、本発明のシート10において、プライマー層2は少なくとも赤外線反射層3の下に設けられているが、プライマー層2が透明パターン4の形成領域以外のいわゆる開口部、すなわち赤外線反射層3が形成されていない透明基材1上にも全面に亘って存在していることが好ましい。プライマー層2を全面に形成することにより、プライマー層2が赤外線反射層3の下のみに存在して開口部には存在しない場合と比べ、透明パターン4の透明基材1からの剥離は起こり難いという効果がある。
透明パターン4の形成方法は後に詳述するが、ここでは簡単に説明する。図8は、本発明のシート10の製造方法の一例を示す工程図である。透明パターン4の形成は、図8に例示するように、先ず、所定のドットパターンで凹部64が形成された板状又は円筒状の版面63に赤外線反射材料組成物3’を塗布した後、その凹部64内以外に付着した赤外線反射材料組成物3’をドクターブレード65等で掻き取って凹部64内に赤外線反射材料組成物3’を充填する。次に、流動性を保持したプライマー層2を一方の面S1に形成した透明基材1を準備し、その透明基材1のプライマー層2側と、赤外線反射材料組成物3’を凹部64内に充填した版面63とを圧着することにより、赤外線反射材料組成物3’の凹み6内にもプライマー層2を充填させて赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2とを隙間なく密着させ、その状態でプライマー層2の流動性をなくした(硬化させた)後、赤外線反射材料組成物3’をプライマー層2とともに透明基材1側に転写し、所定のドットパターンからなる赤外線反射材料組成物3’を形成する。なお、赤外線反射材料組成物3’はプライマー層2上に転写した後に硬化処理(例えば、乾燥処理、紫外線・電子線照射処理、加熱処理、冷却処理等)を行ってもよいし、プライマー層2と同時に硬化処理を行ってもよく、赤外線反射層3が形成される。
本発明は、透明パターン4がこうした方法で形成されることに特徴を有するので、用いる赤外線反射材料組成物3’は、版の凹部64内に充填する時点では流動性を有し、硬化処理によって硬化して所望の赤外線反射特性を有するものが好ましく、上記した赤外線反射材料組成物が使用可能である。したがって、赤外線反射層3は、赤外線反射材料組成物を乾燥ないし硬化させた後の固形物からなる塗膜のことである。赤外線反射材料組成物の粘度は、プライマー層2中のプライマー成分が赤外線反射材料組成物中に浸入して増粘させたり、プライマー層2と赤外線反射材料組成物とを同時硬化させたりする場合等、その製造工程上との関係で好ましい粘度とすることが望ましく、使用可能な範囲としては、通常、100mPa・s以上1000000mPa・s以下の範囲内であり、好ましくは、数千mPa・s以上数万mPa・s以下の範囲内である。
赤外線反射材料組成物3’を構成する結着材3bとしては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能であるが、用いる多層液晶材料3aとの関係を考慮して選ばれる。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、熱硬化型ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマー層用の材料として前記したものを挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、複数の樹脂を混合して用いてもよい。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。光硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これらの結着材樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類、メチルエーテル、エチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル酪酸メチル、酢酸ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ターピネオール等のアルコール類、水等の中から適宜選択した1種乃至2種以上が用いられる。溶剤の含有量は通常、10重量%以上70重量%以下の程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ない方が好ましい。また、光硬化性樹脂等の電離放射線硬化型性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
(その他の層)
本発明のシート10においては、ペン型等の入力端末22で手書入力する際に繰り返し入力端末22が接触しても耐えられる強度を与えるために、赤外線反射層3上に、図3に示すようなオーバーコート層9を設けてもよい。このオーバーコート層9が平坦化層として作用すれば、赤外線反射材料で反射した赤外線がオーバーコート層9と空気との界面で不規則な屈折を起こさず、ペン型入力端末22での赤外線の検知を安定した状態で行うことができる。さらに、オーバーコート層9が保護層として作用すれば、ペン型入力端末22を滑らかに掃引することができるとともに、赤外線反射層3を保護することができる。
オーバーコート層9の材質としては、特に限定されず、通常の透明シートやレンズの分野において用いられているものが使用できる。例えば、紫外線、電子線、熱等で架橋硬化したアクリル樹脂、珪素系樹脂等が代表的なものである。また、モアレを低減するために、赤外線反射層3を構成する赤外線反射材料組成物3’に用いる液晶材料の屈折率と近い屈折率を有する材料を好ましく用いることができる。
さらに、本発明のシート10の背後にあるディスプレイ装置21の視認性を確保するために、シート10の表面又は内部に反射防止膜(図示しない)等を設けてもよい。反射防止膜の材質としては、特に限定されず、通常のディスプレイ用透明シートやレンズの分野において用いられているものが使用できる。例えば、フッ化マグネシウム、フッ素系樹脂等の低屈折率物質の薄膜と、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム等の高屈折率物質の薄膜とを該低屈折率の薄膜が最表面になる様積層した誘電体多層膜等が代表的なものである。
(ディスプレイ装置)
次に、本発明のシート10の装着対象であるディスプレイ(画像表示)装置21について説明する。ディスプレイ装置21は、手書き入力データを処理する情報処理装置に接続されたものであってもよく、独立したものであってもよいが、前者は手書き入力時の軌跡を画面上に表示することができ、直感的な入力が可能であるため好ましい。ここで、手書き入力情報を扱う情報処理装置としては、携帯電話、PDA等の各種携帯端末や、パーソナルコンピュータ、テレビ電話、相互通信機能を備えたテレビジョン、インターネット端末等が例示できる。該ディスプレイ装置としては、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、電場発光(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等各種方式、構造のものが適用可能である。
入力端末22としては、図1に示すように、赤外線iを発し、透明パターン4を構成する赤外線反射層3で反射した反射光rを検知できるものであれば特に限定されず、公知のセンサーを用いればよい。例えば、ペン型の入力端末22が読取データ処理装置23も具備する例として、特開2003−256137号公報に開示されている、インキや黒鉛等を備えないペン先、赤外線照射部を備えたCMOSカメラ、プロセッサ、メモリ、Bluetooth(登録商標)技術等を利用したワイヤレストランシーバ等の通信インタフェース、及びバッテリ等を内蔵しているもの等が挙げられる。
ペン型入力端末22の動作としては、ペン先を平面視が図2に示される透明パターン4(ドットパターン)が形成されたシート10の前面に接触させてなぞるように描画すると、ペン型入力端末22がペン先に加わった筆圧を検知し、CMOSカメラが作動して、ペン先近傍の所定範囲を赤外線照射部から発する所定波長の赤外線iで照射するとともに、パターンを撮像する(パターンの撮像は、例えば、1秒間に数10から100回程度行われる)。ペン型入力端末22が読取データ処理装置23を具備する場合には、撮像したパターンをプロセッサで解析することにより手書き時のペン先の移動に伴う入力軌跡を数値化・データ化して入力軌跡データを生成し、その入力軌跡データを情報処理装置へ送信する。なお、プロセッサ、メモリ、Bluetooth(登録商標)技術等を利用したワイヤレストランシーバ等の通信インタフェース、及びバッテリ等の部材は、図1に示すように、読取データ処理装置23として、ペン型入力端末22の外部にあってもよい。この場合には、ペン型入力端末22は読取データ処理装置23にコード24で接続されていても、電波、赤外線等を用い無線で読取データを送信してもよい。この他、入力端末22は、特開2001−243006号公報に記載された読取器のようなものであってもよい。
読取データ処理装置23は、入力端末22で読み取った連続的な撮像データから位置情報を算出し、それを時間情報と組み合わせ、情報処理装置で扱える入力軌跡データとして提供する機能を有するものであれば特に限定されず、プロセッサ、メモリ、通信インタフェース及びバッテリ等の部材を具備していればよい。こうした読取データ処理装置23は、特開2003−256137号公報のように入力端末22に内蔵されていてもよく、また、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に内蔵されていてもよい。また、読取データ処理装置23は、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に無線で位置情報を送信してもよく、コード等で接続された有線接続で送信してもよい。
ディスプレイ装置21に接続された情報処理装置(図示しない)は、読取データ処理装置23から送信されてきた軌跡情報に基づき、ディスプレイ装置21に表示する画像を順次更新することによって、入力端末22で手書き入力した軌跡を、紙の上にペンで書いたかのようにディスプレイ装置上にリアルタイムで(又は必要に応じて適宜時間を遅らせて)表示することができる。
(ディスプレイ装置への装着)
本発明のシート10は、既存のディスプレイ装置21にそのまま装着することができ、ディスプレイ装置21に組み込むタイプの静電式、感圧式等の位置入力装置よりも容易に作製することができ、軽量化、コスト低減、及び大型化も容易に可能となる。また、位置情報を提供可能な透明パターン4が薄くなったり、傷が付いたりする等して、位置情報提供の機能が低減した場合であっても、シート10のみを交換すればよいので、使用者にとって扱いやすいものとなる。なお、本発明のシート10は液晶保護シートとしても使用可能なものとなる。
本発明のシート10は、ディスプレイ装置21の前面に対向して着脱可能に装着するようにすることもできる。このようにすれば、一つのディスプレイ装置21のみならず、別のディスプレイ装置にも装着することができるようになる。また、ディスプレイ装置21側には装着のための加工を施さないようにしてシート10を装着することができるようにするために、シート10自体が、ディスプレイ装置21に対する装着手段を備えていることが好ましい。
この場合の装着手段としては、シート10と一体に設けられたものであっても、別体に設けられたものであってもよい。例えば、バックル状のものをディスプレイ装置21のコーナ部に引っ掛けるようなものや、ディスプレイ装置21の端部を挟み込むようなもの等が挙げられる。簡単で好適な具体的な装着手段としては、ディスプレイ装置21に接触する接触面側に設けられ、ディスプレイ装置21に貼り付けるための接着性又は粘着性を有する貼着具を挙げることができる。貼着具としては、シート10に一体的に取り付けられた接着性又は粘着性を有するものや、接触面に直接塗装された接着剤や粘着剤等をも含むものが挙げられる。
本発明のシート10は、その製造の利便性を向上するために、切り離し可能なものとすることが好ましい。具体的には、ハサミ等の切断具又は専用の切断具等で切り離せるようなものや、ミシン目乃至ハーフカット(包装材料の分野で多用される手段であり、厚さ方向に全厚さに満たない程度の深さの切り目を入れる手法。)等を入れることにより手で切り離すことができるようなもの等が挙げられる。このようなものであれば、使用者が各使用者所有のディスプレイ装置21の大きさに対応して切断することができるので、製造者は数種の所定のサイズに設定したシート10を製造すればよい。さらに、汎用のディスプレイ装置の規格サイズにミシン目を入れるようにしてもよい。
このような使い方が可能であれば、位置情報を提供するパターンが形成された一のシート10を分割し、それぞれのシート10が異なる座標範囲を示すようにすることが可能になる。このようなシート10を用いる場合、例えば隣接したディスプレイ装置21に対して連続した座標を示すシート10を適用すれば、入力データに連続性を与えることができる。また、1つの入力装置に対し異なる座標範囲のシート10を複数切り替えて使用することで、それぞれのシート10に対し異なる意味を付与することも可能になる。
[シートの製造方法]
図8及び図9は、本発明のシート10の製造方法の一例を示す工程図である。また、図10及び図11は、本発明の製造方法を実施する装置の例を示す概略構成図である。なお、本願では、「転写」と「転移」は同義で用いており、したがって、「転写」を「転移」と置き換え、また、「転写工程」を「転移工程」と置き換えることができる。
第1態様に係る製造方法は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面S1に形成された透明基材1を準備する透明基材準備工程(図示しない)と、所定のパターンで凹部64が形成された板状又は円筒状の版面63に、硬化後に赤外線反射層3を形成できる赤外線反射材料組成物3’(未硬化状態で流動性がある)を塗布した後、その凹部内以外に付着した赤外線反射材料組成物を掻き取って凹部64内に赤外線反射材料組成物3’を充填する赤外線反射材料組成物充填工程(図8(B)参照)。なお、この段階で、凹部64内に充填された赤外線反射材料組成物3’の上部には、図9に示すような凹み6が生じる。)と、透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側と赤外線反射材料組成物充填工程後の版面63の凹部64側とを圧着して、プライマー層2と凹部64内の赤外線反射材料組成物3’とを空隙なく密着する圧着工程(図8(C)参照)と、圧着工程後にプライマー層2を硬化(非流動化又は固化)するが赤外線反射材料組成物3’は完全には硬化させないプライマー層硬化工程(図示しない)と、プライマー層硬化工程後に透明基材1及びプライマー層2を版面63から剥がして凹部内の赤外線反射材料組成物3’をプライマー層2上に転写する転写工程(図8(D)参照)と、転写工程後、プライマー層2上に所定のパターンで形成された赤外線反射材料組成物3’を硬化させて赤外線反射層3を形成する赤外線反射材料組成物硬化工程(図示しない)と、を有するものである。
また、第2態様に係る製造方法は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面S1に形成された透明基材1を準備する透明基材準備工程(図示しない)と、所定のパターンで凹部64が形成された板状又は円筒状の版面63に、硬化後に赤外線反射層3を形成できる赤外線反射材料組成物3’(未硬化状態で流動性がある)を塗布した後、その凹部内以外に付着した赤外線反射材料組成物を掻き取って凹部64内に赤外線反射材料組成物3’を充填する赤外線反射材料組成物充填工程(図8(B)参照)。なお、この段階で、凹部64内に充填された赤外線反射材料組成物3’の上部には、図9に示すような凹み6が生じる。)と、透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側と赤外線反射材料組成物充填工程後の版面63の凹部64側とを圧着して、プライマー層2と凹部64内の赤外線反射材料組成物3’とを空隙なく密着する圧着工程(図8(C)参照)と、圧着工程後にプライマー層2と赤外線反射材料組成物3’を同時に硬化(非流動化又は固化)する同時硬化工程(図8(C)参照)と、同時硬化工程後に透明基材1及びプライマー層2を版面64から剥がして凹部内の硬化した赤外線反射材料組成物3’を赤外線反射層3として硬化したプライマー層2上に転写する転写工程(図8(D)参照)と、を有するものである。
以下、各工程について図面を参照して説明する。
(透明基材準備工程)
透明基材準備工程は、図9(A)に示すように、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面S1に形成された透明基材1を準備する工程である。プライマー層2はプライマー層用樹脂組成物を透明基材1上に塗布して形成するが、こうしたプライマー層用樹脂組成物は上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。プライマー層2が室温で固体の熱可塑性樹脂組成物のフィルムとして入手可能な場合は、塗布する代わりに透明基材1とラミネートしてもよい。いずれの場合であっても、後述する圧着工程時に、プライマー層2が流動性を保持した状態であることが必要である。
例えば、プライマー層用樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた場合には、電離放射線を照射しない未照射状態で、その電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤のみを乾燥除去し、透明基材1上に流動状態からなるプライマー層2を塗膜として形成しておき、その状態で後述する圧着工程に供給することが好ましい。もちろん、ここで用いる電離放射線硬化性の樹脂組成物が溶剤を含まない、いわゆるノンソルベントタイプの場合には、プライマー層2を形成する際の乾燥工程は不要である。
また、プライマー層用樹脂組成物として室温で固体の熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、後述する圧着工程において加熱による流動状態となっていればよく、圧着工程の直前にプライマー層2の加熱処理を行ってもよく、熱ロール等でプライマー層2の加熱と版面63への圧着を同時に行ってもよい。プライマー層を塗布する方法については各種コーティング方式が使用でき、例えばグラビアコート、コンマコート、ダイコート、ロールコート等の各種方式から適宜選ぶことができる。
(樹脂充填工程)
樹脂充填工程は、図8(A)(B)に示すように、所定のドットパターンで凹部64が形成された板状又は円筒状の版面63に、硬化後に赤外線反射層3を形成できる流動状態の赤外線反射材料組成物3’を塗布した後、その凹部内以外に付着した赤外線反射材料組成物をドクターブレード65やワイピングロール等で掻き取って凹部内に赤外線反射材料組成物3’を充填する工程である。本工程において、凹部64内に充填された赤外線反射材料組成物3’上部には凹み6が生じる。その原因はドクターブレード65やワイピングロール等で凹部以外の赤外線反射材料組成物3’を掻取る際に赤外線反射材料組成物3’のレオロジカルな挙動によりその表面に凹みを生じるため、赤外線反射材料組成物3’が希釈溶剤を含む場合はその希釈溶剤の揮発による体積収縮のため、あるいは両者の複合作用のためと推測される。赤外線反射材料組成物3’は上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。
プライマー層用樹脂組成物に対する赤外線反射材料組成物の組み合わせは特に限定されず、プライマー層用樹脂組成物の硬化処理と赤外線反射材料組成物の硬化処理が異なっていてもよいが、赤外線反射材料組成物3’が電離放射線硬化性樹脂を含む場合には、プライマー層用樹脂組成物も電離放射線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。そうした組み合わせにすることにより、この樹脂充填工程後の圧着工程とそれに続くプライマー層の硬化工程時の電離放射線照射処理によって、上記第2態様の製造方法のように、プライマー層2の硬化と赤外線反射材料組成物3’の硬化を同時に行うことができる。
なお、図8(B)に示す塗布法は、プライマー層2を有する透明基材1を凹版ロール62に圧着する前に行われる工程の一例であり、具体的には、図10及び図11に示すように、ピックアップロール61が赤外線反射材料組成物充填容器68に下方で接触し、赤外線反射材料組成物3’を引き上げて凹版ロール62の版面63に塗布する。このとき、版面63上の凹部64以外の部分に赤外線反射材料組成物3’が乗らないように、ワイピングロール69又はドクターブレード65で掻き落とす。
(圧着工程)
圧着工程は、図8(C)及び図9(C)に示すように、樹脂充填工程後の版面63の凹部64側と、透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側とを圧着して、凹部64内の赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2とを空隙なく密着する工程である。プライマー層2はこの時点において流動性を有しているため、版面の凹部64内に充填された赤外線反射材料組成物3’上部の凹み6内にもプライマー層2は流入して、その凹み6を充填し、透明基材1及び赤外線反射材料組成物3’の間は全てプライマー層2で隙間なく満たされる。具体的には、図10及び図11に示すように、圧着はニップロール66で行われ、凹版ロール62に対して所定の圧力で付勢されている。そのニップロール66は付勢圧力の調整手段を備えており、その付勢圧力は、プライマー層2の流動性に応じて任意に調整される。
なお、プライマー層2が熱可塑性樹脂である場合は、ニップロール66は加熱可能なロールにすることが好ましい。この場合、加熱圧着によってプライマー層2が軟化し流動可能となる。
この圧着工程においては、版面の凹部64内に充填された赤外線反射材料組成物3’上部の凹み6内にプライマー層2が流入し、その凹み6が充填され、その後に硬化工程や転写工程を経てシート10が製造される。そのため、得られた透明パターン4は、上記の図6及び図7に示す第1〜第4形態の透明パターン4となる。
詳しくは、この圧着工程において、プライマー層2に含まれるプライマー成分が、赤外線反射層3を構成する赤外線反射材料組成物中に浸入した場合には、後述の硬化工程や転写工程を経ることにより、版面内に充填された赤外線反射材料組成物3’の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。そして、得られたシート10が有する透明パターン4は、図6(B)及び図7(C)に示すように、プライマー層2と赤外線反射層3との境界部分12が単純な境界部分構造にならず、両層の密着性が向上する。
また、版面の凹部64内に充填された赤外線反射材料組成物3’上部の凹み6内にプライマー層2が流入し、その凹み6が充填され、その後に硬化工程や転写工程を経るので、得られた透明パターン4は、上記の図3等に示すように、プライマー層2からなる第1の山17と、第1の山17の中腹より上に形成された赤外線反射材料組成物3’(赤外線反射層3)からなる第2の山18とで構成された突起状で山型形状のパターンとなる。
(硬化工程)
硬化工程は、ニップロール66の付勢力による圧着工程後にプライマー層2を硬化する工程であり、圧着した後の状態で硬化処理することにより、プライマー層2と赤外線反射材料組成物3’とが密着した状態で硬化させることができる。具体的には、プライマー層用樹脂組成物が電離放射線硬化型樹脂組成物である場合には、照射ゾーン(図10の例では「UVゾーン」と記載している。)で電離放射線が照射され、硬化処理される。この場合、プライマー層2は透明基材1と版面63に挟まれた態様になり、空気中の酸素による硬化阻害を受けないため、窒素パージ装置等は必ずしも必要ない。なお、硬化処理は、上記と同様、プライマー層用樹脂組成物と赤外線反射材料組成物の種類に応じて選択され、例えば、電離放射線照射処理、冷却処理等の硬化処理が施される。
なお、上記のように、プライマー層用樹脂組成物と赤外線反射材料組成物の両方を電離放射線硬化性樹脂とした場合には、圧着工程に続く硬化工程時に電離放射線照射処理を施す、同時硬化工程とすることもできる。
(転写工程)
転写工程は、図9(D)及び図10に示すように、硬化工程後に透明基材1及び硬化したプライマー層2を凹版ロール62の版面63から剥がして凹部64内の赤外線反射材料組成物3’をプライマー層2上に転写する工程である。プライマー層2は、この工程前のプライマー層硬化工程で硬化しているので、透明基材1とともに凹版ロール62の版面63から剥がすことにより、プライマー層2に密着した赤外線反射材料組成物3’は凹部内から離れてプライマー層2上にきれいに転写し、赤外線反射材料組成物3’となる。引き剥がしは、図10及び図11に示すように、出口側に設けられたニップロール67により行われる。
なお、転写工程において、赤外線反射材料組成物3’は必ずしも硬化させる必要はなく、赤外線反射材料組成物3’に溶剤が含まれた状態でも転移させることができる。この理由は、プライマー層2と赤外線反射材料組成物3’とは空隙なく密着しているのみでは無く、プライマー層の一部は赤外線反射材料組成物中にも浸透し、両者が相互に混ざり合った領域ができるため、両者は相互に絡み合った状態で硬化させたプライマー層2と赤外線反射材料組成物3’との間の密着力が、ロール状凹版の凹部64の内壁と赤外線反射材料組成物3’との間の密着力よりも大きくなっているためと推測される。これに加えて、特に赤外線反射材料組成物3’が未硬化状態の場合には、プライマー層の一部が赤外線反射材料組成物中に浸透して、その流動性を変化せしめ、凹部64内から抜け出し易くするためとも推測される。
図9は、凹部64内の赤外線反射材料組成物3’の凹み6にプライマー層2を充填し、その赤外線反射材料組成物3’が転写する形態を示す模式図である。図9(D)に示すように、転写工程後のプライマー層2の形態と赤外線反射材料組成物3’からなる赤外線反射層3の形態を観察すると、プライマー層2のうち赤外線反射材料組成物3’からなる赤外線反射層3が転写されたパターン形成部Aである第1の山17からなるプライマー層2の厚さTは、赤外線反射材料組成物3’が転写されていないプライマー層2の平坦部8の厚さTよりも厚い。そして、赤外線反射層3は、厚さの厚い第1の山17の中腹7より上に設けられている。こうした形態は、流動性を保持したプライマー層2が形成された透明基材1のプライマー層2側と、樹脂充填工程後の版面63の凹部64側とを図9(A)(C)に示すように圧着することにより、凹部64内の赤外線反射材料組成物上部に生じやすい凹み6に流動性のあるプライマー層2が流入し充填するので、転写後の形態は、図9(D)に示すように、透明基材1上に設けられたプライマー層2のうち赤外線反射層3が形成されている第1の山17の厚さTは赤外線反射層3が形成されていない平坦部8の厚さTよりも厚くなり、さらに、赤外線反射層3は、厚さの厚い第1の山17の中腹7にまで到達するような形態になっている。
通常、赤外線反射層3が形成されている第1の山17からなるプライマー層2の厚さTは、図3等に示すように、山の頂部に行く程厚さが厚くなる。すなわち、電磁波遮蔽用パターン部の横断面(例えば図3を参照)において、プライマー層2の断面形状は、透明基材1から遠ざかる頂部に向かって凸になった、半円、半楕円等のいわゆる釣鐘型形状、3角形、台形、5角形等のいわゆる山形形状、或いはこれらに類似の形状をなす。なお、本発明によれば、赤外線反射材料組成物3’の転移性(転写性ともいう。)を改善できるため、通常のグラビア印刷等の凹版を利用する方法に比べ、転移後の赤外線反射材料組成物3’の厚さTを厚くすることができる。
また、プライマー層2と赤外線反射層3との境界部分12は、図6(A)及び図7(B)に示す形態のように、単に物理的又は化学的に接着しているのみの形態の他、図6(B)及び図7(A)に示す形態のように、境界部分12の近傍において、両層の材料が相互に溶解、浸透、乃至は拡散し合っている形態であってもよい。この溶解、浸透、乃至拡散は、赤外線反射層3やプライマー層2の硬化前に行われるので、そうした状態になった後に赤外線反射層3やプライマー層2が硬化することにより、層間接着力の高い境界部分となる。なお、これらの形態は、両層の材料の選定、製造条件の選定いかんにより、何れの形態も実現できる。
本発明の製造方法で製造されたシート10は、上記の境界部分形態からなる透明パターン4が形成されるので、プライマー層2と赤外線反射材料組成物3’乃至赤外線反射層3との層間接着力が高く、版凹部内に充填された赤外線反射材料組成物3’をほぼ100%の転移率で転移(転写)させることができる。さらに、アスペクト比(深さ/開口幅)が2/10以上と大きい版凹部を用いた場合においても、凹部内に充填した赤外線反射材料組成物3’をほぼ100%の転移率で転移(転写)させることができる。因みに、本発明のプライマー層を採用しない、通常の凹版印刷においては、アスペクト比が2/10を超える形状でのインキの転移は極めて実現困難である。
本発明の製造方法で得られたシート10はこうした形態を有するので、赤外線反射層3を形成する赤外線反射材料組成物3’の転写不良に基づく断線や形状不良、密着性等の不具合が生じないという効果を奏する。なお、転写工程後においては、必要に応じて乾燥処理、硬化処理等が施される。
(その他)
図9(B)について補足的に説明する。図9(B)は、未硬化の赤外線反射材料組成物3’が凹部64に充填され、さらにその凹部63を含む版面63全体を覆うように、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を設け、そのプライマー層2上から透明基材1を圧着しようとする工程である。この工程と、図9(A)に示した工程とは、いずれも、未硬化の赤外線反射材料組成物3’が充填された所定パターンの凹部64を有する版面63と、その赤外線反射材料組成物3’の転写対象である透明基材1の一方の面S1とを、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を介して圧着しようとする工程を示している。本発明のシート10の製造方法は、これら2つの工程のいずれを適用してもよい。
また、図9(C)は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を介して、透明基材1と版面63とを圧着する工程であるが、図9(B)の工程ルートでは、プライマー層2を版面63上に設ける際に、そのプライマー層2が凹み6を埋める。したがって、この図9(C)の工程では、透明基材1と版面63とがプライマー層2を介した態様で圧着し、その結果、硬化するまで流動性のあるプライマー層2は赤外線反射材料組成物3’の凹み6を埋めた態様となっているので、本発明では、この圧着を保持した状態で少なくともプライマー層2を硬化する。
次に、図10と図11の製造方法の違いについて補足的に説明する。図10に示す製造方法は、図9(A)の工程ルートに対応したものであり、先ず、供給された透明基材1の一方の面にプライマー層2を塗布する。この塗布工程は、ピックアップロール81が容器83内のプライマー層用樹脂組成物82に下方で接触し、そのプライマー層用樹脂組成物82を引き上げて透明基材1に塗布することにより行われる。プライマー層2が塗布された透明基材1は、ニップロール66によってプライマー層2側の透明基材面を版面63に圧着させることにより行われる。一方、圧着対象となる版面63には赤外線反射材料組成物3’が塗布されている。このときの塗布工程は、ピックアップロール61が容器68内の赤外線反射材料組成物3’に下方で接触し、その赤外線反射材料組成物3’を引き上げて版面63に塗布することにより行われる。なお、図10においては、版面63上の凹部64以外の部分に赤外線反射材料組成物3’が乗らないように、ワイピングロール84で掻き落とす。
一方、図11に示す製造方法は、図9(B)の工程ルートに対応したものであり、圧着工程までの工程が図10に示した製造方法とは異なっている。すなわち、先ず、透明基材1は、ニップロール66によって版面63に圧着されるように供給される。その透明基材1が圧着される版面63には、図11に示すように、最初に赤外線反射材料組成物3’が塗布され、その後にプライマー層2が塗布形成される。赤外線反射材料組成物3’の塗布工程は、ピックアップロール61が容器68内の赤外線反射材料組成物3’に下方で接触し、その赤外線反射材料組成物3’を引き上げて版面63に塗布することにより行われ、その後引き続いて、版面63上の凹部64以外の部分に赤外線反射材料組成物3’が乗らないように、ドクターブレード65で掻き落としている。また、プライマー層2の塗布工程も同様、ピックアップロール81が容器83内のプライマー層用樹脂組成物82に下方で接触し、そのプライマー層用樹脂組成物82を引き上げて、凹部64内に赤外線反射材料組成物3’が充填されてなる版面63上に所定の厚さで塗布することにより行われる。プライマー層用樹脂組成物は未だ硬化しておらずに流動性を有しているので、図8(B)に示すように、凹み6内にプライマー層用樹脂組成物が空隙なく充填される。
こうしてロール状又は枚葉シート状のシート10が製造されるが、以上説明したように、本発明のシート10の製造方法によれば、プライマー層2と赤外線反射層3とをその間に空隙なく転写することができるので、赤外線反射層3の転写不良に基づく形状不良、低密着性等の不具合が生じないシート10を製造することができる。例えば、深さが20μmの凹部を持つ版を用いれば、その版の形状とほぼ同じ約20μmの厚さからなる透明パターン4を形成することができる。こうしたことは、従来の凹版(グラビア)印刷する場合には考えられないことである。また、本発明のシート10の製造方法においては、赤外線反射材料組成物が溶剤を含み、短時間で固化する結着材料でなく、別途乾燥が必要である場合でも高い転移率で転移させることができる。
なお、こうして得られたシート10に光学調整層を設けて光学フィルターとして利用することができる。ここでは詳しく説明しないが、光学調整層としては、従来公知のものをそのまま用いればよく、例えば調色層、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、及び防眩層等を挙げることができる。更に、シート10には、光学調整層の他に、その他各種機能を有する機能層を積層することもできる。かかる機能層としては、ハードコート層、防汚層、帯電防止層、抗菌層、防黴層(かびを防ぐ層)、帯電防止層、衝撃吸収層等が挙げられる。
これらの光学調整層及び/又は機能層を形成する形態は、(1)予め独立したシート乃至は板状に形成された層を、間に接着剤層(所謂粘着剤層も包含する。)を介して本発明のシート10上に貼り合せる形態、(2)予め離型性基材シート上に形成された層を、適宜間に接着剤層を介して本発明のシート10上に貼り合わせ、而かる後に該離型性基材シートのみ剥離除去する、所謂転写法で形成する形態、(3)適宜の樹脂結着材中に上記各種機能を発現する材料を添加した組成物を本発明のシート10上に塗工することによって形成する形態、(4)前記(3)の一形態ではあるが、本発明のシート10上に、これを所望の被着体に接着するための接着剤層を塗工する際に、該接着剤層中に上記各種機能を発現する材料を添加することにより、接着剤層と上記各種層とを兼用する形態、(5)前記(1)〜(4)の形態の2種以上の組み合わせ形態、が適宜選択できる。ここで、これらの光学調整層及び/又は機能層は、本発明のシート10の表裏いずれか、または両側に存在してもよい。こうしたシート10を、ディスプレイ装置21の前面に装着することができる。
また、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により、(i)赤外線反射材料組成物3’が転移した透明パターン4の表面、(ii)赤外線反射材料組成物3’が転移していない部分(開口部又はパターン非形成部B)のプライマー層表面、(iii)赤外線反射材料組成物3’を透明基材1上にベタ塗りし、乾燥させた塗工膜の表面、(iv)プライマー層2を透明基材1上にベタ塗りし、固化させた塗膜の表面、を分析した。その結果、前記(iii)の赤外線反射材料組成物3’の塗工膜には見られず、前記(iv)はフラグメントが、前記の(i)(ii)でも検出され、プライマー層2の成分が赤外線反射材料組成物3’中を拡散していることが示唆された。これらの状況から考えると、流動性があるプライマー層2を赤外線反射材料組成物3’と接触させた際に境界部分の相溶及び/又は境界の乱れが生じ、この状態でプライマー層2を固化させると、境界部分から赤外線反射材料組成物3’の方向に向かう領域で、赤外線反射材料組成物3’の増粘やゲル化などの現象が起こり、赤外線反射材料組成物3’を版から引き抜きやすくなっているのではないかと推測される。
また、流動性のあるプライマー層2を構成する成分の一部が凹部の赤外線反射材料組成物3’と混ざり、プライマー層2を固化させた際に赤外線反射材料組成物3’の粘度を全体的に上げている可能性もある。いずれにしろ、流動性のあるプライマー層2を赤外線反射材料組成物3’に接触させて、少なくともプライマー層2を固化させた後に剥離すれば、赤外線反射材料組成物3’が完全に固化していないにもかかわらずほぼ100%近い転移が可能であった。
以上説明したように、本発明のシート10の製造方法によれば、流動性を保持したプライマー層2が形成された透明基材1のプライマー層2側と、赤外線反射材料組成物充填工程後の版面の凹部64側とを圧着するので、凹部64内の赤外線反射材料組成物上部に生じやすい凹み6に流動性のあるプライマー層2が充填される。その結果、プライマー層2が赤外線反射材料組成物3’に空隙なく密着して凹部64内の赤外線反射材料組成物3’を透明基材1側に未転写部のない状態で正確に転写することができ、転写不良に基づく形状不良、低密着性等の不具合が生じない赤外線反射パターン形成シート10を製造することができる。そして、その結果として、転写後の赤外線反射パターン形成シート10は、プライマー層2のうち赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTが、赤外線反射層3が形成されていないパターン非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚いように構成されるので、凸形状になっているパターン形成部A上に設けられた赤外線反射材料組成物3’からなる赤外線反射層3は、ペン型入力端末22から照射された赤外線iを様々な方向に反射するように作用する。その結果、ペン型入力端末22は反射された赤外線rを検知し易くなり、ペン型入力端末22による反射情報の読み取り精度を向上させることができるという効果を併せ持つ。
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図10に示す装置によりシート10を製造した。先ず、透明基材1として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物を厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバース法を採用し、光硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレートプレポリマー35重量部、ウレタンアクリレートプレポリマー12重量部、フェノキシエチルアクリレートからなる単官能モノマー44重量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能モノマー9重量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184(物質名;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、製造元;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)3重量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300cps(at25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。
次に、プライマー層が形成されたPETフィルムを転移工程を行う凹版ロール62に供するが、それに先だって、所定のドットパターンとなる凹部が形成された凹版ロール62の版面63に、赤外線反射材料組成物3’をピックアップロール61で塗布し、ドクターブレード(図示しない)で凹部内以外の赤外線反射材料組成物3’を掻き取って凹部内のみに赤外線反射材料組成物3’を充填させた。該版面63上のドットパターン凹部としては、平面視が図2の平面図に示す如くであり、各ドットを単位格子が2mm角の正方格子点から所定の座標だけ偏移させて2次元配置し、各ドットの平面視形状は直径100μmの円であり、且つ各ドットの凹部深さは10μmであった。赤外線反射材料組成物3’を凹部内に充填させた状態の凹版ロール62と、ニップロール66との間に、プライマー層2が形成されたPETフィルムをそのプライマー層側が版面63側を向くようにして供し、凹版ロール62に対するニップロール66の押圧力によって、赤外線反射材料組成物3’とプライマー層2とを隙間なく密着させた。なお、用いた赤外線反射材料組成物は、以下の組成の赤外線反射材料組成物を用いた。
<赤外線反射材料組成物の作製>
両末端に重合可能なアクリレート基、中央部にメソゲン基、前記アクリレート基との間にスペーサーを有し、ネマチック−アイソトロピック転移温度が110℃付近であるモノマー100質量部と、両末端に重合可能なアクリレート基を有するカイラル剤3.3質量部とをシクロペンタノンに溶解させたシクロペンタノン溶液を調製した。なお、このシクロペンタノン溶液には、4質量部の光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン株式会社製、ルシリン(登録商標)TPO)を添加した。得られたシクロペンタノン溶液を、38μm厚の透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)基板からなる透明基材上に、層厚が4μmとなるように塗工し、90℃で2分間乾燥後、紫外線照射により該塗工層を架橋硬化させて、液晶層と透明基板からなる液晶フィルムを得た。この液晶フィルムを刃を用いて平均5μm×5μm(四角)となるまで断裁又は粉砕して得られたフレークを赤外線反射顔料とした。次に、ブチルカルビトールアセテートを溶媒として、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂を溶解させた溶液に、前述の赤外線反射顔料を60質量%になるよう加え、十分に攪拌混合し、赤外線反射材料組成物を作成した。
次いで行われる転移工程は以下の通りである。先ず、プライマー層2が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層2が凹版ロール62の版面63側に対向した状態で、凹版ロール62とニップロール66との間に挟む。その凹版ロール62とニップロール66との間でPETフィルムのプライマー層2は版面63に押し付けられる。プライマー層2は流動性を有しているので、版面63に押し付けられたプライマー層2は、赤外線反射材料組成物3’が充填した凹部内にも流入し、プライマー層2は赤外線反射材料組成物3’に対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロール62が回転してUVゾーンに配置された高圧水銀燈からなるUVランプによって紫外線が照射され、光硬化性樹脂組成物からなるプライマー層2が硬化する。プライマー層2の硬化により、凹版ロール62の凹部内の赤外線反射材料組成物3’はプライマー層2と密着し、その後、出口側のニップロール67によってフィルムが凹版ロール62から剥離され、プライマー層2上には赤外線反射材料組成物3’が転移形成される。このようにして得られた転移フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて赤外線反射材料組成物3’の溶剤を蒸発させて固化せしめ、プライマー層2上にドットパターンからなる赤外線反射層3を形成した。このときの赤外線反射層3の厚さ(赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aとそれ以外のパターン非形成部Bとの厚さの差)は9μmであり、版の凹部内の赤外線反射材料組成物3’が高い転移率で転移していた。また、ドット位置のずれや形状不良も見られなかった。
作製された透明シート10の透明基材1と直交する断面をSEMにより拡大観察したところ、ドット形状の赤外線反射層3の断面形状は釣鐘状乃至略半円状となっており、プライマー層2のドット領域(パターン形成部A)における厚さTは非ドット領域(パターン非形成部B)における厚さTよりも厚く、釣鐘状乃至略半円状の赤外線反射層3中のコレステリック液晶のらせん軸(相構造の層面に直交)は、その山型形状に沿って、透明基材の法線から0〜70°の範囲で分布するあらゆる方向に傾いていることが確認された。図1の如き装置を用いて、この透明シート10に赤外線を照射して、その反射光を画像として検知したところ、法線からのペン型入力端末22の傾斜角が40°まで読み取ることが可能であり、広い読取角度を有する透明シート10が得られた。
(実施例2)
両末端に重合可能なアクリレート基、中央部にメソゲン基、前記アクリレート基との間にスペーサーを有し、ネマチック−アイソトロピック転移温度が110℃付近であるモノマー100質量部と、両末端に重合可能なアクリレート基を有するカイラル剤3.3質量部とをシクロペンタノンに溶解させたシクロペンタノン溶液を調製した。なお、このシクロペンタノン溶液には、4質量部の光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン株式会社製、ルシリン(登録商標)TPO)を添加した。更に増粘剤としてセルロース系材料を添加し、赤外線反射材料組成物3’とした。
この赤外線反射材料組成物3’を実施例1と同様の方法で、プライマー層2上に転移させた後、110℃の乾燥ゾーンを通過させて赤外線反射材料組成物3’の溶剤を蒸発させ、プライマー層2上にドットパターンからなる赤外線反射層3を形成した。このときの赤外線反射層3の厚さ(赤外線反射層3が形成されているパターン形成部Aとそれ以外のパターン非形成部Bとの厚さの差)は9.5μmであり、版の凹部内の赤外線反射材料組成物3’が高い転移率で転移していた。また、ドット位置のずれや形状不良も見られなかった。
作製された透明シート10の透明基材1と直交する断面をSEMにより観察したところ、ドット形状の赤外線反射層3の断面形状は釣鐘状乃至略半円状となっており、プライマー層2のドット領域(パターン形成部A)における厚さTは非ドット領域(パターン非形成部B)における厚さTよりも厚く、釣鐘状乃至略半円状の赤外線反射層3中のコレステリック液晶のらせん軸は、プライマー層2の山型形状を基準として、やや凸形状に歪んでいることが確認され、透明基材の法線から0〜80°の範囲で分布していた。図1の如き装置を用いて、この透明シート10に赤外線を照射して、その反射光を画像として検知したところ、法線からのペン型入力端末22の傾斜角が50°まで読み取ることが可能であり、広い読取角度を有する透明シート10が得られた。
(比較例1)
実施例1において、PETフィルムの易接着処理面にプライマー層を塗布しない以外は実施例1と同様にして赤外線反射材料組成物3’を転移させた。しかしながら、その際、PETフィルム上への赤外線反射材料組成物3’の転移は十分でなく、ドット抜けが多発した。また、乾燥後のパターン厚さも1μm程度であり、転移率が著しく悪かった。
また、作製された透明シート10の透明基材1と直交する断面をSEMにより観察したところ、ドット形状の赤外線反射層3中のコレステリック液晶のらせん軸は、透明基材の法線と直交(0)°して揃っていることが確認された。また、得られた透明シートに図1の如き装置を用いて赤外線を照射して、その反射光を画像として検知したところ、厚さが薄いことにより赤外線の反射が十分でなく、またドット抜けの影響もあり、読み取り精度は著しく悪かった。且つ、法線からのペン型入力端末22の傾斜角が10°までしか読み取ることができず、各実施例に比べて読取角度は狭くなった。
本発明の赤外線反射パターン形成シートは、ディスプレイ装置の画面に直接手書きするタイプのデータ入力システムに適用できる、座標検知手段を提供する部材であって、作業スペースが低減できることに加えて、軽量で、価格が安く、大面積化が容易で、量産可能であり、かつ広い読取角度を有する読取性能に優れている。このため、手軽に使用することができ、実用性能が高く、携帯電話、PDA等の各種携帯端末や、パーソナルコンピュータ、テレビ電話、相互通信機能を備えたテレビジョン、インターネット端末等の種々の情報処理装置に用いることができる。
本発明の赤外線反射パターン形成シートを用いるシステム全体の概略図である。 本発明の赤外線反射パターン形成シートにおいてドットパターンが不規則に配列した例を示す要部拡大平面図である。 本発明の赤外線反射パターン形成シートを構成する赤外線反射層の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の赤外線反射パターン形成シートを構成する赤外線反射層の他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の赤外線反射パターン形成シートを構成する赤外線反射層のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 第1及び第2形態に係る透明パターンを示す模式断面図である。 第3及び第4形態に係る透明パターンを示す模式断面図である。 本発明の赤外線反射パターン形成シートの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の赤外線反射パターン形成シートの製造方法の説明図である。 本発明の製造方法を実施する装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の製造方法を実施する装置の他の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1 透明基材
2 プライマー層
3 赤外線反射層
3’ 赤外線反射材料組成物
3a 多層液晶材料
3b 結着材
3c 多層液晶層
4,4A,4B,4C,4D 透明パターン
5 サイドエッジ
6 凹み
7 中腹
8 平坦部
9 オーバーコート層
10 赤外線反射パターン形成シート
12 プライマー層と赤外線反射層との境界部分
13 麓部
14 混合領域
16 プライマー成分
17 第1の山
18 第2の山
20 中腹
21 ディスプレイ装置
22 入力端末
23 読取データ処理装置
23 コード
61 ピックアップロール
62 凹版ロール(凹版)
63 版面
64 凹部
65 ドクターブレード
66 ニップロール
67 ニップロール
68 充填容器
69 ワイピングロール
A 赤外線反射層が形成されている部分(パターン形成部)
Aの厚さ
B 赤外線反射層が形成されていない部分(パターン非形成部)
Bの厚さ
S1 基材の一方の面
i 赤外線
r 反射光

Claims (15)

  1. 透明基材の表面にプライマー層を介して赤外線反射層が所定のパターンで設けられており、画像表示可能なディスプレイ装置の表面又は前方に装着される透明シートであって、
    前記赤外線反射層を構成する組成物が、赤外線を反射する材料を含み、
    前記プライマー層のうち前記赤外線反射層が形成されているパターン形成部におけるプライマー層の厚さが、前記赤外線反射層が形成されていないパターン非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚いことを特徴とする赤外線反射パターン形成シート。
  2. 前記赤外線を反射する材料が、赤外線領域の波長に対して波長選択反射性を持つ多層構造材料である、請求項1に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  3. 前記赤外線を反射する材料が、コレステリック構造を有する液晶材料である、請求項2に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  4. 前記液晶材料が、ネマチック液晶にカイラル剤を混合したカイラルネマチック液晶材料、又は、高分子コレステリック液晶材料である、請求項3に記載の赤外線反射パターン形
  5. 前記液晶材料が、前記赤外線反射層を構成する組成物に含まれる結着材によって固定化されている、請求項3又は4に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  6. 前記パターン形成部におけるプライマー層と赤外線反射層とは、(a)該プライマー層を構成する成分と該赤外線反射層を構成する成分とが混合している領域、(b)該プライマー層と該赤外線反射層との境界が非直線状に入り組んでいる領域、(c)該赤外線反射層を構成する組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している領域、及び、(d)該プライマー層からなる第1の山と、該第1の山の中腹より上に形成された該赤外線反射層からなる第2の山とで構成された突起状の断面形態、のいずれか1又は2以上を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  7. 前記プライマー層が、電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  8. 前記赤外線反射層を構成する組成物に含まれる結着材が、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項2に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  9. 前記赤外線反射層上にはオーバーコート層が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  10. ディスプレイ装置に装着するための装着手段を備えている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  11. 前記装着手段が、ディスプレイ装置に接触する接触面側に設けられ、ディスプレイ装置に貼り付けるための接着性又は粘着性を有する貼着具である、請求項10に記載の赤外線反射パターン形成シート。
  12. 透明基材の一方の面に所定のパターンで赤外線反射層が形成されてなる赤外線反射パターン形成シートの製造方法であって、
    硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、
    所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に赤外線反射層を形成できる赤外線反射材料組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該赤外線反射材料組成物を掻き取って該凹部内に該赤外線反射材料組成物を充填する赤外線反射材料組成物充填工程と、
    前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記赤外線反射材料組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の赤外線反射材料組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、
    前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するプライマー層硬化工程と、
    前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材を前記版面から剥がして前記凹部内の赤外線反射材料組成物を前記プライマー層上に転写する転写工程と、
    前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された赤外線反射材料組成物を硬化させて赤外線反射層を形成する赤外線反射材料組成物硬化工程と、を有することを特徴とする赤外線反射パターン形成シートの製造方法。
  13. 透明基材の一方の面に所定のパターンで赤外線反射層が形成されてなる赤外線反射パターン形成シートの製造方法であって、
    硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、
    所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に赤外線反射層を形成できる赤外線反射材料組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該赤外線反射材料組成物を掻き取って該凹部内に該赤外線反射材料組成物を充填する赤外線反射材料組成物充填工程と、
    前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記赤外線反射材料組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の赤外線反射材料組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、
    前記圧着工程後に前記プライマー層と前記赤外線反射材料組成物とを同時に硬化する同時硬化工程と、
    前記同時硬化工程後に前記透明基材を前記版面から剥がして前記凹部内の赤外線反射材料組成物を赤外線反射層として前記プライマー層上に転写する転写工程と、を有することを特徴とする赤外線反射パターン形成シートの製造方法。
  14. 前記プライマー層が電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であり、該プライマー層の流動性の保持を電離放射線の未照射又は加熱によって行う、請求項12又は13に記載の赤外線反射パターン形成シートの製造方法。
  15. 前記転写工程後において、前記プライマー層のうち前記赤外線反射材料組成物が転写された部分の厚さは、前記赤外線反射材料組成物が転写されていない部分の厚さよりも大きい、請求項12〜14のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成シートの製造方法。
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