JP7191537B2 - 異方性光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、異方性光学フィルムに関する。
光拡散性を有する部材(光拡散部材)は、照明器具や建材の他、表示装置においても使用されている。この表示装置としては、例えば、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL)、マイクロカプセル方式のいわゆる電子ペーパー等がある。光拡散部材の光拡散発現機構としてはマトリクス樹脂とその中に形成された微細構造の屈折率差による散乱(内部散乱)によるものが挙げられる。
例えば、特許文献1には、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い格子状構造を有する単一層の多角形状光拡散フィルムが、入射光を多角形状光拡散させる発明が提案されている。
特許文献2には、フィルム内部に屈折率が異なる複数の板状領域からなる所定の内部構造を有する光拡散フィルムであって、入射光を多角形状に光拡散させることができる光拡散フィルムが提案されている。
特許文献3には、フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布することにより、屈折率の高低からなる濃淡模様が形成されており、その屈折率の異なる部分が、フィルムの厚さ方向に対して傾斜して層状に分布している構造の光散乱フィルムが提案されている。
特開2016-48290号公報 特開2013-117703号公報 特開2000-171619号公報
特許文献1~3の光拡散フィルムは、いずれもマトリクス樹脂とその中に形成された微細構造の屈折率差を利用した光拡散を目的としており、光の拡散性は十分であるが、表示装置の背面に設けられた光源から、正面の観察者に向かって直線的に透過させる能力が低くなるという問題があった。即ち、表示装置の画面全体は均一な明るさを有するが、正面から表示装置を見た場合の輝度(正面輝度)が低く、暗い画像しか得られない、又は、画像のコントラストが低いという問題があった。
又、特許文献1~3の光拡散フィルムを、バーチャルリアリティ(VR)技術に用いられるヘッドマウントディスプレイに用いた場合には、液晶パネルなどの表示装置に用いられているカラーフィルターのブラックマトリクスによるスクリーンドアエフェクトによって、ヘッドマウントディスプレイの没入感が得られず、VR技術として十分な効果が得られないおそれがあった。スクリーンドアエフェクトは、表示装置が使用者の目の至近に設けられることから、前記ブラックマトリクスが視認されてしまうことによる、画像のざらつきなどが発生する現象である。
さらに、特許文献1~3の光拡散フィルムを、反射型ディスプレイに用いた場合には、反射輝度特性は優れるものの、コントラストの低下が生じやすい。反射型ディスプレイは、外光がない場合には光源がないため、必要に応じてバックライトとの併用にて、半透過半反射型ディスプレイとされる場合が多い。そのようなディスプレイに特許文献1~3の光拡散フィルムを用いた場合には、反射輝度特性は優れるものの、透過特性を妨げ、コントラストの低下に加えて、透過率の低下による画質劣化の問題があった。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示装置の高正面輝度及び高コントラストが得られ、ヘッドマウントディスプレイに用いた場合には、輝度及びコントラストの低下を抑制しながらスクリーンドアエフェクトを解消することが可能であり、反射型又は半透過半反射型ディスプレイに用いた場合には、輝度及びコントラストを向上することができる、異方性光学フィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の構造を有する異方性光学フィルムによって、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
即ち、
本発明(1)は、
一方の表面から入射する光の入射角に依存して、他方の表面から出射する光の拡散性が変化する異方性光学フィルムであって、
前記異方性光学フィルムは、マトリクス部Aと、前記異方性光学フィルムの一方の表面から他方の表面に向かって延在し、前記異方性光学フィルムの平面方向と平行な平面における断面形状の直径、長軸長さ、断面形状内の最も長い長さ、又は、断面形状を内接する多角形形状内の最も長い長さが、10μm~100μmである柱状部Bとを、含み、
前記マトリクス部A又は柱状部Bのいずれか一方が、マトリクス領域aと、異方性光学フィルムの表面と平行な平面における断面形状の直径、長軸長さ、断面形状内の最も長い長さ、又は、断面形状を内接する多角形形状内の最も長い長さの最大値が、0.5μm~20μmである複数の柱状領域bとを含む非均一相であり、他方が、マトリクス領域aのみを含む均一相であって、
前記マトリクス領域aと、前記複数の柱状領域bとは、絶対屈折率が異なっており、
前記複数の柱状領域bは、前記異方性光学フィルムの一方の表面から他方の表面に向かって延在していることを特徴とする、異方性光学フィルムである。
本発明(2)は、
前記マトリクス部Aが、非均一相であり、前記柱状部Bが、均一相であることを特徴とする、前記発明(1)に記載の異方性光学フィルムである。
本発明(3)は、
前記柱状部Bが、前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対し、0°~70°傾斜していることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の異方性光学フィルムである。
本発明(4)は、
前記柱状部Bは、前記異方性光学フィルム表面と平行な平面における断面形状が、長方形形状であり、前記長方形形状の短辺と、長辺との長さの比が、1:1~1:20であることを特徴とする、前記発明(1)~(3)のいずれかの異方性光学フィルムである。
本発明(5)は、
前記異方性光学フィルム表面の法線方向から観察した、前記マトリクス部A及び柱状部Bが、格子形状に形成されていることを特徴とする、前記発明(1)~(4)の異方性光学フィルムである。
本発明(6)は、
前記柱状部Bは、前記異方性光学フィルム表面と平行な平面における断面形状が、円形状又は楕円形状であり、前記円形状又は楕円形状の最短径と、最長径との長さの比が、1:1~1:20であることを特徴とする、前記発明(1)~(3)の異方性光学フィルムである。
本発明(7)は、
前記柱状領域bが、前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対し、0°~70°傾斜していることを特徴とする、前記発明(1)~(6)の異方性光学フィルムである。
本発明(8)は、
前記複数の柱状領域bは、前記異方性光学フィルム表面と平行な平面における断面形状が、円形状又は楕円形状であり、前記円形状又は楕円形状の最短径と、最長径との長さの比が、1:1~1:20であることを特徴とする、前記発明(1)~(7)に記載の異方性光学フィルムである。
本発明(9)は、
前記異方性光学フィルム表面の法線方向から観察した、前記複数の柱状領域bが、円形状又は楕円形状に形成されており、前記円形状又は楕円形状の最短径と、最長径の長さの比が、1:20超であることを特徴とする、前記発明(1)~(7)に記載の異方性光学フィルムである。
本発明(10)は、
前記柱状部Bの、前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対する傾斜角度と、前記柱状領域bの、前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対する傾斜角度とが、略同一であることを特徴とする、前記発明(3)~(9)のいずれかの異方性光学フィルムである。
本発明に係る異方性光学フィルムの入射角依存性を示した説明図である。 本発明に係る異方性光学フィルムの法線方向から観察した表面写真と、異方性光学フィルムの法線方向と直行する平面における断面写真である。 本発明に係る異方性光学フィルムの法線方向から見たマトリクス部Aと柱状部Bの構造例を示す図である。 異方性光学フィルムにおける散乱中心軸を説明するための3次元極座標表示である。 本発明に係る異方性光学フィルムの例を示す模式図である。 異方性光学フィルムにおける拡散領域と非拡散領域を説明するためのグラフである。 異方性光学フィルムの入射光角度依存性測定方法を示す模式図である。 アスペクト比が、2以上20未満の柱状領域を有する構造の異方性光学フィルムの光学プロファイルである。 本発明の異方性光学フィルムの効果を説明する模式図である。 本発明の異方性光学フィルムの製造方法を説明する模式図である。 本発明の異方性光学フィルムのマスクパターンの例を示す模式図である。 実施例1、2及び10の異方性光学フィルムの光学プロファイルである。 比較例1、2の異方性光学フィルム及び比較例4の等方性光学フィルムの光学プロファイルである。
<主な用語の定義>
「マトリクス部A」及び「柱状部B」とは、本発明に係る異方性光学フィルムのマクロ視点における構造単位を示す。「マトリクス部A」及び「柱状部B」のどちらか一方は、非均一相であり、他方は均一相である。
「マトリクス領域a」と「柱状領域b」とは、前記非均一相である「マトリクス部A」又は「柱状部B」内に含まれるミクロ視点における構造単位である。
「直線透過率」とは、一般に、異方性光学フィルム又は非均一相に対して入射した光の直線透過性に関し、ある入射光角度から入射した際に、入射方向と同一の直線方向の透過光量と、入射した光の光量との比率であり、下記式で表される。
直線透過率(%)=(直線透過光量/入射光量)×100
「散乱中心軸」とは、異方性光学フィルム又は非均一相への入射光角度を変化させた際に直線透過性がその入射光角度を境に略対称性を有する光の入射光角度と一致する方向を意味する。「略対称性を有する」としたのは、散乱中心軸がフィルムの法線方向に対して傾きを有する場合には、光学特性(後述する「光学プロファイル」)が厳密には対称性を有しないためである。散乱中心軸は、異方性光学フィルムの断面の傾きを光学顕微鏡によって観察することや、異方性光学フィルムを介した光の投影形状を、入射光角度を変化させて観察することにより確認することができる。
「散乱中心角度」とは、散乱中心軸の、異方性光学フィルム又は非均一相のフィルムの法線方向に対する傾きのことであり、異方性光学フィルムの法線方向を0°としたときの角度である。
又、本発明においては、「散乱」と「拡散」の両者を区別せずに使用しており、両者は同じ意味を示す。さらに、「光重合」及び「光硬化」の意味を、光重合性化合物が光により重合反応することとし、両者を同義語で用いることとする。
なお、本明細書において、何の断りもなく「法線方向」と記載した場合には、「異方性光学フィルム表面の法線方向」を意味するものとする。
<<異方性光学フィルム>>
本発明に係る異方性光学フィルムは、入射光の入射角に依存して、直線透過率が変化する。即ち、所定の角度範囲の入射光は、直線性を維持して透過し、その他の角度範囲の入射光は、全ての成分が直線的に透過せず、一部が拡散する(例えば、図1)。図1は入射角が20°~50°の場合に、拡散性を示す例であり、その他の角度では、拡散性を示さず、直線透過性を示すことを表わしている。即ち20°よりも小さな0°と、50°よりも大きな65°では、拡散を起こさず、直線透過のみが起こる。
本発明に係る異方性光学フィルムは、前記光学的な異方性を有する非均一相と、前記光学的な異方性を有さない均一相を含むことにより、非均一相のみが含まれる異方性光学フィルムに比べ、良好な光学特性を付与することができる特徴を有する。具体的には、高い拡散性と、高い透過性とを両立することが可能となる。
1.異方性光学フィルムの構造
本発明に係る異方性光学フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm~200μmが好ましく、10~100μmがさらに好ましい。厚さが200μmを超える場合、材料費がよりかかるだけでなく、UV照射にかかる費用も増すため、コストがかかり、異方性光学フィルムの厚さ方向での拡散性増加により、画像ボケやコントラスト低下が起こりやすくなる。又、厚さが5μm未満の場合、光の拡散性及び集光性を十分なものとすることが難しい場合がある。
本発明に係る異方性光学フィルムは、他の層やフィルムを積層することができる。ここで、他の層は、特に限定されないが、例えば、光学特性が異なる異方性光学フィルム、粘着剤層、剥離フィルム偏光フィルム、位相差フィルム等が挙げられる。積層される層の数も特に限定されない。又、前記異方性光学フィルムは、ガラス基板のような透明の硬質基材上に積層されてもよい。
本発明に係る異方性光学フィルムは、マトリクス部Aと、前記異方性光学フィルムの一方の表面から他方の表面に向かって延在する柱状部Bを含む。柱状部Bは、前記異方性光学フィルムの一方の表面から他方の表面に貫通していてもよいし、一方の表面又は両方の表面に到達していなくてもよい。図2には、光学顕微鏡により、前記異方性光学フィルム1の法線方向から観察した表面写真{図2(a)}と、異方性光学フィルム1の表面と直行する平面における断面写真{図2(b)}を示した。図2は、マトリクス部A(10)を非均一相とし、柱状部B(20)を均一相とした、格子状の配列を持つ、異方性光学フィルムである。図2(b)では、柱状部B(20)は、前記異方性光学フィルムの一方の表面2から他方の表面3に貫通している。
前記柱状部Bの前記異方性光学フィルムの平面方向と平行な平面における断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状とすることができる。前記断面形状の、円形状の直径、楕円形状の長軸及び多角形状の多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さは、10μm~100μmである。その他の形状の断面形状においては、それぞれの形状を内接する多角形を想定し、その多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さが10μm~100μmである。
本明細書では、柱状部Bの断面形状における円形状の直径、楕円形状の長軸、多角形状の多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さ及びその他の断面形状における、前記断面形状を内接する多角形を想定し、その多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さを、最長径LBと表現する場合がある。同様に、円形状の直径(円形状の場合には最長径と同一である)、楕円形状の短軸、多角形上の多角形内の2つの頂点を結ぶ最も短い長さ及びその他の形状の断面形状における、断面形状を内接する多角形を想定し、その多角形内の2つの頂点を結ぶ最も短い長さを最短径SBと表現する場合がある。
前記柱状部Bの断面形状は、前記異方性光学フィルムの表面全体における光学特性を均一にするため及び製造の容易さから、円形状、楕円形状、又は正方形状が好ましく、その最短径SBと最長径LBの比が、1:1~1:20であることがより好ましい。円形状又は正方形状であれば、異方性光学フィルムの縦及び横のどちらの方向からも、視認性が変らないことが可能であるが、あえて縦と横の拡散性に差をつけたい場合などは、楕円形状などのように最短径SBと最長径LBの比を大きくすることで、いずれかの方向の拡散性を優先させることができる。しかし、その比が1:20よりも大きくなると、干渉が生じやすくなるため、視認性にムラが生じ好ましくない。
本発明に係る柱状部Bの最長径LB及び最短径SBは、異常性光学フィルムの表面を光学顕微鏡で観察し、任意に選択した20個の柱状部Bについてそれぞれの最長径、最短径を計測し、これらの平均値とすることができる。
前記柱状部Bは、法線方向に対して、0°~70°傾斜することができる。このようにすることで、例えば、フィルム正面からの光に対する正面輝度を調整することができる。図2の例は、前記傾斜の角度が0°の場合を示している。この場合には、表示装置の表示部正面に対する輝度を最も明るくすることができる。
前記マトリクス部A及び柱状部Bの、分布の形状や位置、分布密度、分布数は特に限定されず、少なくとも1つの柱状部Bが、マトリクス部Aと存在していればよい。例えば、表示装置に用いる場合には、表示装置の表示部全体に均一な光学特性を持たせるため、法線方向から観察して、格子状等の繰返しの配列や、ランダム配列等の構造が好ましい(図3)。ここで格子状とは、例えば、法線方向から見て、45°格子{図3(a)}、60°格子{図3(b)}、四角形状の升目格子{図3(c)}等が挙げられる。又繰返し構造としては、ドット状である図3(d)や(e)のような市松模様のような構造が挙げられ、ランダム配列としては、図3(f)が挙げられる。
本発明において、マトリクス部Aは、前記図3(e)のように柱状部B(20)によって、マトリクス部A(10)が完全に分断されて存在することができる。この場合に、マトリクス部A(10)も柱状部B(20)も、柱状構造を有するが、任意で、一方をマトリクス部Aとすることができる。
前記マトリクス部A及び柱状部Bは、表示装置のブラックマトリクスを解消する効果のためには、格子状の繰返し構造が好ましく、四角形状(特に正方形状)の升目格子がより好ましい。表示装置のブラックマトリクスは、格子状の繰返し構造であり、四角形状の升目格子であることが通常であるからである。
前記マトリクス部A又は柱状部B(以降、マトリクス部A等という)のいずれか一方は、マトリクス領域aと、異方性光学フィルムの平面方向と平行な平面における断面形状の直径又は辺の長さが5μm以下である複数の柱状領域bとを含む非均一相であり、他方が、マトリクス領域aのみを含む均一相である。
本発明に係る非均一相であるマトリクス部Aは、一方の表面から入射する光の入射角に依存して、他方の表面から出射する光の拡散性が変化する異方性の光学特性を有する。
本発明に係る非均一相は、前記マトリクス部A、又は、柱状部Bが、複数存在する場合において、全ての非均一相が同一の光学特性を有してもよいし、複数の光学特性を有する非均一相が混在してもよい。複数の光学特性を有する非均一相の数は、特に限定されないが、数が多くなると製造の手間やコストがかかるため、3相以下が好ましく、単相がより好ましい。
1-1.非均一相
以下に本発明に係る非均一相について説明する。本発明に係る非均一相は、上述したように、一方の表面から入射する光の入射角に依存して、他方の表面から出射する光の拡散性が変化する異方性の光学特性を有する。
前記非均一相は、マトリクス領域aと、異方性光学フィルムの平面方向と平行な平面における断面形状の直径又は辺の長さが、20μm以下である複数の柱状領域bとを含む。前記柱状領域bの法線方向からの傾きや、断面形状の非対称性によって、異方性光学特性を発揮する。
前記マトリクス領域aと、前記柱状領域bとは、絶対屈折率が異なっており、同一の組成物が相分離して形成されたものである。ここで絶対屈折率が異なるとは、絶対屈折率に差異があればよいが、例えば、絶対屈折率の差が、0.001以上であるとすることができる。
前記柱状領域bは、前記マトリクス部A等の一方の表面から他方の表面に向かって延在しており、1つ以上の配向方向を有することができる。即ち、前記柱状領域bは、法線方向に対して、傾けることができる。
本発明に係る非均一相は、散乱中心軸を有することができる。
柱状領域bの延在方向(配向方向)Pは、散乱中心軸と平行になるように形成されることができ、非均一相が所望の直線透過率及び拡散性を有するように適宜定めることができる。なお、散乱中心軸と柱状領域bの配向方向とが平行であるとは、屈折率の法則(Snellの法則)を満たすものであればよく、厳密に平行である必要はない。
Snellの法則は、屈折率n1の媒質から屈折率n2の媒質の界面に対して光が入射する場合、その入射光角度θ1と屈折角θ2との間に、n1sinθ1=n2sinθ2の関係が成立するものである。例えば、n1=1(空気)、n2=1.51(非均一相)とすると、入射光角度が30°の場合、柱状領域bの配向方向(屈折角)は約19°となるが、このように入射光角度と屈折角が異なっていてもSnellの法則を満たしていれば、本発明においては平行の概念に包含される。
又、法線方向を0°とし、散乱中心軸が傾いていた場合に、柱状領域bを傾けて形成することができる。前記散乱中心軸(柱状領域bの軸方向)の傾きの角度は、特に限定されないが、例えば、-70°~+70°である。-70°~+70°を超える範囲では、後述する製造過程においてシート状に設けられた光重合性化合物を含む組成物に対して深い傾きから光を照射する必要があり、照射光の吸収効率が悪く製造上不利であるため好ましくない。
なお、散乱中心軸角度の正負は、異方性光学フィルムの面方向における所定の対称軸と、異方性光学フィルムの法線の両方を通る平面に対して、散乱中心軸が一側に傾斜している場合を+、他側に傾斜している場合を-と定義することとする。
異方性光学フィルムの法線(図4に示すz軸)と、柱状領域bとのなす極角θ(-90°<θ<90°)を本発明における散乱中心軸角度と定義する。柱状領域bの軸方向の角度は、これらを製造する際に、シート状の光重合性化合物を含む組成物に照射する光線の方向を変えることで、所望の角度に調整することができる。
本発明に係る非均一相に複数の散乱中心軸が含まれる場合には、前記柱状領域bの複数の配向方向は、複数の散乱中心軸のそれぞれと平行とすることができる。
前記柱状領域bは、前記マトリクス部A又は柱状部Bの一方の表面から他方の表面に向かって延在している。
前記柱状領域bの長さは、特に限定されず、非均一相の一方の表面から他方の表面に貫通していてもよく、一方の表面又は、両方の表面に達していなくてもよい。
前記柱状領域bの前記異方性光学フィルムの平面方向と平行な平面における断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状とすることができる。前記断面形状の、円形状の直径、楕円形状の長軸及び多角形上の多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さ、又は、その他の形状の断面形状においては、形状を内接する多角形を想定し、その多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さが0.5μm~20μmである。
本明細書では、柱状領域bの断面形状における、円形状の直径、楕円形状の長軸、多角形上の多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さ及びその他の断面形状における、前記断面形状を内接する多角形を想定し、その多角形内の2つの頂点を結ぶ最も長い長さを、最長径Lbと表現する場合がある。同様に、円形状の直径(円形状の場合には最長径と同一である)、楕円形状の短軸、多角形上の多角形内の2つの頂点を結ぶ最も短い長さ及びその他の形状の断面形状における、断面形状を内接する多角形を想定し、その多角形内の2つの頂点を結ぶ最も短い長さを最短径Sbと表現する場合がある。
前記断面形状は、前記異方性光学フィルムの表面全体における光学特性を均一にするため及び製造の容易さから、円形状、楕円形状、又は正方形状が好ましく、その最短径Sbと最長径Lbの比は、1:1~1:20であることがより好ましい。円形状又は正方形状であれば、異方性光学フィルムの縦及び横のどちらの方向からも、視認性が変らないことが可能であるが、あえて縦と横の拡散性に差をつけたい場合などは、楕円形状などのように最短径Sbと最長径Lbの比を大きくすることで、いずれかの方向の拡散性を優先させることができる。しかし、その比が1:20よりも大きくなると、干渉が生じやすくなるため、視認性にムラが生じ好ましくない。
本発明に係る柱状領域bの最長径Lb及び最短径Sbは、異常性光学フィルムの表面を光学顕微鏡で観察し、任意に選択した20個の柱状領域bについてそれぞれの最長径、最短径を計測し、これらの平均値とすることができる。以降、最長径の平均値を平均長径MLb、最短径の平均値を平均短径MSbとする。
又、本発明に係る柱状領域bの平均短径MSbに対する平均長径MLbの比(平均短径MSb/平均長径MLb、以降アスペクト比と呼ぶ)、即ち、アスペクト比は、特に限定されないが、輝度の急激な変化やギラツキが生じることを防止できるため1以上20以下が好ましい。図5(a)は、アスペクト比が2未満の非均一相を示しており、図5(b)は、アスペクト比が2以上の非均一相を示している。図5(a)及び(b)の符号60は、柱状領域bを示している。
アスペクト比が1以上2未満の場合には、柱状領域bの軸方向に平行な光を照射した場合、その透過光は等方的に拡散する{図5(a)の透過光の形状を参照}。一方、アスペクト比が2以上の場合には、同様に軸方向に平行な光を照射した場合には、アスペクト比に応じた異方性をもって拡散する{図5(b)の透過光の形状を参照}。
又、本発明に係る異方性光学フィルムは、1つのアスペクト比を有する複数の柱状領域bを含んでもよいし、異なるアスペクト比を持つ、複数の柱状領域bを含んでもよい。
1-1-1.非均一相の光学特性
ここで、単一の光学特性を有する非均一相のみを含んでフィルム作製した場合の光学特性を説明し、本発明の非均一相の光学特性について説明する。
図6に示すように、非均一相(又は異方性光学フィルム)は、入射光角度によって直線透過率が変化する光拡散性の入射光角度依存性を有するものである。ここで、図6のように光拡散性の入射光角度依存性を示す曲線を以下、「光学プロファイル」と称する。
光学プロファイルは、図7に示すように、非均一相(又は、異方性光学フィルム)を光源70と検出器80との間に配置する。本形態においては、光源70からの照射光Lが、非均一相(又は、異方性光学フィルム)の法線方向から入射する場合を入射光角度0°とした。又、非均一相(又は、異方性光学フィルム)は直線Vを中心として、任意に回転させることができるように配置され、光源70及び検出器80は固定されている。すなわち、この方法によれば、光源70と検出器80との間にサンプル{非均一相(又は、異方性光学フィルム)}を配置し、サンプル表面の直線Vを中心軸として角度を変化させながらサンプルを直進透過して検出器80に入る直線透過光量を測定することにより直線透過率が得られ、それにより、光学プロファイルが得られる。
光学プロファイルは、光拡散性を直接的に表現しているものではないが、直線透過率が低下することで逆に拡散透過率が増大していると解釈すれば、概ね光拡散性を示しているといえる。通常の等方的な光拡散フィルムでは、0°付近をピークとする山型の光学プロファイルを示すが、非均一相(又は、異方性光学フィルム)では、柱状領域bの軸方向、すなわち、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する場合の直線透過率と比較して、-20°~+20°の入射光角度で一旦直線透過率が極小値になり、その入射光角度(の絶対値)が大きくなるにつれて直線透過率が大きくなり、+25°~+60°、-60°~-25°の入射光角度で直線透過率が極大値となる谷型の光学プロファイルを示す。
このように、非均一相(又は、異方性光学フィルム)は、入射光が散乱中心軸方向に近い-20°~+20°の入射光角度範囲では強く拡散されるが、それ以上の入射光角度範囲では拡散が弱まり直線透過率が高まるという性質を有する。以下、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度の角度範囲を拡散領域(この拡散領域の幅を「拡散幅」)と称し、それ以外の入射光角度範囲を非拡散領域(透過領域)と称する。
ここで、図8を参照しながら、アスペクト比が、2以上20未満の柱状領域bを有する構造の非均一相を例に挙げて拡散領域と非拡散領域について説明する。図8は、アスペクト比が、2以上20未満の柱状領域bを有する構造の非均一相の光学プロファイルを示したものであるが、図8に示すように、最大直線透過率(図8の例では、直線透過率が約78%)と最小直線透過率(図8の例では、直線透過率が約6%)との中間値の直線透過率(図8の例では、直線透過率が約42%)に対する2つの入射光角度の間(図8に示す光学プロファイル上の2つの黒点の位置の2つの入射光角度の内側)の入射光角度範囲が拡散領域となり、それ以外(図8に示す光学プロファイル上の2つの黒点の位置の2つの入射光角度の外側)の入射光角度範囲が非拡散領域となる。
前記構造の異方性光学フィルムでは、図5(b)の透過光の様子を見ればわかるように、透過光は、略針状となっており、柱状領域bの長径の方向とアスペクト比で、光拡散性が大きく異なる。すなわち、前記構造の非均一相では、拡散は異方性を有する。具体的には、図5(b)に示す例では、柱状領域bの短軸方向では拡散が広がっているが、長軸方向では拡散が狭まっている。又、図6の破線で示すように、入射光角度を変えると、光拡散性(特に、非拡散領域と拡散領域との境界付近における光学プロファイル)の変化が極めて急峻であるため、輝度の急激な変化やギラツキが生じるおそれがあるが、非拡散領域における直線透過率が高く、輝度やコントラスト等の表示特性を向上させることができるという効果がある。
一方、アスペクト比が、2未満の柱状領域bを有する構造の非均一相では、図5(a)の透過光の様子を見ればわかるように、透過光は略円形状となっており、方向に偏りのない光拡散性を示している。すなわち、本構造の非均一相の拡散は等方性を有する。又、図6の実線で示すように、入射光角度を変えても光拡散性(特に、非拡散領域と拡散領域との境界付近における光学プロファイル)の変化が比較的緩やかであるため、輝度の急激な変化やギラツキを生じないという効果がある。しかしながら、本構造の非均一相では、図6で示されたように、非拡散領域における直線透過率が低いため、表示特性(輝度やコントラスト等)がやや低下してしまうという傾向がある。
1-2.均一相
本発明に係るマトリクス部A、又は、柱状部Bのどちらか一方は、均一相であり、他方は非均一相である。
前記均一相は、均一相に含まれる成分が均一であるだけでなく、屈折率など光学特性が均一である相である。従って、均一相が、相分離している場合においても、光学的に均一であればよい。例えば、海島構造のミクロ相分離を有していたとしても、光学的に均一、即ち、海島構造の海部と島部が存在していた場合においても、それらの屈折率等に差異がない場合は均一相とする。
前記均一相は、一方の均一相の表面から入射する光の入射角によらず、他方の表面から出射する光は直線透過性を示す。即ち、前記均一相に入射した光が、均一相表面でわずかに拡散又は反射する以外には拡散しない。ここで、入射した光が、わずかに拡散又反射したのち、直線透過光として、出光した際の直線透過率は、90%以上とすることができる。
前記異方性光学フィルムおいて、複数の均一相が、形成することが可能であるが、形成された各均一相は、同一の光学特性(屈折率など)を有していてもよいし、異なる光学特性を有していてもよい。
2.異方性光学フィルムの特性
2-1.異方性光学フィルムの散乱中心軸
本発明に係る異方性光学フィルムは、少なくとも1つの散乱中心軸を有することができる。前記散乱中心軸角度は、特に限定されないが、例えば、-70°~+70°である。-70°~+70°を超える範囲では、後述する製造過程においてシート状に設けられた光重合性化合物を含む組成物に対して深い傾きから光を照射する必要があり、照射光の吸収効率が悪く製造上不利であるため好ましくない。
2-2.異方性光学フィルムのヘーズ値
本発明に係る異方性光学フィルムのヘーズ値は、特に限定されないが、例えば、5%~90%が好ましく、30%~80%がより好ましく、50%~70%がさらに好ましい。
前記異方性光学フィルムのヘーズ値の測定方法は、特に限定されず、公知の方法で測定することができる。例えば、JIS K7136-1:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」によって測定することができる。
2-3.異方性光学フィルムの直線透過率
本発明の異方性光学フィルムの法線方向より入射した光の直線透過率は、特に限定されないが、例えば、1~50%が好ましく、5~45%がより好ましく、10%~40%がさらに好ましい。この範囲とすることで、ブラックマトリクスの視認性を低下又は消失させる効果を高くすることができる。
2-4.異方性光学フィルムの輝度向上効果(拡散挙動)
ここで、上述した異方性光学フィルムの効果について、図9に沿って詳述する。図9は、本発明に係る異方性光学フィルムに入射した入射光が、異方性光学フィルムにより、拡散される様子を示した模式図と、その透過光の出射角度に対する正面輝度を示すグラフである。図9(a)及び(b)は、図2に示された、マトリクス部Aと柱状部Bを有し、マトリクス部Aを非均一相とした異方性光学フィルムであり、非均一相に含まれる柱状領域bの平均長径MLbを5μm、平均短径MSbを5μmとして(即ち、アスペクト比を1とした)形成した異方性光学フィルムである。図9(a)は、柱状領域bの傾きを0°(法線方向に対する傾き)とした場合のモデル図であり、図9(b)は、柱状領域bを45°傾けた場合のモデル図である。グラフの実線は、上述した本発明に係る異方性光学フィルムが示す輝度の挙動であり、破線は、上述した非均一相のみで作製した異方性光学フィルムが示す輝度の挙動である。
図9(a)及び(b)において、実線で示した本発明に係る異方性光学フィルムがより、輝度が高くすることが可能となる(直線透過性が高くなる)。これは、本発明の異方性光学フィルムでは、非常に高い直線透過率を有する均一相を含むため、直線透過性を向上させることが可能であるためであり、上述した最大直線透過率及び最小直線透過率の両方を高めることができることが特徴となっている。
一方、非均一相のみからなる異方性光学フィルムでは破線のように、拡散性は高いが、透過した光の輝度を高くすることは困難であり、上述した最大直線透過率又は最小直線透過率のどちらか一方のみしか高くできない。これは、最大直線透過率を高めようとすると、拡散性が低下するため最小直線透過率が低下し、最小直線透過率を高めようとすると、拡散性を高める必要があるため、直線透過率が低下するためである。
即ち、本発明に係る異方性光学フィルムにおいては、拡散性及び直線透過性を均一相及び非均一相により調整することが可能であり、さらに、非均一相と均一相の大きさ、分布などを調整することで、さらに直線透過性を別の変数としても調整できる効果を有する。
3.異方性光学フィルム(非均一相及び均一相)の製造方法
本発明の異方性光学フィルムの製造方法は、光硬化性組成物層にUV等の光線を照射することにより製造することができる。以下、初めに異方性光拡散層の原料を説明し、次いで製造プロセスを説明する。下記では主に、好適例である、1種類の光学特性を有する非均一相(即ち、柱状領域bの形状、傾き、大きさ等が1種類のみ存在する場合である)を含む異方性光学フィルムの製造について説明し、必要に応じてその他の態様について補足する。
3-1.異方性光学フィルムの原料
異方性光学フィルムの原料について、(1)光重合性化合物、(2)光開始剤、(3)配合量、その他任意成分の順に説明する。
3-1-1.光重合性化合物
本発明に係る異方性光学フィルムを形成する材料である光重合性化合物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するマクロモノマー、ポリマー、オリゴマー、モノマーから選択される光重合性化合物と光開始剤とから構成され、紫外線及び/又は可視光線を照射することにより重合・硬化する材料である。ここで、異方性光学フィルムに含まれる非均一相を形成する材料が1種類であっても、密度の高低差ができることによって屈折率差が生ずる。UVの照射強度が強い部分は硬化速度が早くなるため、その硬化領域周囲に重合・硬化材料が移動し、結果として屈折率が高くなる領域と屈折率が低くなる領域が形成されるからである。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートのどちらであってもよいことを意味する。
ラジカル重合性化合物は、主に分子中に1個以上の不飽和二重結合を含有するもので、具体的には、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート等の名称で呼ばれるアクリルオリゴマーと、2-エチルヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソノルボルニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシフタル酸、ジシクロペンテニルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のアクリレートモノマーが挙げられる。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。なお、同様にメタクリレートも使用可能であるが、一般にはメタクリレートよりもアクリレートの方が、光重合速度が速いので好ましい。
カチオン重合性化合物としては、分子中にエポキシ基やビニルエーテル基、オキセタン基を1個以上有する化合物が使用できる。エポキシ基を有する化合物としては、2-エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、ビフェニルのグリシジルエーテル、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールAのPO付加物等のアルキレングリコール類のジグリシジルエーテル類、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としてはさらに、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)-4,5-エポキシテトラヒドロフタレート等の脂環式エポキシ化合物も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、ビニルエーテル化合物は、一般にはカチオン重合性であるが、アクリレートと組み合わせることによりラジカル重合も可能である。
又、オキセタン基を有する化合物としては、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)-オキセタン等が使用できる。
なお、以上のカチオン重合性化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。上記光重合性化合物は、上述に限定されるものではない。又、十分な屈折率差を生じさせるべく、上記光重合性化合物には、低屈折率化を図るために、フッ素原子(F)を導入しても良く、高屈折率化を図るために、硫黄原子(S)、臭素原子(Br)、各種金属原子を導入しても良い。さらに、特表2005-514487号公報に開示されるように、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化錫(SnO)等の高屈折率の金属酸化物からなる超微粒子の表面に、アクリル基やメタクリル基、エポキシ基等の光重合性官能基を導入した機能性超微粒子を上述の光重合性化合物に添加することも有効である。
本発明に係る光重合性化合物として、シリコーン骨格を有する光重合性化合物を使用することが好ましい。シリコーン骨格を有する光重合性化合物は、その構造(主にエーテル結合)に伴い配向して重合・硬化し、低屈折率領域、高屈折率領域、又は、低屈折率領域及び高屈折率領域を形成する。シリコーン骨格を有する光重合性化合物を使用することによって、柱状領域bを傾斜させやすくなり、正面方向への集光性が向上する。なお、低屈折率領域は柱状領域b又はマトリクス領域aのいずれか一方に相当するものであり、他方が高屈折率領域に相当する。
低屈折率領域において、シリコーン骨格を有する光重合性化合物の硬化物であるシリコーン樹脂が相対的に多くなることが好ましい。これによって、散乱中心軸をさらに傾斜させやすくすることができるため、正面方向への集光性が向上する。シリコーン樹脂は、シリコーン骨格を有さない化合物に比べ、シリカ(Si)を多く含有するため、このシリカを指標として、EDS(エネルギー分散型X線分光器)を使用することによってシリコーン樹脂の相対的な量を確認することができる。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー又はマクロモノマーである。ラジカル重合性の官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等が挙げられ、カチオン重合性の官能基としては、エポキシ基、オキセタン基等が挙げられる。これらの官能基の種類と数に特に制限はないが、官能基が多いほど架橋密度が上がり、屈折率の差が生じやすいため好ましいことから、多官能のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有することが好ましい。又、シリコーン骨格を有する化合物はその構造から他の化合物との相溶性において不十分なことがあるが、そのような場合にはウレタン化して相溶性を高めることができる。本形態では、末端にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシリコーン・ウレタン・(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物の重量平均分子量(Mw)は、500~50,000の範囲にあることが好ましい。より好ましくは2,000~20,000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲にあることにより、十分な光硬化反応が起こり、異方性光学フィルム100の各異方性光拡散層内に存在するシリコーン樹脂が配向しやすくなる。シリコーン樹脂の配向に伴い、散乱中心軸を傾斜させやすくなる。
シリコーン骨格としては、例えば、下記の一般式(1)で示されるものが該当する。一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立に、メチル基、アルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ポリエーテル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の官能基を有する。又、一般式(1)中、nは1~500の整数であることが好ましい。
Figure 0007191537000001
シリコーン骨格を有する光重合性化合物にシリコーン骨格を有さない化合物を配合して、非均一相を形成すると、低屈折率領域と高屈折率領域が分離して形成されやすくなり、異方性の程度が強くなり好ましい。シリコーン骨格を有さない化合物は、光重合性化合物のほかに熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができ、これらを併用することもできる。光重合性化合物としては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するポリマー、オリゴマー、モノマーを使用することができる(ただし、シリコーン骨格を有していないものである)。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂とその共重合体や変性物が挙げられる。熱可塑性樹脂を用いる場合においては熱可塑性樹脂が溶解する溶剤を使用して溶解し、塗布、乾燥後に紫外線でシリコーン骨格を有する光重合性化合物を硬化させて異方性光拡散層を成形する。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステルとその共重合体や変性物が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合においては、紫外線でシリコーン骨格を有する光重合性化合物を硬化させた後に適宜加熱することで、熱硬化性樹脂を硬化させて異方性光拡散層を成形する。シリコーン骨格を有さない化合物として最も好ましいのは光重合性化合物であり、低屈折率領域と高屈折率領域が分離しやすいことと、熱可塑性樹脂を用いる場合の溶剤が不要で乾燥過程が不要であること、熱硬化性樹脂のような熱硬化過程が不要であることとなど、生産性に優れている。
3-1-2.光開始剤
ラジカル重合性化合物を重合させることのできる光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル)チタニウム、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
又、カチオン重合性化合物の光開始剤は、光照射によって酸を発生し、この発生した酸により上述のカチオン重合性化合物を重合させることができる化合物であり、一般的には、オニウム塩、メタロセン錯体が好適に用いられる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩等が使用され、これらの対イオンには、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-等のアニオンが用いられる。具体例としては、4-クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェート、(η5-イソプロピルベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
3-1-3.配合量、その他成分
本発明に係る光開始剤は、光重合性化合物100質量部に対して、0.01~10質量部、好ましくは0.1~7質量部、より好ましくは0.1~5質量部程度配合される。これは、0.01質量部未満では光硬化性が低下し、10質量部を超えて配合した場合には、表面だけが硬化して内部の硬化性が低下してしまう弊害、着色、柱状構造の形成の阻害を招くからである。これらの光開始剤は、通常粉体を光重合性化合物中に直接溶解して使用されるが、溶解性が悪い場合は光開始剤を予め極少量の溶剤に高濃度に溶解させたものを使用することもできる。このような溶剤としては光重合性であることがさらに好ましく、具体的には炭酸プロピレン、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。又、光重合性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。さらに、光重合性化合物を加熱により硬化させることのできる熱硬化開始剤を光開始剤とともに併用することもできる。この場合、光硬化の後に加熱することにより光重合性化合物の重合硬化をさらに促進し完全なものにすることが期待できる。
光重合性化合物を単独で、又は複数を混合した組成物を硬化させて、非均一相を形成することができる。又、光重合性化合物と光硬化性を有しない高分子樹脂の混合物を硬化させることによっても本発明に係る非均一相形成することができる。ここで使用できる高分子樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これらの高分子樹脂と光重合性化合物は、光硬化前は十分な相溶性を有していることが必要であるが、この相溶性を確保するために各種有機溶剤や可塑剤等を使用することも可能である。なお、光重合性化合物としてアクリレートを使用する場合は、高分子樹脂としてはアクリル樹脂から選択することが相溶性の点で好ましい。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物と、シリコーン骨格を有さない化合物の比率は質量比で15:85~85:15の範囲にあることが好ましい。より好ましくは30:70~70:30の範囲である。当該範囲にすることによって、低屈折率領域と高屈折率領域の相分離が進みやすくなるとともに、柱状領域bが傾斜しやすくなる。シリコーン骨格を有する光重合性化合物の比率が下限値未満又は上限値超であると、相分離が進みにくくなってしまい、柱状領域bが傾斜しにくくなる。シリコーン骨格を有する光重合性化合物としてシリコーン・ウレタン・(メタ)アクリレートを使用すると、シリコーン骨格を有さない化合物との相溶性が向上する。これによって、材料の混合比率を幅広くしても柱状領域bを傾斜させることができる。
3-1-4.溶媒
光重合性化合物を含む組成物を調製する際の溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等を使用することができる。
3-2.異方性光学フィルムの製造プロセス
次に、図10に基づいて、本形態の異方性光学フィルムのプロセス(製造方法)について説明する。図10は、本形態の異方性光学フィルムの製造プロセスの概要及び前記プロセスに従って成長する柱状領域bの概略を示す。なお、本発明に係る異方性光学フィルムの製造方法は、製造方法の一例を示すものであり、下記の方法に限定されるものではない。
3-2-1.塗工工程
上述の光重合性化合物を含む組成物(以下、「光硬化性組成物」と称する場合がある。)を透明PETフィルムのような適当な基材(基体)上に塗布し又はシート状に設け、成膜して光硬化性組成物層を設ける。この光硬化性組成物層を、必要に応じて乾燥し溶剤を揮発させた上で、光硬化性組成物層上に光を照射することで、異方性光学フィルムを作製することができる。以下では、光硬化性組成物を基体上に塗布し又はシート状に設けたものを塗工膜と称する。
3-2-2.異方性光学フィルムの形成工程の例
本発明に係る異方性光学フィルムの形成工程として、以下の工程について詳述する。
(工程1)基材上に、光硬化性組成物を塗工し、塗工膜90を設ける塗工工程
(工程2)塗工膜90上にマスクフィルムを積層するマスクフィルム積層工程
(工程3)塗工膜90上で、1方向拡散光線又は平行光線の照射により硬化を行う硬化工程
3-2-2-1.工程1:塗工工程
工程1において、光重合性化合物を含む組成物を基体上にシート状に設ける手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。組成物が低粘度の場合は、基体の周囲に一定の高さの堰を設けて、この堰で囲まれた中に組成物をキャストすることもできる。
3-2-2-2.工程2:マスクフィルム積層工程
工程2において、光硬化性組成物層の酸素阻害を防止して、本形態に係る均一相と、非均一相の特徴である柱状領域bを効率良く形成させるために、光硬化性組成物層の光照射側に密着して光の照射強度を局所的に変化させるマスクフィルム(以下、単にマスク等とする。)を積層することが好ましい。マスクの材質としては、特に限定されず、例えば、通常の透明プラスチックフィルム等を用いればよいが、カーボン等の光吸収性のフィラーをマトリクス中に分散したもので、入射光の一部はカーボンに吸収されるが、開口部は光が十分に透過できるような構成のものでもよい。
3-2-2-3.工程3:硬化工程
次に、図10に基づいて、硬化工程にて使用する装置の説明を行い、均一相及び非均一相の具体的な形成プロセスについて説明する。
3-2-2-3-1.装置
先ず、均一相91及び非均一相92の製造には、図10に示すように、主に、光源(図示せず)と、任意で指向性拡散素子94と、移動可能な遮光板93と、マスク板95と、処理台(図示せず)とを用いる。
光源は、発せられた光を、直接又は指向性拡散素子を介して、マスク板95上に照射し、相分離を生じさせることで柱状領域b(図示せず)を形成しつつ硬化させて、均一相91及び非均一相92を形成するためのものである。形成の過程の詳細については後述する。
光源としては、通常はショートアークの紫外線発生光源が使用され、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ等が使用可能である。
特に、後述する非均一相を形成するプロセスでは、マスク板95上には、所望の散乱中心軸Qと平行な光線を照射する必要がある。このような平行光Dを得るためには、点光源を配置して、この点光源とマスク板95の間に平行光Dを照射するための反射ミラーやフレネルレンズ等の光学レンズを配置すればよい。このような光学レンズを介することによって、光源から発せられた光が平行光Dに変換され、塗工膜90(光硬化性組成物層)上に平行光Dを照射することができる。
光重合性化合物を含む組成物に照射する光線は、該光重合性化合物を硬化可能な波長を含んでいることが必要であり、通常は水銀灯の365nmを中心とする波長の光が利用される。この波長帯を使って非均一相を作製する場合、照度としては0.01mW/cm~100mW/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1mW/cm~20mW/cmの範囲である。照度が0.01mW/cm未満であると硬化に長時間を要するため、生産効率が悪くなる場合があり、100mW/cmを超えると光重合性化合物の硬化が速すぎて構造形成を生じず、目的の異方性拡散特性を発現できなくなる場合があるからである。
指向性拡散素子94は、平行光Dに指向性を付与し、拡散光Eに変換するためのものである。マスク板95上に拡散光Eを照射することで柱状領域b(非均一相92内)が形成される。図10は、指向性拡散素子を有する製法を示した。ここで柱状領域bのアスペクト比を1とする場合には、指向性拡散素子94を用いずに、平行光Dを塗工膜90に照射することができる。
指向性拡散素子94は、入射した平行光Dに指向性を付与するものであればよい。このように指向性をもった拡散光Eを得るためには、例えば、指向性拡散素子94内にアスペクト比の高い針状フィラーを含有させるとともに、当該針状フィラーを同一方向に長軸方向が延在するように配向させる方法を採用することができる。指向性拡散素子94は針状フィラーを使用する方法以外に種々の方法を使用することができる。平行光Dが指向性拡散素子94を介することで、拡散光Eを得るように配置すればよい。このような指向性拡散素子94の具体例としては、レンチキュラーレンズなどが挙げられる。
遮光板93は、光源から発せられた光を遮り、光硬化性組成物に光が照射されないようにするためのものである。遮光板93の材料や大きさや厚みなどは、光源から発せられる光の波長や強度に応じて適宜に定めればよい。
マスク板95は、マトリクス部A及び柱状部Bを形成するためのマスクであり、マトリクス部A及び柱状部Bを形成するため、一部に光を透過する遮光部96と、その他の透光部97を含む。
マスク板95のパターンは、特に限定されず、所望するマトリクス部Aと柱状部Bの大きさ、数量、分布などに合わせて作製すればよい。
下記に説明する例では、指向性拡散素子94と、マスク板95とは、別々に設けているが、マスク板95の透光部97を、指向性拡散素子として作製することで、指向性拡散素子94なしとする構成も可能である。透光部97を指向性拡散素子として作製する手間を鑑みると、指向性拡散素子94と、マスク板95とを別々に設ける方が手間がかからない。
しかしながら、一つの異方性光学フィルム内に複数の光学特性を持たせる場合、例えば、アスペクト比の異なる柱状領域bを有する非均一相を複数含む場合には、マスク板95の透光部97を、多種類の指向性拡散素子(前記アスペクト比の異なる)として作製することで、光の照射回数を減ずることが可能となる。
マスクの作製方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、合成石英上にクロム遮光膜をパターン形成する方法などが挙げられる。
ここで、図10に示すように、指向性拡散素子94は、塗工膜90の移動方向に沿った向きに遮光板93から突出するように配置される。このようにすることで、遮光板93によって光源から発せられた光の全てが遮られる状態(a)と、拡散光Eが照射される状態(b)~(d)と、平行光Fが照射される状態(e)との3つの状態を形成することができる。
以下、状態(a)~(e)に区分された各状態における具体的な非均一相と均一相の形成プロセスについて説明する。
3-2-2-3-2.状態(a)
図10の(a)領域の工程では、塗工膜90の全体が未だ遮光板93によって覆われており、光源から発せられた光はマスク板95上に照射されていない。従って、図10の状態(a)に示すように、非均一相92は形成されず、塗工膜90の全体が未硬化の状態である。
3-2-2-3-3.状態(b)~(d)の工程:非均一相形成工程
図10の状態(b)では、移動式遮光板93が取り除かれることによって、遮光板93の下方に設けられたマスク板95を介して、拡散光Eが塗工膜90に照射される(図示しないが、指向性拡散素子を有していない場合は、平行光Dが照射される)。
拡散光E(又は平行光D)が塗工膜90上に照射された箇所は、塗工膜90の上面から相分離が始まり{図10の状態(c)}、塗工膜90の上面から柱状領域b(非均一相92内)が形成され始め徐々に成長していく。柱状領域b(非均一相92内)の形成に伴ってマトリクス領域a(非均一相内、図示せず)、均一相91も形成される。
より具体的には、拡散光E(又は平行光D)が照射された箇所は、図10の状態(c)に示すように、塗工膜90の上面から相分離が始まり、相分離によって均一相91及び非均一相92が上面から下面に向かって形成され始める。この時点では、図10の状態(c)~(d)に示すように、均一相91及び非均一相92は、下面まで到達しておらず、塗工膜90の上面と下面との間の中間位置まで非均一相が形成されている状態である。なお、中間位置とは、上面と下面との中央や中心の位置に限られず、上面と下面とに挟まれた領域の任意の位置を示す。
図10の状態(c)~(d)に示すように、均一相91及び非均一相92は、塗工膜90の上面から中間位置まで形成される。塗工膜90は、上面から中間位置までの領域は硬化した状態となって均一相91及び非均一相92が形成され、中間位置から下面までの領域は未硬化の状態のままでいずれの構造も形成されていない構造未形成の状態となる。このように、途中で拡散光E(又は平行光D)の照射を停止することで、非均一相(柱状領域b及びマトリクス領域a)の異方性光学フィルムの膜厚方向における厚さ(長さ)を調整することができる。又、下面まで到達させてもよい。
ここで、本工程においては、拡散光E(又は平行光D)の照射強度及び広がりを調整することにより、形成される非均一相内柱状領域bの大きさ(異方性光学フィルム表面の、短径Sb、長径Lb、等)を適宜定めることができる。
拡散光Eの広がりは、主に指向性拡散素子94と塗工膜90の距離と指向性拡散素子94の種類等に依存する。当該距離を短くするにつれ柱状領域bの大きさは小さくなり、長くするにつれ柱状領域bの大きさは大きくなる。従って、当該距離を調整することにより、柱状領域bの大きさを調整することができる。
本工程において、拡散光Eのアスペクト比は、特に限定されないが、1以上20以下、又は、20超とすることできる。当該アスペクト比にほぼ対応した形で、柱状領域bのアスペクト比が形成される。上記柱状領域bのアスペクト比を1とする場合には、指向性拡散素子94を使用せずに、平行光Dの照射により、上記工程を行うことによっても柱状領域bのアスペクト比が同様のものを得ることができる。
塗工膜90において、均一相及び非均一相の厚さが、異方性光学フィルムの厚さ方向全体に形成されるか、又は、所定の厚さに到達したのち、移動式遮光板93が、塗工膜90上に設置され、拡散光E(又は平行光D)を遮蔽する。その後、必要に応じて平行光Fが塗工膜90の下面から照射される。
状態(e)において平行光Fが照射されると、状態(d)で非均一相が形成されていない位置{非均一領域の下辺(中間位置から異方性光学フィルムの下辺側)}においても光硬化が開始される。照射されている光が等方光Fであるため、ここでは均一相が形成される。
このように、塗工膜90が、状態(a)~(d)の工程及び状態(e)の工程を経ることにより、異方性光学フィルムが形成される。
なお、本異方性光学フィルム工程において、合計の光の照射時間は特に限定されないが、10~180秒間、より好ましくは10~120秒間である。
上記平行光Fに関し、本発明に係る異方性光学フィルムは、上述の如く低照度の光を比較的長時間照射することにより光硬化性組成物層中に特定の内部構造が形成されることで得られるものである。そのため、このような光照射だけでは未反応のモノマー成分が残存して、べたつきを生じたりしてハンドリング性や耐久性に問題がある場合がある。そのような場合は、1000mW/cm以上の高照度の光を追加照射して残存モノマーを重合させることができる。これを行う場合に平行光Fを使用する。このときの光照射は、塗工膜90の下面(光未照射側)から行うことが好ましい。
3-2-2-4.その他
前記形成方法では、異方性光学フィルムの法線方向の1方向から光を照射したが、異方性光学フィルムの散乱中心軸を、前記法線方向から傾けたい場合には、光の照射角度を所望の散乱中心軸角度に合わせて、塗工膜90に照射することで、散乱中心軸角度に平行な柱状領域bが形成できる。
又、散乱中心軸の傾斜を複数とするためには、複数の光源からの光を、各散乱中心軸の傾きに合わせればよい。
4.本発明に係る異方性光学フィルムの用途
本発明に係る異方性光学フィルムは、照明、表示装置等の拡散フィルムとして好適に用いることができる。特に、VR技術などで用いられるヘッドマウントディスプレイのカラーフィルターよりも視認側に用いることで、カラーフィルターに含まれるブラックマトリクスによるスクリーンドアエフェクト効果の防止に用いることができる。
(実施例)
次に、本発明を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
(フォトマスクの準備)
厚さ3mmの合成石英上にクロム遮光膜をパターン形成した、図11に示す6種類のフォトマスクを準備した。6種類のパターンを有するフォトマスクは、それぞれ、1辺が40μmの正方形の遮光部がピッチ20μmのスペースを介して格子状に整列したパターンA、直径が40μmの円形の遮光部がピッチ20μmのスペースを介して格子状に整列したパターンB、直径が20μmの円形の遮光部がピッチ10μm以上のスペースを介してランダム状に整列したパターンC、パターンAの遮光部と透明部が逆転したパターンD、パターンBの遮光部と透明部が逆転したパターンE、パターンCの遮光部と透明部が逆転したパターンFである。
(異方性光学フィルムの作製)
以下の方法に従って、本発明の単層又は複数層の非均一相を有する異方性光学フィルムを作製した。
厚さ100μmの離型PETフィルム1の縁部全周に、ディスペンサーを使い、硬化性樹脂で高さ30μmの隔壁を形成した。この中に下記の紫外線硬化樹脂組成物を滴下し、滴下した液膜の表面を、離型PETフィルム1よりも剥離力が高い、厚さ50μmの離型PETフィルム2でカバーすることにより、30μmの厚さの未硬化樹脂組成物層の液膜を作製した。なお、実施例の未硬化樹脂組成物層の組成は、全て同じものを使用した。
(紫外線硬化樹脂組成物)
・シリコーン・ウレタン・アクリレート(屈折率:1.460、重量平均分子量:5,890) 20質量部 (RAHN社製、商品名:00-225/TM18)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート(屈折率:1.450) 30質量部 (ダイセルサイテック社製、商品名Ebecryl145)
・ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(屈折率:1.536) 15質量部 (ダイセルサイテック社製、商品名:Ebecyl150)
・フェノキシエチルアクリレート(屈折率:1.518) 40質量部(共栄社化学製、商品名:ライトアクリレートPO-A)
・2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン 4質量部 (BASF社製、商品名:Irgacure651)
続いて未硬化樹脂組成物層の液膜を、50℃とした、ホットプレート上で加熱し、さらに膜液をカバーする離型PETフィルム2の上に、先に準備した6種類のそれぞれのフォトマスクを、クロム遮光膜面と接するように積層させ、UVスポット光源(浜松ホトニクス社製、商品名:L2859-01)の落射用照射ユニットから、照射強度5mW/cmの平行光線である紫外線を、直接又は指向性拡散素子を介し、1分間照射することにより、両面に、PETフィルムを有する、実施例1~10の異方性光学フィルムを作製した。
具体的に、実施例1~6の異方性光学フィルム作製においては、順に、フォトマスクA~Fを使用し、実施例7~9の異方性光学フィルム作製においては、順に、フォトマスクA~Cを使用し、実施例10の異方性光学フィルム作製においては、フォトマスクDを使用した。
さらに、実施例1~6、10の異方性光学フィルムの作製においては、指向性拡散素子を使用せず、実施例7~9の異方性光学フィルムの作製においては、平行光線のアスペクト比を変更できる指向性拡散素子を使用した。
加えて、実施例1~9の異方性光学フィルムの作製においては、未硬化樹脂組成物層の液膜平面に対し、法線方向(角度0°とする)の角度より平行光線を照射したが、実施例10の異方性光学フィルムの作製においては、上記法線方向に対し、15°傾けた角度より、平行光線を照射した。
実施例1~10の異方性光学フィルムの作製条件を表1、その特性を表2に示した。又実施例1、2、10の光学プロファイルを図12に示した。
(比較例1及び2の異方性光学フィルムの作製)
上記実施例1及び7の異方性光学フィルムの作製において、フォトマスクを使用しない他は、同様にして作製を行ない、順に、比較例1及び2の異方性光学フィルムを作製した。
又、上記比較例1の異方性光学フィルムの作製において、隔壁の高さを20μmに変更し、20μmの厚さの未硬化樹脂組成物層の液膜を作製した上で、フォトマスクを使用せずに作製を行ない、比較例3の異方性光学フィルムを作製した。
比較例1~3の異方性光学フィルムの作製条件を表1、その特性を表2に示した。
(比較例4の等方性光学フィルムの作製)
下記屈折率1.47のアクリル系粘着剤組成物100質量部に対し、粘着剤組成物とは屈折率の異なる微粒子として、シリコーン樹脂微粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:トスパール145)を、20質量部添加し、アジターにて30分間撹拌して、微粒子を分散させ、塗液とした。当該塗液を、コンマコーターを用いて、厚さ38μmの離型PETフィルム3上に、溶剤乾燥後の膜厚が25μmになるように塗工し、乾燥させて、PET付きの等方性拡散粘着層を作製した。さらに、等方性拡散粘着層表面に対し、離型PETフィルム3よりも剥離力が高い、厚さ38μmの離型PETフィルム4をラミネートし、両面に、PETフィルムを有する、比較例4の等方性光学フィルムを作製した。
作製した比較用光学フィルム4の特性を、以下、表1に示した。又、比較例1、2及び4の光学プロファイルを図13に示した。
(アクリル系粘着剤組成物)
・アクリル系粘着剤(全固形分濃度18.8%、溶剤:酢酸エチル、メチルエチルケトン) 100質量部(綜研化学社製、商品名:SKダインTM206)
・イソシアネート系硬化剤 0.5質量部(綜研化学社製、商品名:L-45)
・エポキシ系硬化剤 0.2質量部(綜研化学社製、商品名:E-5XM)
Figure 0007191537000002
Figure 0007191537000003
表2の結果より、実施例1~10の異方性光学フィルムの最小直線透過率は、全て20%以上であり、又、最大直線透過率も、全て50%以上であるため、表示装置に使用した場合、輝度の低下を抑えることが可能である。加えて拡散幅が、全て30°以上と広いので、拡散性能も高かった(図12の光学プロファイル参照)。
実施例1~10の上記特性は、表示装置の輝度及びコントラストを、良好としながら、拡散性能による視野角の拡大や、ヘッドマウントディスプレイのブラックマトリクスを見えにくくする効果や、反射型ディスプレイ及び半透過半反射型ディスプレイに用いた場合の輝度とコントラストの向上効果が期待できる。特に実施例3、6、9の異方性光学フィルムは、拡散幅が大きく、拡散性能に優れているため、更なる視野角の拡大への効果の他、ギラツキも確認されないため、ギラツキ影響の大きい、ヘッドマウントディスプレイ用途への効果が期待できる。
一方、比較例1及び2の異方性光学フィルムは、最小直線透過率が低いため、表示装置に使用した場合、表示装置の輝度及びコントラストの低下が大きくなってしまう恐れがある。又、比較例3の異方性光学フィルムは、最小直線透過率は比較的良好であるが、拡散幅が狭く、表示装置として用いた場合、十分な拡散性能が得られない。さらに、比較例4の等方性の比較用光学フィルムは、最小直線透過率と、最大直線透過率とが共に低めの値であるため、拡散性能は優れているものの、輝度及びコントラストの低下が大きくなってしまい、かつ、光学フィルムに異方性もないため、画像ボケを生じる恐れがある(図13の光学プロファイル参照)。
以上の通り、本発明の実施例1~10の異方性光学フィルムは、高い拡散性能を有しながら、最小及び最大直線透過率が高いため、バランスの良い光学特性を有しており、表示装置に使用した場合、視野角拡大、ブラックマトリクスを解消する効果を持ちながら、輝度・コントラストの低下を抑えられると期待される。
1 異方性光学フィルム
2,3 異方性光学フィルム表面
10 マトリクス部A
20 柱状部B
30,91 非均一相(マトリクス部A又は柱状部B)
40,92 均一相(マトリクス部A又は柱状部B)
50 マトリクス領域a
60 柱状領域b
70 光源
80 検出器
90 塗工膜
93 遮光版
94 指向性拡散素子
95 マスク
96 遮光部
97 透光部

Claims (8)

  1. 一方の表面から入射する光の入射角に依存して、他方の表面から出射する光の拡散性が変化する異方性光学フィルムであって、
    前記異方性光学フィルムは、マトリクス部Aと、前記異方性光学フィルムの一方の表面から他方の表面に向かって延在している柱状部Bとを含み、
    前記柱状部Bは、前記異方性光学フィルムの平面方向と平行な平面における前記柱状部Bの断面形状の直径、長軸長さ、又は、前記柱状部Bの断面形状内の最も長い長さが、10μm~100μmであり、
    前記マトリクス部Aは、マトリクス領域aと複数の柱状領域bとを含む非均一相であり、
    前記柱状部Bは、マトリクス領域aのみを含む均一相であり
    前記複数の柱状領域bは、前記異方性光学フィルムの表面と平行な平面における前記複数の柱状領域bの断面形状の直径、長軸長さ、又は、前記複数の柱状領域bの断面形状内の最も長い長さが、0.5μm~20μmであり、
    前記マトリクス領域aと、前記複数の柱状領域bとは、絶対屈折率が異なっており、
    前記複数の柱状領域bは、前記異方性光学フィルムの一方の表面から他方の表面に向かって延在していることを特徴とする、異方性光学フィルム。
  2. 前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対する前記柱状部Bの軸方向の角度が0°~70°であることを特徴とする、請求項1に記載の異方性光学フィルム。
  3. 前記柱状部Bは、前記異方性光学フィルム表面と平行な平面における前記柱状部Bの断面形状が長方形形状であり、前記長方形形状の短辺と、長辺との長さの比が、1:1~1:20であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の異方性光学フィルム。
  4. 前記異方性光学フィルム表面の法線方向から観察した、前記マトリクス部A及び柱状部Bが、格子形状に形成されていることを特徴とする、請求項1~に記載の異方性光学フィルム。
  5. 前記柱状部Bは、前記異方性光学フィルム表面と平行な平面における前記柱状部Bの断面形状が円形状又は楕円形状であり、前記円形状又は楕円形状の最短径と、最長径との長さの比が、1:1~1:20であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の異方性光学フィルム。
  6. 前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対する前記柱状領域bの軸方向の角度が0°~70°であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の異方性光学フィルム。
  7. 前記複数の柱状領域bは、前記異方性光学フィルム表面と平行な平面における前記複数の柱状領域bの断面形状が円形状又は楕円形状であり、前記円形状又は楕円形状の最短径と、最長径との長さの比が、1:1~1:20であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の異方性光学フィルム。
  8. 前記柱状部Bの、前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対する傾斜角度と、前記柱状領域bの、前記異方性光学フィルム表面の法線方向に対する傾斜角度とが、略同一であることを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の異方性光学フィルム。
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