JP7475333B2 - 異方性光学フィルムを用いた反射型表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、異方性光学フィルムを用いた反射型表示装置に関する。
従来の液晶表示装置は、例えばTN(Twisted Nematic)型液晶ディスプレイの場合、液晶セルの両表面の二つの偏光板は、その偏光面が直交するように設けられている。そのため、例えば、ノーマリーブラックモードの場合、液晶セルが駆動状態にあるとき、一方の偏光板を通過した光が、液晶により偏光されて他方の偏光板を通過するように動作して白い画面に、非駆動状態のときには、光が他方の偏光板を通過しないように動作して黒い画面となる。前記の様に光が偏光板を通過するため、偏光板の偏光面と異なる方向の光は偏光板を通過できず、液晶の使用光量が少なく、暗い表示装置となりやすい。
近年のモバイル端末やウエアラブルデバイスの普及により、屋外において表示装置を使用する機会が増えている。これに対応するため、屋外の外光を取り込み、反射させることで光源を得る反射型液晶表示装置が増加している。
一方で、反射型液晶表示装置は、透過型液晶ディスプレイのように光源のスペクトルを調整することができないため、偏光板の波長特性がそのまま表示色となることから、偏光板の波長特性の改善が重要な課題となっていた。これまでの反射型液晶表示装置は、白表示はやや黄色に呈色し、黒表示は青色に呈色しやすい。そのため、他の反射型表示装置(電子ペーパーディスプレイ等)と比較して、表示品位が劣ったものと見なされてきた。
ここで特許文献1には、偏光機能を有する異方性光拡散板を、反射型液晶表示装置が背面側から順に、反射板、液晶セル、位相差板、偏光機能を有する基材(A)であるとき、反射板と液晶セルとの間、液晶セルと位相差板との間、位相差板と偏光機能を有する基材(A)との間のいずれかに設けることで、偏光板が有する白表示時の黄色の呈色と、黒表示時の青色の呈色との問題によって発生する色相を改善し、偏光板が平行位でも直交位でも各波長の依存性がなく、白表示時に高品位な紙のような白を表示し、黒表示時に漆黒な黒を表示し、反射型液晶表示装置の品位を、より向上する発明が提案されている。
国際公開2015/111472号公報
特許文献1で使用される異方性光拡散板は、当該文献内で「特開2012-37611号に記載されるような異方性光拡散も、異方性光拡散により偏光機能を有するため、反射型偏光板として用いることができる」とあり、その特開2012-37611号公報における当該異方性光拡散層は、屈折率の異なる複数の層が、フィルム面に平行な平面内の一方向に並んだ縞を形成している。以降このような略板状構造の一層のことを、本発明ではルーバー構造と称す。
ルーバー構造は、光学特性において、光の透過率は良好であるが、ギラツキといった問題を有しており、当該特許文献1では、反射型液晶表示装置に使用した際の当該問題に関する記載は確認できない。
一方、画像表示の鮮明性、いわゆるボケ感抑制も重要な表示特性要素の一つであり、ギラツキ及びボケ感の両方を抑制した反射型表示装置が望まれている。
そこで、本発明の目的は、前記ギラツキやボケ感がなく、白表示時に高品位な紙のような白を表示することができる、白色の呈色に優れた(十分なペーパーホワイト感を有する)反射型表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の反射型表示装置は、反射板と、入射光角度により直線透過率が変化する異方性光学フィルムと、を備える反射型表示装置であって、前記異方性光学フィルムは、少なくとも、異方性光拡散層を含み、前記異方性光拡散層は、マトリックス領域と、前記マトリックス領域とは屈折率の異なる、複数の柱状領域とを有し、前記複数の柱状領域は、前記異方性光拡散層の一方の表面から他方の表面にかけて配向して構成され、前記異方性光拡散層の一方の表面における、前記複数の柱状領域の平均長径/平均短径、であるアスペクト比が、20以下であることを特徴とする。
本発明によれば、異方性光学フィルムの異方性光拡散層の一方の表面における複数の柱状領域のアスペクト比を、特定の数値とすることで、反射型表示装置の反射板よりも視認側に、当該異方性光学フィルムを設置した際、ギラツキやボケ感の少ない、十分なペーパーホワイト感を有する反射型表示装置を提供することができる。
本発明の反射型表示装置における、反射板と、異方性光学フィルムの配置例を説明する模式図である。 本発明にかかる異方性光学フィルムの入射角度依存性を示した説明図である。 本発明にかかる異方性光拡散層の平面方向の表面図である。 本発明にかかる異方性光拡散層の模式図及び透過光図の一例である。 異方性光拡散層における散乱中心軸Pを説明するための3次元極座標表示である。 異方性光拡散層における拡散領域と非拡散領域を説明するための光学プロファイルの例である。 異方性光拡散層の入射光角度依存性測定方法を示す模式図である。 任意工程1-3による本発明にかかる異方性光拡散層の製造方法を示す模式図である。 実施例1及び比較例2の反射型表示装置の画像写真である。
1.主な用語の定義
ここで、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)に関して、主な用語の定義をしておく。
「異方性光学フィルム」とは、異方性光拡散層が単層(一層のみ)の場合、異方性光拡散層が2層以上積層されて構成された場合(その際、異方性光拡散層の層間は、粘着層等を介して積層されていてもよい)等を含むことを意味する。従って、例えば、異方性光拡散層が単層の場合には、単層の異方性光拡散層が異方性光学フィルムであることを意味する。
「異方性光学フィルム」は、光の拡散、透過及び拡散分布が、光の入射角度によって変化する入射光角度依存性を有する異方性及び指向性を有するものである(詳細は後述する)。従って、入射光角依存性が無い指向性拡散フィルム、等方性拡散フィルム、特定方位に配向する拡散フィルムとは異なるものである。
「低屈折率領域」と「高屈折率領域」は、本発明にかかる異方性光学フィルムを構成する材料の局所的な屈折率の高低差により形成される領域であって、他方に比べて屈折率が低いか高いかを示した相対的なものである。これらの領域は、異方性光学フィルムを形成する材料が硬化する際に形成される。
「散乱中心軸」とは、異方性光学フィルム又は異方性光拡散層への入射光角度を変化させた際に直線透過性がその入射光角度を境に略対称性を有する光の入射光角度と一致する方向を意味する。「略対称性を有する」としたのは、散乱中心軸がフィルムの法線方向に対して傾きを有する場合には、光学特性(後述する「光学プロファイル」)が厳密には対称性を有しないためである。散乱中心軸は、異方性光学フィルムの断面の柱状領域の傾きを光学顕微鏡によって観察することや、異方性光学フィルムを介した光の投影形状を、入射光角度を変化させて観察することにより確認することができる。
「散乱中心軸角度」とは、散乱中心軸の、異方性光学フィルム又は異方性光拡散層の主平面表面の法線方向に対する傾きのことであり、異方性光学フィルム又は異方性光拡散層の法線方向を0°としたときの角度である。
又、「直線透過率」とは、一般に、異方性光学フィルム又は異方性光拡散層に対して入射した光の直線透過性に関し、ある入射光角度から入射した際に、入射方向と同一の直線方向の透過光量である「直線透過光量」と、入射した光の光量である「入射光量」との比率であり、下記式で表される。
直線透過率(%)=(直線透過光量/入射光量)×100
又、本発明においては、「散乱」と「拡散」の両者を区別せずに使用しており、両者は同じ意味を示す。更に、「光重合」及び「光硬化」の意味を、光重合性化合物が光により重合反応することとし、両者を同義語で用いることとする。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造又は機能を有するものとする。
2.反射型表示装置
本発明の反射型表示装置は、反射板と、入射光角度により直線透過率が変化する異方性光学フィルムと、を備える。
図1は、本発明の反射型表示装置における、反射板と、異方性光学フィルムの配置例を説明する模式図であり、反射型液晶表示装置の内面反射型及び外面反射型の一例である。
反射型液晶表示装置100(101)には、液晶層110の背面ガラス120側に、散乱性の反射板である、金属電極130を置く「内面反射型」と、背面位相差フィルム160及び背面偏光板140よりも外側に背面反射板180を置く「外面反射型」等の方式がある。
ここで本発明の反射型表示装置における、反射板と、異方性光学フィルムの配置箇所であるが、異方性光学フィルムは、反射板よりも、反射型表示装置における外光入射面側(視認者の視認側、反射光を視認する側)であれば、どの位置であっても構わない。一例として、図1では、前面ガラス121と、前面偏光板141よりも内側である、前面位相差フィルム161との間に、粘着層170、171を介して、異方性光学フィルム150を設置させている。
粘着層170、171に用いられる粘着剤としては、透明性を有するものであれば特に制限されるものではないが、常温で感圧接着性を有する粘着剤を使用することが好ましい。このような粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂を挙げることができる。特に、アクリル系の樹脂は、光学的透明性が高く、比較的安価で好ましい。
本発明にかかる反射板は、反射フィルム、反射板、金属電極等の光を反射する部材であり、従来から使用されている反射型表示装置に備え付けられているものを用いることができる。
2-1.異方性光学フィルム
本発明にかかる異方性光学フィルムは、入射光の入射光角度に依存して、直線透過率が変化する。即ち、所定の角度範囲の入射光は、直線性を維持して透過し、その他の角度範囲の入射光は、拡散性を示す。
図2は、本発明にかかる異方性光学フィルムの入射角度依存性を示した説明図である。
図2の異方性光学フィルムは、入射光角度が20°~50°の場合に、拡散性を示し、その他の角度では、拡散性を示さず、直線透過性を示すことを表わしている。即ち図に示すように、20°よりも小さな0°と、50°よりも大きな65°とでは、拡散性を示さず、直線透過性を示す。
本発明にかかる異方性光学フィルムは、少なくとも、単層又は複数層である異方性光拡散層を含む。異方性光学フィルムに含まれる異方性光拡散層は、直線透過性、ヘイズ値、散乱中心軸などの光学特性の異なる異方性光拡散層が複数含まれていてもよい。
ここで複数層である異方性光拡散層とは、単層の異方性光拡散層が、直接又は粘着層を介して複数積層されたもののことである。粘着層に用いられる粘着剤としては、上記図1での説明で述べた粘着剤を使用することができる。
一方、異方性光拡散層に異方性光拡散層を直接積層する構成とする場合には、光重合性化合物を含む組成物層を硬化させて、単層の異方性光拡散層とした後、当該単層の異方性光拡散層上に、直接、光重合性化合物を含む塗料をシート状に塗布して組成物層とした後、当該組成物層を硬化することにより、作製することができる。
更に異方性光学フィルムは、異方性光拡散層以外でも、複数の層を積層することができる。
複数の層が積層された異方性光学フィルムとしては、例えば、異方性光学フィルムに、別の機能を有する層を積層したもの等が挙げられる。又、本発明にかかる異方性光学フィルムは、ガラス基板等の透明基板上に積層して用いてもよい。
本発明の異方性光学フィルムは、製造の容易性やコストの観点で、単層の異方性光拡散層であることが好ましい。
異方性光学フィルムの厚みは、用途や生産性を考慮すると、10μm~500μmであることが好ましく、50μm~150μmであることがより好ましい。
本発明にかかる異方性光拡散層は、マトリックス領域と、マトリックス領域とは屈折率の異なる、複数の柱状領域とを、有し、入射光角度依存性を有する異方性及び指向性を有する。
又、異方性光拡散層は、通常、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなる。そのためマトリックス領域と、複数の柱状領域とは、同一の組成からなり、それぞれが相分離して形成される。
ここで、屈折率が異なるとは、異方性光拡散層に入射した光の少なくとも一部が、マトリックス領域と、柱状領域との界面において反射が起こる程度に差異があればよく、特に限定されないが、例えば、マトリックス領域と、柱状領域との屈折率の差は、0.001以上あればよい。
本発明にかかる異方性光拡散層の厚さ(異方性光拡散層主平面に対して垂直方向、異方性光学フィルムの厚さと同方向の長さ)は、特に限定されず、例えば、1μm~200μmであることが好ましく、10μm~100μmであることがより好ましい。前記厚さが200μmを超える場合、材料費がよりかかるだけでなく、UV照射にかかる費用も増すため、製造コストがかかり、加えて異方性光拡散層の厚さ方向での拡散性増加により、画像ボケやコントラスト低下が起こりやすくなる。又、厚さが1μm未満である場合、光の拡散性及び集光性を十分なものとすることが難しい場合がある。
本発明にかかる異方性光拡散層に含まれる複数の柱状領域は、通常、異方性光拡散層の一方の表面から他方の表面にかけて配向、かつ、延在している。
本発明にかかる異方性光拡散層の表面(異方性光拡散層主平面の表面)における前記複数の柱状領域の表面形状は、短径と、長径とを有する形状とすることができる。
前記表面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形とすることができる。円形の場合には、短径と長径は等しくなり、楕円形の場合には、短径は短軸の長さ、長径は長軸の長さとなり、多角形の場合には、多角形内に直線を引いた場合に考えることのできる、最も短い長さを短径とし、最も長い長さを長径とすることができる。
図3は、本発明にかかる異方性光拡散層の平面方向の表面図であり、異方性光拡散層200、250の表面から見た複数の柱状領域(202及び212)及びマトリックス領域(201及び211)を示した。図中LAは長径を表わし、SAは短径を表わしている。
本発明にかかる短径及び長径は、異方性光拡散層の表面を光学顕微鏡で観察し、任意に選択した20個の柱状領域についてそれぞれの短径、長径を計測し、これらの平均値とすることができる。
複数の柱状領域短径の平均値(平均短径)は、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、複数の柱状領域短径の平均短径は、5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。これら複数の柱状領域の短径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
又、複数の柱状領域長径の平均値(平均長径)は、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、複数の柱状領域長径の平均長径は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。これら複数の柱状領域の短径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
又、本発明にかかる複数の柱状領域の平均短径に対する平均長径の比(平均長径/平均短径)、即ち、アスペクト比は、20以下である。図3(a)は、アスペクト比が2未満の異方性光拡散層を示しており、図3(b)は、アスペクト比が2~20の異方性光拡散層を示している。
アスペクト比の上限は、20であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。アスペクト比がかかる範囲にある場合にはギラツキを抑制するという効果を得ることができる。
図4は、本発明にかかる異方性光拡散層の模式図及び透過光図の一例である。
本発明異方性光拡散層は、アスペクト比が1以上2未満の場合には、複数の柱状領域の軸方向に平行な光を照射した場合、その透過光は等方的に拡散する{図4(a)を参照}。一方、アスペクト比が2~20の場合には、同様に軸方向に平行な光を照射した場合、アスペクト比に応じた異方性をもって拡散する{図4(b)を参照}。
又、本発明にかかる異方性光拡散層は、1つのアスペクト比を有する複数の柱状領域を含んでいてもよいし、異なるアスペクト比を持つ、複数の柱状領域を含んでいてもよい。
本発明にかかる異方性光拡散層は、少なくとも1つの散乱中心軸を有することができる
柱状領域の一方の表面から他方の表面にかけての配向方向(延在方向)は、散乱中心軸と平行になるように形成されることができ、異方性光拡散層が所望の直線透過率及び拡散性を有するように適宜定めることができる。なお、散乱中心軸と柱状領域の配向方向とが平行であるとは、屈折率の法則(Snellの法則)を満たすものであればよく、厳密に平行である必要はない。
Snellの法則は、屈折率nの媒質から屈折率nの媒質の界面に対して光が入射する場合、その入射光角度θと屈折角θとの間に、nsinθ=nsinθの関係が成立するものである。例えば、n=1(空気)、n=1.51(異方性光拡散層)とすると、入射光角度が30°の場合、柱状領域の配向方向(屈折角)は約19°となるが、このように入射光角度と屈折角が異なっていてもSnellの法則を満たしていれば、本発明においては平行の概念に包含される。
この散乱中心軸は、上述したように、異方性光拡散層への入射光角度を変化させた際に光拡散性が、その入射光角度を境に略対称性を有する光の入射光角度と一致する方向を意味する。なお、このときの入射光角度は、異方性光拡散層の入射光角度における直線透過光量の測定より得られる光学プロファイル(例えば図6)における最小直線透過率の極小値に挟まれた略中央部(拡散領域と称す領域の中央部)となる。
次に、図5を参照しながら、異方性光拡散層における散乱中心軸Pについて説明する。図5は、異方性光拡散層における散乱中心軸Pを説明するための3次元極座標表示である。
図5に示すような3次元極座標表示によれば、散乱中心軸Pは、異方性光拡散層の主平面をxy平面とし、当該主平面に対する法線をz軸とすると、極角θと方位角φとによって表現することができる。つまり、図5中のPxyが、上記異方性光拡散層の主平面の表面に投影した散乱中心軸の長さ方向ということができる。
ここで、異方性光拡散層の法線(図5に示すz軸)と、柱状領域の配向方向(散乱中心軸方向)とのなす極角θ(-90°<θ<90°)を、本発明における散乱中心軸角度と定義する。柱状領域の軸方向の角度は、これらを製造する際に、シート状の光重合性化合物を含む組成物に照射する光線の方向を変えることで、所望の角度に調整することができる。
散乱中心軸角度は、特に限定されないが、例えば、-30°~+30°が好ましく、-20°~+20°がより好ましい。-30°~+30°の範囲から外れる場合、視認性が低下し、十分なペーパーホワイト感が得られない反射型表示装置となる恐れがある。
なお、複数の異方性光拡散層が、同一の散乱中心軸を有する場合には、全体として、1つの散乱中心軸を有しているものとする。
又、本発明にかかる異方性光拡散層に複数の散乱中心軸が含まれる場合には、複数の散乱中心軸のそれぞれと配向方向とが平行な複数の柱状領域を含むこととなる。
又、本発明にかかる柱状領域の配向方向長さは、特に限定されず、異方性光拡散層の一方の表面から他方の表面に貫通したものでもよく、一方の表面から他方の表面に届かない長さであっても良い。異方性光拡散層の光の直線透過性を高くすることが可能であるため、柱状領域の配向方向長さは、前記平均長径よりも長い方が好ましい。
図6は、異方性光拡散層における拡散領域と非拡散領域を説明するための光学プロファイルの例である。
上述したように、異方性光拡散層は、入射光角度に依存して直線透過率が変化する光拡散性の入射光角度依存性を有するものである。ここで、図6のように光拡散性の入射光角度依存性を示す曲線を以下、「光学プロファイル」と称する。
図7は、異方性光拡散層の入射光角度依存性測定方法を示す模式図である。光学プロファイルは、図7に示すように、サンプルである異方性光拡散層(又は、単層の異方性光拡散層のみよりなる異方性光学フィルム)200又は250を、光源1と検出器2との間に配置する。本形態においては、光源1からの照射光Iが、サンプル主平面の法線方向から入射する場合を、入射光角度0°とした。又、サンプルは、サンプルを貫く直線Vを中心として、任意に回転させることができるように配置され、光源1及び検出器2は固定されている。すなわち、この方法によれば、光源1と検出器2との間にサンプルを配置し、直線Vを中心軸として角度を変化させながら、サンプルを直進透過して検出器2に入る直線透過光量を測定することにより直線透過率が算出されることで得られることができる。
光学プロファイルは、光拡散性を直接的に表現しているものではないが、直線透過率が低下することで、逆に拡散性が増大していると解釈すれば、概ね光拡散性を示しているといえる。
通常の等方的な光拡散フィルムでは、0°付近の入射光角度をピークとする、山型の光学プロファイルを示す。
異方性光拡散層では、例えば、散乱中心軸角度0°である異方性光拡散層の場合(図6)、0°付近(-20°~+20°)の入射光角度で直線透過率が小さく、入射光角度(の絶対値)が大きくなるにつれて直線透過率が大きくなる谷型の光学プロファイルを示す。
このように、異方性光拡散層は、入射光が散乱中心軸に近い入射光角度範囲では強く拡散されるが、それ以上の入射光角度範囲では拡散性が弱まり直線透過率が高まるという性質を有する。
以下、図6に示すように、入射光角度における直線透過率が最大となる直線透過率である最大直線透過率と、入射光角度における直線透過率が最小となる直線透過率である最小直線透過率との中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度の角度範囲を、拡散領域(この拡散領域の幅を「拡散幅」)と称し、それ以外の入射光角度範囲を非拡散領域(透過領域)と称する。
本発明の異方性光拡散層の法線方向より入射した光の最大直線透過率は、特に限定されないが、例えば、異方性光学フィルムに含まれる異方性光拡散層が1つの場合には、10%~60%が好ましく、10%~50%がより好ましい。この範囲とすることで、ボケ感の少ない、十分なペーパーホワイト感を有する反射型表示装置を得ることができる。
本発明の異方性光拡散層のヘイズ値は、異方性光拡散層の拡散性を示す指標である。ヘイズ値が大きくなると、異方性光拡散層の拡散性が高くなる。異方性光拡散層のヘイズ値は、特に限定されないが、例えば、50%~90%が好ましく、60%~80%がより好ましい。この範囲とすることで、ボケ感の少ない、十分なペーパーホワイト感を有する反射型表示装置を得ることができる。
異方性光学フィルムに含まれる異方性光拡散層が複数層である場合には、全異方性光拡散層としてのヘイズ値が、異方性光学フィルムの異方性光拡散層ヘイズ値となる。
前記異方性光拡散層ヘイズ値の測定方法は、特に限定されず、公知の方法で測定することができる。例えば、JIS K7136-1:2000「プラスチック-透明材料のヘイズの求め方」によって測定することができる。
本発明にかかる異方性光拡散層は、異方性光拡散層の少なくとも一方の表面に凹凸を有していてもよい。この場合、異方性光拡散層の表面の算術平均粗さRaは、0.10μm以下であることが好ましい。なお、前記算術平均粗さRaはJIS B0601-2001に準拠して求められる。
前記異方性光拡散層の表面の算術平均粗さRaは、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、共焦点型レーザー顕微鏡等を用いる非接触法や、プローブを用いた表面粗さ測定器等を用いた接触法を挙げることができる。
2-2.異方性光学フィルムにおける異方性光拡散層の製造方法
本発明異方性光学フィルムにおける異方性光拡散層の製造方法は、未硬化樹脂組成物層にUV(紫外線)等の光線を照射することにより製造することができる。以下、初めに異方性光拡散層の原料を説明し、次いで製造プロセスを説明する。下記では主に、好適例である、1つの異方性光拡散層を含む異方性光学フィルムの製造について説明し、必要に応じてその他の態様について補足する。
2-2-1.異方性光拡散層の原料
異方性光拡散層の原料について、(1)光重合性化合物、(2)光開始剤、(3)その他任意成分の順に説明する。
2-2-1-1.光重合性化合物
本発明にかかる異方性光拡散層を形成する材料である光重合性化合物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するマクロモノマー、ポリマー、オリゴマー、モノマーから選択される光重合性化合物と光開始剤とから構成され、紫外線及び/又は可視光線を照射することにより重合・硬化する材料である。ここで、異方性光学フィルムに含まれる異方性光拡散層を形成する材料が1種類であっても、密度の高低差ができることによって屈折率差が生ずる。UVの照射強度が強い部分は硬化速度が早くなるため、その硬化領域周囲に重合・硬化材料が移動し、結果として屈折率が高くなる領域と屈折率が低くなる領域が形成されるからである。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートのどちらであってもよいことを意味する。
ラジカル重合性化合物は、主に分子中に1個以上の不飽和二重結合を含有するもので、具体的には、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート等の名称で呼ばれるアクリルオリゴマーと、2-エチルヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソノルボルニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシフタル酸、ジシクロペンテニルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のアクリレートモノマーが挙げられる。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。なお、同様にメタクリレートも使用可能であるが、一般にはメタクリレートよりもアクリレートの方が、光重合速度が速いので好ましい。
カチオン重合性化合物としては、分子中にエポキシ基やビニルエーテル基、オキセタン基を1個以上有する化合物が使用できる。エポキシ基を有する化合物としては、2-エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、ビフェニルのグリシジルエーテル、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールAのPO付加物等のアルキレングリコール類のジグリシジルエーテル類、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、更に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)-4,5-エポキシテトラヒドロフタレート等の脂環式エポキシ化合物も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、ビニルエーテル化合物は、一般にはカチオン重合性であるが、アクリレートと組み合わせることによりラジカル重合も可能である。
又、オキセタン基を有する化合物としては、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)-オキセタン等が使用できる。
なお、以上のカチオン重合性化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。上記光重合性化合物は、上述に限定されるものではない。又、十分な屈折率差を生じさせるべく、上記光重合性化合物には、低屈折率化を図るために、フッ素原子(F)を導入しても良く、高屈折率化を図るために、硫黄原子(S)、臭素原子(Br)、各種金属原子を導入しても良い。更に、特表2005-514487号公報に開示されるように、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化錫(SnO)等の高屈折率の金属酸化物からなる超微粒子の表面に、アクリル基やメタクリル基、エポキシ基等の光重合性官能基を導入した機能性超微粒子を上述の光重合性化合物に添加することも有効である。
本発明にかかる光重合性化合物として、シリコーン骨格を有する光重合性化合物を使用することが好ましい。シリコーン骨格を有する光重合性化合物は、その構造(主にエーテル結合)に伴い配向して重合・硬化し、低屈折率領域、高屈折率領域、又は、低屈折率領域及び高屈折率領域を形成する。シリコーン骨格を有する光重合性化合物を使用することによって、柱状領域を傾斜させやすくなり、正面方向への集光性が向上する。なお、低屈折率領域は柱状領域又はマトリックス領域のいずれか一方に相当するものであり、他方が高屈折率領域に相当する。
低屈折率領域において、シリコーン骨格を有する光重合性化合物の硬化物であるシリコーン樹脂が相対的に多くなることが好ましい。これによって、散乱中心軸を更に傾斜させやすくすることができるため、正面方向への集光性が向上する。シリコーン樹脂は、シリコーン骨格を有さない化合物に比べ、ケイ素(Si)を多く含有するため、このケイ素を指標として、EDS(エネルギー分散型X線分光器)を使用することによってシリコーン樹脂の相対的な量を確認することができる。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー又はマクロモノマーである。ラジカル重合性の官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等が挙げられ、カチオン重合性の官能基としては、エポキシ基、オキセタン基等が挙げられる。これらの官能基の種類と数に特に制限はないが、官能基が多いほど架橋密度が上がり、屈折率の差が生じやすいため好ましいことから、多官能のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有することが好ましい。又、シリコーン骨格を有する化合物はその構造から他の化合物との相溶性において不十分なことがあるが、そのような場合にはウレタン化して相溶性を高めることができる。本形態では、末端にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシリコーン・ウレタン・(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物の重量平均分子量(Mw)は、500~50,000の範囲にあることが好ましい。より好ましくは2,000~20,000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲にあることにより、十分な光硬化反応が起こり、異方性光学フィルム100の各異方性光拡散層内に存在するシリコーン樹脂が配向しやすくなる。シリコーン樹脂の配向に伴い、散乱中心軸を傾斜させやすくなる。
シリコーン骨格としては、例えば、下記の一般式(1)で示されるものが該当する。一般式(1)において、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、メチル基、アルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ポリエーテル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の官能基を有する。又、一般式(1)中、nは1~500の整数であることが好ましい。
Figure 0007475333000001
シリコーン骨格を有する光重合性化合物にシリコーン骨格を有さない化合物を配合して、異方性光拡散層を形成すると、低屈折率領域と高屈折率領域が分離して形成されやすくなり、異方性の程度が強くなり好ましい。シリコーン骨格を有さない化合物は、光重合性化合物のほかに熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができ、これらを併用することもできる。光重合性化合物としては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するポリマー、オリゴマー、モノマーを使用することができる(ただし、シリコーン骨格を有していないものである)。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂とその共重合体や変性物が挙げられる。熱可塑性樹脂を用いる場合においては熱可塑性樹脂が溶解する溶剤を使用して溶解し、塗布、乾燥後に紫外線でシリコーン骨格を有する光重合性化合物を硬化させて異方性光拡散層を成形する。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステルとその共重合体や変性物が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合においては、紫外線でシリコーン骨格を有する光重合性化合物を硬化させた後に適宜加熱することで、熱硬化性樹脂を硬化させて異方性光拡散層を成形する。シリコーン骨格を有さない化合物として最も好ましいのは光重合性化合物であり、低屈折率領域と高屈折率領域が分離しやすいこと、熱可塑性樹脂を用いる場合の溶剤が不要で乾燥過程が不要であること、熱硬化性樹脂のような熱硬化過程が不要であることなど、生産性に優れている。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物と、シリコーン骨格を有さない化合物の比率は質量比で15:85~85:15の範囲にあることが好ましい。より好ましくは30:70~70:30の範囲である。当該範囲にすることによって、低屈折率領域と高屈折率領域の相分離が進みやすくなるとともに、柱状領域が傾斜しやすくなる。シリコーン骨格を有する光重合性化合物の比率が下限値未満又は上限値超であると、相分離が進みにくくなってしまい、柱状領域が傾斜しにくくなる。シリコーン骨格を有する光重合性化合物としてシリコーン・ウレタン・(メタ)アクリレートを使用すると、シリコーン骨格を有さない化合物との相溶性が向上する。これによって、材料の混合比率を幅広くしても柱状領域を傾斜させることができる。
2-2-1-2.光開始剤
ラジカル重合性化合物を重合させることのできる光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル)フェニル]チタニウム、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
又、カチオン重合性化合物の光開始剤は、光照射によって酸を発生し、この発生した酸により上述のカチオン重合性化合物を重合させることができる化合物であり、一般的には、オニウム塩、メタロセン錯体が好適に用いられる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩等が使用され、これらの対イオンには、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-等のアニオンが用いられる。具体例としては、4-クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェート、(η5-イソプロピルベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
本発明にかかる光開始剤は、光重合性化合物100質量部に対して、0.01~10質量部、好ましくは0.1~7質量部、より好ましくは0.1~5質量部程度配合される。これは、0.01質量部未満では光硬化性が低下し、10質量部を超えて配合した場合には、表面だけが硬化して内部の硬化性が低下してしまう弊害、着色、柱状領域の形成の阻害を招くからである。これらの光開始剤は、通常粉体を光重合性化合物中に直接溶解して使用されるが、溶解性が悪い場合は光開始剤を予め極少量の溶剤に高濃度に溶解させたものを使用することもできる。このような溶剤としては光重合性であることが、更に好ましく、具体的には炭酸プロピレン、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。又、光重合性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。更に、光重合性化合物を加熱により硬化させることのできる熱硬化開始剤を光開始剤とともに併用することもできる。この場合、光硬化の後に加熱することにより光重合性化合物の重合硬化を更に促進し完全なものにすることが期待できる。
2-2-1-3.その他任意成分
光重合性化合物を単独で、又は複数を混合した組成物を硬化させて、異方性光拡散層を形成することができる。又、光重合性化合物と光硬化性を有しない高分子樹脂との混合物を硬化させることによっても本発明にかかる異方性光拡散層形成することができる。ここで使用できる高分子樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これらの高分子樹脂と光重合性化合物は、光硬化前は十分な相溶性を有していることが必要であるが、この相溶性を確保するために各種有機溶剤や可塑剤等を使用することも可能である。なお、光重合性化合物としてアクリレートを使用する場合は、高分子樹脂としてはアクリル樹脂から選択することが相溶性の点で好ましい。
光重合性化合物を含む組成物を調製する際の溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等を使用することができる。
2-2-2.異方性光拡散層の製造工程(プロセス)
次に、本形態の異方性光拡散層の製造工程(プロセス)について説明する。まず、上述の光重合性化合物を含む塗料を、透明PETフィルムのような適当な基体上に塗布してシート状に成膜して未硬化樹脂組成物層を設ける。この未硬化樹脂組成物層上に、紫外線及び/又は可視光線等の光線を照射することで、異方性光拡散層を作製することができる。
本形態にかかる異方性光拡散層の形成工程は、主に、以下の工程を有するものである。
(1)工程1-1:未硬化樹脂組成物層を基体上に設ける工程
(2)工程1-2:光源から平行光線を得る工程
(3)任意工程1-3:平行光線を指向性拡散素子に入射させ、指向性をもった光線を得る工程
(4)工程1-4:光線を未硬化樹脂組成物層に照射して、未硬化樹脂組成物層を硬化させる工程
・工程1-1:未硬化樹脂組成物層を基体上に設ける工程
光重合性化合物を、基体上に、塗布してシート状に成膜して未硬化樹脂組成物層として設ける手法は、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。組成物が低粘度の場合は、基体の周囲に一定の高さの堰を設けて、この堰で囲まれた中に組成物をキャストすることもできる。
又、上記工程1-1において、未硬化樹脂組成物層の酸素阻害を防止して、本形態にかかる異方性光拡散層の特徴である柱状領域を効率良く形成させるために、未硬化樹脂組成物層の光照射側に密着して光線の照射強度を局所的に変化させるマスクを積層することも可能である。マスクの材質としては、カーボン等の光吸収性のフィラーをマトリックス中に分散したもので、入射光の一部はカーボンに吸収されるが、マスク開口部は、光が十分に透過できるような構成のものが好ましい。このようなマトリックスとしては、PET、TAC、PVAc、PVA、アクリル、ポリエチレン等の透明プラスチックフィルムや、ガラス、石英等の無機物を用いることができる。
更に、マスクシートに、紫外線透過量を制御するためのパターニングや紫外線を吸収する顔料を含んだものであっても構わない。
このようなマスクを用いない場合には、窒素雰囲気下で光照射を行うことで、未硬化樹脂組成物層の酸素阻害を防止することも可能である。又、通常の透明フィルムを未硬化樹脂組成物層上に積層するだけでも、酸素阻害を防ぎ柱状領域の形成を促す上で有効である。このようなマスクや透明フィルムを介した光照射では、光重合性化合物を含む組成物中に、その光照射強度に応じた光重合反応を生じるため、屈折率分布を生じ易く、本形態にかかる異方性光拡散層の作製に有効である。
・工程1-2:光源から平行光線を得る工程
光源としては、通常はショートアークの紫外線発生光源が使用され、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ等が使用可能である。このとき、所望の散乱中心軸と平行となるような光線を得る必要があるが、このような平行光線は、例えば点光源を配置して、この点光源と未硬化樹脂組成物層の間に平行光線を照射するためのフレネルレンズ等の光学レンズを配置する他、光源の背後に反射鏡を配置して、所定の方向に光が出射するようにすること等で、得ることができる。
・工程1-4:光線を未硬化樹脂組成物層に照射して、未硬化樹脂組成物層を硬化させる工程(任意工程1-3を行わない場合)
未硬化樹脂組成物層に照射して、未硬化樹脂組成物層を硬化させる光線は、光重合性化合物を硬化可能な波長を含んでいることが必要で、通常は水銀灯の365nmを中心とする波長の光が利用される。この波長帯を使って異方性光拡散層を作製する場合、照度としては0.01mW/cm~100mW/cmの範囲が好ましく、0.1mW/cm~20mW/cm がより好ましい。照度が0.01mW/cm未満であると、硬化に長時間を要するため、生産効率が悪くなり、100mW/cmを超えると、光重合性化合物の硬化が速すぎて構造形成を生じず、目的の光学特性を発現できなくなるからである。なお、光の照射時間は特に限定されないが、10秒間~180秒間が好ましく、30秒間~120秒間がより好ましい。上記光線を照射することで、本形態の異方性光拡散層を得ることができる。
本形態の異方性光拡散層は、上述の如く、低照度の光を比較的長時間照射することにより、未硬化樹脂組成物層中に、特定の内部構造が形成されることで得られるものである。そのため、このような光照射だけでは未反応のモノマー成分が残存して、べたつきを生じたりしてハンドリング性や耐久性に問題がある場合がある。そのような場合は、1000mW/cm以上の高照度の光を追加照射して残存モノマーを重合させることができる。このときの光照射はマスクを積層した側の逆側から行ってもよい。
・任意工程1-3:平行光線を指向性拡散素子に入射させ、指向性をもった光線を得る工程
続いて、任意工程1-3を含む場合の製造方法に関して説明する。任意工程1-3を含む場合の製造方法の内、工程1-1と1-2は、上記で説明した通りであるため、以下、任意工程1-3以降について、説明する。
図8は、任意工程1-3による本発明にかかる異方性光拡散層の製造方法を示す模式図である。
任意工程1-3で用いられる指向性拡散素子301及び302は、光源300から入射した平行光線Dに指向性を付与するものであればよい。図8においては指向性をもった光Eが、X方向に多く拡散し、Y方向にはほとんど拡散しない態様にて、未硬化樹脂組成物層303に入射することを記載している。このように指向性をもった光を得るためには、例えば、指向性拡散素子301及び302内に、アスペクト比の高い針状フィラーを含有させるとともに、当該針状フィラーをY方向に長軸方向が延存するように配向させる方法を採用することができる。指向性拡散素子301及び302は、針状フィラーを使用する方法以外に、種々の方法を使用することができる。
ここで、指向性をもった光Eのアスペクト比は、20以下であり、5以下とすることが好ましい。当該アスペクト比にほぼ対応した、アスペクト比を有する柱状領域が形成される。
任意工程1-3においては、指向性をもった光Eの広がりを調整することにより、形成される柱状領域主平面表面形状(アスペクト比、短径SA、長径LA等)を適宜定めることができる。例えば、図8(a)、(b)のいずれにおいても、本形態の異方性光拡散層を得ることができる。図8(a)と(b)で異なるのは、指向性をもった光Eの広がりが、(a)では大きいのに対し(b)では小さいことである。指向性をもった光Eの広がりの大きさに依存して、柱状領域主平面表面形状の大きさが異なることとなる。
指向性をもった光Eの広がりは、主に指向性拡散素子301及び302の種類と、未硬化樹脂組成物層303との距離に依存する。当該距離を短くするにつれ柱状領域の大きさは小さくなり、長くするにつれ柱状領域の大きさは大きくなる。従って、当該距離を調整することにより、柱状領域の大きさを調整することができる。
・工程1-4:光線を未硬化樹脂組成物層に照射して、未硬化樹脂組成物層を硬化させる工程(任意工程1-3を行う場合)
指向性拡散素子を介して未硬化樹脂組成物層に照射して、未硬化樹脂組成物層を硬化させる光線は、光重合性化合物を硬化可能な波長を含んでいることが必要で、通常は水銀灯の365nmを中心とする波長の光が利用される。この波長帯を使って異方性光拡散層を作製する場合、照度としては0.01mW/cm~100mW/cmの範囲が好ましく、0.1mW/cm~20mW/cm がより好ましい。照度が0.01mW/cm未満であると、硬化に長時間を要するため、生産効率が悪くなり、100mW/cmを超えると、光重合性化合物の硬化が速すぎて構造形成を生じず、目的の光学特性を発現できなくなるからである。なお、光の照射時間は特に限定されないが、10秒間~180秒間が好ましく、30秒間~120秒間がより好ましい。上記光線を照射することで、本形態の異方性光拡散層を得ることができる。
本形態の異方性光拡散層は、任意工程1-3を行う場合においても、上述の如く、低照度の光を比較的長時間照射することにより、未硬化樹脂組成物層中に、特定の内部構造が形成されることで得られるものである。そのため、このような光照射だけでは未反応のモノマー成分が残存して、べたつきを生じたりしてハンドリング性や耐久性に問題がある場合がある。そのような場合は、1000mW/cm以上の高照度の光を追加照射して残存モノマーを重合させることができる。このときの光照射はマスクを積層した側の逆側から行ってもよい。
3.本発明にかかる反射型表示装置の用途
本発明の反射型表示装置は、タブレット型パソコンやウエラブルデバイスの様に、屋外で使用される表示装置として用いることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
<実施例用異方性光学フィルム1~3、6と、参考例用異方性光学フィルム4、5の作製>
厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300)の縁部全周に、ディスペンサーを使い、硬化性樹脂で高さ50μmの隔壁を形成した。この中に下記の紫外線硬化樹脂塗料を滴下し、滴下した液膜の表面を、別のPETフィルムでカバーすることにより、50μmの厚さの未硬化樹脂組成物層の液膜を作製した。
(紫外線硬化樹脂塗料)
・シリコーン・ウレタン・アクリレート(屈折率:1.460、重量平均分子量:5,890) 20重量部
(RAHN社製、商品名:00-225/TM18)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート(屈折率:1.450) 30重量部
(ダイセルサイテック社製、商品名:Ebecryl145)
・ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(屈折率:1.536) 15重量部
(ダイセルサイテック社製、商品名:Ebecyl150)
・フェノキシエチルアクリレート(屈折率:1.518) 40重量部
(共栄社化学製、商品名:ライトアクリレートPO-A)
・2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン 4重量部
(BASF社製、商品名:Irgacure651)
この両面をPETフィルムで挟まれた50μmの厚さの未硬化樹脂組成物層の液膜に対し、UVスポット光源(浜松ホトニクス社製、商品名:L2859-01)の落射用照射ユニットから、照射強度5mW/cmの平行光線である紫外線を、直接又は指向性拡散素子を介し、1分間照射して硬化させ、図4に示すような、複数の柱状領域を有する単層の異方性光拡散層の両面に、PETフィルム有する6種類のPET付きの実施例用及び参考例用の異方性光拡散層(実施例用異方性光学フィルム1~3、6と、参考例用異方性光学フィルム4、5)を得た。
具体的には、実施例用異方性光学フィルム1、6と、参考例用異方性光学フィルム4、5の作製においては、指向性拡散素子を使用せず、実施例用異方性光学フィルム2及び3の作製においては、平行光線のアスペクト比を変更できる指向性拡散素子を使用した。
加えて、実施例用異方性光学フィルム6の作製においては、未硬化樹脂組成物層の液膜主平面の法線方向(表面法線方向)に対し、25°傾けた角度より、平行光線を照射した。
なお、各異方性光拡散層の光学特性である、散乱中心軸角度(異方性光拡散層の法線方向に対する)は、照射する紫外線の光線方向の調整をすることで、最大直線透過率は、紫外線硬化樹脂組成物による液膜の加熱温度を調整することで、柱状領域のアスペクト比は、平行光線のアスペクト比を変更できる指向性拡散素子を使用することで、調整した。
作製した6種類の実施例用異方性光学フィルム1~3、6と、参考例用異方性光学フィルム4、5の特性を、以下、表1に示した。
参考例用異方性光学フィルム7の作製>
高さ120μmの隔壁を形成して、120μmの厚さの未硬化樹脂組成物層の液膜を作製した以外は、異方性光学フィルム1と同様に作製を行い、複数の柱状領域を有する単層の異方性光拡散層の両面に、PETフィルム有するPET付きの実施例用の異方性光拡散層(参考例用異方性光学フィルム7)を得た。特性を表1に示した。
<比較例用異方性光学フィルム1の作製>
平行光線のアスペクト比を50に変更できる指向性拡散素子を使用すること以外は、異方性光学フィルム1と同様に作製を行い、複数の柱状領域を有する単層の異方性光拡散層の両面に、PETフィルム有するPET付き比較例用の異方性光拡散層(比較例用異方性光学フィルム1)を得た。
作製した比較例用異方性光学フィルム1の特性を、以下、表1に示した。
<異方性光学フィルムの測定>
表1内実施例用異方性光学フィルム1~3、6、参考例用異方性光学フィルム4、5、7、比較例用異方性光学フィルム1の特性は、以下のようにして測定した。
(ヘイズ値の測定)
ヘイズ値の測定は、日本電色社工業株式会社製のヘイズメーター、NDH-2000を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。
(異方性光拡散層の散乱中心軸角度及び最大直線透過率の測定)
図7に示すような、光源の投光角、検出器の受光角を任意に可変できる変角光度計ゴニオフォトメータ(ジェネシア社製)を用いて、実施例用、参考例用及び比較例用の各異方性光学フィルム(異方性光拡散層)の直線透過率の測定を行った。固定した光源からの直進光を受ける位置に検出器を固定し、その間のサンプルホルダーに、実施例用、参考例用及び比較例用の各異方性光学フィルムをサンプルとしてセットした。図7に示すように、サンプルを貫く直線Vを回転の中心軸としてサンプルを回転させて、それぞれの入射光角度に対応する直線透過光量を測定した。この評価方法によって、どの角度の範囲で入射される光が拡散するかを評価することができる。この直線Vは、図3に示されるサンプルの構造におけるC-C軸と同じ軸である。直線透過光量の測定は、視感度フィルターを用いて可視光領域の波長を測定した。以上のような測定の結果、得られた光学プロファイルに基づき、入射光角度における直線透過率の最大値(最大直線透過率)と、当該光学プロファイルが略対称形状となる入射光角度である、散乱中心軸角度とを求めた。
(複数の柱状領域のアスペクト比の測定(異方性光拡散層の表面観察))
実施例用、参考例用及び比較例用の各異方性光学フィルム(異方性光拡散層)の一方の表面(紫外線照射時の光照射側)を、光学顕微鏡で観察し、複数の柱状領域の長径及び短径を測定した。平均長径及び平均短径の算出には、任意の20個の構造のうちの平均値とした。又、求めた平均長径及び平均短径に対し、平均長径/平均短径をアスペクト比として算出した。
<反射型表示装置の作製>
市販のTN型反射液晶ディスプレイの液晶パネル視認側表面上の偏光板及び位相差板を剥がし、露出した前面ガラス表面に対し、厚さ10μmの透明粘着層を介し、上記で作製した、実施例用異方性光学フィルム1~3、6、参考例用異方性光学フィルム4、5、7、比較例用異方性光学フィルム1をそれぞれ前面ガラス表面上に積層して貼り合わせた後、露出した各異方性光学フィルム表面に対し、厚さ10μmの透明粘着層を介し、上記で剥がした偏光板及び位相差板の位相差板表面を積層して貼り合わせて、実施例1~3、6、参考例4、5、7、比較例1の反射型表示装置とした。
又、比較例2の反射型表示装置は、異方性光学フィルムを使用せず、そのまま反射型表示装置とした。
これら実施例1~3、6、参考例4、5、7、比較例1~2の反射型表示装置の特性を、以下、表2に示した。
なお、実施例1及び比較例2の反射型表示装置の画像写真を、図9に示す(向かって左側が実施例1、右側が比較例2)。
<官能試験>
作製した実施例1~3、6、参考例4、5、7、比較例1~2の反射型表示装置の官能試験を行った。以下評価基準に従い、評価した結果を、表2に示した。
(ペーパーホワイト感評価基準)
○:背景色(白表示)が白く観察観測される
△:背景色(白表示)がわずかに白く観察される
×:背景色(白表示)がやや黄色く観察される
(ギラツキ評価基準)
○:干渉によるギラツキがない
△:多少ギラツキがあるが許容範囲
×:ギラツキがハッキリと観察される
(ボケ感評価基準)
○:画像表示が鮮明に観測される
△:画像表示がわずかにぼやけて観察される
×:画像表示がぼやけて観察される
表2結果より、実施例1~3、6、参考例4、5、7の反射型表示装置は、ペーパーホワイト感、ギラツキ及びボケ感の全ての評価で△以上であった。しかしながら、参考例7の反射型表示装置は、ボケ感の評価において、参考例5の反射型表示装置よりも劣る性能であった。
従って、本発明異方性光学フィルムを用いた反射型表示装置では、背景色を白くさせることができ、ペーパーホワイト感を付与することができた。又、ギラツキ、ボケ感の著しい悪化による視認性の低下は見られなかった。
特に、実施例1、2、6の反射型表示装置は、ペーパーホワイト感、ギラツキ及びボケ感の全ての評価項目において○であり、高いレベルの特性をバランス良く有していた。
一方、比較例1~2の反射型表示装置は、評価項目のいずれかが×であった。
比較例1の反射型表示装置のギラツキ×評価は、比較例用異方性光学フィルム1の複数の柱状領域が、アスペクト比の大きいルーバー構造であり、フィルム面に平行な平面内の一方向に並んだ縞を形成し、光の干渉が起きてしまった、と考えられる。
そのため比較例1の反射型表示装置は、本発明実施例用異方性光学フィルムを用いた反射型表示装置と比較して、ギラツキが強く、視認性が不良であった。
比較例2の反射型表示装置は、異方性光学フィルムを使用していないため、ペーパーホワイト感の評価が×評価となってしまった。
以上より、反射型表示装置の反射板よりも視認側に、本発明の特定のアスペクト比を有する異方性光学フィルムを設置することで、ギラツキやボケ感の少ない、十分なペーパーホワイト感を有する反射型表示装置を提供することができる。
1,300 :光源
2 :検出器
100 :内面反射型表示装置(反射型液晶表示装置)
101 :外面反射型表示装置(反射型液晶表示装置)
110 :液晶層
120 :背面ガラス
121 :前面ガラス
130 :反射板(金属電極)
140 :背面偏光板
141 :前面偏光板
150 :異方性光学フィルム
160 :背面位相差フィルム
161 :前面位相差フィルム
170,171:粘着層
180 :反射板(背面反射板)
200,250:異方性光拡散層
201,211:マトリックス領域
202,212:柱状領域
301,302:指向性拡散素子
303 :未硬化樹脂組成物層

Claims (4)

  1. 反射板と、入射光角度により直線透過率が変化する異方性光学フィルムと、を備える反射型表示装置であって、
    前記異方性光学フィルムは、前記反射板よりも視認側に配置され、
    前記異方性光学フィルムは、少なくとも、異方性光拡散層を含み、
    前記異方性光拡散層は、マトリックス領域と、前記マトリックス領域とは屈折率の異なる、複数の柱状領域とを有し、
    前記複数の柱状領域は、前記異方性光拡散層の一方の表面から他方の表面にかけて配向して構成され、
    前記異方性光拡散層の一方の表面における、前記複数の柱状領域の平均長径/平均短径、であるアスペクト比が、20以下であり、
    前記異方性光拡散層のヘイズ値が、60%~80%であり、
    前記異方性光拡散層の最大直線透過率が、30%~50%であることを特徴とする、反射型表示装置(但し、等方性光拡散層を含む反射型表示装置を除く)。
  2. 前記異方性光拡散層は、少なくとも1つの散乱中心軸を有し、
    前記異方性光拡散層の一方の表面法線方向と、前記少なくとも1つの散乱中心軸との角である散乱中心軸角度が、-30°~+30°であることを特徴とする、請求項1に記載の反射型表示装置。
  3. 前記異方性光拡散層の厚さが、10μm~100μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反射型表示装置。
  4. 前記アスペクト比が、5以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の反射型表示装置。
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