JP6855677B2 - 光学フィルム、画像表示装置 - Google Patents
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Description
少なくとも一方の面が粗面であり、前記可視光域において透明である透明フィルム材による基材と、
前記基材の粗面に作製されたコレステリック液晶による拡散反射層とを備え、
前記拡散反射層は、
TEM観察又はSEM観察による前記コレステリック液晶のらせん軸構造を示すスジ状模様のスジが、前記粗面表面の凹凸形状に沿って形成されている光学フィルム。
前記粗面は、算術平均粗さRaが0.01μm以上1μm以下である光学フィルム。
さらに近赤外線を吸収するドットによるドットパターンが作製された光学フィルム。
近赤外線を吸収するドットによるドットパターンが作製されたドットパターンフィルムと積層された光学フィルム。
前記粗面は、
表面張力(γs)が35mN/m以上70mN/m以下である光学フィルムの製造方法。
前記粗面は、算術平均粗さRaが0.01μm以上1μm以下である光学フィルムの製造方法。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す図である。この画像表示装置1は、画像表示パネル2のパネル面(視聴者側面)に、電子ペン入力システムに係る光学フィルム3が配置されて、対応する電子ペン等とにより電子ペン入力システムが構成される。
光学フィルム3は、図2に示すように、紫外線硬化性樹脂等の透明の接着剤によりドットパターンフィルム4と、拡散反射フィルム5とを積層して作製され、拡散反射フィルム5側が画像表示パネル2のパネル面側となるようにして、感圧接着剤、紫外線硬化性樹脂による接着剤等により画像表示パネル2のパネル面に配置される。
ここでドットパターンフィルム4は、可視光域では比較的透明であって、近赤外線を選択的に吸収するドット7を、透明フィルム材による基材8に印刷して形成され、これにより画像表示パネル2による画像表示には、何ら障害を与えることなく、電子ペンからの照明用の近赤外線をこのドットパターンにより吸収するように形成される。
拡散反射フィルム5は、可視光域では透明であって、近赤外線を選択的に拡散反射する拡散反射層9を、透光性フィルム材による基材10に作製して形成される。拡散反射フィルム5は、基材10の拡散反射層9側面が粗面Mにより形成される。拡散反射層9は、コレステリック液晶による液晶層であり、基材10の粗面Mに、直接、塗工液を塗工して乾燥、硬化させて作製される。
ここでこの基材10に係る透光性フィルム材は、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム材、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム材、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム材等、画像表示パネル2のパネル面に配置される各種光学フィルムに適用される透光性フィルム材を広く適用することができる。
基材10の粗面Mは、さらに拡散反射層9の塗工液に対して充分な濡れ性を確保できるように構成される。より具体的に、表面張力(γs)が35mN/m以上70mN/m以下、好ましくは、40mN/m以上70mN/m以下、より好ましくは45mN/m以上70mN/m以下により作製される。またこの表面張力(γs)の条件を満足することを前提に、極性成分(γsh)が0mN/m以上40mN/m以下、好ましくは、1mN/m以上35mN/m以下、より好ましくは3mN/m以上30mN/m以下により作製され、又は非極性成分(γsd)が35mN/m以上70mN/m以下、好ましくは、40mN/m以上70mN/m以下、より好ましくは45mN/m以上70mN/m以下により作製される。
拡散反射層9は、対応する塗工液を塗工、乾燥、硬化して作製される。ここで拡散反射層9は、厚みが薄い場合には、粗面Mに係る微細凹凸形状がその表面に現れ易くなり、その結果、画像表示パネル2の表示画面が、にじんだように見て取られて、これにより表示画面の鮮明度が低下して画質が劣化する。これとは逆に、厚みが厚すぎる場合には、拡散反射の効率が低下することになり、この実施形態に係る電子ペン入力システムでは、入力座標の位置検出精度が低下することになる。そこで拡散反射層9は、厚み0.5μm以上20μm以下により、より好ましくは1μm以上10μm以下、更に好ましくは1μm以上5μm以下により作製される。
ネマチック液晶は、ネマチック液晶構造を形成し得る液晶材料であれば特に限定されるものではないが、硬化後に光学的に安定した拡散反射層が得られる点で、分子の片末端又は両末端に重合性の官能基を有する液晶材料が好ましい。両末端に重合性の官能基を有する液晶材料は加熱時の信頼性が良好になる点で優れているが、コーティングして溶媒を蒸発させて硬化(架橋)させる前の液晶相の温度範囲を広げられる点で、片末端に重合性の官能基を有する液晶材料と両末端に重合性の官能基を有する液晶材料の混合材料とすることが量産性を考慮すると好ましい。
カイラル剤は、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、主として分子量1500以下の化合物である。カイラル剤は主として、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性にらせん構造を誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料との間で溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望のらせん構造を誘起できるものであれば、カイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されない。
レベリング剤は、液晶材料のコレステリック構造の形成を促すために用いられる。レベリング剤は、拡散反射層において液晶材料のコレステリック配列を促進できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン系化合物、フッ素系化合物、アクリル系化合物等を挙げることができる。レベリング剤の市販品としては、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−361N、AGCセイケミカル社製のS−241等を用いることができる。なお、レベリング剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
重合開始剤は、カイラル剤及びレベリング剤の作用によりコレステリック構造を形成した液晶材料を、当該コレステリック構造を維持したまま架橋し、コレステリック構造が乱されにくくするために用いられる。重合開始剤は、液晶材料の重合反応を促進できるものであれば特に限定されるものではなく、照射するエネルギーの種類に応じて適宜選択すればよい。重合開始剤として、光重合開始剤及び熱重合開始剤等を挙げることができる。また重合開始剤の量は、所望の重合反応が生じる程度であれば特に限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
また、液晶材料、カイラル剤、レベリング剤、重合開始剤を分散させるため、通常、組成物は溶媒に分散されている。溶媒は、上記の成分を分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキサノン等を挙げることができるが、乾燥速度を向上させるためにトルエン、MEK、MIBK等の溶媒を適宜混合させても良い。
光学フィルム3は、次の工程を経て製造される。
(ドットパターン印刷工程)
この製造工程は、ロールにより提供される長尺フィルム形状による基材10をロールより引き出して搬送しながら、例えば、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、孔版印刷法、インキジェット印刷法等により、ドットパターンを印刷する。また必要に応じてハードコート層等の保護層を作製した後、ロールに巻き取って次工程に搬送する。
(粗面作製工程)
この製造工程は、ロールにより提供される長尺フィルム形状による基材10をロールより引き出して搬送しながら、例えばサンドブラスト処理により基材10の一方の面を粗面化する。なお表面に粗面Mに対応する微細凹凸形状を作製してなる平板、ロール版等に基材を加熱押圧して粗面を作製する場合、エッチングによる場合等にあっては、サンドブラスト処理に代えて、これらの処理が施される。また粗面層を作製する場合には、上述した各種の構成に対応する材料による塗工液を塗工、乾燥、硬化する工程が、サンドブラスト処理に代えて実行される。
サンドブラスト処理等により粗面を作製する場合、コロナ処理等による濡れ性改善処理が施され、これにより濡れ性が改善され、上述した範囲に表面張力が収まるように設定される。
続いて光学フィルム3の製造工程は、拡散反射層9に係る塗工液を塗工した後、乾燥硬化して拡散反射層9を作製する。ここで塗工液の塗工には、種々の塗工方法を広く適用することができ、例えば、スロットダイコート法、ロールコート法、バーコート法、スピンコート法、ブレードコート法等を挙げることができる。
ドットパターンフィルムの製造工程で作製されたドットパターンフィルムと、拡散反射フィルムの製造工程で作製された拡散反射フィルムとを搬送しながら一方のフィルム材に紫外線硬化性樹脂の塗工液を塗工して乾燥した後、積層し、紫外線の照射により一体化する。その後、画像表示パネル2への配置に供する接着剤層を作製した後、セパレータフィルムを配置し、所望の大きさに切断して光学フィルム3を作製する。
以下に、光学フィルム3を構成する拡散反射フィルム5の実施例を詳述するものの、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
両末端に重合可能なアクリレートを有するとともに中央部のメソゲンとアクリレートとの間にスペーサーを有する液晶材料95.3質量部と、両側の末端に重合可能なアクリレートを有する右旋回性のカイラル剤(商品名:CNL−715,ADEKA社製)4.03質量部とをシクロヘキサノン溶液500質量部に溶解させて、拡散反射層の作製に供する塗工液を作製した。このとき、シクロヘキサノン溶液は、液晶性モノマー分子及びカイラル剤の合計100質量部に対して5.0質量部の光重合開始剤(商品名:イルガキュア184,BASF社製)と、液晶性モノマー分子及びカイラル剤の合計100質量部に対して0.03質量部のレベリング剤(商品名:BYK−361N,固形分:30質量%,ビックケミー・ジャパン社製)とを含んでいた。
続いて、いわゆるケミカルエッチングにより両面を粗面としたPETフィルムを基材に適用して、バーコーターを用いて、硬化後の膜厚が4μmとなるように上記の塗工液を基材の一方の面に塗布した。次いで、この塗工液に含まれるシクロヘキサノンを80℃、2分間の条件で蒸発させて乾燥した後、紫外線照射装置「Hバルブ」(フュージョン社製)を用いて積算光量が50mJ/cm2になるように紫外線を照射することで、液晶材料とカイラル剤とを3次元架橋してポリマー化し、拡散反射層を形成した。なお、積算光量の測定は、紫外線光量計「UV−351」(オーク製作所社製)を用いてJIS R1709法にしたがって測定した。なおこの透明フィルム材は、粗面が、算術平均粗さRa0.399μm、十点平均粗さRz1.618μmであり、全体としてヘイズ値は85.5、厚みは50μmである。なお拡散反射層をコーティング後の、コーティング面の算術平均粗さRaは0.034μmまで低下しており、ヘイズ値も6.2まで低下していた。
図7は、拡散反射フィルム5の計測結果を示す図である。符号LTは全透過光(直進光及び拡散透過光)による透過率であり、符号LRは、全反射光(正反射光及び拡散反射光)による反射率であり、この計測結果から拡散反射フィルム5が可視光域では透明であり、近赤外線で選択的に反射率が増大することが判る。正反射を含む拡散反射率LRは、紫外可視分光光度計「V−670」(日本分光株式会社)に積分球ユニット「ISN−723」(日本分光株式会社製)を装着して測定した。
図10及び図11は、図3及び図4との対比により、何ら粗面化処理していないPETフィルム基材(算術平均粗さRa0.004μm、十点平均粗さRz0.025μm、ヘイズ値1.0、厚み50μm)に、コレステリック液晶による液晶層を作製した場合の計測結果を示す図であり、図3及び図4と同一の符号により各計測結果を示す。なおこの図10及び図11の計測に使用したサンプルは、粗面を作製していない点を除いて、実施例1の拡散反射フィルムと同一に作製した。なおこの基材は、表面張力(γs)が47.6mN/mであり、極性成分(γsh)が3.7mN/mであり、非極性成分(γsd)が43.9mN/mであった。
いわゆるケミカルマット面による粗面を備えた透光性フィルム材を基材に適用して、実施例1と同様にして拡散反射フィルムを作製した。なおこの透光性フィルム材は、粗面が、算術平均粗さRa0.273μm、十点平均粗さRz0.98μmであり、全体としてヘイズ値は16.4、厚みは128μmである。なお拡散反射層をコーティング後の、コーティング面の算術平均粗さRaは0.011μmまで低下しており、ヘイズ値も2.0まで低下していた。なお基材の粗面は、表面張力(γs)が31.4mN/mであり、極性成分(γsh)が0.0mN/mであり、非極性成分(γsd)が31.4mN/mであった。
この実施例2は、拡散反射層の塗工液を以下のようにして作製した点を除いて、上述の実施例1と同一に拡散反射フィルムを作製した。この実施例2では、(7−1)について上述した液晶材料に代えて、(7−1)の液晶材料と(9)の液晶材料とを質量比7:3により調整し、2官能液晶と単官能液晶との混合液晶により塗工液を作製した。このように、2官能液晶と単官能液晶の混合液晶とすることにより、液晶相の温度範囲が拡大し、塗工液の取り扱いが容易となる。
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
2 画像表示パネル
3 光学フィルム
4 ドットパターンフィルム
5 拡散反射フィルム
7 ドット
8 基材
9 拡散反射層
10 基材
Claims (5)
- 可視光域では透明であって、近赤外線を拡散反射する光学フィルムであって、
少なくとも一方の面が粗面であり、前記可視光域において透明である透明フィルム材による基材と、
前記基材の粗面に作製されたコレステリック液晶による拡散反射層とを備え、
前記拡散反射層は、
TEM観察又はSEM観察による前記コレステリック液晶のらせん軸構造を示すスジ状模様のスジが、前記粗面表面に対して一定のピッチだけ順次離間して、前記粗面表面の凹凸形状に沿って蛇行するようにして形成され、
前記スジは、前記粗面表面と、前記拡散反射層の前記粗面表面とは反対側の表面とにおいて途切れており、前記スジの途切れは、前記粗面表面とは反対側の表面に比して、前記粗面表面側が少ない
光学フィルム。 - 前記粗面は、算術平均粗さRaが0.01μm以上1μm以下である
請求項1に記載の光学フィルム。 - さらに近赤外線を吸収するドットによるドットパターンが作製された
請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。 - 近赤外線を吸収するドットによるドットパターンが作製されたドットパターンフィルムと積層された
請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。 - 請求項3又は請求項4に記載の光学フィルムを画像表示パネルのパネル面に配置した
画像表示装置。
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