JP2010040568A - ウエハ研削テープ用基材フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表層がポリプロピレン系樹脂であり、中層がエチレン系共重合体樹脂である2種3層のオレフィン系樹脂フィルムであって、表層のポリプロピレン系樹脂として融点130℃以上であり、ヤング率が200MPa以下であるポリプロピレン系樹脂を、中層のエチレン系共重合体樹脂として、80℃における貯蔵弾性率が1×105〜107Paであるエチレン系共重合体樹脂を使用したことを特徴とするウエハ研削テープ用基材フィルムである。
【選択図】なし
Description
すなわち、この半導体ウエハ研削テープは、半導体ウエハ表面を保護する粘着テープであって、シリコンウエハ等の半導体ウエハにおける集積回路が組み込まれた側の面、すなわちウエハ表面に粘着した後、半導体ウエハ裏面研削機へ供給して半導体のウエハの集積回路が組み込まれていない面、すなわちウエハ裏面を研削し、ウエハを薄くした後、加熱により薄層化された半導体ウエハから剥離する粘着テープである。
その一方で電子機器が小型化するなかでは半導体デバイスの総厚を変えない必要があり、そのためには、ICチップ1枚当たりの厚みを薄くしなければ成らず、その元となるウエハの薄型化が進み、その厚みは100μm以下の極薄領域にまで薄くしなければならないものとなってきている。
さらに、破損しない場合であっても、ウエハが反ったり、歪んだりして、次工程への搬送及び収納が困難であるばかりでなく、ウエハが割れ易く、取り扱いが困難である等の問題が生じている。
また、ポリオレフィン系樹脂を用いた耐熱性フィルムにあっても、高耐熱樹脂との多層フィルムや、ポリプロピレン(PP)系樹脂の単層フィルムであり、層間密着性の悪さやPP系樹脂特有のフィルムの硬さに課題を抱えている。
そのため、汎用的に使用できるポリオレフィン系樹脂による高耐熱性・柔軟性を有するウエハ研削テープ用の軟質基材フィルムの開発が求められている。
さらに、上記したように研削工程もウエハの極薄化に対応して装置自体が改良されてきており、それの対応したウエハ研削テープ用基材フィルム、さらには研削後の高温のDAF(ダイアタッチフィルム)貼付温度でも不都合を生じない研削用テープ基材フィルムの開発が急務である。
この特許文献1における粘着テープは、基材フィルムとしてエチレン−酢酸共重合体(EVA)フィルムを使用し、補助フィルムとしてPPフィルムを積層させた半導体ウエハ表面保護用粘着テープであり、フィルムの反り(カール性)を解決したものとされているが、テープ自体の耐熱性並びに柔軟性が未だ十分なものとはいえない問題点がある。
本発明により提供されるウエハ研削テープ用基材フィルムは、耐熱性を有することから、その後の高温なDAF(ダイアタッチフィルム)工程に耐えることができ、ウエハやそれに組み込まれた集積回路を汚染することがない。
また、柔軟性を有するため、ウエハへの貼付が容易であり、且つ集積回路の凹凸に追従することができる利点を有している。
更に、加熱してもカールしないため、搬送が容易に行い得る上、ウエハが破損することが無く、研削テープの剥離も容易に行える利点を有している。
融点が130℃未満であると、得られた研削用基材フィルムの耐熱性が十分ではなく、その後の高温工程であるDAF工程に耐えることが困難となる。
また、ヤング率が200MPaを超えると柔軟性に欠け、ウエハ表面に貼付し裏面を研削した後の基材フィルムの剥離性が十分ではなく、極薄化されたウエハを破損させる恐れがある。
なお、本明細書中でいうポリプロピレン系樹脂のヤング率とは、ポリプロピレン系樹脂を押出し機で厚さ100μmに製膜したフィルムをJIS K 6732に準じて測定したTDの値である。
このような樹脂は、例えば三井化学(株)から「アドマー」の商品名で販売されているものを挙げることができる。
更に、この場合のエチレン系共重合体樹脂としての融点が100℃以下、具体的には融点が70〜90℃である樹脂の場合には上記した貯蔵弾性率を充足することが判明した。
表層の厚みが大きい場合には、中層として貯蔵弾性率の低いエチレン系共重合体樹脂を使用したとしても、得られたフィルムにカールの発生が認められ、また中層の厚みが上記の範囲以上である場合には、得られたフィルムの耐熱性が劣るものとなる。
15重量%未満であると所望する帯電防止機能が得られない傾向にある。
下記表1及び表2に記載したポリプロピレン系樹脂及びエチレン系共重合体系樹脂を使用し、中層のスクリュー径40mm、表層のスクリュー径25mmのTダイ押出機を使用して厚み150μmのウエハ研削テープ用基材フィルムを調製した。
得られたフィルムについて、耐熱性、柔軟性、カール特性、層間密着性及び製膜性を評価し、その結果を併せて記載した。
下記表3に記載したポリプロピレン系樹脂及びエチレン系共重合体系樹脂を使用し、単層フィルム、或いは、中層のスクリュー径40mm、表層のスクリュー径25mmのTダイ押出機を使用して、厚み150μmの2種3層のウエハ研削テープ用基材フィルムを調製した。なお、比較例1についてはスクリュー径25mmのTダイ押出機を使用し、比較例2についてはスクリュー径40mmのTダイ押出機を使用し、単層厚み150μmに成形した。
得られたフィルムについて、耐熱性、柔軟性、カール特性、層間密着性及び製膜性を評価し、その結果を併せて記載した。
*1:PE系樹脂:エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA) ニュクレル(三井デュポンポリケミカル社製) MFR:3(190℃)、融点:98℃、貯蔵弾性率:2.0E+7(80℃)
*2:PE系樹脂:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA) エバフレックス(三井デュポンポリケミカル社製) MFR:1.3(190℃)、融点:90℃、貯蔵弾性率:9.0E+6(80℃)
*3:PE系樹脂:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA) エバフレックス(三井デュポンポリケミカル社製) MFR:2.5(190℃)、融点:84℃、貯蔵弾性率:1.5E+6(80℃)
*4:PE系樹脂:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA) エバフレックス(三井デュポンポリケミカル社製) MFR:2、融点:77℃、貯蔵弾性率:1.0E+5(80℃)
*5:PE系樹脂:高密度ポリエチレン系樹脂 ノバテック(日本ポリエチレン社製) MFR:1.0、貯蔵弾性率:1.0E+7以上(80℃)
*7:PP系樹脂:無水マレイン酸変性 アドマー(三井化学社製) MFR:5.7(190℃)、ヤング率:140MPa、融点:135℃
*8:PP系樹脂:ノティオ(三井化学社製) MFR:6.0、ヤング率:12MPa(230℃)、融点:160℃
ヤング率は、上記樹脂を0.1mm厚のフィルム状に成形し、JIS K 6732に準拠して測定したTDの値である。
得られたフィルムを120℃×1kg荷重×1時間で6cm角のガラス板に密着させた後、簡単にガラス板から剥離させるか否かを評価した。
○:簡単に剥離することができる。
×:剥離に抵抗があるもの。
得られたフィルムの柔軟性についてヤング率を用いて評価した。得られたフィルムのヤング率はJIS K 6732に準じて測定した。
○:ヤング率が200MPa以下の場合。
×:ヤング率が200MPaを超える場合。
得られたフィルムの片面に一般的な粘着剤を塗工し、50μm厚のPETフィルム上に貼着させ、その後120℃×10分間の条件下に促進させ、その時におけるフィルム端部のカールの反りを測定した。
○:反りの高さが20mm未満。
△:反りの高さが20〜40mm。
×:反りの高さが40mmを超える。
得られたフィルムに碁盤目状の切り目を入れ、積層フィルムを剥離する。その時の中層フィルム(基材フィルム)に密着している外層フィルムのマス数をカウントした。
○:表層が50%以上密着している。
△:表層が25〜50%密着している。
×:表層の密着が25%未満である。
Tダイ押出機にて加工したときの加工性について評価した。
○:加工性に問題がない。
×:加工性に問題がある。
Claims (5)
- 表層がポリプロピレン系樹脂であり、中層がエチレン系共重合体樹脂である2種3層のオレフィン系樹脂フィルムであって、表層のポリプロピレン系樹脂として融点130℃以上であり、ヤング率が200MPa以下であるポリプロピレン系樹脂を、中層のエチレン系共重合体樹脂として、80℃における貯蔵弾性率が1×105〜107Paであるエチレン系共重合体樹脂を使用したことを特徴とするウエハ研削テープ用基材フィルム。
- 表層のポリプロピレン系樹脂が変性ポリプロピレンである請求項1に記載のウエハ研削テープ用基材フィルム。
- 変性ポリプロピレンが無水マレイン酸変性されているものであることを特徴とする請求項2に記載のウエハ研削テープ用基材フィルム。
- エチレン系共重合体樹脂が、融点100℃以下の、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂(EMMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−ブテン共重合体樹脂、エチレン−ペンテン共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン共重合体樹脂、エチレン−オクテン共重合体樹脂から選択されるエチレン系共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のウエハ研削テープ用基材フィルム。
- さらにポリエーテル系高分子型帯電防止剤を含有したことを特徴とする請求項1に記載のウエハ研削テープ用基材フィルム。
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