JP2007030313A - 半導体製造テープ用基材フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂層と、少なくとも1層のポリエチレン系樹脂層とを有する半導体製造テープ用基材フィルムであって、ポリプロピレン系樹脂層は、MFRが5.0未満のアタクチックポリプロピレン10〜50重量%と、MFRが5.0未満のランダムポリプロピレン90〜50重量%とを含む。
ポリプロピレン系樹脂層とポリエチレン系樹脂層との層比は、1:1〜1:8とすることが好ましく、ポリエチレン系樹脂層は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体であることが好ましい。
Description
中でも、ダイシング工程においては、ウエハの完全な裁断を行うためにウエハを保持する基材フィルムの内部まで切り込みを行う切断方法が主流であり、該工程に使用される基材フィルムとしては、耐熱性、柔軟性、延伸性などに加え、切断時のフィルム切断面にウエハ汚染の原因となる糸状屑の発生が起こらないことが重要である。
但し、オレフィン系樹脂では単層構造であると樹脂の特性によって十分な性能を得ることができないため、最近では、耐熱性はあるが柔軟性に欠けるポリプロピレン系樹脂層を中心層とし、これに、柔軟性はあるが耐熱性に劣るポリエチレン系樹脂層を外層として積層したフィルムが使用されるようになっている。
しかし、この提案では、ウエハのダイシング工程に用いた際に、延伸性が不十分であるうえ、切断時にフィルムの切断面に糸状屑が発生し、優れた切断性は得られず、ダイシング特性において不十分であった。
しかし、このテープ用基材は、高い延伸性を有するものの、基材切断面における糸状屑の発生の問題は解決されていない。
さらに、ダイシング時のフィルム切断面における糸状屑の発生をより一層抑えるために、それら樹脂の「MFR値」等と「配合比率」とを特定し、外層であるポリエチレン系樹脂層を構成する樹脂についても最適なものを選択することで、本発明を完成するに至った。
このとき、ポリプロピレン系樹脂層とポリエチレン系樹脂層との層比が、1:1〜1:8であることが好ましく、またポリエチレン系樹脂層は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体であってもよい。
上記アタクチックポリプロピレンが、10重量%に満たない場合は十分な柔軟性が得られず、50重量%を超えると製膜時にべた付くことがあるため、本発明では上記の配合比率とするものであり、好ましい配合比率は10〜30重量%である。
MFRが5.0以上であると、良好な積層状態を得ることができたとしても、ダイシング時の切断面に糸状屑が発生しやすくなることがあるため、5.0未満とするが、好ましくは3.0以下である。
なお、MFRの下限は、特に限定しないが、小さすぎても製膜性を低下させるばかりでなく、ダイシング時の切断面に糸状屑を発生させる場合もあるため、1.0程度であり、好ましいMFRは1.0〜3.0である。
従って、本発明では、MFRが5.0未満のものであれば、ポリプロピレン製造時に副生するアタクチックポリプロピレンを用いてもよいし、原料から目的生産して用いてもよい。また、該当する好適な市販品があれば、適宜市販品を選択して用いることができ、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
MFRが5.0以上であると、良好な積層状態を得ることができてもダイシング時におけるフィルム切断面に糸状屑の発生が起こり易くなるため、5.0未満とするが、好ましくは3.0以下である。
なお、MFRの下限は、特に限定しないが、小さすぎても製膜性を低下させるばかりでなく、ダイシング時の切断面に糸状屑を発生させる場合もあるため、1.0程度であり、好ましいMFRは1.0〜3.0である。
また、融点は135℃以上のものを使用することが重要であり、135℃未満のものを使用する場合、ダイシング性が低下してしまう。
これらポリプロピレンを、例えば、α−オレフィン、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、
これら不飽和カルボン酸のエステル、酸無水物、金属塩等の誘導体、不飽和物のアミド、アミノ化合物、グリシジルメタアクリレート、ヒドロキシメタアクリレート等により変性して用いることができる。
特に、帯電防止性を付与する際には、例えば、一般に市販されているポリエーテル系帯電防止剤を添加することが好ましい。この場合、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対し、例えば5〜56重量部添加すればよい。
エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレンとプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等のオレフィン、及びエチレンと(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等との共重合体又は多元重合体が挙げられ、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
上記の中でも、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体が、ダイシング特性上、好ましい。なお、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/またはメタクリル酸を意味する。
2層構造の場合、ポリプロピレン系樹脂層上(半導体との接触面)に粘着剤層が設けられる。この粘着剤層としては、公知もしくは慣用の粘着剤を使用することができ、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニール系等の各種の粘着剤を使用すればよい。
ポリプロピレン系樹脂層が厚すぎても、薄すぎても、ポリエチレン系樹脂層との所望の相乗作用を得ることができなくなる。
本発明では、より好ましい上記の層比は3:7〜5:5である。
例えば、共押出積層法、カレンダー法、共押出インフレーション法などの公知の方法が挙げられ、溶融状態で積層した後、冷却ロール、水冷または空冷で冷却する方法を用いて、積層フィルムとすることができる。
従って、ダイシング工程、エキスパンド工程、マウンティング工程などの半導体製造工程におけるテープ用基材フィルムとして好適である。
ポリプロピレン系樹脂層(PP層)の材料として、それぞれ下記に示す樹脂を表1,2に示す割合で混合し、温度200℃にて30分間溶融混練して調製した。
ポリエチレン系樹脂層(PE層)の材料として、それぞれ下記に示す樹脂を表1,2に示す割合で混合し、温度200℃にて30分間溶融混練して調製した。
上記調製した樹脂組成物を、テスト押出機(サーモプラスチックス工業(株)製 商品名“テストφ40mm押出機”)を用いて、PP層とPE層との比が4:6となるように厚さ0.1mmの2層構造フィルムに加工した。
(使用原料)表1,2中の略号と共に以下に示す。
≪ポリプロピレン系樹脂層(PP層)≫
PP1:ランダムポリプロピレン(チッソポリプロ製 商品名“FX4GC”MFR:5.0、融点:125℃)
PP2:ランダムポリプロピレン(チッソポリプロ製 商品名“FW4B”MFR:7.0、融点:132℃)
PP3:ランダムポリプロピレン(日本ポリケム製 商品名“WFX6”MFR:2.0、融点:125℃)
PP4:ランダムポリプロピレン(日本ポリケム製商品名“WFX4T”MFR:7.0、融点:125℃)
PP5:ランダムポリプロピレン(日本ポリケム製商品名“FW3E”MFR:7.0、融点:142℃)
PP6:ランダムポリプロピレン(日本ポリケム製商品名“EX5C”MFR:4.2、融点:160℃)
PP7:ホモポリプロピレン(三井化学製商品名“F107BV”MFR:7.0、融点:160℃)
PP8:ランダムポリプロピレン(住友化学製商品名“S131”MFR:1.2、融点:137℃)
PP9:ランダムアタクチックポリプロピレン(住友化学製商品名“タフセレンH3002” MFR:2.0)
αオレフィン1:プロピレン及び/又はオクテンからなる非晶質ポリオレフィン(デュポンダウ製商品名“エンゲージ8200”MFR:5.0、融点:60℃)
αオレフィン2:プロピレン及び/又はオクテンからなる非晶質ポリオレフィン(デュポンダウ製商品名“エンゲージ8842”MFR:1.0、融点:33℃)
スチレン系ゴム:水素添加ブロック共重合体(特許文献2に相当)(クラレ社製商品名“ハイブラー7125”)
LDPE:低密度ポリエチレン(住友化学社製商品名“L705”)
≪ポリエチレン系樹脂層(PE層)≫
PE1:エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製商品名“ニュクレル”)
PE2:エチレンー(メチルメタ)アクリル酸共重合体(住友化学社製商品名“アクリフト”)
結果を表3,4に示す。
(1)製膜性:テスト押出機での製膜時のロール剥がれ、加工状況を評価した。
問題なかったものを「○」、ロール剥がれを僅かに生じたものを「△」、ロール剥がれが大きく製膜が極めて困難もしくは不可能であったものを「×」で示した。
(2)耐熱性:得られた基材フィルムを、幅15mmの短冊状に切り出し、120℃のオーブン中に荷重5gfにて5分間吊り下げた後の基材フィルムの外観状態を目視にて観察した。
外観上、特に大きな変形が見られず問題なかったものを「○」、大きな変化はあったが、伸びきってしまわなかったものを「△」、伸びきってしまったものを「×」で示した。
(3)柔軟性:得られた基材フィルムについて、半導体ウエハへの貼着作業を行い、問題なくスムースに作業を行えたものを「○」、シワや折れ曲がりが生じたり、半導体ウエハへの馴染み性が悪い等で、作業がスムースに行えなかったものを「×」と判定した。
(4)延伸性:得られたフィルムの直行する2方向について、JIS K7127に準拠して引っ張り試験を行い100%伸張時の応力を測定し、その比を求めて延伸性の指標とした。
比が1に近いほど均一性が良いため、0.8〜1.8の範囲内のものを「○」、当該範囲を外れたものを「×」と判定した。
(5)ダイシング性:得られたフィルムを半導体ウエハに貼着し、実際の半導体ダイシングと同様のダイシングを行い、各フィルムの切断面の糸状屑の発生状況を観察した。
糸状屑の発生が無かったものを「○」、糸状屑が微量に発生したものを「△」。糸状屑が僅かに発生したものを「×」で示した。
実施例5〜8
前記実施例1において、各層の厚さ比(ポリプロピレン系樹脂層:ポリエチレン系樹脂層中層)を表3に示すように代える以外は、実施例1と同様に実施した。
得られたフィルムの(1)製膜性、(2)耐熱性、(3)柔軟性、(4)延伸性、(5)ダイシング性、(6)紫外線透過性を実施例1〜4、比較例1〜11と同様の基準で評価方法で評価した。この結果を表5に併せて示す。
従って、半導体製造工程のテープ用基材フィルムとして好適であり、ダイシング工程、エキスパンド工程、マウンティング工程などにおいて幅広く使用することができる。
Claims (3)
- ポリプロピレン系樹脂層と、少なくとも1層のポリエチレン系樹脂層とを有する半導体製造テープ用基材フィルムであって、
前記ポリプロピレン系樹脂層は、MFRが5.0未満のアタクチックポリプロピレン10〜50重量%と、MFRが5.0未満で融点が135℃以上のポリプロピレン90〜50重量%とを含むことを特徴とする半導体製造テープ用基材フィルム。 - ポリプロピレン系樹脂層とポリエチレン系樹脂層との層比が、1:1〜1:8であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造テープ用基材フィルム。
- ポリエチレン系樹脂層は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体製造テープ用基材フィルム。
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